トレーサビリティとは?意味・種類・導入設計のポイントをわかりやすく解説

トレーサビリティとは、製品が「いつ・どこで・どんな状態だったか」を、あとから根拠をもって追えるようにする仕組みです。事故対応や品質改善のための“守り”の印象が強い一方で、近年は規制対応やサステナ情報の説明責任など、“平時に説明できるか”が競争力を左右するテーマにもなっています。

本記事では、トレーサビリティの基本(意味・種類)を整理したうえで、現場でつまずきやすい「導入設計の考え方」と「運用で破綻しない進め方」までを、なるべく実務目線でまとめます。これから着手する方が、社内で説明しやすく、すぐに設計に落とせることをゴールにしています。

こんな方にオススメ:
品質保証・品質管理で、原因究明や再発防止を急ぎたい方。
調達で、原材料の出どころや取引先への説明を求められている方。
物流・SCMで、出荷先・在庫・回収範囲の特定を早くしたい方。
サステナ・法務・監査対応で、根拠ある説明の土台を整えたい方。

そもそもトレーサビリティって何?

「トレーサビリティ」という単語はSDGsやサステナビリティといったビジネス用語に比べると、「ニュースで聞いたことはある」「社内の新規事業で目にしたような気がする」といったざっくりとしたイメージを持っている方は多いのではないでしょうか?そこでまずはじめに、本記事のテーマである「トレーサビリティってそもそも何?」という疑問を解決します。混乱しやすいポイントも解説するので、全体像をしっかりと押さえましょう。

トレーサビリティ=製品の「生産から消費(または廃棄)まで」を追跡できる仕組み

トレーサビリティ(Traceability:追跡可能性)とは、トレース(Trace:追跡)とアビリティ(Ability:能力)を組み合わせた造語で、ある商品が生産されてから消費者の手元に至るまで、その商品が「いつ、どんな状態にあったか」が把握可能な状態のことを指す言葉です。

ポイントとなるのが、「把握可能な状態」というのが担当者の記憶や勘に頼らず、記録としてデータ上つながっているという点です。検証性、客観性が存在しないと、いざというときの証拠とならず、また、情報が結びついていない状態では、迅速な対応が難しくなるからです。

この概念は近年、サプライチェーン(製品の原材料・部品の調達から、製造、在庫管理、配送、販売、消費までの全体の一連の流れ)のマネジメント要素の一つと考えられており、主に自動車や電子部品、医薬品など、消費財の製造業で注目されています。品質トラブル対応や監査対応では、ほぼ必須の考え方といえるでしょう。

日本においてトレーサビリティが一般的に認知されだしたのは、BSE問題と事故米の不正転売がきっかけだとされています。

BSE問題
2001年、日本で初めてBSE(牛海綿状脳症)感染牛が確認されたことをきっかけに、牛肉の安全性に対する懸念が急速に広がった事案。BSEは牛の脳や神経を侵す致死性疾患であり、人への感染リスクも指摘されたことから、社会的な影響は大きかった。当時は、どの牛がどこで生まれ、どのような経路で流通したかを即座に追跡できる仕組みが十分に整っておらず、影響範囲の特定や安全性の説明に課題が残る形となった。

この問題を受けて、2003年に「牛の個体識別のための情報の管理及び伝達に関する特別措置法」が施行され、すべての牛に個体識別番号を付与し、出生から流通までの履歴を一元管理する制度が導入されました。これにより、牛肉の流通過程を遡って確認できる仕組みが制度として整備され、日本におけるトレーサビリティの代表的な導入事例となりました。

事故米の不正転売
2008年に発覚した不祥事で、本来は食用に適さないとされていた「事故米(カビ毒や農薬に汚染された可能性のある工業用・飼料用米)」を、卸売会社が食用と偽り、不正に流通していた事件。流通過程の一部で管理が不十分だったことから、本来の用途を逸脱し、焼酎や米菓、加工食品などの原料として広く使われてしまった。

この問題を受けて、米の流通管理の厳格化や帳簿管理の義務化、流通履歴の保存・開示ルールの強化などが進められ、食品分野におけるトレーサビリティ制度の整備が一層加速しました。特に、「誰がどの段階で何を扱ったのか」を後から検証できる仕組みづくりが、制度面・運用面の両方で強化される契機となりました。

こうした事件が発端となり、食品業界から他の業界にもトレーサビリティを導入する動きが広まっていったのです。そんな、様々な業界で重要視されるトレーサビリティをより理解するためには、この概念を2つの観点で場合分けすることが大切です。それぞれ見ていきましょう。

トレースフォワード と トレースバック

まずはトレーサビリティを「追う方向」で分類した場合です。

■ トレースバック(Trace Backward/遡及)

これは「今あるモノから、過去を遡っていく」視点です。主な目的は、原因究明・責任範囲の特定で、典型的な利用シーンは不具合・事故・クレーム対応です。例えば、不良品や事故が発生した際、「この製品は、どの原材料・どの工程・どのロットから来たのか」という製造記録を遡っていくことができます。

原因が分からないと生産ラインをすべて止めるしかないですが、トレースバックが可能であれば、問題のあったロットや原材料の仕入れ元、作業ラインを特定でき、速やかに再発防止策の実施や回収対象の製品を特定することができます。

また、トレースバックの実務上の価値は、事故や不具合が起きたときだけに発揮されるものではありません。むしろ、日常的な品質改善や工程管理においてこそ、その効果は継続的に現れます。例えば、不良率が高い製品群があった場合、単に「不良が多い」という事実だけでは、改善にはつながりません。トレーサビリティが整っていれば、

  • どの原材料ロットを使った製品か
  • どの製造ライン、どの設備、どの時間帯だったか
  • どの検査工程で検出されたか

といった情報を横断的に紐づけることができ、不良品の傾向や発生条件を分析できるようになります。これは、後追いの原因究明にとどまらず、「特定の条件下で不良が出やすい」という知見を蓄積し、未然防止や工程設計の改善につなげることが可能になる、という点で非常に重要です。つまり、トレースバックは、単なる記録管理ではなく、品質マネジメントを“経験と勘”から“データと再現性”の世界へ引き上げるための基盤ともいえます。

■ トレースフォワード(Trace Forward/追跡)

これはトレースバックとは反対に、「ある原材料・部品から、どこへ行ったかを追う」視点です。主な目的は、影響範囲の特定・迅速な回収・顧客通知で、典型的な利用シーンはリコール(実行・回収シーン)です。例えば、ある原材料ロットに問題が見つかった場合、「それが使われた製品はどれで、どこに出荷されたか」を洗い出すことができます。

記録が適切に残っていれば、問題のあったロットや原材料に限定して回収・出荷停止・顧客通知を行うことができ、無関係な製品まで巻き込む「過剰対応」を避けることができます。いくらトレースバックできる体制を徹底していたとしても、回収や顧客への通知といった対応を、必要最小限の範囲に限定して実施するためには、トレースフォワードが必要不可欠であり、サプライチェーン全体のリスク対応において極めて重要な役割を果たします。

このように、トレースバックとトレースフォワードは、「原因を遡る視点」と「影響を追う視点」という、トレーサビリティを“どの方向に見るか”という違いによる分類です。一方で、トレーサビリティはもう一つ、「どこまでの範囲を追うか」という観点からも整理することができます。

内部トレーサビリティ と チェーントレーサビリティ

次にトレーサビリティを「どこまでの範囲を追跡するか」という視点で分類した場合です。

■ 内部トレーサビリティ

内部トレーサビリティとは、一つの企業や工場の“内部”で完結するトレーサビリティのことを指します。具体的には、自社内において、

  • どの原材料が
  • どの製造ラインで
  • どの工程を経て
  • どの製品ロットになったか

といった情報が、工程間で正しくひもづいて管理されている状態です。主な目的は、品質管理や工程改善、歩留まり向上、内部監査への対応など、自社オペレーションの高度化にあります。MES(製造実行システム)やロット管理、バーコード・RFID管理などは、内部トレーサビリティを支える代表的な仕組みです。

■ チェーントレーサビリティ

これに対してチェーントレーサビリティは、企業の枠を超えて、サプライチェーン全体をつなぐトレーサビリティです。原材料の調達から、製造、流通、販売、消費に至るまで、複数の企業・組織をまたいで情報が連携されている状態を指します。例えば、

  • この製品に使われている原材料は、どの国・どの企業から来たのか
  • その原材料は、どの製品に使われ、どこへ出荷されたのか

といったことを、自社だけでなく取引先を含めて把握できる状態が、チェーントレーサビリティです。かつては、トレーサビリティの主な役割は「品質事故時の対応」でしたが、現在ではそれに加え、

  • 法規制への対応
  • 取引先からの情報開示要求
  • サステナビリティ、人権、環境配慮に関する説明

といった文脈で、「その製品が、どのような背景で作られたか」を示すこと自体が求められるようになっています。特にEUはこの流れが強く、ESPR(持続可能な製品のためのエコデザイン規則)、EUBR(欧州電池規則)、EUDR(欧州森林減少防止規則)、CSDDD(欧州企業サステナビリティ・デューディリジェンス指令)といった各種制度が域外の企業にも影響を及ぼす状況となっています。

こうしたシーンにおいて、チェーントレーサビリティを実現することは、企業がサプライチェーンの一部として選ばれ続けるための「保険」であり、ときには「前提条件」にもなり得ます。特に企業間でデータをつなぐ話(後段のDPPなど)に進むほど、内部で辿れるだけではなく外部に共有できる状態が整っているかが、そのまま競争力に直結します。

つまり、この視点で見るならば、内部トレーサビリティが整っていなければ、チェーントレーサビリティは成立せず、トレーサビリティは「守りの仕組み」であると同時に、企業の信頼性や競争力を支える「攻めのインフラ」になりつつある、といえるでしょう。

導入設計の5ステップとは?

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トレーサビリティは「重要そうだから記録する」という発想で始めると、情報だけが増えて運用が回らなくなることが少なくありません。実務として機能させるためには、目的 → 範囲 → 管理単位 → 記録点 →共有範囲 という5つの観点で、順番に設計することが重要です。ここでは、現場で迷いやすいポイントを中心に整理します。

回収・品質維持/向上・規制対応などの目的を決める

最初に決めるべきなのは、「何のためにトレーサビリティを導入するのか」という目的です。すでに見てきたように、トレーサビリティの価値は事故対応、品質改善、規制・取引対応など多岐にわたりますが、すべてを一度に満たそうとすると設計が過剰になりがちです。例えば、

  • まずはリコール時の影響範囲特定を最優先するのか
  • 品質改善のために工程・設備単位の可視化を重視するのか
  • 取引先や規制対応として、履歴の証明性を確保したいのか

といった形で、「最初に解決したい課題」を明確にすることが設計の出発点になります。目的が定まれば、後続の範囲設定や管理単位の判断も、過不足なく行えるようになるでしょう。

対象範囲を決める

次に考えるべきは、「どこまでを追うか」という範囲の設定です。トレーサビリティは、範囲によって必要なデータ量や関係者、システム構成が大きく変わります。典型的な論点は、

  • 原材料の受入から出荷まで、自社内で完結させるのか
  • サプライヤーや販売先まで含めたチェーン全体を視野に入れるのか
  • すべての製品か、一部のリスクが高い製品から始めるのか

といった点です。現実的には、まずは自社内(内部トレーサビリティ)から始め、段階的にチェーンへ広げる設計が多くの企業にとって無理のないアプローチになります。「理想の全体像」と「当面の実装範囲」を切り分けて考えることが、導入初期では特に重要です

管理単位を決める(ロット管理 or シリアル管理)

範囲が決まったら、次は「どの粒度で追跡するか」、すなわち管理単位を決めます。これは、トレーサビリティの精度と運用負荷を左右する重要な設計ポイントです。一般的には、

ロット管理:同一条件で生産されたまとまり単位で管理             
シリアル管理:製品一点ごとに識別・管理

のいずれか、あるいは両者の併用となります。ロット管理は多くの業界で標準的で、運用しやすい一方、影響範囲がやや広くなりやすい傾向があります。一方、シリアル管理は高い追跡精度を確保できる反面、データ量や現場負荷が増えるため、規制要件や製品特性に応じた使い分けが現実的です。ここでのポイントは、「技術的に可能か」ではなく、「目的とコスト・運用のバランスが取れているか」で判断することです。

入荷・加工・検査・出荷などの記録点を決める

ここで初めて、日々のオペレーションに話が降りてきます。「どのタイミングで、何を記録するか」という記録点です。トレーサビリティは、どれだけ多く記録しているかよりも、“つながる形で記録されているか”が本質です。代表的な記録点としては、

  • 受入(ロットが入れ替わる)
  • 工程投入(原材料と製造ロットが結びつく)
  • 工程の節目(混合/分割/再加工が起きる)
  • 検査(合否や測定値が紐づく)
  • 梱包(出荷単位が確定する)
  • 出荷(行き先が確定する)

などが挙げられます。ここで重要なのは、「どのロット(またはシリアル)が、どの工程・条件・結果と結びついているか」が後から一貫して追えることです。単発の記録が点在していても、紐づいていなければトレースは成立しません。そのため、設計段階では、識別子(ロット番号・シリアル番号)を軸に、情報が連鎖する構造になっているかを必ず確認する必要があるでしょう。

共有(Share)する範囲・方法を設計する

最後に決めるのが、取得したデータを「誰と」「どこまで」共有するかというポイントです。近年では、GS1のトレーサビリティ標準などの共通規格を使って、サプライチェーンパートナーと共通の語彙・フォーマットで共有する設計も増えていますが、同標準においても「Share(共有)」は、データを介して異なる組織間で情報をやりとりできるようにするための設計原則として位置づけられています。

出典:GS1 Global Traceability Standard「Figure 1‑1 GTS version 2」

共有の設計では、次のような問いに答える必要があります。

  • どのデータを内部限定で管理し、どのデータを取引先と共有するのか
  • リアルタイム共有が必要か、定期共有で足りるか
  • 共有にあたってのアクセス制御・セキュリティ要件はどうするか

ここでの設計を曖昧にすると、各社で形式がバラバラになり、トレースバック/トレースフォワードができない、あるいは時間がかかる仕組みになってしまいがちです。ここまでの4ステップをうまく取りまとめる意味でも、しっかりと当初の目的を意識しながら共有を設計するようにしましょう。

導入におけるポイント

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トレーサビリティは「設計の5ステップ」を押さえたとしても、実装フェーズでつまずくことが少なくありません。理由は単純で、現場の負担とデータ設計のバランスが崩れると、記録が増えるほど“追えなくなる”からです。ここでは、導入を現実に着地させるために効くポイントを、あえて2つに絞って解説します。

早く・小さく始めて、いつでも展開できる形にしておく

トレーサビリティ導入でよくある失敗が、「最初から完璧な仕組みを作ろうとして、結局動かない」というパターンです。サプライチェーン全体を一気につなぐ構想や、すべての製品・工程を網羅する設計を初期から目指すと、システムも運用も重くなり、現場がついていかなくなります。

だからこそ最初は、対象を思い切って絞ります。例えば「この製品だけ」「この工程だけ」「この工場だけ」といった具合に、まずは現場が回る規模感で一度、線として追える状態を作る。ここまでできると、社内の会話が一気に現実的になります。

ただし、「小さく始める」と同時にやっておきたいのが、 いつでも展開できる骨組を最初から揃えることです。ここをサボると、あとから対象範囲を広げたいときに設計が崩れて、結局作り直しになります。具体的には、次の3つです。

  1. ロット番号や拠点名などの識別ルール(後から変えると破綻しやすい)
  2. 入荷・加工・検査・出荷など、どこを節目として記録するか
  3. 用語の定義(同じ「ロット」「検査」が人によって違う意味にならないように)

この型が先に固まっていれば、この3つが先に揃っていれば、最初は「一つの工場」「一製品」「一工程」から始めても、あとで「別工場へ」「別製品へ」「取引先へ」と広げやすくなります。逆にここが曖昧だと、工場や製品が増えた瞬間に運用がバラバラになり、追跡できるはずなのに追跡できない、という事態が起きます。

追えるだけで終わらせず、記録が改ざんできない形にする

もう一つ、導入時に見落とされがちで、近年とくに重要性が増しているのが、「追える」ことと「信頼できる」ことは別、という点です。トレーサビリティは「追えればよい」と思われがちですが、規制対応・監査・取引先からの説明要求・サステナビリティ開示といった文脈では、

  • あとから書き換えられる
  • 誰が記録したか分からない
  • なぜその数値になったか説明できない

といった状態では、「追えるけれど信頼できない」仕組みになってしまいます。

ここで大切なのは、いきなり難しい技術に飛ぶことではありません。まずは、運用と仕組みで“改ざんしにくい・改ざんしたら分かる”状態を作ります。例えば、誰が記録したかが残ること、変更履歴が追えること、元データと加工データの関係が追えること。これだけでも、説明力はかなり上がります。

その上で、取引先など企業をまたいでデータを共有する場面になると、「どこか一社のシステムだけを正とする」やり方が難しくなることがあります。そういうときの選択肢の一つとして、ブロックチェーンという技術があります。

ブロックチェーンは、簡単に言うと“みんなで同じ台帳を持ち、後から書き換えにくい形で記録を積み上げる”仕組みです。コストや設計の難しさもありますが、複数社で同じ履歴を扱う場合には検討の余地が出てきます。

ここでは本技術については詳しくは取り上げませんが、ブロックチェーンの考え方やどんなケースに向いているかは、弊社コラムで噛み砕いてまとめています。ここで一度読んでおくと、「改ざんできない形にする」の解像度が上がるはずです。

2026年以降のトレーサビリティ:DPPという仕組みがカギになる

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2026年以降、トレーサビリティを取り巻く環境は「品質や事故対応のための仕組み」から、「規制対応と競争力を左右する前提インフラ」へと明確にフェーズが変わっていきます。その中心に位置づけられているのが、EUで制度化が進む DPP(Digital Product Passport:デジタル製品パスポート) です。

DPPとは、製品ごとに一意のIDを付与し、その製品に関する情報(原材料、製造、環境負荷、修理性、リサイクル性など)を、デジタル上で一元的に参照可能にする仕組みです。このDPPは、EUが進める ESPR(持続可能な製品のためのエコデザイン規則) の中核要素として位置づけられており、繊維製品、電池、電子機器、建材などを皮切りに、対象製品は順次拡大される見込みです。

しかもこの規制は「EU域内企業だけ」の話ではなく、EU市場に製品を出すすべての企業が対象になります。つまり、日本企業にとっても「一部の先進企業の話」ではなく、「避けられない前提条件」になりつつあるのです。DPPで求められる情報には、次のようなものが含まれます。

  • どの原材料・部品が使われているか
  • どこで、どのように製造されたか
  • 環境負荷やリサイクル性はどうか
  • 修理や再利用は可能か

これらは、まったく新しい情報というよりも、すでに社内のどこかには存在しているが、バラバラに管理されている情報であることがほとんどです。つまりDPPとは、「新しい情報を集める制度」というより、「社内外に散らばる情報を、製品単位で統合・再設計すること」を求める制度と捉えたほうが実態に近いでしょう。

この点で、DPPはトレーサビリティの延長線にある仕組みといえます。逆に言えば、いまトレーサビリティを「品質や事故対応のためだけの仕組み」として整えている企業は、それを “DPPに接続できる形に再設計できるかどうか” が、2026年以降の大きな分かれ道になるでしょう。

また、DPPは単なる「規制対応」では終わらない可能性を持っています。なぜなら、DPPによって製品情報が可視化されると、次のような変化が起こり得るからです。

  • 取引先や消費者から、製品選定の基準が変わる
  • 「安い・早い」だけでなく「どんな背景で作られたか」が競争軸になる
  • サステナビリティや人権配慮が、定性的な主張ではなく“データで比較される”世界になる

つまりDPPは、トレーサビリティを「守りの仕組み」から企業価値や製品価値を左右する情報へと押し上げる可能性そのものでもあるのです。こうした背景から、2026年以降のトレーサビリティは、「事故が起きたら追える」から「平時から、誰に対しても説明できる」という性格へと明確に変わっていくと考えられます。

DPPの制度概要や、なぜ今この仕組みが求められているのかについては、弊社コラムでも、制度の背景・対象製品・企業への影響という観点で整理しています。トレーサビリティを理解するうえで、ぜひあわせて読んでいただきたい内容となっています。

業界別ユースケース:どんな場面でトレーサビリティが求められるか

トレーサビリティは、どの業界でも同じ理由で求められているわけではありません。求められる理由も、重視されるポイントも、業界ごとにかなり性格が異なります。そこで、このセクションでは、特にトレーサビリティとの親和性が高く、かつ制度・市場の動きが顕著な3つの業界について整理していきます。

食品業界で重視されるポイント

食品業界でトレーサビリティが強く求められる場面は、事故・不具合・クレーム対応です。原材料の異常、異物混入、表示ミスなど、発生頻度がゼロにはならないリスクに対して、「どこまで影響が及んでいるのか」を即座に判断できるかが、企業の信用を左右します。

この業界特有の難しさは、製品が分解・混合・再加工を前提としている点にあります。原材料が混ざり合い、分かれ、姿を変えながら最終製品になります。小麦がパンになり、牛乳がチーズになり、複数の原料が一つの製品に統合されていく。この構造の中で、「どこからどこまでが同一のロットなのか」を正確につなぐことは、見た目以上に難易度が高い作業です。

また食品では、スピードも重要視されます。数時間、場合によっては数十分単位での判断が求められるため、トレーサビリティは「正確であること」だけでなく、「現場ですぐに引き出せること」が前提になります。さらに、製品は消費されてしまうため、記録そのものが製品の代替証拠になるという点も見逃せません。

このような背景から、食品業界におけるトレーサビリティは、「事故対応を最小限に抑えるための即応インフラ」として位置づけられてきたのが大きな特徴です。

なお近年は、こうした予防線としてのトレーサビリティシステムから、品質管理の努力を“伝わる形”にしてブランディングにつなげる動きも出てきています。小売を起点に、ブロックチェーンなどを活用して履歴情報を可視化する事例については、当社コラムでも紹介していますので、ぜひご覧ください。

アパレル業界で重視されるポイント

アパレル業界でトレーサビリティが求められる場面は、食品とは少し性質が異なります。品質事故そのものよりも、環境負荷や人権・労働条件に関する説明を求められる場面が急速に増えているのが特徴です。

アパレルのサプライチェーンは、原料調達・紡績・染色・縫製と工程が分かれ、しかも国境をまたぎます。そのため、「最終製品の原産国」だけを示しても、製品の背景はほとんど説明できません。ここで重要になるのが、いわゆる「サステナブルファッション」という考え方です。これは単に環境配慮素材を使うかどうかではなく、「その服が、どんな構造の産業の中で、どんな前提条件のもと作られたのか」まで含めて価値を問う視点です。

この文脈では、トレーサビリティは品質管理のための仕組みというより、企業が社会に対して自らの姿勢を説明するための根拠として機能します。どこから来たかだけでなく、どんな基準で選び、管理してきたかを語れるかどうかが、ブランド価値に直結するのです。アパレル業界でトレーサビリティとサステナビリティが結びつく背景や、制度・市場の動きについては、下記の記事でより詳しく整理しています。

このように、アパレルではトレーサビリティが「品質管理」から「企業の社会的責任・説明力」へと役割を広げている点が大きな特徴だといえるでしょう。

電池・モビリティ領域で重視されるポイント

電池・モビリティ領域、とくに電気自動車向けバッテリーでは、トレーサビリティの前提がさらに一段階変わります。ここで問われるのは、完成品の履歴ではなく、資源のライフサイクル全体です。この領域で注目されているのが「バッテリーパスポート」という考え方です。これは、原材料の採掘から製造、使用、回収、リサイクルに至るまでのライフサイクル全体を一貫して追跡し、「そのバッテリーが、どんな資源で構成され、どんな循環の中にあるのか」というトレーサビリティを実装する枠組みです。

背景には、欧州を中心に進む規制の変化があります。リチウムやコバルトといった重要資源については、「調達段階から責任を持つ」ことが前提になりつつあり、もはやトレーサビリティは選択肢ではありません。この分野では、トレーサビリティは「品質管理」や「事故対応」のための仕組みではなく、国際的なルールに適合するための前提条件として位置づけられているのです。こうした動きについては、下記の当社コラムで詳しく解説しています。

電池・モビリティは前述のDPPが先行して実施されている領域でもあり、「導入するかどうか」ではなく「どう実装するか」が問われる段階に入りつつあります。実際、当社もMOBI主導のグローバルバッテリーパスポートシステム(GBPS)構想に参画し、初年度完了を発表しています。もはや、この領域では、トレーサビリティは単なる「記録」ではなく、「国際的な資源ルールの対応基準」にまで押し上げられている、というのが大きな特徴です。

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000011.000059080.html

よくある質問

Q
トレースバックとトレースフォワード、どちらから整備すべき?
A

結論、自社がいま一番困るシーンから逆算するのが現実的です。クレーム原因の特定が重いならトレースバック、回収・出荷停止の判断が重いならトレースフォワードを優先し、もう一方は最低限つながる形で後追い整備に回す、という順番が多いです。

Q
トレーサビリティは義務?
A

一律に「全部の業界で義務」という話ではありませんが、食品のように、事故対応や安全性の観点から、記録の作成・保存を前提に「遡及」「追跡」を可能にする考え方が強く求められる領域があります。まずは「自社の製品×販売先(国内/EU等)」で、契約要求と規制要求を分けて棚卸しするのが早道でしょう。

また、ブランディング等のマーケティングの観点からトレーサビリティの確保に取り組む企業が増えています。国内市場だから関係ない、という姿勢で捉えるのではなく、競合、隣接領域の企業の動向には普段から注目しておいたほうがよいでしょう。

Q
ロット管理とシリアル管理、どちらが向いている?
A

ざっくり言うと、回収範囲を細かく絞りたい/個体別の証明が必要ならシリアル、運用負荷やコスト面とバランスを取りたいならロットが基本です。多くの現場では「外に出る単位はロット、重要部品や高リスク工程、高単価製品だけシリアル」のようなハイブリッド型の設計が落としどころになります。

Q
記録点はどれくらい必要?
A

必要なのは「多さ」ではなく、後からつながる節目です。混合・分割・再加工など、ロットの関係が変わる瞬間と、検査結果が紐づく瞬間さえ押さえれば、最初から細かく取りすぎなくても実務では回ります。増やすのは、運用が回りはじめ、より詳細にデータ取得する必要性が具体化してからでも十分です。

Q
現場の入力負担を減らすなら、バーコード/QRとRFIDどちらが良い?
A

こちらもロット管理とシリアル管理の質問のように、目的と実際の現場感に合わせて設計する必要があります。一括で大量に読み取りたい(棚卸・入出庫・通過ゲート)ならRFIDが強く、1点ずつ確実に読み取る/低コストで始めるならバーコードが堅実、手順書やURL連携など“情報への導線”を作るならQRが相性良い、という整理が分かりやすいです。現場での作業や製品の物理的な条件(液体・金属、貼付位置など)で精度が変わるので、PoC→限定運用→連携拡張といった流れでテストしつつ、本番運用に備えるのが良いでしょう。

トレードログのシステムで現場のトレーサビリティ構築を実現

ここまでで「追える状態」を成立させる考え方を整理しました。実務で次に壁になるのは、既存の業務・既存システムがある中で、識別・記録・検索を“現場が回る形”に落とし込むことです。トレードログ株式会社では、エンタープライズ企業向けのトレーサビリティ統合支援パッケージ「トレードログ」として、構想から運用定着までを一気通貫で支援しています。

トレーサビリティは「追えるようにする」だけだと、コストになりやすいのも事実です。トレードログでは、サプライチェーンの情報を“使える形”に整え、社内の意思決定だけでなく、対外説明や顧客接点にもつなげることを重視しています。

食品流通におけるデータ共有の例

上図では食品業界向けに最適化した統合支援パッケージとして紹介されていますが、もともと製造業・エネルギー領域での支援をベースに磨き込まれているため、要件(追う単位/証拠性/共有範囲)が整理できれば、以下のような業界のブランドプロミス実現にも展開可能です。

  • 日用品:RFID導入、RFID+QRによる正規品証明、CRM連動のエンゲージメント強化
  • 食品:DID/VC・RFID導入、顧客向けアプリでのトレーサビリティ/食の安全情報提供、FSP連動
  • エネルギー:電力色分け、二重カウントのない信頼データ提供、顧客向けアプリでの可視化・ポイント付与 など

もし「自社の業務ではどこを記録点にすべきか」「既存システムとどうつなぐべきか」「監査・取引先説明に耐える証拠性をどこまで担保するか」といった具体検討に入る場合は、トレードログ株式会社へお問い合わせください。

サステナブルファッションとは?現代ファッションの問題点をSDGsの観点で整理し、企業と消費者ができることまで解説します

「サステナブルファッション」という言葉を耳にする機会が増えてきました。直訳すれば「持続可能なファッション」ですが、その定義や実態について、まだ漠然としたイメージしか持てていないという方も多いのではないでしょうか。

単なる流行語としてではなく、SDGs(持続可能な開発目標)との結びつきの中で改めて注目されているこの言葉は、実はファッション業界が抱える数々の課題や、社会全体の価値観の転換を映し出す鏡のような存在でもあります。

本記事では、そもそもサステナブルファッションとは何かという基本から始まり、語感が持つイメージのみにとどまらないよう、現在のファッション業界全体が抱えている現状や背景、問題点、またそれらの解決に向けた取り組みなどについても包括的に紹介します。

目次

ファッション産業は「巨大産業」だからこそ、影響も大きい

ファッションは私たちの暮らしを彩る身近な存在ですが、産業として見ると、その規模は想像以上に巨大です。世界のアパレル市場は、2024年時点で約1兆7,496億ドルに達しており、さらに2032年には約2兆3,070億ドルまで拡大するという見方もあります(参考:Fortune Business Insights)。 

この市場の大きさは、単にビジネスとして大きいというだけではありません。市場が大きければ大きいほど、服を作って売って終わりでは済まず、環境負荷・労働環境・資源の使い方といった影響も、社会全体に比例して広がっていきます。だからこそ今、サステナブルファッションが「流行語」ではなく、SDGsの文脈で語られるようになってきたのです。

その前提には、以下の2つの動きが大きく関わっています。

コロナ後の回復で「供給網」と「在庫」の課題が再燃

まずは、新型コロナウイルス感染症の世界的な拡大です。このパンデミックは、実店舗の営業停止、サプライチェーンの混乱に留まらず、「外出」そのものの減少によって、人々の間で「新しい服は必要なのか?」という根源的な問いを生むことさえありました。しかし、新型コロナウイルス感染症の収束とともに、状況は大きく変化します。

矢野経済研究所の調査によれば、日本国内のアパレル市場は2024年時点で約8兆5,010億円にまで回復しています。名目の市場規模としては、コロナ禍前の2019年に記録した9兆円規模に近い水準まで戻ってきたといえます。もちろん、この回復には物価上昇の影響も含まれるため、「以前より需要が強い」と実質面まで一概に断定するのは難しいとはいえ、市場が回復局面に入ることで、供給網や在庫の歪みが再び表面化しやすい局面に入っています。

さらに、返品サービスの充実や、電子マネー・QR決済での決済対応、翌日・当日配送の実現などによって、自粛期間を機にECサイトでのショッピングが広く一般に普及しました。若年層以外の世代で「実物を見ないで買う」ことへの抵抗感が薄れたことは、新たな消費行動の潮流が顕在化したといえるでしょう。こうした、購入スタイルの多様化に加え、リベンジ消費の波が訪れたことで、「ファッションを楽しむ気持ち」が再び人々の心を動かし始めているのです。

ただし、ここで見落とせないのが、回復したからこそ露出した課題があるということです。需要が急に戻ったり、カテゴリごとに売れ方が変わったりすると、現場では「作る量・運ぶ量・売る量」の調整が一気に難しくなります。この、需要の小さな変動が発注のブレとしてサプライチェーン全体に増幅していく現象は“ブルウィップ効果(bullwhip effect)”として知られますが、このブレが何を生むのでしょうか?

分かりやすいのが在庫です。売れ筋を読み違えれば、値下げ競争が起き、返品や滞留在庫が増え、最終的に廃棄リスクも高まる。つまり、在庫問題は単なる経営課題ではなく、環境負荷(廃棄・輸送・資源ロス)にも直結する構造問題になり得ます。サステナブルファッションの文脈で「需要予測」「在庫最適化」「循環(回収・再流通)」がセットで語られるのは、こうした背景があるからなのです。

アジアの存在感が増すほど、調達・人権・環境の説明責任が重くなる

ここ数年で、アジアの存在感がファッション業界において急速に高まっているのも、見逃せない動きです。これまで長らく、世界のファッション業界の中心地であったのはパリやミラノ、ニューヨークといった欧米の大都市でした。ハイブランドが生まれ、ファッションウィークが開催されるこれらの土地は、流行の震源地としての役割を果たしてきましたが、近年、その構図に変化が生まれています。東京やソウル、上海といったアジアの都市が、グローバルファッションシーンにおいてますます存在感を強めているのです。

背景にあるのは、急激な経済成長とZ世代を中心とした若年層の文化的影響力の増大です。例えば、韓国のK-POPアイドルが世界中の若者たちに絶大な支持を集め、彼らが身にまとうスタイルがそのまま「トレンド」としてグローバルに拡散される現象は、もはや日常の一部となりました。また、日本のストリートファッションも、欧米のファッションメディアにたびたび取り上げられるなど、独自性が再評価されています。

このような動きに呼応するかのように、アジア発のブランドもようやくグローバル進出に成功しつつあります。ユニクロをはじめとするグローバルSPAブランドは、圧倒的なコストパフォーマンスを実現しながらも、機能性やブランディングなどで差別化を図る(「日本製」ではなく「ユニクロ製」のイメージ定着)ことで、単なる「製造拠点としてのアジア」から脱却し、「文化的な発信地としてのアジア」を確立し始めているのです。

そうなると、ここで重要になってくるのが、調達・人権・環境の説明責任です。コストパフォーマンスに優れるアジアのアパレルが存在感を強めれば強めるほど、世界は同時に「どこで、誰が、どんな条件で作っているのか?」にも目を向けるようになります。

かつては欧米の影響を受ける側だったアジアが、今では世界のファッション動向に影響を与える側へと立場を変えつつあるからこそ、次の章で扱う「環境負荷」「労働・人権」「化学物質」などの問題は、もはやヨーロッパの”意識高い系”企業だけの話ではなく、巨大産業として全アパレル企業が向き合わなければならない必須テーマになっているのです。

現代のファッション業界における問題点とは?

着実に市場を成長させつつあるファッション業界ですが、その華やかな表舞台の裏側には、前述のような環境・人権・健康といった深刻な課題が潜んでいます。消費者の私たちが目にするのは、最新トレンドを反映した洗練されたデザインや手頃な価格帯ですが、その背景にあるサプライチェーンや生産プロセスに目を向けると、持続可能性とは程遠い実態が浮かび上がってきます。ここでは、現代のファッション業界が直面している4つの主要な問題を見ていきましょう。

環境負荷

ファッション業界は、実は石油産業に次いで世界で2番目に環境に悪影響を与えている”汚染産業”ともいわれています。特に深刻なのが水資源の消費と化学物質による汚染です。コットン栽培では大量の水が必要で、1枚のTシャツを作るのに2,700リットル、ジーンズ1本で7,500リットルもの水を使うとされています。また、それらを染色・洗浄するとなると、多くの有害な化学薬品が使われ、その排水が河川や土壌を汚染しているという問題もあります。

出典:環境省_サステナブルファッション

こうした問題に対する目の前の対策としては、古着の流行や衣類リサイクルの推進といった再利用の動きがありますが、それでも「肌に直接触れるもの」という理由から、新品にこだわる消費者心理はいまだ根強く、再利用やリサイクルが他の製品に比べて進みにくい現状があります。

さらに、ファストファッション化の加速によって、1シーズンで使い捨てられる低品質な衣類が市場に大量供給されるようになりました。これは、徹底的なコスト削減で「安くて良い商品」を目指すものではなく、残念ながら、文字通り「安かろう悪かろう」の商品が溢れ、“1回着て捨てる”という、前時代的な消費行動が再び常態化しつつあります。このような過剰生産・過剰消費のサイクルは、限られた地球資源を著しく圧迫しています。

労働・人権問題

ファッション業界のもう一つの大きな問題は、サプライチェーンにおける労働環境の悪化です。コスト削減を目的として、多くの企業が生産拠点を人件費の安い国々に移していますが、その裏には経済活動の空洞化があり、自国の雇用機会の喪失にとどまらず、現地での低賃金・長時間労働といった劣悪な労働環境の蔓延を引き起こしています。これは、単なるビジネス上の課題ではなく、明確な倫理的問題です。

有名な実例としては、2013年のバングラデシュ「ラナ・プラザ」崩壊事故があります。適切な安全管理がなされていない中で操業を続け、1,100人以上の犠牲者を出したこの悲劇は、ファッション業界の倫理的責任を問う大きなきっかけとなりました。

さらに近年では、急成長する越境EC・ファストファッションの供給網でも、人権面の懸念が繰り返し取り上げられています。中国発の通販プラットフォーム「SHEIN(シーイン)」のサプライチェーンでは、児童労働が行われていたことを同社自身が認め、社会的な批判を浴びています。消費者が「安さ」ばかりを求める限り、このような構造的な問題は根本的に解決されないまま残り続ける可能性があります。

Shein reveals child labour cases as it steps up supplier audits | Reuters

ここで重要なのは「特定企業を叩く」ことではなく、“安さ”と“スピード”を突き詰めたとき、どこにしわ寄せが行きやすいのかを構造として理解することです。消費者が価格だけで選び続ける限り、透明性の低い工程に圧力がかかり、同様の問題が温存される可能性は残り続けます。

化学物質・安全性

さらに見逃せないのが、安全性の問題です。価格競争が激化する中で、製造コストを抑えるために低品質な素材や化学物質が使用されるケースが増えています。その結果、衣類に含まれる成分が人体に悪影響を及ぼす可能性が指摘されているのです。

実際、2024年2月には、ソウル市が中国系通販サイト「AliExpress(アリエクスプレス)」「TEMU(テム)」「SHEIN(シーイン)」で販売されていた子ども向け製品41点を検査したところ、10点から国内基準を超える有害物質が検出された、または物理的安全性に不適合と判定されたと発表しています。特に子どもが使う商品でこのような問題が発生したという事実は、消費者にとって大きな警鐘となりました。

「基準の157倍」中国・人気通販アプリの子ども服から有害物質…ソウル市が検出

「タダより高いものはない」とはよく言われますが、安価な衣類の裏にはこうした健康リスクが潜んでいることも事実です。環境や人権といった大きな問題に取り組んだとしても、製品そのものの安全性が損なわれていては意味がありません。だからこそ、企業には検査体制やトレーサビリティの整備が、消費者には“安さだけで決めない”視点が、これまで以上に必要になっているのです。

過剰生産・過剰廃棄

出典:Shutterstock

そして、環境・人権・安全性の土台にあるのが、そもそもの「作りすぎ」の問題です。トレンドの短サイクル化と値下げ前提の販売構造は、結果として過剰生産を生み、売れ残りや返品、そして廃棄につながりやすくなります。前章で触れた在庫の揺れ(需要変動→発注のブレ)も、この問題を加速させる要因です。

Ellen MacArthur Foundationが訴えているような、毎秒、トラック1台分の衣類が焼却・埋立されているという線形モデルの現実は、単に「もったいない」で済む話ではありません。資源・水・エネルギー・化学物質・輸送の負荷がすべて積み上がった結果が、不法投棄や温室効果ガスの排出という負のサイクルとなっており、社会全体としての損失はあまりにも大きいのです。

とはいえ、リサイクルやリユースに対する消費者意識にアプローチするだけで、この問題が解決するわけではありません。昨今の古着ブームによって、本来は廃棄されるはずの衣服に擬似的な「一点モノ」としての価値を見出す人は増え、また、多くのブランドが店頭で使用済み衣類の回収ボックスを設置するなど、消費者の行動変容自体は確かに起きています。しかし、こうした取り組みが資源循環の実効性につながっているとは言い難く、繊維廃棄物が新しい衣類用の繊維としてリサイクルされる割合は、現在も1%にも満たないのが実情です。

https://www.ellenmacarthurfoundation.org/a-new-textiles-economy

これには、私たちの衣類のほとんどが混合素材で作られていること(単一の素材ごとに分別しづらい)や、流行の変化があまりに早すぎること、技術的制約によってリサイクルよりも廃棄する方が安価であることなど、様々な要因があり、すぐに解決することは難しいのが現状です。だからこそ今、SDGsの観点では、「リサイクル」以外のアプローチが重要視されているのです。

サステナブルファッションに注目が集まる!

前述の環境・人権・健康といった課題が浮き彫りとなる中、これらの問題に正面から向き合おうとする動きが加速しています。とりわけ注目されているのが、「サステナブルファッション」という新たな価値観です。大量生産・大量消費を前提とした従来のファッションとは一線を画し、「人にも地球にもやさしい」持続可能なファッションのあり方が、いま改めて問われています。

サステナブルファッションとは?

サステナブルファッションとは、単に「環境にやさしい服づくり」を意味するのではなく、環境・社会・経済という3つの観点で持続可能性を実現しようとする、より包括的なアプローチです。素材選びから製造過程、流通、消費、廃棄に至るまで、ファッションのライフサイクル全体において「未来に責任を持つ」姿勢が求められます。例えば、オーガニックコットンや再生繊維の使用、染色工程での水や化学物質の削減、フェアトレードの認証を受けたサプライチェーンの採用など、そのアプローチは多岐にわたります。

出典:環境省_サステナブルファッション

このような概念は今や一部の企業や専門家だけの話ではなく、政府レベルでも推進されています。実際、環境省は2020年に「サステナブルファッション」専用の啓発ページを開設し、企業・消費者双方に対して持続可能なファッションのあり方を発信しています。その中では、衣類の製造と消費が環境に与える影響や、選択肢を変えることの意義が具体的に紹介されており、行政が率先してこの価値観を広めようとしている姿勢がうかがえます。

また、詳しくは後述しますが、EUにおいて売れ残りの衣類や靴の廃棄を禁止する法案が採択され、2026年以降に適用されることになっています。この法案では、過剰生産や使い捨てといった従来のビジネスモデルからの転換を促し、製品の長寿命化やリサイクルを促進することが求められており、ファッション業界全体に対し、より持続可能なビジネスモデルへの変革を強く求めるメッセージだといえるでしょう。

このような国際的な潮流と、日本国内における環境省の取り組みが示すように、サステナブルファッションは、企業が取り組むべき喫緊の課題であると同時に、もはや一部の意識の高い層だけのものではなく、国レベルで推進される社会的ムーブメントへと成長しつつあるのです。

サステナブルファッションがもたらすメリット

出典:Shutterstock

サステナブルファッションが注目される背景には、これまで見てきたような業界の深刻な課題を解決する手段としての可能性があるからです。言い換えれば、サステナブルな選択肢を広げていくことが、ファッション業界が抱える構造的な問題に対する“答え”のひとつになり得るのです。

例えば、環境負荷の高い染色工程を見直したり、廃棄される衣類を再利用・再資源化する仕組みを取り入れることで、資源の循環が促進されます。また、フェアトレードの導入や生産地とのパートナーシップ強化によって、劣悪な労働環境の是正にもつながります。さらに、規制のない有害物質の使用を避け、信頼性のある素材を使うことで、人体への影響を最小限に抑えることも可能になります。

こうした社会的なメリットに加えて、サステナブルファッションは企業と消費者の双方にとっても恩恵をもたらします。まず企業側にとっては、ブランド価値の向上が大きな利点です。環境意識や社会的責任を重視する新たな世代の台頭により、企業の取り組みに共感する理由が問われる時代になっています。事実、パタゴニアやステラ・マッカートニーなどのブランドでは、こうした価値観を全面に打ち出すことで、「エシカルかつハイエンド」なブランドイメージを確立し、強固なファン層を築いています。

消費者にとっても、サステナブルな衣類は安心感と満足感を提供する存在です。品質の高い素材や丁寧な縫製によって長く着られる服は、「1シーズン着て終わり」というような”イミ消費”・”トキ消費”としてのアパレル製品よりも結果としてコストパフォーマンスにも優れています。また、自らの選択が環境保護や社会課題の解決につながるという実感は、単なる買い物以上の価値をもたらします。たとえ少し高くとも、「この服は誰かの人生を搾取していない」と感じられることは、倫理的にも心理的にも大きな安心材料となるでしょう。

このように、サステナブルファッションは「解決策」であると同時に、新しい消費のスタンダードとして、企業活動とライフスタイルの両面で広がりを見せています。

サステナブルファッションの市場規模はどう伸びている?

実際に、サステナブルファッションの市場は着実に拡大しています。Fortune Business Insightsのレポートによれば、2024年時点での世界市場は約104億ドルとされ、2032年には約224億ドルに達すると予測されています。これは年平均成長率(CAGR)が10%を超えるという、業界全体でも高水準の成長を示しています。

この背景には、「安く・大量に・すぐに手に入る」ファストファッション全盛期の反動があります。大量生産・大量廃棄の構造に対する批判が強まり、環境や人権に配慮した商品を求める声が、消費者の間で確実に高まっているのです。

また、Z世代を中心とした若年層の価値観の変化も大きな要因です。「サステナブルであること」自体が、ブランドを選ぶ基準のひとつになりつつあります。実際、Deloitteの調査では、Z世代の約5割が「環境に配慮したブランドを積極的に選ぶ」と回答しており、こうした意識が市場の拡大を後押ししています。

日本国内でも、無印良品やユニクロなど大手ブランドがリサイクル素材や循環型サービスに力を入れるほか、スタートアップによる再生繊維特化ブランドやアップサイクル商品の開発も相次いでいます。加えて、「服を所有せずに利用する」ことを前提としたレンタルファッションや、定額で複数の服を楽しめるサブスクリプション型衣類サービスの普及は、まさにビジネスモデルの転換を象徴しています。

つまり、サステナブルファッションは単なる流行ではなく、環境問題と消費者の意識変化を起点に生まれた、新たな経済圏だといえます。企業にとっては、中長期的な成長を見据えた投資対象であり、消費者にとっては、自分の価値観を体現する選択肢の一つ。今後、サステナブルファッションは、より多様な業種や技術と結びつきながら、さらに大きな市場へと進化していくでしょう。

サステナブルファッションの代表事例

Patagonia

出典:Workship MAGAZINE

「パタゴニア」と聞くと、アウトドア好きの人なら高性能なジャケットやギアを思い浮かべるかもしれません。しかし、このブランドは、単に良い商品をつくる企業にとどまりません。ファッション業界の中で環境と本気で向き合ってきた、いわば異色の存在なのです。

その出発点は1972年、創業者のイヴォン・シュイナードが自然への深い愛情から「環境に配慮したモノづくりをしなければ」と気づいたところにありました。元々は自分たちが遊ぶための登山道具を売っていた彼ですが、自然を削ってクライミングを楽しんでいるという事実に衝撃を受け、自らのビジネスの在り方を根本から見直すことになります。例えば、1996年にはすべてのコットンをオーガニック農法で育てたものに切り替えます。ビジネス上のリスクが大きく、原材料の供給も不安定だった時代に、です。

短期的な利益よりも自分たちの信じる“正しさ”を貫いたこの選択は、さらに進化し続け、現在ではリサイクル素材の使用率が89%に達しており、2025年には100%を目指しています。また、回収した魚網から生まれた「ネットプラス」という素材も注目の存在です。2021年秋冬シーズンだけで104トンもの廃棄漁網が衣服に生まれ変わったとされています。

こうした素材開発に加えて、パタゴニアは家電メーカーのサムスンと連携し、洗濯時に排出されるマイクロプラスチックを減らす洗濯機の開発にも取り組んでいます。自社製品の域を超え、日常の暮らし全体にまで目を向けているという点で、アパレル企業としては異例の姿勢です。

出典:山と溪谷オンライン

さらにユニークなのが、「必要のないものは買わないでください」とメッセージを発信している点でしょう。実際に店舗では、スタッフが「本当に必要ですか?」と顧客に問いかけ、使い込んだアイテムの修理も積極的に行っています。この「Worn Wear」プロジェクトでは、移動式の修理トラックで大学やアウトドアフィールドを訪れ、無料修理を行うなど、単なるエコアクションにとどまらない、人とのつながりを大切にした取り組みも展開しています。

こうした企業の姿勢は、SDGsの中でも「つくる責任・つかう責任」や「海の豊かさを守ろう」といった目標としっかりリンクしています。しかも、その取り組みが押しつけがましくなく、むしろ「自然が好きだから」というシンプルな想いから自然に生まれているという点に、共感する人も多いのではないでしょうか。

実際、原宿のパタゴニア店舗には、リサイクル素材の水着を探しにやってくる若者たちが増えているといいます。環境への意識を言葉で語るだけでなく、それを自分の行動にきちんと落とし込む10代、20代の姿勢に、スタッフたちも感動することが多いそうです。

パタゴニアは今、サステナブルという言葉さえ超えて「レスポンシブル(責任ある)」という概念を軸に据えています。つまり、「持続可能であること」は前提であり、それ以上に「今、何が必要か」「未来のためにどうすべきか」を実行することに価値を置いているのです。どんな服を選ぶかは、自分がどんな社会を望むかを表明する行動にもつながる。パタゴニアの一連の挑戦は、私たちがもう一度、モノとの関係を見つめ直すきっかけを与えてくれています。

THE NORTH FACE

出典:LOUIS in Mulholland Drive

「善を行い自然を守る」──これは、アウトドアブランドTHE NORTH FACEがサステナブルファッションを語るうえで何よりも大切にしている考え方です。今でこそ「サステナブル」という言葉が一般にも浸透し、使い捨て文化を見直す動きが広がっていますが、同ブランドではそのはるか前からこの思想をものづくりに取り入れてきました。

こうした製品哲学をさらに具体化しているのが、日本国内におけるTHE NORTH FACEの展開を担う株式会社ゴールドウインが運営する「リペアセンター」の存在です。富山県小矢部市に位置するこの施設では、全国から送られてくる破損や機能損失のあるアイテムを、可能な限り元の姿に修復する取り組みが続けられています。

出典:Goldwin Online Store

リペア対象となるのは、ジャケットやパンツといった定番アイテムから、GORE-TEXファブリクス(防水透湿性素材)を使ったレインウェア、さらには長年使い込まれたダウンウェアなど実に多岐にわたります。ユーザーにとって思い入れのある一着を、たとえ古いモデルであっても、可能な範囲で当時の仕様に近づけながら修復する方針を掲げている点が特徴です。実際、修理依頼の内容にはシームテープ(縫い目からの水の侵入を防ぐテープ)の剥がれや小さな穴の補修といったものが多く含まれており、それら一つひとつに丁寧な対応がなされているそうです。

こうしたサービスがあると知ったとき、「もし自分のあのジャケットも直せるなら」と思いを巡らせた方もいるのではないでしょうか。実際、リペアをきっかけにファンになったという人も少なくありません。センター内には、お客様からの感謝の声や応援メッセージが掲示されており、それがスタッフのモチベーションにつながっているとか。大量生産・大量消費が当たり前だった時代に、こうして「直して使う」ことの価値を発信しつづける姿勢は、環境だけでなく人の気持ちにも確実に変化をもたらしています。

さらに、ザ・ノース・フェイスは修理だけでなく、そもそも壊れにくい、飽きのこないデザインにも力を入れています。つまり、流行に左右されず、長く愛されるアイテムを最初から生み出すという方向性です。これもまた、廃棄を減らすための重要な工夫だと感じますよね。そして、その延長線上には「GREEN IS GOOD」という包括的な環境保護プログラムがあり、リサイクル(GREENCYCLE)、環境配慮素材(GREENMATERIAL)、製品の長寿命化(GREENMIND)という三つの柱で包括的に取り組んでいるのです。

このように、THE NORTH FACEが提案するのは単なるエコ活動ではありません。自然と共生しながら、モノとの付き合い方そのものを見直すという、生活や価値観に根ざした姿勢です。ファッションが「消費」ではなく「関係性」へと変わっていく、そんな時代の流れを、このブランドは静かに、しかし力強く導いているように感じます。

「我が社とは縁のないこと‥」ではない!?国内アパレル企業が「サステナブル」を意識しなければいけない理由とは?

原宿のパタゴニア店舗の事例に見られるように、消費者の側では、素材や背景に着目して「長く使う」「納得して選ぶ」といったサステナブルな選択が、購買行動として現れ始めています。一方で企業の側では、サプライチェーン全体の可視化や情報整備、開示対応など“仕組みづくり”が必要になるため、欧州で進む制度化を自社の優先課題として捉えきれていないケースもあります。ですが、その認識はリスクになり得ます。

なぜなら、欧州ではすでに「ESPR(持続可能な製品のためのエコデザイン規則)」という具体的な法的枠組みが施行されており、EU域内でビジネスを行う以上、全世界の企業が避けては通れない強制力を持ったルールへと進展しているからです。

ここからは、このESPRの核心となる内容と、それに付随して私たちが直面することになる重大な観点を詳しく見ていきましょう。

エコデザイン規則(ESPR)とは?

エコデザイン規則(ESPR)は一言でいうと、「EU市場に置かれる製品を、より長く使えて、直しやすく、循環しやすい設計へ寄せていくための共通ルール」です。EUが製品ごと(製品群ごと)に、耐久性・修理可能性・再生材含有・環境フットプリント等に関する枠組みを定め、具体的な要件は製品群ごとの委任法令(delegated acts)で順次決まっていく仕組みです。

EUには以前から、主にエネルギー関連製品を対象としたエコデザイン指令(Directive 2009/125/EC)が存在しましたが、指令(Directive)はEU法の性質上、加盟国が国内法に置き換える(トランスポーズする)ことで初めて各国で適用されるルールです。これに対して規則(Regulation)は、発効後、国内法への置き換えを待たずに加盟国で原則そのまま直接適用されるため、より強制力を持ったルールとも言えます。 

加えてESPRは、旧指令の対象範囲がエネルギー関連製品中心だったのに対し、ほぼすべての物理的製品へ対象を広げ、食品・飼料・医薬品など一部の例外を除いて広くカバーし得る、と整理されています。実際、欧州委員会はESPRとエネルギーラベル規則の2025-2030 作業計画(Working Plan)を採択しており、その中で優先製品群として繊維(衣料)も明確に位置づけられています

つまり、日本企業がEUで直販していなくても、(1)EUに輸出している、(2)EUで販売するブランドのサプライヤーである、(3)越境ECでEUから買われる可能性がある——このどれかに当てはまるだけで、強制的に情報提出や設計要件対応を求められる可能性があるのです。

とはいえ、アパレル企業がこうした法律の細目を丸々キャッチアップすることはかなり難しいです。そこで、今回は特に重要となってくる2つのテーマに絞って解説します。これらは、テキスタイルを扱う業者がESPRに対応するうえでは避けては通れないものなので、最低限押さえておきましょう!

DPP(Digital Product Passport:デジタル製品パスポート)

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ESPRの中でも、アパレル企業の実務に直撃しやすいのがDPP(Digital Product Passport:デジタル製品パスポート)です。ざっくり言えばDPPは、「その製品が、何でできていて、どこで作られ、どう扱えば長く使え、最後にどう循環させられるか」といった情報を、サプライチェーンや当局、場合によっては消費者が参照できる形で持たせる仕組みです。

ESPRではDPPについて、すでに“骨格”が規則本文に書かれています。例えば、DPPはQR等のデータキャリアを介して、永続的なユニーク製品IDに紐づくこと、そしてそのキャリアは製品・包装・同梱書類のいずれかに物理的に付与されることが定められています。

さらに、データはオープン標準で、機械可読・検索可能・移転可能であること、アクセス権が設計されること、また倒産などが起きても所定期間アクセスできるようバックアップを用意することなど、運用面まで踏み込んでいます。

「うちは法対応が必要になったら考える」だと危険なのは、DPPが単なる表示追加ではなく、商品マスター/原材料情報/工場情報/ロット情報/検査情報など、社内外データを“つなぎ直す”プロジェクトになりやすいからです。しかも規則文中では、トレーサビリティのためにDPPがユニーク製品IDに紐づくことが重視され、当局や税関も存在確認に関与し得る設計が示されています。

したがって、実際に対応が必要となった際に、システムを導入して完結する話ではなく、「社内のデータ設計」と「サプライヤーを含む運用設計」を先に作っておかないと”詰みやすい”領域だと捉えるのが現実的です。

これと同様の現象は、他業界でも起きています。EUはすでに、ESPRと同じ思想、つまりライフサイクル全体の透明性と循環設計を、特定の分野で制度化しています。その代表例が、EU電池規則(Regulation (EU) 2023/1542)です。

この電池規則には、バッテリー版DPPとも言うべき「バッテリーパスポート(battery passport)」が条文として組み込まれており、QRコードとユニークIDに紐づけてアクセスさせること、情報はオープン標準で相互運用可能・機械可読・検索可能であること、アクセス権限設計が必要であることなど、かなり具体的に書かれています。 

日本の自動車業界では、バッテリーの材料であるリチウムやコバルトの採掘現場で人権侵害がないか、カーボンフットプリントが基準値以下か、といったデータを「川上(鉱山)」から「川下(リサイクル)」までつなぐ際に、日本特有のサプライチェーンは多層で複雑な構造がボトルネックとなって欧州基準のデータ入力を徹底させるのに苦戦している現状があります。

実際に、そうした悩みを持ったカーOEMやバッテリー関連企業から当社に相談が寄せられることも多いため、欧州の枠組みであるESPRを“遠い話”と捉えずにサプライチェーンのどこまでを自社で把握できているか(素材・染色・縫製・付属・物流・返品・回収)を確認する等、できる範囲からでも着実にアクションを起こしていくことが求められるのです。

なお、バッテリーパスポートについては下記の記事で詳しく紹介しています。

売れ残り衣類の廃棄禁止

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そして、もう一つ見逃せないのが売れ残り(unsold)の破壊(destruction)に関する規定です。ESPRではまず、企業に対して「破壊の必要が生まれないように合理的に期待できる措置を取る」という一般原則を置いた上で情報開示(disclosure)と破壊禁止(prohibition)について、以下のように整備しています。

※ただし、マイクロ企業・小企業は適用除外で、中企業は2030年7月19日から適用と明記されています。また、開示の詳細(様式、例外など)は実施法令(implementing acts)および委任法令(delegation acts)で定める予定とされています。

情報開示(Article 24)

売れ残り製品を自社で廃棄(破壊)する、または第三者に廃棄させる事業者は、少なくとも以下を年次で、かつ「Webサイトの分かりやすいページに、見つけやすい形で(もしくはCSRD等のサステナビリティ報告に含めて)」開示する義務がある。

・年間の廃棄数・重量(製品タイプ/カテゴリ別)
・廃棄理由(該当する場合は、後述の例外=derogationの根拠も)
・どの処理に回したかの内訳(再使用準備、リサイクル、回収〔エネルギー回収含む〕、最終処分など)
・破壊を防ぐために取った/取る予定の措置 

破壊禁止(Article 25)

附属書VIIに列挙された「売れ残り消費者製品」の破壊を禁止する。附属書VIIには、アパレルに直結する 「衣類・衣類付属品(ニット/非ニット等)」および「靴」が、関税分類コードとともに掲載されている。

これは一見、DPPと比べると企業が対応しやすいアクションにも映ります。しかし、現実は逆で、企業は“廃棄”という「安くて・簡単な」処理方法を失うことを意味します。すると、再販(アウトレット/越境/二次流通)、寄付、素材リサイクル等といった追加で費用が発生しうる面倒なアプローチでしか、こうした在庫を処分することはできないのです。

また、国内企業にとって、この「売れ残り破壊禁止」が効いてくるのは、EU向けに出している場合だけではありません。EUで販売する取引先ブランドがこのルールに縛られると、サプライヤー側にも当然、売れ残りを出さない生産設計や、出た場合の再販・寄付・回収・リユースの設計を求める圧力がかかります。したがって、関係ないと高を括っていると、大企業側からの通知書1枚で一社のビジネスモデルが潰されてしまうリスクもあるのです。

じゃあ国内アパレル企業は何から始めればいい?ESPR/DPP対応の「最初の一歩」

ここまで読んで、「EUのルールが強いのは分かった。でも、具体的に何から手を付ければいいの?」と感じた方も多いと思います。結論から言うと、ESPRやDPP対応はラベルを足せば済む話ではなく、サプライチェーンと在庫の設計を、情報と運用の両面から立て直さなければなりません。 だからこそ、いきなり大規模システムの話に飛ばず、まずは次の順番で「準備の地ならし」をしておくのが現実的です。

1)「どの取引がEU要請に触れうるか」を棚卸しする

最初にやるべきは、法文を読むことではなく、商流の棚卸しです。アパレルでよくある“EU接点”は、だいたいこの3つに集約されます。

・EUに輸出している(直販/卸/現地代理店経由)
・EUで売るブランドのサプライヤー(OEM・ODM・生地供給・付属供給を含む)
・越境ECでEUから買われうる(英語サイト、海外配送、マーケットプレイス)

ここで、売上上位だけを見て安心してはいけません。実際は、小口でもEU向けが混ざっている、あるいは取引先の取引先がEU販売というケースが多いです。

例:国内商社向けの納品だと思っていたら、最終的に欧州の百貨店に並んでいた
例:コラボ商品だけEU販路に乗る(普段は国内だけ)

成果物としては以下のようなものが考えられます。

「EU接点のある取引」リスト(ブランド/商社/国/チャネル/商品群)
「EU要請が来たら影響が大きい順」の優先順位(売上ではなく、SKU数とサプライチェーン複雑度で)

2)「今ある商品・素材・工場データで、何が欠けているか」を把握する

次にやるのは、DPPの全要件を揃えることではなく、「今すぐ出せる情報」と「出せない情報」の境界線を引くことです。当社に寄せられる相談でも、現場で詰まりやすいのはここです。

・混合素材の内訳が曖昧(例:表地は分かるが、芯地・裏地・糸・プリントが不明)
・同じ品番でも仕様が季節で微妙に違う(混率・染色・加工の変更が“口頭”で済んでいる)
・工場名は分かるが、工程の外注先が追えない(縫製→洗い→プリント→仕上げが分断)
・検査データはあるが、どのロットに紐づくか曖昧(“月次の検査報告PDF”で止まる)

成果物としては以下のようなものが考えられます。

「工程情報(染色・整理加工・縫製など)」がどこまで追えるかのギャップ表
「まず揃えるべき最小セット」の定義(例:素材内訳/主要工程拠点/ケア情報/修理可否)

3)「SKU/ロット/個体」どこで紐づけるか、というID設計だけ先に決める

情報を整理して一安心、と思うのはまだ早計です。アパレル業界のDPP導入で隠れた諸壁となるのは、「QRを付けるか」ではなく、どの粒度を同一として扱うかです。「同じ品番なのに、途中でボタンの仕入先が変わった」「同じ黒でも、染色工場が違う」といったイレギュラーなケースを想定して自社が責任を持てる粒度でIDの基準を決めておくと、後工程がうまく整合できます。

・SKU:色×サイズまで同じなら同一、という考え方
・ロット:同じSKUでも、製造ロットが違うと工程・原料が違う
・個体:一着一着を別IDにする(リユースや修理履歴まで載せたい場合に出てくる)

成果物としては以下のようなものが考えられます。

「同一商品の定義」(SKU同一/ロット分岐の条件/例外ルール)
既存の品番体系(スタイルコード等)と、将来のユニークIDの“橋渡し”方針

4)「売れ残りの出口(再販・寄付・回収)」を用意する

最後は、“禁止される前に出口を作っておく”ことです。ここはサステナ文脈というより、在庫リスクの設計そのものと言えるかもしれません。アパレルで現実的な出口は複数ありますが、重要なのは「出口を用意する」以上に、出口ごとの意思決定ルールです。

・いつからアウトレットに回す?
・返品品は再販?補修?素材回収?
・寄付の条件に合う在庫だけ先に抜く?
・回収の責任者は誰?

とはいえ、ここは法規制の対象となるような大企業であれば、すでに取り組んでいるケースも少なくありません。担当部署とうまく連携し、以下について把握できそうかを社内で調査することも忘れないようにしましょう。

売れ残り区分(新品・返品・B品・サンプル・シーズン落ち等)ごとの出口と責任部署
開示に耐える証跡(数量・重量・理由・行き先)

まとめ:より具体的に進めたい場合は、当社にご相談ください

本記事では、サステナブルファッションについて解説しました。

SNSやインフルエンサーの影響力、Eコマースの拡大などを背景に、ファッション業界は今後もさらなる成長を続けることは間違いないことですが、このような巨大な産業であるがゆえに、社会や環境に及ぼす影響もまた非常に大きく、ファッション業界は単に業績を回復するだけでなく、「これからの10年で何を優先すべきか」を再定義するフェーズに突入しているのではないでしょうか。

とはいえ現場では、

・サプライヤーにどこまで情報提出を求めるべきか
・どの粒度でIDを持つのが妥当か(SKU/ロット/個体)
・売れ残りの“出口”をどう設計すれば、コストが爆発しないか
・既存の基幹/PLM/品質データをどうつなぎ直すべきか

といった“各社固有の悩み”にぶつかります。

トレードログ株式会社では、DPPを前提にしたデータ設計や、サプライチェーンの情報整備、回収・再流通まで含めた運用設計の整理をご支援しています。「うちの場合、どこがボトルネックになりそうか」だけでも構いませんので、具体的な検討に入る前段階でもお気軽にお問い合わせください。

「Tohoku RICE TOKEN」SEASON 2 始動を記念したオフラインイベントに参加いたしました。

2025年12月9日(火)にWeWork 丸の内北口にて行われた、「Tohoku RICE TOKEN」SEASON 2 始動記念イベントに代表の藤田とメンバーの青木が参加いたしました。

▼イベントの様子はこちら▼

メンバー青木によるミニセミナー

RICE TOKEN米を賭けたミニゲーム大会

皆さん、ミニゲームを楽しみながら体験されていました!

貴重な開発の裏側も…

とてもタメになる&楽しいイベントでした!

講演事例 学校法人ISI学園 東京ビジネス外語カレッジ(TBL)様

デジタル・ビジネスコース コース長 居山 由彦 様

当社の第一印象はどのようなものでしたか?

地球レベルの非常にむづかしい問題に対し、科学的、論理的にアドレスしている勇敢なスタートアップ企業と感じました。

実施前、貴校の学生の皆様の環境問題への関心はいかがでしたか?

当校では毎週1コマ「地球のアジェンダ」という授業があります。こちらでは、地球環境問題、SDGsに関わる社会課題を勉強し、これらの課題をどうやって解決していけるかの研究と議論をしています。したがって、環境問題への関心度は高いものがあると認識しています。

講演の実施後、貴校の学生の皆様の反応はいかがでしたか?

CO2排出量の測定を具体的にどうやって行うかを体感できたことで地球温暖化対策をごく身近な自分ごととしてとらえられるようになりました。そして、CO2排出量を測定すること、この「見える化」がいかに大切な一歩かを理解したようです。

弊社の講義内容で良かった点はどのような点になりますか?

地球温暖化の原因やそれが進行している現実、背景も含め、トレードログ社の取り組みの歴史的、国際的、社会的価値がよくわかる説明に時間を割いていただいた点。貴社の取り組みがいかに重要な意味を持つか学生たちもよくわかりました。

弊社への今後の期待、要望があれば伺えますか?

これからの日本の産業界、そしてやがては世界の市場で地球温暖化阻止のための社会インフラのひとつとして、さらなる貢献をされることを期待しております。また、そんな中で今後とも当校へのご協力も引き続きよろしくお願いいたします。

私たちはお客様のビジョンを共有し、革新的な解決策を提供することで、
ビジネスの成長を後押しします。ぜひトレードログにお任せください。

講演事例 専修大学 経営学部様

潜道 隆 様

当社の第一印象は?

2019年にトレードログ様から会社設立のご案内を頂いたのが初めだと思います。
ご案内を頂いた経緯はよく覚えていないのですが、ブロックチェーン中心でベンチャーをスタートするということで、大変興味を持ちコンタクトし、池袋のオフィスに訪問させていただきました。まだ新しい分野に意欲とビジョンを持って挑戦しているという印象を受けました。

ブロックチェーン講義を当社にご依頼いただいた背景やきっかけは、どのようなものでしたか?

専修大学の経営学部で「技術と経営システム」という科目を担当しています。元々、技術系であったこともあり、最新の技術分野に興味もあり、自分で勉強してブロックチェーンも教える対象にしていました。概念や一般論はわかるのですが、具体的な事例がどのように実際に世の中で進んでいるか、十分な話をすることができないと悩んでいたところに、トレードログ様と出会いました。相談したところ、トレードログ様も学生に話すことにご興味があるということで、1回分を担当していただくことになりました。

ブロックチェーン講義後、生徒の反応はいかがでしたか?

大変好評でした。豊富な実例を含めた丁寧な説明で、理解が難しいブロックチェーンについて、よりイメージが掴めたという意見が多かったです。ブロックチェーンについては、私自身も授業に1回を当てて概念を説明しているのですが、それだけでは理解しにくかったことが、興味深い実例を含めお話いただき納得ができたようです。DAO(分散自律経営)については授業では深く触れることができなかったのですが、経営学部の学生としては、考えるきっかけとなったようです。また、新しい技術分野でベンチャーとして挑戦しているということも、学生には強い印象を与えていました。

当社の講義内容で良かった点はどのような点になりますか?

とても工夫をしたプレゼンテーションであった点が素晴らしかったです。データ利用やクラウドとの関係から、ブロックチェーンを捉えていただいた点も参考になりました。豊富なユースケースは、学生の理解を進めることができたとともに、実業の分野での緊迫感も伝わってきました。また、「事実確認をめぐって双⽅が緊張関係にある」というキーワードを使っていただいた点は、ブロックチェーンの可能性をうまく表現していただいたと思います。

当社への今後の期待、要望を教えてください。

今後も機会がありましたら、実務を通して、ブロックチェーンの応用の現状を、学生とシェアしていただければと思います。トレードログ様の今後の益々の成功をお祈りします。

私たちはお客様のビジョンを共有し、革新的な解決策を提供することで、
ビジネスの成長を後押しします。ぜひトレードログにお任せください。

講演事例 東京経済大学 経営学部

画像出典: 東京経済大学公式サイト(インタビュイー:河原 達也 様)

当社の第一印象はどのようなものでしたか?

藤田社長とは以前から知り合いだったのですが、「非金融領域のブロックチェーンの会社を設立する」と伺ったときは、正直あまり具体的なイメージが沸きませんでした。その後、私の専門である広告、マーケティング領域でもサービスを提供していると伺い、大変興味を持ちました。

ブロックチェーン講義を当社にご依頼いただいた背景やきっかけは、どのようなものでしたか?

今回は「広告論」の講義の一コマでご講演いただきました。近年、広告を取り巻く環境は大きく変化しており、様々なプレイヤーがその技術力を武器に次々と参入しています。そのような状況の中、ブロックチェーンが広告の実務にどのような変化を与え得るのかを知りたいと思い、ご講演を依頼させていただきました。学生には、普段の講義では伝えることが難しい「広告実務の進化」に触れてもらうことで、広告の世界により興味を持って欲しいと思いました。

ブロックチェーン講義後、学生の反応はいかがでしたか?

受講後の所感を提出してもらいましたが、各学生の記入文字数が多くて驚きました(笑)原稿用紙3~4枚分の文字数を記入した学生もいました。多くの学生は大変熱心に講義を聴講させていただいたようです。具体的には、以下のような反応がありました。

  • ブロックチェーン技術の応用に大きな可能性を感じた
  • ブロックチェーン技術がどのようなものか、具体的に理解することができた
  • ブロックチェーン技術を利用したBraveブラウザのインターネット広告のお話が興味深かった
  • 自分の知識が世の中からあまりに遅れていて、社会に出るのが怖くなった
  • 藤田社長のこれまでのキャリアとキャリアのアドバイスに共感した
  • プレゼンテーションの仕方が非常に参考になった

当社の講義内容で良かった点はどのような点になりますか?

プレゼンテーションの冒頭で、藤田社長のこれまでのキャリアの紹介とキャリアのアドバイスがあったのは良かったですね。ブロックチェーンついては、技術の仕組みとその応用についてバランスよく解説してくださいました。学生の理解が進んだとともに、様々な技術を理解して応用することの重要性も感じてくれたのではないかと思います。私自身も大変勉強になりました。

当社への今後の期待、要望を教えてください。

新しい技術の実務適用には多くの困難が伴うと想像しますが、今後も広告・マーケティングの業務革新をリードしていただきたいと思います。そして、そのプロセスと成果をシェアしていただけると幸甚です。

私たちはお客様のビジョンを共有し、革新的な解決策を提供することで、
ビジネスの成長を後押しします。ぜひトレードログにお任せください。

講演事例 一般社団法人 日本ブロックチェーン協会(JBA)様

当社の第一印象はどのようなものでしたか?

DPP(デジタルプロダクトパスポート)について調べていたところ、貴社の記事にたどり着きました。記事ではDPPの解説からはじまり、メリット・デメリットや実際の導入事例、普及することによって社会がどのように変わっていくか等、短い時間で網羅的に把握することができました。勉強のため他の記事も拝見しましたが、有益な記事が多く、幅広い分野に知見を持たれている印象を受けました。

ご依頼いただく前に、貴会でのDPPに関してどのような話題が上がっていましたか?

製品のトレーサビリティに関する議論が欧州を中心に広がり、環境に配慮した製造工程を持たない製品の輸入を控える動きが見られている中で、ブロックチェーン活用の可能性が話題となっていました。最近、耳にするDPPの目的や利点について理解を深め、世界中でどのように普及しているか、国際的な動向やビジネスにおける利点についても把握したいと考えておりました。

ウェビナーの実施後、受講者様の反応はいかがでしたか?

具体的な事例や実践的な内容を交えてのご講演が受講者にとって大変有益な機会となりました。専門的かつ実用的な知見を提供していただいたことに対し、感謝の声が多く寄せられております。自社の事業を推進する上でのヒントを得ることができたようで、参加者に満足いただくことができ、主催者としても嬉しく思います。

当社の講義内容で良かった点はどのような点になりますか?

DPPが必要となる背景・歴史の流れから大変丁寧にご説明いただいたので、必要性を多面的に理解することができました。導入が進まない理由なども、ご経験に裏打ちされた説得力のある内容でした。テーマであるDPPはもちろん、ブロックチェーンビジネスの実情についても率直に語っていただき、大変参考になりました。

当社への今後の期待、要望があれば伺えますか?

ブロックチェーンと聞くと金融領域を想起する方が多いですが、非金融領域においても実体経済に大きな影響を与える可能性があるという認識を広めることが重要です。産業用途向けのブロックチェーン技術の応用を推進いただき、社会に役立つ形での活用事例が増えていくことを期待しております。

私たちはお客様のビジョンを共有し、革新的な解決策を提供することで、
ビジネスの成長を後押しします。ぜひトレードログにお任せください。

講演事例 一般社団法人ブロックチェーン推進協会(BCCC)様

画面左側 BCCC 理事 兼 ID・トレーサビリティ部会長(株式会社電通グループ 電通イノベーションイニシアティブ(DII)プロデューサー) 鈴木 淳一 様、 画面右側 BCCC 奥 達男 様

当社の第一印象はどのようなものでしたか?

非金融領域に特化されて事業を展開されている点や、数多くの事例を公表されている点など、現状、ブロックチェーン技術の企業の採用が急速に進んでいる状況もあり、そのど真ん中で事業を推進している貴社とは、一度お話を伺ってみたいと思っていた存在でした。

ご依頼いただく前に、ID・トレーサビリティ部会でもDPPに関する話題は上がっていましたか?

キーワードとしては頻繁に挙がっておりましたし、ブロックチェーン技術の観点で無視できない内容でしたが、今回ご登壇いただいたように、DPPにフォーカスを当てたセミナーを行っておりませんでした。この度、ブロックチェーン推進協会にとてもフィットしたセミナー内容をご提供いただきまして、ありがとうございました。

ウェビナーの実施後、受講者様の反応はいかがでしたか?

大変好評でした。特に、必ずしもブロックチェーンという技術を利用する必要がないということに言及されている部分や、ブロックチェーンという技術を利用したトレーサビリティを進めていく上での現場の状況や声を共有していただいた部分に反響がありました。

当社の講義内容で良かった点はどのような点になりますか?

複数の規格化団体がいる状況、現在進められている具体的なトレーサビリティの事例、トレーサビリティに関連して求められている内容の世界情勢、ブロックチェーン活用におけるポイントなど、詳らかに内容をお話いただいた点がとても良かったです。そして、藤田さんの語り口と伴うお話されている内容もとても良いと感じました。

当社への今後の期待、要望があれば伺えますか?

トレーサビリティはブロックチェーン技術にとって、相性の良いユースケースの1つです。ブロックチェーン技術を活用したトレーサビリティは、物などの追跡に留まらず、新しいエコノミーへの発展に寄与できる技術であると考えておりますので、今後の貴社のご活躍を期待しております。新しい事例などの情報発信ございましたら、またご登壇をよろしくお願いいたします。

私たちはお客様のビジョンを共有し、革新的な解決策を提供することで、
ビジネスの成長を後押しします。ぜひトレードログにお任せください。

導入事例 八千代エンジニヤリング株式会社様

当社の第一印象は?

2018年にハンズオンセミナーを通じて知りましたが、社会課題への深い理解と高度な技術支援を両立できている稀有な会社だと感じました。当時もブロックチェーンに関するセミナーは多くあり、色々なセミナーに参加していました。しかし、そのほとんどは概念説明やビジネスケースの紹介ばかりだったり、技術に偏ったものばかりでした。

「こんなことをやりたい」というコンセプトは既に持っており、実際の中身・プログラムの動きを見ながら適用を具体的に考えていたので、当時ほぼ皆無だったハンズオンのセミナーはとてもありがたかったです。当日はPCの環境設定がうまくできなかったものの、中村さんに親身に後日対応もお付き合いいただきました。実はこれがトレードログさんを選ぶポイントになりました。

他社ではなく当社を選んだ理由は?

弊社の取り組む社会課題解決に適用させていくには、深い課題理解とカスタマイズがどうしても必要です。スピード感をもってこちらのアイデアを形にできるように、課題を具体的に理解しながら親身になってコンサルしてもらえる点、大手ベンダーと違って気軽に相談可能な点が決め手となりました。

また、弊社研究所は「Civil Engineering 2.0」を標榜しており、新たなフィールドへのチャレンジを使命としております。そのため、自分たちと同じく社会課題解決に向けてチャレンジ精神を持って取り組む姿に強い好感を持ちました。

当社プロダクトをどのように利用していますか?

新たなフィールド展開のためのデモンストレーションに使っています。たとえば、トレードログさんの「YUBIKIRI」を使って「Smart Dam」構想におけるデータ共有の複合サービスの具体化に向けて少しずつ取り組んでおります。お互い専門外のため見せ方や構成イメージが合わないこともありますが、どうにか意識を共有しようとしていただき、毎度助かっています。

新たな社会課題解決の方法にブロックチェーン技術が活用されるように、ぜひシナジー効果を発揮していきたいですね。

私たちはお客様のビジョンを共有し、革新的な解決策を提供することで、
ビジネスの成長を後押しします。ぜひトレードログにお任せください。

導入事例 ブリヂストンソフトウェア株式会社様

当社の第一印象は?

代表取締役の藤田氏を中心に、社内外の様々な技術者・研究者の方とのコネクションで成立している組織だと感じました。弊社では手探りの状態からブロックチェーンの研究に着手していたので、幅広い分野の人脈とチームを組んでいただける可能性を感じました

他社ではなく当社を選んだ理由は?

ブロックチェーンに関して、PoCの経験がある・研究会を主催したことがあるといったベンダー候補はトレードログ以外にも存在しましたが、専門性に注目しました。トレードログは「ブロックチェーン専門に特化したコンサルティングサービス」を提供している点が魅力的でした。

当社のサービスの良かった点は?

まず、予算や人員に合わせてコンパクトにプロジェクトを進められる点です。スケジュールも弊社の事情に応じて設定いただき、とても感謝しております。次に自分たちの学習・開発の進度に合わせて対応いただける点です。特に初期、ブロックチェーン技術の詳細について学習に行き詰まった際に、噛み砕いた説明をいただけたことが大きな助けとなりました。また、急遽短納期の案件で「ブロックチェーンの機能を組み込みたい」といった要望があった際、迅速に体制を整えて弊社の開発チームにご助言、ご助力をいただきました。ブロックチェーンに特化した開発人員を急遽調達できる専門性と、予定外の要望にも柔軟に応えていただけるホスピタリティが強く印象に残りました。

ブロックチェーンは今後規模の大きな開発が必要になってくる可能性が十分にある技術です。トレードログは株式会社リッカ様による協力関係のもと、さらにブロックチェーン事業部門を拡充し、コンサルティングと開発の体制を大きく強化していくと伺っております。ブロックチェーンにおける新しい取り組みを弊社が試みていくにあたり、引き続きご協力願いたく思っております。

私たちはお客様のビジョンを共有し、革新的な解決策を提供することで、
ビジネスの成長を後押しします。ぜひトレードログにお任せください。