ブロックチェーンに隠れた3つの課題とは?

DXの有望技術として期待されるブロックチェーン。分散型台帳とも呼ばれるこの技術が普及するためには克服すべき3つの課題「スケーラビリティ」「ファイナリティ」「セキュリティ」があります。

本記事では、これら3つの課題の概要と解決策を解説します。

    ブロックチェーンのおさらい

    ブロックチェーンの課題について解説する前に、まずはブロックチェーンとはそもそもどのような技術であるのかについて簡単におさらいしていきましょう。

    ブロックチェーン=管理者不要でデータを安全に記録・共有する技術

    出典:shutterstock

    ブロックチェーンは、サトシ・ナカモトと名乗る人物が2008年に発表した暗号資産「ビットコイン」の中核技術として誕生しました。取引データを暗号技術によってブロックという単位にまとめ、それらを鎖のようにつなげることで正確な取引履歴を維持しようとする技術です。

    ブロックチェーンはデータベースの一種ですが、そのデータ管理方法は従来のデータベースとは大きく異なります。従来の中央集権的なデータベースでは、全てのデータが中央のサーバーに保存されるため、サーバー障害やハッキングに弱いという課題がありました。一方、ブロックチェーンは各ノード(ネットワークに参加するデバイスやコンピュータ)がデータのコピーを持ち、分散して保存します。そのため、サーバー障害が起こりにくく、ハッキングにも強いシステムといえます。

    また、ブロックチェーンでは、ハッシュ値と呼ばれる関数によっても高いセキュリティ性能を実現しています。ハッシュ値とは、あるデータをハッシュ関数というアルゴリズムによって変換された不規則な文字列のことで、データが少しでも変わると全く異なるハッシュ値が生成されます。新しいブロックを生成する際には必ず前のブロックのハッシュ値が記録されるため、誰かが改ざんを試みると、それ以降のブロックのハッシュ値を全て再計算する必要があり、改ざんが非常に困難な仕組みとなっています。

    さらに、ブロックチェーンでは、マイニングという作業を通じて、取引情報のチェックと承認を行う仕組み(コンセンサスアルゴリズム)を持っています。マイニングとは、コンピュータを使ってハッシュ関数にランダムな値を代入する計算を繰り返し、ある特定の条件を満たす正しい値(ナンス)を見つけ出す作業のことで、最初にマイニングに成功した人に新しいブロックを追加する権利が与えられます。

    このように、ブロックチェーンは分散管理、ハッシュ値、マイニングなどの技術を組み合わせることで、データの改ざんや消失に対する高い耐性を持ち、管理者不在でもデータが共有できる仕組みを実現しています。

    詳しくは以下の記事でも解説しています。

    高まるブロックチェーン市場への期待

    ブロックチェーンは、「AI」「IoT」と並んで、DX(デジタルトランスフォーメーション)分野で期待されている有望技術の一つです。DXとは、「情報テクノロジーの力を用いて既存産業の仕組みや構造を変革すること、あるいはその手段」のことで、産業全体のバリューチェーンやサプライチェーンにおけるイノベーションから開発企業におけるエンジニアの就労環境改善や、社内コミュニケーションツールの変更といった自社の変革まで大小問わずにビジネス全体を変革する可能性を秘めています。

    元々はFintech(フィンテック、金融領域におけるDX)の一分野である仮想通貨の実現を可能にした一要素技術、つまりビットコインを支えるだけの存在に過ぎなかったブロックチェーンですが、近年、データの透明性や耐障害性、分散的な組織構造などが注目され、あらゆる既存産業・ビジネスで応用できる可能性を秘めた技術であることが明らかになってきました

    海外では行政や地域福祉レベルでもブロックチェーンが実用化されるケースがあり、国内でも大手企業を中心に、実証実験や一部サービスへの導入が始まっています。欧州での規制や度重なる企業の不祥事などにより、データの正確性や業務の自動化が求められる今後のビジネスでは、ブロックチェーンの需要はさらに拡大していくことでしょう。

    そんなブロックチェーンも万能薬ではない!?

    上述のように、ブロックチェーンは様々な社会課題を解決する可能性を秘めた素晴らしい技術です。しかし、その割には私達が普段触れているサービスに適用されている事例は多くはなく、社会へ浸透しているとはいえない状況です。

    これは一体なぜなのでしょうか。もちろん既存のデータベースから乗り換えるだけのメリットを感じない、新たなシステムを導入するだけの資金がないといったビジネス的な理由もあるでしょう。

    しかし、それ以前にブロックチェーンには技術的な課題が大きく分けて三つ存在します。いずれの課題も単純に対策をすれば良いというものではなく、メリットと引き換えに生じているものもあるため、その理由や背景を知ることはブロックチェーンを語る上で欠かせないでしょう。

    ここからはそれぞれの課題について、概要と解決策を紹介していきます。

    ブロックチェーンの課題①:スケーラビリティ

    point of sale scalability
    出典:National Computer Corp

    課題の概要

    ブロックチェーンの課題の一つ目は、「スケーラビリティ」です。スケーラビリティとは、「トランザクションの処理量の拡張性」つまり、どれだけ多くの取引記録を同時に処理できるかの限界値のことを指します。

    ブロックチェーンは、従来のデータベースよりもスケーラビリティが低くならざるを得ないという課題を抱えています。これはビットコインやイーサリアム、リップルといった各ネットワークごとに予め定められた「コンセンサスアルゴリズム」と呼ばれる合意形成のルールに基づいて、一定量のトランザクション(取引データ)群をブロック化することで取引記録を保存する、というブロックチェーンの性質によるものです。

    したがって、ある単位時間にどの程度の量のトランザクションをブロック化して処理できるかは、そのルールであるコンセンサスアルゴリズムに依存することになります。例えば、ビットコインでは「PoW(Proof of Work、プルーフオブワーク)」というコンセンサスアルゴリズムを採用していますが、これはネットワーク参加者(=「ノード」)に、自身のコンピュータのマシンパワーを利用した計算問題を解くことがブロック生成の条件となっており、ビットコインネットワークにおけるスケーラビリティはノードのマシンパワーに依存することになります。

    ビットコインの場合、新しいブロックが平均して10分に1回生成され、各ブロックでは1MBのデータしか処理がされません。ブロックチェーンには、未処理のトランザクションが待機しておくメモプールという空間が存在しますが、処理するトランザクションが増えて記録可能な取引の上限を超過してしまうと、メモプールに大量のトランザクションが留まってしまいます。こうなると、次回以降のブロック生成時まで放置されて取引が完了しなくなってしまいます。このような取引増加に伴ってネットワーク処理速度が低下することをスケーラビリティ問題といいます。

    また、マイナーと呼ばれるトランザクションの承認者は、ガス代(手数料)という経済的なインセンティブによって動いているため、手数料が多いものから処理を行います。すると、自らの取引を優先的にブロックに記録させるために相場より多くの手数料を支払うユーザーが現れ、手数料のインフレが起きてしまうという副次的な弊害もあります。

    一般に、スケーラビリティは「tps(transaction per second、1秒あたりのトランザクション処理量)」で定義することができますが、実際に、代表的なブロックチェーンネットワークは、次のように不十分なスケーラビリティだと言われています。

    • 一般的なクレジットカード:数万tps
    • ビットコイン(コンセンサスアルゴリズムがPoW):3~7tps
    • イーサリアム(コンセンサスアルゴリズムがPoS):15~25tps
    • コンソーシアム型ブロックチェーンネットワーク(PoAコンセンサスアルゴリズム):数千tps

    このように、ブロックチェーンは、ープンで分散的なデータベースとして期待を集めている一方で、ネットワーク参加者が増えるとスケーラビリティが担保できなくなるという課題を抱えています。

    課題の解決策

    この課題に対しては様々なアプローチが試みられています。最も安直な最善策は、メインチェーンのブロック容量と生成スピードの制約を緩和させることです。

    このアプローチでは、ブロックの容量を増やしたり、生成までの間隔を短縮することで、一回のトランザクションで処理できるデータ量を増加させて待機のトランザクションを減らすことができます。しかし、これによってブロックチェーン本来の分散性が低下する可能性や、システム自体の安定性やセキュリティに影響を及ぼす可能性もあります。

    また、金融領域では、「ライトニングネットワーク(Lightning Network)」という新しい概念に注目が集まっています。ライトニングネットワークは、小規模ながら高頻度で行われる取引をオフチェーン(ブロックチェーンの外部)で処理するペイメントチャネルという仕組みによって、最初と最後の取引だけをブロックチェーンに反映できるネットワークのことです。

    ペイメントチャネルでは、複数の秘密鍵でビットコインを管理するマルチシグという技術を背景にオフチェーン取引が可能になるため、最初の取引でビットコインを送金し、その金額内で自由に送金ができます。したがって、ブロックチェーンのように途中の取引も全て検証する必要がなく、中間の処理を省くことでトレーサビリティ問題に対応しています。

    このようなアプローチにより、決済の迅速化や高いトランザクション容量の実現が期待されています。たとえば、大手暗号資産取引所のバイナンスはビットコインの取引をライトニングネットワークで実行できるようになったと発表しています。

    Binance Completes Integration of Bitcoin (BTC) on Lightning Network, Opens Deposits and Withdrawals

    しかし、非金融領域においてはいまだ効果的な解決策は確立していません。こうした原理的な課題は、ブロックチェーンが社会基盤となれるかどうかを左右する、重要な論点だと言えるでしょう。

    ブロックチェーンの課題②:ファイナリティ

    出典:ぱくたそ

    課題の概要

    ブロックチェーン、とくにその代表格であるビットコインの課題として知られるのが、「ファイナリティ(finality)」の問題です。ファイナリティは決済にまつわる概念で、日本銀行によって、次のように説明されています。

    • (ファイナリティーのある決済とは)「それによって期待どおりの金額が確実に手に入るような決済」のことを言います。
    • 具体的には、まず、用いられる決済手段について(1)受け取ったおかねが後になって紙くずになったり消えてしまったりしない、また決済方法について(2)行われた決済が後から絶対に取り消されない――そういう決済が「ファイナリティーのある決済」と呼ばれます。

    ビットコインの仕組みでは、このファイナリティを十分に担保できないとして、特に金融領域における活用が懸念視されることがあります。

    「スケーラビリティ」の項目でも触れたように、ビットコインではPoWと呼ばれる、ノードのマシンパワーを利用した計算競争によるコンセンサスアルゴリズムが採用されていますが、実はこのPoWがファイナリティの担保を邪魔しているのです。そもそも、PoWは、次のような仕組みです。

    出典:Web3総合研究所
    1. ある時、あるノードが、トランザクションプールから一定量(1MB)のトランザクションを任意でとりまとめて、ブロック化を開始する。
    2. ブロック化を行うために、ノードはビットコインネットワークから与えられた計算課題を解くことを試みる。
    3. 同様に、世界同時多発的に複数のノードが計算を行い、計算に成功したノードが生成したブロックが他のノードに伝播されていく。
    4. 伝播された先のノードがブロック生成に用いた計算の「暗算」を行い、計算が正しいと認められたら、ブロック化に成功する。

    ここで、ある問題が起こります。それは、ある一時点でネットワーク内に複数のノードがつくった異なる複数のブロックが同時に存在し、さらにそれらの異なるブロックの中には同じトランザクションが入っているという事象です。

    PoWでは、複数のノードによる計算競争の結果を一旦すべて正規のブロックとして認めてしまうことになります。すると、ある取引記録が正しいかどうかを確認するにあたって、複数の異なるブロックのうちどのブロックを正しいものとして参照すべきかわからなくなってしまいます

    これが、ビットコインにおける「フォーク(チェーンの分岐)」と呼ばれる問題です。ブロックチェーンの課題に立ち返ってみると、このフォークの可能性が、ビットコイン決済におけるファイナリティの担保を邪魔していることがみえてきます。

    PoWを原理として採用するビットコインでは、常に同時多発的に複数のブロックが生成され、その度ごとにチェーンの分岐(フォーク)が発生する可能性があるため、取引内容が覆る可能性を完全にゼロとすることができず、ファイナリティを担保することができないのです。

    実は、ビットコインではチェーンの分岐が問題にならないように、PoWを補完するもう一つのコンセンサスアルゴリズムである「ナカモト・コンセンサス」を採用しています。ナカモト・コンセンサスは、複数のブロックが同時生成された場合、ブロックの集積が最も多い(つまり長い)チェーンに含まれるブロックを正規のものとみなすという考え方です。一見、この考え方によって、ファイナリティが担保されなくもなさそうではあります。しかし、残念ながら事態はそう簡単ではありません。

    ナカモト・コンセンサスはあくまで合意形成に至る考え方の一つであって、実際には、運営側による仕様の変更など大きく賛否の分かれる問題が生じた際、全員での合意形成には至らず、複数の異なるチェーンを正統とみなす派閥に分派してしまうことがあります(ちなみに、こうした運営側による仕様変更等でチェーンがはっきりと分派してしまうことを「ハードフォーク」と呼びます)。

    実際に2017年には、ビットコイン(BTC)からのハードフォークによってビットコインキャッシュ(BCH)が生まれました。ハードフォークの理由は、スケーラビリティ問題の解決を目指した仕様変更でブロックの容量を8MBに拡張するというものでした。

    こうしたハードフォークはハッカーによる「リプレイアタック」の対象になります。リプレイアタックとは、ある台帳上(旧台帳)で有効なトランザクションを他の台帳上(新台帳)でも実行することにより、送金者の意図しない台帳上で資産移動させてしまうことです。

    これは「旧仕様」と「新仕様」のブロックチェーンがどちらも同じ「秘密鍵」を用いていることが原因です。仮想通貨の記録の管理に用いるキーを変えずに新通貨を作るため、知らぬ間にデータがコピーされて所有権を奪われてしまいます。

    そういった意味で、PoWを採用しているビットコインにおいて、「信用」を扱う決済領域で最も重視されるファイナリティを完全に担保することは原理的に困難なのです。

    課題の解決策

    実は、このファイナリティの問題は、ビットコインに限った課題ではなく、イーサリアムなど他のブロックチェーンネットワークでも同様に抱えている課題です。しかし、全てのブロックチェーンでファイナリティの問題が生じるわけではありません。

    ファイナリティの担保が難しいのは、PoWやPoSといった不特定多数の参加者での合意形成に至るためのコンセンサスアルゴリズムを採用しているネットワーク、つまり、「パブリックブロックチェーン」に限った話です。

    そのため、ファイナリティを必ず担保する必要のある金融機関では、「コンソーシアム型」や「プライベート型」と呼ばれる参加者を限定したブロックチェーンネットワークを採用することで、この問題に対応するケースがあります。

    「コンソーシアム型」や「プライベート型」のブロックチェーンでは、ネットワーク内に決められた数の人しか参加を許可していません。多くの場合、参加するためには管理者による本人確認等があり、簡単には参加できない仕様になっています。

    このようなチェーンにおいては、ファイナリティが実現しており、主にエンタープライズ向けのシステムでビジネス採用されています。

    ブロックチェーンの課題③:セキュリティ

    出典:Pexels

    課題の概要

    ブロックチェーンが原理的に抱える課題の3つ目が、「セキュリティ」の問題です。これには驚かれる方も少なくないかもしれません。冒頭でもブロックチェーンは「データに対する耐改ざん性が高い」と説明したばかりです。

    これは、トランザクションと呼ばれる個々のデータの塊のそれぞれに鍵がかけられている(公開鍵暗号方式)ことに加え、トランザクションの塊であるブロックの生成時にもコンセンサスアルゴリズムと呼ばれる合意形成のルールが適用されることで、データを書き換えることのハードルが非常に高くなっていることを意味しています。

    こうした背景から、「ブロックチェーン=セキュリティを高める技術」であると考えている方も少なくありません。しかし、残念ながら、ブロックチェーンはセキュリティの万能薬というわけではないのです。

    ブロックチェーンは「強いAI」というわけではなく、あくまで人間が稼働させる一つのシステムです。そのため、ブロックチェーンが社会実装される過程のヒューマンエラーによって(コーディングのバグ等)、あるいは組織的な恣意性によって適切に効果が発揮されず、結果としてセキュリティが脅かされることも十分にありえます。

    こうした事情からブロックチェーン、とりわけビットコインにつきまとうセキュリティ課題として、次の2つの問題が存在しています。

    • 51%問題
    • 秘密鍵流出問題

    51%問題とは、「ある特定のノード(ネットワークの参加者)が、ネットワーク内のマシンパワーの総量を超えるパワーでマイニングを行うと、そのノードの恣意性にネットワーク全体が左右される」という問題のことで、平たく言えば、「ネットワークの乗っ取り(牛耳り)」問題といったところでしょうか。

    先ほど説明したように、ビットコインではPoWおよびナカモト・コンセンサスと呼ばれるコンセンサスアルゴリズムのもと、複数のノードによる計算競争の結果、最も長いチェーンに含まれたブロックを正統なデータとしてみなす、という仕組みがとられています。

    そして、この計算のスピードは、計算を行うノードのマシンパワーに依存しています。したがって、この仕組みを逆手にとると、他のどのノードよりも強いマシンパワーを手に入れ、その結果、他のどのノードよりも速いスピードで計算を行うことができれば、そのノードは自分にとって有利な、恣意的な取引記録を正統にすることができます。これが、51%問題と呼ばれるセキュリティ上の課題です。

    もう一つのセキュリティ課題が、秘密鍵流出問題です。これは、いわゆる「なりすまし」攻撃で、各ノードが保有するアカウントに付与された「秘密鍵」を盗まれることで起こります

    ブロックチェーンの仕組みでは、前述した「ブロック化」の過程でトランザクションがプールから取り出される際に、「秘密鍵暗号方式」と呼ばれる方法でトランザクションへの「署名(秘密鍵で暗号化する)」が行われることで、トランザクション自体のセキュリティが担保されています。

    通常、この秘密鍵は、各アカウントごとに一つだけ付与されるもので、この鍵を使うことでアカウントに紐づいた様々な権限を利用することができます。そのため、この鍵自体が盗まれてしまうと、個人アカウント内の権限を第三者が悪用できてしまうことになります。これが、秘密鍵流出問題です。

    課題の解決策

    51%問題と秘密鍵流出問題は、それぞれに、解決策が異なります。順に、説明していきます。

    51%問題への対応

    51%問題の対策方針は、コンセンサスアルゴリズムを変更することです。先ほど説明したように、51%問題は原理的なセキュリティリスクであり、PoWおよびナカモト・コンセンサスが合意形成のルールである以上、完全な対策は不可能です。

    もちろん、ネットワークの規模が大きくなればなるほど、ネットワーク総量の過半数を占めるマシンパワーを用意することは難しくなっていくので、51%問題を利用した攻撃のハードルも上がってはいきます。しかし、あくまで難易度が上がるだけの話であるため、リスクがなくなるわけではありません。したがって、51%問題のリスクをなくすためには、ルールそのものを変更する必要があるのです。

    これは、ビットコイン以外のブロックチェーンネットワークにおいて実際に行われていることで、例えば、イーサリアムで採用されている「PoS(Proof of Stake)」は、51%攻撃のリスクを限りなく低くすることを目的に定められたルールとされています。

    PoSは、「ネイティブ通貨の保有量に比例して、新たにブロックを生成・承認する権利を得ることができるようになる仕組み」であるため、あるノードが51%攻撃を行うためには、ネットワーク全体の過半数のコインを獲得しなければならず、これは過半数のマシンパワーを一時的に利用することと比べて、はるかに難易度が上がります。

    また、コンセンサスアルゴリズムだけではなく、ネットワーク参加者自体を許可制にすることも、51%問題に対する一つの対策方法です。先述した「コンソーシアム型」と呼ばれるブロックチェーンネットワークでは、「PoA(Proof of Autority)」というコンセンサスアルゴリズムのもと、閉じられたネットワーク内で一部のノードに合意形成の権限を与えるという形をとっています。

    秘密鍵流出問題への対応

    秘密鍵流出問題への対応策の一つとされているのが、マルチシグです。マルチシグとは、トランザクションの署名に複数の秘密鍵を必要とする技術のことで、マルチシグを利用する際には企業の役員陣で鍵を一つずつ持ち合うなどの対応がとられます。

    また、マルチシグは秘密鍵流出問題へのリスクヘッジ方法であると同時に、 一つの秘密鍵で署名を行う通常のシングルシグに比べてセキュリティレベルも高くなることから、取引所やマルチシグウォレットなどで採用されています

    ただし、上述のコインチェック事件のように、個人レベルでマルチシグを利用していたとしても、取引所そのもののセキュリティが破られてしまった場合には被害を食い止めることはできません。セキュリティへの攻撃は複数階層に対して行われうるものであることを理解して、単一の技術のみに頼るのではなく、本質的な対応をとるように心がけましょう。

    まとめ

    ブロックチェーンを自社ビジネスに導入するには、本記事で紹介した3つの課題を無視することはできません。イメージ先行で場当たり的なDXではかえって様々なトラブルを誘発させかねません。そのため、まずはブロックチェーンの長所だけではなく短所も理解したうえで、適用先やユースケースの洗い出しをおこなうのが良いでしょう。

    トレードログ株式会社では、非金融領域におけるビジネスへのブロックチェーン導入を支援しています。新規事業のアイデア創出から現状のビジネス課題の解決に至るまで、包括的な支援が可能です。少しでもお悩みやご関心がございましたら、是非オンライン上で30〜60分程度の面談をさせていただければと思いますので、お問い合わせください。

    ブロックチェーンによる電子投票とは?投票におけるブロックチェーンの可能性に迫る

    2009年にBitcoinが運用開始されて以来、Ethereumをはじめとして様々なブロックチェーンプラットフォームが誕生しました。ブロックチェーンの特徴といえば、情報の改ざんが極めて難しい点があげられ、暗号資産などの金融領域だけではなく、非金融領域においてもブロックチェーン技術が多方面で応用され始めています。

    今回はブロックチェーンと親和性が高いといわれている「電子投票」の分野での取り組みを紹介します。ブロックチェーン技術を活用した電子投票が実現可能なのか考察していきましょう。

    ブロックチェーンが投票を変える

    従来の”投票”がもつ課題

    「投票会場まで足を運び、投票用紙に候補名を記入し投票箱に入れる」。これが一般的な投票の一連の流れです。このアナログ方式の投票が持つ課題としては、利便性が悪く、投票率が伸びないということが挙げられます。

    総務省が公表している下記のデータを見ても、投票率は右肩下がりになっており、とくに普段の生活からデジタルが当たり前となっている若い世代(10〜20代)では、投票率が著しく低いのが見てとれます。

    出典:総務省

    また、作業効率が悪く、人件費がかかるというデメリットもあります。2017年におこなわれた衆院選では決算ベースで596億7900万円の費用が発生しましたが、主な経費は、投票所または開票所にかかる経費であり、人件費が約半分を占める結果となりました。

    国政選挙では各投票所に人員を割く必要があるため、莫大な費用がかかってしまいます。近年では期日前投票に伴って期日前投票所が設置されるため、さらに多くの人件費が発生することも多くなってきています。

    さらに、集計・開票に際しては人為的ミスや不正行為が発生することもあるでしょう。公平でクリーンな政治を実現するうえでは、人間が恣意的な操作が不可能な投票スタイルにすることが望まれます。

    こういった課題を受けて、日本やアメリカではブロックチェーンを用いて選挙システムの改善を目指す取り組みが行われています。

    ブロックチェーンとは

    従来の投票作業の課題を解消する上で、改めて”投票”に必要なことは何なのかを紐解くと、

    • 定められた期間内に有権者が投票可能
    • 投票結果が改ざんできない

    という2点が挙げられます。

    そこで注目を集めるのが、「分散型で障害に強い」「改ざんが限りなく不可能に近い」という特徴を持つブロックチェーン技術です。

    出典:shutterstock

    ブロックチェーンは、サトシ・ナカモトと名乗る人物が2008年に発表した暗号資産「ビットコイン」の中核技術として誕生しました。取引データを暗号技術によってブロックという単位にまとめ、それらを鎖のようにつなげることで正確な取引履歴を維持しようとする技術です。

    ブロックチェーンはデータベースの一種ですが、そのデータ管理方法は従来のデータベースとは大きく異なります。従来の中央集権的なデータベースでは、全てのデータが中央のサーバーに保存されるため、サーバー障害やハッキングに弱いという課題がありました。一方、ブロックチェーンは各ノード(ネットワークに参加するデバイスやコンピュータ)がデータのコピーを持ち、分散して保存します。そのため、サーバー障害が起こりにくく、ハッキングにも強いシステムといえます。

    また、ブロックチェーンでは、ハッシュ値と呼ばれる関数によっても高いセキュリティ性能を実現しています。ハッシュ値とは、あるデータをハッシュ関数というアルゴリズムによって変換された不規則な文字列のことで、データが少しでも変わると全く異なるハッシュ値が生成されます。新しいブロックを生成する際には必ず前のブロックのハッシュ値が記録されるため、誰かが改ざんを試みると、それ以降のブロックのハッシュ値を全て再計算する必要があり、改ざんが非常に困難な仕組みとなっています。

    さらに、ブロックチェーンでは、マイニングという作業を通じて、取引情報のチェックと承認を行う仕組み(コンセンサスアルゴリズム)を持っています。マイニングとは、コンピュータを使ってハッシュ関数にランダムな値を代入する計算を繰り返し、ある特定の条件を満たす正しい値(ナンス)を見つけ出す作業のことで、最初にマイニングに成功した人に新しいブロックを追加する権利が与えられます。

    このように、ブロックチェーンは分散管理、ハッシュ値、マイニングなどの技術を組み合わせることで、データの改ざんや消失に対する高い耐性を持ち、管理者不在でもデータが共有できる仕組みを実現しています。

    詳しくは以下の記事でも解説しています。

    ブロックチェーンによる電子投票のメリット

    投票の改ざんが困難になる

    出典:Unsplash

    投票にブロックチェーンを用いる最大のメリットは、透明性のあるクリーンな選挙が実現できることです。選挙や政治には古くから不正がつきものであり、コンプライアンス徹底が求められる現代においても、残念ながら不正が起きたというニュースを度々目にします。

    ブロックチェーンは、データをネットワークの参加者全員で共有・同期し、ハッシュと呼ばれるデータの暗号化値を連鎖的に保持する仕組みを持っています。このため、一箇所のデータを書き換えようとすれば、その後のすべてのブロックのハッシュ値も再計算する必要があり、改ざんは極めて困難になります。仮に不正が試みられても、ネットワーク上ですぐに検知されるため、従来の紙の投票に比べて圧倒的に高い安全性が確保されます。

    米紙ワシントン・ポストの調査結果によると、アメリカでは国民の約30%が、大統領選挙で不正が行われたと考えているといいます。ブロックチェーンによって選挙の透明性が担保されれば、こうした疑惑も払拭されて健全な政治が実現するでしょう。

    柔軟な投票スタイルが実現する

    出典:Unsplash

    現在の主流である投票所での投票という形式では、入場券や本人確認書類を持参して指定の投票所に向かわなければなりません。また、投票時間も通常午前7時から午後8時と決められています。

    これに対してブロックチェーンによる投票であれば、本人確認から投票までネット上で完結します。24時間いつでも投票することも可能です。若年層の投票率が低いという長年の課題がありますが、この原因は政治的無関心だけではないようにも思います。スマホ一つでなんでも完結できるこの時代において、わざわざプライベートの時間を割いて投票所に行かなければならないのは手間そのものにほかなりません。

    また、高齢者や健康上の理由で投票所に行くのが難しい人もいます。一定の条件を満たせば郵便等投票制度も利用できますが、そもそもネットでの投票であれば、条件や手続きも不要で選挙権を行使することができます。投票者の個別の状況にあわせて自由で柔軟な投票が可能になれば、投票率の改善も見込まれるでしょう。

    大幅なコストカットが可能になる

    出典:Unsplash

    現行の選挙制度では、公正な選挙を運営するために莫大なコストがかかっています。投票所の設営、立会人の配置、開票作業のための人件費など、多くのリソースが投入されており、これらはすべて税金によって賄われています。特に開票作業には多くの人員と時間を要し、その分のコストが膨らみやすいという課題があります。

    電子投票が導入されれば、投票や集計がすべてデジタル上で行われるため、立会人や開票作業にかかる人件費を大幅に削減することができます。特に人口の少ない市町村では、そもそも立会人を確保すること自体が難しく、公募だけでは人手不足に陥るケースもあります。その結果、業務委託によって追加の費用が発生し、選挙運営のコストがかさんでしまうこともあります。

    選挙のデジタル化は都市部だけでなく、こうした地方の自治体にとっても有効な選択肢となり得ます。コストを抑えつつ、公正で効率的な選挙を実現する手段として、電子投票の導入が求められています。

    再投票が可能になる

    出典:Unsplash

    選挙期間前は各紙、政治家のスキャンダルの応戦です。もちろん、一番ホットなトピックなので当然といえば当然なのですが、困ったことに現在の選挙制度では一度投票したら、その後に別の候補に票を入れたいと思ってもやり直しが利きません

    実際、有権者のなかの一定数は、確固たる候補者がいるわけではありません。2022年の参院選では安倍晋三元首相の銃撃事件を受け、1割を超える有権者が投票先の決定に影響があったと回答しています。選挙期間中に新たな情報が明るみに出ることで、有権者の判断が揺らぐケースは少なくないのです。

    ブロックチェーンを活用した電子投票であれば、一定期間内であれば投票の変更を可能にするシステムを導入することもできます。例えば、投票締め切りの直前まで最新の意思を反映できる仕組みがあれば、より納得感のある選挙が実現するでしょう。民主主義の本質は、有権者が十分な情報を得た上で最適な選択をすることにあります。選挙の透明性を高めると同時に、最新の意思を投票に反映することができるネット投票が解禁されれば、真の意味での民主主義が実現するはずです。

    「ブロックチェーン×投票」の導入事例

    アメリカ:ウェストバージニア州

    出典:pixabay

    2018年11月、アメリカウェストバージニア州の中期選挙で、ブロックチェーン投票システムが実際に導入されました。

    アメリカでは多くの州が、海外駐留の軍人などの在外有権者に対して、電子メールでの投票を許可しているものの、この投票がセキュアであるという保証はなく、投票率も低くなっている現状があります。

    そこで、この選挙では、選挙権を持つ海外駐在軍人1000名ほどを対象に、州または連邦の身分証明書とモバイルアプリが使用した投票がテストされ、30カ国に駐在する144人のウェストバージニア州有権者がブロックチェーン投票アプリを利用して投票を行なったと発表されています。

    参考値として、2016年のアメリカ大統領選挙における国外からの投票はわずか7%に留まっていましたが、今回のブロックチェーン電子投票システムにおける投票率は14.4%という結果となったことからも、ブロックチェーンを用いた電子投票は海外からの投票率の向上にも一定の成果を挙げたといえるのではないでしょうか。

    後日談ですが、2020年のウェストバージニア州予備選挙では、ブロックチェーンではなくワシントン州シアトルに本社を置くDemocracy Live社のオンラインポータル(クラウド)によるインターネット投票が導入されました。

    また、サイバーセキュリティ専門家のMaurice Turner(モーリス・ターナー)氏や暗号学の権威であるMITのRon Rivest(ロン・リベスト)教授らがネット選挙の危険性を指摘しており、ブロックチェーンよりも紙の投票の方が安全性が高いとしています。

    これはブロックチェーン単体の問題ではなく、投票をおこなう有権者のモバイル端末のセキュリティや本人確認の顔認証の精度などによる問題もあります。

    ブロックチェーン技術はセキュリティや処理速度など様々な面で進化を続けており、その適用範囲も年々拡大していることから、今後こういった課題への解決策が見つかるのではないでしょうか。

    アメリカ:ユタ州

    出典:Pixabay

    ユタ州は米大統領選で初めて、スマートフォン等のアプリで投票を行うブロックチェーンベースの投票システムを導入しました。

    投票者は事前に生体認証を含む本人確認を行い、投票用紙トークンを使ってオンラインで投票します。ライバシーを保護するために匿名のIDで署名して投票されますが、ブロックチェーンによって真正な投票データであることが担保されているため、開票結果もすぐに開示されました。

    新型コロナウイルスの影響で郵便投票が増加し、集計作業の遅れや投票用紙を使用した詐欺行為などが懸念されましたが、ブロックチェーンが使用されることによって、データ改ざんなどの不正行為を防止したうえでより多くの若年層や非投票者の投票率向上につながりました

    この選挙で利用された投票アプリ「Voatz」はHyberledgerブロックチェーンと生体認証を使って、安全で確実な投票を実現しており、これまでアメリカ国内でも60回以上選挙に利用された実績があるといいます。

    軍用レベルのセキュリティ技術によって支えられているこの投票スタイルは、2028年か2032年の大統領選挙までにより広い範囲で電子投票を採用できることを期待しているとしています。

    エストニア

    電子国家と呼ばれているエストニアでは、ブロックチェーン技術が生まれる前の2005年から世界に先駆けて、i-Votingというシステムを用いた国家主導の電子投票が行われてきました。

    有権者はインターネットにつながったコンピュータがあれば世界のどこからでも投票でき、投票内容は期日までであれば変更が可能です。また、電子投票期日締め切り後に投票所に来て、紙で再投票を行うこともできます(この場合、電子投票は削除されます)。

    このシステムによる投票は多くのエストニア国民が利用しており、2023年の議会選挙では51%がi-Votingを利用。これは世界の歴史で初めて、紙の投票 (49%) よりも多くの電子投票 (51%) があった選挙となりました。

    エストニアは国家レベルでブロックチェーン導入が盛んな国であり、税金、医療、教育、交通などの行政サービスにおける文書のタイムスタンプに「KSIブロックチェーン」という独自のブロックチェーンが使用されています。

    とくに医療分野での取り組みは非常に興味深い事例となっています。詳しくは以下で紹介しています。

    現在は電子投票のデータ基盤としてブロックチェーンは用いられていませんが、今後ブロックチェーンによる国政選挙の実現が最も近い国として取り上げました。

    つくば市

    出典:つくば市

    茨城県つくば市では「令和元年度つくばSociety5.0社会実装トライアル支援事業」において、ブロックチェーン技術を活用したインターネット投票の実証実験が行われました。

    出典:ジチタイワークスWEB

    このプロジェクトは、株式会社VOTE FOR、株式会社ユニバーサルコムピューターシステム、日本電気株式会社と共同で運用されており、2019年に第一回が、4年後の2023年には第二回の実証が行われました。

    第一回では、本人認証や処理速度、上書き投票などの課題が浮き彫りになりましたが、第二回ではマイナンバー内蔵のICチップを活用することや、ブロックチェーンのプラットフォームをEthereumからHyperledger Fabricへ変更することでこれらの課題をクリア。時間や場所を選ばずに、ICカードリーダーに接続可能なWindows端末があれば、1-2秒程度で何度も投票可能な投票システムの構築に成功しました。

    将来的には市長選などへの採用も検討しているとのことで、日本初の公職選挙が実現するのか、引き続き注目していきたい事例です。

    国内でもネット投票解禁の動きが

    日本国内でも国政選挙でのネット投票解禁が加速しつつあります。2023年6月には、立憲民主党と日本維新の会がインターネットによる投票を令和7年の参院選から導入することを規定した法案を衆院に共同提出しました。

    立維、ネット投票法案提出「7年参院選で導入」 – 産経ニュース

    この法案は、選挙などへのインターネット投票の導入を推進するものであり、セキュリティ確保には電子署名を用いることも定められています。

    ブロックチェーンを用いずとも電子署名の搭載は可能ですが、ブロックチェーン上に保存された電子署名は改ざんへの耐性が高いため、通常のデータベースに格納した場合よりもデータの真正性が高まります。したがって、国政選挙においてブロックチェーンが導入される可能性は十分考えられます。今後の続報が待たれます。

    まとめ

    新型コロナウィルスが世界中で猛威を振るった結果、私たちの考え方や行動は大きく変わりました。「リモート」が当たり前の世界となり、利便性が向上しただけでなく、デジタルならではのセキュリティリスクについての意識も大きく改善されたように思います。

    投票についても同様で、投票率の低下などを背景にネット投票解禁にシフトしていくことでしょう。ネット投票法案の提出もその追い風となることが予想され、ブロックチェーンを活用したより効率的で利便性の高い選挙の実現がますます期待されます。

    【初心者向け】NFTとは何か?どういう仕組みなのか?簡単に・わかりやすく解説!

    当初は一部のクリプト界隈で盛り上がっていたNFTも、最近ではニュースやSNSでも取り上げられることも増えてきました。しかし、NFTの歴史はまだまだ浅く、「名前は聞いたことはあるけど、具体的にどういう技術なのか、なぜ話題になっているのかはわからない」という方も多いのではないでしょうか。

    そこで今回は、NFTの概要からその仕組みや事例を分かりやすく解説していきます!

      そもそもNFTとは?

      NFT=”証明書”付きのデジタルデータ

      出典:shutterstock

      NFTを言葉の意味から紐解くと、NFT=「Non-Fungible Token」の略で、日本語にすると「非代替性トークン」となります。非代替性とは「替えが効かない」という意味で、NFTにおいてはブロックチェーン技術を採用することで、見た目だけではコピーされてしまう可能性のあるコンテンツに、固有の価値を保証しています。

      つまり簡単にいうと、NFTとは耐改ざん性に優れた「ブロックチェーン」をデータ基盤にして作成された、唯一無二のデジタルデータのことを指します。イメージとしては、デジタルコンテンツにユニークな価値を保証している”証明書”が付属しているようなものです。

      NFTでは、その華々しいデザインやアーティストの名前ばかりに着目されがちですが、NFTの本質は「唯一性の証明」にあるということです。

      NFTが必要とされる理由

      世の中のあらゆるモノは大きく2つに分けられます。それは「替えが効くもの」と「替えが効かないもの」です。前述した「NFT=非代替性トークン」は文字通り後者となります。

      例えば、紙幣や硬貨には代替性があり、替えが効きます。つまり、自分が持っている1万円札は他の人が持っている1万円札と全く同じ価値をもちます。一方で、人は唯一性や希少性のあるもの、つまり「替えが効かないもの」に価値を感じます。不動産や宝石、絵画などPhysical(物理的)なものは、証明書や鑑定書によって「唯一無二であることの証明」ができますが、画像や動画などのDigital(デジタル)な情報は、ディスプレイに表示されているデータ自体はただの信号に過ぎないため、誰でもコピーできてしまいます。

      そのため、デジタルコンテンツは「替えが効くもの」と認識されがちで、その価値を証明することが難しいという問題がありました。実際、インターネットの普及によって音楽や画像・動画のコピーが出回り、所有者が不特定多数になった結果、本来であれば価値あるものが正当に評価されにくくなってしまっています。NFTではそれぞれのNFTに対して識別可能な様々な情報が記録されています。そのため、そういったデジタル領域においても、本物と偽物を区別することができ、唯一性や希少性を担保できます。

      これまではできなかったデジタル作品の楽しみ方やビジネスが期待できるため、NFTはいま、必要とされているのです。

      NFTを特徴づける3つのポイント

      データの改ざんが困難である

      唯一性の証明をするためには、データが上書きされることのない高いセキュリティ性が求められます。それを実現しているのが、NFTの基盤となっているブロックチェーンです。

      ブロックチェーンの定義には様々なものがありますが、噛み砕いていうと「取引データを暗号技術によってブロックという単位でまとめ、それらを1本の鎖のようにつなげることで正確な取引履歴を維持しようとする技術のこと」です。取引データを集積・保管し、必要に応じて取り出せるようなシステムのことを一般に「データベース」といいますが、ブロックチェーンはそんなデータベースの一種でありながら、特にデータ管理手法に関する新しい形式やルールをもった技術となっています。

      ブロックチェーンにおけるデータの保存・管理方法は、従来のデータベースとは大きく異なります。これまでの中央集権的なデータベースでは、全てのデータが中央のサーバーに保存される構造を持っていました。したがって、サーバー障害や通信障害によるサービス停止に弱く、ハッキングにあった場合に、大量のデータ流出やデータの整合性がとれなくなる可能性があります。

      これに対し、ブロックチェーンは各ノード(ネットワークに参加するデバイスやコンピュータ)がデータのコピーを持ち、分散して保存します。そのため、サーバー障害が起こりにくく、通信障害が発生したとしても正常に稼働しているノードだけでトランザクション(取引)が進むので、システム全体が停止することがありません。また、データを管理している特定の機関が存在せず、権限が一箇所に集中していないので、ハッキングする場合には分散されたすべてのノードのデータにアクセスしなければいけません。そのため、外部からのハッキングに強いシステムといえます。

      さらにブロックチェーンでは分散管理の他にも、ハッシュ値ナンスといった要素によっても高いセキュリティ性能を実現しています。

      ハッシュ値は、ハッシュ関数というアルゴリズムによって元のデータから求められる、一方向にしか変換できない不規則な文字列です。あるデータを何度ハッシュ化しても同じハッシュ値しか得られず、少しでもデータが変われば、それまでにあった値とは異なるハッシュ値が生成されるようになっています。

      新しいブロックを生成する際には必ず前のブロックのハッシュ値が記録されるため、誰かが改ざんを試みてハッシュ値が変わると、それ以降のブロックのハッシュ値も再計算して辻褄を合わせる必要があります。その再計算の最中も新しいブロックはどんどん追加されていくため、データを書き換えたり削除するのには、強力なマシンパワーやそれを支える電力が必要となり、現実的にはとても難しい仕組みとなっています

      また、ナンスは「number used once」の略で、特定のハッシュ値を生成するために使われる使い捨ての数値です。ブロックチェーンでは使い捨ての32ビットのナンス値に応じて、後続するブロックで使用するハッシュ値が変化します。コンピュータを使ってハッシュ関数にランダムなナンスを代入する計算を繰り返し、ある特定の条件を満たす正しいナンスを見つけ出す行為を「マイニング」といい、最初にマイニングを成功させた人に新しいブロックを追加する権利が与えられます。

      ブロックチェーンではマイニングなどを通じてノード間で取引情報をチェックして承認するメカニズム(コンセンサスアルゴリズム)を持つことで、データベースのような管理者を介在せずに、データが共有できる仕組みを構築しています。参加者の立場がフラット(=非中央集権型)であるため、ブロックチェーンは別名「分散型台帳」とも呼ばれています。

      このようなブロックチェーンが持つ高いセキュリティ技術によって、NFTは安全に管理されています。ブロックチェーンについて詳しく知りたいという方は、こちらも併せてご覧ください。

      プログラマビリティがある

      NFTには「プログラマビリティ」と呼ばれる特徴があり、あらかじめ設定されたプログラムによってさまざまな機能を持たせることができます。これにより、単なるデジタル資産にとどまらず、クリエイターやユーザーにとって新しい価値を生み出す仕組みを作ることが可能になっています。

      NFTが二次流通した際にクリエイターや発行者に手数料が還元されるように設計したとしましょう。従来の中古市場では、作品が売買されてもクリエイターには利益が入らないのが一般的でしたが、NFTでは売買が繰り返されるたびに一定の収益が発生します。これにより、アーティストやコンテンツ制作者は継続的に収益を得ることができ、著作権管理の煩雑さも軽減されるメリットが生まれます。

      また、エアドロップという仕組みを使えば、特定のNFTを一定期間保有している人に新しいNFTを自動的に配布することができます。例えば、あるスポーツチームがファン向けにNFTを発行し、そのNFTを一定期間持ち続けた人だけに特別なデジタルアイテムをプレゼントするといった設計にすれば、NFTの長期保有を促したり、ファンコミュニティを活性化させることにもつながるでしょう。

      このように、NFTはただのデジタルアイテムではなく、プログラムによって機能を自由に追加できる点に大きな特徴があります。その使い方次第で、ビジネスモデルやファンエンゲージメントのあり方も変わっていくでしょう。

      誰でも売買できる

      NFTはオンライン上で売買できるため、マーケットプレイスと呼ばれる取引所にアクセスすれば、誰でも簡単にアートやデジタルコンテンツの売買に参加できるようになりました。これまで、アート作品を販売するにはギャラリーやオークションハウスを通す必要がありましたが、NFTの登場によって、個人でも手軽に作品を出品し、世界中のユーザーと直接取引できる環境が整っています。

      多くのマーケットプレイスでは、入札制度が導入されており、購入希望者が競り合うことで、作品の価値が市場の需要に応じて適正な価格で決定される仕組みになっています。これにより、特定のバイヤーやギャラリーに依存せず、誰でも公平に作品を取引できるようになりました。さらに、専門的な知識がなくても、デジタルコンテンツをNFT化できるサービスが充実しており、アーティストやクリエイターが気軽に作品を発表できる環境が整っています。

      NFTの敷居の低さを象徴する例として、小学生が制作したNFTが話題になったケースがあります。小学3年生の男の子が夏休みの自由研究として作成したドット絵作品「Zombie Zoo」は、たった3ヶ月で200点が販売され、取引総額が4400万円を超えるなど、大きな注目を集めました。こうした成功事例が生まれるのも、NFTが年齢やキャリアに関係なく、誰もが市場に参加できるオープンな仕組みであることを示しています。

      小3男児の絵に「一時2600万円」…高値売買の動きを急拡大させた「NFT」

      NFTは、従来のアート市場やコンテンツ流通のあり方を大きく変え、クリエイターとファンが直接つながる新しい時代を切り開いています。特別なスキルや大きな資本がなくても、自分の作品を世界中の人々に届けることができるというのは、NFTならではの魅力といえるでしょう。

      NFTはなぜ話題に?

      NFTが話題になった大きな理由の一つは、信じられないような高額の取引でしょう。

      2021年3月22日には、『Twitter』の共同創設者兼最高経営責任者(CEO)のジャック・ドーシー(Jack Dorsey)によって2006年に呟かれた ”初ツイート” がNFTとしてオークションに出品され、約3億1500万円という驚愕の金額で売却され大きな話題を集めました。

      TwitterのドーシーCEOの初ツイートNFT、3億円超で落札 全額寄付 – ITmedia NEWS

      また、同年3月にデジタルアーティストであるBeeple氏がNFTアートとして競売に出したコラージュ作品「Everydays: the First 5000 Days」が6900万ドル(日本円で約75億円)という値が付きました。これは、オンラインで取引されたアーティストのオークション価格史上最高額を記録し話題を呼びました。

      老舗Christie’s初のNFTオークション、デジタルアートが約75億円で落札 – ITmedia NEWS

      「デジタルデータにこんな価値が!」というインパクトや話題性から、NFTという言葉が一気に広まっていったのはある意味当然ですね。ただし、私たちが注意すべき点は、全てのNFTの価値は安定しているわけではないということです。

      ある人が大事にとってある ”思い出の石ころ” に値段がつかないのと同様、そのデジタルデータに対して価値があると多くの人々が判断し、需要や投機性が生まれてようやくそのNFTに値段がつくのです。

      デジタルデータに価値が付き売れるようになり、NFTが時代の大きな転換点となったことは事実ですが、過剰な需要と供給が加熱してしまうと仮想通貨と同様、バブル崩壊の道を辿るかもしれません。

      NFTはどこで取引されている?

      出典:ぱくたそ

      NFTを売買するには、NFTマーケットプレイスを利用します。アートや音楽、映像、ゲームのキャラクターやアイテムなどの売買ができるさまざまなNFTマーケットプレイスがあります。

      NFTマーケットプレイスは先述のブロックチェーン技術を土台としており、マーケットプレイスごとに土台とするブロックチェーンの種類も異なります。

      現在世界最大手のOpenSeaをはじめ、LINE NFTやCoincheck NFTといった様々なNFTマーケットプレイスが国内外に存在し、取り扱いコンテンツや決済可能な暗号資産もそれぞれ異なるため、出品者や購入者は取引する場所を用途に合わせて選ぶ事ができます。

      詳しくは以下の記事で解説しています。

      NFT活用のユースケースとは?

      NFT×アート

      出典:pixabay

      絵画やアートの分野でも、NFTの技術が使われ始めています。

      多くの場合、アートや絵画はPhysical(物理的)なものとして作られる場合がほとんどです。NFT登場前のデジタルアート作品はコピー・複製が可能なため、高い価値をつけるのが難しいというのが現実でした。しかし、NFTの技術により、コピー不可能なデジタルアートを作成できるようになり、先述したBeeple氏のように75億円で取引されたNFTアートも存在しています。

      ちなみに日本国内では、村上隆氏やPerfumeといった著名人が、続々とNFTアートを発表しています。国内のアート分野でもNFT技術の活用が徐々に広まっていると言えるでしょう。

      NFT×ゲーム

      出典:pixabay

      NFTの活用が盛んに行われてきた事例がゲーム分野での利用です。

      NFT技術を利用することで、自分が取得した一点物のキャラクターやアイテムをプレイヤー同士で売買することや、あるタイトルで取得したキャラクターやアイテムを他のゲームで使うことも可能になります。ゲーム内で育成したキャラクターなどは二次流通市場で取引され、パラメータやレアリティが高いほど高値で取引されています。

      また、NFTは往々にして仮想通貨を用いて取引がされることが多いです。そのため、ゲームをプレイすることで仮想通貨を得られる「Play to Earn(遊んで稼ぐ)」という概念が生まれており、これは今までのゲーム体験を覆すものでしょう。今後も、NFTの特色を生かしたブロックチェーンゲームが次々にリリースされることが期待されています。

      NFT×スポーツ

      出典:pixabay

      スポーツ業界においてNFTは、選手やクラブと、ファンのエンゲージメントを高める手段として活用されています。

      『世界的に有名なプロスポーツ選手の決定的な名シーン』には、代えがたい価値があるはずです。誰もが感動しますし、ましてやファンにとっては垂涎の価値です。しかし、インターネット上には『決定的な名シーン』がたくさん転がっていて、お金を払うことなく誰もが気軽に見ることができてしまいます。

      そこでNFTによって選手や選手のプレーをNFT化すれば、その瞬間を切り取った「公式」のデジタルコンテンツが唯一無二のアイテムとして色褪せずに存在することができ、ファンが所有する喜びを感じたり、ファンの間で売買できるようになります。

      また、売り上げの一部をクラブに還元することで、応援しているチームに貢献しながら楽しむことができるというまさにファンには二重に嬉しい構造になっていることも、スポーツ界でNFTが広まりつつある理由でしょう。

      NFT×トレカ

      出典:MAGIC The Gathering

      現在、最も勢いのあるNFTの活用分野はなんといってもNFTトレカ、すなわちトレーディングカードです。

      トレカ界隈では現在、印刷技術やスキャンソフトの発達によって偽造品の氾濫が大きな問題となっています。偽物のクオリティが上がるだけではなく、実店舗でも偽物の販売で検挙されているケースがあり、もはや一般人の私たちからすると見分けることは困難です。

      NFTでは前述の通り、偽造やデータの改ざんができません。したがって、一点モノであるレアカードの証明や偽造防止という観点では、まさにうってつけの技術なのです。

      実物のトレーディングカードは、一部の熱心なコレクターに支持されるマニアックな世界という印象があったかもしれません。しかしNFTトレカでは、人気アイドルやプロスポーツ、人気アニメのトレカが発売されるなど、幅広い層に提供されています。

      アツい盛り上がりを見せているだけに今後も要注目の組み合わせです。

      NFTの将来性

      NFTはオワコン?

      このように様々なジャンルで盛り上がりを見せているNFTですが、その取引はピーク時と比べると落ち着いてきています。一部ではそういった現状を受け、「オワコン」とも囁かれていますが、果たしてNFTは将来性がないのでしょうか。

      出典:Gartner

      これはガートナー社が発表しているハイプサイクルです。ハイプサイクルとは、特定の技術の成熟度や社会への適用度を視覚的に表したグラフのことで、IT分野における重要な指標の一つとして知られています。

      このサイクルではNFTは現在「過度なピーク」を過ぎ、「幻滅期」に突入しています。ガートナー社の定義では、幻滅期は実験や実装で成果が出ないため、関心が薄れ、この時期を通り抜けると具体的な事例をもとに社会全体で主流採用が始まるとされています。

      つまり、ある意味では想定内の落ち込みで、このNFT氷河期とも言える冬の時代を耐え忍んでこそ社会への浸透が進むというわけです。したがって、この一時的な落ち込みを見て「NFTは終わった」「NFTは将来性がない」と判断するのはまだ早すぎるでしょう。

      実際に、ハイプサイクルにおいてようやく幻滅期を抜け出した「人工知能」も、過去にはディープラーニングを加速させる学習データが不足していることなどを理由にブームが終焉し、「AIによって人間の仕事が奪われる!」といった主張も鳴りを潜めてきました。

      しかし、現在の状況はどうでしょうか。様々な企業のサービスにAIが組み込まれ、子供からお年寄りまで誰しもが一度はAIによるユーザー体験をしているはずです。とくにアメリカのAI研究所であるオープンAIが開発した会話型AIのChatGPTは、官公庁や教育の場面で採用されるほど社会に広く浸透しました。

      このように、NFTの「取引量」「時価総額」に関するネガティブなニュースは一時的な情報に過ぎません(その逆も然りで、ポジティブなニュースにも注意が必要)。むしろ、様々な要因によってNFTは着実に次への一歩を踏み出し始めています。

      NFTはネクストフェーズへ

      NFTが再び社会で受容される頃には、以前のような視覚的な価値の裏付けといった立ち位置ではなくなっているかもしれません。

      確かにNFTは現在、投機的な側面から人気を博しています。しかし、むしろ今後はNFTないしブロックチェーンの「データの改ざんが困難」という特徴を生かし、所有権証明や身分証明といった非金融分野への普及が進んでいくでしょう。

      その事例の一つが「SBT(SoulBound Token、ソウルバウンド・トークン)」です。SBTは譲渡不可能なNFTであり、二次流通での売買や譲渡などが一切できません。この性質を利用して、現在デジタルID(本人確認、学歴・社歴証明、身体・医療情報など)での活用が検討されています。

      また、多くのNFTがイーサリアム(Ethereum)上に構築されていますが、これ自体の技術的進化もNFTが再興するための一要因です。NFTのデメリットの一つに「手数料の高騰」があります。手数料は、ブロックチェーンへの記録や取引所の仲介により避けられないモノですが、イーサリアムはその手数料が他のチェーンに比べると割高でした。しかし、イーサリアム(Ethereum)自体のアップデートにより、処理速度が向上すれば、手数料のユーザー負担は改善されることでしょう。

      また、ポリゴン(Polygon)など第3のブロックチェーンの活躍も見逃せません。ポリゴンの処理スピードはイーサリアムの約450倍ともいわれており、取引手数料もはるかに安く済みます。スターバックスやナイキといった数々のブランドの取り組みにも採用されていることからも、その期待が窺い知れます。

      このようにNFTは、これからのデジタル社会を大きく変化させる原動力として、その姿かたちを変えつつあるのです。

      まとめ

      これまで人類は、土地や物といった物理的な物を所有し価値を高め、売買・交換することで経済活動を行ってきました。それと同じことがデジタル領域でも起こりうるということです。

      かつてインターネットやスマホ、SNSが目新しいモノでしたが、今では誰もが当たり前のように使いこなし、社会・人々の生活を一変させました。NFTも同様に今後の社会を変える大きな可能性を秘めています。

      今後も引き続きキャッチアップが欠かせないでしょう。

      メタバースとNFT 〜NFTによって証明される仮想現実内の”モノの価値”〜

      近年、NFTがニュースやSNSでも取り上げられることも増えてきましたが、そのNFTと関連して「メタバース」という言葉も耳にすることも増えてきました。実はメタバースの概念そのものは以前から存在しており、近年になって注目を集めるようになった背景にはNFT技術が深く関係しています。

      本記事では、従来のメタバースの概念とNFT技術の基礎を説明した上で、メタバースとNFTの掛け合わせによって新たにどのようなことが実現できるのかを解説していきます。

        近年注目を集める「メタバース」

        出典:pixabay

        メタバースに関する近年のトピックス

        近年、「メタバース」というワードがSNS上のみならず、テレビのニュースでもとりあげられる機会が増えています。その中でも、2021年10月28日には多くの人々にとって馴染み深いFacebookが社名を「Meta(メタ)」に変えたことが大きな話題となり、「メタバース」に注目が集まるきっかけの一つとなりました。

        さらに2022年2月18日には、米Google傘下のYouTubeもメタバースへの参入を検討していると日本版公式ブログで明かしました。また、2020年以降のコロナ禍において、Zoomを筆頭とするオンラインMTGが一般的なものとなりました。こうしたバーチャルでのコミュニケーションに対する心理的ハードルが大きく引き下がったことも、人々が「メタバース」に興味をもつようになった要因の一つと考えられます。

        メタバースとは?

        メタバースとは「オンライン上に構築された仮想空間」のことです。言葉で説明するとイメージがつきにくいかも知れませんが、実はメタバースという概念そのものは以前から存在しているのです。

        個性豊かな動物たちが暮らす村であなた自身 が生活していく任天堂の大人気ゲーム「あつまれ どうぶつの森」もひとつのメタバースです。全世界で1億4千万人以上がプレイするモンスターゲーム「Minecraft(マインクラフト)」は、オンラインで仲間たちと冒険に出かけるも良し、多くのプレイヤー達が住民として暮らすサーバー内で各々建築をしたり農業を営むも良しといった、非常に自由度の高いメタバースです。

        つまりメタバースとは、「画面の向こうにあるもうひとつの世界」を指します。

        出典:pixabay

        コンシューマー向けゲームを通じてすでに概念として存在していたメタバースですが、近年のVR/AR技術の向上によって「より現実に近い(リアリティの高い)仮想空間」が作られるようになってきました。

        さらに、デジタルデータに唯一性をもたせる技術であるNFTを活用することにより、次項で述べる ”従来のメタバースの課題” を解決することができるようになったのです。

        メタバースについては下記の記事で詳しく解説しています。

        従来のメタバースの課題

        従来のメタバースの課題、それは「メタバース内のデジタルデータの価値を証明することが困難である」という点です。

        先述した「あつまれ どうぶつの森」や「Minecraft(マインクラフト)」の中には、ゲーム内で使える独自の通貨やゲーム内アイテムが存在しています。

        出典:hikicomoron.net

        ただし、それらはあくまでもゲーム内だけで使える通貨やアイテムであって、現実世界において価値をもたせることはできません。どうぶつの森の中でお金をいくら稼ぎ、家を増築し、貴重な家具を持っていようが、それらは全てゲーム内での出来事に過ぎないのです。

        つまり従来のメタバースと現実世界では、価値の交換が出来ませんでした。なぜならゲーム内データはいくらでもコピーが可能で、価値あるものだという証明が困難であったためです。

        そこで登場するのがNFT=「Non-Fungible Token」です。このNFTという概念によって、これまで不可能だったゲーム内データの価値の証明が可能になり、現実世界の通貨で取引できるようになるのです。

        そもそもNFTとは?

        NFT=”証明書”付きのデジタルデータ

        出典:shutterstock

        NFTを言葉の意味から紐解くと、NFT=「Non-Fungible Token」の略で、日本語にすると「非代替性トークン」となります。非代替性とは「替えが効かない」という意味で、NFTにおいてはブロックチェーン技術を採用することで、見た目だけではコピーされてしまう可能性のあるコンテンツに、固有の価値を保証しています。

        つまり簡単にいうと、NFTとは耐改ざん性に優れた「ブロックチェーン」をデータ基盤にして作成された、唯一無二のデジタルデータのことを指します。イメージとしては、デジタルコンテンツにユニークな価値を保証している”証明書”が付属しているようなものです。

        NFTでは、その華々しいデザインやアーティストの名前ばかりに着目されがちですが、NFTの本質は「唯一性の証明」にあるということです。

        NFTが必要とされる理由

        世の中のあらゆるモノは大きく2つに分けられます。それは「替えが効くもの」と「替えが効かないもの」です。前述した「NFT=非代替性トークン」は文字通り後者となります。

        例えば、紙幣や硬貨には代替性があり、替えが効きます。つまり、自分が持っている1万円札は他の人が持っている1万円札と全く同じ価値をもちます。一方で、人は唯一性や希少性のあるもの、つまり「替えが効かないもの」に価値を感じます。不動産や宝石、絵画などPhysical(物理的)なものは、証明書や鑑定書によって「唯一無二であることの証明」ができますが、画像や動画などのDigital(デジタル)な情報は、ディスプレイに表示されているデータ自体はただの信号に過ぎないため、誰でもコピーできてしまいます。

        そのため、デジタルコンテンツは「替えが効くもの」と認識されがちで、その価値を証明することが難しいという問題がありました。実際、インターネットの普及によって音楽や画像・動画のコピーが出回り、所有者が不特定多数になった結果、本来であれば価値あるものが正当に評価されにくくなってしまっています。NFTではそれぞれのNFTに対して識別可能な様々な情報が記録されています。そのため、そういったデジタル領域においても、本物と偽物を区別することができ、唯一性や希少性を担保できます。

        これまではできなかったデジタル作品の楽しみ方やビジネスが期待できるため、NFTはいま、必要とされているのです。

        NFTとブロックチェーン

        NFTはブロックチェーンという技術を用いて実現しています。

        ブロックチェーンは一度作られたデータを二度と改ざんできないようにする仕組みです。データを小分けにして暗号化し、それを1本のチェーンのように数珠つなぎにして、世界中で分散管理されています。そのため偽のデータが出回ったり、内容を改ざんしたり、データが消えたりする心配がありません。

        NFTではこのようなブロックチェーンが持つ高いセキュリティ性能を利用して、web上のデータが本物なのか偽物なのかを誰でも判別することを可能にし、データの希少性を担保できます。ブロックチェーンの活用によって、これまではできなかったデジタル作品の楽しみ方やビジネスが生まれているというわけです。

        NFT×メタバースで実現すること

        NFTアイテムや建物、土地をメタバースで取引できるようにする

        出典:pixabay

        これまでのメタバースでは、ゲーム内アイテムが簡単にコピーできてしまうため価値の証明が困難でした。また、そのゲームで遊ぶことをやめてしまえば、これまで築き上げてきたゲーム内資産は再度ゲームを起動するまで利用されることはありません。

        しかし、アイテムや土地・建物といったゲーム内資産をNFT化することにより、現実世界と同じく唯一無二である価値が生まれます。価値が生まれるとそのアイテムや土地が欲しい人との間に取引が生まれ、その取引はゲーム内通貨ではなく、仮想通貨や法定通貨で行われます。

        つまり、メタバースとNFT技術を掛け合わせることによって、現実世界でのモノや不動産の売買と同様、メタバース内でのマネタイズが可能となるのです。ゲーム内での活動がそのまま現実世界の価値とリンクするようになるという点で、NFT×メタバースの掛け合わせはとても大きな可能性を秘めています。

        メタバースでNFTアートを展示する

        出典:pixabay

        NFTは前述の通り、いままではただのコピー可能な情報の塊にすぎなかったデジタルコンテンツに対して真贋性を担保できます。一つひとつの作品に対して固有の価値を証明できるNFTは現在、芸術分野での導入が浸透しています。

        メタバース上で企画展を開催する際にNFT化した作品を展示すれば、ユーザーは移動や待ち時間なくアートを鑑賞できます。また、メタバース内で自身のアバターを使って記念撮影をしたり、実際に作品を手に取ったりすることも可能でしょう。設計次第では気になっているNFTをその場で購入することも可能であるため、従来とは異なる角度から芸術に触れることができます。

        美術館の来場者は中高年層が大半を占めていますが、NFTを使ったアプローチを採用すれば、若年層や芸術・美術に関心のなかった層も取り込めるでしょう。

        メタバースのアバターでNFTファッションを楽しんでもらう

        出典:pixabay

        実はメタバースとNFTの組み合わせという文脈では、ファッション分野が一番相性が良いのかもしれません。メタバース上にバーチャル店舗を設置すれば、自身のアバターにNFTのデジタルファッションを着用させることができます。もちろんカスタムパーツとして他のブロックチェーンゲームで使用するのも手ですが、実店舗での試着の代用として利用することもできます。

        過去にはZOZOSUIT(すでにサービス終了)など、実際に着用せずともフィット感やサイズ選択ができるサービスもあったように、現実のアセット以外に顧客との接点を持てるという点は大きなメリットになり得るでしょう。

        また、ハイブランドがNFTアイテムを販売するケースも増えており、価値の高いファッションNFTが広まっています。例えば、ルイ・ヴィトンは約586万円でNFTを限定発売しており、デジタルの世界においても「憧れのLOUIS VUITTON」を手にする価値を提供しています。こうしたハイブランドファッションのNFT事例については以下でも紹介しています。

        NFT×メタバースの活用実例

        続いて、2025年時点のNFT×メタバースの活用事例をご紹介します。

        The Sandbox

        出典:The Sandbox

        The Sandboxは、3Dのオープンワールドの中で、建物を建築したり自分の”オリジナルのゲーム”を作ることができます。何をするかはプレイヤーの自由で、マインクラフトに似たジャンルのゲームです。

        The Sandboxのメタバース内には「LAND」というNFT化された土地が存在し、現実世界の土地と同じように売買・所有することが出来ます。LANDを保有した人は自分の土地を自由にアレンジすることができ、自作のゲームを公開して ”ゲームセンター化”したり、何か催し物を開催したい人向けにスペースの一部を貸し出す ”貸しイベント会場化”する事もできます。

        実際に数多くのアーティスト達が自らの作品を展示する場としてThe Sandboxを利用しており、また、日本を代表するゲーム会社であるスクウェア・エニックスは会社の広報スペースとしてLANDを保有しています。

        現実世界の土地と同じように、メタバース内のLANDを起点としたさまざまなビジネススタイルが個人・企業問わず誕生している点がThe Sandboxの魅力です。

        Decentraland

        出典:Decentraland

        Decentralandは、イーサリアムブロックチェーンをベースとしたVRプラットフォームで、先程ご紹介したThe Sandbox同様、仮想空間内でゲームをしたりアイテムやコンテンツを作成・売買することが可能です。

        ゲーム性は両者共通する部分も多く、「LAND」という仮想現実内の土地を保有・マネタイズできる点や、NFT化したアイテムをメタバース内で取引できる点も同じです。

        一方、The Sandboxとの違いはその ”世界観” です。The Sandboxの世界が全て四角いブロックで構成されているのに対し、こちらのDecentralandは滑らかな3Dポリゴンで構成されており、よりポップで親しみやすい雰囲気の世界観が特徴です。

        個性派人気アーティスト「きゃりーぱみゅぱみゅ」や、世界的に有名なセレブであるパリス・ヒルトンとのファッションコラボが話題となったことからも分かるように、そのポップな世界観とファッション業界との親和性が高いこともDecentralandの特徴のひとつです。

        Axie Infinity

        Axie Infinityは、2018年にリリースされたメタバースゲームです。このゲームの特徴はAxieというNFTペットを使って対戦や育成をすることによって仮想通貨AXSを稼ぐことができる、いわゆる「Play to Earn」のゲームモデルであることです。

        元々、Axie Infinityはベトナムで開発されたこともあり、東南アジアで大きな広がりを見せています。物価も安くかつ賃金も低いこれらの国では、ゲーム内報酬だけで十分生活を送っていけるため、Axie Infinityを仕事にしている人もいたほどでした。

        このゲームは当初イーサリアムブロックチェーン上のゲームとして普及しましたが、イーサリアムブロックチェーンにて起こった取引手数料の高騰やトランザクションスピードの遅延といったスケーラビリティ問題を受け、現在は独自のイーサリアムサイドチェーン「Ronin」で稼働しています。サイドチェーンとは、メインチェーンの問題を解決するために開発された別の独立しているブロックチェーンのことです。Roninでの稼働により、Axie Infinityのプレイヤーは取引手数料が削減できるようになりました。

        ガバナンストークンであるAXSの価格が下落しているため、全盛期よりは稼げなくなっていますが、その分ピーク時に比べると初期費用が安くなっているので、少額で参入してみるのも一手でしょう。

        まとめ

        NFTを活用したメタバース市場は今後急成長することが期待されており、様々な業種の企業が参入をすでに始めています。今後もNFT×メタバースの掛け合わせによって、これまでにない新しいモノや体験が次々と生み出されていくことでしょう。

        NFT技術の音楽分野への活用〜クリエイターとリスナーが享受する新たな価値〜

        近年のNFT技術の発達により、唯一性が担保されたデジタルコンテンツの資産価値が向上してきています。NFTといえば主にデジタルアートやゲームの分野で注目が集まっていますが、NFT技術は音楽分野でも大きな可能性を秘めています。本記事では、NFT音楽とNFT技術についての基礎知識をご紹介し、さらに音楽のNFT化によって実現すること、すでに存在するNFT音楽の活用事例までを詳しく解説していきます。

          NFT×音楽分野の多様な可能性

          2021年12月、アメリカの著名シンガーである故ホイットニー・ヒューストンのデモ音源がNFT音楽オークションで約1.1億万円で落札され、”NFT音楽” への注目が一気に高まりました。

          NFT音楽とは「NFT技術を使った唯一無二の楽曲データ」を指します。NFT技術の活用は、これまでデジタルアートやトレーディングカード、ゲームの分野で注目を集めてきていますが、音楽分野へのNFT技術の活用も楽曲データの唯一無二化のみならず、転売収益の確保など様々な可能性を秘めています。

          まずはその根幹となるNFT技術について、簡単に解説していきます。

          そもそもNFTとは?

          NFT=”証明書”付きのデジタルデータ

          出典:shutterstock

          NFTを言葉の意味から紐解くと、NFT=「Non-Fungible Token」の略で、日本語にすると「非代替性トークン」となります。非代替性とは「替えが効かない」という意味で、NFTにおいてはブロックチェーン技術を採用することで、見た目だけではコピーされてしまう可能性のあるコンテンツに、固有の価値を保証しています。

          つまり簡単にいうと、NFTとは耐改ざん性に優れた「ブロックチェーン」をデータ基盤にして作成された、唯一無二のデジタルデータのことを指します。イメージとしては、デジタルコンテンツにユニークな価値を保証している”証明書”が付属しているようなものです。

          NFTでは、その華々しいデザインやアーティストの名前ばかりに着目されがちですが、NFTの本質は「唯一性の証明」にあるということです。

          NFTが必要とされる理由

          世の中のあらゆるモノは大きく2つに分けられます。それは「替えが効くもの」と「替えが効かないもの」です。前述した「NFT=非代替性トークン」は文字通り後者となります。

          例えば、紙幣や硬貨には代替性があり、替えが効きます。つまり、自分が持っている1万円札は他の人が持っている1万円札と全く同じ価値をもちます。一方で、人は唯一性や希少性のあるもの、つまり「替えが効かないもの」に価値を感じます。不動産や宝石、絵画などPhysical(物理的)なものは、証明書や鑑定書によって「唯一無二であることの証明」ができますが、画像や動画などのDigital(デジタル)な情報は、ディスプレイに表示されているデータ自体はただの信号に過ぎないため、誰でもコピーできてしまいます。

          そのため、デジタルコンテンツは「替えが効くもの」と認識されがちで、その価値を証明することが難しいという問題がありました。実際、インターネットの普及によって音楽や画像・動画のコピーが出回り、所有者が不特定多数になった結果、本来であれば価値あるものが正当に評価されにくくなってしまっています。NFTではそれぞれのNFTに対して識別可能な様々な情報が記録されています。そのため、そういったデジタル領域においても、本物と偽物を区別することができ、唯一性や希少性を担保できます。

          これまではできなかったデジタル作品の楽しみ方やビジネスが期待できるため、NFTはいま、必要とされているのです。

          NFTとブロックチェーン

          NFTはブロックチェーンという技術を用いて実現しています。

          ブロックチェーンは一度作られたデータを二度と改ざんできないようにする仕組みです。データを小分けにして暗号化し、それを1本のチェーンのように数珠つなぎにして、世界中で分散管理されています。そのため偽のデータが出回ったり、内容を改ざんしたり、データが消えたりする心配がありません。

          NFTではこのようなブロックチェーンが持つ高いセキュリティ性能を利用して、web上のデータが本物なのか偽物なのかを誰でも判別することを可能にし、データの希少性を担保できます。ブロックチェーンの活用によって、これまではできなかったデジタル作品の楽しみ方やビジネスが生まれているというわけです。

          音楽分野×NFTで実現すること

          ライブチケットの転売収益の確保

          出典:pixabay

          NFT技術を音楽分野で活用する上で、実現性が高く、また実現した際のインパクトが大きいものでまず考えられるのが「ライブチケットの転売収益の確保」です。

          現状、人気の高いミュージシャンやアイドルグループのライブチケットは高額転売に悩まされています。この場合の高額転売の弊害とは、転売による収益がクリエイター側に1円も還元されていないことを指します。

          NFT技術を活用すれば、NFT化されたデジタルチケットが転売されるたびに、クリエイター(チケットの発行者)にも手数料を還元するという仕組みが可能となります。また、NFT化されたチケットには取引履歴が全て記録されているので、仮に転売行為そのものをNGとしたい場合にも効力を発揮します。

          実際にこの「ライブチケットの転売収益の確保」のために、海外では「Afterparty(アフターパーティー)」、日本国内では「ローソンチケットNFT」という名のプロジェクトが既にそれぞれ動き出しています。

          新たなマネタイズ方法が生まれる

          出典:pixabay

          音楽クリエーターにとって、現在の音楽市場でのマネタイズはなかなか厳しいというのが現実です。その理由のひとつが、いま最も主流となっている音楽の提供の形である「ストリーミング配信」の収益性の悪さです。

          実際に、音楽ストリーミング市場の51%を占めている「YouTube」では、収益のうち7%しかクリエイターに還元されていません。また「Spotify」や「Apple Music」など大手配信プラットフォームでは1再生あたりたった0.003円しか還元されない仕組みとなっています。

          そうなった背景としては「音楽の希少価値が下がった」ことがあげられます。CD全盛期では”ジャケ買い”なる言葉があったように、音楽そのもの・CDジャケット・歌詞カードを含めたパッケージに対して3000円の価値がありました。それがストリーミング配信全盛のいま、気になった歌詞はネットで検索すればすぐに見つかり、誰かが作ったプレイリストを流して”いい感じの曲”を知る、という風に音楽は「消費される対象」となりました。

          そこで、楽曲データをNFT化して数量限定で販売し、音楽の価値を復権しようとする試みが始まっています。NFT音楽を購入するファンにとっての大きなメリットは「数量限定の楽曲を購入したのは私です」という証明ができ、心理的に他のファンとの優位性を感じられる点です。

          また、例えば100曲限定で販売された楽曲を手に入れたコアなファンがまた別のコアなファンに譲る際に、ライブチケット同様、転売収益が元のアーティストにも還元される仕組みを作ることも可能となります。

          この試みは日本国内・海外を問わず多くのクリエーターたちの間で広まりつつあります。次項で詳しく解説しますが、例えば日本では坂本龍一や小室哲也といった大御所ミュージシャン、海外ではアメリカの人気バンド「LinkinPark(リンキン・パーク)」がNFT音楽を活用した試みをスタートさせています。

          音楽分野×NFTの活用実例

          続いて、2025年時点での音楽分野×NFTの活用実例をご紹介します。

          ホイットニー・ヒューストン

          出典:billboard japan

          音楽分野×NFTの活用実例としてまずあげられるのが、本記事冒頭でもご紹介したアメリカの著名シンガーである故ホイットニー・ヒューストンの実例です。

          ホイットニー・ヒューストンは、グラミー賞の受賞歴のある世界で最も売れている歌手の一人で、2012年2月11日に48歳の若さで亡くなるまでポップ音楽の第一線で活躍し続けたレジェンドです。

          彼女が17歳の時に録音した初期のデモ音源が、NFTプラットフォームであるOneOfのオークションに出品され、史上最高額となる99万9,999ドル(約1億1,400万円)で落札されました。

          これだけの大物アーティストの音源がNFT音楽として発表されたことは大きな話題となり、「NFT音楽」の認知が一般層にまで広がるきっかけになりました。

          リアーナ

          リアーナの唐突な“復活”から、新作のプロモーション手法の変化が見えてきた
          出典:WIRED

          保有資産額は6億ドル以上ともいわれる世界的歌手のリアーナの名曲「B*tch Better Have My Money」のNFTコレクションは発表と同時に大きな話題になりました。

          このNFTの概要は、世界中に熱烈なファンがいるリアーナの楽曲を手がけた音楽プロデューサー・ジャミール・ピエール氏が自身のストリーミング権をNFT化するというもの。NFTプラットフォーム「anotherblock(アナザーブロック)」において300個限定で販売しました。

          「B*tch Better Have My Money」はYoutubeでも1.6億回再生以上されている人気曲であり、NFTの所有者はストリーミング再生による収益の0.0033%の分配を受けられるということもあり、販売開始されてからわずか数分で完売し、収益は63,000ドル(約840万円)に及びました。

          しかし、OpenSeaでは「NFTが曲の部分的な所有権であること」「将来の利益につながりうるNFTを許可していないこと」を理由に本NFTの取り扱いを停止。良くも悪くも世間から多くの注目を浴びたNFTとなりました。

          坂本龍一

          出典:Adam byGMO

          日本を代表するミュージシャンである坂本龍一氏もNFT音楽に可能性を見いだしている一人です。坂本氏は2021年12月、映画『戦場のメリークリスマス』のテーマソングとして世界的にも知られている自身の代表曲「Merry Christmas Mr. Lawrence」を1音ずつ区切った「595の音」をNFT化し販売しました。

          「595の音」がNFTマーケットプレイス「Adam byGMO」で出品されるやいなや、「坂本龍一のあの名曲の一部を自分だけのものにしたい」という思いから数多くの人々が申し込みに殺到しました。想定を超える数の海外からのアクセスに耐えきれず、サーバーが一時ダウンしたことも、このNFTの注目度の高さを表しています。

          新しい学校のリーダーズ

          出典:PR TIMES

          現在人気沸騰中の新しい学校のリーダーズも、ポリゴン(MATIC)上で数量限定のNFTを発行しました。記念すべきファーストNFTのモチーフとなったのは、ライブやグッズでおなじみの「習字」。その名も「一筆入魂NFT」です。

          このNFTは 有名ファッションデザイナーや著名なアーティストのNFT作品などを購入できるマーケットプレイス「αU market」で無料配布されました。NFTは今回のためにメンバー自身が書き下ろしたもので、KDDIが提供するメタバース「αU」と新しい学校のリーダーズとのコラボ「青春学園」のキャンペーンの一環として採用されています。

          一筆入魂NFTの所有者は、新しい学校のリーダーズが出演する2カ所のフェス「SUMMER SONIC 2023」と「TOMAKOMAI MIRAI FEST 2023」でNFTを提示すると、各会場で追加の限定NFTが獲得できます。

          限定NFTをダウンロードしたユーザーには限定コラボグッズや限定情報の公開といった特典がついており、ファンと特別なつながりを提供するプロジェクトとして注目されました。

          ヤングスキニー

          出典:ヤングスキニー公式サイト

          詩的でリアリティのある歌詞で若者を中心に絶大な人気を誇る音楽バンド・ヤングスキニーも公式NFT「ヤングスキニー Live & Documentary (2023.01.20 – 2023.04.27)」を発売しています。

          このNFTの購入者は、約123分のライブ映像に加え、2023年のワンマンツアーやフリーライブまでの道のりを収めた限定ドキュメンタリー映像を視聴することが可能です。NFTを所有しているファンだけが体験できる特別な時間を創り出すことで、新たなアーティストとファンとの関わり方が生まれてくることでしょう。

          海外と比べると有名アーティストのNFT活用は進んでいない日本ですが、彼らのような実力も知名度もあるグループがパイオニアとなって、日本のNFT業界を引っ張っていってくれることを期待しています。

          OIKOS MUSIC

          出典:OIKOS MUSIC

          OIKOS MUSICは独立系アーティスト向けに、NFTを使ったサブスク型の収益分配プラットフォームです。楽曲原盤権のうち、サブスク部分の収益に限定した収益分配権をNFT化し、ファンとのコミュニケーション機会を提供しています。

          この斬新な仕組みを提供している同サービスですが、NFTはクレジット決済が可能です。仮想通貨でのやり取りが基本となる従来のNFTでは、初心者ユーザーの参加ハードルが高いという欠点がありましたが、このプラットフォームではNFTの購入に仮想通貨のウォレットは不要です。

          また、マーケットプレイスへの出品は他レーベルのアーティストにも開放される予定であり、今後は既に活躍されているアーティストの参加も見込めます。参加アーティストによっては、国内で類を見ない大規模NFTプロジェクトになる可能性を秘めています。

          シードラウンドの第三者割当増資により、総額1.5億円の資金調達を実施するなど着実に成長を見せているOIKOS MUSIC。アーティストとファンの関係性・応援文化の新しいカタチが、生まれつつあります。

          まとめ

          本記事では、音楽分野へのNFT技術の活用について解説してきました。

          音楽分野へNFT技術を活用することにより、クリエイターにとっては新たなマネタイズの可能性が、リスナーにとっては好きなクリエイターの作品を自分だけのものにできるという新たな価値が生まれます。

          一部のクリエイター達の間ではNFTがすでに注目を集め、実際に自身の作品をNFTとして販売する動きも活発化してきています。今後、著名アーティストの参入がさらに進めば、音楽とNFTの掛け合わせは爆発的に広まっていくことでしょう。

          【2025年】NFTアートとは?芸術分野へのNFT活用事例も掲載

          近頃、「NFT=Non-Fungible Token(非代替性トークン)」がメディアやSNSに取り上げられることも増えてきましたが、その中でも ”アート” へのNFT利用が特に注目を集めています。とある画像データに75億円もの価値がついたり、数々の著名人が積極的に参入するなど話題に事欠かないNFTアート。 本記事ではそんなNFTアートについて、NFTの基礎知識やメリットを交えながら解説していきます。

            NFTアートはNFT活用の火付け役

            出典:pixabay

            NFTへの注目が拡大していくきっかけとなったのは、アート分野に対してNFTが活用され、それらが非常に高い金額で取引されたことでしょう。

            例えば、2021年3月に海外クリエイター「Beeple」氏が作成したデジタルアート作品が約75億円もの高額で取引され、2021年8月には東京都在住の8歳の少年が描いたデジタルアート3枚が約200万円で落札されました。一見すると普通の 「画像データ」にも関わらず、驚くような高値がつくというそのギャップによって多くの人々が驚き、世界的な話題を呼びました。

            また、上記のような高値での取引以外に、人気アイドルグループSMAPの元メンバーである香取慎吾さんや人気女優の広瀬すずさんといった著名人がNFTアートに次々と参入したことも、日本国内でNFTアートが注目を集めた要因の一つです。

            2025年現在では、ゲームや音楽、スポーツなど様々な分野へNFTが活用されていますが、その火付け役となったのは、こういったアートの分野でした。そんなNFTアートについての解説や事例をご紹介する前に、まずはNFTそのものについて簡単に解説していきます。

            そもそもNFTとは?

            NFT=”証明書”付きのデジタルデータ

            出典:shutterstock

            NFTを言葉の意味から紐解くと、NFT=「Non-Fungible Token」の略で、日本語にすると「非代替性トークン」となります。非代替性とは「替えが効かない」という意味で、NFTにおいてはブロックチェーン技術を採用することで、見た目だけではコピーされてしまう可能性のあるコンテンツに、固有の価値を保証しています。

            つまり簡単にいうと、NFTとは耐改ざん性に優れた「ブロックチェーン」をデータ基盤にして作成された、唯一無二のデジタルデータのことを指します。イメージとしては、デジタルコンテンツにユニークな価値を保証している”証明書”が付属しているようなものです。

            NFTでは、その華々しいデザインやアーティストの名前ばかりに着目されがちですが、NFTの本質は「唯一性の証明」にあるということです。

            NFTが必要とされる理由

            世の中のあらゆるモノは大きく2つに分けられます。それは「替えが効くもの」と「替えが効かないもの」です。前述した「NFT=非代替性トークン」は文字通り後者となります。

            例えば、紙幣や硬貨には代替性があり、替えが効きます。つまり、自分が持っている1万円札は他の人が持っている1万円札と全く同じ価値をもちます。一方で、人は唯一性や希少性のあるもの、つまり「替えが効かないもの」に価値を感じます。不動産や宝石、絵画などPhysical(物理的)なものは、証明書や鑑定書によって「唯一無二であることの証明」ができますが、画像や動画などのDigital(デジタル)な情報は、ディスプレイに表示されているデータ自体はただの信号に過ぎないため、誰でもコピーできてしまいます。

            そのため、デジタルコンテンツは「替えが効くもの」と認識されがちで、その価値を証明することが難しいという問題がありました。実際、インターネットの普及によって音楽や画像・動画のコピーが出回り、所有者が不特定多数になった結果、本来であれば価値あるものが正当に評価されにくくなってしまっています。NFTではそれぞれのNFTに対して識別可能な様々な情報が記録されています。そのため、そういったデジタル領域においても、本物と偽物を区別することができ、唯一性や希少性を担保できます。

            これまではできなかったデジタル作品の楽しみ方やビジネスが期待できるため、NFTはいま、必要とされているのです。

            NFTとブロックチェーン

            NFTはブロックチェーンという技術を用いて実現しています。

            ブロックチェーンは一度作られたデータを二度と改ざんできないようにする仕組みです。データを小分けにして暗号化し、それを1本のチェーンのように数珠つなぎにして、世界中で分散管理されています。そのため偽のデータが出回ったり、内容を改ざんしたり、データが消えたりする心配がありません。

            NFTではこのようなブロックチェーンが持つ高いセキュリティ性能を利用して、web上のデータが本物なのか偽物なのかを誰でも判別することを可能にし、データの希少性を担保できます。ブロックチェーンの活用によって、これまではできなかったデジタル作品の楽しみ方やビジネスが生まれているというわけです。

            アート×NFTで実現すること

            唯一無二という価値が生まれる

            出典:pixabay

            前述のように実物の絵画や美術品といったPhysical(物理的)なものは、証明書や鑑定書によって「唯一無二であることの証明」ができます。しかし、アーティストが描いたデジタル作品に対して ”唯一無二の本物” であるという証明をすることは不可能に近く、コピーやスクリーンショットがWEB上に溢れてしまうことは容易に想像がつきます。

            NFTがアート分野に適用されれば、NFT技術によって ”唯一無二の本物” であるという証明がなされた「自分が好きなアーティストが描いたデジタル作品」を、自分だけのモノにできます。それにより、作品やアーティストに対してさらに愛着が持てるようになったり、ファンコミュニティの中で「自分はあのデジタルアートを所有する特別なファンだ」といった心理的な優越感を得たりできるのです。

            クリエイターとしても、自分の作品を気に入ってくれた特別なファンの存在を、NFTアートを通してこれまでよりも近く感じることができるでしょう。

            新たなマネタイズ方法が生まれる

            出典:pixabay

            従来であればアーティストが自分の作品を出品する際に、ギャラリーや仲介業者に少なくない金額の手数料を差し引かれる事が多かったため、アーティスト活動だけで生計をたてられる人はほんの一握りでした。

            一方で、NFTアートはWEB上で誰でも手軽に出品することができ、出品手数料もかからない、あるいは従来に比べれば非常に少なくすみます。出品の手軽さとマネタイズのしやすさが相まって、アーティストたちはより多くの収入を得るチャンスが増えます。

            また、NFTの技術をアートに活用することで、そのアートが転売されるたびに作者の元に収益を還元する仕組みが実現できます。無名時代に描いた作品が有名になってから高値で取引されるようになると作者自身にもその利益が還元されるため、収益だけでなく作り手のモチベーションアップにもつながります。

            NFTによってアートの新たなマネタイズ方法が生み出されると、収入面で夢を諦めていた多くの才能あるクリエイター達のモチベーションアップに繋がり、ゆくゆくはアート市場そのものが盛り上がっていくことが期待できます。

            NFTアートの実例

            続いて、2025年時点でのNFTアートの実例をご紹介していきます。

            「Everydays: The First 5000 Days」by Beeple

            出典:Christie’s

            NFTアートの代表作ともいえるのが「Everydays-The First 5000Days」です。海外アーティストであるBeeple氏によって作られたこちらの作品は約75億円で落札されたNFTであり、これは、執筆時点でNFT史上最高の取引額とされています

            このNFTは、Beeple氏が10数年間毎日作成し続けたプロジェクトである「EVERY DAYS」の作品をまとめて1つのNFTとした作品で、その価格のインパクトも相まって、同作品は「世界で最も有名なNFTアート」としても知られています。

            Beeple氏は、NFTに注力するまでは世界的に注目されるほどのアーティストではありませんでしたが、今ではNFTアートの先駆者として世界中で認知されているアーティストとなりました。

            Bored Ape Yacht Club(BAYC)

            出典:Rolling Stone

            「NFTは知らないけど、この猿の絵は知ってる」という方もいるかもしれません。

            NFTの代表例であるこの「Bored Ape Yacht Club(BAYC)」は、アメリカのNFTスタジオであるYuga Labsが制作する類人猿をモチーフにしたNFTアートコレクションです。顔のパーツや表情、服装などバリエーションの異なる1万点のNFTアートが発行され、同じ絵柄は1枚として存在しません。

            このクオリティと生成数を実現できるのは、BAYCがジェネレーティブNFTだからです。ジェネレーティブNFTとは、プログラミングによって、形、フォーム、色、パターンを自動生成するNFTアートのことを指します。

            独特なデザインにもかかわらず、他の人とは被らない」という面白さがNFTコレクターのみならず、一般のユーザーにもハマり、NFTという存在が広く認知されたという功績は計り知れません。海外のセレブや著名人を発端に、SNSのアイコンを自分が所有しているNFTアートにすることが流行したことが、冒頭のような認知を得るきっかけになったのかもしれません。

            2023年9月には、日本発のストリートウェアブランド「A BATHING APE®(ア・ベイシング・エイプ)」とのコラボレーションを発表するなど、まだまだ衰えを見せていない人気NFT。気になった方は、このシリーズでNFTデビューをするのも悪くないでしょう。

            CryptoPunks(クリプトパンク)

            出典:CryptoPunks

            CryptoPunks(クリプトパンク)は、2017年に誕生した世界最古といわれているNFTアートコレクションで、ドット絵の男女やレアキャラのエイリアンやゾンビなどが描かれています。こちらもBored Ape Yacht Club(BAYC)同様ジェネレーティブNFTであり、同じ絵柄は1枚として存在しません。

            リリース当初は無料配布されていましたが、作品の総発行枚数は1万点と限りがあり、その希少性から数千万円以上の値段が付けられるまでに価格が高騰しています。その高額な値段から一種の投資商品のような扱いをされており、いまでは多くの有名投資家が保有しています。

            また、CryptoPunksはフルオンチェーン、つまり全てのNFTデータがブロックチェーン上に記録されています。実は、多くのNFTプロジェクトではブロックチェーン上に画像データの保存場所を指定する「URL(文字列)」のみ記録する方法が採られています。

            フルオンチェーンNFTはデータ容量の上限が非常に少ない点やコストがかかってしまうというデメリットがありますが、CryptoPunksは24×24ピクセルのドット絵のため、データ容量を小さく抑えられ、フルオンチェーンを成立させています。

            永続性を実現するフルオンチェーンで実装されている点もCryptoPunksが高い評価を得ている理由の1つだといえるでしょう。

            また、その注目はクリプト界隈に留まらず、多くの企業とのコラボが実現しています。2022年にはティファニーがCryptoPunksをカスタムデザインのペンダントに変換するプロジェクトを発表しました。それぞれのペンダントには、少なくとも30石のジェムストーンやダイヤモンドが使用され、所有者のCryptoPunksに忠実なペンダントが作成できるとのことです。

            ティファニーがNFTに参入!「NFTiff」を250個限定で発売。 | Vogue Japan

            「Zombie Zoo」by Zombie Zoo Keeper

            出典:BuzzFeed News

            「Zombie Zoo(ゾンビ・ズー)」は、2021年に当時8歳の日本人の少年によって始められたNFTアートプロジェクトです。彼が夏休みの自由研究として描いた3枚のデジタルアートを、母親の協力のもと世界最大手のNFT取引所『OpenSea(オープンシー)』に出品したところ、世界的に有名なDJによって約240万円で落札されました。

            その後も人気銘柄として話題を独占したZombie Zooは取引総額4400万円を突破するなど、小学生がクリエイターの作品としては異例のヒットとなりました。東映アニメーションによるアニメ化プロジェクトも始動するなど、日本人の、しかもたった8歳によるNFTアート作品とあって、非常に多くの注目を集めたNFTアートプロジェクトの一つとして押さえておくといいでしょう。

            余談ですが、彼の母親である草野絵美氏は自身もアーティストとして活躍されており、映像クリエイターの​​大平彩華と日本発のNFTコレクション「新星ギャルバース」を立ち上げています。

            こちらは取引総額16億円を突破するなど、世界的にも大注目を集めるNFTで、グラミー賞ノミネート・アーティス​​ト、トーヴ・ロー『I like u』のオフィシャルMV​​にも採用されています。

            Murakami.Flowers Official

            出典:designboom

            Murakami.Flowersは、日本を代表する世界的アーティスト・村上隆氏が、自身の代表作でもある「フラワー」をドット柄で表現したNFTアートです。

            このNFTは発行数が、花の108種と背景の108種の組み合わせで構成されており、合計で11,664種となっています。この数は煩悩の数である108に由来するモノであり、1万個以上存在するNFTのうち108個は「Bonnō Proof」という特別な位置付けにあるレアリティの高いNFTとなっています。

            自身の死後、このNFTのメカニズムが変化することも示唆しており、公式Twitterは11万を超えるフォロワーがいるなど世界中が注目するNFTプロジェクトです。

            このプロジェクトはインターネット界への貢献として国内外からも評価され、村上氏は「卓越したインターネット上の活動」を表彰するウェビー特別功労賞を受賞。同氏はナイキの傘下であるRTFKTスタジオとのコラボレーション「クローンX(CloneX)」でもNFTを手がけており、アートとNFTの関係への期待が透けて見えます。

            NFTがもつ永続性は、村上氏の「自身の死後でも、作品の価値が生き続ける」というモットーにも相容れるところがあるのではないでしょうか。

            Matter is Void

            この作品は、かの有名なスペシャリスト集団・チームラボが制作した7つのNFTアート作品群の一つです。それぞれの作品は、独特なグラフィックで「Matter is Void」(意:物質は空虚)と書かれており、それらの文字は常に回転を繰り返し、独自の模様へと変化します。

            いままで紹介してきたNFTとは少しテイストの異なったこのNFTには、NFTの所有者が作品内の言葉を自由に書き換えることができるという珍しい特徴があります。

            7作品それぞれ購入可能なNFTは1つですが、NFTを所有しているか所有していないかにかかわらず、作品自体は誰でもダウンロードし所有することができます。しかし、NFTの所有者がステートメントを変更すると、世界中の人がダウンロードして所有している全ての作品が、その言葉に書き変わります。

            NFT所有者の言葉次第で、作品の価値が変化するだけでなく、ダウンロードされたり展示されたりする作品数の増減にも影響があるでしょう。オリジナルNFTとレプリカの区別や、常に変化し続ける作品というのは、NFTやデジタルアート特有の表現といえるでしょう。

            From the Fragments of Tezuka Osamu(手塚治虫のかけらたちより)

            出典:美術手帖

            日本を代表する漫画家である手塚治虫氏の代表作品を題材に展開されたNFTプロジェクト「From the Fragments of Tezuka Osamu(手塚治虫のかけらたちより)」において、「鉄腕アトム」「火の鳥」「ブラック・ジャック」を題材としたNFTモザイクアートが世界最大手のNFT取引所「OpenSea(オープンシー)」に出品され、話題になりました。

            このモザイクアートは、手塚治虫漫画のカラー原画840枚と4000枚以上の白黒漫画原稿で構成されており、 モザイクの色味を一つひとつ手作業で調整したまさに力作となっています。 遠くから一枚の絵画としてキャラクターを鑑賞するだけではなく、拡大すればモザイク素材一枚一枚から手塚治虫氏の漫画への情熱や、想いを感じ取ることができます。

            また、同時にジェネレーティブNFTの販売も行っており、モザイクアートNFTで使用した画像素材をもとにランダム生成されたアート作品をそれぞれの題材ごとに1000枚の販売をしました。これらの売上の一部は、ユニセフやあしなが育英会といった子どもたちを支援している団体に寄付されたということです。

            まとめ

            今回はNFTアートについて解説し、実際の事例をご紹介してきました。

            NFTアートはクリエイターと買い手の双方にとってより良い体験をもたらす革新的な技術です。一方で、NFTアートは依然目新しいモノとして捉えられており、高額な金額で投機的に取引されることに注目が集まりがちです。

            今後は、アートの原点である ”純粋に気に入った作品を購入する” という向き合い方が広まり、現実のアートのように人々の生活の一部となっていくことを期待します。

            NFTマーケットプレイスとは?取引所の概要から選び方・それぞれの違いを解説

            仮想通貨を含むブロックチェーン業界全体はいま、冬の時代を迎えつつあります。ビットコインやイーサリアムが過去最高額を更新した2021年と比べると、話題性だけではなく取引量やアクティブユーザーが減少しているこの現状はいささか厳しいといわざるを得ません。

            一方で、デジタル資産「NFT」の取引が、度々明るいニュースを運んできてくれます。今回は、そのNFT取引の中心的な役割を果たす「NFTマーケットプレイス」の概要から、それぞれの特色や違いまで解説していきます。

              NFTマーケットプレイスとは?

              NFTマーケットプレイスとは、クリエイターが自分で制作したNFT作品を出品販売したり、自分が所有するNFT作品を購入者同士で取引できる、NFT作品の売買プラットフォームです。個人間でモノを売買するメルカリやラクマの ”デジタルデータ版” をイメージすれば理解できるかと思います。

              NFTマーケットプレイスでできることは以下です。

              1. NFT作品を出品・販売する
              2. 販売されているNFT作品を購入する
              3. 購入したNFT作品を更に二次販売する

              基本的にNFT作品は、購入者によって二次販売された際にも元のクリエイターに利益が還元される仕組みとなっています。しかし、マーケットプレイスによっては二次販売が禁止されていたり、運営から承認されたクリエイターしか出品できない、などの制限がある場合もあります。


              現在、世に流通しているNFT作品のほとんどは、仮想通貨の一つであるイーサリアムのブロックチェーンを基盤として作成されています。そのため、NFTマーケットプレイスでは決済手段にイーサリアムが採用されている場合がほとんどです。

              では、数ある中からどのようにして利用するNFTマーケットプレイスを決めれば良いのでしょうか。そちらを解説する前にまずは「そもそもNFTって何なの?」という疑問を抱えている人のために、NFTについて簡単に解説します。

              そもそもNFTとは?

              NFT=”証明書”付きのデジタルデータ

              出典:shutterstock

              NFTを言葉の意味から紐解くと、NFT=「Non-Fungible Token」の略で、日本語にすると「非代替性トークン」となります。非代替性とは「替えが効かない」という意味で、NFTにおいてはブロックチェーン技術を採用することで、見た目だけではコピーされてしまう可能性のあるコンテンツに、固有の価値を保証しています。

              つまり簡単にいうと、NFTとは耐改ざん性に優れた「ブロックチェーン」をデータ基盤にして作成された、唯一無二のデジタルデータのことを指します。イメージとしては、デジタルコンテンツにユニークな価値を保証している”証明書”が付属しているようなものです。

              NFTでは、その華々しいデザインやアーティストの名前ばかりに着目されがちですが、NFTの本質は「唯一性の証明」にあるということです。

              NFTが必要とされる理由

              世の中のあらゆるモノは大きく2つに分けられます。それは「替えが効くもの」と「替えが効かないもの」です。前述した「NFT=非代替性トークン」は文字通り後者となります。

              例えば、紙幣や硬貨には代替性があり、替えが効きます。つまり、自分が持っている1万円札は他の人が持っている1万円札と全く同じ価値をもちます。一方で、人は唯一性や希少性のあるもの、つまり「替えが効かないもの」に価値を感じます。不動産や宝石、絵画などPhysical(物理的)なものは、証明書や鑑定書によって「唯一無二であることの証明」ができますが、画像や動画などのDigital(デジタル)な情報は、ディスプレイに表示されているデータ自体はただの信号に過ぎないため、誰でもコピーできてしまいます。

              そのため、デジタルコンテンツは「替えが効くもの」と認識されがちで、その価値を証明することが難しいという問題がありました。実際、インターネットの普及によって音楽や画像・動画のコピーが出回り、所有者が不特定多数になった結果、本来であれば価値あるものが正当に評価されにくくなってしまっています。NFTではそれぞれのNFTに対して識別可能な様々な情報が記録されています。そのため、そういったデジタル領域においても、本物と偽物を区別することができ、唯一性や希少性を担保できます。

              これまではできなかったデジタル作品の楽しみ方やビジネスが期待できるため、NFTはいま、必要とされているのです。

              NFTとブロックチェーン

              NFTはブロックチェーンという技術を用いて実現しています。

              ブロックチェーンは一度作られたデータを二度と改ざんできないようにする仕組みです。データを小分けにして暗号化し、それを1本のチェーンのように数珠つなぎにして、世界中で分散管理されています。そのため偽のデータが出回ったり、内容を改ざんしたり、データが消えたりする心配がありません。

              NFTではこのようなブロックチェーンが持つ高いセキュリティ性能を利用して、web上のデータが本物なのか偽物なのかを誰でも判別することを可能にし、データの希少性を担保できます。ブロックチェーンの活用によって、これまではできなかったデジタル作品の楽しみ方やビジネスが生まれているというわけです。

              NFTマーケットプレイスの選び方

              出典:pixabay

              NFTについて軽く振り返りをしたところで次はNFTマーケットプレイスの選び方について見ていきます。NFTマーケットプレイスには数多くの種類があります。それぞれ特色があるため、どの取引所を利用するか選ぶ際には、以下3つのポイントに着目してみましょう。

              取り引きしたいNFTのジャンルで選ぶ

              NFTマーケットプレイスは、それぞれ取り扱うNFTのジャンルに特色があります。例えば、ゲームアイテムやトレーディングカードの取引に強みを持つマーケットプレイスもあれば、デジタルアートや音楽NFTに特化したもの、また、あらゆるジャンルを幅広く取り扱う総合型のマーケットプレイスもあります。

              特定のジャンルのNFTを積極的に取引したい場合は、専門性の高いマーケットプレイスを選ぶことで、より豊富なコレクションの中からお気に入りのNFTを見つけることができます。一方、ジャンルにこだわらずさまざまなNFTを試してみたい場合は、複数のカテゴリを扱うマーケットプレイスを選ぶのが良いでしょう。

              売買に利用できる仮想通貨の銘柄で選ぶ

              NFTの売買には仮想通貨を使用するのが一般的ですが、マーケットプレイスごとに対応している仮想通貨の種類が異なります。これは、NFTマーケットプレイスが利用するブロックチェーンの種類によるものです。

              多くのマーケットプレイスでは、NFT技術の基盤となっているイーサリアム(ETH)を決済手段として採用していますが、一部ではソラナ(SOL)やポリゴン(MATIC)など、異なるブロックチェーンを利用したNFTの取引が可能なプラットフォームもあります。また、近年では日本円やクレジットカード決済に対応しているマーケットプレイスも登場しており、仮想通貨を持っていない初心者でも利用しやすくなっています。

              そのため、取引をスムーズに行うためには、自分が使いたい仮想通貨や支払い方法に対応しているマーケットプレイスを選ぶことが重要です。

              取引時に発生する手数料で選ぶ

              NFTを売買する際には、マーケットプレイスごとに異なる手数料が発生します。手数料には、出品時の手数料、取引が成立した際の手数料、ガス代(ブロックチェーン上での取引処理に必要な手数料)など、さまざまな種類があります。

              マーケットプレイスによっては、取引手数料が高めに設定されているものもあれば、手数料を抑えることでユーザーの負担を軽減しているものもあります。特に、頻繁にNFTの売買を行う場合は、手数料の差がコストに大きく影響するため、あらかじめ比較しておくことが重要です。また、一部のプラットフォームでは、独自のトークンを使用することで手数料が割引される仕組みを導入しているケースもあります。

              NFTの取引をより快適に行うためには、コストを抑えつつ、自分の取引スタイルに合ったマーケットプレイスを選ぶことが大切です。

              注目すべきNFTマーケットプレイス

              OpenSea

              出典:OpenSea
              取り扱いコンテンツデジタルアート、ゲームアセット、トレーディングカード、デジタルミュージック、ブロックチェーンドメイン、ユーティリティトークンなど
              基盤ブロックチェーンEthereum、Polygon、Klaytn、Solana、Avalanche、BNB Chain、Optimism、Arbitrum
              決済通貨イーサリアム(ETH)、ソラナ(SOL)、ベーシックアテンショントークン(BAT)など
              販売手数料2.5%

              OpenSeaは、2017年にサービスを開始した最古参かつ最大手のNFTマーケットプレイスです。2017年のサービス開始後はどんどん市場規模を拡大し、2023年7月時点で1.67億ドルの月間取引高を誇ります。

              NFT出品数も8000万点を超え、取り扱うジャンルもデジタルアートやゲームアセットなど多種多様であり、ユーザーはウォレットを接続するだけでNFTの作成や売買が可能となっています。

              その作品の中には数々の有名人によるNFTもあり、例えばお笑いコンビ「キングコング」の西野亮廣氏や、世界的に著名な現代アーティストである村上隆氏などが自身のNFT作品をOpenSeaに出品しています。


              OpenSeaの特徴のひとつに、複数のブロックチェーンに対応していることが挙げられます。一般的なNFTマーケットプレイスが対応しているブロックチェーンはイーサリアムのみであることが多いですが、OpenSeaの場合イーサリアムに加えてPolygon(ポリゴン)やKlaytn(クレイトン)、Solana(ソラナ)といったブロックチェーンにも対応しています。

              このようにさまざまなブロックチェーンに対応しているため、ガス代(仮想通貨自体の手数料、検証作業をおこなったネットワーク参加者に報酬として分配されている)の軽減が可能です。複数のブロックチェーンを利用できることで、ガス代が高いといわれているイーサリアム以外も選択でき、比較的コストを下げて取引することができます。

              また、複数のブロックチェーンに対応していることで、扱えるNFT作品のジャンルや数も豊富となっています。

              Blur

              出典:Blur
              取り扱いコンテンツデジタルアート、ゲームアセット、トレーディングカード、デジタルミュージック、ブロックチェーンドメイン、ユーティリティトークンなど
              基盤ブロックチェーンEthereum
              決済通貨イーサリアム(ETH)
              販売手数料0%

              Blur(ブラー)は、2022年10月にローンチした新興のNFTマーケットプレイスです。

              「プロトレーダー向けのマーケットプレイス」を謳っているBlurでは、外部マーケットプレイスを横断して取引が行える(各マーケットの出品状況や価格を確認・比較しながら効率的に取引ができる)「アグリゲーター機能」や、独自トークン「BLUR」のエアドロップ(あらかじめ定められた条件をクリアすると、トークンを無料でもらえるイベント)を積極的に行っています。

              こうした独自の路線を突き進むBlurは、正式ローンチからわずか1年足らずで業界最大手のOpenSeaの取引量を上回るなど、驚異的な成長を見せるNFTマーケットプレイスとして注目されています。

              ユーザーから見たBlurの最大のメリットは、販売手数料が無料であるということでしょう。前述のOpenSeaでは、販売手数料が2.5%がかかりますが、Blurでは無料で利用することができます。

              また、イーサリアムETH(イーサ)自体はERC-20という共通規格に対応していないため、OpenseaではNFTに対して入札するためにはwETHにスワップ(交換)する必要がありました。しかし、BlurではETHのままの入札が可能です。そのため、入札の取り消し時にガス代が発生しません。

              このようにBlurには、一度に多くのNFT作品を売買するトレーダーにとっては、コストを抑えられるという大きなメリットがあり、今後も活発に取引がされていくと予想されます。

              Coincheck NFT

              出典:Coincheck NFT
              取り扱いコンテンツゲームアセット、トレーディングカードなど
              基盤ブロックチェーンイーサリアム
              決済通貨ビットコイン(BTC)、イーサリアム(ETH)、リスク(LSK)、リップル(XRP)、ライトコイン(LTC)、ビットコインキャッシュ(BCH)、ステラルーメン(XLM)、クアンタム(QTUM)、ベーシックアテンショントークン(BAT)、モナコイン(MONA)、ポルカドット(DOT)など
              販売手数料10%

              Coincheck NFTは、日本国内最大級の仮想通貨取引所であるCoincheckが運営しているNFTマーケットプレイスです。運営元が暗号資産取引サービスを行っているため、ビットコインやイーサリアムはもちろん、Coincheckで取り扱いのある10種類以上の通貨で売買をすることが可能です。

              Coincheck NFTの最大の魅力は、オフチェーン取引に対応している点です。オフチェーン取引とはブロックチェーン外での取引のことを指します。

              イーサリアムブロックチェーン上で発行されたNFTは、イーサリアムブロックチェーン内でそのまま取引することになり、その際に「ガス代」と呼ばれる手数料を支払わなければいけません。そして「ガス代」はユーザー数が増えるにつれて高額になってしまうため、NFT市場が拡大中の今、イーサリアムのガス代の高騰が大きな問題となってしまっています。

              Coincheck NFTの場合、NFTの取引履歴をブロックチェーンに記録しない「オフチェーン」でおこなっているため、高額なガス代を支払うことなくNFT作品を売買することが可能です。

              こうした決済通貨の豊富さやガス代の削減により、国内最大手のNFTマーケットプレイスに君臨しているのがこのCoincheck NFTです。

              LINE NFT

              出典:LINE NFT
              取り扱いコンテンツゲーム、スポーツ、アニメ、キャラクターなど
              基盤ブロックチェーンLINE Blockchain
              決済通貨LINE Pat、LINK
              販売手数料アイテムごとに異なる

              LINE NFTは2022年4月にサービスを開始した新しいNFTマーケットプレイスです。

              LINE NFTの特徴はその手軽さです。我々、日本人にとってお馴染みのLINEアプリの基盤を活かしてNFTの購入から二次流通までを手軽に実現でき、特にLINE Payを通じて日本円での決済が可能な点が非常に便利です。

              また、普段から使っているLINE IDを使って登録できるデジタルアセット管理ウォレット「LINE BITMAX Wallet」と連携しており、NFT取引のために仮想通貨ウォレットを用意しなくてもOK。初めてのユーザーにも優しいサービス設計となっており、NFTデビューにもうってつけです。

              さらに、LINE NFTでは、運営からの認定を受けた企業やクリエイターだけが出品できる仕組みになっています。大手NFTマーケットプレイスでは、誰でも簡単にNFTを出品しているため市場の流動性はありますが、偽物や模造品などの低クオリティなNFTもマーケットに並んでしまいます。

              しかし、LINE NFTでは運営側がしっかりと出品者を審査できるため、NFTの質がある程度担保されています。誰でも安心してNFT取引が楽しめる点は大きなメリットといえるでしょう。

              圧倒的な手軽さが売りの一方で、NFTの醍醐味である「複数のサービスをまたいだ取引」は今の所できません。LINEが運用するブロックチェーン:LINE Blockchainは、同社が独自に開発した「プライベートチェーン」であり、イーサリアムなどの他のブロックチェーンとの互換性が無いためです。

              こういったデメリットも存在しますが、LINEは独自のエコシステムを構築するのに長けた企業でもあります。実際にすでに国内でもスポーツ・音楽などエンタメ分野でのコラボがたくさん生まれており、赤西仁さんや今田美桜さん、Nissy(⻄島隆弘)さんといった数々の芸能人も参加しています。

              株式会社電通やGMO NIKKO株式会社といった名だたる企業がセールスパートナーとなっており、勢いのあるNFTマーケットプレイスです。

              Rakuten NFT

              出典:Rakuten NFT
              取り扱いコンテンツアニメ、アイドルなど15以上のカテゴリー
              基盤ブロックチェーン自社ブロックチェーン
              決済通貨クレジットカード、楽天ポイント※パックの購入のみイーサリアム(ETH)での決済が可能
              販売手数料14%

              RAKUTEN NFTは、大手通販サイトの楽天グループが運営するNFTマーケットプレイスで、日本円や楽天ポイントで決済できるのが特徴です。先述したLINE NFT同様、手軽に簡単に取引がスタートできるNFTマーケットプレイスです。

              また、独自のブロックチェーンを基盤としている点もLINE NFTと似ており、他のブロックチェーンとの互換性はありません。NFT作品の保管・管理が楽天という一企業に大きく依存している点が他のNFTマーケットプレイスと大きく異なる点です。

              面白いのは、購入時に楽天ポイントが貯まり、支払い時には楽天ポイントで決済できるという点です。一部のマーケットプレイスでは、独自のトークンを付与して取引の活性化を図っていますが、Rakuten NFTでは楽天ポイントという既存のリソースを生かして取引の活性化を実現しています。

              これはweb2.0とweb3.0の融合ともいえるケースで、ユーザーとしてもweb3.0に触れるハードルはそんなに高く感じないはずです。既存のポイントシステムの延長としてNFTを体験することができ、手軽にNFTの購入ができる設計であることには注目です。

              販売手数料が割高な点や仮想通貨での決済対応は一部のみである点などには様々な意見もありますが、大手企業が運営していることや独自のシステムなどが評価され、こちらも人気のNFTマーケットプレイスとなっています。

              Adam byGMO

              出典:Adam byGMO
              取り扱いコンテンツデジタルアート、デジタルミュージックなど
              基盤ブロックチェーンイーサリアム
              決済通貨イーサリアム、銀行振込、クレジットカード
              販売手数料5%(二次流通時)

              Adam byGMOは、インターネットグループ会社として知られるGMOグループの子会社が運営しているNFTマーケットプレイスです。

              Adam byGMOの最大の特徴は、決済通貨がイーサリアムだけでなく日本円に対応していることです。一般的なECサイトと同様、銀行振込やクレジットカードによる決済が可能なので、暗号資産を保有していないNFT初心者の方でも簡単にNFT作品を購入することができます。

              取り扱いコンテンツは、アートや音楽、漫画などです。音楽家の坂本龍一氏や小室哲哉氏、漫画家の東村アキコ氏など多くの著名人がすでにNFT作品を出品したことでも話題となりました。

              また、二次流通させる場合には作品の売却額の5%が販売手数料として発生し、作者にも売上金からロイヤリティを支払います。クリエイターには最初の売上金しか入らない他のプラットフォームと比べると、ユーザーだけでなくクリエイターにとってもメリットの大きいNFTマーケットプレイスであり、さらなる出品数の増加にも期待できます。

              まとめ

              今回はNFTマーケットプレイスに関して説明してきました。

              NFT化されたデジタルコンテンツを取引できる場が生まれた事により、クリエイター・購入者双方にとって新たな価値を創出することができるようになりました。

              一方で、NFT”マーケットプレイス”に限らず、NFTそのものの歴史がまだまだ浅いため、法整備が完全には整っていません。

              法律的な整備が進んでいないため、NFTの取引で金銭的な損失があった場合には、法律的な保護が受けられず自己責任となってしまうこともあるでしょう。また、きちんと定まっているわけでは有りませんが、NFT作品を売却した際に得た利益は雑所得としてみなされ、課税対象となる可能性が高いため注意が必要です。

              NFT自体の認知がより広まり、NFTに関する法整備が整っていけば、NFTマーケットプレイスを含むNFT市場のさらなる拡大が期待できます。

              NFTのスポーツ業界への活用〜新時代のファンビジネスと可能性〜

              NFT=「Non-Fungible Token(非代替性トークン)」は、デジタルデータを替えの効かない唯一無二のものにできる技術で、アートやゲーム、音楽など様々なカテゴリーで活用されはじめています。特に、今回ご紹介するスポーツの分野では、選手やクラブとファンとのエンゲージメントを高める手段として大きな可能性を秘めています。

              本記事では、NFTの基本知識から、スポーツ×NFTによってどんなメリットが生まれるのかを解説し、そして具体的な活用事例についてご紹介していきます。

              スポーツ分野へのNFT活用が進んでいる

              出典:pixabay

              サッカーや野球、バスケットボールを始めとする「スポーツ」は、いつの時代も世界中の人々を熱狂させる非常に魅力的なコンテンツです。自分が応援するチームのドラマチックな勝利をリアルタイムで観戦したり、好きな選手の活躍をその目に焼き付けることは、替えの効かない素晴らしい体験となります。

              近年、そういったスポーツへNFT=「Non-Fungible Token(非代替性トークン)」を活用する動きが世界中で拡大しています。NFTとは「デジタルデータを替えの効かない唯一無二のものにできる技術」のことで、1試合ごとに何らかのドラマが生まれ、同じシーンが二度と起こらないスポーツとは非常に親和性が高いといわれています。

              スポーツとNFTの親和性の高さは以前から着目されており、2019年には既に「Sorare(ソラーレ)」というサッカーのトレーディングカードゲームがNFTをいち早くスポーツに取り入れています。続いて、2020年に米プロバスケットボールリーグであるNBAがNFT市場に参入、さらに2022年には米メジャーリーグ(MLB)が参入してきました。また、日本でもサッカーのJリーグやプロ野球の一部チームでNFT活用の動きが活発化しています。これら活用事例の詳細については後ほど詳しくご紹介します。

              スポーツ分野におけるNFT活用は、単にデジタルグッズの販売にとどまらず、以下のような形で進化しています。

              • デジタルコレクション:スポーツチームや選手が限定版のNFTを発行し、トレーディングカードのようにコレクションアイテムとして提供。
              • ファンエンゲージメント:NFT保有者限定のコミュニティへの参加権を付与し、ファン同士の交流を促進。
              • チケットのデジタル化:チケットの不正転売を防止し、安全な取引を実現。
              • メタバースとの融合:メタバース空間でアバターが着用できるNFTユニフォームや、NFT応援グッズを提供。
              • クラウドファンディングとの連携:NFTをクラウドファンディングのリターンとして提供し、ファンからの支援を募る。

              こうしたNFTの活用は、単なるトレンドではなく、スポーツ業界の新たな可能性を切り開く技術として今後さらに注目されていくことは間違いないでしょう。

              そもそもNFTとは?

              スポーツへのNFT導入のメリットについて触れる前に、まずはNFT(Non-Fungible Token、非代替性トークン)について改めて確認していきましょう。

              NFT=”証明書”付きのデジタルデータ

              出典:shutterstock

              NFTを言葉の意味から紐解くと、NFT=「Non-Fungible Token」の略で、日本語にすると「非代替性トークン」となります。非代替性とは「替えが効かない」という意味で、NFTにおいてはブロックチェーン技術を採用することで、見た目だけではコピーされてしまう可能性のあるコンテンツに、固有の価値を保証しています。

              つまり簡単にいうと、NFTとは耐改ざん性に優れた「ブロックチェーン」をデータ基盤にして作成された、唯一無二のデジタルデータのことを指します。イメージとしては、デジタルコンテンツにユニークな価値を保証している”証明書”が付属しているようなものです。

              NFTでは、その華々しいデザインやアーティストの名前ばかりに着目されがちですが、NFTの本質は「唯一性の証明」にあるということです。

              NFTが必要とされる理由

              世の中のあらゆるモノは大きく2つに分けられます。それは「替えが効くもの」と「替えが効かないもの」です。前述した「NFT=非代替性トークン」は文字通り後者となります。

              例えば、紙幣や硬貨には代替性があり、替えが効きます。つまり、自分が持っている1万円札は他の人が持っている1万円札と全く同じ価値をもちます。一方で、人は唯一性や希少性のあるもの、つまり「替えが効かないもの」に価値を感じます。不動産や宝石、絵画などPhysical(物理的)なものは、証明書や鑑定書によって「唯一無二であることの証明」ができますが、画像や動画などのDigital(デジタル)な情報は、ディスプレイに表示されているデータ自体はただの信号に過ぎないため、誰でもコピーできてしまいます。

              そのため、デジタルコンテンツは「替えが効くもの」と認識されがちで、その価値を証明することが難しいという問題がありました。実際、インターネットの普及によって音楽や画像・動画のコピーが出回り、所有者が不特定多数になった結果、本来であれば価値あるものが正当に評価されにくくなってしまっています。NFTではそれぞれのNFTに対して識別可能な様々な情報が記録されています。そのため、そういったデジタル領域においても、本物と偽物を区別することができ、唯一性や希少性を担保できます。

              これまではできなかったデジタル作品の楽しみ方やビジネスが期待できるため、NFTはいま、必要とされているのです。

              NFTとブロックチェーン

              NFTはブロックチェーンという技術を用いて実現しています。

              ブロックチェーンは一度作られたデータを二度と改ざんできないようにする仕組みです。データを小分けにして暗号化し、それを1本のチェーンのように数珠つなぎにして、世界中で分散管理されています。そのため偽のデータが出回ったり、内容を改ざんしたり、データが消えたりする心配がありません。

              NFTではこのようなブロックチェーンが持つ高いセキュリティ性能を利用して、web上のデータが本物なのか偽物なのかを誰でも判別することを可能にし、データの希少性を担保できます。ブロックチェーンの活用によって、これまではできなかったデジタル作品の楽しみ方やビジネスが生まれているというわけです。

              スポーツ×NFTで実現すること

              NFTを活用することで、スポーツ業界ではこれまでにない新しい体験や価値が生まれています。デジタルと現実を融合させることで、クラブにとってもサポーターにとっても新たな可能性が広がっています。

              「唯一無二の本物」を所有する喜びを得られる

              出典:pixabay

              これまでは、画像や動画といったデジタルデータに対して ”唯一無二の本物” であるという証明をすることは不可能に近く、有名な試合のワンシーンはYouTubeにアクセスすれば誰もが簡単に見ることが出来ました。

              しかし、これからは、NFT技術によって試合中のドラマチックなワンシーンが刻まれた唯一無二のアイテムを、自分だけのモノにできるのです。この「所有感」はホームランボールなどと同様に、チームや選手に対してさらに愛着が持てるようになったり、ファンコミュニティの中で「自分は正真正銘のファンだ」といった心理的な優越感を得る上で重要な役割を果たします。

              また、従来のこうしたコレクションアイテムでは偽造品も市場に多く出回っており、正規品であるという証明が難しい状況にありました。メジャーリーグでは「Major League Baseball Authentication Program」というプログラムによって、ホームラン球、サインボール、着用済みユニフォームなどの正規品認証を行なっていますが、これには200人以上の認証者(しかも全員が、警察関係者)が実際に球場で目視したもののみホログラムを貼付する仕組みであるため、認証精度は高いもの、かなり導入ハードルが高い制度です。

              しかし、NFTであれば自動的にデータがブロックチェーン上に記録されるため、改ざんが不可能であり、その所有権や取引履歴を明確にすることができます。これにより、コレクターは安心してアイテムを購入・取引できるようになります

              NFTによって実現する新たな応援の形が生まれる

              出典:pixabay

              NFTの登場により、スポーツファンの応援スタイルが大きく変化し、新たな形のファンエンゲージメントが生まれています。従来、応援は試合観戦やグッズ購入、SNSでの発信が中心でしたが、NFTを活用することで、デジタル上でより深くチームや選手とつながることができるようになりました。

              例えば、NFTを活用したデジタルコレクションでは、特定のNFTを所有することでVIP観戦エリアへのアクセスや、選手との交流イベントに招待されるといった特典が得られるケースも増えてきました。また、所有しているNFTの種類や保有数に応じて特別な称号やバッジを獲得できる仕組みなど、ファンの応援を可視化するツールとしても機能しているケースもあります。

              つまり、NFTを所有すること自体が、特別なファン体験への架け橋となっているのです。これにより、熱心なサポーターほどより深く関与でき、デジタル空間でのファン同士のコミュニティも活性化します。

              近年では、NFTがチーム運営に関与する手段にもなりつつあります。一部のクラブでは、特定のNFT保有者がユニフォームデザインの投票に参加したり、チームのイベント内容を決定できる画期的な取り組みを始めています。

              このように、NFTを活用した応援ではファンが単なる観戦者ではなく、チームの発展に直接関与できるようになることで、これまでにない一体感が生まれています。クラブとファンの新しいコミュニケーションもNFTの魅力の一つといえるでしょう。

              選手やチームにとっての新たな収益源となる

              出典:pixabay

              これまで、スポーツチームや選手の主な収入源は、試合日のチケット販売やグッズの物販、テレビやオンライン配信を通じたコンテンツの一次利用によるものが中心でした。しかし、NFTの活用により、これまで直接的な収益化が難しかったデジタルコンテンツやデータが、ブロックチェーン技術によって価値を持ち、チームや選手に新たな収益をもたらす可能性が生まれています

              試合のハイライト映像、選手のサイン入りデジタルカード、ユニフォームやスパイクのデジタル証明書付きアイテムなど、あらゆるコンテンツがNFTとして発行されれば、ファンにとって特別な体験が提供できるだけでなく、二次流通市場における取引が発生した際、ブロックチェーンのスマートコントラクトを活用することで、チームや選手にロイヤリティとして収益が還元される仕組みが実現可能となります。

              こうした新たな収益構造は、これまで単発の収益にとどまっていたコンテンツを、二次流通市場まで視野に入れた持続可能な収益モデルへと進化させる可能性があります。NFTを活用することで、スポーツチームや選手がより安定した経済基盤を築きながら、ファンとのつながりを強化できる未来が期待されています。

              スポーツ分野×NFTの活用実例

              続いて、2025年時点でのスポーツ分野×NFTの活用実例をご紹介します。

              Sorare

              出典:Sorare

              Sorare(ソラーレ)は実在するサッカー選手を題材としたトレーディングカードゲーム(トレカ)です。ただし実物のカードではなく、NFT技術によって選手の写真や能力値が一つのデジタルデータにまとめられているのが特徴です。カードをコレクションする以外にも、購入したNFTトレカで自分だけのオリジナルチームを作ってそのスコアを競い合うことが出来ます。

              Sorareの最大の特徴は、選手カードの性能が現実の試合結果とリアルタイムで連動している点です。自分の持つ選手がゴールやアシストを決めると、Sorare上でも強化されます。つまり、いかにゲーム内のチームに実際に活躍している旬の選手を組み込めるかが、ハイスコアを出す鍵となってきます。ゲーム内でスコア上位のプレイヤーには、レアカードが配布されるのに加え、報酬としてイーサリアム(ETH)が与えられます

              チームを構成するNFTトレカは、Sorare内での売買の他にも、ゲーム外のNFTマーケットプレイスによる取引によって入手できます。当然のことながら、現実世界で好成績をおさめる選手のNFTカードには人気が集中し、過去には次世代フットボール界のスーパースター、ハーランド選手のユニークカードが約7831万円で取引されることもありました。

              当初はフットボールに焦点を当てたサービスでしたが、2022年にはNBA(ナショナルバスケットボール協会)やMLB(メジャーリーグベースボール)と連携し、スポーツ界全体を盛り上げる存在として注目されています。

              NBA Top Shot

              出典:NBA Top Shot

              NBA Top Shotは、北米のプロバスケットボールリーグであるNBAの選手を題材としたNFTトレカの収集や販売、展示を行うことができるNFTプラットフォームです。

              NBA選手による歴史的なプレイなどのハイライト動画をNFTカードとして所有でき、紛失したり汚れたりするといったこともなく、NFTであるが故に「公式」の証明もされています。そのため、人気選手のカードはマーケットでは1,000万円以上の価格で取引され、話題となりました。

              NFTは従来のトレーディングカードと同様、パックでも購入できます。その際には、オンラインの列に並ぶ必要があり、実際にお店で購入しているかのようなUXを提供しています。また、サービス提供をしているのは人気のNFTゲームである「CryptoKitties(クリプトキティーズ)」を開発したDapper Labsです。NFT業界でも古参かつ知名度の高い企業が運営しているため、サービスの質や安心感が非常に高いプロジェクトになっています。

              NFTでは投資詐欺のような怪しいプロジェクトによる被害も散見されるため、この点は大きなメリットになりうるでしょう。マイケル・ジョーダンやケビン・デュラントらからも数億ドルもの資金調達をしており、ファンや関係者から人気の高いNFTとなっています。

              Avispa Supporters NFT

              出典:アビスパ福岡

              アビスパ福岡は福岡市を拠点として活動している「感動と勝ちにこだわる」をスローガンに掲げたJリーグクラブです。同クラブでは、Avispa Fukuoka Sports Innovation DAOという「アビスパトークン」の保有によってクラブの運営に参加できる分散型組織を活用しており、その取り組みの一貫として、Avispa Supporters NFTというNFTを発行しています。

              Avispa Supporters NFTは、DAOのメンバーが優先的に手に入れることができる特別なデジタルアイテムで、「アビスパサポーター」を主役にしたキャラクターデザインが特徴です。「10デザインの歴代ユニフォーム」やDAOメンバーから募集した「アビスパならではのアイテム」など、実装内容はDAO内で議論しながら創られます。

              SNSなどのデジタル上ではNFTをプロフィールに設定することで、サポーターとしてのアイデンティティを確立できたり、将来的にはスタジアムがメタバース化された際のアバターに昇華させたりすることも構想されています。

              また、このNFTはジェネレーティブNFTと呼ばれるNFTです。ジェネレーティブNFTとは、プログラミングによって、形、フォーム、色、パターンを自動生成するNFTアートのことを指します。パーツの組み合わせの数だけ固有のNFTを生むことができるため、視覚的にも楽しむことができるNFTです。

              アビスパ福岡は国内プロスポーツチームとして初めてジェネレーティブを公式発行したクラブとして歴史に名を刻んでおり、今後も同クラブの先進的な取り組みには要注目です。

              .SWOOSH

              出典:.SWOOSH

              .SWOOSHとはNIKEが発表したWeb3プラットフォームです。このプラットフォームではコミュニティを介したNFTのやり取りなどが行われます。

              NIKEは近年、本格的にメタバースなどの仮想空間を意識した展開を行っており、このプロジェクトではウェアラブルなアイテムに関しての取引が可能になっている模様です。今後、NIKEが独自でデザインしたNFTもリリースされる予定となっており、これらのアイテムは様々なメタバースでの活用を予定しています。

              また、EAスポーツのゲームとの連携も構想されており、これが実現すれば.SWOOSHでGETしたシューズやウェアを、サッカーやバスケといったゲーム内で使用できるようになります。EAスポーツのゲームには、2022年にイギリスの最も人気のあるゲームに選ばれたFIFAや、Madden NFL、NBA Liveなどがあり、数々のヒット作を毎年のように量産しています。そのプレイ人口を考えると、このプロジェクトは大成功を納める可能性に満ち溢れているといえるでしょう。

              残念ながら日本ではまだ利用はできず、利用開始日も不明です。しかし、利用できる地域や国を徐々に広げていることから日本での利用もそう遠くないかもしれません。今後の続報に期待です。

              VIP ROOM TERRACE NORTH

              出典:ヴィッセル神戸

              楽天チケットは、2025年2月15日に行われるヴィッセル神戸のシーズン開幕戦(対浦和レッズ戦)において、一部のチケットをNFTチケットとして販売し、ファンに対してラグジュアリーな観戦体験を提供しています。

              同NFTチケットでは、ピッチに近い特別なシートでの試合観戦に加え、専用ラウンジでのリラックス、特別な食事、限定グッズのプレゼントなど、通常のチケットでは味わえないVIP待遇が用意されており、試合後も楽天のNFTプラットフォーム「Rakuten NFT」上でチケットをコレクションとして保有することができるほか、二次流通の際には購入者自身が価格を設定できるなど、これまでにはない新しい形のファンビジネスを提供しています。

              楽天ヴィッセル神戸の代表取締役社長・千布勇気氏は、この取り組みについて「スポーツとテクノロジーの融合を推進し、Jリーグ全体の発展にも貢献していく」と述べており、NFTチケットの活用がスポーツ業界における新たなスタンダードとなる可能性を示唆しています。

              今後、スポーツのみならず音楽やエンターテインメント分野にもNFTチケットの活用が広がることも期待されており、デジタル技術による新時代のファンエンゲージメントが加速していくことでしょう。

              船橋FCスポーツクラブ

              出典:船橋経済新聞

              千葉県船橋市を拠点とするサッカークラブ、船橋FCスポーツクラブでは、2024年12月にスポーツチームでは全国初となる、オーナー権をNFTとして販売するという画期的な取り組みを行いました。

              1口5万円で500口を上限に公式ホームページで販売されたNFTには、クラブの運営に関わる様々な提案ができる権利や、試合のチケット、グッズの割引など、多様な特典が付与されており、選手や監督の採用などチーム運営に関する大部分に「投票」の形で参加できるというかなりユニークなNFTです。

              多くのプロスポーツチームは、ある程度の規模になると運営を大手企業に委ねるため、地域との関係が希薄になりがちです。しかし、船橋FCスポーツクラブはNFTによる新たな運営方式に移行することで、地域社会との関わりを維持しながらマネタイズすることを可能にしました。

              まだNFT発売から日が浅いため、このプロジェクトの結末は誰にも分かりませんが、「NFTオーナー」という新しい形のファンを創出し、クラブとサポーターとの絆をより強固なものにしようという試みは、地方クラブの新たな可能性を示唆しているといえるでしょう。

              まとめ

              今回はスポーツ分野へのNFT活用について解説してきました。

              NFTはスポーツにおけるファンビジネスのあり方を変革するだけの大きな可能性を秘めていると言えます。

              アートや音楽などの芸術分野へのNFT活用は投資目線で語られる事が多いですが、スポーツへのNFT活用はあくまでもファンが中心となって市場を牽引していくことが期待されます。

              NFTの活用によってスポーツ市場は今後さらに盛り上がっていくことでしょう。

              【2025年】NFTファッションとは?Louis VuittonやGucciなどの最新事例も紹介

              2021年以降、アートやゲーム、音楽など様々なカテゴリーで活用されはじめているNFT「Non-Fungible Token(非代替性トークン)」ですが、ファッションやアパレルの分野でも注目を集めています。

              デジタルデータを替えの効かない唯一無二のものにできる技術であるNFTと、元来アナログなコンテンツであるファッション分野を組み合わせることで一体どのようなことが可能になるのでしょうか?

              そこで本記事では、NFTの基礎知識からNFTファッションのメリットや特徴、関連するトピックスをご紹介していきます。

                ファッション分野へのNFT活用が拡大中

                NFT(Non-Fungible Token:非代替性トークン)の認知度は、もはやブロックチェーン業界にとどまらず、さまざまな分野へと広がっています。その中でも、ファッション業界におけるNFTの活用は急速に進んでおり、多くのブランドが次々と参入しています。

                特に、Louis Vuitton(ルイ・ヴィトン)やGucci(グッチ)といったラグジュアリーブランドは、NFTを活用したコレクションやデジタルファッションの展開を本格化させており、NFTを通じてブランドの独自性や価値を高める動きが加速しています。

                また、Nike(ナイキ)やAdidas(アディダス)といったスポーツブランドも、NFTを活用した限定アイテムやメタバース向けのデジタルウェアを展開し、新たなビジネスチャンスを模索しています。

                さらに、現物を一切取り扱わないNFTファッションに特化したブランドも登場しています。例えば、NFTスニーカーブランド「RTFKT(アーティファクト)」は、若手アーティスト「Fewocious(フュウオシャス)」とのコラボレーションで制作したバーチャルスニーカー600足をわずか7分で完売させ、約3億3,200万円の売上を記録しました。

                このようなNFTファッションブランドは、現実では不可能なデザインや色彩を自由に表現できるため、新しいファッションの楽しみ方を提供しています。2021年12月にはNikeがRTFKTを買収しており、大手企業もNFTファッションの可能性に大きな関心を寄せています(その後、新CEOエリオット・ヒル氏の就任に伴い、2025年1月末までにサービス打ち切りを発表)。

                ファッション分野におけるNFT活用は、単にデジタルアートの販売にとどまらず、以下のような形で進化しています。

                • デジタルコレクション:ブランドが限定デザインのNFTを発行し、コレクターズアイテムとして提供。
                • メタバースとの融合:デジタル空間で着用できるNFTファッションアイテムの提供。
                • 所有証明と真正性の保証:高級品の真正性を証明するためのNFT活用。
                • 限定アイテムの販売:NFT所有者限定の特典付きファッションアイテム。

                こうしたNFTの活用は、単なるトレンドではなく、ファッション業界の新たな可能性を切り開く技術として今後さらに注目されていくことは間違いないでしょう。

                NFTとは?

                NFTファッションの特徴や実際の導入事例をご紹介する前に、まずは前提となるNFTについて解説していきます。

                NFT=”証明書”付きのデジタルデータ

                出典:shutterstock

                NFTを言葉の意味から紐解くと、NFT=「Non-Fungible Token」の略で、日本語にすると「非代替性トークン」となります。非代替性とは「替えが効かない」という意味で、NFTにおいてはブロックチェーン技術を採用することで、見た目だけではコピーされてしまう可能性のあるコンテンツに、固有の価値を保証しています。

                つまり簡単にいうと、NFTとは耐改ざん性に優れた「ブロックチェーン」をデータ基盤にして作成された、唯一無二のデジタルデータのことを指します。イメージとしては、デジタルコンテンツにユニークな価値を保証している”証明書”が付属しているようなものです。

                NFTでは、その華々しいデザインやアーティストの名前ばかりに着目されがちですが、NFTの本質は「唯一性の証明」にあるということです。

                NFTが必要とされる理由

                世の中のあらゆるモノは大きく2つに分けられます。それは「替えが効くもの」と「替えが効かないもの」です。前述した「NFT=非代替性トークン」は文字通り後者となります。

                例えば、紙幣や硬貨には代替性があり、替えが効きます。つまり、自分が持っている1万円札は他の人が持っている1万円札と全く同じ価値をもちます。一方で、人は唯一性や希少性のあるもの、つまり「替えが効かないもの」に価値を感じます。不動産や宝石、絵画などPhysical(物理的)なものは、証明書や鑑定書によって「唯一無二であることの証明」ができますが、画像や動画などのDigital(デジタル)な情報は、ディスプレイに表示されているデータ自体はただの信号に過ぎないため、誰でもコピーできてしまいます。

                そのため、デジタルコンテンツは「替えが効くもの」と認識されがちで、その価値を証明することが難しいという問題がありました。実際、インターネットの普及によって音楽や画像・動画のコピーが出回り、所有者が不特定多数になった結果、本来であれば価値あるものが正当に評価されにくくなってしまっています。NFTではそれぞれのNFTに対して識別可能な様々な情報が記録されています。そのため、そういったデジタル領域においても、本物と偽物を区別することができ、唯一性や希少性を担保できます。

                これまではできなかったデジタル作品の楽しみ方やビジネスが期待できるため、NFTはいま、必要とされているのです。

                NFTとブロックチェーン

                NFTはブロックチェーンという技術を用いて実現しています。

                ブロックチェーンは一度作られたデータを二度と改ざんできないようにする仕組みです。データを小分けにして暗号化し、それを1本のチェーンのように数珠つなぎにして、世界中で分散管理されています。そのため偽のデータが出回ったり、内容を改ざんしたり、データが消えたりする心配がありません。

                NFTではこのようなブロックチェーンが持つ高いセキュリティ性能を利用して、web上のデータが本物なのか偽物なのかを誰でも判別することを可能にし、データの希少性を担保できます。ブロックチェーンの活用によって、これまではできなかったデジタル作品の楽しみ方やビジネスが生まれているというわけです。

                ファッション×NFTで実現すること

                NFTを活用することで、ファッション業界ではこれまでにない新しい体験や価値が生まれています。デジタルと現実を融合させることで、消費者にとってもブランドにとっても新たな可能性が広がっています。

                ファッションアイテムに唯一性を付与できる

                出典:Pixabay

                NFTを活用することによって、デジタル、現物を問わずファッションアイテムに唯一性を付与できるようになります。

                現物のファッションアイテムの偽造品対策としてギャランティカード(証明書)が従来から存在しますが、このギャランティカードを含めて偽造する悪質な詐欺も横行しており、特にハイブランドが被害を被るケースが後を絶ちません。

                前項で解説した通り、NFTは「デジタルデータを唯一無二化する技術」なので、現物のファッションアイテムにNFT化したデジタルデータを紐付けた「NFTタグ」を取り付ければ、そのアイテムの唯一性を証明できるようになります。

                「NFTタグ」として使えるものはICチップとQRコードの2種類があり、どちらも固有の情報を書き込めるうえにNFT化すれば偽造もコピーもできないという点で共通しています。

                この偽造もコピーもできない「NFTタグ」が普及すれば、ファッション業界を長年悩ませてきた偽造品対策にとって大きな進歩となることでしょう。

                デジタルファッションが ”現物” に近づく

                出典:Unsplash

                上記では現物のファッションアイテムに対してのNFT活用をご紹介しましたが、ファッション×NFTの本題はデジタルファッションです。

                ゲームやメタバース(仮想現実)、SNS上で自身のアバターやキャラクターに好きな服を着用させたりコレクションして楽しむというデジタルファッションの概念は従来から存在していますが、これとNFTを結びつけることでデジタルデータとしてのファッションアイテムに「唯一性」を持たせることができるようになります。

                デジタルファッションの唯一性が証明できるようになると、現物のファッションアイテムと同様に需要が生まれ価値が高まっていき、デジタルファッションを取り扱う取引が活発化します。そして、ゲームやメタバース(仮想現実)内の自分のアバターに価値が高いアイテムを着用させることによって、満足感を得たり、コミュニティ内で優越感を得ることができます。

                それはつまり、NFTによってファッションにおけるゲームやメタバース(仮想現実)と現実世界の差が縮まり、新たな市場が生まれるということを意味します。実際に名だたるハイブランドが次々とNFTファッションに参入しており、後ほどご紹介します。

                環境にやさしいファッション産業へ

                出典:Pixabay

                ファッション産業は、「大量生産・大量消費、大量廃棄」が前提となっており、製造にかかる資源やエネルギー使用の増加、ライフサイクルの短命化などから環境負荷が非常に大きい産業の一つです。その悪影響は国連の統計によると、すべての産業の中で2番目に多くの環境汚染を生み出しているほど。

                NFTファッションはデジタル上で完結し、実際の服を作るために必要な繊維や素材、サンプル品などを使用しません。出品するのにも、完成品をユーザーに届けるのにも、輸送という手段が不要になるため、環境負荷がとても少ないです。

                環境省も推進するように、これからのファッションでは持続可能性が重要なキーワードになってきます。アニマルフリーや再生素材などを使用したアイテムも環境にやさしいですが、製造から流通まで一度も廃棄を出さないNFTファッションは究極のサステナブルファッションといえるでしょう。

                有名ブランドのNFT事例

                多くの有名ブランドがNFT市場に参入し、独自の取り組みを展開しています。それぞれのブランドがどのようにNFTを活用し、新しい価値を生み出しているのかを見ていきましょう。

                Tiffany(ティファニー)

                出典:IT MAGAZINE「Tiffany & Co.がコラボ商品「CryptoPunk」ペンダントを販売すると発表」

                高級ジュエリーブランドとして世界的に知られるティファニーは、2022年にNFTコレクション「NFTiff」を発表し、大きな話題を呼びました。

                「NFTiff」は、ティファニーが保有するダイヤモンドやカラーストーンをモチーフにした250個限定のNFTコレクションで、発売価格は30ETH(当時のレートで約680万円)でした。

                このNFTは単なるデジタルアートではなく、人気NFTコレクション「CryptoPunks(クリプトパンクス)」のNFT所有者のみが購入でき、NFTiffの所有者は「CryptoPunks(クリプトパンクス)」のNFTのデザインを忠実に再現したカスタムジュエリーの特典を手にすることができます。

                入手方法が限られている上に、世界でただ一つの職人手作りのアイテムと紐づいているということもあり、NFT自体は即完売。約15億円の売り上げとなりました。

                この取り組みは、高級ブランドと連携した新しい形の顧客体験を提供する先行事例としてファッション業界、クリプト界隈の双方から注目されました。NFTと高級ジュエリーを組み合わせるという点で、他のブランドのNFTとは一線を画しており、新たなトレンドを作ったという点では大きな功績を残したといえるでしょう。

                Louis Vuitton(ルイ・ヴィトン)

                出典:VOGUE JAPAN

                有名ブランド、Louis Vittonでは約586万円で限定NFTを発売しており、デジタルの世界においても「憧れのLOUIS VUITTON」を手にする価値を提供しています。

                「VIA トレジャー・トランク」と名付けられたこのNFTは「ヴィトン初のデジタルトランク」と打ち出されており、所有者には同製品の秘密鍵がドロップされると同時に、限定製品のアクセスや保有者同士の親密なコミュニティがアンロックされると説明されています。

                また、Louis Vuittonは2021年にも「LOUIS THE GAME」というブロックチェーンゲームをリリースしています。公式マスコットキャラクターであるヴィヴィエンヌを操作して6つのステージを冒険していくストーリー形式のゲームです。

                ゲーム内にはNFT化された特別なアイテムが30個隠されており、そのうち10個を自身の作品が約75億円で落札されたことで話題になった人気NFTアーティスト「Beeple」がデザインしています。

                それぞれのNFTはそれなりに知名度もあり、Lois Vuittonは間違いなくNFTで先進的な取り組みをしているブランドの一つでしょう。

                Gucci(グッチ)

                出典:gamebiz

                イタリアを代表する老舗ファッションブランドの「Gucci(グッチ)」は、数あるハイブランドの中でもいち早くNFT市場に参加しました。

                2022年1月には、配信プラットフォーム「Discord(ディスコード)」上で「Gucci Vault Discord」という専用スペースを設置し、NFTやメタバースに関する意見交換のコミュニティを創設。その翌月にはバーチャルセレブリティーや限定ビニールトイ、デジタルのコレクションアイテムのクリエーションを手掛けるブランド「スーパープラスチック(SUPERPLASTIC)」とコラボレートした「スーパーグッチ」を発売するなど、GucciはNFT市場開拓に関してかなり積極的なブランドといえます

                そんなGucciが2023年7月に大手オークションハウスのクリスティーズ(Christie’s)と提携し、デジタルアートのNFTをオークション形式で販売することが発表されました。

                このプロジェクトは「Future Frequency, Explorations in Generative Art and Fashion(未来の周波数、生成アートとファッションの探求)」と題されており、クレア・シルバー(Claire Silver)やタイラー・ホッブス(Tyler Hobbs)、エミリー・シェ(Emily Xie)といったデジタルアートを牽引する芸術家たちがコレクションに参加しています。

                また、購入者はデジタルアートのパターンがプリント・刺繍された、50ヤードの物理的な生地ロール(サインとシリアルナンバー入りの証明書が付属)も手にすることができる模様。今回のコレクションのアート作品は、グッチのオンラインギャラリーである「Gucci Art Space」でも展示される見込みです。

                Dolce&Gabbana(ドルチェ&ガッバーナ)

                出典:VOGUE

                少し古い事例にはなってしまいますが、イタリアを代表する世界的なラグジュアリーファッションブランド「Dolce&Gabbana(ドルチェ&ガッバーナ)」は、NFTファッションにおいて大成功を収めた数少ない企業ということができるでしょう。

                同ブランドでは、2021年に初のNFTコレクションとして「Collezione Genesi(ジェネシス コレクション)」を発表しました。その内容は、男性用スーツや女性用ドレス、ティアラなど9点の作品は、デジタルデータだけでなく実際に着用できる 「現物」 も購入者に届けられるという内容でした。

                加えて、購入者にはDolce&Gabbanaのイベントに1年間参加することができる権利や、ミラノにあるアトリエのプライベートツアーを楽しむことができる権利が与えられました。

                完全にデジタル上で完結するわけではなく、オーダーメイドのフィジカルなスーツが与えられるなどユーザーのニーズにもある程度寄り添う形でのNFT導入となったこのプロジェクトは、総落札額が約6億円の大成功に終りました。

                現実世界とメタバース双方の体験価値を最大化させるファッションにおけるNFTのお手本的な活用方法を業界内に示した例として、NFTファッションを語るうえで避けては通れないでしょう。

                VALENTINO(ヴァレンティノ)

                出典:VOGUE

                Vのアイコンがお馴染みの世界を代表するイタリアのファッションブランド「VALENTINO(ヴァレンティノ)」。そんなローマを代表するメゾンが、ファッションやカルチャー分野でのNFTを手掛けるマーケットプレイス「UNXD」とパートナーシップを締結するという報道がありました。

                このプラットフォームは、デジタル空間の「創造とキュレーション」を掲げており、NFTに「tangibility(有形の資産)」をもたらすことを目標としています

                「Vogue」や「WIRED」などのハイファッションに特化したチームによって結成されたこのWeb3コンテンツは、アバターの着用をメインとしてきた「Sandbox」などのメタバースへ進出したこれまでのブランドのコンテンツとは一線を画しています。

                つまり、より上質で「ラグジュアリーの本質」を築くアイテムの提供を目指しており、所有欲そのものを満たすような新たなNFTファッションの価値を創造するということです。

                エレガントなアイテムを販売してきたヴァレンティノが、NFTでもどのような華々しさを見せつけてくれるのか。今後の動向に注目のプロジェクトです。

                Maison Martin Margiela(メゾン・マルタン・マルジェラ)

                パリを拠点とする高級ファッションブランド、Maison Martin Margiela(メゾン・マルタン・マルジェラ)では、2024年4月に実物の商品やさまざまな特典と紐づいたNFTのスプリットトゥシューズ「メタ タビ(MetaTABI)」を発売しています。

                この商品は、デジタルファッションスタートアップのマーチ(mmERCH)社とコラボしたコレクター向けのWeb3アイテムであり、デジタルファッション・プラットフォームの「ザ・ファブリカント(The Fabricant)」において販売されています。

                メタ タビには15足のみの超限定発売となるホワイト(8400ドル)と、1500足限定のブラック(616ドル)の2バージョンがあり、どちらもイーサリアム(ETH)のメインネット上で展開され、NFT購入者には特典として限定モデルの実物タビブーツやレザーウォレットが贈呈されるそうです。

                これらのNFTは実物アイテムとのペアリングはもちろん、ARツール、メタバースワールド、そしてさまざまなゲームと連動したバーチャルな機能や体験も提供しています。保有者はザ・サンドボックス(The Sandbox)やレディプレイヤーミー(Ready Player Me)などのプラットフォーム内で使える限定デジタルウェアラブルへのアクセス権やマルジェラが今後発表するWeb3プロジェクトやAR体験、限定イベントへの優先アクセスも保証されるため、長期的なロイヤルティを促進する役割も担うでしょう。

                なお、同社の会長を務めるステファノ・ロッソ氏はメタバース専門会社「BVX」の最高経営責任者でもあり、今後もさらなるファッションとNFTの融合という革新的な取り組みを提供していくことが予想されます。世界的にも人気の高いNFTであるため、なかなか直接手にすることは難しいかもしれませんが、今後の動向には注目です。

                まとめ

                今回はファッション分野へのNFT活用について解説してきました。

                ファッション界隈は流行や目新しいものに対するアンテナを張っている人達が多いため、NFTが浸透していくのに多くの時間はかかりませんでした。また、有名ブランドが積極的に参入することにより、NFTに詳しくない一般層にも急速に普及していくことが予想されます。

                ますます盛り上がっていくであろうNFTファッションに今後も注目です。

                DAO(分散型自律組織)とは?〜Web3.0時代の新しい組織のあり方〜

                仮想通貨やNFTの話題に触れる中で「DAO」という言葉を目にする機会があるのでは無いでしょうか。「分散型自律組織」と日本語に訳されるDAOですが、一体どのような特徴やメリットがあるのでしょうか。本記事では、「DAO(分散型自律組織)」の概要やメリットと課題、そして実際の事例をご紹介していきます。

                DAO(分散型自律組織)の概要

                DAOには中央の管理者が存在せず、意思決定はコミュニティ全体で行う

                DAO (Decentralized Autonomous Organization、ダオ)は「分散型自律組織」と日本語で訳され、ブロックチェーン上で管理・運営される組織のことです。

                その特徴については後に詳しく解説しますが、株式会社などの一般的な組織とは異なり組織の管理者が存在しないという点が、DAOの大きな特徴のひとつです。組織の意思決定は管理者によるトップダウンではなく、組織の参加者全員によって平等に行われます。

                DAOが注目されている理由

                DAO自体は2014年頃から存在していた概念ですが、2021年以降に大きな注目を集めるようになりました。注目の背景には、DAOの技術的振興、参入のしやすさ、そして将来性にあります。

                まず、技術的な文脈でいうと、「NFT(非代替性トークン)」や「DeFi(分散型金融)」「暗号資産」といったWeb3.0分野の盛り上がりが背景にあります。Web3.0において暗号資産はお金、DeFiは金融サービス、NFTはデジタルに関する所有権のあり方、そしてDAOは組織を変える概念として、それぞれが密接に関わり合って技術革新が起こってきました。

                DAOはそれ単独では組織論のひとつに過ぎませんが、「分散型インターネット」であるブロックチェーンを基盤としたネットワークであるWeb3.0と結びつくことでその特徴を遺憾なく発揮しているため、これらの各領域がブームとなると新しい組織運営の形態として評価されるようになったのです。

                また、スマートコントラクトを利用すれば、誰かが管理者となることなくメンバー一人ひとりが主体的に行動し、その運営に関与することが可能です。これは、伝統的な組織形態とはアクセシビリティと開放性という点において革命的です。ビジネスとして組織を動かすにしても、株式会社を設立するとなると、法的・行政的・金銭的負担が重くのしかかり、手間もかかりますが、DAOはブロックチェーン上で簡単に組織化することが可能だからです。こうした参入障壁の低さは、民間ユーザーのみならず、企業や自治体からも広く注目される理由となっています。

                さらに、DAOは将来性についても視界良好です。現在、一億総活躍社会の推進や新型コロナウイルスの影響によって、私たちの働き方は大きく変わりつつあります。しかし、今後は働き方だけではなく会社そのものの在り方も大きく変容していくのではないでしょうか。

                見知らぬ人同士で資産を募り、1つのプロジェクトに投資するという概念は以前から存在しています。近年話題のクラウドファンディングもその一種でしょう。しかし、クラウドファンディングでは銀行から資金を借り入れるよりも簡単ではあるものの、起案者がプロジェクトをリードするため、資金借り入れの形態が変わっただけで会社の在り方は従来のままです。

                一方のDAOでは、支援者もプロジェクトの運営に関わることができ、プロジェクトが終了してもコミュニティー自体は存続するため、次のプロジェクトに参画することもできます。こうした、新たな組織運営を実現するDAOは、働き方が多様化する現代社会において大きな将来性を秘めているといえます。

                総じて、DAOはブロックチェーン技術の普及、参入のしやすさ、そして将来性という三つの要因から社会から大きな注目を集めています。これらの要因が組み合わさることで、DAOは現代のインターネット技術の進化と共に重要な位置を占めるようになっているのです。

                DAO(分散型自律組織)のメリット

                出典:shutterstock

                続いて、DAO(分散型自律組織)の特徴とメリットについてより詳しく解説していきます。

                組織の管理者が存在しない

                先述したように、DAOの大きな特徴として組織の管理者が存在しないという点が挙げられます。

                株式会社を代表とする従来の組織では、意思決定は上層部の管理者によって行われ、決定事項を組織の下流にまで行き渡らせるトップダウン方式が一般的でした。

                一方でDAOには管理者が存在せず、参加者全員が一丸となってプロジェクトを推し進めていくため、トップダウン方式に比べて様々な意見が出されて議論されることがメリットと言えます。

                透明性が高く民主的な組織運営

                管理者が存在しないDAOには中央集権的な権力者が存在しないため、その意思決定のプロセスは一般的な株式会社などと比べて非常に民主的です。

                具体的には、DAOを動かすための意思決定に関わるためには、そのDAOのコミュニティ内で使われる仮想通貨ガバナンストークンを保有する必要があります。そのトークン保有者による投票によってDAOの意思決定が行われ、さらに投票のプロセスは全てブロックチェーン上に記録されるため、民主的かつ透明性の高い組織運営が実現可能となります。

                また、投票の際に使用されるトークンは組織運営のための資金調達としての役割もあり、実際に多くのDAOがこのガバナンストークンの発行によって資金を調達しています。ガバナンストークンを保有することには、先述した組織運営に係る権利を得る以外にも、プロジェクトが成功した際のインセンティブを得ることができるなどの金銭的メリットがあります。

                ガバナンストークンを含めたトークンについては以下の記事で詳しく解説しています。

                誰でも組織に参加できる

                従来の組織に参加するためには試験や面接を通過し、契約書を結ぶのが一般的です。組織から離脱する場合も同様に契約解除の手続きが必要でしょう。

                一方のDAOは、国籍や性別に関係なくインターネット環境さえあれば誰でも参加できます。また、DAOは匿名での参加も認められるケースも多く、顔や実名を明かさずにプロジェクトに参加できるのが従来の組織と大きく異なる点です。

                DAO(分散型自律組織)の現状の課題

                出典:shutterstock

                ここまでDAOの特徴やメリット、代表的な事例をご紹介してきましたが、DAOが持つ現状の課題についても触れていきます。

                組織の意思決定に時間がかかる

                さきほど、中央集権的な管理者を持たず民主的な意思決定が行われることをDAOのメリットとして挙げましたが、逆に組織の意思決定に時間がかかるという点がデメリットとして考えられます。

                サービスがハッキングにあった場合やサービスに欠陥が見つかった場合などの不測の事態に対しても、ガバナンストークンによる投票が必要となるため、緊急時に迅速に対応することができないリスクがあります。

                迅速な意思決定が必要な場面においては、従来の企業組織などのような中央集権的な「トップダウン方式」に軍配が上がる可能性が高いです。

                ハッキングリスク

                DAOに限らずWEB上のサービス全てに言えることですが、外部からのハッキングによるリスクは拭えません。

                実際に、2016年にイーサリアム上のDAOである「The DAO」がハッキング攻撃を受け、被害総額は日本円にして約52億円にのぼりました。「The DAO」は、先程ご紹介した「BitDAO(ビッダオ)」同様の分散型投資ファンドであり、「The DAO」内にプールしていた投資用資金が狙われた形となります。

                先述した「緊急時に迅速な意思決定ができない」という点と、次にあげる「法整備が不十分」である点を考慮すると、被害の補填やバックアップ体制の構築にはまだまだ時間が必要です。

                法整備が不十分

                DAOは2021年以降に実体化されはじめた組織形態であるため、日本を含む世界各国の法整備が十分に追いついていない状況となっています。

                2021年7月にようやく米ワイオミング州が全米で初めてDAOを合法化し、2022年2月にはマーシャル諸島共和国が国家として初めてDAOを法人として承認することが決定しました。

                とはいえ、DAOを法人として認める法整備を進める動きはごく一部にとどまっており、今後の全世界的な普及が待ち望まれるところです。

                DAO(分散型自律組織)の今後

                出典:shutterstock

                株式会社ではなくDAOでの組織運営が広まる

                DAO(分散型自律組織)は株式会社に比べて組織への参入ハードルが低く、また組織運営における民主性が高いため、今後は大きな組織から小さなコミュニティーまで様々な規模、分野に適用される可能性を秘めています。

                また、組織としての透明性が非常に高いことから、チャリティーを始めとする慈善活動や非営利組織運用との相性が良いとされているため、NPO法人などにとって替わる存在となる可能性も十分に考えられます。

                DAOへの注目が高まりガバナンストークンの価格が上昇する

                DAOでの組織運営が普及すれば、各DAOに紐づくガバナンストークンの価値が高まることが予想されます。そしてトークン保有者への還元も活発化して、投資対象としてのDAOが一般層にまで注目を集めるようになれば、さらに多くのDAOプロジェクトが誕生していくことになるでしょう。

                DAO(分散型自律組織)の代表的な事例

                ここでは、2025年時点での代表的なDAOをご紹介していきます。

                Nouns DAO(ナウンズダオ)

                出典:Noun DAO

                Nouns DAOは、ドット絵風のキャラクターをモチーフにしたNFTコレクションです。

                毎日1体ずつ「Noun」と呼ばれるNFTアートが自動生成され、オークションにかけられます。そこで競り落とした人がNFTの保有者となります。「Noun」の所有者は投票権が付与され、組織全体の議決や採択に関与できます。

                投票できる内容は、オークション収益の使い道についてです。提案や議論には誰でも参加できますが、最終的な投票をできるのはNouns所有者のみとなっていることから、Nouns DAOは、Nounsを自動生成してオークションで販売する機能を備えた分散型自律組織だといえます。

                Nounsの著作権は「CC0(Creative Commons 0=パブリックドメイン)」という扱いになっているため、従来のIPビジネスとは異なり、誰でもNounsの二次利用が可能になっています。

                こうしたルールやデザインの独自性から幅広い層から人気を博しており、現在成功を収めているDAOの代表例の一つです。

                BitDAO(ビッダオ)

                出典:BitDAO(ビッダオ)公式Twitter

                BitDAO(ビッダオ)は大手仮想通貨取引所「Bybit(バイビット)」が主導するDAOプロジェクトで、大手決済サービス「PayPal」の創業者であるピーター・ティールを始めとする数多くの著名人が設立時に資金提供したことで知られています。

                2021年にNFTやDeFiに関する、将来性の高いプロジェクトに資金提供することを目的に設立されたBitDAO内では、「BIT」というガバナンストークンが発行されています。この「BIT」の保有者はBitDAOの出資先となる有望なDeFiや出資額を選定する投票に参加できたり、保有量に応じた利益が分配されるという仕組みです。

                またBybitでは、ゼロカットシステムが導入されています。ゼロカットシステムとは、マーケットの急激な下落によって口座残高がマイナスになった場合に、損失分をBybit側が補填してくれる制度です。通常、証拠金維持率が一定の水準を下回ってしまった場合や一定の損失が発生してしまった場合には追加の資金を要求される「追証」が存在しますが、Bybitには追証がありません。証拠金が一定の割合を下回ればそのままロスカットになる仕組みです。

                言い換えれば、トレーダーは「追証をするために借金をしてしまった」という不確定なリスクを回避できるということを意味しています。取引中の突如としての大きな価格変動や市場の急激な動きがあった場合でも、ユーザーの損失が所持金を超えることがないため、トレーダーは心理的ストレスから解放され、安心して取引を行うことができるでしょう。

                日本では人気の高いコインとして知られており、BitDAOの公式Twitterのフォロワー数は約5.4万人・Discordメンバー数は約9千人に達しています。※2024年月時点

                BitCoin(ビットコイン)

                出典:pixabay

                暗号資産の代名詞ともいえるBitCoin(ビットコイン)は、完全な形で分散運営されている世界初のDAOであるとされています。

                BitCoinの運用は、分散型台帳システムであるブロックチェーン上で行われます。取引記録を世界中の多数のコンピューター(ノード)で共有・管理する革新的な仕組みとなっているため、国境を越えて幅広く利用されるデジタル通貨でありながらも銀行やクレジットカード会社などの第三者を介さずに取引が可能です。

                強固な暗号技術によってプライバシーが保護され、利用者がより自由にお金を管理できる環境を提供するBitCoinには中央集権的な管理者はおらず、誰でもその取引プロセスを確認することができます。不正の抑制や限定的な発行ができるという点において価値の減少が少ないという特性も持っているため、別名「デジタルゴールド」とも呼ばれています。

                なおガバナンストークンは存在せず、ブロックチェーンに取引を記録した際に新たにBitCoinが発行される仕組み(マイニング)です。後発のDAOとは異なり、トークンであるBitCoinの発行はこのマイニングでのみ行われます。

                中央集権的な管理者が不在にも関わらず、決められたプログラムに沿って意思決定されているBitCoinは、最も成功しているDAOのひとつといえるでしょう。

                Ninja DAO(ニンジャダオ)

                出典:Ninja DAO

                Ninja DAOは日本国内最大級のDAOであり、世界最大手のNFT取引所「OpenSea」で取引される「 CryptoNinja NFT 」というNFTプロジェクトの公式コミュニティです。Discordの人気インフルエンサーのイケハヤ氏が創設したしているDAOであり、マンガ、アニメ、ゲーム、グッズ、小説、音楽、舞台など、さまざまな形で同氏がプロデュースしているキャラクターブランド「CryptoNinja(クリプトニンジャ)」を盛り上げる様々なプロジェクトが進行中です。

                たとえNFT自体を所有していなくても「CryptoNinja NFT」の世界観に魅力を感じた人であれば誰でも参加可能で、ファン同士のコミュニケーションツールとして様々な活動がなされています。

                NFTの二次流通も許可されており、コミュニティには多くのクリエーターの方が参加しています。動画編集・Webデザイナー・ライター・イラストレーター等様々なスキルを持つプロフェッショナルも多く参入しており、Ninja DAOでの活動をきっかけに、そのようなプロフェッショナルの方々と出会えるきっかけになるかもしれません。

                また、通常のDAOでは普段社会人として働いているメンバーが多いですが、上述の通りNinja DAOはクリエイターとして普段から活動しているメンバーも多く、昼夜問わず常にコミュニティがアクティブな状態に保たれています。DAOとしてローンチされたは良いものの、その後の伸びに悩んだり、マーケティングに悩むDAOは少なくないため、自主的に活発な運用がなされているNinja DAOはまさに理想的なDAOの在り方ではないでしょうか。

                このような人と人の関わり・つながりの強いDAOであるという点は、唯一無二のNinja DAOの特徴だといえるでしょう。

                MakerDAO(メイカーダオ)

                出典:MakerDAO

                MakerDAO(メイカーダオ)は、2014年にローンチされた、ステーブルコイン「DAI」の発行を通じて暗号資産市場の安定性を提供している歴史あるDAOプロジェクトです。イーサリアムブロックチェーン上で動作しており、そのプロトコルはユーザーがイーサリアムをMakerDAOへプールすることで、ステーブルコイン「DAI(ダイ)」を発行する仕組みとなっています。DAIは、1米ドルに連動されて価格の安定性を保つように設計されており、暗号資産の価値が急激に変動する際に、ユーザーはDAIを利用してそのリスクを軽減することができます。

                また、分散型のステーブルコイン(暗号資産担保型ステーブルコイン)であるDAIは、担保が暗号資産なので法定通貨のように中央集権的ではなく分散型の性質を保てるというメリットがあります。通常、ステーブルコインは取引所が管理しており、価格の維持、流通量の管理などがすべて発行元に依存しています。2022年に起きたテラUSD暴落事件も運営企業が米ドルとテラUSDの連携を保てなくなったこと(ディペッグ)が原因で起こりました。

                こうした点においてMakerDAOの運営は完全に分散型のコミュニティに依存しており、ガバナンストークンである「MKR」を保有するメンバーがプロトコルのアップデートやパラメータの変更について投票を行います。この分散型ガバナンスモデルによって中央集権的な管理者が存在しないため、公正で透明性の高い運営が実現されています。

                単一の組織の決定・信用に左右されないという特徴は、暗号資産という新しい波に乗りながらも、暗号資産の大きなボラティリティリスクは取りたくないというスタンスを生み出しており、同組織が標榜する「新たな暗号通貨」として重宝されています。

                Ukraine DAO(ウクライナダオ)

                出典:BRIDGE

                Ukuraine DAOは、ロシアのウクライナ侵攻に苦しむ人々を支援するためにコミュニティの力を利用して資金調達を実現することを目的に創られた組織です。

                NFTの販売を通して寄付者に金額に応じた「LOVEトークン」を付与し、収益はウクライナの人々を支援する非営利団体に送られる仕組みになっています。

                UkrineDAOを立ち上げたのは、プーチン大統領に対して批判的な政治活動家であるNadya Tolokonnikova氏で、同氏は、ロシアのフェミニスト・ロックグループ「Pussy Riot」の創設メンバーとしても知られています。

                72時間という短時間で3,271人から、約2,258ETH(約6.7億円)という巨額の寄付が集まり、スピード感と規模感のあるプロジェクトがDAOによって推進された事例といえるでしょう。

                一棟貸し古民家「囲み宿 こわね」(小豆島DAO)

                出典:PR TIMES「世界初!合同会社型DAOで古民家再生資金を調達開始 ~web3×不動産で
                新たな資金調達モデルを構築~」

                国内では一風変わったDAOも登場しています。その一つが、香川県小豆島で進められている「小豆島DAO」プロジェクトです。このプロジェクトでは、築100年の古民家「照季庵」をDAOの仕組みを活用して改修し、一棟貸しの宿泊施設「囲み宿 こわね」として2025年春にオープンを目指すものです。

                小豆島は美しい自然に恵まれた観光地ですが、過疎化や高齢化が進み、地域経済の活性化が課題となっています。また、島内には歴史的な価値を持つ古民家が数多く残されていますが、老朽化が進み、有効活用されていないものが多く存在します。小豆島DAOは、これらの課題を解決するために、合同会社型DAOスキームによる資金調達、地域住民も参加可能なDAO運営、リワードトークンによるコミュニティ形成といった革新的な取り組みを行っています。

                株式会社ではなく、合同会社型のDAOとして法人格を取得してトークンの発行・販売による資金調達を可能にしたことで、従来の金融機関からの融資に頼らず、より多くの人々から資金を集めることができます。トークン保有者は、DAOの運営に参加し、施設の改修方針や宿泊プランの決定など、事業運営に関する議決権を持つことができる設計となっています。また、地域住民もDAOに参加することで、地域の活性化に貢献することができます。

                トークン保有者には、リワードトークン(独自通貨)が報酬として付与されますが、このトークンは、宿泊券NFTへの交換や、NFTマーケットを通じて現金化できるスキームにすることで、DAOの活性化と持続可能なエコシステムの構築を目指しています。

                小豆島DAOが成功すれば、日本全国の地域活性化に繋がることが期待されるため、引き続きキャッチアップが必要な事例です。

                まとめ

                今回は、DAOの特徴やメリットを解説し、代表的な事例と解決すべき課題、そしてその将来性までをご紹介しました。

                本記事を通して、DAOがこれまでの組織のあり方を大きく変える可能性を秘めていることがお分かりいただけたかと思います。引き続き、今後のDAOに関する動向に注目です。