「非化石証書」「J-クレジット」「グリーン電力証書」の違いとは?それぞれの概要から解説します!

環境問題に対する関心が高まる中で、「環境にやさしい電気を選択的に供給したい」「環境にやさしい方法で発電された電力を使いたい」という企業や個人が増えてきました。

こういったニーズを満たす制度として「非化石証書」「J-クレジット」「グリーン電力証書」があり、環境価値を電気そのものの価値から切り離して証書・クレジットとして可視化することで取引を可能にしています。

一方で、これらの制度は仕組みとしてかなり似通っており、それぞれの違いを説明できる人はかなり少ないのではないでしょうか。本記事では前半で各制度の概要を振り返り、後半でそれぞれの違いや注意点について解説していきます。

非化石証書とは?

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非化石証書の概要

非化石証書とは、その電力が非化石電源由来であることを証明する制度です。

石油や石炭、天然ガスなどの化石燃料を使用して発電した電力を「化石電源」と呼ぶのに対して、太陽・地熱・風力・水力といった化石燃料を使用せずに発電した電力を「非化石電源」と呼びます。

非化石証書の購入ルートは2パターンあります。

一つ目は電力会社を通じて間接的に購入する方法です。発電事業者と電力小売事業者間で非化石証書の売買をおこない、電力ユーザーは非化石電源と証明された電力を利用できるプランに加入することで、CO2排出量を間接的に削減したこととみなすことができるというわけです(あくまで非化石証明は電力小売事業者が購入しているという点には注意が必要です)。

この方法では、環境価値が電気の契約とセットになっているため、環境価値の購入量などを計算する手間がないことが大きなメリットになります。

もう一つの方法は、オークション形式の取引市場で電力ユーザーが直接購入することです。従来は、前述の電気小売事業者が非化石証書を購入するパターンしかありませんでしたが、需要の増加を受けて2021年からは、電力ユーザーも非化石証書の購入が可能になりました(ただし、電力ユーザーが購入できるのは後述のFIT非化石証書のみ)。

この方法では非化石証書調達にともなう手数料がかからないというメリットがあります。

一方で、購入するためにはJEPX(日本卸電力取引所)の会員になる必要があり、JEPX会員になるには入会費・年会費の納入が必要なほか、入札ごとに複数の手続きを要します。そのため、ユーザーの代わりにオークションに参加して非化石証書を購入する代理購入サービスなども誕生しています。

電力由来によってさらに3種類に分類される

非化石証書には実は3つの種類があります。

①FIT非化石証書(再エネ指定あり)

こちらは2012年から運用されている、FIT制度(固定価格買取制度)で買い取られた電力に限定した証書です。FIT制度とは、再生可能エネルギーの普及を目標に、事業者や個人が再生可能エネルギーで発電した電力を、一定期間・一定価格で電力会社に買い取ってもらえる制度です。

電力ユーザーが直接、購入できるのはこのタイプの非化石証書のみとなっており、対象となる電力は、FIT制度を通して買い取られた、太陽光・風力・小水力・地熱・バイオマスなどの再生可能エネルギーです。

価格の決定方式は「マルチプライスオークション方式」となっており、売り手が成り行き価格で入札し、買い入札価格が約定価格となる(つまり、売り手が価格を提示せずに出品し、買い手が希望価格を示す)方式です。市場価格が需要と供給に応じて変動し、効率的な価格設定が実現されています。

また、このFIT非化石証書(再エネ指定あり)は販売価格の見直しがなされ、当初の最低価格:1.3円/kWhから現在の0.4円/kWhに大幅な引き下げがなされたことで、需要の急拡大が見込まれています。

なお、FITによる買取にあたっては電力会社が買い取る費用の一部を電力ユーザーから賦課金という形で集めており、この賦課金を基に買取費用の調整をおこなっています。したがって、FIT非化石証書の売り手は費用負担調整業務を担当している電力広域的運営推進機関(OCCTO)となっています。

②非FIT非化石証書(再エネ指定あり)

こちらは再生可能エネルギーのなかでも、FIT電力ではないものを対象とした非化石証書です。FIT電力ではない再生可能エネルギーとは、買取期間が終了したFIT電力(卒FIT電力)や大規模水力発電(大規模水力は既存の発電所が主流であり促進制度の対象ではないため)を指しています。

高度化法義務達成市場(小売電気事業者の非化石電源比率目標の達成を後押しするために創設された市場)での扱いとなっているため、この証書を購入できるのは小売電気事業者のみとなっています。

非FIT非化石証書(再エネ指定)の入札には価格制限は設けられておらず、通常の電力取引と同様に、売買の量と価格から、需要曲線と供給曲線が交わる均衡点をコンピューターが計算し、約定価格を決定する「シングルプライスオークション方式」が採用されています。また、そうした市場取引に加え、発電事業者と小売電気事業者間で自由に価格や契約条件を合意することができる相対取引で証書を売買することも可能です。

現在の大型水力は沖縄電力を除く9つの電力会社と電源開発株式会社が供給しているため、証書発行量が限られてしまうという課題もありますが、それ以上に取引の自由度が高いという魅力があります。

③非FIT非化石証書(再エネ指定なし)

最後に紹介するこちらは、FIT制度によらず、再生可能エネルギーにも分類されない発電方法による電力に紐づいた非化石証書です。現在は原子力や廃プラスチックによって発電された電源を証明するものとして活用されています。

原子力発電は、CO2を排出しない発電方法ですが、環境への影響も懸念される使用済み核燃料を排出してしまいます。廃プラスチックによる発電についても、環境汚染の観点では大量消費・大量焼却という構造が温存されてしまいます。したがって、再エネの指定がない非FIT非化石証書は各種制度において再エネ割合への加算ができない場合があります

一方で、今後FIT制度の対象ではないうえに再エネ指定にもなっていない新たな燃料種に対する、非FIT非化石認定のニーズが増加することも見込まれており、実際に水素などが追加を検討されています。今後、再エネ指定のない非FIT非化石証書が主流となっていく可能性も大いにあるでしょう。

J-クレジットとは?

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J-クレジットの概要

J-クレジット制度とは、企業や自治体などの取り組みによって削減・吸収されたCO2の量を証券化して市場で取引する制度です。

J-クレジットの対象は、電力分野に限らずカーボンニュートラルにつながる幅広い活動を網羅しています。具体的には、<省エネルギー等><再生可能エネルギー><工業プロセス><農業><廃棄物><森林>といった6分類で区分されています。下記はその一例です。

  • 省エネ設備の導入によって削減されたCO2排出量
  • 再生可能エネルギーの活用によって削減されたCO2排出量
  • 適切な森林管理によるCO2の吸収量

これらをクレジット化して売買することで、販売者はその資金を事業の拡大や投資費用の回収がおこなえ、購入者はカーボンオフセットへの利用ができるというメリットがあります。なお現在、J-クレジットでの売買は、国内取引のみに限定されています。

登録には一定のハードルがある

J-クレジットにおけるプロジェクト実施者は、「排出削減・吸収プロジェクトを実施しようとする者又はプロジェクト登録を受けた者」と定義されています。したがって、私たちのような個人や法人格を有しない団体・組織でも申請をおこなうこと自体は可能です。

一方で、J-クレジット制度に登録するためには、Jクレジット制度向けのプロジェクト計画書を作成し、事務局の審査を受ける必要があります。プロジェクトは下記の要件を満たさなければなりません。

J-クレジットの運営事務局は、それぞれの項目について各審査機関と協力しながら、制度の適用可能性を判断します。無事に審査を通過すると、有識者委員会経由で国による認証手続きが進められるという流れです。また、審査が通った後も各プロジェクトにおいてモニタリングを受けながらCO2排出・吸収の実測値を検証していきます。こうした複雑なフローを経てようやくJ-クレジットの発行に至ります。

このように、J-クレジットは国が認証をおこなうだけあって若干ハードルのある制度となっており、プロジェクトの登録まででも5ヶ月以上かかるケースもあるとされています。こうした認定までの煩雑な手続きは当制度の課題として挙げられるでしょう。

Jクレジットの購入パターンは3つもある

J-クレジットを購入するには、下記の3つの方法があります。

出典:J-クレジット制度『J-クレジット制度について』p.46(2023年3月)

①J-クレジット仲介事業者(https://japancredit.go.jp/market/offset/)を通じての購入

 J-クレジット・プロバイダーは、J-クレジットの売買仲介を行う事業者です。売買手続きの委託のほかにも、カーボンオフセットに関するコンサルティングなど様々なサポートをしてもらえるのが特徴です。

またプロバイダーを利用すれば口座開設が必要なく、クレジットの購入価格は仲介事業者との相対取引で決定することになります。認定業者の仲介を要するため手数料が掛かってしまいますが、購入者側の負担が最も少ないのがこの方法です。

②売り出しクレジット一覧(https://japancredit.go.jp/sale/)」掲示板を通じての直接購入

 発行企業や自治体から直接購入したい場合は、J-クレジット制度HPの「売り出しクレジット一覧」というページから購入することも可能です。

「売り出しクレジット一覧」では、購入可能なクレジットの量や特徴(実施場所、地域、具体的活動内容)を見ることができ、この方法でもクレジットの購入価格はクレジット保有者との相対取引で決定します。

情報格差が生まれる場合もあるため、クレジットの品質を慎重に見極める必要がありますが、その一方で取引条件を直接交渉できる利点もあります。

③J-クレジット制度事務局が実施する入札販売(https://japancredit.go.jp/tender/)での購入

政府が保有するクレジットを大口需要家向けに入札販売する際に、事業者が保有するクレジットをあわせて集約し、大口需要家に対してまとめて入札販売する方法も存在します。

対象となるクレジットは②の「売り出しクレジット一覧」に掲載後6ヶ月が経過しても買い手が見つからないものです。

入札参加にあたっては、取得したクレジットを管理するJ-クレジット管理用口座を開設する必要があり、入札時期が年に1回〜2回程度しかないなどやや使い勝手の悪い面もありますが、競合次第では割安で入札できる可能性があります。

グリーン電力証書とは?

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グリーン電力証書の概要

グリーン電力証書は、再生可能エネルギーによって発電された電気の環境価値を、証書発行事業者が第三者認証機関(一般財団法人日本品質保証機構)の認証を得て取引する制度です。太陽光や風力、バイオマスなどの再生可能エネルギーにより発電された電力を対象に、指定の証書発行事業者を通じて民間企業が購入できます。

一般に、グリーン電力を利用するには、自ら太陽光パネル等を設置して電力を地産地消する場合と、電力会社からグリーン電力を供給してもらうプランに変更する場合の2つがあります。しかし、設備を設置する場合には大きな初期費用が掛かる上に、設置場所の確保や電気工事のための時間も要します。また、電力プランを変更する場合には、自然エネルギーに限定した電気はほとんどが維持費や修繕費、人件費などによって割高になっています。

そのため、経済的余裕がないと中々導入が難しい制度ですが、グリーン電力証書における認定電力は、様々な電力情報がトラッキングされています。したがって、購入するだけですぐに利用分の電気を再エネ由来の電力とみなすことができます。

また、グリーン電力証書の販売により得られる収入は、再生可能エネルギー発電設備の新規建設や、既存の再生可能エネルギー発電設備の維持(運転期間の延長)や増設にも使われており、社会貢献性の高い制度となっています。

取引価格は比較的割高に設定されている

グリーン電力証書の年間の発行量は、Jクレジットや非化石証書と比較しても少ないのが現状です。また、グリーン電力量や設備の認定、環境価値保有者の管理などで価値を担保されています。その結果として、グリーン電力証書は、平均で2〜7円/kWh程度という価格設定となっており、他の制度と比べると割高になっています。

近年の世界情勢の混乱によって電力料金そのものが高騰するなかでのグリーン電力証書の価格設定は、普及の障壁ともなります。一方で急激な値下げをおこなうと、環境価値が売却時に値下がりしてしまい、事業者から不満の声があがるでしょう。

すでに参入している事業者にも公平性を保ちつつ、いかに導入しやすい価格を実現するかが課題となっています。

省エネ法や温対法には適用できない

グリーン電力証書は、民間機関である日本品質保証機構が保証しています。そのため、グリーン電力の環境価値も民間での取引として法的な保証がなく、省エネ法や温対法にも適用できません。

CO2の削減効果について第三者の保証が必要な場合は「グリーンエネルギーCO2削減相当量認証制度」(資源エネルギー庁と環境省が運営)により認証を受ける必要があります。

また、温対法の排出量の報告に際し、発電事業者はCO2削減相当量をオンカウント(排出量にプラス)して報告しなければなりません。これは証書を発行した時点で環境価値を購入者に売却したことになり、ダブルカウント防止する必要があるためです。

3種類の環境価値の違い

さてここまでは「非化石証書」「J-クレジット」「グリーン電力証書」それぞれの概要について詳しく見てきました。各々の制度について、おおまかにメリットやデメリットも掴めているのではないでしょうか。

とはいえ、複雑な制度が3つもあるとかなり慣れている人でない限り混乱してしまうものです。ここでは表にして比較したうえで大きな違いについて確認してみましょう。

以下が3種類の環境価値を比較したものです。

グリーン電力証書非化石証書J-クレジット
販売者証書発行事業者(発電事業者からグリーン電力価値を取得)発電事業者・電力広域的運営推進機関(OCCTO、FIT非化石証書のみ)クレジット保有者(個人でも可能)
購入者誰でもFIT非化石証書は誰でも、非FIT非化石証書は小売事業者のみ誰でも
対象電源再生可能エネルギー由来の電気のみ  再生可能エネルギー由来以外の非化石電源も含む(再エネ指定なしの非FIT非化石証書が原子力や廃プラなどに対応)CO2の削減・吸収量が対象
対象電力自家消費電力系統電力自家消費電力
単価範囲制限なし0.4〜4.0円/kWh(FIT非化石証書)0.6〜1.3円/kWh(非FIT非化石証書)制限なし
平均落札価格(2023年
12月時点)
オークション形態なし
(販売価格は、発行事業者、購入量などによって異なるが、平均して2~4円/kWh)
0.41 円/kWh(FIT非化石証書)
0.6円/kWh(非FIT非化石証書)
約1.401円/kWh
(落札価格に当該落札トン数を乗じた合計を総販売量で除したもの)
取引形態証書発行事業者から直接購入取引所オークション相対取引(非FITのみ)相対取引
事務局オークション
転売
RE100活用
(トラッキング付きの非化石証書のみ)

(省エネは対象外)

グリーン電力証書は販売者が証書発行事業者に限定されており、転売もできません。取引形態についても証書発行事業者からの直接購入のみとなっていることから他の2つと比べると若干割高です。

一見すると使い勝手の悪そうな制度ですが、発行主体が一つしかないため、グリーン電力証書は発電から償却までの属性情報を追跡可能です。したがって、すべての購入証書をRE100(事業運営で使用する電力を100%再エネにて調達することを⽬標に掲げる国際的なイニシアチブ)へ活用することができます。

非化石証書は再エネに加えて、非化石燃料である原子力も含むため、流通量も豊富で価格が比較的安価なのが特長です。また、今のところ最低価格に張り付く形で取引されているため、落札価格も一番安価となっています。

一方で、対象電力が非化石電源から発電された系統電力に限定されています。したがって、太陽光のPPAモデルを導入する企業も増えて来ましたが、このような自家消費の電力に非化石価値を認めることはできません。

対象が再エネ使用ではなくCO2の削減・吸収量であるJ-クレジットは唯一、転売が可能です。環境価値単体の扱いやすさという面ではJ-クレジットが最も優れていますが、CO2削減・吸収の方法によって、各種制度で活用可能かバラバラになっています。プロジェクトの登録からクレジット発行までも数年を要するため、活用に際しては注意点が多いです。

環境価値を取引するメリット

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販売側のメリット

環境価値を販売する側、つまり、環境価値を創出した企業にとっての大きなメリットは、新たな収益源の確保です。自社の温室効果ガス排出削減や吸収活動によって生まれた環境価値を証書化し、市場で販売することで、直接的な売却益を得ることができます。この収益は、環境対策への投資回収を早め、さらなる環境技術開発や設備導入への資金に充当することができます。環境対策が、企業の持続的な成長を後押しする力となるのです。

さらに、環境価値を市場に提供しているという事実は、企業イメージ向上に大きく貢献します。地球温暖化対策に積極的に取り組む企業としての評価を高め、CSR(企業の社会的責任)活動をアピールすることができます。環境意識の高い消費者や投資家からの信頼を得ることは、企業のブランド価値を高め、長期的な競争優位性を築く上で不可欠でしょう。

購入側のメリット

一方、環境価値を購入する側、つまり、事業活動における温室効果ガス排出量をオフセットしたい企業にとっては、環境価値取引によって自社の排出量削減目標達成に向けた取り組みを加速させることがきます。

特に、製鉄プロセスにおいて大量のコークス(炭素)を還元剤として使用する鉄工業などは直接的な削減が難しいですが、こうした排出量についても環境価値を購入すれば、うまく相殺することができます。これにより、産業構造の差に囚われず、企業は自社のカーボンフットプリントを削減し、持続可能な社会の実現に貢献することができます。

また、環境価値の購入は、法令遵守や各種報告義務の達成にも役立ちます。省エネ法や温暖化対策関連法などの国内法規に加え、CDP、RE100、SBTといった国際的なイニシアティブへの対応においても、環境価値の購入実績は有効なエビデンスとなります。企業は、これらの制度に沿った情報開示を行うことで、ステークホルダーからの信頼を得ることができます。

さらに、環境価値取引への参加は、企業イメージ向上やブランド力強化にもつながります。環境問題に積極的に取り組む企業としての姿勢を示すことは、消費者や投資家からの共感を呼び、企業への信頼を高めます。ESG投資に関心を持つ機関投資家からの評価向上も期待できるでしょう。

環境価値を取引するうえで気をつけるべき点

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環境価値を取引するうえで、電力データのトレーサビリティや正確性は今後重要になってくるでしょう。各制度において、電源の由来は価値の裏付けとなっており、それぞれ厳しい要件が課せられています。様々な制度に活用可能な以上、データの改ざんが起きてしまう可能性もあります。

また、記録ミスやダブルカウントが起きてしまうと、正しいCO2削減量が計測できなくなってしまいます。したがって、データの扱いには慎重にならざるを得ないでしょう。仕方がないこととはいえ、現状、手続きや審査の負担が大きくなってしまっている点には留意しましょう。

こうした課題を踏まえて近年、注目を浴びているのが「ブロックチェーン技術」です。ブロックチェーンでは、データを小分けにして暗号化し、それを1本のチェーンのように数珠つなぎにして、世界中で分散管理しています。そのため内容を改ざんしたり、データが消えたりする心配がありません。

実際に日本卸電力取引所(JEPX)では、数年後を目処として非化石証書のブロックチェーンによるトラッキングを実現する方針を打ち出しています。

JEPXが非化石証書の全量追跡へ | 電気新聞ウェブサイト

なお、ブロックチェーンについては以下の記事でも解説しています。

まとめ

本記事では「非化石証書」「J-クレジット」「グリーン電力証書」について概要とそれぞれの違いを解説しました。

これらの制度は普段あまり関わることのない複雑な仕組みであり、すんなり理解するのは難しいテーマであるように感じます。

しかし、再エネ需要は年々拡大しており、東京都では戸建てを含む新規建築に対して太陽光パネルの設置が義務化されました。こうした流れを受けて今後環境価値の活用も活発になっていくことでしょう。今後も最新の情報をキャッチアップするようにしましょう。

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Scope3(スコープ3)とは?基本となる概念と排出量の算定方法を解説!

現在、脱炭素社会への移行を目指して世界中の政府はもちろん、各国の企業でも、国際基準のGHG(温室効果ガス)プロトコルに則った排出量算定を行っています。同プロトコル内の分類である「Scope」という言葉は、テレビや新聞などで目にしたことがある方も多いのではないでしょうか。

なかでも近年、その重要性が声高に叫ばれているのはScope3という区分です。それは一体なぜなのでしょうか?

本記事ではScope3の概要とGHG排出量の算定方法について、分かりやすく解説します。企業の経営者はもちろん、CSRに取り組む担当者の方や環境意識の高い投資家の方も、ぜひ参考にしてみてください。

    Scope3とは?

    サプライチェーン排出量のスコープ図
    出典:グリーン・バリューチェーンプラットフォーム「サプライチェーン排出量算定について」

    Scope3とは、GHG排出量の国際算定基準である「GHGプロトコル」における区分の一つであり、サプライチェーン排出量のうち、事業者によるGHGの直接排出量であるScope1や他社から供給された電気や熱、蒸気の使用に伴う間接排出量であるScope2を除いたすべての間接排出量のことを指します。

    サプライチェーン排出量は、製品の材料調達から製造、在庫管理から消費に至るまでの一連の流れにおいて排出されたGHGのことであり、サプライチェーン全体でのGHG排出量を把握するための指標です。これらにおける自社が他社から購入した製品の製造時におけるGHGや、自社の製品を消費者が購入して使用したときに排出されるGHGなどがScope3に分類されるでしょう。

    Scope3は以下の15のカテゴリから成り立っており、カテゴリ1〜8までが上流、9〜15までが下流となっています。


    Scope3カテゴリ該当する活動(例)
    購入した製品・サービス 原材料の調達、パッケージングの外部委託、消耗品の調達
    2資本財生産設備の増設(複数年にわたり建設・製造されている場合には、建設・製造が終了した最終年に計上)
    3Scope1,2 に含まれない燃料及びエネルギー関連活動調達している燃料の上流工程(採掘、精製等)調達している電力の上流工程(発電に使用する燃料の採掘、精製等)
    4輸送、配送(上流) 調達物流、横持物流、出荷物流(自社が荷主)
    事業活動から出る廃棄物 廃棄物(有価のものは除く)の自社以外での輸送(※1)、処理
    6出張 従業員の出張
    7雇用者の通勤従業員の通勤
    8リース資産(上流) 自社が賃借しているリース資産の稼働(算定・報告・公表制度では、Scope1,2 に計上するため、該当なしのケースが大半)
    9輸送、配送(下流) 出荷輸送(自社が荷主の輸送以降)、倉庫での保管、小売店での販売
    10販売した製品の加工 事業者による中間製品の加工
    11販売した製品の使用 使用者による製品の使用
    12販売した製品の廃棄 使用者による製品の廃棄時の輸送(※2)、処理
    13 リース資産(下流)自社が賃貸事業者として所有し、他者に賃貸しているリース資産の稼働
    14 フランチャイズ 自社が主宰するフランチャイズの加盟者のScope1,2 に該当する活動
    15投資 株式投資、債券投資、プロジェクトファイナンスなどの運用
     その他(任意)従業員や消費者の日常生活
    出典:グリーン・バリューチェーンプラットフォーム「サプライチェーン排出量算定について」

    これまで重視されてきたScope1やScope2の算定は、自社の製品製造工程やエネルギー調達量から求められるため比較的容易でした。

    しかし、自社と関連のある他社にまで対象を広げたScope3については、計算も複雑であり、取引先の協力も不可欠です。算定するにあたってはかなりの労力を要するため、導入はうまく進んでいないのが現状です。

    Scope3の算定方法

    Scope3を含むGHGの算定にあたっては、下記の2パターンのどちらかの手法によって15のカテゴリごとに計算し、その合計を算定します。

    環境省「サプライチェーン排出量算定の考え方(p.6)」より筆者作成

    本来であれば、生きたデータである一次データを取得することが望ましいものの、リソースの問題などから現在の実務上の主流は基本式から排出量を算定するパターンとなっています。

    活動量とは、温室効果ガス排出に関わる事業活動の規模を示します。図でも示しているように、電気の使用量(kWh)や貨物の輸送量(トンキロ)、廃棄物の処理量(t)などが該当します。これらを、活動量あたりのCO2排出量である排出原単位に乗じることでGHG排出量を算定することができます。排出原単位は環境省が運営するグリーン・バリューチェーンプラットフォームから確認することができます。

    また、より実態に即した算定方法として、取引先に排出量を実測値で直接計測するよう求め、正確な排出量を算定する方法もあります。

    環境省制定のガイドラインとGHGプロトコルでは各Scopeでの算定範囲に一部揺れがあります。実際の算定にあたっては最新のガイドラインに則って算定をおこなってください。

    Scope3を算定するメリット

    出典:Unsplash

    削減対象が明確になる

    Scope3を算定することでサプライチェーン全体のGHG排出量が明らかになるのはもちろんのこと、排出源ごとのGHG排出が把握できるようになります。

    したがって、自社の製品サイクルを見直す際に、どこに注力すべきかという削減のターゲットを、より詳細に絞り込むことができます。サプライチェーン上のどこを優先的に削減対象とするかを決めることで、スムーズに脱炭素経営を実現できるでしょう。

    また、限られたリソースを効果的に生かした取り組みも可能です。たとえば、梱包や輸送に関わるセクションにおいてGHGを削減することは、不要な包装や無駄な輸送プロセスを改善することです。

    つまり、結果として無駄なコストが削減されることでビジネスのコストダウンにもつながります。こうしたリソースの効率化により、企業に様々な副産物をもたらすでしょう。

    取引先との関係が深まる

    サプライチェーン全体の排出量を算定するには、自社だけで取り組みを完結することは不可能です。取引先と情報交換をしたり、取引先のビジネスモデルをより一層理解しなければなりません

    そうした連携を取ることで、環境負荷を低減するための新たなアプローチの模索や環境に優しいサービスへのブラッシュアップといった、取引先との関係がより親密になることも期待できるでしょう。こうした動きは、Scope1やScope2の算定では見られないことです。

    また、自社単体では実現できないような対策を他社と連携して推進することができるかもしれません。今までは個社ごとの取り組みで個社ごとの成果となっていましたが、サプライチェーンとして団結して取り組むことで業界を横断する施策や、その成果もよりインパクトのあるものとなるはずです。

    社会的な信用が向上する

    近年、環境や倫理といった非財務情報は消費者のみならず、投資家や取引企業といったステークホルダーからも開示を求められる傾向にあります。

    そこで、プレスリリースや株主総会などでサプライチェーン排出量を公表することで、サプライチェーン全体での環境保全活動を定量的に示すことができれば、健全な環境経営に対する社会からの高評価を受けやすくなるでしょう。

    ESG投資という目線で見ても、サプライチェーン排出量の開示要請に対応することは資金調達の可能性を広げる重要な取り組みです。「サステナブル」がキーワードとなる今後の社会情勢において、Scope3を含んだ質の高い非財務情報を提示できる企業は、様々な面で有利になると思われます。

    Scope3算定の課題

    出典:Unsplash

    コストがかかる

    正確なデータを取得するには、人の手による確認ではなくシステム化された計測フローが必要になってきます。昨今の商品は多機能化に伴って非常に複雑な作りになっており部品が様々なルートで持ち込まれます。

    数社であれば算定も簡単ですが、たくさんの企業を横断するようなサプライチェーンでは、その排出量を計測するシステムも高額なものになりがちです。したがって、Scope3算定を検討する際には多くのケースにおいてコスト面で頭を悩ませることになるでしょう。

    また、GHG排出量の算定にあたっては細かいチェックや地道な事務作業も伴います。時間的コストという視点で見ても、従業員がこれらの作業に手間取られてしまうのはもったいないと言わざるを得ません。

    絶対的な正確性が求められる

    前述のように、Scope3を含めたGHG排出量を公表することは社会的信用に直結します。エコな企業や製品を選択して消費行動をする消費者がいる以上、その数値は絶対に正しいものでなければなりません。

    そのため、悪意がなかったとしても不正確なデータを公表してしまうと、消費者や投資家からは「不正に利益を得ている」といったイメージを持たれてしまいます。

    また、要件を満たせない企業がサプライチェーンから外されてしまうのを防ぐために、あるいはGHG削減コストを浮かせるために数字の改ざんを行う可能性もあります。

    データを管理する際には、改ざんが難しいような高いセキュリティ要件を満たすデータベースやブロックチェーンなどの分散的なデータ管理を行うデータベースを活用する必要があるでしょう。

    Scope3が注目されている理由

    Artisan Partners ne veut pas qu'Emmanuel Faber reste président de Danone.
    国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)のエマニュエル・ファベール議長(出典:Les Echos

    元々、環境意識の高い企業からはそれなりに認識のあったScope3ですが、最近になって急激に企業からの注目が高まりつつあります。その理由は、気候変動に関する枠組みの世界的基準が統一されたことにあります。

    2023年6月に国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)が公表した「サステナビリティ開示基準」では、それまで乱立していたサステナビリティ関連および気候関連開示についてが統一されており、上場企業がサプライチェーンにおけるGHG排出量を算定する際には、Scope3も含めて算定しなければならないと明記されました。

    今回発表された開示基準は早ければ2024年度から適用可能で、日本でもサステナビリティ基準委員会(SSBJ)が主体となって24年3月に国内での開示基準の草案を公表しており、27年3月期から企業に適用を義務付ける見込みとなっています。

    したがって、先日の最終確定を受けて日本の上場企業は上述のような課題にイチ早く取り組まねばならず、国内でScope3への関心が高まっているというわけです。

    日本の企業では、環境活動において先進的な取り組みには腰が重い企業が一定数存在します。一方、世界経済ではEUがその覇権をますます強めており、産業に関する政策イニシアティブをとるケースもかなり多いです。

    実際に、DPP(デジタルプロダクトパスポート)が義務化された際には、多くの国内関連企業が対応に追われました。

    Scope3は各企業、もっといえば各製品レベルで算定のシナリオが異なってきます。スケジュールに余裕をもたせず、「義務化されたからやろう」のスピード感で動いている企業は、GHG算定に関して思わぬ苦戦を強いられる可能性もあるため注意が必要でしょう。

    特に注目を集めているScope3カテゴリーとは?

    出典:環境省「物語でわかるサプライチェーン排出量算定」

    企業のサステナビリティへの取り組みがますます重要視される中、Scope3の排出量管理が注目を集めています。Scope3は企業の直接的な活動だけでなく、サプライチェーン全体や製品のライフサイクルにわたる温室効果ガス(GHG)排出量を含むため、その管理は複雑を極めます。特に以下に示すいくつかのカテゴリーについては、企業にとって大きな影響を与える可能性があり、詳細な理解と対策が求められます。

    カテゴリー4

    カテゴリー4は、サービスのサプライヤーから自社への物流という上流の輸送および配送に関連する排出量が振り分けられるカテゴリーです。原材料や部品が供給元から製造拠点まで運ばれる際に発生する温室効果ガス排出量が対象となっており、物流業界ではその重要性が徐々に認識され、効率的な物流計画や低炭素輸送手段の導入が進められています。

    たとえば、事業者をアパレル小売店として考えてみましょう。繊維が海外で生産(一次サプライヤー)されており、日本のアパレル企業(二次サプライヤー)が生地を購入・縫製し、小売店(算定事業者)などに販売するといった関係性があるとします。この場合、2次サプライヤーから事業者への配送がカテゴリ4となります(輸送や配送を事業者が行う場合を除く)。1次サプライヤーから2次サプライヤーへの輸送でも温室効果ガスは発生しますが、原材料の調達である排出量はカテゴリ4では算出せず、カテゴリ1で計算します。

    また、自社が費用負担している物流に伴う排出量については最終製品の輸送、いわゆる下流の輸送であってもカテゴリー4として算定します。少しややこしくなってしまいますが、ざっくりいうと事業者の配送部門で製品を運んだ場合はScope1、2、配達業者などに依頼する場合は、自社が配達費用を支払えばカテゴリ4、製品を受け取る取引先や消費者が費用を支払えば後述するカテゴリ9に分類されます。

    これはカテゴリー4が排出主体、つまり削減努力が求められる主体によって上流と下流にカテゴライズしたものであり、一般的な製造工程で使われる上流・下流とは意味合いが異なっている点には注意が必要です。

    カテゴリー9

    カテゴリー9は、輸送および配送(下流)で発生する温室効果ガス排出量が分類されています。このカテゴリーは、企業が製品を消費者や取引先に届ける際の物流に関連する排出量を含むかなり広範囲なものです。

    近年、オンラインショッピングやグローバルなサプライチェーンの拡大に伴い、製品が消費者に届けられるまでの物流プロセスは複雑化しています。多くの異なる運送業者や配送手段が関与しているため、正確な排出量の追跡には困難が伴ううえ、これらは企業が直接管理できない部分が多いです。そのため、カテゴリー9への対応は急務であるとして、主に大企業を中心にこのカテゴリへの注目度が高まっています。

    カテゴリー4と異なる点は、カテゴリー4が上流の輸送および配送、つまり原材料や部品が供給元から製造拠点に運ばれる際の排出量をカバーしているのに対し、カテゴリー9は製品が完成し、消費者や取引先に届けられる下流の輸送および配送かつ、配送に伴う費用や労力を他社が負担している排出量を対象としている点です。また、カテゴリー9については「輸送」「配送」に関する排出量と説明されていることが多いですが、「保管」に関する排出量もこのカテゴリーで算定します。

    このカテゴリーでは自社の取り組みというよりも物流パートナーとの協力が重要です。物流業界ではAIを活用した最適配送ルートの開発や「グリーン配送オプション」の提供によってGHG排出量を削減する取り組みがなされています。適切な企業を配送業者として選定することで、企業だけでなくバリューチェーン全体の環境パフォーマンスを向上させ、持続可能な社会への貢献が期待されます。

    カテゴリー11

    Scope3のなかでもとくに厄介とされるのが、カテゴリー11「販売した製品の使用」、つまり製品が消費者の手に渡って使用されているときに排出されるGHG排出量です。このカテゴリが特に注目される理由の一つは、その計算の難しさにあります。

    調達や配送であれば、実際の数値に照らし合わせて排出量を算定することができますが、カテゴリー11は生産時にはまだ確定していない「製品の生涯排出量」を考慮しなければなりません。製品がどのように使われるか、どれだけの期間使用されるか、さらにはどのエネルギー源を使って運用されるかは消費者ごとに異なるため、正確な排出量を算定することが困難です。

    現在は使用方法等の条件ごとに仮定のシナリオを作り、計算上の生涯排出量を設定していますが、これには限界があります。EVや家電製品はユーザーごとに使用頻度や使用時間に大きな差があり、さらには太陽光発電等の再エネ電力を利用していた場合にはGHGの算定に大きなインパクトを与えてしまいます。

    したがって、本来の目的からするとユーザーごとの利用に即したGHG排出量を算定すべきであり、日本国内でも実際にそういった取り組みをスタートしている企業も散見されます。しかし、個別の製品使用データや電力データを取得するにはいくつもの課題があり、Scope3対応が追いついているとはあまりいえない状況が続いています。

    Scope3を公表している企業

    ダイキン工業株式会社

    出典:Enterprise Zine

    CO2の排出量が年間3億トンを超えているというダイキン工業株式会社はScope3を含めたGHG排出量を自社のHP上で公表しています。実はそんな莫大なサプライチェーン排出量の99%はScope3カテゴリー11による排出量が占めているそう。そんななかでScope3算定方法の改善にも着手している最中です。

    現在のシナリオでは、消費者は一定の温度を超えるとエアコンをつけるだろうという予測のもと全体的に計算をしており、個別の利用状況が反映できていません。そこで、産総研と共同でメガデータを解析することで、精度の高い実態に即したScope3の算定ができないか研究を進めています。

    富士通グループ

    富士通のロゴ
    出典:会社四季報オンライン

    富士通グループでは、事業活動のライフサイクルのうち、Scope3の比率が全体の約9割を占めています。そのため、このカテゴリに関しての排出削減を掲げ取り組んでおり、富士通グループの中期環境目標「製品の使用時消費電力によるCO2排出量を2030年度に2013年度比30%以上削減する」に基づき、第10期環境行動計画も策定しました。

    省エネ技術の適用などを通してScope3削減を目指す同グループは、2020年には「スコープ3 排出量算定」を含む環境マネジメントにおいて、国際的な「サプライヤー・エンゲージメント評価(SER)」の最高評価「A」を獲得するなど、精力的な環境活動が光ります。

    株式会社リコー

    出典:バチャナビ

    株式会社リコーでもGHG排出の約83%を占めるというScope3内の、原材料調達(カテゴリー1)、輸送(カテゴリー4)、使用(カテゴリー11)を対象に対応を進めています。

    とくに2023年度からはカテゴリー4の輸送において、GLEC(Global Logistics Emissions Council)フレームワーク認証と呼ばれる多国籍企業とそのサプライヤーに特化した物流排出量計算のガイドラインに準拠した可視化ツールを、北・中・南米の各地域にも導入。これにより、GHG排出量を適切に把握することができるようになります。

    まとめ

    今回はScope3について、概要から企業事例まで解説を行いました。

    「製品生産時のGHG排出量を報告して終わり」の時代はいまや過去のものになっています。消費者の製品使用にも企業が責任を持ち、正確なScope3算定に向けての企業努力が欠かせません。製品の使用データの取得・活用は今後、製品開発以外の用途として重要な価値を持ってくるでしょう。

    自社のサプライチェーンを見直し、GHG排出量の可視化・削減に向けて、ぜひScope3対応に取り組んでみてはいかがでしょうか。

    トレードログ株式会社では、GXをテーマに製造・物流・社会インフラなど非金融領域へ向けた「データ活用×ブロックチェーン導入」を専門的に支援させていただいております。

    Scope3への対応や電力の色分けといったエネルギー分野に関する課題も、ブロックチェーン活用によって解決いたします。

    少しでもお悩みやご関心がございましたら、是非オンライン上で30〜60分程度の面談をさせていただければと思いますので、お問い合わせください。

    ICOとSTOとは?〜ブロックチェーンによる新たな資金調達のカタチ〜

    2008年にサトシ・ナカモトがビットコインを誕生させて以来、ブロックチェーン技術は金融領域のみならず、非金融領域、それも非常に幅広い産業での応用が期待され、また実用化されてきました。

    そんなブロックチェーンにとって、切っても切れない関係にあるのがトークンです。ブロックチェーントークンは、近年注目を集めるNFT(Non Fungible Token)など、数多くの応用可能性を背景に世界中の事業家や投資家達が注目する事業領域となっています。

    特に近年、従来の出資とは異なるシステムに基づいた資金調達法がブロックチェーンによって実現しています。本記事では、ブロックチェーンが実現する新たな資金調達法であるICO、STOについて詳しく解説していきます。

    ブロックチェーンによる資金調達が注目を集めている!

    トークンを用いた資金調達法

    近年、企業が資金を調達する方法は多様化しています。一昔前までは、金融機関や知人・親族からの借入、新株発行などが主流でした。しかし、現在ではベンチャーキャピタルからの投資やクラウドファンディングによる資金調達も珍しいものではなくなってきています。

    実は、そんな激動の金融分野においてもブロックチェーンの導入が始まっています。ブロックチェーンの文脈におけるトークンとは、ブロックチェーン技術を用いて発行された独自の暗号資産(通貨)や電子的な証票を意味します。

    概略としては、企業がブロックチェーン上で発行するトークンを投資家に提供し、投資家は配当金や発行体の提供するクーポンやポイントなどの非金銭リターンを受け取るという仕組みですが、ブロックチェーンの特性を生かすことで自由度や流通性が大きく向上すると予想されています。

    とりわけ、本記事のテーマでもあるICOやSTOは、従来の株式資本市場における資金調達のデメリットを克服する新しい方法として、すでにいくつもの大型の調達実績を出してきました。

    それぞれどのような仕組みなのかについてこの後、解説していきますが、その前にブロックチェーンについて軽く説明を加えます。

    ブロックチェーン=管理者不要でデータを安全に記録・共有する技術

    出典:shutterstock

    ブロックチェーンは、サトシ・ナカモトと名乗る人物が2008年に発表した暗号資産「ビットコイン」の中核技術として誕生しました。取引データを暗号技術によってブロックという単位にまとめ、それらを鎖のようにつなげることで正確な取引履歴を維持しようとする技術です。

    ブロックチェーンはデータベースの一種ですが、そのデータ管理方法は従来のデータベースとは大きく異なります。従来の中央集権的なデータベースでは、全てのデータが中央のサーバーに保存されるため、サーバー障害やハッキングに弱いという課題がありました。一方、ブロックチェーンは各ノード(ネットワークに参加するデバイスやコンピュータ)がデータのコピーを持ち、分散して保存します。そのため、サーバー障害が起こりにくく、ハッキングにも強いシステムといえます。

    また、ブロックチェーンでは、ハッシュ値と呼ばれる関数によっても高いセキュリティ性能を実現しています。ハッシュ値とは、あるデータをハッシュ関数というアルゴリズムによって変換された不規則な文字列のことで、データが少しでも変わると全く異なるハッシュ値が生成されます。新しいブロックを生成する際には必ず前のブロックのハッシュ値が記録されるため、誰かが改ざんを試みると、それ以降のブロックのハッシュ値を全て再計算する必要があり、改ざんが非常に困難な仕組みとなっています。

    さらに、ブロックチェーンでは、マイニングという作業を通じて、取引情報のチェックと承認を行う仕組み(コンセンサスアルゴリズム)を持っています。マイニングとは、コンピュータを使ってハッシュ関数にランダムな値を代入する計算を繰り返し、ある特定の条件を満たす正しい値(ナンス)を見つけ出す作業のことで、最初にマイニングに成功した人に新しいブロックを追加する権利が与えられます。

    このように、ブロックチェーンは分散管理、ハッシュ値、マイニングなどの技術を組み合わせることで、データの改ざんや消失に対する高い耐性を持ち、管理者不在でもデータが共有できる仕組みを実現しています。

    詳しくは以下の記事でも解説しています。

    ブロックチェーンによる資金調達のメリット

    安全な資金調達が期待できる

    出典:Unsplash

    従来型の出資では、株や債券等の証券は証券保管振替機構(ほふり)で一括管理されています。このような中央集権的な管理体制の場合、仕組み的に単一障害点になり得ることから、何らかのトラブルによりこの機能がダウンすると取引のすべてが停止してしまいます。もちろん、二重化やバックアップセンターなどの対策はなされていますが、そういったバックアップセンターも停止した場合(大規模災害等)、システムは機能しなくなってしまいます。

    また、データの集中管理にはデータの改ざん・ハッキングなどのリスクもあります。専用線を使用していることが多いため、インターネット経由のハッキングリスクは基本的には心配ありませんが、USBなどを通してシステム内部に侵入される可能性があります。

    これに対し、ブロックチェーンは前述のように分散してデータの管理を行います。不特定多数のユーザー同士が取引履歴を記録して監視する仕組みのため、ネットワーク全体でデータの一貫性を保つことができ、単一障害点を持たないように設計されています。

    したがって、一つのノードが機能しなくなったり、あるいはデータの不正な書き換えが起きた際にも、ネットワークの参加者間で正確なデータは同期されているため、すぐにバックアップを復元することが可能です。

    こういった安全で正確なデータ管理ができる点は、資金調達や証券との相性が良い技術といえるでしょう。

    煩雑な事務作業がなくなる

    出典:Unsplash

    ブロックチェーンによる資金調達ではトークンを介して権利を管理することができます。

    証券取引では取引がその台帳に反映される以前に、約定日、銘柄、数量、価格などが合っているかを確認する「約定照合」という作業があります。こうした確認を要する作業は、膨大な作業量やシステムをまたぐチェックにより手間がかかり、ミスも増えてしまいます。

    こうした分野にブロックチェーンを活用すれば、プラットフォーム上で電子帳簿の書き換えによって容易に権利を移転させることができ、流動性が高まった結果、従来のような煩雑な手続きを要することなく活発な取引が期待できます。手続きも全てネット上で完結するため、手続きのコストは従来よりも削減できるでしょう。

    24時間稼働が実現する

    出典:Unsplash

    従来の証券取引では、仮想通貨など一部の投資商品に関しては、土日を含む24時間で取引が可能となっていますが、基本的には平日の9時〜15時半までとなっています。これは、現在の上場有価証券は証券取引所やほふりを介することでしか取引ができず、これらの営業時間に依拠せざるを得ないためです。

    ブロックチェーンによるデジタル上での取引となるため、24時間いつでも取引が可能になっています。したがって、投資家は早朝や深夜、休日など自身が好きなタイミングで売買を行うことができます。約定と決済も即時行えるため、即時的な取引も可能になり、利便性が高まると考えられています。

    かつてはICOがトークンによる資金調達の代表例だった

    Top 30 ICO Development Companies in India [September 2023]
    出典:Linkedin

    ブロックチェーンによる資金調達の初期の形はICOと呼ばれるものでした。今はあまり見かけないタイプの調達法ですが、基本的な思想は現在の主流とも似通るところもあるため、歴史を学ぶ意味でもICOについて見ていきましょう。

    ICOの概要

    ICOとは、「Initial Coin Offering(イニシャル・コイン・オファリング)」の略で、新規仮想通貨を公開・売却することで資金調達する方法のことです。

    ICOでは、企業や団体が、コインやトークンと呼ばれる独自の仮想通貨を発行します。同時にホワイトペーパー(解決したい課題やその必要性、市場規模、具体的なソリューションなどについてまとめた資料)を公開することによってプロジェクトの有望さを投資家に売り込みます。

    投資家は、企業や団体の活動内容を知り、成長可能性があると思えば、コインやトークンを購入して保有します。プロジェクトが軌道に乗れば、保有しているコインやトークンの価値が上昇し、購入時より価格が上がったタイミングでそれらを売却すれば、売却益を得られるという仕組みです。

    銀行から借り入れる際には、煩雑な審査や返済義務といった存在が借り手の頭を悩ませますが、ICOではこれらも必要ありません。そういった意味ではIPO(新規公開株)の仮想通貨版と考えてもらうとわかりやすいかと思います。

    仮想通貨にはもともと、国際送金を低コストで行えるという特徴があるため、国や地域を限定することなく世界中から資金を調達することが可能です。こうした様々なメリットによって世間の注目を集めました。

    ICOに関する数々のトラブル

    一時期は大きく注目を集め、多額の資金が投じられたICOでしたが、現在ではICOによる資金調達はほとんど行われていません(少なくとも、ICOと名乗ることはないでしょう)。

    その理由は、ICO投資詐欺が横行したことに起因しています。ICOにおけるトークンは法規制の範囲外でした。したがって、発行者にとっては簡易・迅速な巨額の資金調達手段として、投資家にとっては当時の仮想通貨ブームも相まって世界的に爆発的に件数が増えました。

    十分に検討されていないプロジェクトであっても資金が調達できましたが、プロジェクトが投資家に対して報告する義務もなく、ブームに乗っただけのプロジェクトは仮想通貨のバブル崩壊とともに立ち消えになってしまいました。

    このような極度に投機的な性格や、仕組みを利用した詐欺事件が相次いだことなどにより、市場は大きく縮小する結果となり、令和元年の金商法改正によってICOによって発行されるトークンのうち、トークンが暗号資産(仮想通貨)に該当する場合や前払式支払手段(電子マネーやポイントと同じ分類)に該当する場合は、資金決済法の規制を受けることとなったものの、ネガティブなイメージはいまだ取り戻せていません。

    STOはICOに代わるデジタル証券の資金調達手法

    出典:MAKE USE OF

    問題が露呈したICOに取って代わったのがSTOと呼ばれるアプローチです。ここではSTOについて解説していきます。

    STOの概要

    STOとは、「Security Token Offering(セキュリティ・トークン・オファリング)」の略で、有価証券の機能が付与されたトークンによる資金調達方法のことです。ここでの「セキュリティ」は一般的に使われる「安全性」という意味ではなく、「証券」という意味です。

    有価証券は、債権や株式、投資信託など、財産的な裏付けや権利を持つもので、その権利を他人に移転したり、行使したりする際に受渡・占有が必要とされる証券のことを指します。こういった従来の有価証券をブロックチェーン技術を用いて電子化(トークン化)したものが「ST(セキュリティ・トークン)」です。

    有価証券は証券会社をはじめ、銀行や保険会社等の金融機関でも取り扱っていますが、STを扱う取引機関もそれら同様、政府機関による厳しい審査を受けなければならず、トークンリスト、データ共有、オンボーディング手順に関する様々なコンプライアンスをクリアする必要があります。したがって、ICOのように質の低いプロジェクトや悪意を持った架空のプロジェクトが紛れ込むリスクが格段に減少しました。

    STを購入できる取引所の整備は主に海外で進められてきましたが、2020年5月に金融商品取引法で有価証券として規定されたのをきっかけに、国内でもSTを取り扱う証券会社が現れ、今後さらにマーケットが拡大していく見込みです。

    STOのメリット

    STは証券会社を通して購入することになります。したがって、STを発行する企業も各国の金融商品取引法に準拠したトークンを発行する必要があるため、安心して投資をおこなうことが可能です。

    また、STOでは個人投資家でも様々なものに投資できるようになり、企業としてもSTOを活用して多くの投資家から資金調達を行うことによって、一人当たりの投資金額を小口化できます。

    株式等はもちろんのこと、従来の方法では難しかった土地や著作権などの所有権も小口化することが可能です。今後も、さまざまな資産を対象としたトークンが開発されていくことでしょう。

    STOのデメリット

    STは、金融商品取引法及び関連府令の改正により「電子記録移転有価証券表示権利等(デジタル証券)」と定義されました。

    STは上図のように①伝統的有価証券トークン②電子記録移転権利(いわゆるみなし有価証券トークン)③適用除外電子記録移転権利(内閣府令により②から除外されるもの)に分かれています。

    改正前は信託受益権、集団投資スキーム持分などの電子記録移転権利は第二項有価証券として扱われていました。しかし、トークン化された有価証券は流通性が高まると予想されることから、第一項有価証券として取り扱われることになりました。

    市場における流通性が高い株式や社債等の有価証券については、有価証券の募集等に関して二項有価証券に比べて厳しめの規制が課されています。したがって、開示規制により有価証券届出書を提出しなければならなかったり、仲介業者(プラットフォーム提供者)も第一種金商業のライセンスが必要になったりします。

    結果としてICOと比較すると、小企業や早期プロジェクトがトークンを発行し、公募するハードルがかなり高くなってしまいました。

    国内では不動産STOが活発化

    今まで見てきたように法的バックグラウンドが生まれたことにより、今後たくさんのSTO事例が誕生するでしょう。国内ではそういった流れに先駆け、不動産STの取引が活性化しています。

    不動産STとは不動産特定共同事業の出資持分をトークン化して、小口商品として販売します。マンション投資など不動産への投資は高額であり、主にプロ向けに販売されることが多いですが、STOを活用することで個人単位でも比較的少額で、そうしたプロ向けの商品に投資できるようになっています。

    これまでも、クラウドファンディングなどで、不動産特定共同事業の出資持分を販売する例はありましたが、これらは譲渡における手続きが複雑なうえに、信託受益権については信託銀行等の帳簿上でその権利や権利者が管理されており、同日中に大量の件数の権利移転手続きを行うことが困難でした。したがって、この不動産分野では投資家同士のセカンダリー取引が困難な流動性の低いという課題を抱えていました。

    しかし、ブロックチェーンを活用してトークン化することで、大量の件数の権利移転手続きを効率的に実施できるようになり、多数の投資家を対象とした不動産関連の小口投資を商品化することが可能になりました。

    日本初の不動産STOをおこなったとされるケネディクス株式会社は、SMBC信託銀行と大和証券などと協業しながら大型のSTOを実施してきました。同社では2023年8月までに8件の不動産STOを実施し、ST発行総額は407億円にのぼります。

    出典:ケネディクス・インベストメント・パートナーズ株式会社

    また、2023年11月には大阪デジタルエクスチェンジ(ODX)が、金融庁よりST取引に係るPTS(上場有価証券取引に係る私設取引システム)開設の変更登録及び変更認可を承認されたと発表しました。同時に、「START(スタート)」と命名されたセカンダリー市場の開設も発表され、さらなる取引の活性化が見込まれています。

    ODX、新PTS市場START(スタート)の第1号案件として「公募型不動産STO」実施へ

    まとめ

    株や債券等の証券が券面から証券保管振替機構(ほふり)での管理に移り変わってきたように、今度はデジタル有価証券に形を変え、新たな資金調達モデルへの転換点に差し掛かっているのかもしれません。

    まだまだ規制面やなどで課題も多く残るSTOですが、今後STを取り扱う証券会社や投資モデルの多様化が進めば、STOをベースとした資金調達が主流となるはずです。

    既存の証券システムの刷新を期待して、今後のSTOの発展には引き続き注目していきたいですね。

    ブロックチェーンに隠れた3つの課題とは?

    DXの有望技術として期待されるブロックチェーン。分散型台帳とも呼ばれるこの技術が普及するためには克服すべき3つの課題「スケーラビリティ」「ファイナリティ」「セキュリティ」があります。

    本記事では、これら3つの課題の概要と解決策を解説します。

      ブロックチェーンのおさらい

      ブロックチェーンの課題について解説する前に、まずはブロックチェーンとはそもそもどのような技術であるのかについて簡単におさらいしていきましょう。

      ブロックチェーン=管理者不要でデータを安全に記録・共有する技術

      出典:shutterstock

      ブロックチェーンは、サトシ・ナカモトと名乗る人物が2008年に発表した暗号資産「ビットコイン」の中核技術として誕生しました。取引データを暗号技術によってブロックという単位にまとめ、それらを鎖のようにつなげることで正確な取引履歴を維持しようとする技術です。

      ブロックチェーンはデータベースの一種ですが、そのデータ管理方法は従来のデータベースとは大きく異なります。従来の中央集権的なデータベースでは、全てのデータが中央のサーバーに保存されるため、サーバー障害やハッキングに弱いという課題がありました。一方、ブロックチェーンは各ノード(ネットワークに参加するデバイスやコンピュータ)がデータのコピーを持ち、分散して保存します。そのため、サーバー障害が起こりにくく、ハッキングにも強いシステムといえます。

      また、ブロックチェーンでは、ハッシュ値と呼ばれる関数によっても高いセキュリティ性能を実現しています。ハッシュ値とは、あるデータをハッシュ関数というアルゴリズムによって変換された不規則な文字列のことで、データが少しでも変わると全く異なるハッシュ値が生成されます。新しいブロックを生成する際には必ず前のブロックのハッシュ値が記録されるため、誰かが改ざんを試みると、それ以降のブロックのハッシュ値を全て再計算する必要があり、改ざんが非常に困難な仕組みとなっています。

      さらに、ブロックチェーンでは、マイニングという作業を通じて、取引情報のチェックと承認を行う仕組み(コンセンサスアルゴリズム)を持っています。マイニングとは、コンピュータを使ってハッシュ関数にランダムな値を代入する計算を繰り返し、ある特定の条件を満たす正しい値(ナンス)を見つけ出す作業のことで、最初にマイニングに成功した人に新しいブロックを追加する権利が与えられます。

      このように、ブロックチェーンは分散管理、ハッシュ値、マイニングなどの技術を組み合わせることで、データの改ざんや消失に対する高い耐性を持ち、管理者不在でもデータが共有できる仕組みを実現しています。

      詳しくは以下の記事でも解説しています。

      高まるブロックチェーン市場への期待

      ブロックチェーンは、「AI」「IoT」と並んで、DX(デジタルトランスフォーメーション)分野で期待されている有望技術の一つです。DXとは、「情報テクノロジーの力を用いて既存産業の仕組みや構造を変革すること、あるいはその手段」のことで、産業全体のバリューチェーンやサプライチェーンにおけるイノベーションから開発企業におけるエンジニアの就労環境改善や、社内コミュニケーションツールの変更といった自社の変革まで大小問わずにビジネス全体を変革する可能性を秘めています。

      元々はFintech(フィンテック、金融領域におけるDX)の一分野である仮想通貨の実現を可能にした一要素技術、つまりビットコインを支えるだけの存在に過ぎなかったブロックチェーンですが、近年、データの透明性や耐障害性、分散的な組織構造などが注目され、あらゆる既存産業・ビジネスで応用できる可能性を秘めた技術であることが明らかになってきました

      海外では行政や地域福祉レベルでもブロックチェーンが実用化されるケースがあり、国内でも大手企業を中心に、実証実験や一部サービスへの導入が始まっています。欧州での規制や度重なる企業の不祥事などにより、データの正確性や業務の自動化が求められる今後のビジネスでは、ブロックチェーンの需要はさらに拡大していくことでしょう。

      そんなブロックチェーンも万能薬ではない!?

      上述のように、ブロックチェーンは様々な社会課題を解決する可能性を秘めた素晴らしい技術です。しかし、その割には私達が普段触れているサービスに適用されている事例は多くはなく、社会へ浸透しているとはいえない状況です。

      これは一体なぜなのでしょうか。もちろん既存のデータベースから乗り換えるだけのメリットを感じない、新たなシステムを導入するだけの資金がないといったビジネス的な理由もあるでしょう。

      しかし、それ以前にブロックチェーンには技術的な課題が大きく分けて三つ存在します。いずれの課題も単純に対策をすれば良いというものではなく、メリットと引き換えに生じているものもあるため、その理由や背景を知ることはブロックチェーンを語る上で欠かせないでしょう。

      ここからはそれぞれの課題について、概要と解決策を紹介していきます。

      ブロックチェーンの課題①:スケーラビリティ

      point of sale scalability
      出典:National Computer Corp

      課題の概要

      ブロックチェーンの課題の一つ目は、「スケーラビリティ」です。スケーラビリティとは、「トランザクションの処理量の拡張性」つまり、どれだけ多くの取引記録を同時に処理できるかの限界値のことを指します。

      ブロックチェーンは、従来のデータベースよりもスケーラビリティが低くならざるを得ないという課題を抱えています。これはビットコインやイーサリアム、リップルといった各ネットワークごとに予め定められた「コンセンサスアルゴリズム」と呼ばれる合意形成のルールに基づいて、一定量のトランザクション(取引データ)群をブロック化することで取引記録を保存する、というブロックチェーンの性質によるものです。

      したがって、ある単位時間にどの程度の量のトランザクションをブロック化して処理できるかは、そのルールであるコンセンサスアルゴリズムに依存することになります。例えば、ビットコインでは「PoW(Proof of Work、プルーフオブワーク)」というコンセンサスアルゴリズムを採用していますが、これはネットワーク参加者(=「ノード」)に、自身のコンピュータのマシンパワーを利用した計算問題を解くことがブロック生成の条件となっており、ビットコインネットワークにおけるスケーラビリティはノードのマシンパワーに依存することになります。

      ビットコインの場合、新しいブロックが平均して10分に1回生成され、各ブロックでは1MBのデータしか処理がされません。ブロックチェーンには、未処理のトランザクションが待機しておくメモプールという空間が存在しますが、処理するトランザクションが増えて記録可能な取引の上限を超過してしまうと、メモプールに大量のトランザクションが留まってしまいます。こうなると、次回以降のブロック生成時まで放置されて取引が完了しなくなってしまいます。このような取引増加に伴ってネットワーク処理速度が低下することをスケーラビリティ問題といいます。

      また、マイナーと呼ばれるトランザクションの承認者は、ガス代(手数料)という経済的なインセンティブによって動いているため、手数料が多いものから処理を行います。すると、自らの取引を優先的にブロックに記録させるために相場より多くの手数料を支払うユーザーが現れ、手数料のインフレが起きてしまうという副次的な弊害もあります。

      一般に、スケーラビリティは「tps(transaction per second、1秒あたりのトランザクション処理量)」で定義することができますが、実際に、代表的なブロックチェーンネットワークは、次のように不十分なスケーラビリティだと言われています。

      • 一般的なクレジットカード:数万tps
      • ビットコイン(コンセンサスアルゴリズムがPoW):3~7tps
      • イーサリアム(コンセンサスアルゴリズムがPoS):15~25tps
      • コンソーシアム型ブロックチェーンネットワーク(PoAコンセンサスアルゴリズム):数千tps

      このように、ブロックチェーンは、ープンで分散的なデータベースとして期待を集めている一方で、ネットワーク参加者が増えるとスケーラビリティが担保できなくなるという課題を抱えています。

      課題の解決策

      この課題に対しては様々なアプローチが試みられています。最も安直な最善策は、メインチェーンのブロック容量と生成スピードの制約を緩和させることです。

      このアプローチでは、ブロックの容量を増やしたり、生成までの間隔を短縮することで、一回のトランザクションで処理できるデータ量を増加させて待機のトランザクションを減らすことができます。しかし、これによってブロックチェーン本来の分散性が低下する可能性や、システム自体の安定性やセキュリティに影響を及ぼす可能性もあります。

      また、金融領域では、「ライトニングネットワーク(Lightning Network)」という新しい概念に注目が集まっています。ライトニングネットワークは、小規模ながら高頻度で行われる取引をオフチェーン(ブロックチェーンの外部)で処理するペイメントチャネルという仕組みによって、最初と最後の取引だけをブロックチェーンに反映できるネットワークのことです。

      ペイメントチャネルでは、複数の秘密鍵でビットコインを管理するマルチシグという技術を背景にオフチェーン取引が可能になるため、最初の取引でビットコインを送金し、その金額内で自由に送金ができます。したがって、ブロックチェーンのように途中の取引も全て検証する必要がなく、中間の処理を省くことでトレーサビリティ問題に対応しています。

      このようなアプローチにより、決済の迅速化や高いトランザクション容量の実現が期待されています。たとえば、大手暗号資産取引所のバイナンスはビットコインの取引をライトニングネットワークで実行できるようになったと発表しています。

      Binance Completes Integration of Bitcoin (BTC) on Lightning Network, Opens Deposits and Withdrawals

      しかし、非金融領域においてはいまだ効果的な解決策は確立していません。こうした原理的な課題は、ブロックチェーンが社会基盤となれるかどうかを左右する、重要な論点だと言えるでしょう。

      ブロックチェーンの課題②:ファイナリティ

      出典:ぱくたそ

      課題の概要

      ブロックチェーン、とくにその代表格であるビットコインの課題として知られるのが、「ファイナリティ(finality)」の問題です。ファイナリティは決済にまつわる概念で、日本銀行によって、次のように説明されています。

      • (ファイナリティーのある決済とは)「それによって期待どおりの金額が確実に手に入るような決済」のことを言います。
      • 具体的には、まず、用いられる決済手段について(1)受け取ったおかねが後になって紙くずになったり消えてしまったりしない、また決済方法について(2)行われた決済が後から絶対に取り消されない――そういう決済が「ファイナリティーのある決済」と呼ばれます。

      ビットコインの仕組みでは、このファイナリティを十分に担保できないとして、特に金融領域における活用が懸念視されることがあります。

      「スケーラビリティ」の項目でも触れたように、ビットコインではPoWと呼ばれる、ノードのマシンパワーを利用した計算競争によるコンセンサスアルゴリズムが採用されていますが、実はこのPoWがファイナリティの担保を邪魔しているのです。そもそも、PoWは、次のような仕組みです。

      出典:Web3総合研究所
      1. ある時、あるノードが、トランザクションプールから一定量(1MB)のトランザクションを任意でとりまとめて、ブロック化を開始する。
      2. ブロック化を行うために、ノードはビットコインネットワークから与えられた計算課題を解くことを試みる。
      3. 同様に、世界同時多発的に複数のノードが計算を行い、計算に成功したノードが生成したブロックが他のノードに伝播されていく。
      4. 伝播された先のノードがブロック生成に用いた計算の「暗算」を行い、計算が正しいと認められたら、ブロック化に成功する。

      ここで、ある問題が起こります。それは、ある一時点でネットワーク内に複数のノードがつくった異なる複数のブロックが同時に存在し、さらにそれらの異なるブロックの中には同じトランザクションが入っているという事象です。

      PoWでは、複数のノードによる計算競争の結果を一旦すべて正規のブロックとして認めてしまうことになります。すると、ある取引記録が正しいかどうかを確認するにあたって、複数の異なるブロックのうちどのブロックを正しいものとして参照すべきかわからなくなってしまいます

      これが、ビットコインにおける「フォーク(チェーンの分岐)」と呼ばれる問題です。ブロックチェーンの課題に立ち返ってみると、このフォークの可能性が、ビットコイン決済におけるファイナリティの担保を邪魔していることがみえてきます。

      PoWを原理として採用するビットコインでは、常に同時多発的に複数のブロックが生成され、その度ごとにチェーンの分岐(フォーク)が発生する可能性があるため、取引内容が覆る可能性を完全にゼロとすることができず、ファイナリティを担保することができないのです。

      実は、ビットコインではチェーンの分岐が問題にならないように、PoWを補完するもう一つのコンセンサスアルゴリズムである「ナカモト・コンセンサス」を採用しています。ナカモト・コンセンサスは、複数のブロックが同時生成された場合、ブロックの集積が最も多い(つまり長い)チェーンに含まれるブロックを正規のものとみなすという考え方です。一見、この考え方によって、ファイナリティが担保されなくもなさそうではあります。しかし、残念ながら事態はそう簡単ではありません。

      ナカモト・コンセンサスはあくまで合意形成に至る考え方の一つであって、実際には、運営側による仕様の変更など大きく賛否の分かれる問題が生じた際、全員での合意形成には至らず、複数の異なるチェーンを正統とみなす派閥に分派してしまうことがあります(ちなみに、こうした運営側による仕様変更等でチェーンがはっきりと分派してしまうことを「ハードフォーク」と呼びます)。

      実際に2017年には、ビットコイン(BTC)からのハードフォークによってビットコインキャッシュ(BCH)が生まれました。ハードフォークの理由は、スケーラビリティ問題の解決を目指した仕様変更でブロックの容量を8MBに拡張するというものでした。

      こうしたハードフォークはハッカーによる「リプレイアタック」の対象になります。リプレイアタックとは、ある台帳上(旧台帳)で有効なトランザクションを他の台帳上(新台帳)でも実行することにより、送金者の意図しない台帳上で資産移動させてしまうことです。

      これは「旧仕様」と「新仕様」のブロックチェーンがどちらも同じ「秘密鍵」を用いていることが原因です。仮想通貨の記録の管理に用いるキーを変えずに新通貨を作るため、知らぬ間にデータがコピーされて所有権を奪われてしまいます。

      そういった意味で、PoWを採用しているビットコインにおいて、「信用」を扱う決済領域で最も重視されるファイナリティを完全に担保することは原理的に困難なのです。

      課題の解決策

      実は、このファイナリティの問題は、ビットコインに限った課題ではなく、イーサリアムなど他のブロックチェーンネットワークでも同様に抱えている課題です。しかし、全てのブロックチェーンでファイナリティの問題が生じるわけではありません。

      ファイナリティの担保が難しいのは、PoWやPoSといった不特定多数の参加者での合意形成に至るためのコンセンサスアルゴリズムを採用しているネットワーク、つまり、「パブリックブロックチェーン」に限った話です。

      そのため、ファイナリティを必ず担保する必要のある金融機関では、「コンソーシアム型」や「プライベート型」と呼ばれる参加者を限定したブロックチェーンネットワークを採用することで、この問題に対応するケースがあります。

      「コンソーシアム型」や「プライベート型」のブロックチェーンでは、ネットワーク内に決められた数の人しか参加を許可していません。多くの場合、参加するためには管理者による本人確認等があり、簡単には参加できない仕様になっています。

      このようなチェーンにおいては、ファイナリティが実現しており、主にエンタープライズ向けのシステムでビジネス採用されています。

      ブロックチェーンの課題③:セキュリティ

      出典:Pexels

      課題の概要

      ブロックチェーンが原理的に抱える課題の3つ目が、「セキュリティ」の問題です。これには驚かれる方も少なくないかもしれません。冒頭でもブロックチェーンは「データに対する耐改ざん性が高い」と説明したばかりです。

      これは、トランザクションと呼ばれる個々のデータの塊のそれぞれに鍵がかけられている(公開鍵暗号方式)ことに加え、トランザクションの塊であるブロックの生成時にもコンセンサスアルゴリズムと呼ばれる合意形成のルールが適用されることで、データを書き換えることのハードルが非常に高くなっていることを意味しています。

      こうした背景から、「ブロックチェーン=セキュリティを高める技術」であると考えている方も少なくありません。しかし、残念ながら、ブロックチェーンはセキュリティの万能薬というわけではないのです。

      ブロックチェーンは「強いAI」というわけではなく、あくまで人間が稼働させる一つのシステムです。そのため、ブロックチェーンが社会実装される過程のヒューマンエラーによって(コーディングのバグ等)、あるいは組織的な恣意性によって適切に効果が発揮されず、結果としてセキュリティが脅かされることも十分にありえます。

      こうした事情からブロックチェーン、とりわけビットコインにつきまとうセキュリティ課題として、次の2つの問題が存在しています。

      • 51%問題
      • 秘密鍵流出問題

      51%問題とは、「ある特定のノード(ネットワークの参加者)が、ネットワーク内のマシンパワーの総量を超えるパワーでマイニングを行うと、そのノードの恣意性にネットワーク全体が左右される」という問題のことで、平たく言えば、「ネットワークの乗っ取り(牛耳り)」問題といったところでしょうか。

      先ほど説明したように、ビットコインではPoWおよびナカモト・コンセンサスと呼ばれるコンセンサスアルゴリズムのもと、複数のノードによる計算競争の結果、最も長いチェーンに含まれたブロックを正統なデータとしてみなす、という仕組みがとられています。

      そして、この計算のスピードは、計算を行うノードのマシンパワーに依存しています。したがって、この仕組みを逆手にとると、他のどのノードよりも強いマシンパワーを手に入れ、その結果、他のどのノードよりも速いスピードで計算を行うことができれば、そのノードは自分にとって有利な、恣意的な取引記録を正統にすることができます。これが、51%問題と呼ばれるセキュリティ上の課題です。

      もう一つのセキュリティ課題が、秘密鍵流出問題です。これは、いわゆる「なりすまし」攻撃で、各ノードが保有するアカウントに付与された「秘密鍵」を盗まれることで起こります

      ブロックチェーンの仕組みでは、前述した「ブロック化」の過程でトランザクションがプールから取り出される際に、「秘密鍵暗号方式」と呼ばれる方法でトランザクションへの「署名(秘密鍵で暗号化する)」が行われることで、トランザクション自体のセキュリティが担保されています。

      通常、この秘密鍵は、各アカウントごとに一つだけ付与されるもので、この鍵を使うことでアカウントに紐づいた様々な権限を利用することができます。そのため、この鍵自体が盗まれてしまうと、個人アカウント内の権限を第三者が悪用できてしまうことになります。これが、秘密鍵流出問題です。

      課題の解決策

      51%問題と秘密鍵流出問題は、それぞれに、解決策が異なります。順に、説明していきます。

      51%問題への対応

      51%問題の対策方針は、コンセンサスアルゴリズムを変更することです。先ほど説明したように、51%問題は原理的なセキュリティリスクであり、PoWおよびナカモト・コンセンサスが合意形成のルールである以上、完全な対策は不可能です。

      もちろん、ネットワークの規模が大きくなればなるほど、ネットワーク総量の過半数を占めるマシンパワーを用意することは難しくなっていくので、51%問題を利用した攻撃のハードルも上がってはいきます。しかし、あくまで難易度が上がるだけの話であるため、リスクがなくなるわけではありません。したがって、51%問題のリスクをなくすためには、ルールそのものを変更する必要があるのです。

      これは、ビットコイン以外のブロックチェーンネットワークにおいて実際に行われていることで、例えば、イーサリアムで採用されている「PoS(Proof of Stake)」は、51%攻撃のリスクを限りなく低くすることを目的に定められたルールとされています。

      PoSは、「ネイティブ通貨の保有量に比例して、新たにブロックを生成・承認する権利を得ることができるようになる仕組み」であるため、あるノードが51%攻撃を行うためには、ネットワーク全体の過半数のコインを獲得しなければならず、これは過半数のマシンパワーを一時的に利用することと比べて、はるかに難易度が上がります。

      また、コンセンサスアルゴリズムだけではなく、ネットワーク参加者自体を許可制にすることも、51%問題に対する一つの対策方法です。先述した「コンソーシアム型」と呼ばれるブロックチェーンネットワークでは、「PoA(Proof of Autority)」というコンセンサスアルゴリズムのもと、閉じられたネットワーク内で一部のノードに合意形成の権限を与えるという形をとっています。

      秘密鍵流出問題への対応

      秘密鍵流出問題への対応策の一つとされているのが、マルチシグです。マルチシグとは、トランザクションの署名に複数の秘密鍵を必要とする技術のことで、マルチシグを利用する際には企業の役員陣で鍵を一つずつ持ち合うなどの対応がとられます。

      また、マルチシグは秘密鍵流出問題へのリスクヘッジ方法であると同時に、 一つの秘密鍵で署名を行う通常のシングルシグに比べてセキュリティレベルも高くなることから、取引所やマルチシグウォレットなどで採用されています

      ただし、上述のコインチェック事件のように、個人レベルでマルチシグを利用していたとしても、取引所そのもののセキュリティが破られてしまった場合には被害を食い止めることはできません。セキュリティへの攻撃は複数階層に対して行われうるものであることを理解して、単一の技術のみに頼るのではなく、本質的な対応をとるように心がけましょう。

      まとめ

      ブロックチェーンを自社ビジネスに導入するには、本記事で紹介した3つの課題を無視することはできません。イメージ先行で場当たり的なDXではかえって様々なトラブルを誘発させかねません。そのため、まずはブロックチェーンの長所だけではなく短所も理解したうえで、適用先やユースケースの洗い出しをおこなうのが良いでしょう。

      トレードログ株式会社では、非金融領域におけるビジネスへのブロックチェーン導入を支援しています。新規事業のアイデア創出から現状のビジネス課題の解決に至るまで、包括的な支援が可能です。少しでもお悩みやご関心がございましたら、是非オンライン上で30〜60分程度の面談をさせていただければと思いますので、お問い合わせください。

      ブロックチェーンによる電子投票とは?投票におけるブロックチェーンの可能性に迫る

      2009年にBitcoinが運用開始されて以来、Ethereumをはじめとして様々なブロックチェーンプラットフォームが誕生しました。ブロックチェーンの特徴といえば、情報の改ざんが極めて難しい点があげられ、暗号資産などの金融領域だけではなく、非金融領域においてもブロックチェーン技術が多方面で応用され始めています。

      今回はブロックチェーンと親和性が高いといわれている「電子投票」の分野での取り組みを紹介します。ブロックチェーン技術を活用した電子投票が実現可能なのか考察していきましょう。

      ブロックチェーンが投票を変える

      従来の”投票”がもつ課題

      「投票会場まで足を運び、投票用紙に候補名を記入し投票箱に入れる」。これが一般的な投票の一連の流れです。このアナログ方式の投票が持つ課題としては、利便性が悪く、投票率が伸びないということが挙げられます。

      総務省が公表している下記のデータを見ても、投票率は右肩下がりになっており、とくに普段の生活からデジタルが当たり前となっている若い世代(10〜20代)では、投票率が著しく低いのが見てとれます。

      出典:総務省

      また、作業効率が悪く、人件費がかかるというデメリットもあります。2017年におこなわれた衆院選では決算ベースで596億7900万円の費用が発生しましたが、主な経費は、投票所または開票所にかかる経費であり、人件費が約半分を占める結果となりました。

      国政選挙では各投票所に人員を割く必要があるため、莫大な費用がかかってしまいます。近年では期日前投票に伴って期日前投票所が設置されるため、さらに多くの人件費が発生することも多くなってきています。

      さらに、集計・開票に際しては人為的ミスや不正行為が発生することもあるでしょう。公平でクリーンな政治を実現するうえでは、人間が恣意的な操作が不可能な投票スタイルにすることが望まれます。

      こういった課題を受けて、日本やアメリカではブロックチェーンを用いて選挙システムの改善を目指す取り組みが行われています。

      ブロックチェーンとは

      従来の投票作業の課題を解消する上で、改めて”投票”に必要なことは何なのかを紐解くと、

      • 定められた期間内に有権者が投票可能
      • 投票結果が改ざんできない

      という2点が挙げられます。

      そこで注目を集めるのが、「分散型で障害に強い」「改ざんが限りなく不可能に近い」という特徴を持つブロックチェーン技術です。

      出典:shutterstock

      ブロックチェーンは、サトシ・ナカモトと名乗る人物が2008年に発表した暗号資産「ビットコイン」の中核技術として誕生しました。取引データを暗号技術によってブロックという単位にまとめ、それらを鎖のようにつなげることで正確な取引履歴を維持しようとする技術です。

      ブロックチェーンはデータベースの一種ですが、そのデータ管理方法は従来のデータベースとは大きく異なります。従来の中央集権的なデータベースでは、全てのデータが中央のサーバーに保存されるため、サーバー障害やハッキングに弱いという課題がありました。一方、ブロックチェーンは各ノード(ネットワークに参加するデバイスやコンピュータ)がデータのコピーを持ち、分散して保存します。そのため、サーバー障害が起こりにくく、ハッキングにも強いシステムといえます。

      また、ブロックチェーンでは、ハッシュ値と呼ばれる関数によっても高いセキュリティ性能を実現しています。ハッシュ値とは、あるデータをハッシュ関数というアルゴリズムによって変換された不規則な文字列のことで、データが少しでも変わると全く異なるハッシュ値が生成されます。新しいブロックを生成する際には必ず前のブロックのハッシュ値が記録されるため、誰かが改ざんを試みると、それ以降のブロックのハッシュ値を全て再計算する必要があり、改ざんが非常に困難な仕組みとなっています。

      さらに、ブロックチェーンでは、マイニングという作業を通じて、取引情報のチェックと承認を行う仕組み(コンセンサスアルゴリズム)を持っています。マイニングとは、コンピュータを使ってハッシュ関数にランダムな値を代入する計算を繰り返し、ある特定の条件を満たす正しい値(ナンス)を見つけ出す作業のことで、最初にマイニングに成功した人に新しいブロックを追加する権利が与えられます。

      このように、ブロックチェーンは分散管理、ハッシュ値、マイニングなどの技術を組み合わせることで、データの改ざんや消失に対する高い耐性を持ち、管理者不在でもデータが共有できる仕組みを実現しています。

      詳しくは以下の記事でも解説しています。

      ブロックチェーンによる電子投票のメリット

      投票の改ざんが困難になる

      出典:Unsplash

      投票にブロックチェーンを用いる最大のメリットは、透明性のあるクリーンな選挙が実現できることです。選挙や政治には古くから不正がつきものであり、コンプライアンス徹底が求められる現代においても、残念ながら不正が起きたというニュースを度々目にします。

      ブロックチェーンは、データをネットワークの参加者全員で共有・同期し、ハッシュと呼ばれるデータの暗号化値を連鎖的に保持する仕組みを持っています。このため、一箇所のデータを書き換えようとすれば、その後のすべてのブロックのハッシュ値も再計算する必要があり、改ざんは極めて困難になります。仮に不正が試みられても、ネットワーク上ですぐに検知されるため、従来の紙の投票に比べて圧倒的に高い安全性が確保されます。

      米紙ワシントン・ポストの調査結果によると、アメリカでは国民の約30%が、大統領選挙で不正が行われたと考えているといいます。ブロックチェーンによって選挙の透明性が担保されれば、こうした疑惑も払拭されて健全な政治が実現するでしょう。

      柔軟な投票スタイルが実現する

      出典:Unsplash

      現在の主流である投票所での投票という形式では、入場券や本人確認書類を持参して指定の投票所に向かわなければなりません。また、投票時間も通常午前7時から午後8時と決められています。

      これに対してブロックチェーンによる投票であれば、本人確認から投票までネット上で完結します。24時間いつでも投票することも可能です。若年層の投票率が低いという長年の課題がありますが、この原因は政治的無関心だけではないようにも思います。スマホ一つでなんでも完結できるこの時代において、わざわざプライベートの時間を割いて投票所に行かなければならないのは手間そのものにほかなりません。

      また、高齢者や健康上の理由で投票所に行くのが難しい人もいます。一定の条件を満たせば郵便等投票制度も利用できますが、そもそもネットでの投票であれば、条件や手続きも不要で選挙権を行使することができます。投票者の個別の状況にあわせて自由で柔軟な投票が可能になれば、投票率の改善も見込まれるでしょう。

      大幅なコストカットが可能になる

      出典:Unsplash

      現行の選挙制度では、公正な選挙を運営するために莫大なコストがかかっています。投票所の設営、立会人の配置、開票作業のための人件費など、多くのリソースが投入されており、これらはすべて税金によって賄われています。特に開票作業には多くの人員と時間を要し、その分のコストが膨らみやすいという課題があります。

      電子投票が導入されれば、投票や集計がすべてデジタル上で行われるため、立会人や開票作業にかかる人件費を大幅に削減することができます。特に人口の少ない市町村では、そもそも立会人を確保すること自体が難しく、公募だけでは人手不足に陥るケースもあります。その結果、業務委託によって追加の費用が発生し、選挙運営のコストがかさんでしまうこともあります。

      選挙のデジタル化は都市部だけでなく、こうした地方の自治体にとっても有効な選択肢となり得ます。コストを抑えつつ、公正で効率的な選挙を実現する手段として、電子投票の導入が求められています。

      再投票が可能になる

      出典:Unsplash

      選挙期間前は各紙、政治家のスキャンダルの応戦です。もちろん、一番ホットなトピックなので当然といえば当然なのですが、困ったことに現在の選挙制度では一度投票したら、その後に別の候補に票を入れたいと思ってもやり直しが利きません

      実際、有権者のなかの一定数は、確固たる候補者がいるわけではありません。2022年の参院選では安倍晋三元首相の銃撃事件を受け、1割を超える有権者が投票先の決定に影響があったと回答しています。選挙期間中に新たな情報が明るみに出ることで、有権者の判断が揺らぐケースは少なくないのです。

      ブロックチェーンを活用した電子投票であれば、一定期間内であれば投票の変更を可能にするシステムを導入することもできます。例えば、投票締め切りの直前まで最新の意思を反映できる仕組みがあれば、より納得感のある選挙が実現するでしょう。民主主義の本質は、有権者が十分な情報を得た上で最適な選択をすることにあります。選挙の透明性を高めると同時に、最新の意思を投票に反映することができるネット投票が解禁されれば、真の意味での民主主義が実現するはずです。

      「ブロックチェーン×投票」の導入事例

      アメリカ:ウェストバージニア州

      出典:pixabay

      2018年11月、アメリカウェストバージニア州の中期選挙で、ブロックチェーン投票システムが実際に導入されました。

      アメリカでは多くの州が、海外駐留の軍人などの在外有権者に対して、電子メールでの投票を許可しているものの、この投票がセキュアであるという保証はなく、投票率も低くなっている現状があります。

      そこで、この選挙では、選挙権を持つ海外駐在軍人1000名ほどを対象に、州または連邦の身分証明書とモバイルアプリが使用した投票がテストされ、30カ国に駐在する144人のウェストバージニア州有権者がブロックチェーン投票アプリを利用して投票を行なったと発表されています。

      参考値として、2016年のアメリカ大統領選挙における国外からの投票はわずか7%に留まっていましたが、今回のブロックチェーン電子投票システムにおける投票率は14.4%という結果となったことからも、ブロックチェーンを用いた電子投票は海外からの投票率の向上にも一定の成果を挙げたといえるのではないでしょうか。

      後日談ですが、2020年のウェストバージニア州予備選挙では、ブロックチェーンではなくワシントン州シアトルに本社を置くDemocracy Live社のオンラインポータル(クラウド)によるインターネット投票が導入されました。

      また、サイバーセキュリティ専門家のMaurice Turner(モーリス・ターナー)氏や暗号学の権威であるMITのRon Rivest(ロン・リベスト)教授らがネット選挙の危険性を指摘しており、ブロックチェーンよりも紙の投票の方が安全性が高いとしています。

      これはブロックチェーン単体の問題ではなく、投票をおこなう有権者のモバイル端末のセキュリティや本人確認の顔認証の精度などによる問題もあります。

      ブロックチェーン技術はセキュリティや処理速度など様々な面で進化を続けており、その適用範囲も年々拡大していることから、今後こういった課題への解決策が見つかるのではないでしょうか。

      アメリカ:ユタ州

      出典:Pixabay

      ユタ州は米大統領選で初めて、スマートフォン等のアプリで投票を行うブロックチェーンベースの投票システムを導入しました。

      投票者は事前に生体認証を含む本人確認を行い、投票用紙トークンを使ってオンラインで投票します。ライバシーを保護するために匿名のIDで署名して投票されますが、ブロックチェーンによって真正な投票データであることが担保されているため、開票結果もすぐに開示されました。

      新型コロナウイルスの影響で郵便投票が増加し、集計作業の遅れや投票用紙を使用した詐欺行為などが懸念されましたが、ブロックチェーンが使用されることによって、データ改ざんなどの不正行為を防止したうえでより多くの若年層や非投票者の投票率向上につながりました

      この選挙で利用された投票アプリ「Voatz」はHyberledgerブロックチェーンと生体認証を使って、安全で確実な投票を実現しており、これまでアメリカ国内でも60回以上選挙に利用された実績があるといいます。

      軍用レベルのセキュリティ技術によって支えられているこの投票スタイルは、2028年か2032年の大統領選挙までにより広い範囲で電子投票を採用できることを期待しているとしています。

      エストニア

      電子国家と呼ばれているエストニアでは、ブロックチェーン技術が生まれる前の2005年から世界に先駆けて、i-Votingというシステムを用いた国家主導の電子投票が行われてきました。

      有権者はインターネットにつながったコンピュータがあれば世界のどこからでも投票でき、投票内容は期日までであれば変更が可能です。また、電子投票期日締め切り後に投票所に来て、紙で再投票を行うこともできます(この場合、電子投票は削除されます)。

      このシステムによる投票は多くのエストニア国民が利用しており、2023年の議会選挙では51%がi-Votingを利用。これは世界の歴史で初めて、紙の投票 (49%) よりも多くの電子投票 (51%) があった選挙となりました。

      エストニアは国家レベルでブロックチェーン導入が盛んな国であり、税金、医療、教育、交通などの行政サービスにおける文書のタイムスタンプに「KSIブロックチェーン」という独自のブロックチェーンが使用されています。

      とくに医療分野での取り組みは非常に興味深い事例となっています。詳しくは以下で紹介しています。

      現在は電子投票のデータ基盤としてブロックチェーンは用いられていませんが、今後ブロックチェーンによる国政選挙の実現が最も近い国として取り上げました。

      つくば市

      出典:つくば市

      茨城県つくば市では「令和元年度つくばSociety5.0社会実装トライアル支援事業」において、ブロックチェーン技術を活用したインターネット投票の実証実験が行われました。

      出典:ジチタイワークスWEB

      このプロジェクトは、株式会社VOTE FOR、株式会社ユニバーサルコムピューターシステム、日本電気株式会社と共同で運用されており、2019年に第一回が、4年後の2023年には第二回の実証が行われました。

      第一回では、本人認証や処理速度、上書き投票などの課題が浮き彫りになりましたが、第二回ではマイナンバー内蔵のICチップを活用することや、ブロックチェーンのプラットフォームをEthereumからHyperledger Fabricへ変更することでこれらの課題をクリア。時間や場所を選ばずに、ICカードリーダーに接続可能なWindows端末があれば、1-2秒程度で何度も投票可能な投票システムの構築に成功しました。

      将来的には市長選などへの採用も検討しているとのことで、日本初の公職選挙が実現するのか、引き続き注目していきたい事例です。

      国内でもネット投票解禁の動きが

      日本国内でも国政選挙でのネット投票解禁が加速しつつあります。2023年6月には、立憲民主党と日本維新の会がインターネットによる投票を令和7年の参院選から導入することを規定した法案を衆院に共同提出しました。

      立維、ネット投票法案提出「7年参院選で導入」 – 産経ニュース

      この法案は、選挙などへのインターネット投票の導入を推進するものであり、セキュリティ確保には電子署名を用いることも定められています。

      ブロックチェーンを用いずとも電子署名の搭載は可能ですが、ブロックチェーン上に保存された電子署名は改ざんへの耐性が高いため、通常のデータベースに格納した場合よりもデータの真正性が高まります。したがって、国政選挙においてブロックチェーンが導入される可能性は十分考えられます。今後の続報が待たれます。

      まとめ

      新型コロナウィルスが世界中で猛威を振るった結果、私たちの考え方や行動は大きく変わりました。「リモート」が当たり前の世界となり、利便性が向上しただけでなく、デジタルならではのセキュリティリスクについての意識も大きく改善されたように思います。

      投票についても同様で、投票率の低下などを背景にネット投票解禁にシフトしていくことでしょう。ネット投票法案の提出もその追い風となることが予想され、ブロックチェーンを活用したより効率的で利便性の高い選挙の実現がますます期待されます。

      【初心者向け】NFTとは何か?どういう仕組みなのか?簡単に・わかりやすく解説!

      当初は一部のクリプト界隈で盛り上がっていたNFTも、最近ではニュースやSNSでも取り上げられることも増えてきました。しかし、NFTの歴史はまだまだ浅く、「名前は聞いたことはあるけど、具体的にどういう技術なのか、なぜ話題になっているのかはわからない」という方も多いのではないでしょうか。

      そこで今回は、NFTの概要からその仕組みや事例を分かりやすく解説していきます!

        そもそもNFTとは?

        NFT=”証明書”付きのデジタルデータ

        出典:shutterstock

        NFTを言葉の意味から紐解くと、NFT=「Non-Fungible Token」の略で、日本語にすると「非代替性トークン」となります。非代替性とは「替えが効かない」という意味で、NFTにおいてはブロックチェーン技術を採用することで、見た目だけではコピーされてしまう可能性のあるコンテンツに、固有の価値を保証しています。

        つまり簡単にいうと、NFTとは耐改ざん性に優れた「ブロックチェーン」をデータ基盤にして作成された、唯一無二のデジタルデータのことを指します。イメージとしては、デジタルコンテンツにユニークな価値を保証している”証明書”が付属しているようなものです。

        NFTでは、その華々しいデザインやアーティストの名前ばかりに着目されがちですが、NFTの本質は「唯一性の証明」にあるということです。

        NFTが必要とされる理由

        世の中のあらゆるモノは大きく2つに分けられます。それは「替えが効くもの」と「替えが効かないもの」です。前述した「NFT=非代替性トークン」は文字通り後者となります。

        例えば、紙幣や硬貨には代替性があり、替えが効きます。つまり、自分が持っている1万円札は他の人が持っている1万円札と全く同じ価値をもちます。一方で、人は唯一性や希少性のあるもの、つまり「替えが効かないもの」に価値を感じます。不動産や宝石、絵画などPhysical(物理的)なものは、証明書や鑑定書によって「唯一無二であることの証明」ができますが、画像や動画などのDigital(デジタル)な情報は、ディスプレイに表示されているデータ自体はただの信号に過ぎないため、誰でもコピーできてしまいます。

        そのため、デジタルコンテンツは「替えが効くもの」と認識されがちで、その価値を証明することが難しいという問題がありました。実際、インターネットの普及によって音楽や画像・動画のコピーが出回り、所有者が不特定多数になった結果、本来であれば価値あるものが正当に評価されにくくなってしまっています。NFTではそれぞれのNFTに対して識別可能な様々な情報が記録されています。そのため、そういったデジタル領域においても、本物と偽物を区別することができ、唯一性や希少性を担保できます。

        これまではできなかったデジタル作品の楽しみ方やビジネスが期待できるため、NFTはいま、必要とされているのです。

        NFTを特徴づける3つのポイント

        データの改ざんが困難である

        唯一性の証明をするためには、データが上書きされることのない高いセキュリティ性が求められます。それを実現しているのが、NFTの基盤となっているブロックチェーンです。

        ブロックチェーンの定義には様々なものがありますが、噛み砕いていうと「取引データを暗号技術によってブロックという単位でまとめ、それらを1本の鎖のようにつなげることで正確な取引履歴を維持しようとする技術のこと」です。取引データを集積・保管し、必要に応じて取り出せるようなシステムのことを一般に「データベース」といいますが、ブロックチェーンはそんなデータベースの一種でありながら、特にデータ管理手法に関する新しい形式やルールをもった技術となっています。

        ブロックチェーンにおけるデータの保存・管理方法は、従来のデータベースとは大きく異なります。これまでの中央集権的なデータベースでは、全てのデータが中央のサーバーに保存される構造を持っていました。したがって、サーバー障害や通信障害によるサービス停止に弱く、ハッキングにあった場合に、大量のデータ流出やデータの整合性がとれなくなる可能性があります。

        これに対し、ブロックチェーンは各ノード(ネットワークに参加するデバイスやコンピュータ)がデータのコピーを持ち、分散して保存します。そのため、サーバー障害が起こりにくく、通信障害が発生したとしても正常に稼働しているノードだけでトランザクション(取引)が進むので、システム全体が停止することがありません。また、データを管理している特定の機関が存在せず、権限が一箇所に集中していないので、ハッキングする場合には分散されたすべてのノードのデータにアクセスしなければいけません。そのため、外部からのハッキングに強いシステムといえます。

        さらにブロックチェーンでは分散管理の他にも、ハッシュ値ナンスといった要素によっても高いセキュリティ性能を実現しています。

        ハッシュ値は、ハッシュ関数というアルゴリズムによって元のデータから求められる、一方向にしか変換できない不規則な文字列です。あるデータを何度ハッシュ化しても同じハッシュ値しか得られず、少しでもデータが変われば、それまでにあった値とは異なるハッシュ値が生成されるようになっています。

        新しいブロックを生成する際には必ず前のブロックのハッシュ値が記録されるため、誰かが改ざんを試みてハッシュ値が変わると、それ以降のブロックのハッシュ値も再計算して辻褄を合わせる必要があります。その再計算の最中も新しいブロックはどんどん追加されていくため、データを書き換えたり削除するのには、強力なマシンパワーやそれを支える電力が必要となり、現実的にはとても難しい仕組みとなっています

        また、ナンスは「number used once」の略で、特定のハッシュ値を生成するために使われる使い捨ての数値です。ブロックチェーンでは使い捨ての32ビットのナンス値に応じて、後続するブロックで使用するハッシュ値が変化します。コンピュータを使ってハッシュ関数にランダムなナンスを代入する計算を繰り返し、ある特定の条件を満たす正しいナンスを見つけ出す行為を「マイニング」といい、最初にマイニングを成功させた人に新しいブロックを追加する権利が与えられます。

        ブロックチェーンではマイニングなどを通じてノード間で取引情報をチェックして承認するメカニズム(コンセンサスアルゴリズム)を持つことで、データベースのような管理者を介在せずに、データが共有できる仕組みを構築しています。参加者の立場がフラット(=非中央集権型)であるため、ブロックチェーンは別名「分散型台帳」とも呼ばれています。

        このようなブロックチェーンが持つ高いセキュリティ技術によって、NFTは安全に管理されています。ブロックチェーンについて詳しく知りたいという方は、こちらも併せてご覧ください。

        プログラマビリティがある

        NFTには「プログラマビリティ」と呼ばれる特徴があり、あらかじめ設定されたプログラムによってさまざまな機能を持たせることができます。これにより、単なるデジタル資産にとどまらず、クリエイターやユーザーにとって新しい価値を生み出す仕組みを作ることが可能になっています。

        NFTが二次流通した際にクリエイターや発行者に手数料が還元されるように設計したとしましょう。従来の中古市場では、作品が売買されてもクリエイターには利益が入らないのが一般的でしたが、NFTでは売買が繰り返されるたびに一定の収益が発生します。これにより、アーティストやコンテンツ制作者は継続的に収益を得ることができ、著作権管理の煩雑さも軽減されるメリットが生まれます。

        また、エアドロップという仕組みを使えば、特定のNFTを一定期間保有している人に新しいNFTを自動的に配布することができます。例えば、あるスポーツチームがファン向けにNFTを発行し、そのNFTを一定期間持ち続けた人だけに特別なデジタルアイテムをプレゼントするといった設計にすれば、NFTの長期保有を促したり、ファンコミュニティを活性化させることにもつながるでしょう。

        このように、NFTはただのデジタルアイテムではなく、プログラムによって機能を自由に追加できる点に大きな特徴があります。その使い方次第で、ビジネスモデルやファンエンゲージメントのあり方も変わっていくでしょう。

        誰でも売買できる

        NFTはオンライン上で売買できるため、マーケットプレイスと呼ばれる取引所にアクセスすれば、誰でも簡単にアートやデジタルコンテンツの売買に参加できるようになりました。これまで、アート作品を販売するにはギャラリーやオークションハウスを通す必要がありましたが、NFTの登場によって、個人でも手軽に作品を出品し、世界中のユーザーと直接取引できる環境が整っています。

        多くのマーケットプレイスでは、入札制度が導入されており、購入希望者が競り合うことで、作品の価値が市場の需要に応じて適正な価格で決定される仕組みになっています。これにより、特定のバイヤーやギャラリーに依存せず、誰でも公平に作品を取引できるようになりました。さらに、専門的な知識がなくても、デジタルコンテンツをNFT化できるサービスが充実しており、アーティストやクリエイターが気軽に作品を発表できる環境が整っています。

        NFTの敷居の低さを象徴する例として、小学生が制作したNFTが話題になったケースがあります。小学3年生の男の子が夏休みの自由研究として作成したドット絵作品「Zombie Zoo」は、たった3ヶ月で200点が販売され、取引総額が4400万円を超えるなど、大きな注目を集めました。こうした成功事例が生まれるのも、NFTが年齢やキャリアに関係なく、誰もが市場に参加できるオープンな仕組みであることを示しています。

        小3男児の絵に「一時2600万円」…高値売買の動きを急拡大させた「NFT」

        NFTは、従来のアート市場やコンテンツ流通のあり方を大きく変え、クリエイターとファンが直接つながる新しい時代を切り開いています。特別なスキルや大きな資本がなくても、自分の作品を世界中の人々に届けることができるというのは、NFTならではの魅力といえるでしょう。

        NFTはなぜ話題に?

        NFTが話題になった大きな理由の一つは、信じられないような高額の取引でしょう。

        2021年3月22日には、『Twitter』の共同創設者兼最高経営責任者(CEO)のジャック・ドーシー(Jack Dorsey)によって2006年に呟かれた ”初ツイート” がNFTとしてオークションに出品され、約3億1500万円という驚愕の金額で売却され大きな話題を集めました。

        TwitterのドーシーCEOの初ツイートNFT、3億円超で落札 全額寄付 – ITmedia NEWS

        また、同年3月にデジタルアーティストであるBeeple氏がNFTアートとして競売に出したコラージュ作品「Everydays: the First 5000 Days」が6900万ドル(日本円で約75億円)という値が付きました。これは、オンラインで取引されたアーティストのオークション価格史上最高額を記録し話題を呼びました。

        老舗Christie’s初のNFTオークション、デジタルアートが約75億円で落札 – ITmedia NEWS

        「デジタルデータにこんな価値が!」というインパクトや話題性から、NFTという言葉が一気に広まっていったのはある意味当然ですね。ただし、私たちが注意すべき点は、全てのNFTの価値は安定しているわけではないということです。

        ある人が大事にとってある ”思い出の石ころ” に値段がつかないのと同様、そのデジタルデータに対して価値があると多くの人々が判断し、需要や投機性が生まれてようやくそのNFTに値段がつくのです。

        デジタルデータに価値が付き売れるようになり、NFTが時代の大きな転換点となったことは事実ですが、過剰な需要と供給が加熱してしまうと仮想通貨と同様、バブル崩壊の道を辿るかもしれません。

        NFTはどこで取引されている?

        出典:ぱくたそ

        NFTを売買するには、NFTマーケットプレイスを利用します。アートや音楽、映像、ゲームのキャラクターやアイテムなどの売買ができるさまざまなNFTマーケットプレイスがあります。

        NFTマーケットプレイスは先述のブロックチェーン技術を土台としており、マーケットプレイスごとに土台とするブロックチェーンの種類も異なります。

        現在世界最大手のOpenSeaをはじめ、LINE NFTやCoincheck NFTといった様々なNFTマーケットプレイスが国内外に存在し、取り扱いコンテンツや決済可能な暗号資産もそれぞれ異なるため、出品者や購入者は取引する場所を用途に合わせて選ぶ事ができます。

        詳しくは以下の記事で解説しています。

        NFT活用のユースケースとは?

        NFT×アート

        出典:pixabay

        絵画やアートの分野でも、NFTの技術が使われ始めています。

        多くの場合、アートや絵画はPhysical(物理的)なものとして作られる場合がほとんどです。NFT登場前のデジタルアート作品はコピー・複製が可能なため、高い価値をつけるのが難しいというのが現実でした。しかし、NFTの技術により、コピー不可能なデジタルアートを作成できるようになり、先述したBeeple氏のように75億円で取引されたNFTアートも存在しています。

        ちなみに日本国内では、村上隆氏やPerfumeといった著名人が、続々とNFTアートを発表しています。国内のアート分野でもNFT技術の活用が徐々に広まっていると言えるでしょう。

        NFT×ゲーム

        出典:pixabay

        NFTの活用が盛んに行われてきた事例がゲーム分野での利用です。

        NFT技術を利用することで、自分が取得した一点物のキャラクターやアイテムをプレイヤー同士で売買することや、あるタイトルで取得したキャラクターやアイテムを他のゲームで使うことも可能になります。ゲーム内で育成したキャラクターなどは二次流通市場で取引され、パラメータやレアリティが高いほど高値で取引されています。

        また、NFTは往々にして仮想通貨を用いて取引がされることが多いです。そのため、ゲームをプレイすることで仮想通貨を得られる「Play to Earn(遊んで稼ぐ)」という概念が生まれており、これは今までのゲーム体験を覆すものでしょう。今後も、NFTの特色を生かしたブロックチェーンゲームが次々にリリースされることが期待されています。

        NFT×スポーツ

        出典:pixabay

        スポーツ業界においてNFTは、選手やクラブと、ファンのエンゲージメントを高める手段として活用されています。

        『世界的に有名なプロスポーツ選手の決定的な名シーン』には、代えがたい価値があるはずです。誰もが感動しますし、ましてやファンにとっては垂涎の価値です。しかし、インターネット上には『決定的な名シーン』がたくさん転がっていて、お金を払うことなく誰もが気軽に見ることができてしまいます。

        そこでNFTによって選手や選手のプレーをNFT化すれば、その瞬間を切り取った「公式」のデジタルコンテンツが唯一無二のアイテムとして色褪せずに存在することができ、ファンが所有する喜びを感じたり、ファンの間で売買できるようになります。

        また、売り上げの一部をクラブに還元することで、応援しているチームに貢献しながら楽しむことができるというまさにファンには二重に嬉しい構造になっていることも、スポーツ界でNFTが広まりつつある理由でしょう。

        NFT×トレカ

        出典:MAGIC The Gathering

        現在、最も勢いのあるNFTの活用分野はなんといってもNFTトレカ、すなわちトレーディングカードです。

        トレカ界隈では現在、印刷技術やスキャンソフトの発達によって偽造品の氾濫が大きな問題となっています。偽物のクオリティが上がるだけではなく、実店舗でも偽物の販売で検挙されているケースがあり、もはや一般人の私たちからすると見分けることは困難です。

        NFTでは前述の通り、偽造やデータの改ざんができません。したがって、一点モノであるレアカードの証明や偽造防止という観点では、まさにうってつけの技術なのです。

        実物のトレーディングカードは、一部の熱心なコレクターに支持されるマニアックな世界という印象があったかもしれません。しかしNFTトレカでは、人気アイドルやプロスポーツ、人気アニメのトレカが発売されるなど、幅広い層に提供されています。

        アツい盛り上がりを見せているだけに今後も要注目の組み合わせです。

        NFTの将来性

        NFTはオワコン?

        このように様々なジャンルで盛り上がりを見せているNFTですが、その取引はピーク時と比べると落ち着いてきています。一部ではそういった現状を受け、「オワコン」とも囁かれていますが、果たしてNFTは将来性がないのでしょうか。

        出典:Gartner

        これはガートナー社が発表しているハイプサイクルです。ハイプサイクルとは、特定の技術の成熟度や社会への適用度を視覚的に表したグラフのことで、IT分野における重要な指標の一つとして知られています。

        このサイクルではNFTは現在「過度なピーク」を過ぎ、「幻滅期」に突入しています。ガートナー社の定義では、幻滅期は実験や実装で成果が出ないため、関心が薄れ、この時期を通り抜けると具体的な事例をもとに社会全体で主流採用が始まるとされています。

        つまり、ある意味では想定内の落ち込みで、このNFT氷河期とも言える冬の時代を耐え忍んでこそ社会への浸透が進むというわけです。したがって、この一時的な落ち込みを見て「NFTは終わった」「NFTは将来性がない」と判断するのはまだ早すぎるでしょう。

        実際に、ハイプサイクルにおいてようやく幻滅期を抜け出した「人工知能」も、過去にはディープラーニングを加速させる学習データが不足していることなどを理由にブームが終焉し、「AIによって人間の仕事が奪われる!」といった主張も鳴りを潜めてきました。

        しかし、現在の状況はどうでしょうか。様々な企業のサービスにAIが組み込まれ、子供からお年寄りまで誰しもが一度はAIによるユーザー体験をしているはずです。とくにアメリカのAI研究所であるオープンAIが開発した会話型AIのChatGPTは、官公庁や教育の場面で採用されるほど社会に広く浸透しました。

        このように、NFTの「取引量」「時価総額」に関するネガティブなニュースは一時的な情報に過ぎません(その逆も然りで、ポジティブなニュースにも注意が必要)。むしろ、様々な要因によってNFTは着実に次への一歩を踏み出し始めています。

        NFTはネクストフェーズへ

        NFTが再び社会で受容される頃には、以前のような視覚的な価値の裏付けといった立ち位置ではなくなっているかもしれません。

        確かにNFTは現在、投機的な側面から人気を博しています。しかし、むしろ今後はNFTないしブロックチェーンの「データの改ざんが困難」という特徴を生かし、所有権証明や身分証明といった非金融分野への普及が進んでいくでしょう。

        その事例の一つが「SBT(SoulBound Token、ソウルバウンド・トークン)」です。SBTは譲渡不可能なNFTであり、二次流通での売買や譲渡などが一切できません。この性質を利用して、現在デジタルID(本人確認、学歴・社歴証明、身体・医療情報など)での活用が検討されています。

        また、多くのNFTがイーサリアム(Ethereum)上に構築されていますが、これ自体の技術的進化もNFTが再興するための一要因です。NFTのデメリットの一つに「手数料の高騰」があります。手数料は、ブロックチェーンへの記録や取引所の仲介により避けられないモノですが、イーサリアムはその手数料が他のチェーンに比べると割高でした。しかし、イーサリアム(Ethereum)自体のアップデートにより、処理速度が向上すれば、手数料のユーザー負担は改善されることでしょう。

        また、ポリゴン(Polygon)など第3のブロックチェーンの活躍も見逃せません。ポリゴンの処理スピードはイーサリアムの約450倍ともいわれており、取引手数料もはるかに安く済みます。スターバックスやナイキといった数々のブランドの取り組みにも採用されていることからも、その期待が窺い知れます。

        このようにNFTは、これからのデジタル社会を大きく変化させる原動力として、その姿かたちを変えつつあるのです。

        まとめ

        これまで人類は、土地や物といった物理的な物を所有し価値を高め、売買・交換することで経済活動を行ってきました。それと同じことがデジタル領域でも起こりうるということです。

        かつてインターネットやスマホ、SNSが目新しいモノでしたが、今では誰もが当たり前のように使いこなし、社会・人々の生活を一変させました。NFTも同様に今後の社会を変える大きな可能性を秘めています。

        今後も引き続きキャッチアップが欠かせないでしょう。

        メタバースとNFT 〜NFTによって証明される仮想現実内の”モノの価値”〜

        近年、NFTがニュースやSNSでも取り上げられることも増えてきましたが、そのNFTと関連して「メタバース」という言葉も耳にすることも増えてきました。実はメタバースの概念そのものは以前から存在しており、近年になって注目を集めるようになった背景にはNFT技術が深く関係しています。

        本記事では、従来のメタバースの概念とNFT技術の基礎を説明した上で、メタバースとNFTの掛け合わせによって新たにどのようなことが実現できるのかを解説していきます。

          近年注目を集める「メタバース」

          出典:pixabay

          メタバースに関する近年のトピックス

          近年、「メタバース」というワードがSNS上のみならず、テレビのニュースでもとりあげられる機会が増えています。その中でも、2021年10月28日には多くの人々にとって馴染み深いFacebookが社名を「Meta(メタ)」に変えたことが大きな話題となり、「メタバース」に注目が集まるきっかけの一つとなりました。

          さらに2022年2月18日には、米Google傘下のYouTubeもメタバースへの参入を検討していると日本版公式ブログで明かしました。また、2020年以降のコロナ禍において、Zoomを筆頭とするオンラインMTGが一般的なものとなりました。こうしたバーチャルでのコミュニケーションに対する心理的ハードルが大きく引き下がったことも、人々が「メタバース」に興味をもつようになった要因の一つと考えられます。

          メタバースとは?

          メタバースとは「オンライン上に構築された仮想空間」のことです。言葉で説明するとイメージがつきにくいかも知れませんが、実はメタバースという概念そのものは以前から存在しているのです。

          個性豊かな動物たちが暮らす村であなた自身 が生活していく任天堂の大人気ゲーム「あつまれ どうぶつの森」もひとつのメタバースです。全世界で1億4千万人以上がプレイするモンスターゲーム「Minecraft(マインクラフト)」は、オンラインで仲間たちと冒険に出かけるも良し、多くのプレイヤー達が住民として暮らすサーバー内で各々建築をしたり農業を営むも良しといった、非常に自由度の高いメタバースです。

          つまりメタバースとは、「画面の向こうにあるもうひとつの世界」を指します。

          出典:pixabay

          コンシューマー向けゲームを通じてすでに概念として存在していたメタバースですが、近年のVR/AR技術の向上によって「より現実に近い(リアリティの高い)仮想空間」が作られるようになってきました。

          さらに、デジタルデータに唯一性をもたせる技術であるNFTを活用することにより、次項で述べる ”従来のメタバースの課題” を解決することができるようになったのです。

          メタバースについては下記の記事で詳しく解説しています。

          従来のメタバースの課題

          従来のメタバースの課題、それは「メタバース内のデジタルデータの価値を証明することが困難である」という点です。

          先述した「あつまれ どうぶつの森」や「Minecraft(マインクラフト)」の中には、ゲーム内で使える独自の通貨やゲーム内アイテムが存在しています。

          出典:hikicomoron.net

          ただし、それらはあくまでもゲーム内だけで使える通貨やアイテムであって、現実世界において価値をもたせることはできません。どうぶつの森の中でお金をいくら稼ぎ、家を増築し、貴重な家具を持っていようが、それらは全てゲーム内での出来事に過ぎないのです。

          つまり従来のメタバースと現実世界では、価値の交換が出来ませんでした。なぜならゲーム内データはいくらでもコピーが可能で、価値あるものだという証明が困難であったためです。

          そこで登場するのがNFT=「Non-Fungible Token」です。このNFTという概念によって、これまで不可能だったゲーム内データの価値の証明が可能になり、現実世界の通貨で取引できるようになるのです。

          そもそもNFTとは?

          NFT=”証明書”付きのデジタルデータ

          出典:shutterstock

          NFTを言葉の意味から紐解くと、NFT=「Non-Fungible Token」の略で、日本語にすると「非代替性トークン」となります。非代替性とは「替えが効かない」という意味で、NFTにおいてはブロックチェーン技術を採用することで、見た目だけではコピーされてしまう可能性のあるコンテンツに、固有の価値を保証しています。

          つまり簡単にいうと、NFTとは耐改ざん性に優れた「ブロックチェーン」をデータ基盤にして作成された、唯一無二のデジタルデータのことを指します。イメージとしては、デジタルコンテンツにユニークな価値を保証している”証明書”が付属しているようなものです。

          NFTでは、その華々しいデザインやアーティストの名前ばかりに着目されがちですが、NFTの本質は「唯一性の証明」にあるということです。

          NFTが必要とされる理由

          世の中のあらゆるモノは大きく2つに分けられます。それは「替えが効くもの」と「替えが効かないもの」です。前述した「NFT=非代替性トークン」は文字通り後者となります。

          例えば、紙幣や硬貨には代替性があり、替えが効きます。つまり、自分が持っている1万円札は他の人が持っている1万円札と全く同じ価値をもちます。一方で、人は唯一性や希少性のあるもの、つまり「替えが効かないもの」に価値を感じます。不動産や宝石、絵画などPhysical(物理的)なものは、証明書や鑑定書によって「唯一無二であることの証明」ができますが、画像や動画などのDigital(デジタル)な情報は、ディスプレイに表示されているデータ自体はただの信号に過ぎないため、誰でもコピーできてしまいます。

          そのため、デジタルコンテンツは「替えが効くもの」と認識されがちで、その価値を証明することが難しいという問題がありました。実際、インターネットの普及によって音楽や画像・動画のコピーが出回り、所有者が不特定多数になった結果、本来であれば価値あるものが正当に評価されにくくなってしまっています。NFTではそれぞれのNFTに対して識別可能な様々な情報が記録されています。そのため、そういったデジタル領域においても、本物と偽物を区別することができ、唯一性や希少性を担保できます。

          これまではできなかったデジタル作品の楽しみ方やビジネスが期待できるため、NFTはいま、必要とされているのです。

          NFTとブロックチェーン

          NFTはブロックチェーンという技術を用いて実現しています。

          ブロックチェーンは一度作られたデータを二度と改ざんできないようにする仕組みです。データを小分けにして暗号化し、それを1本のチェーンのように数珠つなぎにして、世界中で分散管理されています。そのため偽のデータが出回ったり、内容を改ざんしたり、データが消えたりする心配がありません。

          NFTではこのようなブロックチェーンが持つ高いセキュリティ性能を利用して、web上のデータが本物なのか偽物なのかを誰でも判別することを可能にし、データの希少性を担保できます。ブロックチェーンの活用によって、これまではできなかったデジタル作品の楽しみ方やビジネスが生まれているというわけです。

          NFT×メタバースで実現すること

          NFTアイテムや建物、土地をメタバースで取引できるようにする

          出典:pixabay

          これまでのメタバースでは、ゲーム内アイテムが簡単にコピーできてしまうため価値の証明が困難でした。また、そのゲームで遊ぶことをやめてしまえば、これまで築き上げてきたゲーム内資産は再度ゲームを起動するまで利用されることはありません。

          しかし、アイテムや土地・建物といったゲーム内資産をNFT化することにより、現実世界と同じく唯一無二である価値が生まれます。価値が生まれるとそのアイテムや土地が欲しい人との間に取引が生まれ、その取引はゲーム内通貨ではなく、仮想通貨や法定通貨で行われます。

          つまり、メタバースとNFT技術を掛け合わせることによって、現実世界でのモノや不動産の売買と同様、メタバース内でのマネタイズが可能となるのです。ゲーム内での活動がそのまま現実世界の価値とリンクするようになるという点で、NFT×メタバースの掛け合わせはとても大きな可能性を秘めています。

          メタバースでNFTアートを展示する

          出典:pixabay

          NFTは前述の通り、いままではただのコピー可能な情報の塊にすぎなかったデジタルコンテンツに対して真贋性を担保できます。一つひとつの作品に対して固有の価値を証明できるNFTは現在、芸術分野での導入が浸透しています。

          メタバース上で企画展を開催する際にNFT化した作品を展示すれば、ユーザーは移動や待ち時間なくアートを鑑賞できます。また、メタバース内で自身のアバターを使って記念撮影をしたり、実際に作品を手に取ったりすることも可能でしょう。設計次第では気になっているNFTをその場で購入することも可能であるため、従来とは異なる角度から芸術に触れることができます。

          美術館の来場者は中高年層が大半を占めていますが、NFTを使ったアプローチを採用すれば、若年層や芸術・美術に関心のなかった層も取り込めるでしょう。

          メタバースのアバターでNFTファッションを楽しんでもらう

          出典:pixabay

          実はメタバースとNFTの組み合わせという文脈では、ファッション分野が一番相性が良いのかもしれません。メタバース上にバーチャル店舗を設置すれば、自身のアバターにNFTのデジタルファッションを着用させることができます。もちろんカスタムパーツとして他のブロックチェーンゲームで使用するのも手ですが、実店舗での試着の代用として利用することもできます。

          過去にはZOZOSUIT(すでにサービス終了)など、実際に着用せずともフィット感やサイズ選択ができるサービスもあったように、現実のアセット以外に顧客との接点を持てるという点は大きなメリットになり得るでしょう。

          また、ハイブランドがNFTアイテムを販売するケースも増えており、価値の高いファッションNFTが広まっています。例えば、ルイ・ヴィトンは約586万円でNFTを限定発売しており、デジタルの世界においても「憧れのLOUIS VUITTON」を手にする価値を提供しています。こうしたハイブランドファッションのNFT事例については以下でも紹介しています。

          NFT×メタバースの活用実例

          続いて、2025年時点のNFT×メタバースの活用事例をご紹介します。

          The Sandbox

          出典:The Sandbox

          The Sandboxは、3Dのオープンワールドの中で、建物を建築したり自分の”オリジナルのゲーム”を作ることができます。何をするかはプレイヤーの自由で、マインクラフトに似たジャンルのゲームです。

          The Sandboxのメタバース内には「LAND」というNFT化された土地が存在し、現実世界の土地と同じように売買・所有することが出来ます。LANDを保有した人は自分の土地を自由にアレンジすることができ、自作のゲームを公開して ”ゲームセンター化”したり、何か催し物を開催したい人向けにスペースの一部を貸し出す ”貸しイベント会場化”する事もできます。

          実際に数多くのアーティスト達が自らの作品を展示する場としてThe Sandboxを利用しており、また、日本を代表するゲーム会社であるスクウェア・エニックスは会社の広報スペースとしてLANDを保有しています。

          現実世界の土地と同じように、メタバース内のLANDを起点としたさまざまなビジネススタイルが個人・企業問わず誕生している点がThe Sandboxの魅力です。

          Decentraland

          出典:Decentraland

          Decentralandは、イーサリアムブロックチェーンをベースとしたVRプラットフォームで、先程ご紹介したThe Sandbox同様、仮想空間内でゲームをしたりアイテムやコンテンツを作成・売買することが可能です。

          ゲーム性は両者共通する部分も多く、「LAND」という仮想現実内の土地を保有・マネタイズできる点や、NFT化したアイテムをメタバース内で取引できる点も同じです。

          一方、The Sandboxとの違いはその ”世界観” です。The Sandboxの世界が全て四角いブロックで構成されているのに対し、こちらのDecentralandは滑らかな3Dポリゴンで構成されており、よりポップで親しみやすい雰囲気の世界観が特徴です。

          個性派人気アーティスト「きゃりーぱみゅぱみゅ」や、世界的に有名なセレブであるパリス・ヒルトンとのファッションコラボが話題となったことからも分かるように、そのポップな世界観とファッション業界との親和性が高いこともDecentralandの特徴のひとつです。

          Axie Infinity

          Axie Infinityは、2018年にリリースされたメタバースゲームです。このゲームの特徴はAxieというNFTペットを使って対戦や育成をすることによって仮想通貨AXSを稼ぐことができる、いわゆる「Play to Earn」のゲームモデルであることです。

          元々、Axie Infinityはベトナムで開発されたこともあり、東南アジアで大きな広がりを見せています。物価も安くかつ賃金も低いこれらの国では、ゲーム内報酬だけで十分生活を送っていけるため、Axie Infinityを仕事にしている人もいたほどでした。

          このゲームは当初イーサリアムブロックチェーン上のゲームとして普及しましたが、イーサリアムブロックチェーンにて起こった取引手数料の高騰やトランザクションスピードの遅延といったスケーラビリティ問題を受け、現在は独自のイーサリアムサイドチェーン「Ronin」で稼働しています。サイドチェーンとは、メインチェーンの問題を解決するために開発された別の独立しているブロックチェーンのことです。Roninでの稼働により、Axie Infinityのプレイヤーは取引手数料が削減できるようになりました。

          ガバナンストークンであるAXSの価格が下落しているため、全盛期よりは稼げなくなっていますが、その分ピーク時に比べると初期費用が安くなっているので、少額で参入してみるのも一手でしょう。

          まとめ

          NFTを活用したメタバース市場は今後急成長することが期待されており、様々な業種の企業が参入をすでに始めています。今後もNFT×メタバースの掛け合わせによって、これまでにない新しいモノや体験が次々と生み出されていくことでしょう。

          NFT技術の音楽分野への活用〜クリエイターとリスナーが享受する新たな価値〜

          近年のNFT技術の発達により、唯一性が担保されたデジタルコンテンツの資産価値が向上してきています。NFTといえば主にデジタルアートやゲームの分野で注目が集まっていますが、NFT技術は音楽分野でも大きな可能性を秘めています。本記事では、NFT音楽とNFT技術についての基礎知識をご紹介し、さらに音楽のNFT化によって実現すること、すでに存在するNFT音楽の活用事例までを詳しく解説していきます。

            NFT×音楽分野の多様な可能性

            2021年12月、アメリカの著名シンガーである故ホイットニー・ヒューストンのデモ音源がNFT音楽オークションで約1.1億万円で落札され、”NFT音楽” への注目が一気に高まりました。

            NFT音楽とは「NFT技術を使った唯一無二の楽曲データ」を指します。NFT技術の活用は、これまでデジタルアートやトレーディングカード、ゲームの分野で注目を集めてきていますが、音楽分野へのNFT技術の活用も楽曲データの唯一無二化のみならず、転売収益の確保など様々な可能性を秘めています。

            まずはその根幹となるNFT技術について、簡単に解説していきます。

            そもそもNFTとは?

            NFT=”証明書”付きのデジタルデータ

            出典:shutterstock

            NFTを言葉の意味から紐解くと、NFT=「Non-Fungible Token」の略で、日本語にすると「非代替性トークン」となります。非代替性とは「替えが効かない」という意味で、NFTにおいてはブロックチェーン技術を採用することで、見た目だけではコピーされてしまう可能性のあるコンテンツに、固有の価値を保証しています。

            つまり簡単にいうと、NFTとは耐改ざん性に優れた「ブロックチェーン」をデータ基盤にして作成された、唯一無二のデジタルデータのことを指します。イメージとしては、デジタルコンテンツにユニークな価値を保証している”証明書”が付属しているようなものです。

            NFTでは、その華々しいデザインやアーティストの名前ばかりに着目されがちですが、NFTの本質は「唯一性の証明」にあるということです。

            NFTが必要とされる理由

            世の中のあらゆるモノは大きく2つに分けられます。それは「替えが効くもの」と「替えが効かないもの」です。前述した「NFT=非代替性トークン」は文字通り後者となります。

            例えば、紙幣や硬貨には代替性があり、替えが効きます。つまり、自分が持っている1万円札は他の人が持っている1万円札と全く同じ価値をもちます。一方で、人は唯一性や希少性のあるもの、つまり「替えが効かないもの」に価値を感じます。不動産や宝石、絵画などPhysical(物理的)なものは、証明書や鑑定書によって「唯一無二であることの証明」ができますが、画像や動画などのDigital(デジタル)な情報は、ディスプレイに表示されているデータ自体はただの信号に過ぎないため、誰でもコピーできてしまいます。

            そのため、デジタルコンテンツは「替えが効くもの」と認識されがちで、その価値を証明することが難しいという問題がありました。実際、インターネットの普及によって音楽や画像・動画のコピーが出回り、所有者が不特定多数になった結果、本来であれば価値あるものが正当に評価されにくくなってしまっています。NFTではそれぞれのNFTに対して識別可能な様々な情報が記録されています。そのため、そういったデジタル領域においても、本物と偽物を区別することができ、唯一性や希少性を担保できます。

            これまではできなかったデジタル作品の楽しみ方やビジネスが期待できるため、NFTはいま、必要とされているのです。

            NFTとブロックチェーン

            NFTはブロックチェーンという技術を用いて実現しています。

            ブロックチェーンは一度作られたデータを二度と改ざんできないようにする仕組みです。データを小分けにして暗号化し、それを1本のチェーンのように数珠つなぎにして、世界中で分散管理されています。そのため偽のデータが出回ったり、内容を改ざんしたり、データが消えたりする心配がありません。

            NFTではこのようなブロックチェーンが持つ高いセキュリティ性能を利用して、web上のデータが本物なのか偽物なのかを誰でも判別することを可能にし、データの希少性を担保できます。ブロックチェーンの活用によって、これまではできなかったデジタル作品の楽しみ方やビジネスが生まれているというわけです。

            音楽分野×NFTで実現すること

            ライブチケットの転売収益の確保

            出典:pixabay

            NFT技術を音楽分野で活用する上で、実現性が高く、また実現した際のインパクトが大きいものでまず考えられるのが「ライブチケットの転売収益の確保」です。

            現状、人気の高いミュージシャンやアイドルグループのライブチケットは高額転売に悩まされています。この場合の高額転売の弊害とは、転売による収益がクリエイター側に1円も還元されていないことを指します。

            NFT技術を活用すれば、NFT化されたデジタルチケットが転売されるたびに、クリエイター(チケットの発行者)にも手数料を還元するという仕組みが可能となります。また、NFT化されたチケットには取引履歴が全て記録されているので、仮に転売行為そのものをNGとしたい場合にも効力を発揮します。

            実際にこの「ライブチケットの転売収益の確保」のために、海外では「Afterparty(アフターパーティー)」、日本国内では「ローソンチケットNFT」という名のプロジェクトが既にそれぞれ動き出しています。

            新たなマネタイズ方法が生まれる

            出典:pixabay

            音楽クリエーターにとって、現在の音楽市場でのマネタイズはなかなか厳しいというのが現実です。その理由のひとつが、いま最も主流となっている音楽の提供の形である「ストリーミング配信」の収益性の悪さです。

            実際に、音楽ストリーミング市場の51%を占めている「YouTube」では、収益のうち7%しかクリエイターに還元されていません。また「Spotify」や「Apple Music」など大手配信プラットフォームでは1再生あたりたった0.003円しか還元されない仕組みとなっています。

            そうなった背景としては「音楽の希少価値が下がった」ことがあげられます。CD全盛期では”ジャケ買い”なる言葉があったように、音楽そのもの・CDジャケット・歌詞カードを含めたパッケージに対して3000円の価値がありました。それがストリーミング配信全盛のいま、気になった歌詞はネットで検索すればすぐに見つかり、誰かが作ったプレイリストを流して”いい感じの曲”を知る、という風に音楽は「消費される対象」となりました。

            そこで、楽曲データをNFT化して数量限定で販売し、音楽の価値を復権しようとする試みが始まっています。NFT音楽を購入するファンにとっての大きなメリットは「数量限定の楽曲を購入したのは私です」という証明ができ、心理的に他のファンとの優位性を感じられる点です。

            また、例えば100曲限定で販売された楽曲を手に入れたコアなファンがまた別のコアなファンに譲る際に、ライブチケット同様、転売収益が元のアーティストにも還元される仕組みを作ることも可能となります。

            この試みは日本国内・海外を問わず多くのクリエーターたちの間で広まりつつあります。次項で詳しく解説しますが、例えば日本では坂本龍一や小室哲也といった大御所ミュージシャン、海外ではアメリカの人気バンド「LinkinPark(リンキン・パーク)」がNFT音楽を活用した試みをスタートさせています。

            音楽分野×NFTの活用実例

            続いて、2025年時点での音楽分野×NFTの活用実例をご紹介します。

            ホイットニー・ヒューストン

            出典:billboard japan

            音楽分野×NFTの活用実例としてまずあげられるのが、本記事冒頭でもご紹介したアメリカの著名シンガーである故ホイットニー・ヒューストンの実例です。

            ホイットニー・ヒューストンは、グラミー賞の受賞歴のある世界で最も売れている歌手の一人で、2012年2月11日に48歳の若さで亡くなるまでポップ音楽の第一線で活躍し続けたレジェンドです。

            彼女が17歳の時に録音した初期のデモ音源が、NFTプラットフォームであるOneOfのオークションに出品され、史上最高額となる99万9,999ドル(約1億1,400万円)で落札されました。

            これだけの大物アーティストの音源がNFT音楽として発表されたことは大きな話題となり、「NFT音楽」の認知が一般層にまで広がるきっかけになりました。

            リアーナ

            リアーナの唐突な“復活”から、新作のプロモーション手法の変化が見えてきた
            出典:WIRED

            保有資産額は6億ドル以上ともいわれる世界的歌手のリアーナの名曲「B*tch Better Have My Money」のNFTコレクションは発表と同時に大きな話題になりました。

            このNFTの概要は、世界中に熱烈なファンがいるリアーナの楽曲を手がけた音楽プロデューサー・ジャミール・ピエール氏が自身のストリーミング権をNFT化するというもの。NFTプラットフォーム「anotherblock(アナザーブロック)」において300個限定で販売しました。

            「B*tch Better Have My Money」はYoutubeでも1.6億回再生以上されている人気曲であり、NFTの所有者はストリーミング再生による収益の0.0033%の分配を受けられるということもあり、販売開始されてからわずか数分で完売し、収益は63,000ドル(約840万円)に及びました。

            しかし、OpenSeaでは「NFTが曲の部分的な所有権であること」「将来の利益につながりうるNFTを許可していないこと」を理由に本NFTの取り扱いを停止。良くも悪くも世間から多くの注目を浴びたNFTとなりました。

            坂本龍一

            出典:Adam byGMO

            日本を代表するミュージシャンである坂本龍一氏もNFT音楽に可能性を見いだしている一人です。坂本氏は2021年12月、映画『戦場のメリークリスマス』のテーマソングとして世界的にも知られている自身の代表曲「Merry Christmas Mr. Lawrence」を1音ずつ区切った「595の音」をNFT化し販売しました。

            「595の音」がNFTマーケットプレイス「Adam byGMO」で出品されるやいなや、「坂本龍一のあの名曲の一部を自分だけのものにしたい」という思いから数多くの人々が申し込みに殺到しました。想定を超える数の海外からのアクセスに耐えきれず、サーバーが一時ダウンしたことも、このNFTの注目度の高さを表しています。

            新しい学校のリーダーズ

            出典:PR TIMES

            現在人気沸騰中の新しい学校のリーダーズも、ポリゴン(MATIC)上で数量限定のNFTを発行しました。記念すべきファーストNFTのモチーフとなったのは、ライブやグッズでおなじみの「習字」。その名も「一筆入魂NFT」です。

            このNFTは 有名ファッションデザイナーや著名なアーティストのNFT作品などを購入できるマーケットプレイス「αU market」で無料配布されました。NFTは今回のためにメンバー自身が書き下ろしたもので、KDDIが提供するメタバース「αU」と新しい学校のリーダーズとのコラボ「青春学園」のキャンペーンの一環として採用されています。

            一筆入魂NFTの所有者は、新しい学校のリーダーズが出演する2カ所のフェス「SUMMER SONIC 2023」と「TOMAKOMAI MIRAI FEST 2023」でNFTを提示すると、各会場で追加の限定NFTが獲得できます。

            限定NFTをダウンロードしたユーザーには限定コラボグッズや限定情報の公開といった特典がついており、ファンと特別なつながりを提供するプロジェクトとして注目されました。

            ヤングスキニー

            出典:ヤングスキニー公式サイト

            詩的でリアリティのある歌詞で若者を中心に絶大な人気を誇る音楽バンド・ヤングスキニーも公式NFT「ヤングスキニー Live & Documentary (2023.01.20 – 2023.04.27)」を発売しています。

            このNFTの購入者は、約123分のライブ映像に加え、2023年のワンマンツアーやフリーライブまでの道のりを収めた限定ドキュメンタリー映像を視聴することが可能です。NFTを所有しているファンだけが体験できる特別な時間を創り出すことで、新たなアーティストとファンとの関わり方が生まれてくることでしょう。

            海外と比べると有名アーティストのNFT活用は進んでいない日本ですが、彼らのような実力も知名度もあるグループがパイオニアとなって、日本のNFT業界を引っ張っていってくれることを期待しています。

            OIKOS MUSIC

            出典:OIKOS MUSIC

            OIKOS MUSICは独立系アーティスト向けに、NFTを使ったサブスク型の収益分配プラットフォームです。楽曲原盤権のうち、サブスク部分の収益に限定した収益分配権をNFT化し、ファンとのコミュニケーション機会を提供しています。

            この斬新な仕組みを提供している同サービスですが、NFTはクレジット決済が可能です。仮想通貨でのやり取りが基本となる従来のNFTでは、初心者ユーザーの参加ハードルが高いという欠点がありましたが、このプラットフォームではNFTの購入に仮想通貨のウォレットは不要です。

            また、マーケットプレイスへの出品は他レーベルのアーティストにも開放される予定であり、今後は既に活躍されているアーティストの参加も見込めます。参加アーティストによっては、国内で類を見ない大規模NFTプロジェクトになる可能性を秘めています。

            シードラウンドの第三者割当増資により、総額1.5億円の資金調達を実施するなど着実に成長を見せているOIKOS MUSIC。アーティストとファンの関係性・応援文化の新しいカタチが、生まれつつあります。

            まとめ

            本記事では、音楽分野へのNFT技術の活用について解説してきました。

            音楽分野へNFT技術を活用することにより、クリエイターにとっては新たなマネタイズの可能性が、リスナーにとっては好きなクリエイターの作品を自分だけのものにできるという新たな価値が生まれます。

            一部のクリエイター達の間ではNFTがすでに注目を集め、実際に自身の作品をNFTとして販売する動きも活発化してきています。今後、著名アーティストの参入がさらに進めば、音楽とNFTの掛け合わせは爆発的に広まっていくことでしょう。

            【2025年】NFTアートとは?芸術分野へのNFT活用事例も掲載

            近頃、「NFT=Non-Fungible Token(非代替性トークン)」がメディアやSNSに取り上げられることも増えてきましたが、その中でも ”アート” へのNFT利用が特に注目を集めています。とある画像データに75億円もの価値がついたり、数々の著名人が積極的に参入するなど話題に事欠かないNFTアート。 本記事ではそんなNFTアートについて、NFTの基礎知識やメリットを交えながら解説していきます。

              NFTアートはNFT活用の火付け役

              出典:pixabay

              NFTへの注目が拡大していくきっかけとなったのは、アート分野に対してNFTが活用され、それらが非常に高い金額で取引されたことでしょう。

              例えば、2021年3月に海外クリエイター「Beeple」氏が作成したデジタルアート作品が約75億円もの高額で取引され、2021年8月には東京都在住の8歳の少年が描いたデジタルアート3枚が約200万円で落札されました。一見すると普通の 「画像データ」にも関わらず、驚くような高値がつくというそのギャップによって多くの人々が驚き、世界的な話題を呼びました。

              また、上記のような高値での取引以外に、人気アイドルグループSMAPの元メンバーである香取慎吾さんや人気女優の広瀬すずさんといった著名人がNFTアートに次々と参入したことも、日本国内でNFTアートが注目を集めた要因の一つです。

              2025年現在では、ゲームや音楽、スポーツなど様々な分野へNFTが活用されていますが、その火付け役となったのは、こういったアートの分野でした。そんなNFTアートについての解説や事例をご紹介する前に、まずはNFTそのものについて簡単に解説していきます。

              そもそもNFTとは?

              NFT=”証明書”付きのデジタルデータ

              出典:shutterstock

              NFTを言葉の意味から紐解くと、NFT=「Non-Fungible Token」の略で、日本語にすると「非代替性トークン」となります。非代替性とは「替えが効かない」という意味で、NFTにおいてはブロックチェーン技術を採用することで、見た目だけではコピーされてしまう可能性のあるコンテンツに、固有の価値を保証しています。

              つまり簡単にいうと、NFTとは耐改ざん性に優れた「ブロックチェーン」をデータ基盤にして作成された、唯一無二のデジタルデータのことを指します。イメージとしては、デジタルコンテンツにユニークな価値を保証している”証明書”が付属しているようなものです。

              NFTでは、その華々しいデザインやアーティストの名前ばかりに着目されがちですが、NFTの本質は「唯一性の証明」にあるということです。

              NFTが必要とされる理由

              世の中のあらゆるモノは大きく2つに分けられます。それは「替えが効くもの」と「替えが効かないもの」です。前述した「NFT=非代替性トークン」は文字通り後者となります。

              例えば、紙幣や硬貨には代替性があり、替えが効きます。つまり、自分が持っている1万円札は他の人が持っている1万円札と全く同じ価値をもちます。一方で、人は唯一性や希少性のあるもの、つまり「替えが効かないもの」に価値を感じます。不動産や宝石、絵画などPhysical(物理的)なものは、証明書や鑑定書によって「唯一無二であることの証明」ができますが、画像や動画などのDigital(デジタル)な情報は、ディスプレイに表示されているデータ自体はただの信号に過ぎないため、誰でもコピーできてしまいます。

              そのため、デジタルコンテンツは「替えが効くもの」と認識されがちで、その価値を証明することが難しいという問題がありました。実際、インターネットの普及によって音楽や画像・動画のコピーが出回り、所有者が不特定多数になった結果、本来であれば価値あるものが正当に評価されにくくなってしまっています。NFTではそれぞれのNFTに対して識別可能な様々な情報が記録されています。そのため、そういったデジタル領域においても、本物と偽物を区別することができ、唯一性や希少性を担保できます。

              これまではできなかったデジタル作品の楽しみ方やビジネスが期待できるため、NFTはいま、必要とされているのです。

              NFTとブロックチェーン

              NFTはブロックチェーンという技術を用いて実現しています。

              ブロックチェーンは一度作られたデータを二度と改ざんできないようにする仕組みです。データを小分けにして暗号化し、それを1本のチェーンのように数珠つなぎにして、世界中で分散管理されています。そのため偽のデータが出回ったり、内容を改ざんしたり、データが消えたりする心配がありません。

              NFTではこのようなブロックチェーンが持つ高いセキュリティ性能を利用して、web上のデータが本物なのか偽物なのかを誰でも判別することを可能にし、データの希少性を担保できます。ブロックチェーンの活用によって、これまではできなかったデジタル作品の楽しみ方やビジネスが生まれているというわけです。

              アート×NFTで実現すること

              唯一無二という価値が生まれる

              出典:pixabay

              前述のように実物の絵画や美術品といったPhysical(物理的)なものは、証明書や鑑定書によって「唯一無二であることの証明」ができます。しかし、アーティストが描いたデジタル作品に対して ”唯一無二の本物” であるという証明をすることは不可能に近く、コピーやスクリーンショットがWEB上に溢れてしまうことは容易に想像がつきます。

              NFTがアート分野に適用されれば、NFT技術によって ”唯一無二の本物” であるという証明がなされた「自分が好きなアーティストが描いたデジタル作品」を、自分だけのモノにできます。それにより、作品やアーティストに対してさらに愛着が持てるようになったり、ファンコミュニティの中で「自分はあのデジタルアートを所有する特別なファンだ」といった心理的な優越感を得たりできるのです。

              クリエイターとしても、自分の作品を気に入ってくれた特別なファンの存在を、NFTアートを通してこれまでよりも近く感じることができるでしょう。

              新たなマネタイズ方法が生まれる

              出典:pixabay

              従来であればアーティストが自分の作品を出品する際に、ギャラリーや仲介業者に少なくない金額の手数料を差し引かれる事が多かったため、アーティスト活動だけで生計をたてられる人はほんの一握りでした。

              一方で、NFTアートはWEB上で誰でも手軽に出品することができ、出品手数料もかからない、あるいは従来に比べれば非常に少なくすみます。出品の手軽さとマネタイズのしやすさが相まって、アーティストたちはより多くの収入を得るチャンスが増えます。

              また、NFTの技術をアートに活用することで、そのアートが転売されるたびに作者の元に収益を還元する仕組みが実現できます。無名時代に描いた作品が有名になってから高値で取引されるようになると作者自身にもその利益が還元されるため、収益だけでなく作り手のモチベーションアップにもつながります。

              NFTによってアートの新たなマネタイズ方法が生み出されると、収入面で夢を諦めていた多くの才能あるクリエイター達のモチベーションアップに繋がり、ゆくゆくはアート市場そのものが盛り上がっていくことが期待できます。

              NFTアートの実例

              続いて、2025年時点でのNFTアートの実例をご紹介していきます。

              「Everydays: The First 5000 Days」by Beeple

              出典:Christie’s

              NFTアートの代表作ともいえるのが「Everydays-The First 5000Days」です。海外アーティストであるBeeple氏によって作られたこちらの作品は約75億円で落札されたNFTであり、これは、執筆時点でNFT史上最高の取引額とされています

              このNFTは、Beeple氏が10数年間毎日作成し続けたプロジェクトである「EVERY DAYS」の作品をまとめて1つのNFTとした作品で、その価格のインパクトも相まって、同作品は「世界で最も有名なNFTアート」としても知られています。

              Beeple氏は、NFTに注力するまでは世界的に注目されるほどのアーティストではありませんでしたが、今ではNFTアートの先駆者として世界中で認知されているアーティストとなりました。

              Bored Ape Yacht Club(BAYC)

              出典:Rolling Stone

              「NFTは知らないけど、この猿の絵は知ってる」という方もいるかもしれません。

              NFTの代表例であるこの「Bored Ape Yacht Club(BAYC)」は、アメリカのNFTスタジオであるYuga Labsが制作する類人猿をモチーフにしたNFTアートコレクションです。顔のパーツや表情、服装などバリエーションの異なる1万点のNFTアートが発行され、同じ絵柄は1枚として存在しません。

              このクオリティと生成数を実現できるのは、BAYCがジェネレーティブNFTだからです。ジェネレーティブNFTとは、プログラミングによって、形、フォーム、色、パターンを自動生成するNFTアートのことを指します。

              独特なデザインにもかかわらず、他の人とは被らない」という面白さがNFTコレクターのみならず、一般のユーザーにもハマり、NFTという存在が広く認知されたという功績は計り知れません。海外のセレブや著名人を発端に、SNSのアイコンを自分が所有しているNFTアートにすることが流行したことが、冒頭のような認知を得るきっかけになったのかもしれません。

              2023年9月には、日本発のストリートウェアブランド「A BATHING APE®(ア・ベイシング・エイプ)」とのコラボレーションを発表するなど、まだまだ衰えを見せていない人気NFT。気になった方は、このシリーズでNFTデビューをするのも悪くないでしょう。

              CryptoPunks(クリプトパンク)

              出典:CryptoPunks

              CryptoPunks(クリプトパンク)は、2017年に誕生した世界最古といわれているNFTアートコレクションで、ドット絵の男女やレアキャラのエイリアンやゾンビなどが描かれています。こちらもBored Ape Yacht Club(BAYC)同様ジェネレーティブNFTであり、同じ絵柄は1枚として存在しません。

              リリース当初は無料配布されていましたが、作品の総発行枚数は1万点と限りがあり、その希少性から数千万円以上の値段が付けられるまでに価格が高騰しています。その高額な値段から一種の投資商品のような扱いをされており、いまでは多くの有名投資家が保有しています。

              また、CryptoPunksはフルオンチェーン、つまり全てのNFTデータがブロックチェーン上に記録されています。実は、多くのNFTプロジェクトではブロックチェーン上に画像データの保存場所を指定する「URL(文字列)」のみ記録する方法が採られています。

              フルオンチェーンNFTはデータ容量の上限が非常に少ない点やコストがかかってしまうというデメリットがありますが、CryptoPunksは24×24ピクセルのドット絵のため、データ容量を小さく抑えられ、フルオンチェーンを成立させています。

              永続性を実現するフルオンチェーンで実装されている点もCryptoPunksが高い評価を得ている理由の1つだといえるでしょう。

              また、その注目はクリプト界隈に留まらず、多くの企業とのコラボが実現しています。2022年にはティファニーがCryptoPunksをカスタムデザインのペンダントに変換するプロジェクトを発表しました。それぞれのペンダントには、少なくとも30石のジェムストーンやダイヤモンドが使用され、所有者のCryptoPunksに忠実なペンダントが作成できるとのことです。

              ティファニーがNFTに参入!「NFTiff」を250個限定で発売。 | Vogue Japan

              「Zombie Zoo」by Zombie Zoo Keeper

              出典:BuzzFeed News

              「Zombie Zoo(ゾンビ・ズー)」は、2021年に当時8歳の日本人の少年によって始められたNFTアートプロジェクトです。彼が夏休みの自由研究として描いた3枚のデジタルアートを、母親の協力のもと世界最大手のNFT取引所『OpenSea(オープンシー)』に出品したところ、世界的に有名なDJによって約240万円で落札されました。

              その後も人気銘柄として話題を独占したZombie Zooは取引総額4400万円を突破するなど、小学生がクリエイターの作品としては異例のヒットとなりました。東映アニメーションによるアニメ化プロジェクトも始動するなど、日本人の、しかもたった8歳によるNFTアート作品とあって、非常に多くの注目を集めたNFTアートプロジェクトの一つとして押さえておくといいでしょう。

              余談ですが、彼の母親である草野絵美氏は自身もアーティストとして活躍されており、映像クリエイターの​​大平彩華と日本発のNFTコレクション「新星ギャルバース」を立ち上げています。

              こちらは取引総額16億円を突破するなど、世界的にも大注目を集めるNFTで、グラミー賞ノミネート・アーティス​​ト、トーヴ・ロー『I like u』のオフィシャルMV​​にも採用されています。

              Murakami.Flowers Official

              出典:designboom

              Murakami.Flowersは、日本を代表する世界的アーティスト・村上隆氏が、自身の代表作でもある「フラワー」をドット柄で表現したNFTアートです。

              このNFTは発行数が、花の108種と背景の108種の組み合わせで構成されており、合計で11,664種となっています。この数は煩悩の数である108に由来するモノであり、1万個以上存在するNFTのうち108個は「Bonnō Proof」という特別な位置付けにあるレアリティの高いNFTとなっています。

              自身の死後、このNFTのメカニズムが変化することも示唆しており、公式Twitterは11万を超えるフォロワーがいるなど世界中が注目するNFTプロジェクトです。

              このプロジェクトはインターネット界への貢献として国内外からも評価され、村上氏は「卓越したインターネット上の活動」を表彰するウェビー特別功労賞を受賞。同氏はナイキの傘下であるRTFKTスタジオとのコラボレーション「クローンX(CloneX)」でもNFTを手がけており、アートとNFTの関係への期待が透けて見えます。

              NFTがもつ永続性は、村上氏の「自身の死後でも、作品の価値が生き続ける」というモットーにも相容れるところがあるのではないでしょうか。

              Matter is Void

              この作品は、かの有名なスペシャリスト集団・チームラボが制作した7つのNFTアート作品群の一つです。それぞれの作品は、独特なグラフィックで「Matter is Void」(意:物質は空虚)と書かれており、それらの文字は常に回転を繰り返し、独自の模様へと変化します。

              いままで紹介してきたNFTとは少しテイストの異なったこのNFTには、NFTの所有者が作品内の言葉を自由に書き換えることができるという珍しい特徴があります。

              7作品それぞれ購入可能なNFTは1つですが、NFTを所有しているか所有していないかにかかわらず、作品自体は誰でもダウンロードし所有することができます。しかし、NFTの所有者がステートメントを変更すると、世界中の人がダウンロードして所有している全ての作品が、その言葉に書き変わります。

              NFT所有者の言葉次第で、作品の価値が変化するだけでなく、ダウンロードされたり展示されたりする作品数の増減にも影響があるでしょう。オリジナルNFTとレプリカの区別や、常に変化し続ける作品というのは、NFTやデジタルアート特有の表現といえるでしょう。

              From the Fragments of Tezuka Osamu(手塚治虫のかけらたちより)

              出典:美術手帖

              日本を代表する漫画家である手塚治虫氏の代表作品を題材に展開されたNFTプロジェクト「From the Fragments of Tezuka Osamu(手塚治虫のかけらたちより)」において、「鉄腕アトム」「火の鳥」「ブラック・ジャック」を題材としたNFTモザイクアートが世界最大手のNFT取引所「OpenSea(オープンシー)」に出品され、話題になりました。

              このモザイクアートは、手塚治虫漫画のカラー原画840枚と4000枚以上の白黒漫画原稿で構成されており、 モザイクの色味を一つひとつ手作業で調整したまさに力作となっています。 遠くから一枚の絵画としてキャラクターを鑑賞するだけではなく、拡大すればモザイク素材一枚一枚から手塚治虫氏の漫画への情熱や、想いを感じ取ることができます。

              また、同時にジェネレーティブNFTの販売も行っており、モザイクアートNFTで使用した画像素材をもとにランダム生成されたアート作品をそれぞれの題材ごとに1000枚の販売をしました。これらの売上の一部は、ユニセフやあしなが育英会といった子どもたちを支援している団体に寄付されたということです。

              まとめ

              今回はNFTアートについて解説し、実際の事例をご紹介してきました。

              NFTアートはクリエイターと買い手の双方にとってより良い体験をもたらす革新的な技術です。一方で、NFTアートは依然目新しいモノとして捉えられており、高額な金額で投機的に取引されることに注目が集まりがちです。

              今後は、アートの原点である ”純粋に気に入った作品を購入する” という向き合い方が広まり、現実のアートのように人々の生活の一部となっていくことを期待します。

              NFTマーケットプレイスとは?取引所の概要から選び方・それぞれの違いを解説

              仮想通貨を含むブロックチェーン業界全体はいま、冬の時代を迎えつつあります。ビットコインやイーサリアムが過去最高額を更新した2021年と比べると、話題性だけではなく取引量やアクティブユーザーが減少しているこの現状はいささか厳しいといわざるを得ません。

              一方で、デジタル資産「NFT」の取引が、度々明るいニュースを運んできてくれます。今回は、そのNFT取引の中心的な役割を果たす「NFTマーケットプレイス」の概要から、それぞれの特色や違いまで解説していきます。

                NFTマーケットプレイスとは?

                NFTマーケットプレイスとは、クリエイターが自分で制作したNFT作品を出品販売したり、自分が所有するNFT作品を購入者同士で取引できる、NFT作品の売買プラットフォームです。個人間でモノを売買するメルカリやラクマの ”デジタルデータ版” をイメージすれば理解できるかと思います。

                NFTマーケットプレイスでできることは以下です。

                1. NFT作品を出品・販売する
                2. 販売されているNFT作品を購入する
                3. 購入したNFT作品を更に二次販売する

                基本的にNFT作品は、購入者によって二次販売された際にも元のクリエイターに利益が還元される仕組みとなっています。しかし、マーケットプレイスによっては二次販売が禁止されていたり、運営から承認されたクリエイターしか出品できない、などの制限がある場合もあります。


                現在、世に流通しているNFT作品のほとんどは、仮想通貨の一つであるイーサリアムのブロックチェーンを基盤として作成されています。そのため、NFTマーケットプレイスでは決済手段にイーサリアムが採用されている場合がほとんどです。

                では、数ある中からどのようにして利用するNFTマーケットプレイスを決めれば良いのでしょうか。そちらを解説する前にまずは「そもそもNFTって何なの?」という疑問を抱えている人のために、NFTについて簡単に解説します。

                そもそもNFTとは?

                NFT=”証明書”付きのデジタルデータ

                出典:shutterstock

                NFTを言葉の意味から紐解くと、NFT=「Non-Fungible Token」の略で、日本語にすると「非代替性トークン」となります。非代替性とは「替えが効かない」という意味で、NFTにおいてはブロックチェーン技術を採用することで、見た目だけではコピーされてしまう可能性のあるコンテンツに、固有の価値を保証しています。

                つまり簡単にいうと、NFTとは耐改ざん性に優れた「ブロックチェーン」をデータ基盤にして作成された、唯一無二のデジタルデータのことを指します。イメージとしては、デジタルコンテンツにユニークな価値を保証している”証明書”が付属しているようなものです。

                NFTでは、その華々しいデザインやアーティストの名前ばかりに着目されがちですが、NFTの本質は「唯一性の証明」にあるということです。

                NFTが必要とされる理由

                世の中のあらゆるモノは大きく2つに分けられます。それは「替えが効くもの」と「替えが効かないもの」です。前述した「NFT=非代替性トークン」は文字通り後者となります。

                例えば、紙幣や硬貨には代替性があり、替えが効きます。つまり、自分が持っている1万円札は他の人が持っている1万円札と全く同じ価値をもちます。一方で、人は唯一性や希少性のあるもの、つまり「替えが効かないもの」に価値を感じます。不動産や宝石、絵画などPhysical(物理的)なものは、証明書や鑑定書によって「唯一無二であることの証明」ができますが、画像や動画などのDigital(デジタル)な情報は、ディスプレイに表示されているデータ自体はただの信号に過ぎないため、誰でもコピーできてしまいます。

                そのため、デジタルコンテンツは「替えが効くもの」と認識されがちで、その価値を証明することが難しいという問題がありました。実際、インターネットの普及によって音楽や画像・動画のコピーが出回り、所有者が不特定多数になった結果、本来であれば価値あるものが正当に評価されにくくなってしまっています。NFTではそれぞれのNFTに対して識別可能な様々な情報が記録されています。そのため、そういったデジタル領域においても、本物と偽物を区別することができ、唯一性や希少性を担保できます。

                これまではできなかったデジタル作品の楽しみ方やビジネスが期待できるため、NFTはいま、必要とされているのです。

                NFTとブロックチェーン

                NFTはブロックチェーンという技術を用いて実現しています。

                ブロックチェーンは一度作られたデータを二度と改ざんできないようにする仕組みです。データを小分けにして暗号化し、それを1本のチェーンのように数珠つなぎにして、世界中で分散管理されています。そのため偽のデータが出回ったり、内容を改ざんしたり、データが消えたりする心配がありません。

                NFTではこのようなブロックチェーンが持つ高いセキュリティ性能を利用して、web上のデータが本物なのか偽物なのかを誰でも判別することを可能にし、データの希少性を担保できます。ブロックチェーンの活用によって、これまではできなかったデジタル作品の楽しみ方やビジネスが生まれているというわけです。

                NFTマーケットプレイスの選び方

                出典:pixabay

                NFTについて軽く振り返りをしたところで次はNFTマーケットプレイスの選び方について見ていきます。NFTマーケットプレイスには数多くの種類があります。それぞれ特色があるため、どの取引所を利用するか選ぶ際には、以下3つのポイントに着目してみましょう。

                取り引きしたいNFTのジャンルで選ぶ

                NFTマーケットプレイスは、それぞれ取り扱うNFTのジャンルに特色があります。例えば、ゲームアイテムやトレーディングカードの取引に強みを持つマーケットプレイスもあれば、デジタルアートや音楽NFTに特化したもの、また、あらゆるジャンルを幅広く取り扱う総合型のマーケットプレイスもあります。

                特定のジャンルのNFTを積極的に取引したい場合は、専門性の高いマーケットプレイスを選ぶことで、より豊富なコレクションの中からお気に入りのNFTを見つけることができます。一方、ジャンルにこだわらずさまざまなNFTを試してみたい場合は、複数のカテゴリを扱うマーケットプレイスを選ぶのが良いでしょう。

                売買に利用できる仮想通貨の銘柄で選ぶ

                NFTの売買には仮想通貨を使用するのが一般的ですが、マーケットプレイスごとに対応している仮想通貨の種類が異なります。これは、NFTマーケットプレイスが利用するブロックチェーンの種類によるものです。

                多くのマーケットプレイスでは、NFT技術の基盤となっているイーサリアム(ETH)を決済手段として採用していますが、一部ではソラナ(SOL)やポリゴン(MATIC)など、異なるブロックチェーンを利用したNFTの取引が可能なプラットフォームもあります。また、近年では日本円やクレジットカード決済に対応しているマーケットプレイスも登場しており、仮想通貨を持っていない初心者でも利用しやすくなっています。

                そのため、取引をスムーズに行うためには、自分が使いたい仮想通貨や支払い方法に対応しているマーケットプレイスを選ぶことが重要です。

                取引時に発生する手数料で選ぶ

                NFTを売買する際には、マーケットプレイスごとに異なる手数料が発生します。手数料には、出品時の手数料、取引が成立した際の手数料、ガス代(ブロックチェーン上での取引処理に必要な手数料)など、さまざまな種類があります。

                マーケットプレイスによっては、取引手数料が高めに設定されているものもあれば、手数料を抑えることでユーザーの負担を軽減しているものもあります。特に、頻繁にNFTの売買を行う場合は、手数料の差がコストに大きく影響するため、あらかじめ比較しておくことが重要です。また、一部のプラットフォームでは、独自のトークンを使用することで手数料が割引される仕組みを導入しているケースもあります。

                NFTの取引をより快適に行うためには、コストを抑えつつ、自分の取引スタイルに合ったマーケットプレイスを選ぶことが大切です。

                注目すべきNFTマーケットプレイス

                OpenSea

                出典:OpenSea
                取り扱いコンテンツデジタルアート、ゲームアセット、トレーディングカード、デジタルミュージック、ブロックチェーンドメイン、ユーティリティトークンなど
                基盤ブロックチェーンEthereum、Polygon、Klaytn、Solana、Avalanche、BNB Chain、Optimism、Arbitrum
                決済通貨イーサリアム(ETH)、ソラナ(SOL)、ベーシックアテンショントークン(BAT)など
                販売手数料2.5%

                OpenSeaは、2017年にサービスを開始した最古参かつ最大手のNFTマーケットプレイスです。2017年のサービス開始後はどんどん市場規模を拡大し、2023年7月時点で1.67億ドルの月間取引高を誇ります。

                NFT出品数も8000万点を超え、取り扱うジャンルもデジタルアートやゲームアセットなど多種多様であり、ユーザーはウォレットを接続するだけでNFTの作成や売買が可能となっています。

                その作品の中には数々の有名人によるNFTもあり、例えばお笑いコンビ「キングコング」の西野亮廣氏や、世界的に著名な現代アーティストである村上隆氏などが自身のNFT作品をOpenSeaに出品しています。


                OpenSeaの特徴のひとつに、複数のブロックチェーンに対応していることが挙げられます。一般的なNFTマーケットプレイスが対応しているブロックチェーンはイーサリアムのみであることが多いですが、OpenSeaの場合イーサリアムに加えてPolygon(ポリゴン)やKlaytn(クレイトン)、Solana(ソラナ)といったブロックチェーンにも対応しています。

                このようにさまざまなブロックチェーンに対応しているため、ガス代(仮想通貨自体の手数料、検証作業をおこなったネットワーク参加者に報酬として分配されている)の軽減が可能です。複数のブロックチェーンを利用できることで、ガス代が高いといわれているイーサリアム以外も選択でき、比較的コストを下げて取引することができます。

                また、複数のブロックチェーンに対応していることで、扱えるNFT作品のジャンルや数も豊富となっています。

                Blur

                出典:Blur
                取り扱いコンテンツデジタルアート、ゲームアセット、トレーディングカード、デジタルミュージック、ブロックチェーンドメイン、ユーティリティトークンなど
                基盤ブロックチェーンEthereum
                決済通貨イーサリアム(ETH)
                販売手数料0%

                Blur(ブラー)は、2022年10月にローンチした新興のNFTマーケットプレイスです。

                「プロトレーダー向けのマーケットプレイス」を謳っているBlurでは、外部マーケットプレイスを横断して取引が行える(各マーケットの出品状況や価格を確認・比較しながら効率的に取引ができる)「アグリゲーター機能」や、独自トークン「BLUR」のエアドロップ(あらかじめ定められた条件をクリアすると、トークンを無料でもらえるイベント)を積極的に行っています。

                こうした独自の路線を突き進むBlurは、正式ローンチからわずか1年足らずで業界最大手のOpenSeaの取引量を上回るなど、驚異的な成長を見せるNFTマーケットプレイスとして注目されています。

                ユーザーから見たBlurの最大のメリットは、販売手数料が無料であるということでしょう。前述のOpenSeaでは、販売手数料が2.5%がかかりますが、Blurでは無料で利用することができます。

                また、イーサリアムETH(イーサ)自体はERC-20という共通規格に対応していないため、OpenseaではNFTに対して入札するためにはwETHにスワップ(交換)する必要がありました。しかし、BlurではETHのままの入札が可能です。そのため、入札の取り消し時にガス代が発生しません。

                このようにBlurには、一度に多くのNFT作品を売買するトレーダーにとっては、コストを抑えられるという大きなメリットがあり、今後も活発に取引がされていくと予想されます。

                Coincheck NFT

                出典:Coincheck NFT
                取り扱いコンテンツゲームアセット、トレーディングカードなど
                基盤ブロックチェーンイーサリアム
                決済通貨ビットコイン(BTC)、イーサリアム(ETH)、リスク(LSK)、リップル(XRP)、ライトコイン(LTC)、ビットコインキャッシュ(BCH)、ステラルーメン(XLM)、クアンタム(QTUM)、ベーシックアテンショントークン(BAT)、モナコイン(MONA)、ポルカドット(DOT)など
                販売手数料10%

                Coincheck NFTは、日本国内最大級の仮想通貨取引所であるCoincheckが運営しているNFTマーケットプレイスです。運営元が暗号資産取引サービスを行っているため、ビットコインやイーサリアムはもちろん、Coincheckで取り扱いのある10種類以上の通貨で売買をすることが可能です。

                Coincheck NFTの最大の魅力は、オフチェーン取引に対応している点です。オフチェーン取引とはブロックチェーン外での取引のことを指します。

                イーサリアムブロックチェーン上で発行されたNFTは、イーサリアムブロックチェーン内でそのまま取引することになり、その際に「ガス代」と呼ばれる手数料を支払わなければいけません。そして「ガス代」はユーザー数が増えるにつれて高額になってしまうため、NFT市場が拡大中の今、イーサリアムのガス代の高騰が大きな問題となってしまっています。

                Coincheck NFTの場合、NFTの取引履歴をブロックチェーンに記録しない「オフチェーン」でおこなっているため、高額なガス代を支払うことなくNFT作品を売買することが可能です。

                こうした決済通貨の豊富さやガス代の削減により、国内最大手のNFTマーケットプレイスに君臨しているのがこのCoincheck NFTです。

                LINE NFT

                出典:LINE NFT
                取り扱いコンテンツゲーム、スポーツ、アニメ、キャラクターなど
                基盤ブロックチェーンLINE Blockchain
                決済通貨LINE Pat、LINK
                販売手数料アイテムごとに異なる

                LINE NFTは2022年4月にサービスを開始した新しいNFTマーケットプレイスです。

                LINE NFTの特徴はその手軽さです。我々、日本人にとってお馴染みのLINEアプリの基盤を活かしてNFTの購入から二次流通までを手軽に実現でき、特にLINE Payを通じて日本円での決済が可能な点が非常に便利です。

                また、普段から使っているLINE IDを使って登録できるデジタルアセット管理ウォレット「LINE BITMAX Wallet」と連携しており、NFT取引のために仮想通貨ウォレットを用意しなくてもOK。初めてのユーザーにも優しいサービス設計となっており、NFTデビューにもうってつけです。

                さらに、LINE NFTでは、運営からの認定を受けた企業やクリエイターだけが出品できる仕組みになっています。大手NFTマーケットプレイスでは、誰でも簡単にNFTを出品しているため市場の流動性はありますが、偽物や模造品などの低クオリティなNFTもマーケットに並んでしまいます。

                しかし、LINE NFTでは運営側がしっかりと出品者を審査できるため、NFTの質がある程度担保されています。誰でも安心してNFT取引が楽しめる点は大きなメリットといえるでしょう。

                圧倒的な手軽さが売りの一方で、NFTの醍醐味である「複数のサービスをまたいだ取引」は今の所できません。LINEが運用するブロックチェーン:LINE Blockchainは、同社が独自に開発した「プライベートチェーン」であり、イーサリアムなどの他のブロックチェーンとの互換性が無いためです。

                こういったデメリットも存在しますが、LINEは独自のエコシステムを構築するのに長けた企業でもあります。実際にすでに国内でもスポーツ・音楽などエンタメ分野でのコラボがたくさん生まれており、赤西仁さんや今田美桜さん、Nissy(⻄島隆弘)さんといった数々の芸能人も参加しています。

                株式会社電通やGMO NIKKO株式会社といった名だたる企業がセールスパートナーとなっており、勢いのあるNFTマーケットプレイスです。

                Rakuten NFT

                出典:Rakuten NFT
                取り扱いコンテンツアニメ、アイドルなど15以上のカテゴリー
                基盤ブロックチェーン自社ブロックチェーン
                決済通貨クレジットカード、楽天ポイント※パックの購入のみイーサリアム(ETH)での決済が可能
                販売手数料14%

                RAKUTEN NFTは、大手通販サイトの楽天グループが運営するNFTマーケットプレイスで、日本円や楽天ポイントで決済できるのが特徴です。先述したLINE NFT同様、手軽に簡単に取引がスタートできるNFTマーケットプレイスです。

                また、独自のブロックチェーンを基盤としている点もLINE NFTと似ており、他のブロックチェーンとの互換性はありません。NFT作品の保管・管理が楽天という一企業に大きく依存している点が他のNFTマーケットプレイスと大きく異なる点です。

                面白いのは、購入時に楽天ポイントが貯まり、支払い時には楽天ポイントで決済できるという点です。一部のマーケットプレイスでは、独自のトークンを付与して取引の活性化を図っていますが、Rakuten NFTでは楽天ポイントという既存のリソースを生かして取引の活性化を実現しています。

                これはweb2.0とweb3.0の融合ともいえるケースで、ユーザーとしてもweb3.0に触れるハードルはそんなに高く感じないはずです。既存のポイントシステムの延長としてNFTを体験することができ、手軽にNFTの購入ができる設計であることには注目です。

                販売手数料が割高な点や仮想通貨での決済対応は一部のみである点などには様々な意見もありますが、大手企業が運営していることや独自のシステムなどが評価され、こちらも人気のNFTマーケットプレイスとなっています。

                Adam byGMO

                出典:Adam byGMO
                取り扱いコンテンツデジタルアート、デジタルミュージックなど
                基盤ブロックチェーンイーサリアム
                決済通貨イーサリアム、銀行振込、クレジットカード
                販売手数料5%(二次流通時)

                Adam byGMOは、インターネットグループ会社として知られるGMOグループの子会社が運営しているNFTマーケットプレイスです。

                Adam byGMOの最大の特徴は、決済通貨がイーサリアムだけでなく日本円に対応していることです。一般的なECサイトと同様、銀行振込やクレジットカードによる決済が可能なので、暗号資産を保有していないNFT初心者の方でも簡単にNFT作品を購入することができます。

                取り扱いコンテンツは、アートや音楽、漫画などです。音楽家の坂本龍一氏や小室哲哉氏、漫画家の東村アキコ氏など多くの著名人がすでにNFT作品を出品したことでも話題となりました。

                また、二次流通させる場合には作品の売却額の5%が販売手数料として発生し、作者にも売上金からロイヤリティを支払います。クリエイターには最初の売上金しか入らない他のプラットフォームと比べると、ユーザーだけでなくクリエイターにとってもメリットの大きいNFTマーケットプレイスであり、さらなる出品数の増加にも期待できます。

                まとめ

                今回はNFTマーケットプレイスに関して説明してきました。

                NFT化されたデジタルコンテンツを取引できる場が生まれた事により、クリエイター・購入者双方にとって新たな価値を創出することができるようになりました。

                一方で、NFT”マーケットプレイス”に限らず、NFTそのものの歴史がまだまだ浅いため、法整備が完全には整っていません。

                法律的な整備が進んでいないため、NFTの取引で金銭的な損失があった場合には、法律的な保護が受けられず自己責任となってしまうこともあるでしょう。また、きちんと定まっているわけでは有りませんが、NFT作品を売却した際に得た利益は雑所得としてみなされ、課税対象となる可能性が高いため注意が必要です。

                NFT自体の認知がより広まり、NFTに関する法整備が整っていけば、NFTマーケットプレイスを含むNFT市場のさらなる拡大が期待できます。