【2022年】Web3.0とメタバース
〜分散型インターネットにおける仮想現実の役割〜

“メタバース” についての話題に触れる際に ”Web3.0” というワードが登場する機会は多く、また逆も然りではないでしょうか。本記事ではこれらメタバース(仮想現実)とWeb3.0(分散型インターネット)についてそれぞれ解説し、さらにこの2つの関係性や現状の課題、そしてWeb3.0における代表的なメタバースの事例をご紹介していきます。

メタバースとは?
メタバースについての概要
メタバースが注目を集める理由
Web3.0とは?
①Web1.0(ホームページ時代)
②Web2.0(SNS時代)
③Web3.0(分散型インターネットの時代)
Web3.0とメタバースの関係性
メタバースはWeb3.0における”受け皿”
Web3.0におけるメタバースの現状の課題
ハード面の強化
魅力的なコンテンツの充実
メタバースの様々な事例
Second Life(セカンドライフ)
Fortnite(フォートナイト)
Decentraland(ディセントラランド)
まとめ

メタバースとは?

出典:pixabay

メタバースについての概要

メタバースとは「インターネット上に作られた3Dの仮想空間」です。

“超える” という意味のメタ(meta)と”宇宙” を表すユニバース(universe)の2つの単語を組み合わせて、”もう一つの宇宙や別世界” を意味するメタバース(Metaverse)という言葉が生まれました。

言葉の意味だけではイメージがつきにくいかもしれませんが、例えば個性豊かな動物たちが暮らす村で ”あなた自身” が生活していく任天堂の大人気ゲーム「あつまれどうぶつの森」や、全世界で1億4千万人以上がプレイするモンスターゲーム「Minecraft(マインクラフト)」といったゲームも、3Dの仮想空間という意味ではメタバースの一種です。

コンシューマー向けゲームを通じてすでに概念として存在していたメタバースですが、近年のVR/AR技術の向上によって「より現実に近い(リアリティの高い)仮想空間」が作られるようになってきました。

仮想空間のクオリティ向上や、このあとご紹介する様々な新しい技術と連携することにより、メタバースは単なるゲームの範疇を超えてWeb3.0(次世代の分散型インターネット)において重要な役割を果たすようになります。

メタバースが注目を集める理由

近年、「メタバース」というワードがSNS上のみならず、テレビのニュースでもとりあげられる機会が増えています。その中でも、2021年10月28日には多くの人々にとって馴染み深いFacebookが社名を「Meta(メタ)」に変えたことが大きな話題となり、「メタバース」に注目が集まるきっかけの一つとなりました。

👉出典:日経電子版「Facebook、社名を「メタ」に変更 仮想空間に注力」

さらに2022年2月18日には、米Google傘下のYouTubeがメタバースへの参入を検討していると日本版公式ブログで明かしました。

👉出典:IT media NEWS「YouTubeがメタバース参入を検討中「まずはゲームに適用」

また、2020年以降のコロナ禍において、Zoomを筆頭とするオンラインMTGが一般的なものとなりました。こうしたバーチャルでのコミュニケーションに対する心理的ハードルが大きく引き下がったことも、人々が「メタバース」に興味をもつようになった要因の一つと考えられます。

また、先述したようなWeb3.0(次世代の分散型インターネット)への注目度が高まるにつれて、その文脈の中でメタバースも語られる事が増えてきています。その理由についても後ほど解説します。

Web3.0とメタバースの関係性を紐解く前に、Web3.0について次項で詳しく解説していきます。

Web3.0とは?

出典:pixabay

Web3.0を解説するにあたり、これまでのWebがどのようにして進歩してきたかを以下の3つの時代に分けて解説します。

①Web1.0:1995年~(ホームページ時代)

②Web2.0:2005年~(SNS時代)

③Web3.0:これから(分散型インターネットの時代)

①Web1.0(ホームページ時代)

Web1.0時代は、Yahoo!やGoogle、MSNサーチなどの検索エンジンが登場し始めた時期で、Webがまだ一方通行であった時代です。ウェブデザイナーのDarci DiNucci氏が1999年に、進化の段階を区別するためにWeb1.0とWeb2.0という呼び方を用いました。

ウェブサイトは1990年代初めに静的HTMLのページを利用して作られ、個人が「ホームページ」を持ち情報を発信する、という文化もこの時代から生まれました。ただし、インターネットの接続速度も非常に低速であり画像を1枚表示するだけでも時間がかかりました。

また、閲覧できる情報は情報作成者によってのみ管理されるため、閲覧ユーザーがデータを編集することはできません。こうした特徴からweb1.0は「一方向性の時代」とも呼ばれます。

②Web2.0(SNS時代)

Web2.0時代になるとYouTube、Twitter、InstagramなどのSNSが登場し、誰もが発信者となりました。Web1.0時代が「一方向性の時代」とされたのに対し、Web2.0時代は様々な人との双方向の情報のやり取りができるようになったのです。

また、Google、Amazon、Facebook(元Meta)、Appleといった所謂GAFAと呼ばれるプラットフォームサービスが大きく躍進し、巨大テック企業となっていった時代でもあります。

一方で、個人情報がGAFAのような特定の企業へ集中することによる個人のプライバシー侵害の可能性が問題視されています。一部の大企業に集まる情報には、住所や年齢、性別など基本的な個人情報だけでなく、個人の嗜好や行動履歴までもが含まれ、それらが利用できる状態になっているからです。

また、中央集権型の情報管理はサイバー攻撃を受けやすく、多くのユーザーに影響を及ぼす危険性があるという点も指摘されています。実際に2018年、GAFAの一角である大手SNS「Facebook」は5000万人超のユーザー情報を外部に流出してしまいました。

③Web3.0(分散型インターネットの時代)

冒頭でも述べたように、Web3.0とは「次世代の分散型インターネット」のことを指します。さらに言うとGAFAやその他巨大テック企業へ個人情報が集中している現状から、次世代テクノロジーを活用して情報を分散管理することで、巨大企業に情報が集中しない新しい形の情報管理のあり方として期待されているのがWeb3.0の概念です。

特定企業へ個人情報が集中していることによるリスクは前項でご説明したとおりで、2021年以降、特定企業へ集中した情報を分散しようとする動きが活発化しています。

👉参考記事:『【2022年】”Web 3.0” とは?

Web3.0とメタバースの関係性

出典:pixabay

メタバースはWeb3.0における”受け皿”

メタバースは、Web3.0「次世代の分散型インターネット」を構成する様々な技術革新の、言わば”受け皿”のような存在です。

Web3.0はブロックチェーンという基盤技術の上に成り立っており、仮想通貨はWeb3.0における文字通り”お金”の役割を果たします。

👉参考記事:『ブロックチェーン(blockchain)とは?仕組みや基礎知識をわかりやすく解説!

そして、現実世界の”金融サービス”はWeb3.0ではDeFi(分散型金融)によって置き換えられ、NFT(非代替性トークン)がWeb3.0におけるデジタル資産の”所有権”を明確にします。また、Web3.0では従来までの”会社組織”DAO(分散型自律組織)という形態をとるようになると予想されています。

👉参考記事:『DeFi(ディーファイ)とは?ブロックチェーンによる分散型金融の可能性

👉参考記事:『【2022年】NFTとは何か?なぜ話題なのか、分かりやすく解説!

これら全てを包括する”3Dの仮想空間(受け皿)”がまさにメタバースです。

Web3.0と呼ばれる様々な技術と連携すれば、メタバースは「インターネット上に作られた3Dの仮想空間」にとどまらず「現実世界と同じように遊んだり、仕事や取引をしたり、何かを創って交流したりする仮想世界」となる大きな可能性を秘めています。

Web3.0におけるメタバースの現状の課題

ハード面の強化

Web3.0におけるメタバースの活用が普及するためには、ハード面の強化が必要不可欠です。具体的にはVR機器の小型軽量化と、描写スペック向上です。

バーチャルの世界でより多くの時間を過ごすためには、より没入的で自然で表現豊かなVR機器が必要となります。現状のVR機器を数時間装着し続けるには、重さ、大きさともにまだまだ改良の余地があります。また、より高速通信ができ高画質で仮想世界を描くことのできる機器スペックも、今後さらに高いレベルで要求されることが予想できます。

2021年10月に社名変更したMeta社(旧Facebook)が大量の資金を投入するなど社運をかけて推進している分野が、まさに主にこのハードウェア開発であることからもその重要性が見て取れます。

魅力的なコンテンツの充実

メタバースの普及にはハードウェアの進化ではなく、ソフト側つまりコンテンツの充実も不可欠です。そして、この分野において日本は大いに躍進できる可能性があります。なぜなら、日本は世界屈指の「コンテンツ大国」だからです。

日本国内には漫画やアニメ、ゲームなど面白いコンテンツを作ることのできるクリエイターが大勢おり、クリエイターをリスペクトする文化も存在します。加えて、ドラゴンボールやワンピース、ファイナルファンタジーやマリオなどの世界的な知名度と評価が高い作品の権利を持っているのが強みです。

優れたコンテンツを作る人材、文化、権利が全て揃う国は世界の中でも日本だけであるという点は、今後メタバース市場が拡大していく中で一歩抜きん出た強みであると言えます。

メタバースの様々な事例

Second Life(セカンドライフ)

出典:gemelog.com

Second Life(セカンドライフ)は2003年にリリースされた元祖メタバースとも言えるサービスで、プレイヤーは3D仮想空間で自分のアバターを作り、他の参加者とコミュニケーションをとることができます。

Web3.0の文脈でメタバースが注目されるようになったのは2021年頃ですが、それよりもなんと約20年前にメタバースの概念自体は既に存在していたのです。

しかしSecond Lifeのプレイ人口は下降の一途を辿り衰退してしまいます。その要因は「画質が悪く没入感が乏しい」「パソコンの要求スペックが高すぎる」などいくつかが挙げられますが、最大の要因は「そこで何もすることがない」でした。つまり、前項で挙げたハードとソフトのどちらにおいても不十分だったため、メタバースの成功事例とは言えない結果に終わってしまいました。

Fortnite(フォートナイト)

出典:fn-games.com

Fortnite(フォートナイト)はエピックゲームズ社が開発・発売している、2021年7月時点で3.5億人のユーザーを誇る大人気バトルロワイヤルゲームです。

リリース当初のプレイヤー達はゲームそのものを楽しむためにFortniteを利用していましたが、その後はコミュニケーションの場として利用され始め、今では単なるゲームではなくメタバースへと変貌を遂げています。

Fortniteのメタバースでは特設ステージでのライブや映画の上映会などのイベントも開催され、ゲームをするのではなく、そこに行って友人や他のプレイヤーと交流を深めることが主な目的となっています。

Decentraland(ディセントラランド)

Decentralandの公式HP

Decentraland(ディセントラランド)は、イーサリアムブロックチェーンをベースとしたVRプラットフォームで、メタバース内でゲームをしたりアイテムやコンテンツを作成・売買することが可能です。

Decentralandでは「LAND」というメタバース内の土地を保有・マネタイズできる点や、NFT化したアイテムをメタバース内で取引できる点が特徴です。

👉参考記事:『NFT×ゲーム〜「遊んで稼ぐゲーム」について解説〜

また、Second LifeやFortniteでは中央集権的な組織運営によってコンテンツが提供されているのに対し、Decentralandはブロックチェーンを基盤にした分散型のメタバースとなっています。

Decentralandではユーザー自身が何を構築しどう使うのかを主体的に決定していくことを基本方針としており、これはまさにWeb3.0の概念と通ずるものがあります。2022年現在、Decentralandが最先端のメタバースの事例であると言えるでしょう。

まとめ

本記事では、Web3.0(次世代の分散型インターネット)メタバース(仮想現実)それぞれの概要と、この2つの関係性について解説してきました。

VR機器の小型軽量化や描写スペック向上、そしてコンテンツの充実が進めば、Web3.0におけるメタバースの重要性はさらに増していくことでしょう。

【2022年】”Web 3.0” とは?

〜分散型インターネットでNFTが担う役割〜

2021年以降話題を集めている仮想通貨やNFT「Non-Fungible Token(非代替性トークン)」、メタバース(仮想現実)と共に、”Web 3.0” という言葉を耳にする機会が増えてきました。本記事では、Web3.0に至るまでのWebの歴史を振り返った上で、Web3.0とは一体どういった概念なのか、加えてWeb3.0におけるNFTの役割に焦点を当てて解説していきます。

“Web3.0”に至るまでの経緯
Webの歴史は3つの時代に分けられる
①Web1.0(ホームページ時代)
②Web2.0(SNS時代)
GAFAの躍進
Web2.0の課題
特定企業への個人情報の集中(プライバシー問題)
中央集権型によるリスク(セキュリティ問題)
③Web3.0(分散型インターネットの時代)
情報の独占から分散へ
ブロックチェーンとは
ブロックチェーンは新しいデータベース(分散型台帳)
ブロックチェーンの特長・メリット(従来のデータベースとの違い)
Web3.0で実現すること
Web2.0時代の課題を解決できる
Web3.0による新たなメリットもによる新たなメリットも
Web3.0におけるNFTの役割
Web3.0実現のために不可欠な技術「NFT」
NFTとは?
NFT=デジタルの”はんこ”
NFTが必要とされる理由
まとめ

“Web3.0”に至るまでの経緯

Webの歴史は3つの時代に分けられる

Web3.0を解説するにあたり、これまでのWebがどのようにして進歩してきたかを以下の3つの時代に分けて解説します。

Web1.0:1995年~(ホームページ時代)

Web2.0:2005年~(SNS時代)

Web3.0:これから(分散型インターネットの時代)

ただし、Web1.0/Web2.0/Web3.0の定義には明確な線引きはなく、曖昧な部分がある点にご注意ください。

①Web1.0(ホームページ時代)

出典:pixabay

Web1.0時代は、Yahoo!やGoogle、MSNサーチなどの検索エンジンが登場し始めた時期で、Webがまだ一方通行であった時代です。ウェブデザイナーのDarci DiNucci氏が1999年に、進化の段階を区別するためにWeb1.0とWeb2.0という呼び方を用いました。

ウェブサイトは1990年代初めに静的HTMLのページを利用して作られ、個人が「ホームページ」を持ち情報を発信する、という文化もこの時代から生まれました。ただし、インターネットの接続速度も非常に低速であり画像を1枚表示するだけでも時間がかかりました。

また、閲覧できる情報は情報作成者によってのみ管理されるため、閲覧ユーザーがデータを編集することはできません。こうした特徴からweb1.0は「一方向性の時代」とも呼ばれます。

②Web2.0(SNS時代)

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GAFAの躍進

Web2.0時代になるとYouTube、Twitter、InstagramなどのSNSが登場し、誰もが発信者となりました。Web1.0時代が「一方向性の時代」とされたのに対し、Web2.0時代は様々な人との双方向の情報のやり取りができるようになったのです。

SNSによって誰もがWeb上で簡単に情報を発信できるようになり、Webは閲覧するだけのものではなく、自らが参加できるものとなりました。

また、Google、Amazon、Facebook(元Meta)、Appleといった所謂GAFAと呼ばれるプラットフォームサービスが大きく躍進し、巨大テック企業となっていった時代でもあります。

Web2.0の課題

Webが多くの人々に馴染みのあるものとなったWeb2.0時代ですが、それと同時に問題点も浮き彫りになってきました。それが次の2つです。

  • 特定企業への個人情報の集中(プライバシー問題)
  • 中央集権型によるリスク(セキュリティ問題)

特定企業への個人情報の集中(プライバシー問題)

1つ目に、個人情報が特定の企業へ集中することによる個人のプライバシー侵害の可能性が問題視されています。

現在、Google、Amazon、Facebook、AppleといったGAFAを筆頭に一部の大企業には、あらゆる情報が集まっています。これには、住所や年齢、性別など基本的な個人情報だけでなく、個人の嗜好や行動履歴までもが含まれます。

これらの企業は世界的に利用されているサービスを展開しているため、世界中のあらゆる個人情報が独占的に集められる状態になっているのです。プライバシーの観点からこの現状を問題視する声も多く、個人のプライバシーをどう守るかは重要な課題のひとつとなっています。

中央集権型によるリスク(セキュリティ問題)

2つ目の問題点として、中央集権型の情報管理はサイバー攻撃を受けやすく、多くのユーザーに影響を及ぼす危険性があるという点が挙げられます。例えば2018年、GAFAの一角である大手SNS「Facebook」は5000万人超のユーザー情報を外部に流出してしまいました。

現在、ユーザーの個人情報はサーバーで集中管理されています。このサーバー・クライアント方式は一般的な管理方法ではありますが、サイバー攻撃を受けやすく、個人情報の流出や不正アクセス、データの改ざん、Webサイト/Webサービスが利用できなくなる、などのリスクがあります。

③Web3.0(分散型インターネットの時代)

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情報の独占から分散へ

Web3.0とは「次世代の分散型インターネット」のことを指します。さらに言うと、Google、Amazon、Facebook(元Meta)、Appleといった所謂GAFAやその他巨大テック企業によって個人情報を独占されている現状から、次世代テクノロジーを活用して情報を分散管理することで、巨大企業による独占からの脱却を目指そうとしているのがWeb3.0の概念です。

特定企業によって個人情報を独占されることによるリスクは前項でご説明したとおりで、2021年以降、特定企業によって独占された情報を分散しようとする動きが活発化しています。


そして、この情報の分散を可能にするのが次に解説するブロックチェーンの技術です。

ブロックチェーンとは

ブロックチェーンは新しいデータベース(分散型台帳)

ブロックチェーン(blockchain)は、2008年にサトシ・ナカモトによって提唱された「ビットコイン」(仮想通貨ネットワーク)の中核技術として誕生しました。

ビットコインには、P2P(Peer to Peer)通信、Hash関数、公開鍵暗号方式など新旧様々な技術が利用されており、それらを繋ぐプラットフォームとしての役割を果たしているのがブロックチェーンです。

ブロックチェーンの定義には様々なものがありますが、ここでは、「取引データを適切に記録するための形式やルール。また、保存されたデータの集積(≒データベース)」として理解していただくと良いでしょう。

一般に、取引データを集積・保管し、必要に応じて取り出せるようなシステムのことを一般に「データベース」と言いますが、「分散型台帳」とも訳されるブロックチェーンはデータベースの一種であり、その中でも特に、データ管理手法に関する新しい形式やルールをもった技術です。

ブロックチェーンは、セキュリティ能力の高さ、システム運用コストの安さ、非中央集権的な性質といった特長から、「第二のインターネット」とも呼ばれており、近年、フィンテックのみならず、あらゆるビジネスへの応用が期待されています。

 

ブロックチェーンの特長・メリット(従来のデータベースとの違い)

ブロックチェーンの主な特長やメリットは、①非中央集権性、②データの対改竄(かいざん)性、③システム利用コストの安さ④ビザンチン耐性(欠陥のあるコンピュータがネットワーク上に一定数存在していてもシステム全体が正常に動き続ける)の4点です。

これらの特長・メリットは、ブロックチェーンが従来のデータベースデータとは異なり、システムの中央管理者を必要としないデータベースであることから生まれています。

分散台帳とは.jpg

ブロックチェーンと従来のデータベースの主な違いは次の通りです。

 

従来のデータベースの特徴

ブロックチェーンの特徴

構造

各主体がバラバラな構造のDBを持つ

各主体が共通の構造のデータを参照する

DB

それぞれのDBは独立して存在する

それぞれのストレージは物理的に独立だが、Peer to Peerネットワークを介して同期されている

データ共有

相互のデータを参照するには新規開発が必要

共通のデータを持つので、相互のデータを参照するのに新規開発は不要

ブロックチェーンは、「非中央集権、分散型」という特徴を獲得したことで、様々な領域で注目・活用されているのです。より詳しい内容に関しては、下記参考記事をご覧ください。

👉参考記事:『ブロックチェーン(blockchain)とは?仕組みや基礎知識をわかりやすく解説!

Web3.0で実現すること

出典:pixabay

Web2.0時代の課題を解決できる

Web3.0の時代では、情報管理のスタイルがブロックチェーン技術により非中央集権型となります。つまり、個人情報は特定の企業ではなくブロックチェーンに参加したユーザーによって分散管理されます。また、サービスを提供する基盤は特定企業に限定されず、ユーザーひとりひとりが参加するネットワークがサービスを提供する基盤となるのです。

ユーザー同士が、ネットワーク上で互いのデータをチェックし合うということは、不正アクセスやデータの改ざんが非常に難しいことを意味します。特定企業が個人情報を握ることもなければ、情報漏洩によって多大な被害を被ることもありません。

このように、Web3.0の概念が実現すれば個人情報が分散管理され非中央集権型の情報管理スタイルとなり、不正アクセスや情報漏えい、データ改ざんのリスクが軽減し、Web2.0の問題点が解決できると考えられています。

Web3.0による新たなメリットも

加えて、Web3.0にはサービスの安定化と管理コストの削減というWeb2.0にはないメリットもあります。Web3.0の仕組み上、特定の管理者というものを必要とせずプログラムが自動で学習しサービスを運用していきます。そのため、従来であれば起こりうるメンテナンスによるサービス停止や人為的ミスの心配もなくなり、時間的、金銭的コストが削減できます。

Web3.0におけるNFTの役割

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Web3.0実現のために不可欠な技術「NFT」

ブロックチェーン技術を基盤とするWeb3.0ですが、デジタルデータを分散管理する上で不可欠な事があります。それは、そのデジタルデータが本物である証明です。

管理者を置かずに全ての情報を分散管理するためには、やり取りされる情報の信頼性がこれまで以上に大切になってきます。出どころが分からない嘘の情報や不正にコピーされたデジタルデータが流通してしまうことは、管理者不在のWeb3.0においては致命的な欠陥となりえます。

しかし従来のデジタルデータは簡単にコピーでき、本物とコピーの区別をつけることはほぼ不可能でした。

そこで、NFT「Non-Fungible Token(非代替性トークン)」の出番です。「デジタルデータを替えの効かない唯一無二のものにできる技術」であるNFTが、Web3.0をより盤石なものにします。

NFTとは?

NFT=デジタルの”はんこ”

NFTとは簡単に言うと「デジタルデータに偽造不可な鑑定書・所有証明書をもたせる技術」のことです。さらに噛み砕いて表現すると「デジタルコンテンツにポンと押す ”はんこ” のようなもの」です。

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NFTを言葉の意味から紐解くと、NFT=「Non-Fungible Token」の略で、日本語にすると「非代替性トークン」となります。非代替性は「替えが効かない」という意味で、トークンには「データや通貨・モノ・証明」などの意味があります。

つまり「唯一無二であることの証明ができる技術」を意味し、実際にはデジタル領域で活用されることから冒頭ではデジタルの ”はんこ” と表現しました。

NFTが必要とされる理由

世の中のあらゆるモノは大きく2つに分けられます。それは「替えが効くもの」と「替えが効かないもの」です。前述した非代替性トークンは文字通り後者となります。

それぞれの例を挙げていくと、

【替えが効くもの (代替性) 】

  • 硬貨や紙幣
  • フリー素材の画像や音楽
  • 量産される市販品

【替えが効かないもの (非代替性) 】

  • 大谷翔平の「直筆サイン入り」本
  • ゴッホの「原画」
  • ワールドカップ決勝の「プレミアチケット」

人は唯一性や希少性のあるもの、つまり「替えが効かないもの」に価値を感じます。
不動産や宝石・絵画などPhysical(物理的)なものは、証明書や鑑定書によって「唯一無二であることの証明」ができます。

一方で画像やファイルなどのDigital(デジタル)な情報は、コピーされたり改ざんされたりするリスクがあるため「替えが効くもの」と認識されがちで、その価値を証明することが難しいという問題がありました。

実際、インターネットの普及により音楽や画像・動画のコピーが出回り、所有者が不特定多数になった結果、本来であれば価値あるものが正当に評価されにくくなってしまったのです。

そういったデジタル領域においても、「替えが効かないもの」であることを証明する技術がまさにNFTなのです。

NFTがあれば、本物と偽物を区別することができ、唯一性や希少性を担保できます。Web3.0が信頼できる分散型インターネットであるためには、NFTの技術が不可欠です。

👉参考記事:『【2022年】NFTとは何か?なぜ話題なのか、分かりやすく解説!

まとめ

本記事では、Web時代の歴史を振り返り、Web3.0によってどんな事が実現するかを解説し、そしてその中でNFTが担う役割についてご紹介してきました。Web3.0という大きな概念の中の、欠かせないひとつのピースとしてNFTが存在しています。

本記事をきっかけにNFTについて興味を持たれた方は、NFTの様々な活用事例について解説している過去の記事を是非御覧ください。

👉参考記事:『NFT×ゲーム〜「遊んで稼ぐゲーム」について解説〜

👉参考記事:『NFT技術の音楽分野への活用 〜クリエイターとリスナーが享受する新たな価値〜

👉参考記事:『NFTのスポーツ業界への活用〜新時代のファンビジネスと可能性〜