【2022年】注目すべきNFT関連のスタートアップ企業8選

2021年以降、ブロックチェーン技術を基盤としたNFT「Non-Fungible Token(非代替性トークン)」に関する話題が増えています。そんな中、ゲームや音楽、アートなど様々な分野のスタートアップ企業が積極的にNFT事業を展開しており、クリプト界隈を盛り上げています。今回は、NFT日本国内外のNFT関連スタートアップ企業を8つピックアップし、その魅力や事業内容などをご紹介していきます。

NFTの基礎知識
NFT=デジタルの”はんこ”
NFTが必要とされる理由
NFTとブロックチェーン
注目すべきNFT関連のスタートアップ企業8選
日本国内のスタートアップ企業
①ANDART ── NFTアートプラットフォーム運営
②スタートバーン ── アート分野へのNFT導入支援
③SBINFT(旧スマートアプリ) ── NFTマーケットプレイス運営
④Gaudiy ── ファンコミュニティ運営
⑤Kyuzan ── NFTショップ構築サービス運営
⑥TRiCERA ── アート分野へのNFT導入支援
海外のスタートアップ企業
⑦Magic Ede ── NFTマーケットプレイス運営
⑧Anifie ── NFTメタバース開発
まとめ

NFTの基礎知識

NFT関連のスタートアップ企業をご紹介する前に、NFT「Non-Fungible Token(非代替性トークン)」について整理しておきましょう。

NFT=デジタルの”はんこ”

NFTとは簡単に言うと「デジタルデータに偽造不可な鑑定書・所有証明書をもたせる技術」のことです。さらに噛み砕いて表現すると「デジタルコンテンツにポンと押す ”はんこ” のようなもの」です。

出典:pixabay

NFTを言葉の意味から紐解くと、NFT=「Non-Fungible Token」の略で、日本語にすると「非代替性トークン」となります。非代替性は「替えが効かない」という意味で、トークンには「データや通貨・モノ・証明」などの意味があります。

つまり「唯一無二であることの証明ができる技術」を意味し、実際にはデジタル領域で活用されることから冒頭ではデジタルの ”はんこ” と表現しました。

NFTが必要とされる理由

世の中のあらゆるモノは大きく2つに分けられます。それは「替えが効くもの」と「替えが効かないもの」です。前述した非代替性トークンは文字通り後者となります。

それぞれの例を挙げていくと、

【替えが効くもの (代替性) 】

  • 硬貨や紙幣
  • フリー素材の画像や音楽
  • 量産される市販品

【替えが効かないもの (非代替性) 】

  • 大谷翔平の「直筆サイン入り」本
  • ゴッホの「原画」
  • ワールドカップ決勝の「プレミアチケット」

人は唯一性や希少性のあるもの、つまり「替えが効かないもの」に価値を感じます。
不動産や宝石・絵画などPhysical(物理的)なものは、証明書や鑑定書によって「唯一無二であることの証明」ができます。

一方で画像やファイルなどのDigital(デジタル)な情報は、コピーされたり改ざんされたりするリスクがあるため「替えが効くもの」と認識されがちで、その価値を証明することが難しいという問題がありました。

実際、インターネットの普及により音楽や画像・動画のコピーが出回り、所有者が不特定多数になった結果、本来であれば価値あるものが正当に評価されにくくなってしまったのです。

そういったデジタル領域においても、「替えが効かないもの」であることを証明する技術がまさにNFTなのです。

NFTがあれば、本物と偽物を区別することができ、唯一性や希少性を担保できます。NFTによって、これまではできなかったデジタル作品の楽しみ方やビジネスが生まれるのです。

👉参考記事:『【2022年】NFTとは何か?なぜ話題なのか、分かりやすく解説!

NFTとブロックチェーン

NFTはブロックチェーンという技術を用いて実現しています。

ブロックチェーンは「一度作られたデータを二度と改ざんできないようにする仕組み」です。データを小分けにして暗号化し、それを1本のチェーンのように数珠つなぎにして、世界中で分散管理されています。そのため、コピーしたり、改ざんしたり、データが消えたりする心配がありません。

👉参考記事:『ブロックチェーン(blockchain)とは何か?仕組みや特長をわかりやすく解説!

注目すべきNFT関連のスタートアップ企業8選

日本国内のスタートアップ企業

ANDART ── NFTアートプラットフォーム運営

出典:ANDART

株式会社ANDARTは、「テクノロジーで、アートと社会を結び、拓く(ひらく)」というミッションを掲げ、日本初のNFTアート作品の共同保有プラットフォームとして2019年に設立されました。

ビジネスモデルは非常にシンプルで、NFTアートの所有権の小口販売と売買手数料でのマネタイズとなっています。NFTアートの所有権を購入した作品オーナーは、オンライン上でのコレクションをはじめ、実物作品の鑑賞会に参加できるなど、気軽に本格アートコレクションを楽しむことができます。

これまで手が出なかった高額な有名アート作品や大型作品を、1万円という少額から所有できる点が非常に注目され、2022年5月時点で会員登録者数は2万人を突破しました。また、購入者の7割がANDARTで初めてアートを購入しており、新しいコレクター層を創造している今後の成長が楽しみなサービスです。

スタートバーン ── アート分野へのNFT導入支援

出典:startbahn

スタートバーン株式会社は、アート分野へのNFT導入支援を行うスタートアップ企業で、現在はインフラ、自社サービス、他社との共同開発の3つの事業展開を行っています。

インフラ事業としては、自社開発ブロックチェーン「Startrail(スタートレイル)」の運用構築を行っています。「Startrail(スタートレイル)」上では、ギャラリーや美術館、オークションハウスといったアート作品の流通・管理に関わる事業者がNFTの発行を行うことができます。

また、スタートバーンは自社サービスとして、NFTを活用したデジタル資産の真贋証明書「Startbahn Cert.」を発行しています。「Startbahn Cert.」は「Startrail」をより簡単、安全に活用するためのNFTインターフェースとして2020年に公開され、これにより二次流通によるアート出品者への収益還元が行われるなどのアーティスト支援に繋がっています。

SBINFT(旧スマートアプリ) ── NFTマーケットプレイス運営

出典:SBINFT Market

日本初の統合型NFT売買プラットフォームを運営していた株式会社スマートアプリは、2021年9月に大手金融「SBIホールディングス株式会社」の連結子会社となり、社名をSBINFT株式会社に変更しました。

SBINFT株式会社は、イーサリアム決済やNFTの発行、販売をすることができる「Go Base」というブロックチェーンプラットフォームを提供しています。また、NFTに特化したマーケットプレイス「SBINFT Market」の運営やNFT事業のコンサルティングなどを行うなど、NFT領域において事業を拡大させています。

さらに、2021年10月には、メタバース(3D仮想空間)に取り組むための事業部を新設し、NFT作品を展示するためのメタバースギャラリー「THE GALLERY」を開催しました。

👉参考記事:『【2022年】Web3.0とメタバース 〜分散型インターネットにおける仮想現実の役割〜

👉参考記事:『メタバースとNFT 〜NFTによって証明される仮想現実内の”モノの価値”〜

Gaudiy ── ファンコミュニティ運営

出典:Gaudiy

株式会社Gaudiyは、『ファンとともに時代を進める』をミッションとし、NFTを始めとするブロックチェーン技術を活用したファンコミュニティサービス「Gaudiy」を運営するスタートアップ企業です。

「Gaudiy」はブロックチェーン技術を活用したコンシューマー向けのファンサービスという新しい切り口で市場を牽引しており、これまでにないエンタメ体験やビジネスモデルの開発に取り組んでいます。

実際に、ソニー・ミュージックエンタテインメント(音楽)、集英社(漫画)、バンダイナムコエンターテインメント(ゲーム)、アニプレックス(アニメ)といった、その分野を代表する著名なエンターテインメント企業が「Gaudiy」を導入しています。

👉参考記事:『NFT技術の音楽分野への活用 〜クリエイターとリスナーが享受する新たな価値〜

👉参考記事:『NFT×ゲーム〜「遊んで稼ぐゲーム」について解説〜

Kyuzan ── NFTショップ構築サービス運営

出典:「Mint」

株式会社Kyuzanは、オリジナルのNFTショップを簡単に構築できるNFT開発基盤「Mint」を開発・提供しているスタートアップ企業です。

「Mint」では「OpenSea」のような大規模で雑多なNFTマーケットプレイスではなく、クリエイター独自のブランドイメージに沿った、よりパーソナライゼーションされたNFTショップを作る事ができます。例えるならば、NFT版の「Shopify」や「BASE」のようなイメージのプラットフォームを目指しています。

株式会社Kyuzanは「Mint」の他にも、株式会社GameWithと共同開発したNFTゲーム「EGGRYPTO(エグリプト)」の運用を行うなど、今後もNFTに関連した事業を拡大展開していく予定です。

👉参考記事:『NFT×マーケットプレイス〜取引所の概要から選び方・それぞれの違いを解説〜

TRiCERA ── アート分野へのNFT導入支援

出典:tokyoartbeat.com

株式会社TRiCERAは、アート専門のECサイト「TRiCERA ART (トライセラアート)」の運用を始めとする、アーティストの活動支援を目的とした様々なサービスを提供しているスタートアップ企業です。

「TRiCERA ART (トライセラアート)」は現代アート専門の登録制ECプラットフォームで、8カ国の言語に対応し、出荷や配送、返品手配に至るまで請け負っています。その結果、国内外問わず販路を広げており、現在アジアにおけるシェア率No.1を誇っています。

また先程ご紹介したスタートバーン株式会社が発行するデジタル資産の真贋証明書「Startbahn Cert.」と連携し、「TRiCERA ART (トライセラアート)」では、NFT証明書の発行が可能となっています。

海外のスタートアップ企業

Magic Ede ── NFTマーケットプレイス運営

出典:Metaverse Post

Magic Eden(マジックエデン)は、Solanaチェーンを基盤にした人気のNFTマーケットプレイスで、ブロックチェーンゲームやデジタルアートのNFTを中心に取り扱っています。

Solanaチェーンを利用したNFTマーケットプレイスは複数存在しますが、Magic Edenはその中で最大の取引規模を誇り、Solana上で取引されるNFTの9割のシェアを占めます。

さらに、2022年7月にはMagic Edenはweb3.0ゲーム投資部門「マジック・ベンチャーズ(Magic Ventures)」を立ち上げ、今後はNFTマーケットプレイスのみならずブロックチェーンゲームやゲームインフラ、メタバースプロジェクトに投資していくとのことです。

Anifie ── NFTメタバース開発

出典:PR TIMES

Anifieは、バーチャル上に自分達のコミュニティをつくりたいという企業やクリエイターに開発リソースを提供する、米国発のスタートアップです。

例えば、主催者がオリジナルのコンサート会場を仮想空間につくり、参加者達は自身が選んだアバターで参加してイベントを楽しむ、といった世界を実現することができます。

Anifieのメタバース開発に対して、グラミー賞受賞者ジョン・エッチェンやアメリカの大人気連続ドラマ「セックス・アンド・ザ・シティ」や「CBS 60 Minutes」の作曲を手掛けるパトリック・ウッドランドなどのハリウッドの重鎮も支援を表明していることからも、その期待の大きさがうかがえます。

まとめ

今回は、クリプト界隈を盛り上げるNFT日本国内外のNFT関連スタートアップ企業を8つピックアップし、その魅力や事業内容などをご紹介しました。

アートやマーケットプレイス、メタバースなどの様々な領域にNFTを活用し、新たな市場を切り開いていくスタートアップ企業の勢いは、今後もとどまることを知りません。

【2022年】NFTファッションの特徴と魅力、最新トピックスをご紹介

2021年以降、アートやゲーム、音楽など様々なカテゴリーで活用されはじめているNFT「Non-Fungible Token(非代替性トークン)」ですが、ファッションやアパレルの分野でも注目を集めています。デジタルデータを替えの効かない唯一無二のものにできる技術であるNFTと、元来アナログなコンテンツであるファッション分野を組み合わせることで一体どのようなことが可能になるのでしょうか?そこで本記事では、NFTの基礎知識からNFTファッションのメリットや特徴、関連するトピックスをご紹介していきます。

ファッション分野へのNFT活用が拡大中
NFTの基礎知識
NFT=デジタルの”はんこ”
NFTが必要とされる理由
NFTとブロックチェーン
ファッション×NFTで実現すること
①ファッションアイテムに唯一性を付与できる
②デジタルファッションが ”現物” に近づく
NFTファッションに関するトピックス
有名ブランドが次々と参入
Louis Vuitton(ルイ・ヴィトン)
Gucci(グッチ)
BURBERRY(バーバリー)
Dolce&Gabbana(ドルチェ&ガッバーナ)
NFTファッション専門メーカーの誕生
伝統あるファッションショーにNFTが導入される
まとめ

ファッション分野へのNFT活用が拡大中

2021年以降、ゲームやアート、音楽といった様々な分野に広がりを見せたNFT「Non-Fungible Token(非代替性トークン)は、ファッション業界へも大きく普及しはじめており、Louis Vuitton(ルイ・ヴィトン)Gucci(グッチ)といった、有名ハイブランドが次々とNFTに参入していることからも、その注目度の高さがうかがえます。

「デジタルデータを唯一無二化する技術」であるNFTと、服や靴などの ”現物” が存在するファッション分野を掛け合わせると、どのような事が可能となるのでしょうか。

NFTファッションの特徴や実際の導入事例をご紹介する前に、まずは前提となるNFTについて解説していきます。

NFTの基礎知識

NFT=デジタルの”はんこ”

NFTとは簡単に言うと「デジタルデータに偽造不可な鑑定書・所有証明書をもたせる技術」のことです。さらに噛み砕いて表現すると「デジタルコンテンツにポンと押す ”はんこ” のようなもの」です。

出典:pixabay

NFTを言葉の意味から紐解くと、NFT=「Non-Fungible Token」の略で、日本語にすると「非代替性トークン」となります。非代替性は「替えが効かない」という意味で、トークンには「データや通貨・モノ・証明」などの意味があります。

つまり「唯一無二であることの証明ができる技術」を意味し、実際にはデジタル領域で活用されることから冒頭ではデジタルの ”はんこ” と表現しました。

NFTが必要とされる理由

世の中のあらゆるモノは大きく2つに分けられます。それは「替えが効くもの」と「替えが効かないもの」です。前述した非代替性トークンは文字通り後者となります。

それぞれの例を挙げていくと、

【替えが効くもの (代替性) 】

  • 硬貨や紙幣
  • フリー素材の画像や音楽
  • 量産される市販品

【替えが効かないもの (非代替性) 】

  • 大谷翔平の「直筆サイン入り」本
  • ゴッホの「原画」
  • ワールドカップ決勝の「プレミアチケット」

人は唯一性や希少性のあるもの、つまり「替えが効かないもの」に価値を感じます。
不動産や宝石・絵画などPhysical(物理的)なものは、証明書や鑑定書によって「唯一無二であることの証明」ができます。

一方で画像やファイルなどのDigital(デジタル)な情報は、コピーされたり改ざんされたりするリスクがあるため「替えが効くもの」と認識されがちで、その価値を証明することが難しいという問題がありました。

実際、インターネットの普及により音楽や画像・動画のコピーが出回り、所有者が不特定多数になった結果、本来であれば価値あるものが正当に評価されにくくなってしまったのです。

そういったデジタル領域においても、「替えが効かないもの」であることを証明する技術がまさにNFTなのです。

NFTがあれば、本物と偽物を区別することができ、唯一性や希少性を担保できます。NFTによって、これまではできなかったデジタル作品の楽しみ方やビジネスが生まれるのです。

👉参考記事:『【2022年】NFTとは何か?なぜ話題なのか、分かりやすく解説!

NFTとブロックチェーン

NFTはブロックチェーンという技術を用いて実現しています。

ブロックチェーンは「一度作られたデータを二度と改ざんできないようにする仕組み」です。データを小分けにして暗号化し、それを1本のチェーンのように数珠つなぎにして、世界中で分散管理されています。そのため、コピーしたり、改ざんしたり、データが消えたりする心配がありません。

👉参考記事:『ブロックチェーン(blockchain)とは何か?仕組みや特長をわかりやすく解説!

ファッション×NFTで実現すること

①ファッションアイテムに唯一性を付与できる

出典:pixabay

NFTを活用することによって、デジタル、現物を問わずファッションアイテムに唯一性を付与できるようになります。

現物のファッションアイテムの偽造品対策としてギャランティカード(証明書)が従来から存在しますが、このギャランティカードを含めて偽造する悪質な詐欺も横行しており、特にハイブランドが被害を被るケースが後を絶ちません。

そして前項で解説した通りNFTは「デジタルデータを唯一無二化する技術」なので、現物のファッションアイテムにNFT化したデジタルデータを紐付けた ”NFTタグ” を取り付ければ、そのアイテムの唯一性を証明できるようになります。”NFTタグ” として使えるものはICチップとQRコードの2種類があり、どちらも固有の情報を書き込め、NFT化すれば偽造もコピーもできないという点で共通しています。

この偽造もコピーもできない ”NFTタグ” が普及すれば、ファッション業界を長年悩ませてきた偽造品対策にとって大きな進歩となることでしょう。

②デジタルファッションが ”現物” に近づく

出典:pixabay

上記では現物のファッションアイテムに対してのNFT活用をご紹介しましたが、ファッション×NFTの本題はデジタルファッションです。

ゲームやメタバース(仮想現実)、SNS上で自身のアバターやキャラクターに好きな服を着用させたりコレクションして楽しむというデジタルファッションの概念は従来から存在していますが、これとNFTを結びつけることでデジタルデータとしてのファッションアイテムに「唯一性」を持たせることができるようになります。

👉参考記事:『メタバースとNFT 〜NFTによって証明される仮想現実内の”モノの価値”〜

👉参考記事:『NFT×ゲーム〜「遊んで稼ぐゲーム」について解説〜

デジタルファッションの唯一性が証明できるようになると、現物のファッションアイテムと同様に需要が生まれ価値が高まっていき、デジタルファッションを取り扱う取引が活発化します。そしてゲームやメタバース(仮想現実)内の自分のアバターに価値が高いアイテムを着用させることによって、満足感を得たり、コミュニティ内で優越感を得ることができます。

それはつまり、NFTによってファッションにおけるゲームやメタバース(仮想現実)と現実世界の差が縮まり、新たな市場が生まれるということを意味します。実際に名だたるハイブランドが次々とNFTファッションに参入しており、次項でご紹介していきます。

NFTファッションに関するトピックス

有名ブランドが次々と参入

Louis Vuitton(ルイ・ヴィトン)

出典:prtimes.jp「ルイ・ヴィトン、ゲームアプリ「Louis: The Game」に2つのチャプターが追加。NFTも新たに登場

2021年8月、フランスの高級ファッションブランド「Louis Vuitton(ルイ・ヴィトン)」は、創業者ルイの生誕200年を記念したプロジェクト「LOUIS 200」の一環として「LOUIS THE GAME」というゲームをリリースしました。

「LOUIS THE GAME」は公式マスコットキャラクターであるヴィヴィエンヌを操作して6つのステージを冒険していくストーリー形式のゲームです。ゲーム内にはNFT化された特別なアイテムが30個隠されており、そのうち10個を自身の作品が約75億円で落札されたことで話題になった人気NFTアーティスト「Beeple」がデザインしています。

Gucci(グッチ)

出典:Christie’s

イタリアを代表する老舗ファッションブランドの「Gucci(グッチ)」は、数あるハイブランドの中でもいち早くNFT市場に参加しました。

2021年5月に老舗オークションハウス「Christie’s(クリスティーズ)」と連携してNFTのビデオ作品を出品したのを皮切りに、その後もNFTに関連する様々なプロジェクトとコラボレーションを行うなどしています。

また、2022年1月にはNFTやメタバースに関して意見交換をする場として、配信プラットフォーム「Discord(ディスコード)」上で「Gucci Vault Discord」という専用スペースを設けるなど、GucciはNFT市場開拓に関してかなり積極的なブランドと言えます。

BURBERRY(バーバリー)

出典:hypebeast.com「Burberry が Blankos Block Party とタッグを組んだバーチャル NFT コレクションを発表

2021年8月、イギリスの有名ファッションブランド「BURBERRY(バーバリー)」は、独特の世界観で人気を博しているブロックチェーンゲーム「BLANKOS BLOCK PARTY(ブランコス・ブロック・パーティー)」とのコラボを実施しました。

このゲームのプレイヤーは、メタバース内の自身のアバターに好きなファッションアイテムを着せる事ができ、そのコレクションの一つとしてBURBERRY(バーバリー)の限定コラボアイテムが発売されました。

2022年6月にもまた新たなコレクションが追加されることが発表され、ファンの期待を膨らませています。

Dolce&Gabbana(ドルチェ&ガッバーナ)

出典:Dolce&Gabbana

2021年9月、イタリアを代表する世界的なラグジュアリーファッションブランド「Dolce&Gabbana(ドルチェ&ガッバーナ)」は、ブランド初のNFTコレクションとして「Collezione Genesi(ジェネシス コレクション)」を発表しました。

総額6億円以上で落札された男性用スーツや女性用ドレス、ティアラなど9点の作品は、デジタルデータだけでなく実際に着用できる ”現物” も購入者に届けられるという内容でした。

加えて、購入者をDolce&Gabbanaのアトリエプライベートツアーや次回のコレクションイベントへ招待するなど、現実世界とメタバース双方の体験価値を最大化させるファッションにおけるNFTのお手本的な活用方法を実現しました。

NFTファッション専門メーカーの誕生

出典:RTFKT

上記では既存の有名ブランドがNFT市場に参入する事例をご紹介してきましたが、現物は一切取り扱わないNFTファッションに特化したメーカーも誕生しています。

2019年に設立された「RTFKT(アーティファクト)」は、オンライン上でのみ着用可能なNFTスニーカーを販売しているメーカーです。

2021年3月には、NFTアート界で注目を集める若手アーティスト「Fewocious(フュウオシャス)」とのコラボレーションで制作したバーチャルスニーカー600足がたった7分で完売し、約3億3,200万円の売上を叩き出したため大きな話題となりました。

そんなRTFKTの創業メンバーはそれぞれファッションやNFTやメタバースなどのテクノロジーに精通したバックグラウンドを持っており、他にない高品質でオリジナリティあふれるバーチャル製品や体験を創り出していることが高く評価されています。

2021年12月に世界的大手スポーツブランドである「NIKE(ナイキ)」がRTFKTを買収したことも、今後のRTFKTに対する期待の表れでしょう。

伝統あるファッションショーにNFTが導入される

出典:pixabay

服飾の新作発表会・販促展示会であるファッションショーのうち特に約1週間にわたって開催されるファッションウィーク(コレクション)ですが、約70年という長い歴史を持つこのファッションウィークもコロナ禍の影響を受けて一気にデジタルフォーマットに移行中で、そこでNFTが大きな役割を果たています。

たとえば、パリで開催されるファッションウィークでは、オートクチュール・ファッション連盟(フランス服飾連盟)がフランスのNFTプラットフォーム「Arianee(アリアーヌ)」と連携し、特別に選ばれた人向けに限定のNFTをギフティングしたり、限定ファッションを閲覧できるなどの特別な体験を提供していました。

まとめ

今回はファッション分野へのNFT活用について解説してきました。

ファッション界隈は流行や目新しいものに対するアンテナを張っている人達が多いため、NFTが浸透していくのに多くの時間はかかりませんでした。また、有名ブランドが積極的に参入することにより、NFTに詳しくない一般層にも急速に普及していくことが予想できます。

ますます盛り上がっていくであろうNFTファッションに今後も注目です。

【2022年最新版】アートへのNFT活用事例集

2021年頃からNFT=「Non-Fungible Token(非代替性トークン)」がメディアやSNSに取り上げられることも増えてきましたが、その中でも ”アート” へのNFT利用が特に注目を集めています。とある画像データに75億円もの価値がついたり、数々の著名人が積極的に参入するなど話題に事欠かないNFTアート。 本記事ではそんなNFTアートについて、NFTの基礎知識やメリットを交えながら解説していきます。

NFTアートはNFT活用の火付け役
NFTの基礎知識
NFT=デジタルの”はんこ”
NFTが必要とされる理由
NFTとブロックチェーン
アート×NFTで実現すること
唯一無二という価値が生まれる
新たなマネタイズ方法が生まれる
NFTアートの実例
「Everydays: The First 5000 Days」by Beeple
Bored Ape Yacht Club(BAYC)
CryptoPunks(クリプトパンク)
「Zombie Zoo」by Zombie Zoo Keeper
手塚アニメ_アトムのモザイクアート
まとめ

NFTアートはNFT活用の火付け役

出典:pixabay

2021年以降にNFT=「Non-Fungible Token(非代替性トークン)」への注目が拡大していくきっかけとなったのは、アート分野に対してNFTが活用され、それらが非常に高い金額で取引されたことでしょう。

例えば、2021年3月に海外クリエイター「Beeple」氏が作成したデジタルアート作品が約75億円もの高額で取引され、2021年8月には東京都在住の8歳の少年が描いたデジタルアート3枚が約200万円で落札されました。一見すると普通の ”画像データ” にも関わらず、驚くような高値がつくというそのギャップによって多くの人々が驚き、世界的な話題を呼びました。

また、上記のような高値での取引以外に、人気アイドルグループSMAPの元メンバーである香取慎吾さんや人気女優の広瀬すずさんといった著名人がNFTアートに次々と参入していることも、日本国内でNFTアートが注目を集めるきっかけとなっています。

2022年現在では、ゲームや音楽、スポーツなど様々な分野へNFTが活用されていますが、その火付け役となったのがNFTアートでした。

👉参考記事:『NFT×ゲーム〜「遊んで稼ぐゲーム」について解説〜

👉参考記事:『NFT技術の音楽分野への活用 〜クリエイターとリスナーが享受する新たな価値〜

👉参考記事:『NFTのスポーツ業界への活用〜新時代のファンビジネスと可能性〜

そんなNFTアートについての解説や、より多くの事例をご紹介する前に、まずは次項でNFTそのものについて解説していきます。

NFTの基礎知識

NFT=デジタルの”はんこ”

NFTとは簡単に言うと「デジタルデータに偽造不可な鑑定書・所有証明書をもたせる技術」のことです。さらに噛み砕いて表現すると「デジタルコンテンツにポンと押す ”はんこ” のようなもの」です。

出典:pixabay

NFTを言葉の意味から紐解くと、NFT=「Non-Fungible Token」の略で、日本語にすると「非代替性トークン」となります。非代替性は「替えが効かない」という意味で、トークンには「データや通貨・モノ・証明」などの意味があります。

つまり「唯一無二であることの証明ができる技術」を意味し、実際にはデジタル領域で活用されることから冒頭ではデジタルの ”はんこ” と表現しました。

NFTが必要とされる理由

世の中のあらゆるモノは大きく2つに分けられます。それは「替えが効くもの」と「替えが効かないもの」です。前述した非代替性トークンは文字通り後者となります。

それぞれの例を挙げていくと、

【替えが効くもの (代替性) 】

  • 硬貨や紙幣
  • フリー素材の画像や音楽
  • 量産される市販品

【替えが効かないもの (非代替性) 】

  • 大谷翔平の「直筆サイン入り」本
  • ゴッホの「原画」
  • ワールドカップ決勝の「プレミアチケット」

人は唯一性や希少性のあるもの、つまり「替えが効かないもの」に価値を感じます。
不動産や宝石・絵画などPhysical(物理的)なものは、証明書や鑑定書によって「唯一無二であることの証明」ができます。

一方で画像やファイルなどのDigital(デジタル)な情報は、コピーされたり改ざんされたりするリスクがあるため「替えが効くもの」と認識されがちで、その価値を証明することが難しいという問題がありました。

実際、インターネットの普及により音楽や画像・動画のコピーが出回り、所有者が不特定多数になった結果、本来であれば価値あるものが正当に評価されにくくなってしまったのです。

そういったデジタル領域においても、「替えが効かないもの」であることを証明する技術がまさにNFTなのです。

NFTがあれば、本物と偽物を区別することができ、唯一性や希少性を担保できます。NFTによって、これまではできなかったデジタル作品の楽しみ方やビジネスが生まれるのです。

👉参考記事:『【2022年】NFTとは何か?なぜ話題なのか、分かりやすく解説!

NFTとブロックチェーン

NFTはブロックチェーンという技術を用いて実現しています。

ブロックチェーンは「一度作られたデータを二度と改ざんできないようにする仕組み」です。データを小分けにして暗号化し、それを1本のチェーンのように数珠つなぎにして、世界中で分散管理されています。そのため、コピーしたり、改ざんしたり、データが消えたりする心配がありません。

👉参考記事:『ブロックチェーン(blockchain)とは何か?仕組みや特長をわかりやすく解説!

アート×NFTで実現すること

唯一無二という価値が生まれる

出典:pixabay

NFTの解説でも述べたように、実物の絵画や美術品といったPhysical(物理的)なものは、証明書や鑑定書によって「唯一無二であることの証明」ができます。

しかし、アーティストが描いたデジタル作品に対して ”唯一無二の本物” であるという証明をすることは不可能に近く、コピーやスクリーンショットがWEB上に溢れてしまうことは容易に想像がつきます。

しかしこれからは、NFT技術によって ”唯一無二の本物” であるという証明がなされた「自分が好きなアーティストが描いたデジタル作品」を、自分だけのモノにできるのです。

“唯一無二の本物” を所有することによって、作品やアーティストに対してさらに愛着が持てるようになったり、ファンコミュニティの中で「自分はあのデジタルアートを所有する特別なファンだ」といった心理的な優越感を得ることができます。

クリエイターとしても、自分の作品を気に入ってくれた特別なファンの存在を、NFTアートを通してこれまでよりも近く感じることができるはずです。

新たなマネタイズ方法が生まれる

出典:pixabay

従来であればアーティストが自分の作品を出品する際に、ギャラリーや仲卸し業者に少なくない金額の手数料を差し引かれる事が多かったため、アーティスト活動だけで生計をたてられる人はほんの一握りでした。

一方で、NFTアートはWEB上で誰でも手軽に出品することができ、出品手数料もかからない、あるいは従来に比べれば非常に少なくすみます。出品の手軽さとマネタイズのしやすさが相まって、アーティストたちはより多くの収入を得るチャンスが増えます。

また、NFTの技術をアートに活用することで、そのアートが転売されるたびに作者の元に収益を還元する仕組みが実現できます。無名時代に描いた作品が有名になってから高値で取引されるようになると作者自身にもその利益が還元されるため、収益だけでなく作り手のモチベーションアップにも繋がります。

NFTによってアートの新たなマネタイズ方法が生み出されると、収入面で夢を諦めていた多くの才能あるクリエイター達のモチベーションアップに繋がり、ゆくゆくはアート市場そのものが盛り上がっていくことが期待できます。

NFTアートの実例

続いて、2022年時点でのNFTアートの実例をご紹介していきます。

「Everydays: The First 5000 Days」by Beeple

👉出典:Christie’s『Beeple Everydays – The First 5000 Days

海外アーティストであるBeeple氏によって作られた「Everydays-The First 5000Days」は約75億円で落札されたNFTであり、これはNFT史上最高の取引額(2022年7月時点)とされています。

このNFTは、Beeple氏が10数年間毎日作成し続けたプロジェクトである「EVERY DAYS」の作品をまとめて1つのNFTとした作品で、その価格のインパクトも相まって、同作品は「世界で最も有名なNFTアート」としても知られています。

Beeple氏は、NFTに注力するまでは世界的に注目されるほどのアーティストではありませんでしたが、今ではNFTアートの先駆者として世界中で認知されているアーティストとなりました。

Bored Ape Yacht Club(BAYC)

👉Bored Ape Yacht Club(BAYC)の公式ページ

「Bored Ape Yacht Club(BAYC)」は、アメリカのNFTスタジオであるYuga Labsが制作する類人猿をモチーフにしたNFTアートコレクションです。顔のパーツや表情、服装などバリエーションの異なる1万点のNFTアートが発行され、同じ絵柄は1枚として存在しません。

2022年7月現在、海外セレブや著名人を中心にSNSのアイコンを自分が所有しているNFTアートにすることが流行りつつあり、その先駆けともいえるのがこのBored Ape Yacht Club(BAYC)です。

さらに2022年4月には、アメリカ最大手の仮想通貨取引所であるコインベースによる映画化も発表されました。BAYCのNFT所有者が、自身のNFTをオーディションに出すことが可能で、映画にキャスティングされれば約135万円(1万ドル)のライセンス費を受け取ることができるという試みも予定されています。

CryptoPunks(クリプトパンク)

👉CryptoPunks(クリプトパンク)の公式ページ

CryptoPunks(クリプトパンク)は、2017年に誕生した世界最古と言われているNFTアートコレクションで、24×24ピクセルのドット絵で男女の様々な顔が描かれています。こちらもBored Ape Yacht Club(BAYC)同様、同じ絵柄は1枚として存在しません。

リリース当初は無料配布されていましたが、作品の総発行枚数は1万点と限りがあり、その希少性から数千万円以上の値段が付けられるまでに価格が高騰しています。

2022年現在は、その高額な値段から一種の投資商品のような扱いをされており、多くの有名投資家が保有しています。

「Zombie Zoo」by Zombie Zoo Keeper

👉出典:BuzzFeed News『8歳の少年が描いた1枚の絵が、NFT取引で160万円相当に!』

「Zombie Zoo(ゾンビ・ズー)」は、2021年に当時8歳の日本人の少年によって始められたNFTアートプロジェクトです。

彼が夏休みの自由研究として描いた3枚のデジタルアートを、彼の母親であるアーティストの草野絵美さんの協力のもと世界最大手のNFT取引所『OpenSea(オープンシー)』に出品したところ、世界的に有名DJによって約240万円で落札されました。

2022年には、東映アニメーションによるアニメ化プロジェクトも始動するなど、日本人のしかも子供によるNFTアート作品とあって、非常に多くの注目を集めているNFTアートプロジェクトです。

手塚アニメ_アトムのモザイクアート

👉出典:美術手帖「日本発NFTの最高落札額。モザイクアートNFT「鉄腕アトム」が約5600万円で落札

2021年12月、日本を代表する漫画家である手塚治虫氏の代表作品を題材に展開されたNFTプロジェクト「From the Fragments of Tezuka Osamu」の第一弾として、「鉄腕アトム」を題材としたNFTアートが世界最大手のNFT取引所『OpenSea(オープンシー)』に出品され、約5600万円で落札されました。

このNFTアート「鉄腕アトム」は、手塚治虫漫画のカラー原画840枚と4000枚以上の白黒漫画原稿で構成されたモザイクアートで、売上の10%をユニセフと日本の子供のために寄付することも発表されています。

まとめ

今回はNFTアートについて解説し、実際の事例をご紹介してきました。

NFTアートはクリエイターと買い手の双方にとってより良い体験をもたらす革新的な技術です。

一方で現状、NFTアートは依然目新しいモノとして捉えられており、高額な金額で投機的に取引されることに注目が集まりがちです。今後は、アートの原点である ”純粋に気に入った作品を購入する” という向き合い方が広まり、現実のアートのように人々の生活の一部となっていくことを期待します。

【2022年】中国NFT(デジタルコレクティブル)市場の現状

2021年以降NFTが世界的に関心を集める中、中国でもNFTに関する話題は事欠きません。仮想通貨に対する規制の厳しい中国では、2次販売禁止で、仮想通貨で決済できない他とは違う独自のNFT市場が形成されています。本記事では、中国での仮想通貨規制やNFTの基礎知識を解説した上で、中国NFT市場の特徴や、中国NFTのトピックスをご紹介していきます。

中国NFT市場と仮想通貨規制
政府による仮想通貨規制
中国独自のNFT市場が形成され急成長している
独自ルールのNFT市場
規制の中でも急成長する中国NFT市場
そもそもNFTとは?
NFT=デジタルの”はんこ”
NFTが必要とされる理由
NFTとブロックチェーン
中国のNFT取引は他とどう違うのか
①決済通貨が人民元に絞られている
②2次売買が出来ない
③取引所に管理者が存在する
④利用には認証が必要
中国NFT市場のトピックス
政府主導で進むNFTインフラの構築
コロナ検閲への反攻手段としてNFTを利用
まとめ

中国NFT市場と仮想通貨規制

政府による仮想通貨規制

出典:pixabay

2021年頃からNFT=「Non-Fungible Token(非代替性トークン)」が世界的に注目を集めています。

NFTとは仮想通貨の技術を基盤とした「デジタルデータを替えの効かない唯一無二のものにできる技術」のことで、他の国同様、中国でもNFT市場拡大の流れが起きていました。

しかし、中国国内でもNFTが盛り上がりを見せていた2021年9月に、中国政府は仮想通貨の決済や取引情報の提供など、仮想通貨に関連するサービスを全面的に禁止すると発表しました。

その背景には、仮想通貨の投機的な取引が中国経済に悪い影響を与えるといった考えや、中国政府が発行を計画している仮想通貨「デジタル人民元」を発行する上でのノイズを除去する狙いがあるとされています。

👉参考記事:『中国のブロックチェーンを金融・非金融の軸で理解する〜デジタル人民元からBSNまで〜

👉参考記事:『「BSN」〜中国が国家主導で開発を進めるブロックチェーンネットワーク〜

仮想通貨が全面的に禁止されたことにより、その仮想通貨を基盤とするNFTへの影響も懸念されました。しかし2021年9月以降、中国のNFT市場は規制と共存しつつ他の国とは違う独自の成長を遂げていくこととなります。

中国独自のNFT市場が形成され急成長している

独自ルールのNFT市場

出典:pixabay

2021年9月以降、仮想通貨への取り締まりは強化されましたが、NFTに関して完全には規制されておらず仮想通貨規制を考慮した上で独自のNFT市場が形成されています。

他のNFT市場との違いについての詳細は後述しますが、決済にビットコイン(BTC)やイーサリアム(ETC)といった仮想通貨ではなく法定通貨である人民元が用いられている点がまず挙げられます。

加えて、世界に開放されているブロックチェーンではなく、中国政府が管理する閉ざされたブロックチェーンを利用しており、購入したNFTを外部(世界)の二次市場で売買することはできない点も中国NFT市場の特徴の一つです。

👉参考記事:『ブロックチェーンの種類は?〜パブリック・コンソーシアム・プライベート〜

また、NFTを取り扱う中国のテック大手企業の多くは、当局の規制に配慮して「NFT」ではなく「デジタルコレクティブル(数字収蔵品)」という言葉を使用し、世界の仮想通貨市場との区別を図っています。

これらから、世界と中国ではNFTを取り巻く環境や市場そのものの構造が異なるということが見てとれます。

規制の中でも急成長する中国NFT市場

出典:pixabay

中国NFT市場は、政府によって仮想通貨が規制されているにも関わらず、その市場規模を急速に拡大させています。

実際に、中国国内のNFTマーケットプレイス(NFT取引所)は2022年2月の時点で100あまりしか存在していませんでしたが、同年6月にはその数が500を突破し、たった4ヶ月で5倍にまで増加したことが現地メディアにより報じられています。

👉出典:inews.qq.com

👉参考記事:『NFT×マーケットプレイス〜取引所の概要から選び方・それぞれの違いを解説〜

中国のNFT市場がここまで急速に拡大した要因としては、同国内におけるNFTへの関心の高まりと、テンセントやアリババといった中国の巨大テック企業の本格的な参入があげられます。

NFTへの関心や需要が高まる一方で、NFTに関わる個人や企業は、仮想通貨に対して厳しい監視の目を向ける中国政府との直接的な対立を避けるために慎重なアプローチを取っています。

例えば、先述したように大手テック企業が「NFT」ではなく「デジタルコレクティブル(数字収蔵品)」という言葉を用いて区別するのも、当局による規制強化の可能性を回避するためだと言われています。

このように、仮想通貨市場に対して厳しい姿勢で臨む中国政府と、規制と共存しつつ拡大を続ける中国NFT市場、という構図が出来上がっているのが現状です。こういった中国独自のNFT事情について詳しく解説する前に、次項では今一度「NFT」という技術についておさらいをしていきます。

そもそもNFTとは?

NFT=デジタルの”はんこ”

NFTとは簡単に言うと「デジタルデータに偽造不可な鑑定書・所有証明書をもたせる技術」のことです。さらに噛み砕いて表現すると「デジタルコンテンツにポンと押す ”はんこ” のようなもの」です。

出典:pixabay

NFTを言葉の意味から紐解くと、NFT=「Non-Fungible Token」の略で、日本語にすると「非代替性トークン」となります。非代替性は「替えが効かない」という意味で、トークンには「データや通貨・モノ・証明」などの意味があります。

つまり「唯一無二であることの証明ができる技術」を意味し、実際にはデジタル領域で活用されることから冒頭ではデジタルの ”はんこ” と表現しました。

NFTが必要とされる理由

世の中のあらゆるモノは大きく2つに分けられます。それは「替えが効くもの」と「替えが効かないもの」です。前述した非代替性トークンは文字通り後者となります。

それぞれの例を挙げていくと、

【替えが効くもの (代替性) 】

  • 硬貨や紙幣
  • フリー素材の画像や音楽
  • 量産される市販品

【替えが効かないもの (非代替性) 】

  • 大谷翔平の「直筆サイン入り」本
  • ゴッホの「原画」
  • ワールドカップ決勝の「プレミアチケット」

人は唯一性や希少性のあるもの、つまり「替えが効かないもの」に価値を感じます。
不動産や宝石・絵画などPhysical(物理的)なものは、証明書や鑑定書によって「唯一無二であることの証明」ができます。

一方で画像やファイルなどのDigital(デジタル)な情報は、コピーされたり改ざんされたりするリスクがあるため「替えが効くもの」と認識されがちで、その価値を証明することが難しいという問題がありました。

実際、インターネットの普及により音楽や画像・動画のコピーが出回り、所有者が不特定多数になった結果、本来であれば価値あるものが正当に評価されにくくなってしまったのです。

そういったデジタル領域においても、「替えが効かないもの」であることを証明する技術がまさにNFTなのです。

NFTがあれば、本物と偽物を区別することができ、唯一性や希少性を担保できます。NFTによって、これまではできなかったデジタル作品の楽しみ方やビジネスが生まれるのです。

👉参考記事:『【2022年】NFTとは何か?なぜ話題なのか、分かりやすく解説!

NFTとブロックチェーン

NFTはブロックチェーンという技術を用いて実現しています。

ブロックチェーンは「一度作られたデータを二度と改ざんできないようにする仕組み」です。データを小分けにして暗号化し、それを1本のチェーンのように数珠つなぎにして、世界中で分散管理されています。そのため、コピーしたり、改ざんしたり、データが消えたりする心配がありません。

👉参考記事:『ブロックチェーン(blockchain)とは何か?仕組みや特長をわかりやすく解説!

中国のNFT取引は他とどう違うのか

出典:pixabay

①決済通貨が人民元に絞られている

前項でも触れたとおり、NFTやそれらのエコシステムはブロックチェーンを基盤に作られています。そしてNFTを取引する際の決済では、そのNFTが所属するブロックチェーン上での基軸通貨であるビットコイン(BTC)やイーサリアム(ETC)といった仮想通貨を用いるのが一般的です。

しかし、仮想通貨への規制が厳しい中国でのNFT取引で使える決済手段は、法定通貨である人民元のみとなっています。

中国NFT市場が政府の規制と共存しつつ発展していけば、将来的にはデジタル人民元決済に対応する可能性も大いにあるでしょう。

②2次売買が出来ない

NFTの一般的な活用方法の一つに「2次売買による収益化」があります。NFTには、大元の持ち主が誰なのかという情報に加え、NFTが転売された際に大元の持ち主に何%還元されるのかという情報を記録させることができます。

この仕組みによって、音楽やスポーツといった様々な分野における転売収益の確保が可能になると注目を集めているのですが、中国のNFTにはこれが適用されません。

👉参考記事:『NFT技術の音楽分野への活用 〜クリエイターとリスナーが享受する新たな価値〜

👉参考記事:『NFTのスポーツ業界への活用〜新時代のファンビジネスと可能性〜

なぜなら中国のNFTは、一般的なNFTのような世界に開放されているブロックチェーンではなく、中国政府の管理下にあり外部から遮断されたブロックチェーンを利用しているからです。

👉参考記事:『ブロックチェーンの種類は?〜パブリック・コンソーシアム・プライベート〜

2次売買による収益化は期待できない一方で、一般的なNFTに比べて投機的な取引が少なく、価格の変動性が比較的コントロールされている点が中国NFTのメリットとしてあげられます。

③取引所に管理者が存在する

中国のNFTプラットフォームのほとんどには”管理者”が存在します。これはブロックチェーンやNFTが本来持つ”自律分散型”という特徴とは逆行する考え方となります。

NFT取引所を始めとするブロックチェーン関連組織の意思決定は、特定の誰かによってではなく、組織全体で行うものだという考え方が一般的です。しかし中国のNFT市場は国が定める規制を厳格に遵守しており、それぞれのNFTプロジェクトは圧倒的に中央集権的です。

つまり中国NFT市場では、管理者がそのブロックチェーンの廃止を決定した場合、一瞬にしてすべてのデジタル資産にアクセスできなくなるといったリスクがあります。

④利用には認証が必要

一般的なNFT市場は誰でも匿名で参加できるのに対して、中国のNFTマーケットプレイスではすべての参加者に実名での身分証登録を義務付けています。KYC(Know Your Customer)ポリシーと呼ばれるこのルールは、マネーロンダリングや詐欺といった犯罪防止に役立つとされています。

しかし、先述したような中央集権的な仕組みの中国NFT市場では、NFTを利用する際に登録したすべての個人情報が、政府や一企業に把握されるようになるという側面もあります。

中国NFT市場のトピックス

出典:pixabay

政府主導で進むNFTインフラの構築

2022年1月、中国の政府関連団体は暗号通貨を使わない中国独自のNFTインフラをリリースしました。

決済やガス代の支払いに仮想通貨ではなく人民元を使用することから、一般的なNFTと区別する意味で「DDC(非中央集権デジタル証明書)」という名称を採用しています。

今後中国では、政府主導であらゆる証明書や口座管理に「DDC(非中央集権デジタル証明書)」が利用されることになると予想されます。

コロナ検閲への反攻手段としてNFTを利用

新型コロナ(COVID-19)の感染拡大により中国で厳格なロックダウンが敷かれた際には、人々が自分たちの置かれている状況を外部に知らせる方法としてNFTを利用しました。

ロックダウンによって食料や生活必需品が手に入らない市民達のフラストレーションが溜まる一方で、中国政府はその不満が世界に出回らないように非常に厳しい情報統制をおこなっていました。

そこでITリテラシーの高い一部の人々は、自分たちの置かれている厳しい状況や政府への不満を動画や画像に込めてNFT化し、規制をかいくぐって世界最大手のNFTマーケットプレイスであるOpenSeaに出品したのです。

出品されたNFTのほとんどが無料であったことからも、これらの出品が営利目的ではなく情報発信目的であったことは明らかで、この取り組みは世界中で大きな話題を呼びました。

まとめ

本記事では、中国NFT市場の現状について解説してきました。

現状、中国当局は仮想通貨に対しては全面的に規制していますが、NFTについての具体的な規制や法整備は発表していません。 しかし今後中国国内のNFT市場が加熱し、当局の監視が及ばない場所での2次流通や資金洗浄などの違法行為が増えていくと、NFTに対しても規制を本格的に強化するかもしれません。

一方で、仮想通貨を使わない中国独自のNFTインフラの構築と普及が中国政府主導で進められているなど、中国独自のNFT利用は更に加速していくものと思われます。

今後の中国のNFT市場に関する動向を、引き続き見守っていきましょう。

【2022年】”Web 3.0” とは?

〜分散型インターネットでNFTが担う役割〜

2021年以降話題を集めている仮想通貨やNFT「Non-Fungible Token(非代替性トークン)」、メタバース(仮想現実)と共に、”Web 3.0” という言葉を耳にする機会が増えてきました。本記事では、Web3.0に至るまでのWebの歴史を振り返った上で、Web3.0とは一体どういった概念なのか、加えてWeb3.0におけるNFTの役割に焦点を当てて解説していきます。

“Web3.0”に至るまでの経緯
Webの歴史は3つの時代に分けられる
①Web1.0(ホームページ時代)
②Web2.0(SNS時代)
GAFAの躍進
Web2.0の課題
特定企業への個人情報の集中(プライバシー問題)
中央集権型によるリスク(セキュリティ問題)
③Web3.0(分散型インターネットの時代)
情報の独占から分散へ
ブロックチェーンとは
ブロックチェーンは新しいデータベース(分散型台帳)
ブロックチェーンの特長・メリット(従来のデータベースとの違い)
Web3.0で実現すること
Web2.0時代の課題を解決できる
Web3.0による新たなメリットもによる新たなメリットも
Web3.0におけるNFTの役割
Web3.0実現のために不可欠な技術「NFT」
NFTとは?
NFT=デジタルの”はんこ”
NFTが必要とされる理由
まとめ

“Web3.0”に至るまでの経緯

Webの歴史は3つの時代に分けられる

Web3.0を解説するにあたり、これまでのWebがどのようにして進歩してきたかを以下の3つの時代に分けて解説します。

Web1.0:1995年~(ホームページ時代)

Web2.0:2005年~(SNS時代)

Web3.0:これから(分散型インターネットの時代)

ただし、Web1.0/Web2.0/Web3.0の定義には明確な線引きはなく、曖昧な部分がある点にご注意ください。

①Web1.0(ホームページ時代)

出典:pixabay

Web1.0時代は、Yahoo!やGoogle、MSNサーチなどの検索エンジンが登場し始めた時期で、Webがまだ一方通行であった時代です。ウェブデザイナーのDarci DiNucci氏が1999年に、進化の段階を区別するためにWeb1.0とWeb2.0という呼び方を用いました。

ウェブサイトは1990年代初めに静的HTMLのページを利用して作られ、個人が「ホームページ」を持ち情報を発信する、という文化もこの時代から生まれました。ただし、インターネットの接続速度も非常に低速であり画像を1枚表示するだけでも時間がかかりました。

また、閲覧できる情報は情報作成者によってのみ管理されるため、閲覧ユーザーがデータを編集することはできません。こうした特徴からweb1.0は「一方向性の時代」とも呼ばれます。

②Web2.0(SNS時代)

出典:pixabay

GAFAの躍進

Web2.0時代になるとYouTube、Twitter、InstagramなどのSNSが登場し、誰もが発信者となりました。Web1.0時代が「一方向性の時代」とされたのに対し、Web2.0時代は様々な人との双方向の情報のやり取りができるようになったのです。

SNSによって誰もがWeb上で簡単に情報を発信できるようになり、Webは閲覧するだけのものではなく、自らが参加できるものとなりました。

また、Google、Amazon、Facebook(元Meta)、Appleといった所謂GAFAと呼ばれるプラットフォームサービスが大きく躍進し、巨大テック企業となっていった時代でもあります。

Web2.0の課題

Webが多くの人々に馴染みのあるものとなったWeb2.0時代ですが、それと同時に問題点も浮き彫りになってきました。それが次の2つです。

  • 特定企業への個人情報の集中(プライバシー問題)
  • 中央集権型によるリスク(セキュリティ問題)

特定企業への個人情報の集中(プライバシー問題)

1つ目に、個人情報が特定の企業へ集中することによる個人のプライバシー侵害の可能性が問題視されています。

現在、Google、Amazon、Facebook、AppleといったGAFAを筆頭に一部の大企業には、あらゆる情報が集まっています。これには、住所や年齢、性別など基本的な個人情報だけでなく、個人の嗜好や行動履歴までもが含まれます。

これらの企業は世界的に利用されているサービスを展開しているため、世界中のあらゆる個人情報が独占的に集められる状態になっているのです。プライバシーの観点からこの現状を問題視する声も多く、個人のプライバシーをどう守るかは重要な課題のひとつとなっています。

中央集権型によるリスク(セキュリティ問題)

2つ目の問題点として、中央集権型の情報管理はサイバー攻撃を受けやすく、多くのユーザーに影響を及ぼす危険性があるという点が挙げられます。例えば2018年、GAFAの一角である大手SNS「Facebook」は5000万人超のユーザー情報を外部に流出してしまいました。

現在、ユーザーの個人情報はサーバーで集中管理されています。このサーバー・クライアント方式は一般的な管理方法ではありますが、サイバー攻撃を受けやすく、個人情報の流出や不正アクセス、データの改ざん、Webサイト/Webサービスが利用できなくなる、などのリスクがあります。

③Web3.0(分散型インターネットの時代)

出典:pixabay

情報の独占から分散へ

Web3.0とは「次世代の分散型インターネット」のことを指します。さらに言うと、Google、Amazon、Facebook(元Meta)、Appleといった所謂GAFAやその他巨大テック企業によって個人情報を独占されている現状から、次世代テクノロジーを活用して情報を分散管理することで、巨大企業による独占からの脱却を目指そうとしているのがWeb3.0の概念です。

特定企業によって個人情報を独占されることによるリスクは前項でご説明したとおりで、2021年以降、特定企業によって独占された情報を分散しようとする動きが活発化しています。


そして、この情報の分散を可能にするのが次に解説するブロックチェーンの技術です。

ブロックチェーンとは

ブロックチェーンは新しいデータベース(分散型台帳)

ブロックチェーン(blockchain)は、2008年にサトシ・ナカモトによって提唱された「ビットコイン」(仮想通貨ネットワーク)の中核技術として誕生しました。

ビットコインには、P2P(Peer to Peer)通信、Hash関数、公開鍵暗号方式など新旧様々な技術が利用されており、それらを繋ぐプラットフォームとしての役割を果たしているのがブロックチェーンです。

ブロックチェーンの定義には様々なものがありますが、ここでは、「取引データを適切に記録するための形式やルール。また、保存されたデータの集積(≒データベース)」として理解していただくと良いでしょう。

一般に、取引データを集積・保管し、必要に応じて取り出せるようなシステムのことを一般に「データベース」と言いますが、「分散型台帳」とも訳されるブロックチェーンはデータベースの一種であり、その中でも特に、データ管理手法に関する新しい形式やルールをもった技術です。

ブロックチェーンは、セキュリティ能力の高さ、システム運用コストの安さ、非中央集権的な性質といった特長から、「第二のインターネット」とも呼ばれており、近年、フィンテックのみならず、あらゆるビジネスへの応用が期待されています。

 

ブロックチェーンの特長・メリット(従来のデータベースとの違い)

ブロックチェーンの主な特長やメリットは、①非中央集権性、②データの対改竄(かいざん)性、③システム利用コストの安さ④ビザンチン耐性(欠陥のあるコンピュータがネットワーク上に一定数存在していてもシステム全体が正常に動き続ける)の4点です。

これらの特長・メリットは、ブロックチェーンが従来のデータベースデータとは異なり、システムの中央管理者を必要としないデータベースであることから生まれています。

分散台帳とは.jpg

ブロックチェーンと従来のデータベースの主な違いは次の通りです。

 

従来のデータベースの特徴

ブロックチェーンの特徴

構造

各主体がバラバラな構造のDBを持つ

各主体が共通の構造のデータを参照する

DB

それぞれのDBは独立して存在する

それぞれのストレージは物理的に独立だが、Peer to Peerネットワークを介して同期されている

データ共有

相互のデータを参照するには新規開発が必要

共通のデータを持つので、相互のデータを参照するのに新規開発は不要

ブロックチェーンは、「非中央集権、分散型」という特徴を獲得したことで、様々な領域で注目・活用されているのです。より詳しい内容に関しては、下記参考記事をご覧ください。

👉参考記事:『ブロックチェーン(blockchain)とは?仕組みや基礎知識をわかりやすく解説!

Web3.0で実現すること

出典:pixabay

Web2.0時代の課題を解決できる

Web3.0の時代では、情報管理のスタイルがブロックチェーン技術により非中央集権型となります。つまり、個人情報は特定の企業ではなくブロックチェーンに参加したユーザーによって分散管理されます。また、サービスを提供する基盤は特定企業に限定されず、ユーザーひとりひとりが参加するネットワークがサービスを提供する基盤となるのです。

ユーザー同士が、ネットワーク上で互いのデータをチェックし合うということは、不正アクセスやデータの改ざんが非常に難しいことを意味します。特定企業が個人情報を握ることもなければ、情報漏洩によって多大な被害を被ることもありません。

このように、Web3.0の概念が実現すれば個人情報が分散管理され非中央集権型の情報管理スタイルとなり、不正アクセスや情報漏えい、データ改ざんのリスクが軽減し、Web2.0の問題点が解決できると考えられています。

Web3.0による新たなメリットも

加えて、Web3.0にはサービスの安定化と管理コストの削減というWeb2.0にはないメリットもあります。Web3.0の仕組み上、特定の管理者というものを必要とせずプログラムが自動で学習しサービスを運用していきます。そのため、従来であれば起こりうるメンテナンスによるサービス停止や人為的ミスの心配もなくなり、時間的、金銭的コストが削減できます。

Web3.0におけるNFTの役割

出典:pixabay

Web3.0実現のために不可欠な技術「NFT」

ブロックチェーン技術を基盤とするWeb3.0ですが、デジタルデータを分散管理する上で不可欠な事があります。それは、そのデジタルデータが本物である証明です。

管理者を置かずに全ての情報を分散管理するためには、やり取りされる情報の信頼性がこれまで以上に大切になってきます。出どころが分からない嘘の情報や不正にコピーされたデジタルデータが流通してしまうことは、管理者不在のWeb3.0においては致命的な欠陥となりえます。

しかし従来のデジタルデータは簡単にコピーでき、本物とコピーの区別をつけることはほぼ不可能でした。

そこで、NFT「Non-Fungible Token(非代替性トークン)」の出番です。「デジタルデータを替えの効かない唯一無二のものにできる技術」であるNFTが、Web3.0をより盤石なものにします。

NFTとは?

NFT=デジタルの”はんこ”

NFTとは簡単に言うと「デジタルデータに偽造不可な鑑定書・所有証明書をもたせる技術」のことです。さらに噛み砕いて表現すると「デジタルコンテンツにポンと押す ”はんこ” のようなもの」です。

出典:pixabay

NFTを言葉の意味から紐解くと、NFT=「Non-Fungible Token」の略で、日本語にすると「非代替性トークン」となります。非代替性は「替えが効かない」という意味で、トークンには「データや通貨・モノ・証明」などの意味があります。

つまり「唯一無二であることの証明ができる技術」を意味し、実際にはデジタル領域で活用されることから冒頭ではデジタルの ”はんこ” と表現しました。

NFTが必要とされる理由

世の中のあらゆるモノは大きく2つに分けられます。それは「替えが効くもの」と「替えが効かないもの」です。前述した非代替性トークンは文字通り後者となります。

それぞれの例を挙げていくと、

【替えが効くもの (代替性) 】

  • 硬貨や紙幣
  • フリー素材の画像や音楽
  • 量産される市販品

【替えが効かないもの (非代替性) 】

  • 大谷翔平の「直筆サイン入り」本
  • ゴッホの「原画」
  • ワールドカップ決勝の「プレミアチケット」

人は唯一性や希少性のあるもの、つまり「替えが効かないもの」に価値を感じます。
不動産や宝石・絵画などPhysical(物理的)なものは、証明書や鑑定書によって「唯一無二であることの証明」ができます。

一方で画像やファイルなどのDigital(デジタル)な情報は、コピーされたり改ざんされたりするリスクがあるため「替えが効くもの」と認識されがちで、その価値を証明することが難しいという問題がありました。

実際、インターネットの普及により音楽や画像・動画のコピーが出回り、所有者が不特定多数になった結果、本来であれば価値あるものが正当に評価されにくくなってしまったのです。

そういったデジタル領域においても、「替えが効かないもの」であることを証明する技術がまさにNFTなのです。

NFTがあれば、本物と偽物を区別することができ、唯一性や希少性を担保できます。Web3.0が信頼できる分散型インターネットであるためには、NFTの技術が不可欠です。

👉参考記事:『【2022年】NFTとは何か?なぜ話題なのか、分かりやすく解説!

まとめ

本記事では、Web時代の歴史を振り返り、Web3.0によってどんな事が実現するかを解説し、そしてその中でNFTが担う役割についてご紹介してきました。Web3.0という大きな概念の中の、欠かせないひとつのピースとしてNFTが存在しています。

本記事をきっかけにNFTについて興味を持たれた方は、NFTの様々な活用事例について解説している過去の記事を是非御覧ください。

👉参考記事:『NFT×ゲーム〜「遊んで稼ぐゲーム」について解説〜

👉参考記事:『NFT技術の音楽分野への活用 〜クリエイターとリスナーが享受する新たな価値〜

👉参考記事:『NFTのスポーツ業界への活用〜新時代のファンビジネスと可能性〜