2021年以降、ブロックチェーン技術を基盤としたNFT「Non-Fungible Token(非代替性トークン)」に関する話題が増えています。そんな中、ゲームや音楽、アートなど様々な分野のスタートアップ企業が積極的にNFT事業を展開しており、クリプト界隈を盛り上げています。今回は、NFT日本国内外のNFT関連スタートアップ企業を8つピックアップし、その魅力や事業内容などをご紹介していきます。
NFTの基礎知識
NFT=デジタルの”はんこ”
NFTが必要とされる理由
NFTとブロックチェーン
注目すべきNFT関連のスタートアップ企業8選
日本国内のスタートアップ企業
①ANDART ── NFTアートプラットフォーム運営
②スタートバーン ── アート分野へのNFT導入支援
③SBINFT(旧スマートアプリ) ── NFTマーケットプレイス運営
④Gaudiy ── ファンコミュニティ運営
⑤Kyuzan ── NFTショップ構築サービス運営
⑥TRiCERA ── アート分野へのNFT導入支援
海外のスタートアップ企業
⑦Magic Ede ── NFTマーケットプレイス運営
⑧Anifie ── NFTメタバース開発
まとめ
NFTの基礎知識
NFT関連のスタートアップ企業をご紹介する前に、NFT「Non-Fungible Token(非代替性トークン)」について整理しておきましょう。
NFT=デジタルの”はんこ”
NFTとは簡単に言うと「デジタルデータに偽造不可な鑑定書・所有証明書をもたせる技術」のことです。さらに噛み砕いて表現すると「デジタルコンテンツにポンと押す ”はんこ” のようなもの」です。
出典:pixabay
NFTを言葉の意味から紐解くと、NFT=「Non-Fungible Token」の略で、日本語にすると「非代替性トークン」となります。非代替性は「替えが効かない」という意味で、トークンには「データや通貨・モノ・証明」などの意味があります。
つまり「唯一無二であることの証明ができる技術」を意味し、実際にはデジタル領域で活用されることから冒頭ではデジタルの ”はんこ” と表現しました。
NFTが必要とされる理由
世の中のあらゆるモノは大きく2つに分けられます。それは「替えが効くもの」と「替えが効かないもの」です。前述した非代替性トークンは文字通り後者となります。
それぞれの例を挙げていくと、
【替えが効くもの (代替性) 】
- 硬貨や紙幣
- フリー素材の画像や音楽
- 量産される市販品
【替えが効かないもの (非代替性) 】
- 大谷翔平の「直筆サイン入り」本
- ゴッホの「原画」
- ワールドカップ決勝の「プレミアチケット」
人は唯一性や希少性のあるもの、つまり「替えが効かないもの」に価値を感じます。
不動産や宝石・絵画などPhysical(物理的)なものは、証明書や鑑定書によって「唯一無二であることの証明」ができます。
一方で画像やファイルなどのDigital(デジタル)な情報は、コピーされたり改ざんされたりするリスクがあるため「替えが効くもの」と認識されがちで、その価値を証明することが難しいという問題がありました。
実際、インターネットの普及により音楽や画像・動画のコピーが出回り、所有者が不特定多数になった結果、本来であれば価値あるものが正当に評価されにくくなってしまったのです。
そういったデジタル領域においても、「替えが効かないもの」であることを証明する技術がまさにNFTなのです。
NFTがあれば、本物と偽物を区別することができ、唯一性や希少性を担保できます。NFTによって、これまではできなかったデジタル作品の楽しみ方やビジネスが生まれるのです。
👉参考記事:『【2022年】NFTとは何か?なぜ話題なのか、分かりやすく解説!』
NFTとブロックチェーン
NFTはブロックチェーンという技術を用いて実現しています。
ブロックチェーンは「一度作られたデータを二度と改ざんできないようにする仕組み」です。データを小分けにして暗号化し、それを1本のチェーンのように数珠つなぎにして、世界中で分散管理されています。そのため、コピーしたり、改ざんしたり、データが消えたりする心配がありません。
👉参考記事:『ブロックチェーン(blockchain)とは何か?仕組みや特長をわかりやすく解説!』
注目すべきNFT関連のスタートアップ企業8選
日本国内のスタートアップ企業
①ANDART ── NFTアートプラットフォーム運営
出典:ANDART
株式会社ANDARTは、「テクノロジーで、アートと社会を結び、拓く(ひらく)」というミッションを掲げ、日本初のNFTアート作品の共同保有プラットフォームとして2019年に設立されました。
ビジネスモデルは非常にシンプルで、NFTアートの所有権の小口販売と売買手数料でのマネタイズとなっています。NFTアートの所有権を購入した作品オーナーは、オンライン上でのコレクションをはじめ、実物作品の鑑賞会に参加できるなど、気軽に本格アートコレクションを楽しむことができます。
これまで手が出なかった高額な有名アート作品や大型作品を、1万円という少額から所有できる点が非常に注目され、2022年5月時点で会員登録者数は2万人を突破しました。また、購入者の7割がANDARTで初めてアートを購入しており、新しいコレクター層を創造している今後の成長が楽しみなサービスです。
②スタートバーン ── アート分野へのNFT導入支援
出典:startbahn
スタートバーン株式会社は、アート分野へのNFT導入支援を行うスタートアップ企業で、現在はインフラ、自社サービス、他社との共同開発の3つの事業展開を行っています。
インフラ事業としては、自社開発ブロックチェーン「Startrail(スタートレイル)」の運用構築を行っています。「Startrail(スタートレイル)」上では、ギャラリーや美術館、オークションハウスといったアート作品の流通・管理に関わる事業者がNFTの発行を行うことができます。
また、スタートバーンは自社サービスとして、NFTを活用したデジタル資産の真贋証明書「Startbahn Cert.」を発行しています。「Startbahn Cert.」は「Startrail」をより簡単、安全に活用するためのNFTインターフェースとして2020年に公開され、これにより二次流通によるアート出品者への収益還元が行われるなどのアーティスト支援に繋がっています。
③SBINFT(旧スマートアプリ) ── NFTマーケットプレイス運営
日本初の統合型NFT売買プラットフォームを運営していた株式会社スマートアプリは、2021年9月に大手金融「SBIホールディングス株式会社」の連結子会社となり、社名をSBINFT株式会社に変更しました。
SBINFT株式会社は、イーサリアム決済やNFTの発行、販売をすることができる「Go Base」というブロックチェーンプラットフォームを提供しています。また、NFTに特化したマーケットプレイス「SBINFT Market」の運営やNFT事業のコンサルティングなどを行うなど、NFT領域において事業を拡大させています。
さらに、2021年10月には、メタバース(3D仮想空間)に取り組むための事業部を新設し、NFT作品を展示するためのメタバースギャラリー「THE GALLERY」を開催しました。
👉参考記事:『【2022年】Web3.0とメタバース 〜分散型インターネットにおける仮想現実の役割〜』
👉参考記事:『メタバースとNFT 〜NFTによって証明される仮想現実内の”モノの価値”〜』
④Gaudiy ── ファンコミュニティ運営
出典:Gaudiy
株式会社Gaudiyは、『ファンとともに時代を進める』をミッションとし、NFTを始めとするブロックチェーン技術を活用したファンコミュニティサービス「Gaudiy」を運営するスタートアップ企業です。
「Gaudiy」はブロックチェーン技術を活用したコンシューマー向けのファンサービスという新しい切り口で市場を牽引しており、これまでにないエンタメ体験やビジネスモデルの開発に取り組んでいます。
実際に、ソニー・ミュージックエンタテインメント(音楽)、集英社(漫画)、バンダイナムコエンターテインメント(ゲーム)、アニプレックス(アニメ)といった、その分野を代表する著名なエンターテインメント企業が「Gaudiy」を導入しています。
👉参考記事:『NFT技術の音楽分野への活用 〜クリエイターとリスナーが享受する新たな価値〜』
👉参考記事:『NFT×ゲーム〜「遊んで稼ぐゲーム」について解説〜』
⑤Kyuzan ── NFTショップ構築サービス運営
出典:「Mint」
株式会社Kyuzanは、オリジナルのNFTショップを簡単に構築できるNFT開発基盤「Mint」を開発・提供しているスタートアップ企業です。
「Mint」では「OpenSea」のような大規模で雑多なNFTマーケットプレイスではなく、クリエイター独自のブランドイメージに沿った、よりパーソナライゼーションされたNFTショップを作る事ができます。例えるならば、NFT版の「Shopify」や「BASE」のようなイメージのプラットフォームを目指しています。
株式会社Kyuzanは「Mint」の他にも、株式会社GameWithと共同開発したNFTゲーム「EGGRYPTO(エグリプト)」の運用を行うなど、今後もNFTに関連した事業を拡大展開していく予定です。
👉参考記事:『NFT×マーケットプレイス〜取引所の概要から選び方・それぞれの違いを解説〜』
⑥TRiCERA ── アート分野へのNFT導入支援
株式会社TRiCERAは、アート専門のECサイト「TRiCERA ART (トライセラアート)」の運用を始めとする、アーティストの活動支援を目的とした様々なサービスを提供しているスタートアップ企業です。
「TRiCERA ART (トライセラアート)」は現代アート専門の登録制ECプラットフォームで、8カ国の言語に対応し、出荷や配送、返品手配に至るまで請け負っています。その結果、国内外問わず販路を広げており、現在アジアにおけるシェア率No.1を誇っています。
また先程ご紹介したスタートバーン株式会社が発行するデジタル資産の真贋証明書「Startbahn Cert.」と連携し、「TRiCERA ART (トライセラアート)」では、NFT証明書の発行が可能となっています。
海外のスタートアップ企業
⑦Magic Ede ── NFTマーケットプレイス運営
Magic Eden(マジックエデン)は、Solanaチェーンを基盤にした人気のNFTマーケットプレイスで、ブロックチェーンゲームやデジタルアートのNFTを中心に取り扱っています。
Solanaチェーンを利用したNFTマーケットプレイスは複数存在しますが、Magic Edenはその中で最大の取引規模を誇り、Solana上で取引されるNFTの9割のシェアを占めます。
さらに、2022年7月にはMagic Edenはweb3.0ゲーム投資部門「マジック・ベンチャーズ(Magic Ventures)」を立ち上げ、今後はNFTマーケットプレイスのみならずブロックチェーンゲームやゲームインフラ、メタバースプロジェクトに投資していくとのことです。
⑧Anifie ── NFTメタバース開発
出典:PR TIMES
Anifieは、バーチャル上に自分達のコミュニティをつくりたいという企業やクリエイターに開発リソースを提供する、米国発のスタートアップです。
例えば、主催者がオリジナルのコンサート会場を仮想空間につくり、参加者達は自身が選んだアバターで参加してイベントを楽しむ、といった世界を実現することができます。
Anifieのメタバース開発に対して、グラミー賞受賞者ジョン・エッチェンやアメリカの大人気連続ドラマ「セックス・アンド・ザ・シティ」や「CBS 60 Minutes」の作曲を手掛けるパトリック・ウッドランドなどのハリウッドの重鎮も支援を表明していることからも、その期待の大きさがうかがえます。
まとめ
今回は、クリプト界隈を盛り上げるNFT日本国内外のNFT関連スタートアップ企業を8つピックアップし、その魅力や事業内容などをご紹介しました。
アートやマーケットプレイス、メタバースなどの様々な領域にNFTを活用し、新たな市場を切り開いていくスタートアップ企業の勢いは、今後もとどまることを知りません。