「NFTトレカ」というワードをSNSやニュースなどで目にする機会が増えてきました。NFTトレカは、有名アイドルや人気スポーツと共に取り上げられる事が多いため、気になる方も多いのではないでしょうか。そこで本記事では「そもそもNFTとは?」「普通のトレーディングカードと何が違うの?」といった疑問に対する答えや、具体的な銘柄のご紹介も交えてNFTトレカを解説していきます。
大きな話題を呼ぶ ”NFTトレカ”
そもそもNFTとは?
NFT=デジタルの”はんこ”
NFTが必要とされる理由
NFTとブロックチェーン
NFTトレカとは?
従来のトレーディングカード
NFT×トレーディングカード
様々なNFTトレーディングカード
SKE48
ももクロメモリアルNFTトレカ
CryptoSpells
Sorare
NBA Top Shot
まとめ
大きな話題を呼ぶ ”NFTトレカ”
実物のトレーディングカードは、一部の熱心なコレクターに支持されるマニアックな世界という印象があったかもしれません。しかし2020年10月に人気アイドルグループのSKE48のNFTトレカが発売され、即完売となりSNSを中心に大きな話題となることで、「NFTトレカ」というワードが一気に拡散されました。
出典:pixabay
その後も日本国内では、2021年10月に同じく人気アイドルグループ「ももいろクローバーZ」、同年12月には総合格闘技「RIZIN」、2022年2月には漫画家・手塚治虫の代表作「鉄腕アトム」といった様々なジャンルのNFTトレカが発売され、急速に普及し始めています。
👉参考記事:『NFT技術の音楽分野への活用 〜クリエイターとリスナーが享受する新たな価値〜』
👉参考記事:『NFTのスポーツ業界への活用〜新時代のファンビジネスと可能性〜』
👉参考記事:『【2022年最新版】アートへのNFT活用事例集』
そもそもNFTとは?
NFT=デジタルの”はんこ”
NFTとは簡単に言うと「デジタルデータに偽造不可な鑑定書・所有証明書をもたせる技術」のことです。さらに噛み砕いて表現すると「デジタルコンテンツにポンと押す ”はんこ” のようなもの」です。
出典:pixabay
NFTを言葉の意味から紐解くと、NFT=「Non-Fungible Token」の略で、日本語にすると「非代替性トークン」となります。非代替性は「替えが効かない」という意味で、トークンには「データや通貨・モノ・証明」などの意味があります。
つまり「唯一無二であることの証明ができる技術」を意味し、実際にはデジタル領域で活用されることから冒頭ではデジタルの ”はんこ” と表現しました。
NFTが必要とされる理由
世の中のあらゆるモノは大きく2つに分けられます。それは「替えが効くもの」と「替えが効かないもの」です。前述した非代替性トークンは文字通り後者となります。
それぞれの例を挙げていくと、
【替えが効くもの (代替性) 】
- 硬貨や紙幣
- フリー素材の画像や音楽
- 量産される市販品
【替えが効かないもの (非代替性) 】
- 大谷翔平の「直筆サイン入り」本
- ゴッホの「原画」
- ワールドカップ決勝の「プレミアチケット」
人は唯一性や希少性のあるもの、つまり「替えが効かないもの」に価値を感じます。
不動産や宝石・絵画などPhysical(物理的)なものは、証明書や鑑定書によって「唯一無二であることの証明」ができます。
一方で画像やファイルなどのDigital(デジタル)な情報は、コピーされたり改ざんされたりするリスクがあるため「替えが効くもの」と認識されがちで、その価値を証明することが難しいという問題がありました。
実際、インターネットの普及により音楽や画像・動画のコピーが出回り、所有者が不特定多数になった結果、本来であれば価値あるものが正当に評価されにくくなってしまったのです。
そういったデジタル領域においても、「替えが効かないもの」であることを証明する技術がまさにNFTなのです。
NFTがあれば、本物と偽物を区別することができ、唯一性や希少性を担保できます。NFTによって、これまではできなかったデジタル作品の楽しみ方やビジネスが生まれるのです。
👉参考記事:『【2022年】NFTとは何か?なぜ話題なのか、分かりやすく解説!』
NFTとブロックチェーン
NFTはブロックチェーンという技術を用いて実現しています。
ブロックチェーンは「一度作られたデータを二度と改ざんできないようにする仕組み」です。データを小分けにして暗号化し、それを1本のチェーンのように数珠つなぎにして、世界中で分散管理されています。そのため、コピーしたり、改ざんしたり、データが消えたりする心配がありません。
👉参考記事:『ブロックチェーン(blockchain)とは何か?仕組みや特長をわかりやすく解説!』
NFTトレカとは?
NFTトレカとは、その名の通り「NFT化されたデジタルトレーディングカード」のことです。トレーディングカードについての基礎知識から、それらのNFT化についてさらに紐解いていきましょう。
従来のトレーディングカード
出典:pixabay
トレーディングカードは「さまざまな絵柄や写真が印刷された、収集および交換目的で販売される鑑賞用または対戦ゲーム用のカード」です。印刷される対象は、スポーツ選手、アニメキャラ、アイドル、ファンタジー作品など非常に多岐にわたります。
希少度の高いカードや対戦時に強力な効果を持つカードは価値が高いとされ、ものによっては数百万円以上の高値で取引されています。
トレーディングカードの唯一性・希少性といった価値を保証するために、信頼できるカード鑑定会社というものが存在します。BGSとPSAの2社が有名で、それぞれの評価基準は微妙に違えど、
- 本物であることの証明:カードが専用のハードケースに入れられる
- 唯一性の付与:カードに固有番号が振られる
- 希少性を担保:非常に厳しい評価基準をもとにカードの状態を格付けする
といったように、「価値のある1点モノ」であることが証明されます。
NFT×トレーディングカード
上記のような従来のトレーディングカードをデジタル化しようとしたとき、単に実物のカードをスキャンしただけの画像データではいくらでもコピーが出来てしまい、価値はほとんど生まれません。価値が無いということは、それをコレクションをしたり高値で取引するということもありえませんでした。
出典:pixabay
そこでNFT技術を用いて、デジタルデータに対して本物のトレカのような唯一性・希少性をもたせたのがNFTトレカです。
NFTによって「替えが効かないもの」化されるだけでなく、これまでの歴代所有者や取引履歴が記録される点が、従来のトレカにはないメリットです。さらにデジタルデータであるため、静止画に限らず音声や動画をトレカ化できる点も、NFTトレカの魅力の一つです。
さらに、NFTトレカはNFTマーケットプレイスで仮想通貨を使った取引が可能であったり、同じブロックチェーン内であれば異なるゲーム同士でお気に入りのカードを使えるなど、これまでのトレカには無い新しい楽しみ方も生まれています。
👉参考記事:『NFT×マーケットプレイス〜取引所の概要から選び方・それぞれの違いを解説〜』
👉参考記事:『NFT×ゲーム〜「遊んで稼ぐゲーム」について解説〜』
様々なNFTトレーディングカード
続いて、2022年時点で話題となっているNFTトレカをご紹介します。
SKE48
出典:Coincheck
日本国内で最も知られているものがSKE48のNFTトレカです。2020年10月に開催されたライブ「SKE48 Anniversary Fes 2020 〜12公演一挙披露祭〜」にあわせて、ライブ撮りおろし写真がNFTトレカ化されました。その後もライブ開催やイベントにあわせて新たなNFTトレカが続々と発売され、「人気アイドル×NFTトレカ」というトレンドを生み出しました。
また、SKE48のNFTトレカは単なるコレクションアイテムにとどまらず、後述するブロックチェーンカードゲーム「CryptoSpells(クリプトスペルズ)」とのコラボ企画によって、対戦ゲームに使用することもできるようになりました。
ブロックチェーンゲームにおいて、アイドルのトレーディングカードがゲームなどでそのまま使用できるのは日本初の試みとなり、こちらも大きな話題となりました。
ももクロメモリアルNFTトレカ
出典:ももクロNFT
ももいろクローバーZのメモリアルNFTトレカ「10周年記念東京ドームLIVE」は2021年10月に発行されました。
東京ドームで開催された結成10周年記念ライブの様子をカードにしたもので、限定2,288パックのみ販売されましたが、その希少性が注目されわずか1時間で完売しました。
CryptoSpells
出典:CryptoSpells
「CryptoSpells(クリプトスペルズ)」は、日本国内の対戦カードゲームです。先ほどまで紹介した2つはいずれもコレクション用のNFTトレカですが、CryptoSpellsは”オンライン対戦用” のカードとなります。
対戦において強力なカードや、発行枚数が限られるレジェンドカードは希少性が高く、取引所において数十万円で売買されるケースもあります。またプレイヤーは、世界に1枚だけのオリジナルカードを作成することができ、それらが売買される際に作成者は売買手数料の30%〜50%を受け取ることもできます。
先述したSKE48のNFTトレカをゲーム内で使うこともでき、今後の他のカードとのコラボも楽しみなタイトルです。
Sorare
出典:Sorare
Sorare(ソラーレ)は実在するサッカー選手を題材としたNFTトレカです。購入したNFTトレカで自分だけのオリジナルチームを作ってそのスコアを競い合います。
Sorareの最大の特徴は、選手カードの性能が現実の試合結果とリアルタイムで連動している点です。自分の持つ選手がゴールやアシストを決めると、Sorare上でも強化されます。つまり、いかにゲーム内のチームに実際に活躍している旬の選手を組み込めるかが、ハイスコアを出す鍵となってきます。
ゲーム内でスコア上位のプレイヤーには、レアカードが配布されるのに加え、報酬としてイーサリアム(ETH)が与えられます。
チームを構成するNFTトレカは、Sorare内での売買の他にも、ゲーム外のNFTマーケットプレイスによる取引によって入手できます。当然のことながら、現実世界で好成績をおさめる選手のNFTカードには人気が集中し、過去にはあのクリスティアーノ・ロナウド選手のNFTトレカが約3,200万円で売却されました。
2022年5月には、なんと米メジャーリーグベースボール(MLB)と提携することが発表され、同年夏にSorareの野球版がローンチされる予定です。
NBA Top Shot
出典:NBA Top Shot
NBA Top Shotは、北米のプロバスケットボールリーグであるNBAの選手を題材としたNFTトレカの収集や販売、展示を行うことができるNFTプラットフォームです。
NBA選手による歴史的なプレイなどのハイライト動画を ”NFTカード” として所有でき、人気選手のカードは1,000万円以上の価格で取引され、投資家の間でも話題となりました。
Sorare同様、NBA Top Shotには独自のマーケットプレイス機能が備わり、プレイヤー同士の交流やカード売買による二次流通が積極的に行われています。
まとめ
今回はデジタルのトレーディングカード:NFTトレカについて解説しました。
具体的な事例をご紹介する中でお気づきだと思いますが、NFTトレカ市場には様々なジャンルの ”公式” が大々的に参入してきています。一企業にとどまらず、欧州サッカーリーグやNBAといった、そのスポーツを代表するリーグそのものが続々と提携し、NFTトレカが非常に注目されている分野であることが分かります。
現実のトレーディングカードには「遊戯王」や「ポケモンカード」といったビッグタイトルが存在しており、仮にそれらがNFTトレカに参入することがあれば、盛り上がりはさらに加速することでしょう。
今後もNFTトレカの動向から目が離せません。