「電力の色分け」とは?グリーン電力を価値付ける新常識について解説します!

近年、再生可能エネルギーによって発電されたグリーン電力の活用がますます注目されています。環境問題への意識の高まりや持続可能なビジネス活動の推進により、グリーン電力は今後も存在感を強めていくことでしょう。一方、再生可能エネルギーの活用を進めるなかで、電力の由来を正確に区別し、把握していくことの重要性にも注目が集まっています。この際に役立つのが「電力の色分け」という概念です。

本記事では、グリーン電力の由来をトラッキングするうえで重要な役割を担う電力の色分けについて解説します。

電力の色分け=電力の調達由来を明らかにするプロセス

    電力の色分けとは、電力の情報を記録・分類することで、再生可能エネルギー由来の電力(グリーン電力)とそれ以外の系統から送電された非再エネ由来の電力(化石燃料や原子力などによって発電)などのように、電力の調達由来によって、本来は物理的に区別することのできない電力をデータ上で区別するプロセスのことです。

    通常の電力供給の仕組みでは、発電所からはロスを防ぐために高い電圧で送電し、各地に設置された変電所で電圧を下げて送電先へと電気を送り届けます。この際、電力ごとにバラバラとなっている周波数や電圧を同期させることで、発電の種別に関係なくすべての電力を混ざり合わせます。

    この送配電網を一つの巨大なプールと見立てて「パワープール」と呼びますが、パワープールでは、効率的な送配電が可能になる一方で、消費者が使用する電力が特定の発電所から供給されたものかどうかを識別することが非常に困難です。さらに、電力はリアルタイムで消費されるため、特定の発電元からの電力を蓄えて追跡することもできません

    こうした背景から、電力に色を付けてトラッキングを可能にする技術への関心が寄せられました。

    世界中で電力色分けへの関心が高まっている

    近年では、再生可能なエネルギー源、特に太陽光発電や風力発電が急速に普及しつつあります。これに伴って電力供給の多様化が進み、どのエネルギー源からの電力が使用されているかを明確にする必要性が高まっています。

    とくにヨーロッパやアメリカにおいてはGO(Guarantee of Origin)REC(Renewable energy certificate)と呼ばれる再生可能エネルギー証書が存在しており、どこでどの発電方法で作られたのかなどの電力に関する情報を電力そのものと結び付けてITで管理するトラッキングシステムも導入されるなど、各種制度化も始まっています。

    このように世界に目を向けると、電力の色分けは消費者に対して使用している電力の出所を視覚的に示す手段として役立っており、政策の実施をサポートするための重要なツールとして認識されています。

    日本においても非化石証書などの電力証書が発行され、CO₂を排出しない電力の証明手段として標準的に使用されてきましたが、従来の非化石証書にはエネルギー源の種類が明示されていないなど、海外の電力証書と比べると電力のトラッキングが不十分な点が多く、信頼性が担保されているとは言い難い状況でした。

    そんな現状を踏まえ、JEPX(日本卸電力取引所)では非化石証書のトラッキングのあり方を見直す考えを示しており、2024年以降は全量トラッキングを行っていくと発表しています。

    非化石価値取引に関するお知らせ|JEPX(日本卸電力取引所)

    現在、再エネ電力のデータトラッキングは世界中で注目を集める領域であり、電力を調達由来に基づいてしっかりと色分けすることは今後、避けては通れないでしょう。

    そもそもグリーン電力とは?

    出典:shutterstock

    電力の色分けは前述の通り、基本的には再エネデータのトラッキングに用いられる概念であり、グリーン電力の電力価値を正確に裏付けている概念です。しかし、そもそも「グリーンな」電力とは一体どのような電力を指すのでしょうか?ここからは、グリーン電力の定義も含めて電力の「色」とはどのような概念なのかについて説明します。

    グリーン電力=再生可能エネルギー由来の電力

    発電に使用されるエネルギーは大きく分けて「枯渇性エネルギー」と「再生可能エネルギー」に二分されますが、再生可能エネルギーは発電時にCO₂を排出せず、環境に優しいエネルギーとして徐々に発電における割合を増加させている次世代のエネルギーです。

    グリーン電力はそんな脱炭素社会の実現を支える再生可能エネルギーを利用して発電された電力のことを指します。代表的な再生可能エネルギーは以下の通りです。

    太陽光発電

    太陽光発電は、太陽の光をソーラーパネルとパワーコンディショナーを用いて電気エネルギーに変換する技術です。ソーラーパネルの設置は比較的容易で、発電事業者に限らず一般家庭等でも持続的なエネルギー供給が期待できます。

      水力発電

      水力発電は、河川やダムを利用し、高低差のある場所を水が流れる際の落差などから発電する方法です。設備寿命が長く、長期にわたる安定した稼働を特徴としています。日本は明治時代という早い時期から水力による発電を開始し、高い技術力を確立してきました。水に恵まれた日本の純国産エネルギーと言い換えることもできるでしょう。

        風力発電

        風力発電は、風の力を活用してタービンを回転させ、その動力を発電機でエネルギーに変換する発電方法のことをいいます。山間部や海岸などに設置される「陸上風力」と、海洋上に設置される「洋上風力」の2種類があり、いずれも時間帯の影響を受けずに発電が可能で、持続的でエコロジカルなエネルギーです。

          地熱発電

          地熱発電は、地下から地熱エネルギーによる蒸気を取り出し、タービンを回して発電を行う方法です。地熱発電所の設置には大規模な掘削作業が必要であるため初期投資が高額になってしまうものの、日本は世界でも有数の火山国であり、地熱資源量は世界第3位とされています。

            バイオマス発電

            バイオマス発電は、有機物をエネルギー源として発電する技術です。ほかの発電方法よりも木材、農業残渣、食品廃棄物といった様々な地域資源を有効活用できるため、地元の経済活性化や雇用創出、エネルギー自給率の向上に寄与します。

              このほかにも、雪氷熱利用や海洋温度差発電、ユニークなものでは音力発電や電磁波発電など、その種類は多岐にわたります。発電方法が次々と生まれているのも、グリーン電力ならではの特徴だといえるのではないでしょうか。

              電力にはグリーン以外にも様々な「色」がある

              電力にはグリーン以外にも、それぞれの属性に応じて色が割り振られているケースがあります。最も一般的なのは上記のグリーン電力と、枯渇性エネルギーから発電される「ブラウン」な電力ですが、そのほかにも電力会社ごとに定義に応じて「水力発電による電気はブルー」などのように色分けがなされています。

              また、色分け以外にも、アイコンや記号を用いて再生可能エネルギーの種類を示している場合もあります。ただし、これらの色分けには統一的な基準があるわけではなく、国や地域によってもバラつきがあるということには注意が必要です。

              なぜ電力に「色」が必要なのか

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              電力色分けの概要やその背景について理解したところで、今度は電力に「色」をつけるとどのような利点があるかについて見ていきましょう。電力の色分けには以下のようなメリットがあります。

              正確なトラッキングをするため

              電力の取引経路や供給源が記録されることで、CO₂排出量の追跡や環境への影響評価を正確に行うことが可能になります。一般的な電力データではグリーン電力の総使用量を把握することこそ可能なものの、発電源ごとの詳細なデータがなければ、正確なCO₂削減量の評価は困難を極めます。

              なぜなら、同じ再エネ由来の発電方法であったとしても、有機物の燃焼による発電と太陽光による発電ではCO₂排出量が大きく異なるからです。電力に色をつけてその由来を把握することにより、正確なCO₂排出量を把握することができ、より具体的な環境影響評価も可能となるでしょう。

              企業の不正を防止するため

              上述の理由によって企業の持続可能性や社会的責任を客観的に評価することで、企業の環境活動に際して不正を働く余地を減らすことができます。近年、環境やサステナビリティに取り組んでいるように見せかけ、その広告効果や投資、税制面での優遇といった恩恵を不正に享受する「グリーンウォッシュ」が大きな社会問題となっています。

              事実、私たち消費者が購入前にグリーンウォッシュを疑ったり、サステナビリティについて正確な数値を手に入れるのは不可能に近く、企業の主張を信じざるをえない、まさに「言った者勝ち」の状況です。こうした見せかけの環境保護対策は、誰しもが知っているような大企業で行われるケースもあります。また、環境価値に関する証書もダブルカウントの懸念が付きまとい、その信憑性については常に議論の的となっています。

              こうしたケースにおいて、電力データをトラッキングすることは、サプライチェーンにおけるGHGの排出量算定やDPP(デジタル・プロダクト・パスポート)におけるカーボンフットプリントなどに透明性を与えます。「実際に環境負荷削減に貢献しているのか」を詳らかにすることで、企業の健全な経営を促進できるでしょう。

              効率的なエネルギー管理をするため

              電力供給のリアルタイムデータを細かく管理することで、発電源ごとの供給状況に応じて電力の配分を最適化し、需給バランスの効率化を図ることができます。

              電気は発電と消費が同時に行われ、基本的に貯めることができません。そこで現在の仕組みでは、電力需要を予測して発電計画を立て、発電所の稼働や出力を調整して需給バランスを保っています。そのため、再エネによる電力供給が過剰になった場合、電力会社では発電量と使用量のバランスを保つべく、再エネの発電を一時的に停止する「出力制御」が起こり、非効率的なエネルギー管理となっています。

              朝日新聞の集計によると、2023年に制御された電力量は全国で計約19・2億キロワット時に達しており、これは約45万世帯分の年間消費電力量に相当する量だそうです。こうしたエネルギーの廃棄を起こさないためにも、リアルタイムで再エネの発電状況を可視化し、その色付けされたデータを用いて、発電量の調整をすることが必要でしょう。

              電気の購入者が生産者を選べる

              電気の購入者が生産者を選べることも、電力の色分けがもたらすメリットといえるでしょう。2016年に行われた電力の自由化に伴い、消費者は自分で電気の生産者を選択して契約を結ぶことが可能になりました。

              電気の小売業への参入が全面自由化されると、新規の小売業者は、トラッキングしたデータをもとに「地産地消」「地域間連携」「地域貢献」といった特色のあるプランを提供し、消費者の選択の幅が大きく広がる結果となりました。

              今後は国内のみならず、国境の垣根を超えた電力供給も実現するかもしれません。

              電力の色分けに潜む3つの課題

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              電力の色分けには、いくつかの課題や障壁が存在します。これらを理解し、克服することが持続可能なエネルギー政策の推進に向けた重要な一歩となります。

              データの信頼性

              電力の色分けにおいて最大の課題は、データの正確性と信頼性です。正確な電力供給源や取引履歴を記録するには、様々なデータソースとの連携が必要です。しかしながら、そのなかのデータが不正確なものであった場合、要所要所で辻褄が合わなくなってしまいます。

              日本では、企業を中心として一定の再エネニーズがあるものの、「本当に再エネ電源なのかどうか?」「原子力発電は含まれていないのか?」というような正確な属性をトラッキングして第三者が認証する仕組みはいまだ十分ではありません。また、トラッキングが不十分なことで環境価値が二重計上されてしまうケースもあります。

              こうしたデータの一貫性や精度を確保することが難しいという問題は、常に電力の色分けについて回る課題だといえるでしょう。

              システムの複雑さ

              そもそも送配電の仕組みは技術的に複雑であり、送電時のロスなど複数の要因によって正確な電力量を把握することは容易ではありません。現在の技術では、電力の供給元を個別に識別して追跡するためのシステムが十分に確立されておらず、電力の色分けを難しくしている要因の一つとなっています。デジタルグリッドなどの新しい技術によって、電力の供給元をより詳細に特定する試みがされていますが、実現には多くの技術的および運用上の課題が残っています。

              さらに、電力に関係する事業者が多いこともデータの統合をより困難なものとしています。電力自由化以前は特定企業が独占していた電気事業も、いまや様々なプレイヤーが参入しており、統一的なプラットフォームをイチから練り上げるのはもはや至難の業です。データ自体の取得以外にもこうした課題が潜んでいる点には注意が必要です。

              法的・規制上の課題

              法的課題もまた、電力の色分けに立ちはだかる課題となっています。電力に色を付けてトラッキングをするということは、電力そのものに情報を与えるということです。この際、個人の電力使用データが電力会社から第三者に開示される可能性があります。そのため、「どのような情報が開示されるのか」「誰がその情報にアクセスできるのか」「情報の漏洩対策」といった点について、予め明確なルールを設ける必要があります。

              また、国際的なルールとも協調していく必要があります。電力に限らず、エネルギー市場では異なる法律や規制が存在し、これらが乱立しているケースも少なくありません。国内で統一的なルール作りを進めたとしても、国際社会においては基本的にEUやアメリカが主導した規則がスタンダードになっていくことが予想されます。したがって、ガラパゴスな制度となってしまわないよう、全世界的な枠組みとうまく調整していく姿勢が求められます。

              電力の色分けにおいて「ブロックチェーン」の活用が注目されている

              前述のような課題を克服するためには、技術的な革新が必要不可欠です。そのソリューションの一つとして現在、「ブロックチェーン」の活用が注目されています。データの信頼性と透明性を高めるこの技術は、持続可能なエネルギー政策の実現するうえで役立ちますが、あまり知名度は高くありません(ビットコインなど金融分野で名前を聞いたことがある方は多いかもしれませんが)。

              ここからは、そんなブロックチェーン技術について解説します。

              そもそもブロックチェーンとは?

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              ブロックチェーンは、2008年にサトシ・ナカモトと呼ばれる謎の人物によって提唱された暗号資産「ビットコイン」の中核技術として誕生しました。

              ブロックチェーンの定義には様々なものがありますが、噛み砕いていうと「取引データを暗号技術によってブロックという単位でまとめ、それらを1本の鎖のようにつなげることで正確な取引履歴を維持しようとする技術のこと」です。

              取引データを集積・保管し、必要に応じて取り出せるようなシステムのことを一般に「データベース」といいますが、ブロックチェーンはそんなデータベースの一種です。その中でもとくにデータ管理手法に関する新しい形式やルールをもった技術となっています。

              ブロックチェーンにおけるデータの保存・管理方法は、従来のデータベースとは大きく異なります。これまでの中央集権的なデータベースでは、全てのデータが中央のサーバーに保存される構造を持っています。したがって、サーバー障害や通信障害によるサービス停止に弱く、ハッキングにあった場合に、大量のデータ流出やデータの整合性がとれなくなる可能性があります。

              これに対し、ブロックチェーンは各ノード(ネットワークに参加するデバイスやコンピュータ)がデータのコピーを持ち、分散して保存します。そのため、サーバー障害が起こりにくく、通信障害が発生したとしても正常に稼働しているノードだけでトランザクション(取引)が進むので、システム全体が停止することがありません

              また、データを管理している特定の機関が存在せず、権限が一箇所に集中していないので、ハッキングする場合には分散されたすべてのノードのデータにアクセスしなければいけません。そのため、外部からのハッキングに強いシステムといえます。

              ブロックチェーンでは分散管理の他にも、ハッシュ値と呼ばれる関数によっても高いセキュリティ性能を実現しています。

              ハッシュ値は、ハッシュ関数というアルゴリズムによって元のデータから求められる、一方向にしか変換できない不規則な文字列です。あるデータを何度ハッシュ化しても同じハッシュ値しか得られず、少しでもデータが変われば、それまでにあった値とは異なるハッシュ値が生成されるようになっています。

              新しいブロックを生成する際には必ず前のブロックのハッシュ値が記録されるため、誰かが改ざんを試みてハッシュ値が変わると、それ以降のブロックのハッシュ値も再計算して辻褄を合わせる必要があります。その再計算の最中も新しいブロックはどんどん追加されていくため、データを書き換えたり削除するのには、強力なマシンパワーやそれを支える電力が必要となり、現実的にはとても難しい仕組みとなっています

              また、ナンスは「number used once」の略で、特定のハッシュ値を生成するために使われる使い捨ての数値です。ブロックチェーンでは使い捨ての32ビットのナンス値に応じて、後続するブロックで使用するハッシュ値が変化します。

              コンピュータを使ってハッシュ関数にランダムなナンスを代入する計算を繰り返し、ある特定の条件を満たす正しいナンスを見つけ出します。この行為を「マイニング」といい、最初に正しいナンスを発見したマイナー(マイニングをする人)に新しいブロックを追加する権利が与えられます。ブロックチェーンではデータベースのような管理者を持たない代わりに、ノード間で取引情報をチェックして承認するメカニズム(コンセンサスアルゴリズム)を持っています。

              このように中央的な管理者を介在せずに、データが共有できるので参加者の立場がフラット(=非中央集権)であるため、ブロックチェーンは別名「分散型台帳」とも呼ばれています。

              こうしたブロックチェーンの「非中央集権性」によって、データの不正な書き換えや災害によるサーバーダウンなどに対する耐性が高く、安価なシステム利用コストやビザンチン耐性(欠陥のあるコンピュータがネットワーク上に一定数存在していてもシステム全体が正常に動き続ける)といったメリットが実現しています。

              データの安全性や安価なコストは、様々な分野でブロックチェーンが注目・活用されている理由だといえるでしょう。

              詳しくは以下の記事でも解説しています。

              ブロックチェーンを使うと何が良い?

              上述の通り、耐改ざん性に優れたデジタル技術であるブロックチェーンは、電力の色分けにおける最大の課題となっているデータの信頼性の問題を解決へと導きます。

              現在、社会的責務に基づき、自社のサプライチェーン全体でCO₂排出削減を進めている企業は増加傾向にあります。しかし、対外的に公表をするのであれば、データベースで電力のトラッキングを行うだけでは完全に信頼性を担保することはできません。なぜなら、社内不正の可能性を排除しきれていないからです。

              経営層が公表する数値を書き換えてしまうことは容易に想像できますが、サプライヤーや現場レベルにおいては、急進的に環境経営を主導する経営層とのギャップやプレッシャーから不正に手を染めてしまうケースも考えられます。似たようなケースでいうと、自動車業界における認証不正の問題も、過度に短い開発スケジュールや納期順守のプレッシャーから現場レベルで起こってしまった問題でした。

              このような問題意識で見直すと、従来のデータベース管理システムはファイアウォールや物理的なセキュリティ(施設の施錠など)によってセキュリティを保つ一方で、管理者権限による改ざん、つまり内部不正のリスクを拭うことができません

              それに対してブロックチェーンでは、ブロックをハッシュ値で結ぶデータ構造、加えて情報を記録する際にコンセンサスアルゴリズムという独自の承認が必要な仕組みになっているため、管理者であっても簡単にデータを書き換えることはできません。したがって、データの信頼性を担保するうえで非常に強力なツールとなるでしょう。

              実際の電力色分けに関する当社事例を紹介!

              ブロックチェーンの開発・導入支援を行っている当社においても、電力の色分けに関するご相談を多くいただきます。ここからは、過去に当社がブロックチェーンを用いて電力の色分けを実現した実際の事例についてご紹介いたします。

              出光興産株式会社

              出光興産株式会社では、再生可能エネルギー由来の電力を色分けし、分別供給するシステム「IDEPASS™」と、EVユーザー向けの充電システム「再エネチョイス™」を開発し、2023年4月から実証を開始しています。同システムでは、ショッピングモールや空港、庁舎といった施設において、供給される電力を再エネ電力とそれ以外の電力に分別し、利用者がどちらを使用するかを選択できる仕組みを提供しています。

              従来の電力供給の仕組みでは、施設単位では使用電力の選択はできたものの、複数の入居者が存在する単一の施設に供給される電力については、テナントや部屋単位での使用電力の選択はできませんでした。また、電力の取引は一般的には30分単位で行われており、リアルタイム性に欠ける仕組みで記録されています。

              しかし、「IDEPASS」においては、ブロックチェーン技術による高いトレーサビリティとデータの信頼性を活用することで、従来の類似システムよりも細やかな「分別単位」(分電盤設置単位)で供給電力を分別・可視化し、電力を分別供給することが可能になりました。また、取引の間隔についても発電から消費の流れを捕捉する電力取引管理システムを1分単位で運用することで、EV充電のようなごく短時間の電力供給においても再エネ電力の供給を選択することができます。このような仕組みにより、テナントごと、分電盤設置状況によっては部屋ごとに、ユーザー自身がどの電力を使用するのかを選択することができる仕組みが構築されています。

              実証は種子島空港や南種子町役場で4年間にわたって実施される見込みであり、小規模オンサイトPPAの事業性、再エネ電力活用によるCO₂の排出削減、従量課金制充電の顧客満足・事業性等について検証を行う予定です。

              当社では今後もこれらのシステムの全国展開を進め、低炭素エネルギーの地産地消推進と、EVユーザーと地域の充電事業運営者にとって最適なサービスの構築を目指していく方針です。

              長州産業株式会社・山口日産自動車株式会社

              山口県ものづくりDXトライアル実証プロジェクト(令和5年度)において、長州産業株式会社・山口日産自動車株式会社はブロックチェーン技術を活用したEV充電時の再生エネルギー利用率を見える化できるデータ基盤の実証を行いました。

              このプロジェクトでは、将来山口県や複数企業での共同管理が可能なデータ基盤の構築を目指し、EV充電時の電力の色分け(再エネ or 系統電力)による環境価値への寄与を確認しました。

              従来、企業のEV導入が進む中で、充電時の電力源(再生可能エネルギー or 系統電力)を把握することは困難でした。そのため、企業が脱炭素化を進める上で、EV導入における環境貢献度を正確に評価することができず、定期的な算定・報告・削減活動が難しい状況にありました。

              実証ではこの課題を解決するために、耐改ざん性や透明性に優れたブロックチェーン技術を用いて、EV充電時の再エネ利用量を記録するデータ基盤を実証構築しました。具体的には各拠点で充電時の再エネ・系統電力消費量を計測し、計測結果をブロックチェーンに記録することで、特定の管理者に依存せずに運用・拡張が可能なオープンデータのプラットフォーム(再エネ利用記録基盤)の実用性を確認しました。

              また、施設ごとの発電量やEV充電データを見える化した結果、新たなサービス案の検討にもつながるなど、EVの充電電力データの再エネ比率を確認できることで環境意識も向上しました。

              現段階ではステーションデータのアップロードが手動で行われているため、自動でクラウドへ連携する技術の検討が必要になるなど課題も残されています。こうした課題を解決すべく、当社では今後も国や地方自治体との地域連携の仕組みづくりを通してユーザー利用のEVからの環境価値の収集を目指していきます。

              まとめ

              本記事では、再エネデータに必要な電力の色分けについての解説を行いました。この言葉は一般的にはまだ認知されていないかもしれませんが、エネルギー事業者の間ではホットなキーワードとなっており、次第に消費者の認知・理解も進んでいくことでしょう。

              また、それと並行してブロックチェーン技術が発展することにより、電力の色分けはさらに進化し、持続可能なエネルギー政策の推進に寄与することが期待されます。透明性と効率性が高まり、再エネの普及にも一役買うでしょう。

              トレードログ株式会社では、非金融分野のブロックチェーンに特化したサービスを展開しております。ブロックチェーンシステムの開発・運用だけでなく、上流工程である要件定義や設計フェーズから貴社のニーズに合わせた導入支援をおこなっております。

              ブロックチェーン開発で課題をお持ちの企業様やDX化について何から効率化していけば良いのかお悩みの企業様は、ぜひ弊社にご相談ください。貴社に最適なソリューションをご提案いたします。