2022.05.02
物流専門誌『流通ネットワーキング 2022年5・6月号』に代表の藤田が寄稿しました
(「RFID×ブロックチェーン〜本番導入の事例と視点〜」)
https://www.nikko-pb.co.jp/products/detail.php?product_id=5291





2022.05.02
物流専門誌『流通ネットワーキング 2022年5・6月号』に代表の藤田が寄稿しました
(「RFID×ブロックチェーン〜本番導入の事例と視点〜」)
https://www.nikko-pb.co.jp/products/detail.php?product_id=5291
以下3種類のセミナーのうち、ご都合の良い日程でご参加ください。
①非金融ブロックチェーン入門
5月26日(木) 10:00〜10:30
5月30日(月) 10:30〜11:00
②ブロックチェーン導入の落とし穴
5月26日(木) 10:30〜11:00
5月30日(月) 11:00〜11:30
③データベースで十分なブロックチェーン導入
5月26日(木) 11:00〜11:30
5月30日(月) 10:00〜10:30
Zoom (お申し込みいただいた方にご参加URLを送付いたします。)
■このような方にお勧めです。
事業企画部門・DX推進部門向けに、ブロックチェーンを活用したオンラインセミナーを開催いたします。過去に100社以上の方々にご参加いただいたセミナーでは、上記のような悩みを抱えた方々にご参加いただき、大変ご好評いただきました。
弊社では質問しやすい少人数にこだわって実施しておりますので、ぜひお気軽にご参加ください。
■対象者:
展示会にてご挨拶をさせていただいた方を中心にご案内しておりますが、
展示会に来場できなかった方もご参加いただけます。
※今のところ社内提案までは考えてないが、将来に向けて座学をしたい、という初期フェーズの方にはあまり向かない内容となっております。予めご了承ください。
※当社と競合する可能性のある企業様はご参加をお断りさせていただく可能性がございます。予めご了承ください
■過去にご参加いただいたお客様の声:
「事業企画の3つの敵という切り口が面白かった。ブロックチェーン企画は上司が一度失敗しているので、ポイントをおさえて進めたい」(耐久消費財・デジタルイノベーション推進担当)
「アイディアの斬新さよりも役員や他部署が協力したくなる味付けが必要という言葉にうなづくことしきりでした。」(生活サービス、社長室)
「当社は非常にニッチな業界の下請けですが、『そのポジションでこそ光る技術』という言葉を聞いて大きな勇気をもらえました」(専門系調査・コンサルティング業、研究所)
各回3〜5名の少人数にて実施(応募者多数の場合は抽選となります) 。
下記よりお申し込みください。
「お問い合わせ概要」で「 イベント・セミナーのお申し込み」をチェックの上、
「お問い合わせ内容」にご希望のセミナーと日時をご記入ください。
2022年現在、流通業界では、ブロックチェーンをはじめとする先進技術によってプロセスイノベーションを起こすべく、各社で大規模な技術開発や実証実験が行われています。
例えば、IBMが、コンテナ船世界最大手のA.P. Moller-Maersk(A.P.モラー・マースク、以下マースク)との共同でブロックチェーン基盤の海上物流プラットフォーム「TradeLens」を構築した他、世界最古の医薬品・化学品メーカーであるMerck KGaA(メルク・カーゲーアーアー、以下メルク)と共に偽造品対策プラットフォームを立ち上げています。
また、アジアに目を転じてみても、中国EC市場シェア2位のJD.com(下図)がブロックチェーンに関連する200件超もの特許を申請したという報道がなされるなど、世界最大の人口を抱える中国においても、物流のシステム全体をブロックチェーンによって強化していく流れがみられています。
出典:JD.com
さらに、ロジスティックプロバイダーAlbaによるIPRブロックチェーン活用の実証実験参加、サプライチェーンロジスティックソフトウェアを開発するSwivel Softwareの国際間取引プラットフォームGlobal eTrade Services (GeTS)への参画など、特に物流領域では、ブロックチェーンを活用したプラットフォーム構築競争が盛んにおこなわれています。
👉参考記事:『ブロックチェーン物流は何を実現する?ビジネスの仕組みと活用事例!』
こうした流れの中、国内でも特に注目されている分野の一つが、「コールドチェーン(低温流通体系)」を実現するための「温度管理」です。
コールドチェーンとは、生鮮食品や医薬品などを生産・輸送・消費の過程で途切れることなく低温に保つ物流方式、つまり「徹底的に温度管理されたサプライチェーン」のことで、商品の品質管理が問われる食品業界や医薬品業界においては、最も重要なプロセスと考えられています。
出典:国土交通省
実際に、2018年12月には、厚生労働省が日本版GDP(Good Disribution Practice=適正流通基準)ガイドラインを発出。
品質マネジメントや業務オペレーション、適格性評価など、医薬品の流通過程全般に関わる複数の基準が設定されていますが、その中でも、トレーサビリティと並んで最大の要件と考えられているのが温度管理システムなのです。
また、米国FSMA[FDA(U.S. Food and Drug Administration) Food Safety Modernization Act]や欧州GDP(Good Distribution Practice)による食料品・医薬品の貨物管理規制強化の影響も大きいでしょう。
同規制強化により、海外売上高比率の高い日本企業にも迅速な対応が求められており、コールドチェーン管理の改革および市場の拡大が見込まれています。
そして、日本でも、医薬品、食料品、化学品、農産物など、温度管理を必要とする幅広い業界でのコールドチェーン・イノベーションが求められています。
👉参考記事:『ブロックチェーンのトレーサビリティへの応用〜食品・物流・偽造品対策〜』
既存のコールドチェーンには、「データロガー」と呼ばれる温度管理システムが用いられており、各ロガーから得た情報を事後管理するやり方が一般的でした。
しかし、データロガーを用いた方法では、リアルタイムの状況に合わせた温度管理ができないばかりか、コストの観点からも、適用できるのはトラックやコンテナ輸送のような、商品が集積された管理形態に限定されてしまい、コールドチェーンで求められる、個別商品単位でのきめ細かな管理ニーズに応えることができません。
この課題を解決するために、近年は、QRコードやRFID(Radio Frequency IDentification)と呼ばれるツールが利用され始めています。
<例:日立の温度検知ラベルに利用されるQRコード>
出典:日立製作所
RFIDとは、「RFIDタグと呼ばれる媒体に記憶された人やモノの個別情報を、無線通信によって読み書き(データ呼び出し・登録・削除・更新など)をおこなう自動認識システムのこと」で、「RFIDタグを読み取り機などにかざすことによって、情報(製造年月・流通過程・検査情報など)が表示機器に表され、さらに新しい情報を書き込むことで、製品の流れや人の入退場などが一元管理でき」ます(公益財団法人流通経済研究所2018より)。
こうしたツールを活用することで、新しいコールドチェーンでは、商品ごとの個別情報を一元管理し、各商品に個別最適化された温度管理を行うシステム(つまりはIoTシステム)が実現されると言われています。
そして、ここで生じるデータを一元管理するプラットフォームこそ、ブロックチェーンプラットフォームです。
RFIDとブロックチェーンによるオープンプラットフォームを構築することで、リアルタイムに関係各社で受発注・決済・所有権移転も含めたトレーサビリティを一元管理できるようになると期待されています。
ブロックチェーン(blockchain)は、2008年にサトシ・ナカモトによって提唱された「ビットコイン」(仮想通貨ネットワーク)の中核技術として誕生しました。
ビットコインには、P2P(Peer to Peer)通信、Hash関数、公開鍵暗号方式など新旧様々な技術が利用されており、それらを繋ぐプラットフォームとしての役割を果たしているのがブロックチェーンです。
ブロックチェーンの定義には様々なものがありますが、ここでは、「取引データを適切に記録するための形式やルール。また、保存されたデータの集積(≒データベース)」として理解していただくと良いでしょう。
一般に、取引データを集積・保管し、必要に応じて取り出せるようなシステムのことを一般に「データベース」と言いますが、「分散型台帳」とも訳されるブロックチェーンはデータベースの一種であり、その中でも特に、データ管理手法に関する新しい形式やルールをもった技術です。
ブロックチェーンは、セキュリティ能力の高さ、システム運用コストの安さ、非中央集権的な性質といった特長から、「第二のインターネット」とも呼ばれており、近年、フィンテックのみならず、あらゆるビジネスへの応用が期待されています。
ブロックチェーンの主な特長は、①非中央集権性、②データの対改竄(かいざん)性、③システム利用コストの安さ、の3点です。
これらの特長は、ブロックチェーンが従来のデータベースデータとは異なり、システムの中央管理者を必要としないデータベースであることから生まれています。
ブロックチェーンと従来のデータベースの主な違いは次の通りです。
従来のデータベースの特徴 | ブロックチェーンの特徴 | |
---|---|---|
構造 | 各主体がバラバラな構造のDBを持つ | 各主体が共通の構造のデータを参照する |
DB | それぞれのDBは独立して存在する | それぞれのストレージは物理的に独立だが、Peer to Peerネットワークを介して同期されている |
データ共有 | 相互のデータを参照するには新規開発が必要 | 共通のデータを持つので、相互のデータを参照するのに新規開発は不要 |
ブロックチェーンは、後に説明する特殊な仕組みによって、「非中央集権、分散型」という特徴を獲得したことで、様々な領域で注目・活用されているのです。
2017年末、日立製作所は、コールドチェーン上での個別商品の品質管理を、温度検知ラベルを用いてIoT化・一元管理する、FCPF(Food Chain Platform、フードチェーンプラットフォーム)構想の実証実験を開始しました。
「東南アジアでは、近年の経済発展とともに高所得者層が増加し、品質管理された食品への要求が高まる一方で、コールドチェーンが未発達なことにより品質管理された食品が十分に消費者に提供されていない」ことを背景に、高品質な食品を提供するコールドチェーン物流を構築することが狙いです。
出典:日立製作所
本プロジェクトでは、同社が開発した温度検知ラベルを用いることで、商品ごとに個別に、しかも安価に取り付けることができるため、輸送単位を限定することなく、生産者から消費者までのすべての工程で適切な温度管理を行うことができるとされています。
出典:日立製作所
同社は、「FCPFは温度検知ラベルのほかに、ブロックチェーン、ロジスティクス管理、画像診断/AI(Artificial Intelligence)、保冷ボックス、鮮度・熟成度シミュレータなど複数の日立の強み技術を活用し、食品の品質管理、トレーサビリティ、ダイナミックマッチング、物流指示などのサービスを提供することで、生産、卸、物流、小売り、さまざまなステークホルダーの要求に応じた価値を提供する」ことで、「従来よりも安価なコストできめ細やかな温度管理」を実現するとしています。
本プロジェクトは、センシングデバイスとIoT技術、AI、そしてブロックチェーンを組み合わせることで、コールドチェーンの課題をDXで解決しようとする好例だと言えるでしょう。
👉参考記事:『IoT、ブロックチェーン、AI。ビッグデータを活用したDXとは?』
2020年、先述の日本版GDPを受けて、日本通運では、「Pharma2020」と呼ばれる1000億円規模の投資プロジェクトを開始しました。
同社によると、「プロジェクトでは、全国4か所(埼玉県、大阪府、福岡県、富山県)に医薬品専用センターを新設するほか、GDP基準に準拠した医薬品専用車両を開発し、全国を網羅した医薬品サプライネットワーク」の構築が予定されています。
同プロジェクトの中核をなしているのが、インテルと共同開発するIoTデバイスGCWA(Global Cargo Watcher Advance)を基幹技術としたブロックチェーン・プラットフォームです。
出典:日本通運
GCWAは、従来の温度管理デバイスであるデータロガーと異なり、ウェブ上にリアルタイムで個別商品の計測データをアップすることができるため、これまで「”空間”レベルにとどまっていた」温度管理を「個体レベルで温度や湿度、衝撃などの動態管理」へと昇華させることができるとされています。
そして、このGCWAを中心に取得された物流情報(温度モニタリング、輸配送状況、在庫状況など)と、トレーサビリティによる流通情報(受発注、決済、所有権移転など)を一元化するために活用されているのが、ブロックチェーンです。
ブロックチェーンを使うことで、中央管理者を排除したオープンプラットフォームの実現が期待されています。
2021年には、NTTデータが、ブロックチェーン技術をベースとしたDX推進ソリューション「BlockTrace®」の提供を開始しました。
同社によると、「BlockTraceは、ブロックチェーンプラットフォームおよび同プラットフォーム上のアプリケーションにより、お客さまのDXを推進するソリューションであり、今後NTTデータのブロックチェーン関連のサービスも含め、BlockTraceブランドでの展開を図」るとされており、その中の一つに、コールドチェーンの課題解決に向けたアプリケーションが含まれています。
出典:NTT DATA
その名も、「BlockTrace for Cold Chain」。
BlockTrace for Cold Chainでは、「輸送中の位置情報・温度管理情報をブロックチェーン上に書き込むことで、生鮮食品の品質状態を見える化し、エンドユーザーに訴求することができるため、商品価値の向上を見込むことができ」る他、「医薬品や化学品などのセンシティブな温度管理輸送が必要なシーンにも応用でき」る「低温輸送保証をサポートするソリューション」であるとされています。
他にも、「サプライチェーンにおける情報共有ソリューション」である「BlockTrace for Supply Chain」等のアプリケーションも用意されており、これら複数のソリューションを組み合わせることで、コールドチェーンの課題解決が期待できるでしょう。
2021年現在、ブロックチェーン技術を活用したDeFi(ディーファイ)という金融システムが注目を集めています。分散型金融とも訳されるDeFiは、中央管理者を排除することでサービスへのアクセシビリティを向上させ、金融市場の新たな可能性を広げると期待されています。DeFiの事例であるDEXやレンディングと併せて解説します!
2008年の誕生以来、ブロックチェーンは、ビットコインをはじめとした暗号資産(仮想通貨)、スマートコントラクトを利用した自動決済システム、ICOやSTOといった資金調達方法、トークンエコノミー、自立型分散組織(DAO)の形成など、様々な領域で活用されてきました。
こうした中、金融領域でのブロックチェーン活用方法として、その功罪を問わず、近年特に注目されているのがDeFi(ディーファイ)です。
例えば、日本銀行は、決済システムの整備などを担当する決済機構局から、「自律的な金融サービスの登場とガバナンスの模索」と題した日銀レビューシリーズを公開し、その中で既存金融との比較対象としてDeFiを捉え、そのメリットとリスクについて考察を明らかにしています。
また、8月10日には、DeFiのプラットフォームを運営するPoly Networkがハッキングを受け、約660億円相当の暗号資産(仮想通貨)が不正に流出したことを発表するなど、理論にとどまらず、すでに実業の世界でも大きな影響力をもっています。
DeFiとは、ブロックチェーンを用いて、金融機関を介さずに無人で金融取引を行う仕組みのことです。
Decentralized Financeの略で、”分散金融/分散型金融”などとも訳されます。
金融市場には、証券や保険、デリバティブやレンディングといった様々な金融サービスが存在していますが、従来、これらはすべて金融機関による中央一括管理がなされてきました。
これに対して、DeFiでは、ブロックチェーンを活用することで、各種金融サービスにおける中央一括管理をなくし、信用履歴審査や本人確認なしに誰でもサービスを利用できる仕組みが構築できます。
DeFiには主に3つの特徴があります。
最大の特徴は、中央管理者である金融機関の排除です。
これにより、従来、中央管理者が仲介業務を行うことで発生していた業務コストや手数料を省くことが可能になります。
また、中央管理者が不在であることから、インターネット上でのやり取りが可能になり、結果として地域に左右されず利用可能になる、つまり金融サービスへのアクセシビリティが向上します。
ブロックチェーン(blockchain)は、2008年にサトシ・ナカモトによって提唱された「ビットコイン」(仮想通貨ネットワーク)の中核技術として誕生しました。
ビットコインには、P2P(Peer to Peer)通信、Hash関数、公開鍵暗号方式など新旧様々な技術が利用されており、それらを繋ぐプラットフォームとしての役割を果たしているのがブロックチェーンです。
ブロックチェーンの定義には様々なものがありますが、ここでは、「取引データを適切に記録するための形式やルール。また、保存されたデータの集積(≒データベース)」として理解していただくと良いでしょう。
一般に、取引データを集積・保管し、必要に応じて取り出せるようなシステムのことを一般に「データベース」と言いますが、「分散型台帳」とも訳されるブロックチェーンはデータベースの一種であり、その中でも特に、データ管理手法に関する新しい形式やルールをもった技術です。
ブロックチェーンは、セキュリティ能力の高さ、システム運用コストの安さ、非中央集権的な性質といった特長から、「第二のインターネット」とも呼ばれており、近年、フィンテックのみならず、あらゆるビジネスへの応用が期待されています。
ブロックチェーンの主な特長やメリットは、①非中央集権性、②データの対改竄(かいざん)性、③システム利用コストの安さ、④ビザンチン耐性(欠陥のあるコンピュータがネットワーク上に一定数存在していてもシステム全体が正常に動き続ける)の4点です。
これらの特長・メリットは、ブロックチェーンが従来のデータベースデータとは異なり、システムの中央管理者を必要としないデータベースであることから生まれています。
ブロックチェーンと従来のデータベースの主な違いは次の通りです。
従来のデータベースの特徴 |
ブロックチェーンの特徴 | |
構造 |
各主体がバラバラな構造のDBを持つ |
各主体が共通の構造のデータを参照する |
DB |
それぞれのDBは独立して存在する |
それぞれのストレージは物理的に独立だが、Peer to Peerネットワークを介して同期されている |
データ共有 |
相互のデータを参照するには新規開発が必要 |
共通のデータを持つので、相互のデータを参照するのに新規開発は不要 |
ブロックチェーンは、後に説明する特殊な仕組みによって、「非中央集権、分散型」という特徴を獲得したことで、様々な領域で注目・活用されているのです。
👉参考記事:『ブロックチェーン(blockchain)とは?仕組みや基礎知識をわかりやすく解説!』
DeFiの例として最もわかりやすいものが、「Uniswap」に代表されるDEX(Decentralized Exchange:分散型取引所、デックス)です。
DEXとは、主にイーサリアムのスマートコントラクトを活用して構築されたP2Pの取引所のことで、DEX市場の月間取引量は、2020年時点ですでに4,000億円を越えるほど拡大しており、関連するトークンも高騰しています。
通常、暗号資産の取引所は、bitFlyerやCoincheckのような特定の企業が運営しています。
これに対して、DEXでは、ブロックチェーンのスマートコントラクト機能により、中央一括管理を行う金融機関を必要とせず、流動性の供給から、取引の約定に至るまで、一連のプロセスのほとんどが自動的に処理されています。
銀行による中央一括管理のもとに行われる代表的な金融サービスの一つがレンディング(貸付)です。
借り手と貸し手の間に銀行が入り、貸し手に渡される利息に、銀行の経費としての利子が加わることで、貸し借りによって大きな金額差が生まれてしまっていました。
これに対して、DeFiのレンディングプラットフォームでは、ブロックチェーンのスマートコントラクトを用いることで銀行などの仲介業者を排除することができ、不要な”中抜き”がなくなることで、借り手にとっても貸し手にとってもメリットのある取引を実現することができます。
また、Compound(コンパウンド)やArve(アーヴ)といったプラットフォームでは、信用情報なしに資金調達を行えるというメリットもあります。
DeFiにより、イーサリアムのネットワーク通貨”イーサ(ETH)”を担保に、米ドル(USD)と価値が紐づくステーブルコインを発行し保有することができるサービス「Maker」も登場しています。
ステーブルコインとは、価格変動が少なくなるよう設計された暗号資産(仮想通貨)の総称です。
ビジネスで利用する通貨には、価格が安定していることが必要です。
通貨の価格が大きく変動すると、価格設定を頻繁に更新しなればならず、保有する通貨の価格変動リスクについても考慮し続ける必要があります。
Makerでは、既存の米ドルと結びつけたステーブルコインを発行することで、ネット上で自由にやり取りでき、かつ、安定した通貨を、経済的、政治的、物理的に金融アクセスの困難な人に対して提供しています。
ブロックチェーンとは、分散型台帳とも呼ばれる新しいデータベースです。P2P通信やHash関数などの暗号技術を組み合わせることで、取引データ等の情報を改竄・喪失リスクをヘッジしながら複数のコンピュータに同期できることが特長です。過去5年間で市場を急拡大させた後、現在は、セキュリティ上の課題を抱えつつも、中国を始め、金融・非金融を問わず、あらゆる産業での応用、ビジネス活用が進んでいます。ブロックチェーン 技術は、IoTやAIと補完しながら、今後どこに向かうのか?徹底解説します。
ブロックチェーン(blockchain)は、2008年にサトシ・ナカモトによって提唱された「ビットコイン」(仮想通貨ネットワーク)の中核技術として誕生しました。
ビットコインには、P2P(Peer to Peer)通信、Hash関数、公開鍵暗号方式など新旧様々な技術が利用されており、それらを繋ぐプラットフォームとしての役割を果たしているのがブロックチェーンです。
ブロックチェーンの定義には様々なものがありますが、ここでは、「取引データを適切に記録するための形式やルール。また、保存されたデータの集積(≒データベース)」として理解していただくと良いでしょう。
一般に、取引データを集積・保管し、必要に応じて取り出せるようなシステムのことを一般に「データベース」と言いますが、「分散型台帳」とも訳されるブロックチェーンはデータベースの一種であり、その中でも特に、データ管理手法に関する新しい形式やルールをもった技術です。
ブロックチェーンは、セキュリティ能力の高さ、システム運用コストの安さ、非中央集権的な性質といった特長から、「第二のインターネット」とも呼ばれており、近年、フィンテックのみならず、あらゆるビジネスへの応用が期待されています。
ブロックチェーンの主な特長やメリットは、①非中央集権性、②データの対改竄(かいざん)性、③システム利用コストの安さ、④ビザンチン耐性(欠陥のあるコンピュータがネットワーク上に一定数存在していてもシステム全体が正常に動き続ける)の4点です。
これらの特長・メリットは、ブロックチェーンが従来のデータベースデータとは異なり、システムの中央管理者を必要としないデータベースであることから生まれています。
ブロックチェーンと従来のデータベースの主な違いは次の通りです。
従来のデータベースの特徴 | ブロックチェーンの特徴 | |
構造 | 各主体がバラバラな構造のDBを持つ | 各主体が共通の構造のデータを参照する |
DB | それぞれのDBは独立して存在する | それぞれのストレージは物理的に独立だが、Peer to Peerネットワークを介して同期されている |
データ 共有 | 相互のデータを参照するには新規開発が必要 | 共通のデータを持つので、相互のデータを参照するのに新規開発は不要 |
ブロックチェーンは、後に説明する特殊な仕組みによって、「非中央集権、分散型」という特徴を獲得したことで、様々な領域で注目・活用されているのです。
ブロックチェーンは、その名の通り「ブロック」を「チェーン」のように順番に繋いだ形をしています(下図)。
「ブロック」とは、1MB分の「Tx(Transaction、トランザクション)」、つまり一定量に取りまとめられた取引データに、日付などのメタ情報を付与したものです。
身近なものに例えるなら、ブロックは、引き出しがいくつか付いているタンスのようなものだと言えます。
一つのタンスの中には複数の同じ大きさの引き出しがあり、その中にはさらに、例えば紙の契約書だとか現金が入っている、というようなイメージです(下図)。
(出典:「かわいいフリー素材集いらすとや」画像より筆者作成)
タンスの中に契約書や現金をしまいこんだら、次に考えるべきことは、「どこに何があるかを正しく把握」して「泥棒に盗まれないようにしっかりと鍵をかけておく」ことでしょう。
これらの機能を果たしているのが、「チェーン」と例えられる、ブロックチェーンの記録・保管形式です。
具体的にいうと、各ブロックには、日付(タイムスタンプ)に加えて、「Hash(ハッシュ、ハッシュ値)」「nonce(ナンス)」「ターゲット」と呼ばれるメタ情報が付与されており、これらの情報をもとにして、ある一定のルールのもとで前のブロックと後ろのブロックがまるで鎖のように連結されています。
これらをタンスの例で言えば、1番目のタンスの鍵を2番目のタンスの中に入れて、2番目のタンスの鍵を3番目のタンスの中に入れて・・・としているイメージです。
さらに、より細かく見れば、「公開鍵暗号方式」と呼ばれる方法によって、引き出しごと(つまりトランザクションごと)にも個別に鍵がかけられています。
(出典:「かわいいフリー素材集いらすとや」画像より筆者作成)
公開鍵暗号方式とは、「暗号化と復号(暗号から元のデータに戻すこと)に別個の鍵(手順)を用い、暗号化の鍵を公開できるようにした暗号方式」のことです。
ブロックチェーンでは、トランザクションデータの流出等のリスクを減らすために、取引データをトランザクション化する際に、この公開鍵暗号方式が利用されています。
出典:Udemyメディア
チェーン構造に加えて、この公開鍵暗号方式を採用していることで、ブロックチェーンのセキュリティは非常に堅牢だと言えるでしょう。
こうしたブロックチェーンの基礎構造は、Bitcoin以降のブロックチェーンのほぼ全てに採用されています。
ブロックチェーンネットワークでは、世界中に散らばるノード(=ネットワーク参加者)によって新しくつくられたブロックが、ノード間で伝播することにより、リアルタイムでのデータ同時共有が実現されています。
ノードは、「コンセンサスアルゴリズム」と呼ばれる合意形成のルールに基づいて、特定の条件を満たすことでブロックを生成することができます。
コンセンサスアルゴリズムとは、中央管理者が不在であるブロックチェーンにおいて「どのデータが正しいか?」を決めるための、不特定多数のノードによる合意方法のことです。
コンセンサスアルゴリズムは、ブロックチェーンプラットフォームの種類(後述)によって異なり、代表的なところでいえば、例えば、次のような種類があります。
このうち、最も有名なPoWでは、次の2つの原理によって、データの正当性を担保しています。
まず、1点目として、PoWでは、ブロックの生成過程で、「マイニング」と呼ばれる、ブロックのメタ情報(「Hash」「nonce」「Target」)を用いた計算作業をノードに課しています。
平たく言えば「ある条件を満たす数字を見つけましょう」という計算ですが、この問題を解くためには莫大なコンピュータの電気代がかかるため、簡単にはブロックをつくることはできません。
とはいえ、ビットコインでは、ブロックを無事に生成できると報酬として仮想通貨を手に入れることができるため、多くの人がブロックづくりに挑戦し、同時に複数のブロックが生まれてしまうこともあります(「フォーク」と呼ばれる事態)。
そこで、2点目として、PoWでは、複数のブロックが生まれた場合は、「最も長いチェーンに含まれるブロックが正しい」という基本原理を採用しています(ナカモト・コンセンサス)。
このように、ブロックチェーンネットワークでは、非中央集権的でありながらデータの正しさを担保するために、コンセンサスアルゴリズムに基づいたブロック生成が行われています。
ブロックチェーンに利用されている最も代表的な関連技術が「P2P(Peer to Peer、ピアツーピア)通信」です。
P2Pとは、パーソナルコンピューターなどの情報媒体間で直接データの送受信をする通信方式のことで、従来のデータベースの「クライアントーサーバ型」と対比されます。
出典:平和テクノシステム
クライアントーサーバ型では、情報媒体間でデータの送受信を行う際に、データ共有を行う媒体間で直接通信せず、第三者媒体をサーバとして経由するため、どうしても中央管理者の存在が不可欠でした(Google ChromeやAWSをイメージするとわかりやすいでしょう)。
これに対して、P2Pでは、媒体間で直接やり取りを行うために、第三者のサーバを必要としません。
したがって、ブロックチェーンの最大の特徴でもある「非中央集権性」は、まさにこのP2Pによってもたらされたものと言えます。
なお、P2Pは、第三者を介さない個人間送金や、無料インターネット電話サービスの先駆けともいえるSkypeなどに用いられています。
ブロックチェーンの各ブロックには、データの対改竄性を高めるために、「Hash値」と呼ばれる値がメタ情報として埋め込まれています。
Hash値は、「Hash関数」と呼ばれる特殊な暗号化技術を通して作られます。
ブロックチェーンでは、一つ前のブロックをHash化したHash値を次のブロックに渡し、それを織り込んでブロックを作成します。
Hashは少しでも入力値が変わると全く異なる出力となるという特徴があります。
また、その他に出力値の長さが入力に関わらず一定であること、出力から入力を類推できないという特徴があります。
まとめると次のような特徴があり、ブロックチェーンのメリットにつながります。
ブロックチェーンは大別すると、パブリック型とコンソーシアム型/プライベート型の2種類に分けることができます。
ノードの参加者が限定されていないか、限定されているかが大きな論点です。
パブリック型ブロックチェーンは、不特定の参加者により運営され、管理者が不在であるという特徴を持ちます。
他方、コンソーシアム型/プライベート型ブロックチェーンでは、参加者は一部の企業等に限定され、また、コンセンサスアルゴリズムによって許可された管理者がネットワークの管理にあたります。
ノードの参加者が限定されているコンソーシアム型/プライベート型は企業向けのエンタープライズ用途に好まれますが、一方でこの仕組みはブロックチェーンを使う意義が薄いのでは、という指摘もあります。
前述の分類に従い、頻出するブロックチェーンをマッピングしたものが次の図です。
ブロックチェーン黎明期における、主に金融領域での開発はBitcoinやEthereumといったパブリック型、つまり管理者が分散しているプラットフォームによって行われることがほとんどでした。
しかし、近年では、企業向けの開発では中央集権によっているQuorum(Ethereumから派生)かHyperLedger Fabricを利用することが増えています。
ブロックチェーンを活用したプロダクト・サービスの開発には、開発の実装基盤となるプラットフォームが不可欠です。
ブロックチェーンのプラットフォームには、用途に合わせて数多くの種類があります。
代表的なブロックチェーンプラットフォームは、次の通りです。
プラットフォーム名 | 誰向けか? | 用途例 |
Ethereum(イーサリアム) | エンタープライズ向け(toC企業) | トークン、ゲーム、etc |
EOS(イオス) | エンタープライズ向け(toC企業) | ゲーム、etc |
NEM(ネム) | エンタープライズ向け(toC企業) | ゲーム、etc |
Ripple(リップル) | エンタープライズ向け(銀行) | 銀行間送金(特化) |
Corda(コルダ) | エンタープライズ向け(toB企業) | 銀行間送金、企業間プラットフォーム、etc |
Quorum(クオラム) | エンタープライズ向け(toB企業) | 企業間プラットフォーム、etc |
Hyperledger Fabric(ハイパーレジャーファブリック) | エンタープライズ向け(toB企業) | 企業間プラットフォーム、etc |
Bitcoin Core(ビットコインコア) | 個人向け | 個人間送金 |
上表のように、8つのプラットフォームを用途の観点から分類すると、大きく次の4つに分けることができます。
自身が推進するプロジェクトに向いているプラットフォームを把握し、その特性を理解しておくことは、開発者だけではなくビジネスサイドの担当者にとっても有益です。
👉参考記事:『ブロックチェーンのプラットフォームは用途で選ぼう!開発基盤の特徴を解説』
経済産業省が「ブロックチェーンは将来的に国内67兆円の市場に影響を与える」との予測を発表してから5年が経過しました。
同予測によると、具体的には、大きく次の5つのテーマで、社会変革・ビジネスへの応用が進むとされています。
事実、この5年間で、1はSTOなどのトークン活用、2は不動産領域における登記などの権利証明、3は医療プラットフォームや電子政府、4は国際海運における物流プラットフォーム、5はDEXに代表されるDAO(自律分散型組織)、といった具合に、既存の産業をDX(デジタルトランスフォーメーション)する形での市場拡大が進んできました。
その結果、ブロックチェーン技術の国内市場規模は、2020年で100〜200億円、2025年には1000億円を超え、関連市場を合わせると67兆円の潜在規模があるとされています。また、世界市場規模では2020年に36億7000万米ドルに達し、2021年から2028年にかけてCAGR82.4%の成長が見込まれています。
(👉参考記事:『【2021年】ブロックチェーンの市場規模は?複数の統計をまとめました』)
さらに、世界経済フォーラムによると、2025年までに世界のGDP総額の10%がブロックチェーン基盤上に乗るとされており、今後のさらなる技術発展とマーケット拡大、そして私たちの生活への浸透が期待されます。
2020年現在、ブロックチェーン技術で最も頻繁に応用されているのが、次の2つです。
いずれも、フィンテックはもちろんのこと、非金融領域の産業応用に欠かせない技術と言えます。
トークンは、ビジネスの文脈上では「交換対象を限定した小さな経済圏を回すための使い捨て貨幣」といった意味で用いられる概念で、非中央集権的なブロックチェーンとセットでビジネス活用されます。
【トークンの種類】
区別のポイント |
トークンの種類 |
意味 |
身近な例 |
トークン自体に金銭的価値が認められるか? | Utility Token (ユーティリティトークン) |
具体的な他のアセットと交換できて初めて資産性が出てくるトークン | ・パチンコ玉 ・図書券 ・電車やバスの切符・遊園地の入場券 |
Security Token (セキュリティトークン) |
それ自体に金銭的価値が認められるトークン | ・株券 ・債権 | |
トークンを相互に区別するか? |
Fungible Token …(*) (ファンジブルトークン) |
メタ情報如何にかかわらず区別されないトークン | ・純金 (→誰がどこで所有する金1グラムも同じ価値をもつ) |
Non Fungible Token (ノンファンジブルトークン) |
同じ種類や銘柄でも個別に付与されたメタ情報によって区別されるトークン | ・土地 (→銀座の1平米と亀有の1平米は同じ単位だが価値が異なる) |
例えば、ICO(Initial Coin Offering、イニシャル・コイン・オファリング、新規仮想通貨公開)やSTO(Security Token Offering、セキュリティ・トークン・オファリング)といった資金調達方法であったり、ファンコミュニティ専用の共通貨幣などに用いられています。
👉参考記事:『【ブロックチェーン】トークンのビジネス活用〜STO、Utility Token〜』
スマートコントラクトは、1994年にNick Szabo(ニック・スザボ)という法学者・暗号学者によって提唱され、Vitalik Buterin(ヴィタリック・ブリテン)がEtheruem基盤上で開発・提供し始めたコンピュータプロトコルで、「契約(コントラクト)の自動化」を意味しています。
自動販売機にも例えられるスマートコントラクトの技術を用いることで、「プロセス・取引の全自動化・効率化」を実現し、世の中の不便や非効率を無くしていくためのブロックチェーンの思想を社会実装していくことが期待されており、例えば、DEX(分散型取引所)や投票システムなどに利用されています。
👉参考記事:『スマートコントラクトとは?ブロックチェーンの社会実装手段を解説!』
分散型台帳、トークン、スマートコントラクトといったブロックチェーンの諸側面は、実際のビジネス課題に合わせた様々なソリューションとして社会実装されています。
ビジネスソリューションとしてのブロックチェーンは、金融/非金融/ハイブリッドの3領域に分けて考えることで、事業化に取り組みやすくなります。
第一の領域である金融領域は、暗号資産(仮想通貨)の利活用を目的としたビジネス領域です。
BTC(ビットコイン)やETH(イーサ)を始めとした暗号資産の取引市場や、ICOやSTOといった暗号資産やトークンを利用した派生市場での活用が行われています。
出典:pixabay
第二の領域である非金融領域は、暗号資産(仮想通貨)を使わない領域のことです。
台帳共有や真贋証明、窓口業務の自動化など、既存産業のDX(デジタルトランスフォーメーション)の文脈で、今、最も注目を集めている領域と言えるでしょう。
この領域の活用事例は、次のように多岐に渡っています。
その結果、実は、前述の経済産業省によるブロックチェーン関連市場規模予測でも、全体67兆円のうち、いわゆる金融領域はわずか1兆円で、残りの66兆円は非金融領域に含まれるマーケットです。
【再掲】
出展:平成27年度 我が国経済社会の 情報化・サービス化に係る基盤整備 (ブロックチェーン技術を利⽤したサービスに 関する国内外動向調査) 報告書概要資料
最後に、第三の領域であるハイブリッド領域は、金融×非金融、つまり暗号資産を非金融領域での課題解決へと応用している領域で、乱暴に言えば、「実ビジネスに仮想通貨決済を導入させたい領域」とも言えるでしょう。
いわゆる「トークンエコノミー」もこの領域に含んで考えるとわかりやすく、今後のブロックチェーン応用が期待されている領域です。
👉参考記事:『ブロックチェーンのビジネス活用は非金融がアツい!事業化3つの視点とは?』
拡大を続けるブロックチェーン市場の中でも、ひときわ存在感を増しているのが中国です。
後にも触れるように、中国におけるブロックチェーンの研究開発や産業応用は、日本とはとても比べ物にならないほどのレベルで進んでいると言われています。
下図は、2020年時点でのブロックチェーンに関する特許市場におけるシェアを表しています。
このグラフからも明らかなように、世界全体のうちの実に7割を中国が占めており、2番手である米国の6倍近くあります。
日本が3%ほどしかないことを考えると、この特許市場のシェア、そしてその前提である特許出願数の多さは、中国マーケットの大きな特徴、強みの一つだと考えられます。
こうした進展の背景として、中国では、官民を挙げてブロックチェーンの技術開発に取り組んでいます。
たとえば、2020年に、中国の国家ブロックチェーンインフラプロジェクト「BSN(Blockchain-Based Services Network)」が、イーサリアムやイオス、テゾスなどを含む6種類のパブリックブロックチェーンを統合することが判明しました。
また、中国建設銀行ブロックチェーンを活用した国際ファクタリング、中国農業銀行ブロックチェーンを活用した住宅ローン、中国工商銀行ブロックチェーンを活用したサプライチェーンファイナンスなど、大手企業各社による金融領域でのブロックチェーン活用が当たり前のように行われている他、ビットコインを支えるデータマイニングのほとんどは中国国内の工場で行われるなど、あらゆる面からブロックチェーンが社会に浸透しています。
さらに、中国では、金融領域での活用のみならず、非金融領域、例えば農作物の真贋判定(下図、天水リンゴのブランド判定)や公共事業における入札プラットフォームといった分野でのブロックチェーン活用も進められています。
こうした動向は、政府や金融といった一部のセクターだけでなく、社会全体に広く技術が浸透している証左として捉えることができます。
中国は、日本と比べて既存システムが脆弱な場合が多く、その一方でスマートフォンの普及率が全年齢層で非常に高いといったギャップがあり、そうした社会状況が浸透を後押ししていると見る向きもあるでしょう。
しかし、そうしたことを割り引いて考えても、中国におけるブロックチェーンの普及度合いは日本よりも数年以上先を行っていると見る他ありません。
ブロックチェーンの今後を考える上で、中国の動向は、引き続き注視すべきでしょう。
👉参考記事:『中国のブロックチェーンを金融・非金融の軸で理解する〜デジタル人民元からBSNまで〜』
ブロックチェーンの今後を考える上で外せないのが、DX(デジタルトランスフォーメーション)という考え方と、その前提条件となるIoT、AIという2つの概念です。
DXとは、「ITの浸透が、人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させる」という概念を指し、ブロックチェーンの活用方法として最も期待されていることでもあります。
DXは、ビッグデータの活用を前提としています。
そして、IoT、ブロックチェーン、AIという3つの概念は、この「ビッグデータ活用を前提としたDX」というより大きな社会動向の要素として、下記のように相互に関連づけることができます。
このように、今後のブロックチェーンは、ビッグデータを利用したDXというより大きな枠組みのもと、IoTやAIといった相互補完技術と協働しながら、これまで活用されてこなかった大量のデータを分析するためのデータ基盤として利用が進んでいくでしょう。
そして、その結果として、ブロックチェーンは、産業や社会全体の仕組みを大きく変え、効率化し、私たちの生活をより豊かにできる可能性を秘めています。
👉参考記事:『IoT、ブロックチェーン、AI。ビッグデータを活用したDXとは?』
ブロックチェーンの未来の可能性を模索する中で、避けては通れない壁があります。
それは、ブロックチェーンの社会普及です。
上述したように、イノベーションとしてのブロックチェーンが本当に世界をより良く変えていくためには、社会のボリュームゾーンである「技術への未接触層」を巻き込み、彼ら彼女らの適切な理解と協力を得ていかなければなりません。
社会普及を実現するために、ブロックチェーンは主に、次の3つの課題を抱えています。
この中でも、特に重要かつ深刻なのが、スケーラビリティの問題です。
スケーラビリティとは、「トランザクションの処理量の拡張性」、つまり、どれだけ多くの取引記録を同時に処理できるかの限界値のことを指します。
ブロックチェーンは、その仕組み上、従来のデータベースよりもスケーラビリティが低くならざるを得ないという課題を抱えています。
一般に、スケーラビリティは「tps(transaction per second、1秒あたりのトランザクション処理量)」で定義することができますが、実際に、代表的なブロックチェーンネットワークは、次のように不十分なスケーラビリティだと言われています。
このように、ブロックチェーンは、オープンで分散的なデータベースとして期待を集めている一方で、ネットワーク参加者が増えるとスケーラビリティが担保できなくなるという課題を抱えています。
この課題に対して、金融領域では、「ライトニングネットワーク(Lightning Network)」という新しい概念に注目が集まっています。
ライトニングネットワーク(英: Lightning Network)とは、少額決済(「マイクロペイメント」)等の小規模かつ多数回行われる取引の処理をブロックチェーン外で行い(「オフチェーン取引」)、最初と最後の取引だけをビットコインのブロックチェーンにブロードキャストして確定させる、ビットコインネットワークの新しい手法のことです。
ライトニングネットワークを活用することで、決済処理速度が2秒以内、毎秒100万件超の取引が可能なGO-NETというサービスが生まれるなど、今後の展開に期待がかけられています。
しかし、非金融領域での解決策は依然見えてはいません。
こうした原理的な課題は、ブロックチェーンが社会基盤となれるかどうかを左右する、重要な論点だと言えるでしょう。
Azure、AWS等を利用し主にエンタープライズ用途でのクラウド環境構築を支援いたします。
BaaS、Kubernetes等、貴社状況に合わせた設計を行います。
クラウド利用の利点としては、
・オーバースペックなマシンを保有せずに済む
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等となりますが、コンソーシアム型のブロックチェーンでもクラウド利用の利点を発揮できます。
当社では、Azure、AWS等を利用し主にエンタープライズ用途でのクラウド環境構築を支援いたします。
①BaaS(Kaleido、AWS等)
②Kubernetes(k8s)を利用したIaC (Infrastructure as Code) ブロックチェーンノードをコンテナで構築し、k8sにより管理
の2パターンを想定しております。
ウォレットサービスも含めてオールインワンで手軽に始めたい、トランザクション状況やリソース使用状況を手軽に可視化したい場合であれば①、
カスタマイズ性を追求したい、運用時のコンテナやk8sの知識も問題ない場合であれば②、
といった形で、貴社状況に合わせて柔軟にご提案いたします。 利用基盤も含めてお気軽にご相談ください。
製造・インフラ・物流から、ブランドマーケティングまで、非金融領域(特に非仮想通貨領域)の事業化を専門的に支援しております。非金融領域においては、RFID/IoTの活用が必須ですが、弊社では専門ベンダー各社との密なネットワークを生かしながら、事業化を力強く支援いたします。
【実施実績】
【実施フロー例】
コンサルティングを踏まえた上で、テスト開発、および本番開発までをワンストップで承ります。弊社プロダクトのモジュールを活用するため、手応えをクイックに得ることも可能です。
【開発サポートをしている主な基盤】
特に、国内では本格的な実装実績が少ない『Quorum』に関しては強みを有しており、高難度案件のご相談を中心に承っております。
【PoCコンサルティング実施例】
※注意点: 堅牢な社内セキュリティ環境下でブロックチェーンの環境構築が難しいケースが散見されます(例、Proxy設定などが張り巡らされていてP2P通信ができない、OSS利用を社内申請するも情シス側が十分に検証できないとの理由で却下される、等)。そのような場合は、独立したネットワークの構築を貴社情シス部門様にご申請いただく必要がございます。予めご了承ください。
1. セミナー・担当者育成
主に「仮想通貨ではないエンタープライズ系の利用方法のイメージをつかみたい」というご要望にお答えします。
① 事業企画者向け、
② エンジニア向け、
の2パターンを想定しております。
※エンジニア向けについてはWeb開発の経験があると望ましいです。場合により事前の予習をお願いするケースがございます。
※ICO、STOなどを中心に据えた内容はお断りさせていただくことがございます。予めご了承ください。
【実施実績】
・世界的化粧品・日用品メーカー様(役員様向け)
・東証一部上場デジタル戦略子会社様(イノベーション推進部門向け)
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【実施料金例(Q&A込、税別】
※ご要望によりカスタマイズ致します。
梅(45分) 30〜50万円 当社規定の内容
竹(90分)80〜100万円 事例パートをカスタマイズ可
松(120分以上) ご予算に合わせてカスタマイズ可能、エンジニア向けハンズオン実習や事業企画者向けワークショップ対応可能(30日間のメールフォローあり) そのほか、担当者育成用カリキュラム作成なども承っております。
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主にブランドホルダー向けにブロックチェーンを活用したトークン経済プラットフォームを提供しております。生活者が多様なブランドのコインを楽しめるように、という思いから名付けました。「広告」と「CRM」とを融合させる「第3のマーケティング」というコンセプトの元に、ブランド担当者様の課題を解決いたします。
・販促とCRMの統合
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大手企業のデジタルイノベーション推進担当者向けに、データ連携パッケージをセミカスタマイズ提供しております。貴重なデータを相互に貸し出し、適切に使うことを約束できるように、という思いから名付けました。IoTを中心とした膨大なデータを他社から借りてAIで分析すべく、ゼロ知識証明型ブロックチェーンを提供いたします。
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