太陽光発電のPPAモデルとは?仕組みやメリットを解説!

太陽光発電の導入を検討する際、初期費用やメンテナンス費用がかからないPPA(Power Purchase Agreement)モデルが注目されています。特に企業においては、自家消費のエネルギーを再生可能エネルギーにシフトしたいというニーズが高まっているため、今後ますますビジネスシーンでの普及が予想されています。

そこで本記事では、PPAモデルの仕組みや、そのメリット・デメリット、さらにはどのような種類があるのかを詳しく解説していきます。ではまず、PPAモデルとは何かについて説明していきましょう。

PPAモデルとは?

出典:太陽光設置お任せ隊

PPA(Power Purchase Agreement:電力販売契約)モデルとは、需要家がPPA事業者(太陽光発電の事業者)と契約して太陽光発電システムを初期費用ゼロで設置し、発電した電力を自家消費するのではなく、PPA事業者に対して使用した電気量の代金を支払うモデルです。企業が小売電気事業者や発電事業者と長期契約を締結し、再エネ電力を購入できる仕組みとして活用されており、「コーポレートPPA」の名称で呼ばれることも多いです。

また、第三者が保有する太陽光発電システムを通じて発電された電力を契約によって購入する仕組みであるため、「第三者保有モデル:Third Party Ownership(TPO)」とも呼ばれています。

この説明だけ聞くと、「自分の土地に太陽光を設置したのに電気代は発生し続けるの?」という疑問が浮かぶかと思います。しかし、PPAモデルで太陽光発電設備を導入した企業には初期費用や保守メンテナンスなどの維持費はかかりません。そればかりか、再生可能エネルギーの利用することで様々なメリットもあります。

ここからは、こうしたPPAモデルのメリットについてさらに詳しく見ていくことで理解を深めていきましょう。

PPAモデルのメリット

PPAモデルの主なメリットは、下記の4つです。

  • 初期費用・メンテナンス費用を抑えられる
  • 電気代の負担を減らせる
  • CO2排出量の削減になる
  • 契約期間が満了した際に設備が譲渡される

順番に解説していきます。

初期費用・メンテナンス費用を抑えられる

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PPAモデルの最大のメリットは、初期費用やメンテナンス費用を抑えられることです。事業用の太陽光発電設備を導入する場合、規模によって費用相場には幅があるものの、小規模なものでも数百万円以上かかることも珍しくありません。また、太陽光パネルの強度についてはJIS規格で厳格な条件が定められていますが、雹や冠水などによって故障するケースもあり、高額の投資を行ううえでは不安もあります。

一方、PPAモデルでは先に説明してきたように、発電システムの設置やメンテナンスはPPA事業者が行います。当然、その際の費用もPPA事業者が負担するため、契約者はシステム運用にかかるコストや天災によるリスクを避けることができます。したがって、資金に余裕がない企業であっても銀行から融資を受けることなく、高額の産業用の太陽光発電システムを導入できます。

さらに、運用コストが発生しないことは会計上のメリットももたらします。たとえば、PPAモデルで設置した太陽光発電システムは資産計上の必要がありません。電気代の支払先が電力会社からPPA事業者に変わるだけに過ぎないため、事業の財務諸表から切り離して処理することができ、再生可能エネルギーを調達しながらバランスシートの改善にも期待できるというわけです。

こうした費用面でのメリットは、企業がPPAを検討する最大の理由になっています。

電気代の負担を減らせる

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PPAモデルを採用することで、電気代の負担を軽減できることも大きなメリットの一つです。通常、電力会社から供給される電気には再エネ賦課金や、電力市場における価格変動リスクが含まれています。とくに、電力会社が買い取っている再エネ由来の電力について、電気を使用するすべての消費者が電気料金と一緒に負担している再エネ賦課金は、以下のように近年、負担が増加傾向にあります。

年度買い取り単価
2018年度2.90円/kWh
2019年度2.95円/kWh
2020年度2.98円/kWh
2021年度3.36円/kWh
2022年度3.45円/kWh
2023年度1.40円/kWh
2024年度3.49円/kWh

その点、PPAモデルでは再エネを自家発自家消費したとみなされるため、再エネ賦課金が課されません(後述するオフサイトPPAモデルでは再エネ賦課金が発生します)。長期的に発生するコストを削減できるという点は企業にとって非常に大きなポイントです。

また、電力市場では需要や供給状況、国際的な燃料価格の影響を受けて電気料金が変動しますが、PPAモデルでは、一般的に電気料金は固定単価であり、電力会社の電気料金のように変動しません。契約時に決められた価格で電力が供給されるため、仮に市場価格が急騰しても、PPA事業者との契約価格は変動せず、電力コストが予想外に膨らむリスクを回避できるでしょう。

このように、初期費用・メンテナンス費用に加えて月々の電気料金に関しても、PPAモデルには導入するだけの利点があるといえます。

CO2排出量の削減になる

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PPAモデルは、企業のCO2排出量削減にも大きな影響を与えます。太陽光発電によって生成される電力は、化石燃料に依存しないため、CO2の排出がほぼありません。そのため、企業は直接的に自らのCO2排出量を減少させることが可能です。

また、PPAモデルを通じて導入される太陽光発電システムは、LCA(ライフサイクルアセスメント)の観点からも環境に優れています。LCAは製品やシステムが製造から廃棄されるまでの環境負荷を評価する手法で、太陽光発電はその運用期間中に発生するCO2排出量が極めて低いため、一般的な発電システムと比較しても環境に与える影響が少ないとされています。

現在、多くの企業では持続可能な発展を目指して環境負荷を削減する取り組みが求められています。特に、国際社会の潮流である「RE100」を目標に掲げる企業は、自らの事業活動におけるエネルギー消費を100%再生可能エネルギーに転換することが急務となっています。

「RE100」に加盟すれば、環境問題への意識の高さを消費者に示せるだけでなく、SDGs達成への貢献やCSR活動といった脱炭素経営・環境経営に取り組む企業が選ばれる「ESG投資」を呼び込みやすくなる面もあるため、こうした点は環境経営を進める企業にとって大きなメリットとなるでしょう。

契約期間が満了した際に設備が譲渡される

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PPAモデルでは第三者が太陽光発電システムの所有権を持っていると説明しましたが、多くのPPA契約では、契約期間の満了後に発電システムが需要家に譲渡されることになっています。この仕組みを利用することで、契約終了後には設備が無償または低価格で手に入り、それ以降は完全に自社の資産として活用することが可能になります。

契約期間中はPPA事業者のメンテナンスによってコンディションが十分に維持されているため、譲渡後も一定の発電能力を有しており、それ以降の運用については自家消費として発電される電力を無料で使用できるため、電力コストのさらなる削減にも期待できます。

このように、契約終了後も企業のエネルギー自給率を高め、持続可能な事業運営を続けていくための基盤を築くことができるという点もPPAモデルならではの特徴だといえます。

PPAモデルのデメリット

前述の通り、コストを抑えて再エネ移行を進めていきたい企業にとっては良いことずくめに見えるPPAですが、どのようなシステムにもメリットと同時にデメリットが存在し、PPAモデルも例外ではありません。

PPAモデルの主なデメリットは、下記の4つです。

  • 長期契約が必要
  • 自己所有型よりも月々の節約額が少ない
  • 設置場所に制約がある

順番に解説していきます。

長期契約が必要

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契約形態はPPA事業者によっても異なりますが、10年以上の長期契約を結ぶことが一般的です。しかし、これだけの期間ともなると、契約期間中に発電技術が大きく進展する可能性もあります。たとえば、太陽光発電システムの発電効率が大幅に向上したり、他の再エネ技術が普及することで、現在の契約が割高になる恐れもあります。そうした場合でも、毎月固定の価格で電力を継続購入しなければならないため、電力購入の費用やシステムの譲渡条件などに細心の注意が必要です。

さらに、契約期間中に解約する場合にはほとんどのケースで違約金が発生することになります。発電設備が自社の敷地にあるとしても、その所有権は別のところにあるため、勝手に移動や撤去ができないことに注意が必要です。導入企業においては自社物件の取り壊しや移転など自社の展望についてもある程度、計算に入れて置かなければならないでしょう。

自己所有型よりも月々の節約額が少ない

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PPAモデルは低リスクではありますが、その分、自己所有型と比較した場合、月々の節約額が少なくなります。自己所有型の太陽光発電システムを導入した場合、発電した電力を自社で直接利用することができ、余剰電力は電力会社に売電することが可能です。これにより、電力使用にかかるコストを大幅に削減できるだけでなく、売電によって収益を得ることもできます。

一方、PPAモデルでは、発電した電力をPPA事業者から購入する形式となります。契約時に設定された固定料金で電力を購入するため、自己所有型と比較すると、電力コスト削減のメリットは相対的に少なくなります。また、契約期間中は売電による収入もありません。つまり、PPAモデルを選択することで、コストや運用リスクを抑えることができるものの、自己所有型と比べて長期的な運用における節約効果は限定的なものとなっています。

設置場所に制約がある

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PPAモデルの利用には、設置場所に関する制約が存在する点もデメリットになり得ます。特に、オンサイトPPA(詳しくは後述)では契約者の施設や敷地内に発電設備を設置する必要があるため、適切なスペースが確保できない場合は導入が難しくなります。具体的に以下のような条件では、PPA事業者が期待する発電効率に達せず、契約が難航するケースがあります。

  • 屋根のスペースが狭い
  • 日射量が不十分である
  • 積雪や強風などの被害が予見できる
  • 既存の建築規制に抵触する
  • 安全性が確保できない
  • メンテナンスの負担が大きい

このような制約がある場合、PPAモデルを採用するためには別の設置場所や設置方法を模索しなければなりませんが、それにはさらに追加のコストや時間がかかる可能性があるという点には十分留意する必要があります。

PPAモデルの種類とは?

PPAモデルのメリット・デメリットを把握したところで、今度はPPA自体の仕組みについて見ていくことで、よりイメージの解像度を高めていきましょう。

コーポレートPPAには、大きく分けて「オンサイトPPA」と「オフサイトPPA」の2種類が存在します。どちらも再エネ電力を調達する「コーポレートPPA」の一種ですが、発電システムを構築する範囲によって区別されており、それぞれ特徴が異なります。詳しく解説します。

オンサイトPPA

出典:企業省エネ・CO2削減の教科書

オンサイトPPAとは、PPA事業者が需要家の敷地内に発電設備を設置して電気を提供する仕組みです。今までの説明を聞いて、大半の方がイメージしたのはこちらのモデルかと思います。国内でのPPA導入が本格化した当初の主流モデルで、自社敷地内に発電所を設置する十分なスペースがあれば費用をかけずに太陽光発電設備を導入でき、メリットでも簡単に触れましたが、再エネ賦課金の徴収対象外となるのは通常の送電線を使わずに電力を供給するオンサイトPPAだけです。小売電気事業者の送配電網の使用料である「託送料金」もかかりません

こうした点から、一時は企業から大きな注目を集めたオンサイトPPAでしたが、世界的な脱炭素化社会に向けて企業の再エネ電力への期待とニーズは高まる一方で、前述したような設置場所の制約が大きな障壁となり、積極的な導入ができたのは一部の企業に限られてしまいました。そこで、設備規模に制限のない敷地外に発電設備を建設することでこの課題を解決したオフサイトPPAが求められるようになったのです。

オフサイトPPA

オフサイトPPAは、需要家が発電システムを自身の敷地外に設置した上で、PPA事業者が電気や環境価値などを提供する仕組みです。地理的な制約を受けにくく、敷地内に発電システムを置くスペースが十分に確保できない企業でもPPAモデルを導入できるという利点があります。

オンサイトPPAでは設置された設備を直接利用する方法しかありませんが、オフサイトPPAにはさらに「フィジカルPPA」と「バーチャルPPA」という2つの主要な形式が存在します。これらは契約方法や電力取引の仕組みにおいて異なる特性を持っています。

出典:みずほフィナンシャルグループ

フィジカルPPA

フィジカルPPAは、企業と発電事業者が直接的な電力供給契約を結び、遠隔地に設置した太陽光発電設備で発電した電気を送電網を介して実際に需要家に届ける形態です。「実際の物理的(=フィジカル)な電力供給がある」という点がポイントです。言葉で定義すると小難しいですが、私たちの住む一般住宅への電力も、各発電所で発電した電気が小売電気事業者の送電網を通って供給されている(再エネ由来ではなく火力発電由来がほとんどですが)ので、契約先がPPA事業者に変わっただけと簡単にイメージしてもらえば問題ないです。

フィジカルPPAは、オンサイト同様、企業は一定量の電力を安定して得ることができ、再生可能エネルギーの利用比率を向上させることが可能です。特に、大企業においては消費するエネルギー量も一般家庭とは比にならないほど莫大なものになるため、自社保有地の発電だけでは限界があります。オンサイトPPAでは発電用に提供可能な敷地面積が小さい場合、発電量が限られてしまい、多くの再エネ電力を調達できない可能性がありますが、フィジカルPPAは自身が保有する土地の敷地面積にとらわれないため、発電量を増やしやすい面があります。実際にRE100の加盟企業などではフィジカルPPAを活用した取り組みも少なくなく、徐々にその割合が拡大しています。

一方、フィジカルPPAにはデメリットも存在します。送電インフラの整備や送電ロス、託送料金(送電費用)なども気になるポイントですが、最大のデメリットは現在の電力契約を継続できない点です。というのも、使用電力量が多い場合やコストの観点から、フィジカルPPA単体では不足している供給量については、エリアの小売電気事業者からの供給により賄う必要があります。しかし、PPA契約を結んだ上で従来の小売電気事業者との契約を見直す場合、割高な料金を請求されたり、そもそも契約を拒否されるケースがあるのです。

これには、公正取引委員会と経済産業省も「適正な電力取引についての指針」の中で、小売電気事業者に対して部分供給の要請を受けた場合には不当に取り扱わないように求めているものの、現状では強制力があるものではありません。それどころか、新たに導入が検討されている「分割供給」というルールでは、大手電力会社に課せられていた負荷追随供給の義務(新電力の要請に応じる義務)が撤廃されており、新規でフィジカルPPAを導入する企業では電力の供給不足に陥る可能性があります。

こうした課題を受け、さらに柔軟にPPAを導入することできるモデルが登場しています。それがバーチャルPPAです。

バーチャルPPA

出典:Whole Energy

バーチャルPPAは、需要家が物理的な電力供給ではなく、再エネが持つ環境価値だけを取引します。CO2の排出権を取引するカーボンクレジットのようなものだと考えると良いでしょう。電力と環境価値をセットで購入するフィジカルPPAと異なり、バーチャルPPAでは電力の供給自体は現在の小売電気事業者から継続して供給を受ける仕組みのため、電力の供給不足に陥る可能性はありません。

直接電力を供給されるわけではありませんが、その電力が再エネ由来であることを保証する「非化石証書」や「グリーン証書」などを取得することができ、自社の環境貢献を示すことが目的であれば、バーチャルPPAは最も導入ハードルが低いPPAであるといえるでしょう。

一方で、バーチャルPPAでは市場価格とあらかじめ合意したPPA契約の差額を支払う差金決済の仕組みが取り入れられています。たとえば、固定価格が市場価格よりも低いが場合、発電事業者は差額に発電量を乗じた金額を需要家から受け取り、逆に市場価格が固定価格より高い価格は発電事業者は差額に発電量を乗じた金額を需要家に支払う必要があります。

ここで問題となるのが、コストの問題と会計の問題です。上述の通り、市場価格とPPA契約の差金が補填されるのが特徴のバーチャルPPAですが、市場価格が長期に渡って下落した場合、需要家から毎月、発電事業者に対する補填を行わなければならず、需要家にとってはメリットの無い契約となる恐れがあります。

また、バーチャルPPAはあらかじめ取り決めた金額で電力の購入を予約するという仕組みのため、商品先物取引法上の「店頭商品デリバティブ取引(商先法第2条第14項)」にあたるのではないかという議論もあります。デリバティブ契約に該当すると見なされると、取引内容の定期的な報告や企業会計処理上の整理が必要となるケースもあります。したがって、導入に際しては徹底したリーガルチェックの必要があります。

このように、一口にPPAと言っても、その中にはいくつかの種類があります。それぞれのメリット・デメリットを計算しながら自社への導入を検討する必要があるでしょう。

他の太陽光発電システム導入との違いとは?

出典:Shutterstock

最後に、他の太陽光発電システム導入形式との違いについても見ていきましょう。太陽光発電システムを導入する場合、PPAモデル以外にも「自己所有型」や「リース型」などの選択肢があります。それぞれの導入方法は、所有形態や費用の負担方法、メンテナンスにかかる手間などが異なり、企業や個人のニーズに応じて選ばれています。ここでは、自己所有型とリース型について解説します。

自己所有型

自己所有型は、導入者が太陽光発電システムを自ら購入し、設置・運用を完全に管理する方法です。このモデルでは、設備の購入費用や設置費用をすべて自社で負担することになるため、初期費用が非常に高額になる点が最大の特徴です。企業や個人にとって、この一括の設備投資は大きな負担となる可能性がありますが、その分発電された電力のすべてを自家消費でき、余剰電力は売電収入として得られるというメリットもあります。つまり、初期コストを投資と捉え、長期的な収益を前提とした導入となります。

PPAモデルと比較すると、自己所有型は発電設備が自社の資産となるため、発電量や運用方法を自由にコントロールし、余剰電力を電力会社に売電して収入を得られるという魅力があります。しかし、その一方で、設備の維持やメンテナンス、故障時の修理はすべて自己負担となります。天候による影響や経年劣化を考慮すると、予期せぬ修理費用が発生する可能性があり、このリスクも併せて考慮する必要があります。

また、太陽光発電システムは会計上、資産として計上されるため、企業のバランスシートに影響を与えます。これは設備の耐用年数に応じた減価償却費を毎年計上する必要があり、キャッシュフローに対する負担となります。これに対してPPAモデルでは設備を第三者が所有し、メンテナンスも事業者が行うため、財務的な負担が軽減されるという違いがあります。

このように、自己所有型は長期的な収益を重視する企業や個人に向いていますが、PPAモデルにおいては一定期間経過後に設備が譲渡される(自己所有型に移行する)ケースもあるため、PPAモデルで安価に導入して期間が終了するまで待つ、というのも一手かもしれません。自己所有型にも補助金や税制優遇などの恩恵はあるので、自社の置かれた環境を整理し、どちらが優位になるかを判断すると良いでしょう。

リース型

リース型の太陽光発電システムは、PPAモデルと自己所有型の中間に位置する導入方法です。このモデルでは、太陽光発電システムをリース会社から借りる形で導入し、月々のリース料金を支払うことによって設備を利用します。従来の車やコピー機でおなじみのシステムですね。

この方式の主なメリットは、初期費用がかからない点と、月々のリース料金を経費として計上できるという点にあります。企業にとっては、リース費用が一定額であるため、電気の使用料に応じて支払額が変動するPPAモデルよりも簡易的で予算管理がしやすく、財務計画の安定性が確保される利点があります。さらに、太陽光発電のリース契約は車やコピー機と異なり、契約期間を終えるとシステムの所有権が契約者に移るというオプションも一般的です。

また、リース型のもう一つの魅力は、契約期間中に発電した電気を自家消費しながら、余剰電力を電力会社に売電することが可能な点です。これは自己所有型と同様の仕組みで、発電した電気を活用して余剰電力による売電収入を得ることができるため、電気代削減の効果が期待できます。特に、企業が日中の業務に多くの電力を消費する場合、リース型によって自家発電による電力を有効活用でき、売電によってさらにコストを抑えることができます。

しかし、リース型にはいくつかの注意点もあります。リース料金は毎月固定されていると説明しましたが、リース型は月々の支出が予測しやすい一方で、電気使用パターンによっては導入前の電気代よりも支出が増えるリスクがあります。特に、リース型では日中の電力消費量が比較的少ない家庭や企業では、売電収入よりもリース料金と発電しない時間帯に使う電気代(夜間に電力会社から購入する電気代など)のほうが大きくなってしまうため、導入前の検討が欠かせません。この点が、リース型とPPAモデルとの大きな違いといえるでしょう。

主な項目で今までの3モデルを比較すると以下の通りです。

PPAモデル自己所有型リース型
所有形態PPA事業者が所有自社所有リース業者が所有
初期費用不要必要不要
利用料不要不要必要(リース料)
メンテナンスPPA事業者自社リース業者
余剰電力の売電収入なしありあり
自家消費分の電気料金有料無料無料
資産計上不要必要必要

まとめ

これまで見てきたように、PPAモデルの導入は、再生可能エネルギーの普及を促進し、CO2排出量の削減に大きく寄与します。気候変動対策の一環としても、持続可能な社会の実現に向けた重要な取り組みであるといえますね。

一方で、企業にとっては、PPAモデルを活用することで再生可能エネルギーの導入を進めるとともに、ESG投資の観点からも高い評価を得られる環境経営を実現できます。電力の安定確保を通じて、BCP(事業継続計画)の一環としてリスクマネジメントの強化にもつなげることができ、持続可能な運営を行う上でPPAの存在は無視できません。

環境への配慮と経済的メリットを兼ね備えたPPAモデルは、現代のエネルギー問題に対する解決策として企業も個人も積極的に検討する価値があるでしょう。今後の動向にも注目です。