2021年頃から「NFT」という言葉を耳にする機会も増え、最近ではニュースやSNSでも取り上げられることも増えてきました。そしてNFTが注目を集めるに伴い、NFTと同じブロックチェーンを基盤とする仮想通貨の価格も上昇傾向にあります。今回は話題となっているNFTに関連する仮想通貨の銘柄をご紹介していきます。
加熱するNFT関連銘柄
そもそもNFTとは?
NFT=デジタルの”はんこ”
NFTが必要とされる理由
NFTとブロックチェーン
NFT関連銘柄とは?
様々なNFT関連銘柄
エンジンコイン(ENJ)
サンド(SAND)
The Sandboxとは?
The Sandbox内の基軸通貨「SAND」
SANDの将来性
チリーズ(CHZ)
マナ(MANA)
Decentralandとは?
Decentraland内の基軸通貨「MANA」
まとめ
加熱するNFT関連銘柄
2021年は仮想通貨にとって飛躍の年となり、特にNFT関連の仮想通貨の躍進は非常に注目されました。例えば、NFT関連銘柄の一つであるエンジンコイン(ENJ)の価格は、2021年1月の10円台から同年4月には425円と、ごく短期間で40倍にも高騰しました。
その背景には、Coincheck(日本)やCoinbase(アメリカ)といった大手取引所への上場や、世界的ゲームであるMinecraftとの連携があり、いかにNFT市場が活発化しているかがうかがえます。
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また「Axie Infinity(アクシー・インフィニティ)」やStepnといったNFTゲームによって、Play to Earn(P2E) =「遊んで稼ぐ」という概念が注目を集めています。それらのNFTゲームに関連する仮想通貨の価格も、NFTゲームが盛り上がるに伴い高騰しています。
👉参考記事:『NFT×ゲーム〜「遊んで稼ぐゲーム」について解説〜』
本記事では具体的なNFT関連銘柄のご紹介はもちろんですが、まずは「NFTとはそもそも何なのか?」という基礎知識からおさらいしていきます。
そもそもNFTとは?
NFT=デジタルの”はんこ”
NFTとは簡単に言うと「デジタルデータに偽造不可な鑑定書・所有証明書をもたせる技術」のことです。さらに噛み砕いて表現すると「デジタルコンテンツにポンと押す ”はんこ” のようなもの」です。
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NFTを言葉の意味から紐解くと、NFT=「Non-Fungible Token」の略で、日本語にすると「非代替性トークン」となります。非代替性は「替えが効かない」という意味で、トークンには「データや通貨・モノ・証明」などの意味があります。
つまり「唯一無二であることの証明ができる技術」を意味し、実際にはデジタル領域で活用されることから冒頭ではデジタルの ”はんこ” と表現しました。
NFTが必要とされる理由
世の中のあらゆるモノは大きく2つに分けられます。それは「替えが効くもの」と「替えが効かないもの」です。前述した非代替性トークンは文字通り後者となります。
それぞれの例を挙げていくと、
【替えが効くもの (代替性) 】
- 硬貨や紙幣
- フリー素材の画像や音楽
- 量産される市販品
【替えが効かないもの (非代替性) 】
- 大谷翔平の「直筆サイン入り」本
- ゴッホの「原画」
- ワールドカップ決勝の「プレミアチケット」
人は唯一性や希少性のあるもの、つまり「替えが効かないもの」に価値を感じます。
不動産や宝石・絵画などPhysical(物理的)なものは、証明書や鑑定書によって「唯一無二であることの証明」ができます。
一方で画像やファイルなどのDigital(デジタル)な情報は、コピーされたり改ざんされたりするリスクがあるため「替えが効くもの」と認識されがちで、その価値を証明することが難しいという問題がありました。
実際、インターネットの普及により音楽や画像・動画のコピーが出回り、所有者が不特定多数になった結果、本来であれば価値あるものが正当に評価されにくくなってしまったのです。
そういったデジタル領域においても、「替えが効かないもの」であることを証明する技術がまさにNFTなのです。
NFTがあれば、本物と偽物を区別することができ、唯一性や希少性を担保できます。NFTによって、これまではできなかったデジタル作品の楽しみ方やビジネスが生まれるのです。
👉参考記事:『【2022年】NFTとは何か?なぜ話題なのか、分かりやすく解説!』
NFTとブロックチェーン
NFTはブロックチェーンという技術を用いて実現しています。
ブロックチェーンは「一度作られたデータを二度と改ざんできないようにする仕組み」です。データを小分けにして暗号化し、それを1本のチェーンのように数珠つなぎにして、世界中で分散管理されています。そのため、コピーしたり、改ざんしたり、データが消えたりする心配がありません。
👉参考記事:『ブロックチェーン(blockchain)とは何か?仕組みや特長をわかりやすく解説!』
NFT関連銘柄とは?
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NFTはゲームやアート、スポーツといった様々な分野で活用されており、それらのエコシステムはブロックチェーンを基盤に作られています。そして、そのブロックチェーン上での基軸通貨を「NFT関連銘柄」と表現します。
👉参考記事:『【2022年最新版】アートへのNFT活用事例集』
👉参考記事:『NFTのスポーツ業界への活用〜新時代のファンビジネスと可能性〜』
例えば、あるNFTゲーム内で得たアイテムの価値はそのNFTに関連する仮想通貨で示され、さらにそのアイテムを取引所(NFTマーケットプレイス)で売買する際にも、そのNFTに関連する仮想通貨で取引がなされます。
👉参考記事:『NFT×マーケットプレイス〜取引所の概要から選び方・それぞれの違いを解説〜』
そのNFTが所属するブロックチェーン上での基軸通貨、それが「NFT関連銘柄」です。
様々なNFT関連銘柄
続いて、2022年時点で話題となっているNFT関連銘柄を4つご紹介します。
エンジンコイン(ENJ)
エンジンコイン(ENJ)はブロックチェーンプラットフォーム「Enjin platform」で発行される仮想通貨です。Enjin platformはシンガポールの企業「Enjin」が2017年に運営を開始したイーサリアムをベースとしたブロックチェーンプラットフォームで、主にオンラインゲームをするために設計されています。
Enjin platformでは35種類ものオンラインゲームがプレイ可能で、それらゲーム内で利用するNFTを発行するためにプラットフォーム上の各ゲーム間で連携されています。Enjin platform上にあるゲームであれば異なるゲーム同士でもアイテムの売買が可能で、その取引に使用される基軸通貨がエンジンコインです。
Enjin platform上で最も注目を集めるゲームが「Minecraft(マインクラフト)」のEnjin platform版である「EnjinCraft」です。
マインクラフト:通称マイクラは、月間アクティブユーザー数が全世界で1億4千万人を超えるモンスタータイトルで、NFTによってゲーム内のアイテムに希少価値をもたせたものが「EnjinCraft」です。「EnjinCraft」で得たアイテムは、Enjin platform上の様々なプレイヤーたちの間でエンジンコインによって取引されます。
超メジャーゲームであるMinecraftと連携したことが、エンジンコイン最大のトピックと言えるでしょう。
サンド(SAND)
サンド(SAND)は、ブロックチェーンゲーム:The Sandboxのゲーム内で使える仮想通貨です。
The Sandboxとは?
The Sandboxは、イーサリアムのブロックチェーンを基盤として提供されているNFTゲームで、3Dのオープンワールドの中で建物を建築したり自分の”オリジナルのゲーム”を作ることができます。何をするかはプレイヤーの自由で、マインクラフトに似たジャンルのゲームです。
「LAND」というゲーム内の土地がNFTとして取引されており、プレイヤーは自分の所有するLAND上でプレイできるオリジナルのゲームの作成や、ゲーム内で使用するキャラクターやアイテムの作成を楽しむことができます。また、LANDの敷地内で作った施設の不動産収入を得ることなどもできます。
The Sandbox内の基軸通貨「SAND」
SANDはThe Sandbox内でのNFT取引の際の通貨としてだけでなく、保有しているだけで報酬を得られたり(ステーキング)、保有者はゲームの方向性を決める際の投票権を得られるガバナンストークンとしての役割があります。
SANDの将来性
The Sandboxは、日本の大手ゲーム開発企業スクウェア・エニックスをはじめ複数の企業やファンドから、総額201万ドル(約2億2000万円)もの融資を受けています。また、アディダスやavexなど有名企業がThe Sandbox内の「LAND」を保有しており、それぞれ独自のコンテンツを展開しています。
The Sandboxの注目は個人・法人問わず世界的に広まりつつあり、今後のさらなる発展が期待できます。
チリーズ(CHZ)
チリーズ(CHZ)とは、海外サッカークラブなどのスポーツチームとそのファンの人々との交流を生み出す取り組みを行っているプロジェクト、またそのプロジェクトで用いられる仮想通貨の名称です。
仮想通貨「チリーズ(CHZ)」は、”ファントークン” とも呼ばれる通貨で、これまでのファンビジネスに新しいイノベーションを起こすものとして注目を集めています。
“ファントークン” とはヨーロッパサッカーのクラブチームなどをはじめとしたスポーツクラブが発行する仮想通貨の一種で、そのクラブのファンはファントークンを所有することで、クラブが定めた報酬や特別な体験を受けることができます。
チリーズプロジェクトに参加しているスポーツクラブは海外サッカーやeスポーツ、格闘技など数多くあり、専用の取引アプリ「Socios.com(ソシオスドットコム)」を使ってチリーズと各クラブのファントークンを売買することができます。
2021年3月時点でFCバルセロナ(スペイン)、ユベントスFC(イタリア)、UFC(アメリカ)といった名だたるクラブチームがチリーズプロジェクトに参加しており、今後も提携する団体が増えると見込まれています。世界中のプロチームが参加するとなると、仮想通貨プロジェクトの中でもかなり大きいプロジェクトになるのは間違いありません。
マナ(MANA)
マナ(MANA)はDecentralandというVRプラットフォーム内で用いられる仮想通貨です。
Decentralandとは?
Decentralandは、イーサリアムブロックチェーンをベースとしたVRプラットフォームで、仮想空間内でゲームをしたり、アイテムやコンテンツを作成し、売買することが可能です。
先程ご説明したThe Sandbox同様、仮想現実内で「LAND」と呼ばれる土地を保有・売却したり、他のユーザーがこの空間に参加してデジタル通貨の売買ができるという独創的な開発ツールも提供しています。
Decentraland内の基軸通貨「MANA」
MANAはDecentraland内で、アイテムやコンテンツの支払いに使用される基軸通貨です。先程の「LAND」を購入する際や、Decentraland内のマーケットプレイスやオークションでアイテムの取引を行うのに使用されます。
まとめ
今回はNFTに関連する仮想通貨の銘柄に関して解説しました。
NFT関連銘柄を理解するためには、その大元となるエコシステムやサービスを紐解く必要があります。サービスそのものが盛り上がり、そこでやり取りされるNFTの価値が高まり、そのチェーン上でやり取りされる基軸通貨である仮想通貨の価格が上昇していき、そしてNFT市場全体がさらに盛り上がることを期待しています。