【2022年】Web3.0とメタバース
〜分散型インターネットにおける仮想現実の役割〜

“メタバース” についての話題に触れる際に ”Web3.0” というワードが登場する機会は多く、また逆も然りではないでしょうか。本記事ではこれらメタバース(仮想現実)とWeb3.0(分散型インターネット)についてそれぞれ解説し、さらにこの2つの関係性や現状の課題、そしてWeb3.0における代表的なメタバースの事例をご紹介していきます。

メタバースとは?
メタバースについての概要
メタバースが注目を集める理由
Web3.0とは?
①Web1.0(ホームページ時代)
②Web2.0(SNS時代)
③Web3.0(分散型インターネットの時代)
Web3.0とメタバースの関係性
メタバースはWeb3.0における”受け皿”
Web3.0におけるメタバースの現状の課題
ハード面の強化
魅力的なコンテンツの充実
メタバースの様々な事例
Second Life(セカンドライフ)
Fortnite(フォートナイト)
Decentraland(ディセントラランド)
まとめ

メタバースとは?

出典:pixabay

メタバースについての概要

メタバースとは「インターネット上に作られた3Dの仮想空間」です。

“超える” という意味のメタ(meta)と”宇宙” を表すユニバース(universe)の2つの単語を組み合わせて、”もう一つの宇宙や別世界” を意味するメタバース(Metaverse)という言葉が生まれました。

言葉の意味だけではイメージがつきにくいかもしれませんが、例えば個性豊かな動物たちが暮らす村で ”あなた自身” が生活していく任天堂の大人気ゲーム「あつまれどうぶつの森」や、全世界で1億4千万人以上がプレイするモンスターゲーム「Minecraft(マインクラフト)」といったゲームも、3Dの仮想空間という意味ではメタバースの一種です。

コンシューマー向けゲームを通じてすでに概念として存在していたメタバースですが、近年のVR/AR技術の向上によって「より現実に近い(リアリティの高い)仮想空間」が作られるようになってきました。

仮想空間のクオリティ向上や、このあとご紹介する様々な新しい技術と連携することにより、メタバースは単なるゲームの範疇を超えてWeb3.0(次世代の分散型インターネット)において重要な役割を果たすようになります。

メタバースが注目を集める理由

近年、「メタバース」というワードがSNS上のみならず、テレビのニュースでもとりあげられる機会が増えています。その中でも、2021年10月28日には多くの人々にとって馴染み深いFacebookが社名を「Meta(メタ)」に変えたことが大きな話題となり、「メタバース」に注目が集まるきっかけの一つとなりました。

👉出典:日経電子版「Facebook、社名を「メタ」に変更 仮想空間に注力」

さらに2022年2月18日には、米Google傘下のYouTubeがメタバースへの参入を検討していると日本版公式ブログで明かしました。

👉出典:IT media NEWS「YouTubeがメタバース参入を検討中「まずはゲームに適用」

また、2020年以降のコロナ禍において、Zoomを筆頭とするオンラインMTGが一般的なものとなりました。こうしたバーチャルでのコミュニケーションに対する心理的ハードルが大きく引き下がったことも、人々が「メタバース」に興味をもつようになった要因の一つと考えられます。

また、先述したようなWeb3.0(次世代の分散型インターネット)への注目度が高まるにつれて、その文脈の中でメタバースも語られる事が増えてきています。その理由についても後ほど解説します。

Web3.0とメタバースの関係性を紐解く前に、Web3.0について次項で詳しく解説していきます。

Web3.0とは?

出典:pixabay

Web3.0を解説するにあたり、これまでのWebがどのようにして進歩してきたかを以下の3つの時代に分けて解説します。

①Web1.0:1995年~(ホームページ時代)

②Web2.0:2005年~(SNS時代)

③Web3.0:これから(分散型インターネットの時代)

①Web1.0(ホームページ時代)

Web1.0時代は、Yahoo!やGoogle、MSNサーチなどの検索エンジンが登場し始めた時期で、Webがまだ一方通行であった時代です。ウェブデザイナーのDarci DiNucci氏が1999年に、進化の段階を区別するためにWeb1.0とWeb2.0という呼び方を用いました。

ウェブサイトは1990年代初めに静的HTMLのページを利用して作られ、個人が「ホームページ」を持ち情報を発信する、という文化もこの時代から生まれました。ただし、インターネットの接続速度も非常に低速であり画像を1枚表示するだけでも時間がかかりました。

また、閲覧できる情報は情報作成者によってのみ管理されるため、閲覧ユーザーがデータを編集することはできません。こうした特徴からweb1.0は「一方向性の時代」とも呼ばれます。

②Web2.0(SNS時代)

Web2.0時代になるとYouTube、Twitter、InstagramなどのSNSが登場し、誰もが発信者となりました。Web1.0時代が「一方向性の時代」とされたのに対し、Web2.0時代は様々な人との双方向の情報のやり取りができるようになったのです。

また、Google、Amazon、Facebook(元Meta)、Appleといった所謂GAFAと呼ばれるプラットフォームサービスが大きく躍進し、巨大テック企業となっていった時代でもあります。

一方で、個人情報がGAFAのような特定の企業へ集中することによる個人のプライバシー侵害の可能性が問題視されています。一部の大企業に集まる情報には、住所や年齢、性別など基本的な個人情報だけでなく、個人の嗜好や行動履歴までもが含まれ、それらが利用できる状態になっているからです。

また、中央集権型の情報管理はサイバー攻撃を受けやすく、多くのユーザーに影響を及ぼす危険性があるという点も指摘されています。実際に2018年、GAFAの一角である大手SNS「Facebook」は5000万人超のユーザー情報を外部に流出してしまいました。

③Web3.0(分散型インターネットの時代)

冒頭でも述べたように、Web3.0とは「次世代の分散型インターネット」のことを指します。さらに言うとGAFAやその他巨大テック企業へ個人情報が集中している現状から、次世代テクノロジーを活用して情報を分散管理することで、巨大企業に情報が集中しない新しい形の情報管理のあり方として期待されているのがWeb3.0の概念です。

特定企業へ個人情報が集中していることによるリスクは前項でご説明したとおりで、2021年以降、特定企業へ集中した情報を分散しようとする動きが活発化しています。

👉参考記事:『【2022年】”Web 3.0” とは?

Web3.0とメタバースの関係性

出典:pixabay

メタバースはWeb3.0における”受け皿”

メタバースは、Web3.0「次世代の分散型インターネット」を構成する様々な技術革新の、言わば”受け皿”のような存在です。

Web3.0はブロックチェーンという基盤技術の上に成り立っており、仮想通貨はWeb3.0における文字通り”お金”の役割を果たします。

👉参考記事:『ブロックチェーン(blockchain)とは?仕組みや基礎知識をわかりやすく解説!

そして、現実世界の”金融サービス”はWeb3.0ではDeFi(分散型金融)によって置き換えられ、NFT(非代替性トークン)がWeb3.0におけるデジタル資産の”所有権”を明確にします。また、Web3.0では従来までの”会社組織”DAO(分散型自律組織)という形態をとるようになると予想されています。

👉参考記事:『DeFi(ディーファイ)とは?ブロックチェーンによる分散型金融の可能性

👉参考記事:『【2022年】NFTとは何か?なぜ話題なのか、分かりやすく解説!

これら全てを包括する”3Dの仮想空間(受け皿)”がまさにメタバースです。

Web3.0と呼ばれる様々な技術と連携すれば、メタバースは「インターネット上に作られた3Dの仮想空間」にとどまらず「現実世界と同じように遊んだり、仕事や取引をしたり、何かを創って交流したりする仮想世界」となる大きな可能性を秘めています。

Web3.0におけるメタバースの現状の課題

ハード面の強化

Web3.0におけるメタバースの活用が普及するためには、ハード面の強化が必要不可欠です。具体的にはVR機器の小型軽量化と、描写スペック向上です。

バーチャルの世界でより多くの時間を過ごすためには、より没入的で自然で表現豊かなVR機器が必要となります。現状のVR機器を数時間装着し続けるには、重さ、大きさともにまだまだ改良の余地があります。また、より高速通信ができ高画質で仮想世界を描くことのできる機器スペックも、今後さらに高いレベルで要求されることが予想できます。

2021年10月に社名変更したMeta社(旧Facebook)が大量の資金を投入するなど社運をかけて推進している分野が、まさに主にこのハードウェア開発であることからもその重要性が見て取れます。

魅力的なコンテンツの充実

メタバースの普及にはハードウェアの進化ではなく、ソフト側つまりコンテンツの充実も不可欠です。そして、この分野において日本は大いに躍進できる可能性があります。なぜなら、日本は世界屈指の「コンテンツ大国」だからです。

日本国内には漫画やアニメ、ゲームなど面白いコンテンツを作ることのできるクリエイターが大勢おり、クリエイターをリスペクトする文化も存在します。加えて、ドラゴンボールやワンピース、ファイナルファンタジーやマリオなどの世界的な知名度と評価が高い作品の権利を持っているのが強みです。

優れたコンテンツを作る人材、文化、権利が全て揃う国は世界の中でも日本だけであるという点は、今後メタバース市場が拡大していく中で一歩抜きん出た強みであると言えます。

メタバースの様々な事例

Second Life(セカンドライフ)

出典:gemelog.com

Second Life(セカンドライフ)は2003年にリリースされた元祖メタバースとも言えるサービスで、プレイヤーは3D仮想空間で自分のアバターを作り、他の参加者とコミュニケーションをとることができます。

Web3.0の文脈でメタバースが注目されるようになったのは2021年頃ですが、それよりもなんと約20年前にメタバースの概念自体は既に存在していたのです。

しかしSecond Lifeのプレイ人口は下降の一途を辿り衰退してしまいます。その要因は「画質が悪く没入感が乏しい」「パソコンの要求スペックが高すぎる」などいくつかが挙げられますが、最大の要因は「そこで何もすることがない」でした。つまり、前項で挙げたハードとソフトのどちらにおいても不十分だったため、メタバースの成功事例とは言えない結果に終わってしまいました。

Fortnite(フォートナイト)

出典:fn-games.com

Fortnite(フォートナイト)はエピックゲームズ社が開発・発売している、2021年7月時点で3.5億人のユーザーを誇る大人気バトルロワイヤルゲームです。

リリース当初のプレイヤー達はゲームそのものを楽しむためにFortniteを利用していましたが、その後はコミュニケーションの場として利用され始め、今では単なるゲームではなくメタバースへと変貌を遂げています。

Fortniteのメタバースでは特設ステージでのライブや映画の上映会などのイベントも開催され、ゲームをするのではなく、そこに行って友人や他のプレイヤーと交流を深めることが主な目的となっています。

Decentraland(ディセントラランド)

Decentralandの公式HP

Decentraland(ディセントラランド)は、イーサリアムブロックチェーンをベースとしたVRプラットフォームで、メタバース内でゲームをしたりアイテムやコンテンツを作成・売買することが可能です。

Decentralandでは「LAND」というメタバース内の土地を保有・マネタイズできる点や、NFT化したアイテムをメタバース内で取引できる点が特徴です。

👉参考記事:『NFT×ゲーム〜「遊んで稼ぐゲーム」について解説〜

また、Second LifeやFortniteでは中央集権的な組織運営によってコンテンツが提供されているのに対し、Decentralandはブロックチェーンを基盤にした分散型のメタバースとなっています。

Decentralandではユーザー自身が何を構築しどう使うのかを主体的に決定していくことを基本方針としており、これはまさにWeb3.0の概念と通ずるものがあります。2022年現在、Decentralandが最先端のメタバースの事例であると言えるでしょう。

まとめ

本記事では、Web3.0(次世代の分散型インターネット)メタバース(仮想現実)それぞれの概要と、この2つの関係性について解説してきました。

VR機器の小型軽量化や描写スペック向上、そしてコンテンツの充実が進めば、Web3.0におけるメタバースの重要性はさらに増していくことでしょう。

NFTのスポーツ業界への活用〜新時代のファンビジネスと可能性〜

NFT=「Non-Fungible Token(非代替性トークン)」は、デジタルデータを替えの効かない唯一無二のものにできる技術で、アートやゲーム、音楽など様々なカテゴリーで活用されはじめています。特に、今回ご紹介するスポーツの分野では、選手やクラブとファンとのエンゲージメントを高める手段として大きな可能性を秘めています。本記事では、NFTの基本知識から、スポーツ×NFTによってどんなメリットが生まれるのかを解説し、そして具体的な活用事例についてご紹介していきます。

スポーツ分野へのNFT活用
スポーツとの親和性が高いNFT
実際に様々な団体でのNFT導入が始まっている
NFTの基礎知識
NFT=デジタルの”はんこ”
NFTが必要とされる理由
NFTとブロックチェーン
スポーツ×NFTで実現すること
ファンとのエンゲージメントを高められる
“唯一無二の本物” を所有する喜び
NFTによって実現する新たな応援の形
選手やチームにとっての新たな収益源となる
スポーツ分野×NFTの活用実例
Sorare
NBA Top Shot
日本プロ野球における取り組み
西武ライオンズ(ライオンズコレクション)
パ・リーグ(パ・リーグ Exciting Moments β)
まとめ

スポーツ分野へのNFT活用

スポーツとの親和性が高いNFT

出典:pixabay

サッカーや野球、バスケットボールを始めとする「スポーツ」は、いつの時代も世界中の人々を熱狂させる非常に魅力的なコンテンツです。自分が応援するチームのドラマチックな勝利をリアルタイムで観戦したり、好きな選手の活躍をその目に焼き付けることは、替えの効かない素晴らしい体験となります。

近年、そういったスポーツへNFT=「Non-Fungible Token(非代替性トークン)」を活用する動きが世界中で拡大しています。

NFTとは「デジタルデータを替えの効かない唯一無二のものにできる技術」のことで、1試合ごとに何らかのドラマが生まれ、同じシーンが二度と起こらないスポーツとは非常に親和性が高いと言われています。

実際に様々な団体でのNFT導入が始まっている

出典:pixabay

スポーツとNFTの親和性の高さは以前から着目されており、2019年には既に「Sorare(ソラーレ)」というサッカーのトレードカードゲームがNFTをいち早くスポーツに取り入れています。

続いて2020年に米プロバスケットボールリーグであるNBAがNFT市場に参入、さらに2022年には米メジャーリーグ(MLB)が参入を予定しています。また、日本でもサッカーのJリーグやプロ野球の一部チームでNFT活用の動きが活発化しています。これら活用事例の詳細については後ほど詳しくご紹介します。

このように、実際に様々なスポーツ団体によって導入が始まっているNFTですが、スポーツ分野へNFTを活用することによって一体どんな具体的なメリットがあるのでしょうか?

スポーツへのNFT導入のメリットについて触れる前に、まずは次項でNFT(Non-Fungible Token、非代替性トークン)について改めて詳しく解説していきます。

NFTの基礎知識

NFT=デジタルの”はんこ”

NFTとは簡単に言うと「デジタルデータに偽造不可な鑑定書・所有証明書をもたせる技術」のことです。さらに噛み砕いて表現すると「デジタルコンテンツにポンと押す ”はんこ” のようなもの」です。

出典:pixabay

NFTを言葉の意味から紐解くと、NFT=「Non-Fungible Token」の略で、日本語にすると「非代替性トークン」となります。非代替性は「替えが効かない」という意味で、トークンには「データや通貨・モノ・証明」などの意味があります。

つまり「唯一無二であることの証明ができる技術」を意味し、実際にはデジタル領域で活用されることから冒頭ではデジタルの ”はんこ” と表現しました。

NFTが必要とされる理由

世の中のあらゆるモノは大きく2つに分けられます。それは「替えが効くもの」と「替えが効かないもの」です。前述した非代替性トークンは文字通り後者となります。

それぞれの例を挙げていくと、

【替えが効くもの (代替性) 】

  • 硬貨や紙幣
  • フリー素材の画像や音楽
  • 量産される市販品

【替えが効かないもの (非代替性) 】

  • 大谷翔平の「直筆サイン入り」本
  • ゴッホの「原画」
  • ワールドカップ決勝の「プレミアチケット」

人は唯一性や希少性のあるもの、つまり「替えが効かないもの」に価値を感じます。
不動産や宝石・絵画などPhysical(物理的)なものは、証明書や鑑定書によって「唯一無二であることの証明」ができます。

一方で画像やファイルなどのDigital(デジタル)な情報は、コピーされたり改ざんされたりするリスクがあるため「替えが効くもの」と認識されがちで、その価値を証明することが難しいという問題がありました。

実際、インターネットの普及により音楽や画像・動画のコピーが出回り、所有者が不特定多数になった結果、本来であれば価値あるものが正当に評価されにくくなってしまったのです。

そういったデジタル領域においても、「替えが効かないもの」であることを証明する技術がまさにNFTなのです。

NFTがあれば、本物と偽物を区別することができ、唯一性や希少性を担保できます。NFTによって、これまではできなかったデジタル作品の楽しみ方やビジネスが生まれるのです。

👉参考記事:『【2022年】NFTとは何か?なぜ話題なのか、分かりやすく解説!

NFTとブロックチェーン

NFTはブロックチェーンという技術を用いて実現しています。

ブロックチェーンは「一度作られたデータを二度と改ざんできないようにする仕組み」です。データを小分けにして暗号化し、それを1本のチェーンのように数珠つなぎにして、世界中で分散管理されています。そのため、コピーしたり、改ざんしたり、データが消えたりする心配がありません。

👉参考記事:『ブロックチェーン(blockchain)とは何か?仕組みや特長をわかりやすく解説!

スポーツ×NFTで実現すること

ファンとのエンゲージメントを高められる

“唯一無二の本物” を所有する喜び

出典:pixabay

これまでは、画像や動画といったデジタルデータに対して ”唯一無二の本物” であるという証明をすることは不可能に近く、有名な試合のワンシーンはYouTubeにアクセスすれば誰もが簡単に見ることが出来ました。

しかしこれからは、NFT技術によって ”唯一無二の本物” であるという証明がなされた試合中のドラマチックなワンシーンを、自分だけのモノにできるのです。

“唯一無二の本物” を所有することによって、チームや選手に対してさらに愛着が持てるようになったり、ファンコミュニティの中で「自分は正真正銘のファンだ」といった心理的な優越感を得ることができます。

NFTによって実現する新たな応援の形

出典:pixabay

NFTによって価値が証明されるものは試合中のワンシーンだけではありません。

例えば、新人選手の手書きサインをNFT化し、将来の活躍を期待するファンがそれを購入する、という楽しみも生まれる可能性があります。NFTという記録に残る形で投資した新人選手が活躍するようになれば、以前から応援していたファンとしてこれほど誇らしいことは無いでしょう。

このようにNFTをスポーツのコンテンツに活用することで、選手とファンの新しいコミュニケーションが生まれます。人対人の関係性を新たに生み出せるのがNFTの魅力と言えるでしょう。

選手やチームにとっての新たな収益源となる

出典:pixabay

スポーツ分野へのNFT活用は、ファンに対してだけではなく選手やチームにとってもメリットをもたらします。それは、コンテンツの2次流通を収益化できるという点です。

これまでのチームや選手にとっての主な収入源は、試合日のチケット代や物販、そして各種中継といったコンテンツの一次利用によるものでした。一方これからは、あらゆるコンテンツやデータがNFT技術によって紐付けられ、転売による二次流通による利益がチームや選手に還元される仕組みが実現可能となります。

例えば、新人時代に書いたサインが有名になってから高値で取引されるようになると、選手自身にもその利益が還元され、活躍次第で大きな収入源となる可能性があります。同様に、優勝決定戦などのプレミア価格がついたチケットの転売利益を、チームに還元することも可能となります。

スポーツ分野×NFTの活用実例

続いて、2022年時点でのスポーツ分野×NFTの活用実例をご紹介します。

Sorare

👉Sorareの公式HP

Sorare(ソラーレ)は実在するサッカー選手を題材としたトレーディングカードゲーム(トレカ)です。ただし実物のカードではなく、NFT技術によって選手の写真や能力値が一つのデジタルデータにまとめられているのが特徴です。

👉参考記事:『NFT×トレカ〜NFTが新たな価値を生み出したデジタルカード〜

カードをコレクションする以外にも、購入したNFTトレカで自分だけのオリジナルチームを作ってそのスコアを競い合うことが出来ます。

Sorareの最大の特徴は、選手カードの性能が現実の試合結果とリアルタイムで連動しており、自分の持つ選手がゴールやアシストを決めるとSorare上でも強化される点です。つまり、いかにゲーム内のチームに実際に活躍している旬の選手を組み込めるかが、ハイスコアを出す鍵となってきます。

チームを構成するNFTトレカは、Sorare内での売買の他にも、ゲーム外のNFTマーケットプレイスによる取引によって入手できます。当然のことながら、現実世界で好成績をおさめる選手のNFTカードには人気が集中し、過去にはあのクリスティアーノ・ロナウド選手のNFTトレカが約3,200万円で売却されたことも大きな話題を呼びました。

👉参考記事:『NFT×マーケットプレイス〜取引所の概要から選び方・それぞれの違いを解説〜

さらに、2022年5月には米メジャーリーグベースボール(MLB)と提携することが発表され、同年夏にSorareの野球版がローンチされる予定です。

NBA Top Shot

👉NBA Top Shotの公式HP

NBA Top Shotは、北米のプロバスケットボールリーグであるNBAの選手を題材としたNFTトレカの収集や販売、展示を行うことができるNFTプラットフォームです。

NBA選手による歴史的なプレイなどのハイライト動画をNFTカードとして所有でき、人気選手のカードは1,000万円以上の価格で取引され、投資家の間でも話題となりました。

Sorare同様、NBA Top Shotには独自のマーケットプレイス機能が備わり、プレイヤー同士の交流やカード売買による二次流通が積極的に行われています。

日本プロ野球における取り組み

西武ライオンズ(ライオンズコレクション)

👉LIONS COLLECTION(ライオンズコレクション)の公式HP

日本プロ野球に関する最初のNFTコンテンツは、埼玉西武ライオンズの「LIONS COLLECTION(ライオンズコレクション)」です。

埼玉西武ライオンズは、コロナ禍によって球団の収益の柱である観客動員が大幅に減少したことを受け、「新しい収益を生み、かつファンにも受け入れられる取り組み」を目指し、2021年9月に日本のプロ野球界で初めてNFTを導入しました。

チームの人気選手である栗山巧選手が通算2000本安打を達成した際に、手書きサイン付きパネルとNFT化された記念動画データのセットが販売されたのを皮切りに、球団公式のサービスとしてNFTを取り扱い始めました。

メモリアルシーン以外の普段の試合でも、試合開始前の球場のスクリーンに映し出されるスタメン発表ボードムービーを毎試合NFT化し販売するなど、新たなファンコミュニケーションの一環としてNFTを積極的に取り入れています。

パ・リーグ(パ・リーグ Exciting Moments β)

👉パ・リーグ Exciting Moments βの公式HP

日本プロ野球のパ・リーグ6球団と国内No.1シェアのフリマアプリ「メルカリ」を運営する株式会社メルカリが共同となり、2021年12月に「パ・リーグ Exciting Moments β」を開始しました。

これは6球団の歴史を彩る名場面を捉えた映像や、シーズン中に活躍した選手のプレー映像をNFT化し、NFTの購入者は動画コンテンツを自分だけのコレクションとして保有できるサービスです。

NFTの販売数は動画の元となるシーンの希少性や、対象となる選手の人気によって異なります。例えば、2022年4月10日に千葉ロッテマリーンズの投手、佐々木朗希が記録した完全試合ムービーは、20個限定で販売され即完売となりました。チームの人気選手による偉業達成ということもあり、NFTの価値が非常に高まり話題を呼んだ成功例です。

さらに多くのファンを抱えるとされるセ・リーグへの波及も楽しみなプロジェクトです。

まとめ

今回はスポーツ分野へのNFT活用について解説してきました。

NFTはスポーツにおけるファンビジネスのあり方を変革するだけの大きな可能性を秘めていると言えます。

アートや音楽などの芸術分野へのNFT活用は投資目線で語られる事が多いですが、スポーツへのNFT活用はあくまでもファンが中心となって市場を牽引していくことが期待されます。

NFTの活用によってスポーツ市場は今後さらに盛り上がっていくことでしょう。

【2022年】NFTの現時点での課題とは?〜革新的な技術に課せられた問題点〜

2021年以降、デジタルデータに唯一性・希少性をもたせるNFTの技術は、アート、ゲーム、音楽等の様々な分野で活用され始めるなど、大きな可能性を秘めています。一方でNFT自体の歴史はまだまだ浅く、解決すべき課題が存在することは無視できません。そこで本記事では、改めて「NFTとは何なのか」を簡単に振り返った上で、現時点でのNFTの課題と解決に向けた動きについて解説していきます。

そもそもNFTとは?
NFT=デジタルの”はんこ”
NFTが必要とされる理由
NFTとブロックチェーン
急成長と共に浮かび上がる課題
NFTが抱える現状の課題
NFTの課題①:法整備
市場拡大に対して法整備が遅れている
NFT関連の法整備に向けた動きが活発化
NFTの課題②:ハッキングのリスク
NFTゲーム「Axie Infinity(アクシー・インフィニティ)」
NFTマーケットプレイス「OpenSea」
NFTコレクション「Bored Ape Yacht Club(BAYC)」
価値の流動性が高い
浮き彫りになる環境問題
NFTの基盤通貨「イーサリアム」の電力消費
イーサリアムは2022年に ”燃費” を大幅に改善予定
まとめ

そもそもNFTとは?

NFT=デジタルの”はんこ”

NFTとは簡単に言うと「デジタルデータに偽造不可な鑑定書・所有証明書をもたせる技術」のことです。さらに噛み砕いて表現すると「デジタルコンテンツにポンと押す ”はんこ” のようなもの」です。

出典:pixabay

NFTを言葉の意味から紐解くと、NFT=「Non-Fungible Token」の略で、日本語にすると「非代替性トークン」となります。非代替性は「替えが効かない」という意味で、トークンには「データや通貨・モノ・証明」などの意味があります。

つまり「唯一無二であることの証明ができる技術」を意味し、実際にはデジタル領域で活用されることから冒頭ではデジタルの ”はんこ” と表現しました。

NFTが必要とされる理由

世の中のあらゆるモノは大きく2つに分けられます。それは「替えが効くもの」と「替えが効かないもの」です。前述した非代替性トークンは文字通り後者となります。

それぞれの例を挙げていくと、

【替えが効くもの (代替性) 】

  • 硬貨や紙幣
  • フリー素材の画像や音楽
  • 量産される市販品

【替えが効かないもの (非代替性) 】

  • 大谷翔平の「直筆サイン入り」本
  • ゴッホの「原画」
  • ワールドカップ決勝の「プレミアチケット」

人は唯一性や希少性のあるもの、つまり「替えが効かないもの」に価値を感じます。
不動産や宝石・絵画などPhysical(物理的)なものは、証明書や鑑定書によって「唯一無二であることの証明」ができます。

一方で画像やファイルなどのDigital(デジタル)な情報は、コピーされたり改ざんされたりするリスクがあるため「替えが効くもの」と認識されがちで、その価値を証明することが難しいという問題がありました。

実際、インターネットの普及により音楽や画像・動画のコピーが出回り、所有者が不特定多数になった結果、本来であれば価値あるものが正当に評価されにくくなってしまったのです。

そういったデジタル領域においても、「替えが効かないもの」であることを証明する技術がまさにNFTなのです。

NFTがあれば、本物と偽物を区別することができ、唯一性や希少性を担保できます。NFTによって、これまではできなかったデジタル作品の楽しみ方やビジネスが生まれるのです。

👉参考記事:『【2022年】NFTとは何か?なぜ話題なのか、分かりやすく解説!

NFTとブロックチェーン

NFTはブロックチェーンという技術を用いて実現しています。

ブロックチェーンは「一度作られたデータを二度と改ざんできないようにする仕組み」です。データを小分けにして暗号化し、それを1本のチェーンのように数珠つなぎにして、世界中で分散管理されています。そのため、コピーしたり、改ざんしたり、データが消えたりする心配がありません。

👉参考記事:『ブロックチェーン(blockchain)とは何か?仕組みや特長をわかりやすく解説!

急成長と共に浮かび上がる課題

”デジタルデータに唯一性・希少性をもたせる” という画期的な技術であるNFTの登場は、様々な分野で新たなビジネスを生み出し、現在もその市場は発展途上です。

2019年時点で300億円だった市場規模は、2022年には4000億円にまで急成長し、2027年には約2兆円に達すると予測されています。

👉出典:DreamNews『NFT(非代替性トークン)の市場規模、2027年に136億米ドル到達予測

NFTは短期間で急成長を遂げた一方で、新しい概念であるがゆえ未知な領域も数多くあります。手探り状態で市場が拡大を続けており、同時に解決すべき課題も次々と明らかになっています。

そこで次項では、NFTが抱える現状の課題について解説していきます。

NFTが抱える現状の課題

NFTの課題①:法整備

市場拡大に対して法整備が遅れている

出典:pixabay

NFTに限らず、新しい技術やサービスが普及していく過程では、それに伴って様々な法律問題が発生します。

NFTを活用したビジネスは急速に発展しつつある一方、NFT自体の法的位置付けやNFTの取引にかかる法規制・権利関係の整理は十分に追いついておらず、ひとたび不測のトラブルが生じた場合、大きな混乱が生じることが予想されます。

例えば、NFTに対する”所有権”は現法上認められていません。なぜなら、NFTは前項で解説したとおり「替えが効かないデジタル資産」であることを証明する技術ですが、Physical(物理的)な「モノ」ではないからです。そのためNFTを購入したとしても、購入者にどのような権利が認められるのかが明確ではありません。

NFT関連の法整備に向けた動きが活発化

出典:pixabay

2022年現在、複数の団体が日本国内のNFT関連の法整備に向けて具体的なアクションを起こしています。

例えば、(JCBA)一般社団法人日本暗号資産ビジネス協会は「NFTビジネスに関するガイドライン」を2021年に策定、その後も改訂を行っており、NFT利用者にとって安心・安全な利用環境の提供を目指しています。

👉出典:JCBAの公式HP

また、年を同じくして凸版印刷・KDDI・ドコモなどの大きな影響力を持つ民間企業が、NFT領域における課題特定と解決策の提案を目的として「デジタル通貨フォーラムNFT分科会」を設立し、実証実験を開始しています。

👉出典:DeCurret『デジタル通貨フォーラムNFT分科会を設立

言わずと知れた世界最大の動画共有プラットフォームである「YouTube」も、サービス開始当初は、無断転載や倫理上不適切な動画に溢れた無法地帯と化していました。NFTへの注目度が増し、より一般層の人々にまで普及し、ビジネスチャンスが広がるにつれて自ずと法整備も進んでいくでしょう。

NFTの課題②:ハッキングのリスク

出典:pixabay

あらゆるIT分野にはハッキングのリスクがあり、NFTも例外ではありません。以下、2022年に発生したNFT関連のハッキング被害を3つご紹介します。

NFTゲーム「Axie Infinity(アクシー・インフィニティ)」

「Axie Infinity(アクシー・インフィニティ)」は「Axie(アクシー)」と呼ばれるモンスターを育成したり対戦させて、Play to Earn(P2E) =「遊んで稼ぐ」という言葉の火付け役的なゲームです。

👉参考記事:『NFT×ゲーム〜「遊んで稼ぐゲーム」について解説〜

2022年3月23日に、この「Axie Infinity」で使用される「Ronin Network」というブロックチェーンが外部からハッキングされ、750億円以上に相当する仮想通貨が盗み出されました。これは、ブロックチェーン及びNFTに関連するハッキング被害としては過去最大規模と

なったため、非常に大きなニュースとなりました。

NFTマーケットプレイス「OpenSea」

2022年2月19日に、NFTマーケットプレイス(取引所)の最大手である「OpenSea」で、総額2億円相当となるNFTが盗まれる事件が発生しました。

👉参考記事:『NFT×マーケットプレイス〜取引所の概要から選び方・それぞれの違いを解説〜

攻撃者は、OpenSeaがユーザーに対して仕様変更に関する告知を行っていた時期を狙い、OpenSeaを偽装した偽メールをユーザーに送付して不正なリンクを踏ませて誘導しました。OpenSea自体の技術的な問題ではなく、メールを用いた古典的なフィッシング詐欺によるものではありますが、被害額の大きさから注目を集めた事例となります。

NFTコレクション「Bored Ape Yacht Club(BAYC)」

「Bored Ape Yacht Club(BAYC)」は、猿をモチーフにした有名なNFTコレクションです。NFT化されたイラストは、それぞれ背景や猿の顔服装などが異なり、同じものはひとつとしてありません。

人気アーティストグループ「EXILE」の関口メンディー氏や、アメリカを代表する歌手であるジャスティン・ビーバーといった多くの著名人がBAYCを購入しており、人気に拍車がかかっています。

2022年4月25日、この「Bored Ape Yacht Club(BAYC)」の公式インスタグラムと公式Discordサーバーがハッキングされ、OpenSea同様のフィッシング詐欺が行われました。

乗っ取られた公式SNS上でNFTの無料配布を行うとした偽のリンクが拡散された結果、多くのユーザーがこれをクリックし、被害総額は約3億8000万円相当と推定されます。

価値の流動性が高い

出典:pixabay

NFTの価値は、現実世界の「モノ」と同じく需要と供給によって変動します。ただ、その値動きは「モノ」よりも大きく、価値の流動性が非常に高い点がNFTの特徴です。

価値の流動性が高くなる理由は、NFTはそもそも仮想通貨を基盤とした技術であり、関連する仮想通貨の値動きに合わせてNFT自体の価値も変動するためです。一般的に仮想通貨は、円やドルといった法定通貨に比べて値動きが激しいため、関連するNFTの価値の変動も必然的に大きくなります。

仮想通貨の値動きに加え、販売されているNFTそのものの希少価値も非常に流動的です。一部の著名人やインフルエンサーによってSNS上で取り上げられる事により、価値が突如として高騰する可能性があるのがNFTの世界です。

NFTを実際に購入する場合、そのNFTの適正な価値を見極める必要があります。不当に価値が吊り上げられたNFTを購入しないためにも事前にしっかりと情報収集を行い、自身のリスク許容度の範囲内での購入を心がけましょう。

浮き彫りになる環境問題

NFTの基盤通貨「イーサリアム」の電力消費

出典:pixabay

NFTを含めたブロックチェーン技術を活用した取引市場が盛り上がる一方で、取引における多大な電力消費とそれに伴う環境問題が指摘されています。

特に、多くのNFTに関連する仮想通貨「イーサリアム」での取引には、膨大な数のデータベースへのアクセス(マイニング)が必要で、その際に113テラワット/時という大量の電力を消費します。そして、なんとそれはオランダ全体の年間電力消費量に匹敵すると推計されます。

👉参考記事:『〜ブロックチェーン基礎知識〜「マイニング」

👉出典:MIT Technology Review『環境破壊、採掘寡占化—— ビットコインの「失敗」を イーサリアムは乗り越えるか

イーサリアムは2022年に ”燃費” を大幅に改善予定

イーサリアムでの取引が電力を大量に必要とする理由、それはイーサリアムという仮想通貨が「PoW(Proof of Work)」と呼ばれるアルゴリズム形式で作られているからです。現状のPoWによるマイニングは、大量の計算マシンによる電力消費が環境負荷をかけていると指摘されています。

この環境負荷問題を受けて、イーサリアムはこれまでの非常に燃費の悪い「PoW」から「PoS(Proof of Stake)」と呼ばれる圧倒的にエコなアルゴリズム形式へのアップデートを2022年中に実施する予定です。

この大規模なアップデートにより約99%もの消費電力を削減でき、イーサリアムを基盤とする全てのNFT取引にかかる環境負荷も大幅に改善できる見込みです。

まとめ

今回はNFTに関する解決すべき課題に焦点を当てて解説してきました。

NFTに関して、その可能性やメリットだけに目を向けるのではなく、解決すべき課題についても理解を深めることが大切です。加えて、発展途上にある技術であるNFTのネガな部分だけを切り取り「怪しい」「危険だ」といって拒絶するのではなく、どのようにすれば解決し、より良くなっていくのかという視点を持つことも大切です。

メタバースとNFT 〜NFTによって証明される仮想現実内の”モノの価値”〜

2021年頃からNFTがニュースやSNSでも取り上げられることも増え、そのNFTと関連して「メタバース」という言葉を耳にすることも増えてきました。実はメタバースの概念そのものは以前から存在しており、近年になって注目を集めるようになった背景にはNFT技術が深く関係しています。本記事では、従来のメタバースの概念とNFT技術の基礎を説明した上で、メタバースとNFTの掛け合わせによって新たにどのようなことが実現できるのかを解説していきます。

近年注目を集める「メタバース」
メタバースに関する近年のトピックス
メタバースとは
従来のメタバースの課題
そもそもNFTとは?
NFT=デジタルの”はんこ”
NFTが必要とされる理由
NFTとブロックチェーン
NFT×メタバースで実現すること
NFT×メタバースの活用実例
The Sandbox
Decentraland
まとめ

近年注目を集める「メタバース」

出典:pixabay

メタバースに関する近年のトピックス

近年、「メタバース」というワードがSNS上のみならず、テレビのニュースでもとりあげられる機会が増えています。その中でも、2021年10月28日には多くの人々にとって馴染み深いFacebookが社名を「Meta(メタ)」に変えたことが大きな話題となり、「メタバース」に注目が集まるきっかけの一つとなりました。

👉出典:日経電子版「Facebook、社名を「メタ」に変更 仮想空間に注力」

さらに2022年2月18日には、米Google傘下のYouTubeがメタバースへの参入を検討していると日本版公式ブログで明かしました。

👉出典:IT media NEWS「YouTubeがメタバース参入を検討中「まずはゲームに適用」

また、2020年以降のコロナ禍において、Zoomを筆頭とするオンラインMTGが一般的なものとなりました。こうしたバーチャルでのコミュニケーションに対する心理的ハードルが大きく引き下がったことも、人々が「メタバース」に興味をもつようになった要因の一つと考えられます。

メタバースとは

メタバースとは「オンライン上に構築された仮想空間」です。

言葉で説明するとイメージがつきにくいかも知れませんが、実はメタバースという概念そのものは以前から存在しているのです。

個性豊かな動物たちが暮らす村で ”あなた自身” が生活していく任天堂の大人気ゲーム「あつまれ どうぶつの森」もひとつのメタバースです。

全世界で1億4千万人以上がプレイするモンスターゲーム「Minecraft(マインクラフト)」は、オンラインで仲間たちと冒険に出かけるも良し、多くのプレイヤー達が住民として暮らすサーバー内で各々建築をしたり農業を営むも良しといった、非常に自由度の高いメタバースです。

つまりメタバースとは、「画面の向こうにあるもうひとつの世界」を指します。

出典:pixabay

コンシューマー向けゲームを通じてすでに概念として存在していたメタバースですが、近年のVR/AR技術の向上によって「より現実に近い(リアリティの高い)仮想空間」が作られるようになってきました。

さらに、デジタルデータに唯一性をもたせる技術であるNFTを活用することにより、次項で述べる ”従来のメタバースの課題” を解決することができるようになったのです。

従来のメタバースの課題

従来のメタバースの課題、それは「メタバース内のデジタルデータの価値を証明することが困難である」という点です。

先述した「あつまれ どうぶつの森」や「Minecraft(マインクラフト)」の中には、ゲーム内で使える独自の通貨やゲーム内アイテムが存在しています。

出典:hikicomoron.net

ただし、それらはあくまでもゲーム内だけで使える通貨やアイテムであって、現実世界において価値をもたせることはできません。どうぶつの森の中でお金をいくら稼ぎ、家を増築し、貴重な家具を持っていようが、それらは全てゲーム内での出来事に過ぎないのです。

つまり従来のメタバースと現実世界では、価値の交換が出来ませんでした。なぜならゲーム内データはいくらでもコピーが可能で、価値あるものだという証明が困難であったためです。

そこで登場するのがNFT=「Non-Fungible Token」です。

このNFTという技術を用いることによって、これまで不可能だったゲーム内データの価値の証明が可能になり、現実世界の通貨で取引できるようになるのです。

そもそもNFTとは?

NFT=デジタルの”はんこ”

NFTとは簡単に言うと「デジタルデータに偽造不可な鑑定書・所有証明書をもたせる技術」のことです。さらに噛み砕いて表現すると「デジタルコンテンツにポンと押す ”はんこ” のようなもの」です。

出典:pixabay

NFTを言葉の意味から紐解くと、NFT=「Non-Fungible Token」の略で、日本語にすると「非代替性トークン」となります。非代替性は「替えが効かない」という意味で、トークンには「データや通貨・モノ・証明」などの意味があります。

つまり「唯一無二であることの証明ができる技術」を意味し、実際にはデジタル領域で活用されることから冒頭ではデジタルの ”はんこ” と表現しました。

NFTが必要とされる理由

世の中のあらゆるモノは大きく2つに分けられます。それは「替えが効くもの」と「替えが効かないもの」です。前述した非代替性トークンは文字通り後者となります。

それぞれの例を挙げていくと、

【替えが効くもの (代替性) 】

  • 硬貨や紙幣
  • フリー素材の画像や音楽
  • 量産される市販品

【替えが効かないもの (非代替性) 】

  • 大谷翔平の「直筆サイン入り」本
  • ゴッホの「原画」
  • ワールドカップ決勝の「プレミアチケット」

人は唯一性や希少性のあるもの、つまり「替えが効かないもの」に価値を感じます。
不動産や宝石・絵画などPhysical(物理的)なものは、証明書や鑑定書によって「唯一無二であることの証明」ができます。

一方で画像やファイルなどのDigital(デジタル)な情報は、コピーされたり改ざんされたりするリスクがあるため「替えが効くもの」と認識されがちで、その価値を証明することが難しいという問題がありました。

実際、インターネットの普及により音楽や画像・動画のコピーが出回り、所有者が不特定多数になった結果、本来であれば価値あるものが正当に評価されにくくなってしまったのです。

そういったデジタル領域においても、「替えが効かないもの」であることを証明する技術がまさにNFTなのです。

NFTがあれば、本物と偽物を区別することができ、唯一性や希少性を担保できます。NFTによって、これまではできなかったデジタル作品の楽しみ方やビジネスが生まれるのです。

👉参考記事:『【2022年】NFTとは何か?なぜ話題なのか、分かりやすく解説!

NFTとブロックチェーン

NFTはブロックチェーンという技術を用いて実現しています。

ブロックチェーンは「一度作られたデータを二度と改ざんできないようにする仕組み」です。データを小分けにして暗号化し、それを1本のチェーンのように数珠つなぎにして、世界中で分散管理されています。そのため、コピーしたり、改ざんしたり、データが消えたりする心配がありません。

👉参考記事:『ブロックチェーン(blockchain)とは何か?仕組みや特長をわかりやすく解説!

NFT×メタバースで実現すること

これまでのメタバースでは、ゲーム内アイテムが簡単にコピーできてしまうため価値の証明が困難でした。また、そのゲームで遊ぶことをやめてしまえば、これまで築き上げてきたゲーム内資産は再度ゲームを起動するまで利用されることはありません。

出典:pixabay

しかし、アイテムや土地・建物といったゲーム内資産をNFT化することにより、現実世界と同じく唯一無二である価値が生まれます。価値が生まれるとそのアイテムや土地が欲しい人との間に取引が生まれ、その取引はゲーム内通貨ではなく、仮想通貨や法定通貨で行われます。

つまり、メタバースとNFT技術を掛け合わせることによって、現実世界でのモノや不動産の売買と同様、メタバース内でのマネタイズが可能となるのです。

ゲーム内での活動がそのまま現実世界の価値とリンクするようになるという点で、NFT×メタバースの掛け合わせはとても大きな可能性を秘めています。

NFT×メタバースの活用実例

続いて、2022年時点で話題となっているNFT×メタバースの活用事例をご紹介します。

The Sandbox

👉The Sandboxの公式HP

The Sandboxは、3Dのオープンワールドの中で、建物を建築したり自分の”オリジナルのゲーム”を作ることができます。何をするかはプレイヤーの自由で、マインクラフトに似たジャンルのゲームです。

The Sandboxのメタバース内には「LAND」というNFT化された土地が存在し、現実世界の土地と同じように売買・所有することが出来ます。

LANDを保有した人は自分の土地を自由にアレンジすることができ、例えば自作のゲームを公開して ”ゲームセンター化”したり、何か催し物を開催したい人向けにスペースの一部を貸し出す ”貸しイベント会場化”する事ができます。

実際に数多くのアーティスト達が自らの作品を展示する場としてThe Sandboxを利用しており、また日本を代表するゲーム会社であるスクウェア・エニックスは会社の広報スペースとしてLANDを保有しています。

現実世界の土地と同じように、メタバース内のLANDを起点としたさまざまなビジネススタイルが個人・企業問わず誕生している点がThe Sandboxの魅力です。

Decentraland

👉Decentralandの公式HP

Decentralandは、イーサリアムブロックチェーンをベースとしたVRプラットフォームで、先程ご紹介したThe Sandbox同様、仮想空間内でゲームをしたりアイテムやコンテンツを作成・売買することが可能です。

ゲーム性は両者共通する部分も多く、「LAND」という仮想現実内の土地を保有・マネタイズできる点や、NFT化したアイテムをメタバース内で取引できる点も同じです。

一方、The Sandboxとの違いはその ”世界観” です。The Sandboxの世界が全て四角いブロックで構成されているのに対し、こちらのDecentralandは滑らかな3Dポリゴンで構成されており、よりポップで親しみやすい雰囲気の世界観が特徴です。

個性派人気アーティスト「きゃりーぱみゅぱみゅ」や、世界的に有名なセレブであるパリス・ヒルトンとのファッションコラボが話題となったことからも分かるように、そのポップな世界観とファッション業界との親和性が高いこともDecentralandの特徴のひとつです。

まとめ

NFTを活用したメタバース市場は今後急成長することが期待されており、様々な業種の企業が参入をすでに始めています。

例えば、SHIBUYA109渋谷店(東京都・渋谷区)を中心とした4つの施設を展開する株式会社SHIBUYA109エンタテイメントは、「The Sandbox」のメタバース上に「SHIBUYA109 LAND」を開設することを発表しました。

109が展開するオリジナルNFTの販売やNFTが手に入るミニゲーム、メタバース上での広告事業など、様々な展開を行うことがアナウンスされています。

👉出典:PR TIMES「SHIBUYA109が「メタバース・NFT事業」に本格参入!」

また、PUBGの大ヒットにより2021年度に約2,000億円の売り上げを記録した韓国のゲーム大手:Kraftonは、暗号資産ブロックチェーン・ソラナ(SOL)を開発するソラナラボと連携し、NFTを利用したソラナ基盤のゲームを共同開発する計画を発表しました。
👉出典:forbesjapan「韓国「クラフトン」もメタバース参入、NFT事業を立ち上げ」

今後もNFT×メタバースの掛け合わせによって、これまでにない新しいモノや体験が次々と生み出されていくことでしょう。

👉参考記事:『NFT×ゲーム〜「遊んで稼ぐゲーム」について解説〜

👉参考記事:『【2022年】Web3.0とメタバース 〜分散型インターネットにおける仮想現実の役割〜

NFT×トレカ〜NFTが新たな価値を生み出したデジタルカード〜

「NFTトレカ」というワードをSNSやニュースなどで目にする機会が増えてきました。NFTトレカは、有名アイドルや人気スポーツと共に取り上げられる事が多いため、気になる方も多いのではないでしょうか。そこで本記事では「そもそもNFTとは?」「普通のトレーディングカードと何が違うの?」といった疑問に対する答えや、具体的な銘柄のご紹介も交えてNFTトレカを解説していきます。

大きな話題を呼ぶ ”NFTトレカ”
そもそもNFTとは?
NFT=デジタルの”はんこ”
NFTが必要とされる理由
NFTとブロックチェーン
NFTトレカとは?
従来のトレーディングカード
NFT×トレーディングカード
様々なNFTトレーディングカード
SKE48
ももクロメモリアルNFTトレカ
CryptoSpells
Sorare
NBA Top Shot
まとめ

大きな話題を呼ぶ ”NFTトレカ”

実物のトレーディングカードは、一部の熱心なコレクターに支持されるマニアックな世界という印象があったかもしれません。しかし2020年10月に人気アイドルグループのSKE48のNFTトレカが発売され、即完売となりSNSを中心に大きな話題となることで、「NFTトレカ」というワードが一気に拡散されました。

出典:pixabay

その後も日本国内では、2021年10月に同じく人気アイドルグループ「ももいろクローバーZ」、同年12月には総合格闘技「RIZIN」、2022年2月には漫画家・手塚治虫の代表作「鉄腕アトム」といった様々なジャンルのNFTトレカが発売され、急速に普及し始めています。

👉参考記事:『NFT技術の音楽分野への活用 〜クリエイターとリスナーが享受する新たな価値〜

👉参考記事:『NFTのスポーツ業界への活用〜新時代のファンビジネスと可能性〜

👉参考記事:『【2022年最新版】アートへのNFT活用事例集

そもそもNFTとは?

NFT=デジタルの”はんこ”

NFTとは簡単に言うと「デジタルデータに偽造不可な鑑定書・所有証明書をもたせる技術」のことです。さらに噛み砕いて表現すると「デジタルコンテンツにポンと押す ”はんこ” のようなもの」です。

出典:pixabay

NFTを言葉の意味から紐解くと、NFT=「Non-Fungible Token」の略で、日本語にすると「非代替性トークン」となります。非代替性は「替えが効かない」という意味で、トークンには「データや通貨・モノ・証明」などの意味があります。

つまり「唯一無二であることの証明ができる技術」を意味し、実際にはデジタル領域で活用されることから冒頭ではデジタルの ”はんこ” と表現しました。

NFTが必要とされる理由

世の中のあらゆるモノは大きく2つに分けられます。それは「替えが効くもの」と「替えが効かないもの」です。前述した非代替性トークンは文字通り後者となります。

それぞれの例を挙げていくと、

【替えが効くもの (代替性) 】

  • 硬貨や紙幣
  • フリー素材の画像や音楽
  • 量産される市販品

【替えが効かないもの (非代替性) 】

  • 大谷翔平の「直筆サイン入り」本
  • ゴッホの「原画」
  • ワールドカップ決勝の「プレミアチケット」

人は唯一性や希少性のあるもの、つまり「替えが効かないもの」に価値を感じます。
不動産や宝石・絵画などPhysical(物理的)なものは、証明書や鑑定書によって「唯一無二であることの証明」ができます。

一方で画像やファイルなどのDigital(デジタル)な情報は、コピーされたり改ざんされたりするリスクがあるため「替えが効くもの」と認識されがちで、その価値を証明することが難しいという問題がありました。

実際、インターネットの普及により音楽や画像・動画のコピーが出回り、所有者が不特定多数になった結果、本来であれば価値あるものが正当に評価されにくくなってしまったのです。

そういったデジタル領域においても、「替えが効かないもの」であることを証明する技術がまさにNFTなのです。

NFTがあれば、本物と偽物を区別することができ、唯一性や希少性を担保できます。NFTによって、これまではできなかったデジタル作品の楽しみ方やビジネスが生まれるのです。

👉参考記事:『【2022年】NFTとは何か?なぜ話題なのか、分かりやすく解説!』

NFTとブロックチェーン

NFTはブロックチェーンという技術を用いて実現しています。

ブロックチェーンは「一度作られたデータを二度と改ざんできないようにする仕組み」です。データを小分けにして暗号化し、それを1本のチェーンのように数珠つなぎにして、世界中で分散管理されています。そのため、コピーしたり、改ざんしたり、データが消えたりする心配がありません。

👉参考記事:『ブロックチェーン(blockchain)とは何か?仕組みや特長をわかりやすく解説!

NFTトレカとは?

NFTトレカとは、その名の通り「NFT化されたデジタルトレーディングカード」のことです。トレーディングカードについての基礎知識から、それらのNFT化についてさらに紐解いていきましょう。

従来のトレーディングカード

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トレーディングカードは「さまざまな絵柄や写真が印刷された、収集および交換目的で販売される鑑賞用または対戦ゲーム用のカード」です。印刷される対象は、スポーツ選手、アニメキャラ、アイドル、ファンタジー作品など非常に多岐にわたります。

希少度の高いカードや対戦時に強力な効果を持つカードは価値が高いとされ、ものによっては数百万円以上の高値で取引されています。

トレーディングカードの唯一性・希少性といった価値を保証するために、信頼できるカード鑑定会社というものが存在します。BGSとPSAの2社が有名で、それぞれの評価基準は微妙に違えど、

  1. 本物であることの証明:カードが専用のハードケースに入れられる
  2. 唯一性の付与:カードに固有番号が振られる
  3. 希少性を担保:非常に厳しい評価基準をもとにカードの状態を格付けする

といったように、「価値のある1点モノ」であることが証明されます。

NFT×トレーディングカード

上記のような従来のトレーディングカードをデジタル化しようとしたとき、単に実物のカードをスキャンしただけの画像データではいくらでもコピーが出来てしまい、価値はほとんど生まれません。価値が無いということは、それをコレクションをしたり高値で取引するということもありえませんでした。

出典:pixabay

そこでNFT技術を用いて、デジタルデータに対して本物のトレカのような唯一性・希少性をもたせたのがNFTトレカです。

NFTによって「替えが効かないもの」化されるだけでなく、これまでの歴代所有者や取引履歴が記録される点が、従来のトレカにはないメリットです。さらにデジタルデータであるため、静止画に限らず音声や動画をトレカ化できる点も、NFTトレカの魅力の一つです。

さらに、NFTトレカはNFTマーケットプレイスで仮想通貨を使った取引が可能であったり、同じブロックチェーン内であれば異なるゲーム同士でお気に入りのカードを使えるなど、これまでのトレカには無い新しい楽しみ方も生まれています。

👉参考記事:『NFT×マーケットプレイス〜取引所の概要から選び方・それぞれの違いを解説〜

👉参考記事:『NFT×ゲーム〜「遊んで稼ぐゲーム」について解説〜

様々なNFTトレーディングカード

続いて、2022年時点で話題となっているNFTトレカをご紹介します。

SKE48

出典:Coincheck

日本国内で最も知られているものがSKE48のNFTトレカです。2020年10月に開催されたライブ「SKE48 Anniversary Fes 2020 〜12公演一挙披露祭〜」にあわせて、ライブ撮りおろし写真がNFTトレカ化されました。その後もライブ開催やイベントにあわせて新たなNFTトレカが続々と発売され、「人気アイドル×NFTトレカ」というトレンドを生み出しました。

また、SKE48のNFTトレカは単なるコレクションアイテムにとどまらず、後述するブロックチェーンカードゲーム「CryptoSpells(クリプトスペルズ)」とのコラボ企画によって、対戦ゲームに使用することもできるようになりました。

ブロックチェーンゲームにおいて、アイドルのトレーディングカードがゲームなどでそのまま使用できるのは日本初の試みとなり、こちらも大きな話題となりました。

ももクロメモリアルNFTトレカ

出典:ももクロNFT

ももいろクローバーZのメモリアルNFTトレカ「10周年記念東京ドームLIVE」は2021年10月に発行されました。

東京ドームで開催された結成10周年記念ライブの様子をカードにしたもので、限定2,288パックのみ販売されましたが、その希少性が注目されわずか1時間で完売しました。

CryptoSpells

出典:CryptoSpells

「CryptoSpells(クリプトスペルズ)」は、日本国内の対戦カードゲームです。先ほどまで紹介した2つはいずれもコレクション用のNFTトレカですが、CryptoSpellsは”オンライン対戦用” のカードとなります。

対戦において強力なカードや、発行枚数が限られるレジェンドカードは希少性が高く、取引所において数十万円で売買されるケースもあります。またプレイヤーは、世界に1枚だけのオリジナルカードを作成することができ、それらが売買される際に作成者は売買手数料の30%〜50%を受け取ることもできます。

先述したSKE48のNFTトレカをゲーム内で使うこともでき、今後の他のカードとのコラボも楽しみなタイトルです。

Sorare

出典:Sorare

Sorare(ソラーレ)は実在するサッカー選手を題材としたNFTトレカです。購入したNFTトレカで自分だけのオリジナルチームを作ってそのスコアを競い合います。

Sorareの最大の特徴は、選手カードの性能が現実の試合結果とリアルタイムで連動している点です。自分の持つ選手がゴールやアシストを決めると、Sorare上でも強化されます。つまり、いかにゲーム内のチームに実際に活躍している旬の選手を組み込めるかが、ハイスコアを出す鍵となってきます。

ゲーム内でスコア上位のプレイヤーには、レアカードが配布されるのに加え、報酬としてイーサリアム(ETH)が与えられます。

チームを構成するNFTトレカは、Sorare内での売買の他にも、ゲーム外のNFTマーケットプレイスによる取引によって入手できます。当然のことながら、現実世界で好成績をおさめる選手のNFTカードには人気が集中し、過去にはあのクリスティアーノ・ロナウド選手のNFTトレカが約3,200万円で売却されました。

2022年5月には、なんと米メジャーリーグベースボール(MLB)と提携することが発表され、同年夏にSorareの野球版がローンチされる予定です。

NBA Top Shot

出典:NBA Top Shot

NBA Top Shotは、北米のプロバスケットボールリーグであるNBAの選手を題材としたNFTトレカの収集や販売、展示を行うことができるNFTプラットフォームです。

NBA選手による歴史的なプレイなどのハイライト動画を ”NFTカード” として所有でき、人気選手のカードは1,000万円以上の価格で取引され、投資家の間でも話題となりました。

Sorare同様、NBA Top Shotには独自のマーケットプレイス機能が備わり、プレイヤー同士の交流やカード売買による二次流通が積極的に行われています。

まとめ

今回はデジタルのトレーディングカード:NFTトレカについて解説しました。

具体的な事例をご紹介する中でお気づきだと思いますが、NFTトレカ市場には様々なジャンルの ”公式” が大々的に参入してきています。一企業にとどまらず、欧州サッカーリーグやNBAといった、そのスポーツを代表するリーグそのものが続々と提携し、NFTトレカが非常に注目されている分野であることが分かります。

現実のトレーディングカードには「遊戯王」や「ポケモンカード」といったビッグタイトルが存在しており、仮にそれらがNFTトレカに参入することがあれば、盛り上がりはさらに加速することでしょう。

今後もNFTトレカの動向から目が離せません。

【2022年5月】NFT関連の仮想通貨銘柄〜ブロックチェーン上での基軸通貨〜

2021年頃から「NFT」という言葉を耳にする機会も増え、最近ではニュースやSNSでも取り上げられることも増えてきました。そしてNFTが注目を集めるに伴い、NFTと同じブロックチェーンを基盤とする仮想通貨の価格も上昇傾向にあります。今回は話題となっているNFTに関連する仮想通貨の銘柄をご紹介していきます。

加熱するNFT関連銘柄
そもそもNFTとは?
NFT=デジタルの”はんこ”
NFTが必要とされる理由
NFTとブロックチェーン
NFT関連銘柄とは?
様々なNFT関連銘柄
エンジンコイン(ENJ)
サンド(SAND)
The Sandboxとは?
The Sandbox内の基軸通貨「SAND」
SANDの将来性
チリーズ(CHZ)
マナ(MANA)
Decentralandとは?
Decentraland内の基軸通貨「MANA」
まとめ

加熱するNFT関連銘柄

2021年は仮想通貨にとって飛躍の年となり、特にNFT関連の仮想通貨の躍進は非常に注目されました。例えば、NFT関連銘柄の一つであるエンジンコイン(ENJ)の価格は、2021年1月の10円台から同年4月には425円と、ごく短期間で40倍にも高騰しました。

その背景には、Coincheck(日本)やCoinbase(アメリカ)といった大手取引所への上場や、世界的ゲームであるMinecraftとの連携があり、いかにNFT市場が活発化しているかがうかがえます。

出典:pixabay

また「Axie Infinity(アクシー・インフィニティ)」やStepnといったNFTゲームによって、Play to Earn(P2E) =「遊んで稼ぐ」という概念が注目を集めています。それらのNFTゲームに関連する仮想通貨の価格も、NFTゲームが盛り上がるに伴い高騰しています。

👉参考記事:『NFT×ゲーム〜「遊んで稼ぐゲーム」について解説〜

本記事では具体的なNFT関連銘柄のご紹介はもちろんですが、まずは「NFTとはそもそも何なのか?」という基礎知識からおさらいしていきます。

そもそもNFTとは?

NFT=デジタルの”はんこ”

NFTとは簡単に言うと「デジタルデータに偽造不可な鑑定書・所有証明書をもたせる技術」のことです。さらに噛み砕いて表現すると「デジタルコンテンツにポンと押す ”はんこ” のようなもの」です。

出典:pixabay

NFTを言葉の意味から紐解くと、NFT=「Non-Fungible Token」の略で、日本語にすると「非代替性トークン」となります。非代替性は「替えが効かない」という意味で、トークンには「データや通貨・モノ・証明」などの意味があります。

つまり「唯一無二であることの証明ができる技術」を意味し、実際にはデジタル領域で活用されることから冒頭ではデジタルの ”はんこ” と表現しました。

NFTが必要とされる理由

世の中のあらゆるモノは大きく2つに分けられます。それは「替えが効くもの」と「替えが効かないもの」です。前述した非代替性トークンは文字通り後者となります。

それぞれの例を挙げていくと、

【替えが効くもの (代替性) 】

  • 硬貨や紙幣
  • フリー素材の画像や音楽
  • 量産される市販品

【替えが効かないもの (非代替性) 】

  • 大谷翔平の「直筆サイン入り」本
  • ゴッホの「原画」
  • ワールドカップ決勝の「プレミアチケット」

人は唯一性や希少性のあるもの、つまり「替えが効かないもの」に価値を感じます。
不動産や宝石・絵画などPhysical(物理的)なものは、証明書や鑑定書によって「唯一無二であることの証明」ができます。

一方で画像やファイルなどのDigital(デジタル)な情報は、コピーされたり改ざんされたりするリスクがあるため「替えが効くもの」と認識されがちで、その価値を証明することが難しいという問題がありました。

実際、インターネットの普及により音楽や画像・動画のコピーが出回り、所有者が不特定多数になった結果、本来であれば価値あるものが正当に評価されにくくなってしまったのです。

そういったデジタル領域においても、「替えが効かないもの」であることを証明する技術がまさにNFTなのです。

NFTがあれば、本物と偽物を区別することができ、唯一性や希少性を担保できます。NFTによって、これまではできなかったデジタル作品の楽しみ方やビジネスが生まれるのです。

👉参考記事:『【2022年】NFTとは何か?なぜ話題なのか、分かりやすく解説!』

NFTとブロックチェーン

NFTはブロックチェーンという技術を用いて実現しています。

ブロックチェーンは「一度作られたデータを二度と改ざんできないようにする仕組み」です。データを小分けにして暗号化し、それを1本のチェーンのように数珠つなぎにして、世界中で分散管理されています。そのため、コピーしたり、改ざんしたり、データが消えたりする心配がありません。

👉参考記事:『ブロックチェーン(blockchain)とは何か?仕組みや特長をわかりやすく解説!

NFT関連銘柄とは?

出典:pixabay

NFTはゲームやアート、スポーツといった様々な分野で活用されており、それらのエコシステムはブロックチェーンを基盤に作られています。そして、そのブロックチェーン上での基軸通貨を「NFT関連銘柄」と表現します。

👉参考記事:『【2022年最新版】アートへのNFT活用事例集

👉参考記事:『NFTのスポーツ業界への活用〜新時代のファンビジネスと可能性〜

例えば、あるNFTゲーム内で得たアイテムの価値はそのNFTに関連する仮想通貨で示され、さらにそのアイテムを取引所(NFTマーケットプレイス)で売買する際にも、そのNFTに関連する仮想通貨で取引がなされます。

👉参考記事:『NFT×マーケットプレイス〜取引所の概要から選び方・それぞれの違いを解説〜

そのNFTが所属するブロックチェーン上での基軸通貨、それが「NFT関連銘柄」です。

様々なNFT関連銘柄

続いて、2022年時点で話題となっているNFT関連銘柄を4つご紹介します。

エンジンコイン(ENJ)

エンジンコイン(ENJ)はブロックチェーンプラットフォーム「Enjin platform」で発行される仮想通貨です。Enjin platformはシンガポールの企業「Enjin」が2017年に運営を開始したイーサリアムをベースとしたブロックチェーンプラットフォームで、主にオンラインゲームをするために設計されています。

👉出典:Enjin platformのHP

Enjin platformでは35種類ものオンラインゲームがプレイ可能で、それらゲーム内で利用するNFTを発行するためにプラットフォーム上の各ゲーム間で連携されています。Enjin platform上にあるゲームであれば異なるゲーム同士でもアイテムの売買が可能で、その取引に使用される基軸通貨がエンジンコインです。

Enjin platform上で最も注目を集めるゲームが「Minecraft(マインクラフト)」のEnjin platform版である「EnjinCraft」です。

マインクラフト:通称マイクラは、月間アクティブユーザー数が全世界で1億4千万人を超えるモンスタータイトルで、NFTによってゲーム内のアイテムに希少価値をもたせたものが「EnjinCraft」です。「EnjinCraft」で得たアイテムは、Enjin platform上の様々なプレイヤーたちの間でエンジンコインによって取引されます。

超メジャーゲームであるMinecraftと連携したことが、エンジンコイン最大のトピックと言えるでしょう。

サンド(SAND)

サンド(SAND)は、ブロックチェーンゲーム:The Sandboxのゲーム内で使える仮想通貨です。

The Sandboxとは?

The Sandboxは、イーサリアムのブロックチェーンを基盤として提供されているNFTゲームで、3Dのオープンワールドの中で建物を建築したり自分の”オリジナルのゲーム”を作ることができます。何をするかはプレイヤーの自由で、マインクラフトに似たジャンルのゲームです。

「LAND」というゲーム内の土地がNFTとして取引されており、プレイヤーは自分の所有するLAND上でプレイできるオリジナルのゲームの作成や、ゲーム内で使用するキャラクターやアイテムの作成を楽しむことができます。また、LANDの敷地内で作った施設の不動産収入を得ることなどもできます。

👉The Sandboxの公式HP

The Sandbox内の基軸通貨「SAND」

SANDはThe Sandbox内でのNFT取引の際の通貨としてだけでなく、保有しているだけで報酬を得られたり(ステーキング)、保有者はゲームの方向性を決める際の投票権を得られるガバナンストークンとしての役割があります。

SANDの将来性

The Sandboxは、日本の大手ゲーム開発企業スクウェア・エニックスをはじめ複数の企業やファンドから、総額201万ドル(約2億2000万円)もの融資を受けています。また、アディダスやavexなど有名企業がThe Sandbox内の「LAND」を保有しており、それぞれ独自のコンテンツを展開しています。

The Sandboxの注目は個人・法人問わず世界的に広まりつつあり、今後のさらなる発展が期待できます。

チリーズ(CHZ)

👉チリーズの公式HP

チリーズ(CHZ)とは、海外サッカークラブなどのスポーツチームとそのファンの人々との交流を生み出す取り組みを行っているプロジェクト、またそのプロジェクトで用いられる仮想通貨の名称です。

仮想通貨「チリーズ(CHZ)」は、”ファントークン” とも呼ばれる通貨で、これまでのファンビジネスに新しいイノベーションを起こすものとして注目を集めています。

“ファントークン” とはヨーロッパサッカーのクラブチームなどをはじめとしたスポーツクラブが発行する仮想通貨の一種で、そのクラブのファンはファントークンを所有することで、クラブが定めた報酬や特別な体験を受けることができます。

チリーズプロジェクトに参加しているスポーツクラブは海外サッカーやeスポーツ、格闘技など数多くあり、専用の取引アプリ「Socios.com(ソシオスドットコム)」を使ってチリーズと各クラブのファントークンを売買することができます。

2021年3月時点でFCバルセロナ(スペイン)、ユベントスFC(イタリア)、UFC(アメリカ)といった名だたるクラブチームがチリーズプロジェクトに参加しており、今後も提携する団体が増えると見込まれています。世界中のプロチームが参加するとなると、仮想通貨プロジェクトの中でもかなり大きいプロジェクトになるのは間違いありません。

マナ(MANA)

👉Decentralandの公式HP

マナ(MANA)はDecentralandというVRプラットフォーム内で用いられる仮想通貨です。

Decentralandとは?

Decentralandは、イーサリアムブロックチェーンをベースとしたVRプラットフォームで、仮想空間内でゲームをしたり、アイテムやコンテンツを作成し、売買することが可能です。

先程ご説明したThe Sandbox同様、仮想現実内で「LAND」と呼ばれる土地を保有・売却したり、他のユーザーがこの空間に参加してデジタル通貨の売買ができるという独創的な開発ツールも提供しています。

Decentraland内の基軸通貨「MANA」

MANAはDecentraland内で、アイテムやコンテンツの支払いに使用される基軸通貨です。先程の「LAND」を購入する際や、Decentraland内のマーケットプレイスやオークションでアイテムの取引を行うのに使用されます。

まとめ

今回はNFTに関連する仮想通貨の銘柄に関して解説しました。

NFT関連銘柄を理解するためには、その大元となるエコシステムやサービスを紐解く必要があります。サービスそのものが盛り上がり、そこでやり取りされるNFTの価値が高まり、そのチェーン上でやり取りされる基軸通貨である仮想通貨の価格が上昇していき、そしてNFT市場全体がさらに盛り上がることを期待しています。

NFT×マーケットプレイス〜取引所の概要から選び方・それぞれの違いを解説〜

2021年は、ビットコインが過去最高額を更新するなど、暗号資産にとって飛躍の年となりました。デジタル資産「NFT」の取引の活発化も、暗号資産が飛躍した理由の一つと言えるでしょう。今回は、そのNFT取引の中心的な役割を果たす「NFTマーケットプレイス」の概要から、取引所の選び方やそれぞれの取引所の特色や違いまで解説していきます。

そもそもNFTとは?
NFT=デジタルの”はんこ”
NFTとブロックチェーン
NFTマーケットプレイスとは?
NFTマーケットプレイスの選び方
取り引きしたいNFTのジャンルで選ぶ
売買に利用できる仮想通貨の銘柄で選ぶ
取引時に発生する手数料で選ぶ
様々なNFTマーケットプレイス
OpenSea
Coincheck NFT(β版)
LINE NFT
Rakuten NFT
AdambyGMO
まとめ

そもそもNFTとは?

NFT=デジタルの”はんこ”

NFTとは簡単に言うと「デジタルデータに偽造不可な鑑定書・所有証明書をもたせる技術」のことです。さらに噛み砕いて表現すると「デジタルコンテンツにポンと押す ”はんこ” のようなもの」です。

出典:pixabay

NFTを言葉の意味から紐解くと、NFT=「Non-Fungible Token」の略で、日本語にすると「非代替性トークン」となります。非代替性は「替えが効かない」という意味で、トークンには「データや通貨・モノ・証明」などの意味があります。

つまり「唯一無二であることの証明ができる技術」を意味し、実際にはデジタル領域で活用されることから冒頭ではデジタルの ”はんこ” と表現しました。

本記事では、NFTによって唯一性・希少性が証明されたデジタルデータのことを「NFT作品」と表現して説明を進めていきます。NFT作品の種類はアート、音楽、キャラクター、ゲーム内アイテムなど多岐にわたります。

👉参考記事:『【2022年】NFTとは何か?なぜ話題なのか、分かりやすく解説!』

NFTとブロックチェーン

NFTはブロックチェーンという技術を用いて実現しています。

ブロックチェーンは「一度作られたデータを二度と改ざんできないようにする仕組み」です。データを小分けにして暗号化し、それを1本のチェーンのように数珠つなぎにして、世界中で分散管理されています。そのため、コピーしたり、改ざんしたり、データが消えたりする心配がありません。

👉参考記事:『ブロックチェーン(blockchain)とは何か?仕組みや特長をわかりやすく解説!

NFTマーケットプレイスとは?

NFTマーケットプレイスとは、クリエイターが自分で制作したNFT作品を出品販売したり、自分が所有するNFT作品を購入者同士で取引できる、NFT作品の売買プラットフォームです。個人間でモノを売買するメルカリやラクマの ”デジタルデータ版” をイメージすれば理解できるかと思います。

NFTマーケットプレイスでできることは以下です。

  1. NFT作品を出品・販売する
  2. 販売されているNFT作品を購入する
  3. 購入したNFT作品を更に二次販売する

基本的にNFT作品は、購入者によって二次販売された際にも元のクリエイターに利益が還元される仕組みとなっています。しかし、マーケットプレイスによっては二次販売が禁止されていたり、運営から承認されたクリエイターしか出品できない、などの制限がある場合もあります。


現在、世に流通しているNFT作品のほとんどは、仮想通貨の一つであるイーサリアムのブロックチェーンを基盤として作成されています。そのため、NFTマーケットプレイスでは決済手段にイーサリアムが採用されている場合がほとんどです。

NFTマーケットプレイスの選び方

NFTマーケットプレイスには数多くの種類があります。それぞれ特色があるため、どの取引所を利用するか選ぶ際には、以下3つのポイントに着目してみましょう。

出典:pixabay

取り引きしたいNFTのジャンルで選ぶ

NFTマーケットプレイスによって、扱っているNFT作品のジャンルが異なります。ゲームアセットやトレーディングカードの取り扱い数に強みを持つ取引所もあれば、様々なジャンルを幅広く扱っている取引所もあります。

売買に利用できる仮想通貨の銘柄で選ぶ

決済に利用できる仮想通貨の銘柄も、NFTマーケットプレイスごとに異なるため注意が必要です。NFTマーケットプレイスは先述のブロックチェーン技術を土台としており、マーケットプレイスごとに土台とするブロックチェーンの種類が異なるためです。

NFT技術の基盤となるイーサリアムはほとんどの取引所で利用可能で、中には日本円やクレジットカード決済が可能なNFTマーケットプレイスもあります。

取引時に発生する手数料で選ぶ

取引の際に発生する手数料も、NFTマーケットプレイスを選ぶ上で重要なポイントです。割高な手数料を設定している取引所もある一方で、取引手数料が無料であることを強みとしている取引所もあります。

様々なNFTマーケットプレイス

OpenSea

👉OpenSeaの公式HP

取り扱いコンテンツ

デジタルアート、ゲームアセット、トレーディングカード、デジタルミュージック、ブロックチェーンドメイン、ユーティリティトークン

基盤ブロックチェーン

イーサリアム、ポリゴン、クレイトン、テゾス

決済通貨

イーサリアム、ポリゴン、クレイトン

販売手数料(ガス代)

2.5%

OpenSeaは、2017年にサービスを開始した最古参かつ最大手のNFTマーケットプレイスです。2017年のサービス開始後はどんどん市場規模を拡大し、2022年8月の取引高は約3,650億円にも上ります。出品数も400万点を超え、取り扱うジャンルも非常に幅広いのが特徴です。

有名人によるNFT作品の出品も話題を呼び、例えばお笑いコンビ「キングコング」の西野亮廣氏や、世界的に著名な現代アーティストである村上隆氏が自身のNFTをOpenSeaに出品しています。

👉参考記事:『【2022年最新版】アートへのNFT活用事例集

また、OpenSeaの特徴のひとつに、複数のブロックチェーンに対応していることが挙げられます。一般的なNFTマーケットプレイスが対応しているブロックチェーンはイーサリアムのみであることが多いですが、OpenSeaの場合イーサリアムに加えてPolygon(ポリゴン)やKlaytn(クレイトン)、Solana(ソラナ)といったブロックチェーンにも対応しています。

複数のブロックチェーンに対応していることで、扱えるNFT作品のジャンルや数も豊富となっています。

Coincheck NFT(β版)

👉Coincheck NFTの公式HP

取り扱いコンテンツ

ゲームアセット、トレーディングカードなど

基盤ブロックチェーン

イーサリアム

決済通貨

イーサリアム、ビットコイン、リスク、リップルなど様々

販売手数料(ガス代)

10%

Coincheck NFTは、日本国内最大級の仮想通貨取引所であるCoincheckが運営しているNFTマーケットプレイスです。Coincheck NFTの最大の魅力は、オフチェーン取引に対応している点です。オフチェーン取引とはブロックチェーン外での取引のことを指します。

イーサリアムブロックチェーン上で発行されたNFTは、イーサリアムブロックチェーン内でそのまま取引することになり、その際に「ガス代」と呼ばれる手数料を支払わなければいけません。そして「ガス代」はユーザー数が増えるにつれて高額になってしまうため、NFT市場が拡大中の今、イーサリアムのガス代の高騰が大きな問題となってしまっています。

Coincheck NFTの場合、NFTの取引履歴をブロックチェーンに記録しない「オフチェーン」でおこなっているため、高額なガス代を支払うことなくNFT作品を売買することが可能です。

決済手段として使える仮想通貨の豊富さも魅力のひとつで、Coincheckで購入可能な17銘柄のうち15種類の仮想通貨をNFTの取引時に利用可能です。

取り扱いコンテンツは、ゲーム内アイテムやトレーディングカードがラインナップされています。

👉参考記事:『NFT×ゲーム〜「遊んで稼ぐゲーム」について解説〜

👉参考記事:『NFT×トレカ〜NFTが新たな価値を生み出したデジタルカード〜

LINE NFT

👉LINE NFTの公式HP

取り扱いコンテンツ

ゲーム、スポーツ、アニメ、キャラクターなど

基盤ブロックチェーン

LINE Blockchain

決済通貨

LINE Pat、LINK

販売手数料(ガス代)

無料

LINE NFTは2022年4月にサービスを開始した新しいNFTマーケットプレイスです。

LINE NFTの特徴はその手軽さです。我々日本人にとってお馴染みのLINEアプリの基盤を活かし、NFTの購入から二次流通までを手軽に実現でき、特にLINE Payを通じて日本円での決済が可能な点が非常に便利です。

普段から使っているLINE IDを使って登録できるデジタルアセット管理ウォレット「LINE BITMAX Wallet」と連携しており、NFT取引のために仮想通貨ウォレットを用意しなくても、簡単にNFT取引ができるのが特徴です。

圧倒的な手軽さが実現できた一方で、NFTの醍醐味である”複数のサービスをまたいだ取引”は今の所できません。LINEが運用するブロックチェーン:LINE Blockchainは、同社が独自に開発した「プライベートチェーン」であり、イーサリアムなどの他のブロックチェーンとの互換性が無いためです。

👉参考記事:『「インターオペラビリティ」〜ブロックチェーン同士を接続する新たな技術〜

取り扱いコンテンツはゲーム、スポーツ、アニメ、キャラクターといったエンタメ系が主で、吉本興業やスクエア・エニックスといった企業とのコラボも話題となっています。

👉参考記事:『NFTのスポーツ業界への活用〜新時代のファンビジネスと可能性〜

Rakuten NFT

👉Rakuten NFTの公式HP

取り扱いコンテンツ

デジタルアート、ゲームアセット、デジタルミュージック、スポーツ、アニメ

基盤ブロックチェーン

自社ブロックチェーン

決済通貨

クレジットカード、楽天ポイント

販売手数料(ガス代)

14%

RAKUTEN NFTは、大手通販サイトの楽天グループが運営するNFTマーケットプレイスで、日本円や楽天ポイントで決済できるのが特徴です。先述したLINE NFT同様、手軽に簡単に取引がスタートできるNFTマーケットプレイスです。

また、独自のブロックチェーンを基盤としている点もLINE NFTと似ており、他のブロックチェーンとの互換性はありません。NFT作品の保管・管理が楽天という一企業に大きく依存している点が他のNFTマーケットプレイスと大きく異なる点です。

AdambyGMO

👉AdambyGMOの公式HP

取り扱いコンテンツ

デジタルアート、デジタルミュージックなど

基盤ブロックチェーン

イーサリアム

決済通貨

イーサリアム、日本円

販売手数料(ガス代)

5%

AdambyGMOは、インターネットグループ会社として知られるGMOグループの子会社が運営しているNFTマーケットプレイスです。AdambyGMOの最大の特徴は、決済通貨がイーサリアムだけでなく日本円に対応していることです。一般的なECサイトと同様、銀行振込やクレジットカードによる決済が可能なので、暗号資産を保有していないNFT初心者の方でも簡単にNFT作品を購入することができます。

取り扱いコンテンツは、アートや音楽、漫画などです。音楽家の坂本龍一氏や小室哲哉氏、漫画家の東村アキコ氏など多くの著名人がすでにNFT作品を出品したことでも話題となりました。

👉参考記事:『NFT技術の音楽分野への活用 〜クリエイターとリスナーが享受する新たな価値〜

まとめ

今回はNFTマーケットプレイスに関して説明してきました。

NFT化されたデジタルコンテンツを取引できる場が生まれた事により、クリエイター・購入者双方にとって新たな価値を創出することができるようになりました。

一方で、NFT”マーケットプレイス”に限らず、NFTそのものの歴史がまだまだ浅いため、法整備が完全には整っていません。

法律的な整備が進んでいないため、NFTの取引で金銭的な損失があった場合には、法律的な保護が受けられず自己責任となってしまうこともあるでしょう。また、きちんと定まっているわけでは有りませんが、NFT作品を売却した際に得た利益は雑所得としてみなされ、課税対象となる可能性が高いため注意が必要です。

👉参考記事:『【2022年】NFTの現時点での課題とは?〜革新的な技術に課せられた問題点〜

NFT自体の認知がより広まり、NFTに関する法整備が整っていけば、NFTマーケットプレイスを含むNFT市場のさらなる拡大が期待できます。

NFT×ゲーム〜「遊んで稼ぐゲーム」について解説〜

 

近年、ブロックチェーン技術を基盤としたNFTゲームが「遊んで稼ぐゲーム」として徐々に注目を集めるようになってきています。これまで趣味として楽しんでいたゲームによって、お金が手に入る時代になったのです。今回は、NFTゲームを聞いたことがあるが詳しい内容や仕組みまでは知らない方向けに、「そもそもNFTとは?」といった内容からNFTとゲームとの関係性、話題となっている具体的なゲームタイトルについて解説していきます。

そもそもNFTとは?
NFT=デジタルの”はんこ”
NFTとブロックチェーン
NFT×ゲーム
ゲームでお金を稼ぐことができる
「替えが効かないもの」の価値
価値が高まり取引が生まれる
ゲーム内で不正(チート)が起きにくい
様々なNFTゲーム
Axie Infinity
The Sandbox
Stepn
NFTゲームの課題と将来性
課題
ゲームクオリティが低い
新規ユーザーの参入ハードルが高い
法整備が整っていない
将来性
大手ゲームメーカーの参入
Krafton
スクウェア・エニックス
仮想通貨価格への影響

そもそもNFTとは?

NFT=デジタルの”はんこ”

NFTとは簡単に言うと「デジタルデータに偽造不可な鑑定書・所有証明書をもたせる技術」のことです。さらに噛み砕いて表現すると「デジタルコンテンツにポンと押す ”はんこ” のようなもの」です。

出典:pixabay

NFTを言葉の意味から紐解くと、NFT=「Non-Fungible Token」の略で、日本語にすると「非代替性トークン」となります。非代替性は「替えが効かない」という意味で、トークンには「データや通貨・モノ・証明」などの意味があります。

つまり「唯一無二であることの証明ができる技術」を意味し、実際にはデジタル領域で活用されることから冒頭ではデジタルの ”はんこ” と表現しました。

👉参考記事:『【2022年】NFTとは何か?なぜ話題なのか、分かりやすく解説!』

NFTとブロックチェーン

NFTはブロックチェーンという技術を用いて実現しています。

ブロックチェーンは「一度作られたデータを二度と改ざんできないようにする仕組み」です。データを小分けにして暗号化し、それを1本のチェーンのように数珠つなぎにして、世界中で分散管理されています。そのため、コピーしたり、改ざんしたり、データが消えたりする心配がありません。

👉参考記事:『ブロックチェーン(blockchain)とは何か?仕組みや特長をわかりやすく解説!

NFT×ゲーム

NFTゲームとは、上記でご説明した「ブロックチェーン技術」を基盤にしてつくられたゲームのことです。ブロックチェーンゲームとも呼ばれます。

NFTゲームには、従来のゲームには無い次のような特徴があります。

  • ゲームでお金を稼ぐことができる
  • ゲーム内で不正(チート)が起きにくい

ゲームでお金を稼ぐことができる

NFTゲームの最大の特徴は、プレイすることによって収益化できるゲームが多く存在していることです。Play to Earn(P2E) = 「遊んで稼ぐ」と呼ばれる概念で、ゲームの種類によってMove to Earn = 「運動して稼ぐ」や、Learn to Earn = 「学んで稼ぐ」といった派生の概念も生まれています。

出典:pixabay

しかし、これまでのゲームは、例えばゲーム内でレアアイテムを入手できたとしてもそれを第三者に売ったりすることはできませんでした。なぜなら、それが本当に希少性の高いものなのかを証明する手段がなかったからです。しかしNFTゲームの場合はそれが可能となりました。

「替えが効かないもの」の価値

人は唯一性や希少性のあるもの、つまり「替えが効かないもの」に価値を感じます。例えば、大谷翔平の「直筆サイン入り本」やゴッホの「原画」は「替えが効かない」1点モノのため価値が高まります。また、不動産や宝石・絵画などPhysical(物理的)なものは、証明書や鑑定書によって「唯一無二であることの証明」ができます。


そしてNFTの ”はんこ” を押す技術によって、ゲーム内のコンテンツに対しても「替えが効かないもの」であることの証明が可能となりました。NFTゲーム内のアイテムや土地などはすべてNFT化され、各アイテムには唯一性や希少性が担保され、唯一無二のキャラクターやレアアイテムの価値は高まっていきます。

価値が高まり取引が生まれる

唯一性や希少性が担保され価値が高まったゲーム内コンテンツは、そのゲーム内での取引はもちろん、NFTマーケットプレイスと呼ばれるゲーム外の取引所でも売買が可能となります。NFTマーケットプレイスでの取引は主に仮想通貨で行われ、履歴も全てブロックチェーン上に残るため非常に改ざんされにくい仕組みとなっています。

出典:pixabay

補足ですが、上記のような「ゲームでお金を稼ぐ」という概念は以前から存在しており、GameFi(ゲームファイ)= Game(チート不可のゲーム) + Finance(経済活動) と呼ばれていました。それが、最近になってNFTゲームと呼ばれるようになった経緯があります。

ゲーム内で不正(チート)が起きにくい

既存のゲームでは、プレイヤーが自分に有利になるようにデータを改ざんする、いわゆる「チート行為」が行われる恐れがあります。チート行為は普通に楽しんでいるプレイヤーが楽しめなくなるだけでなく、競技シーンにおいては公平性を保てなくなる深刻な課題でした。

一方でNFTはブロックチェーン技術を基盤としているため、ゲーム内で不正ができない仕組みとなっています。先述したように、ブロックチェーン技術は「一度作られたデータを二度と改ざんできないようにする仕組み」なので、従来のゲームのようにコードの書き換えを簡単に行えません。またゲームデータは分散管理されているため、万が一不正があった場合にはすぐに排除できる環境が整っています。

様々なNFTゲーム

続いて、2022年時点で人気のNFTゲームを3つご紹介します。

Axie Infinity

👉Axie Infinityの公式HP

「Axie Infinity(アクシー・インフィニティ)」は、「Axie(アクシー)」と呼ばれるモンスターを使って戦うバトルゲームで、Play to Earn(P2E) =「遊んで稼ぐ」という言葉が流行るきっかけとなったゲームです。

ゲーム内の対戦で稼ぐことはもちろんですが、アクシーを他の人に貸す事により不労所得を得る、という稼ぎ方も話題となりました。

The Sandbox

👉The Sandboxの公式HP


The Sandboxは、3Dのオープンワールドの中で、建物を建築したり自分の”オリジナルのゲーム”を作ることができます。何をするかはプレイヤーの自由で、マインクラフトに似たジャンルのゲームです。

「LAND」というゲーム内の土地がNFTとして取引されており、自分の所有するLANDで作った施設の不動産収入を得ることもできます。

また、LANDの所有者のできることの一つとして「ガバナンス投票」に参加できる権利が与えられ、The Sandboxというプラットフォームを今後どのようにしていくか、などを決めることができます。

Stepn

👉STEPNの公式HP

スマホのGPSでプレイヤーの移動を感知し、その距離や速度によってゲーム内通貨が付与されるゲームです。

ゲームを始めるためには ”スニーカー” を購入する必要があり、最低でも10万円ほどの初期投資が必要となります。また、スニーカーの性能によって得られるゲーム内通貨の量も変わってくるので、高性能のスニーカーは非常に高値で取引されています。

NFTゲームの課題と将来性

「遊んで稼ぐゲーム」という全く新しい概念を生み出したNFTゲーム。

最後に、NFTゲームに関する解決すべき課題と、その将来性について解説します。

課題

ゲームクオリティが低い

NFTゲームのゲームとしてのクオリティは、一般的なコンシューマーゲームに比べて及ばないものが多いです。ゲームを面白いと感じるかどうかは人それぞれの主観によりますが、人気のスマホゲームや家庭用ゲーム機で発売されているようなタイトルと比較すると「NFTゲームはクオリティが低くて面白くない」と感じるプレイヤーがいるのも仕方ありません。

NFTゲームのクオリティが低い理由は、NFTゲーム市場に参入しているのは新しいゲーム会社、あるいは初めてゲーム開発を行う新進気鋭のベンチャー企業が多いためです。今後、予算・経験ともに豊富な大手ゲーム会社が参入し、市場規模が大きくなればなるほどゲームのクオリティも自ずと上がってくるでしょう。

新規ユーザーの参入ハードルが高い

一般的なコンシューマーゲームは、購入・インストールすればすぐに遊ぶことができます。

一方でNFTゲームでマネタイズするには、仮想通貨での取引を行うための取引所口座の開設といった事前準備や、参入するためにまとまった資金が必要な場合もあります。

仮想通貨取引に慣れていないユーザーからすると、ゲームを始める前段階で少し億劫に感じてしまうでしょう。

法整備が整っていない

NFT”ゲーム”に限らず、NFTそのものの歴史がまだまだ浅いため、法整備が完全には整っていません。

法律的な整備が進んでいないため、NFTの取引で金銭的な損失があった場合には、法律的な保護が受けられず自己責任となってしまうこともあるでしょう。

将来性

大手ゲームメーカーの参入

今後は、大手ゲームメーカーの参入が加速する可能性が高いと考えられます。ゲーム内のアイテムがNFT化されることにより、既存の大手ゲーム制作会社にとってメリットがあるからです。

例えば、NFT化されたアイテムが転売を繰り返されることにより、二次流通による収益を上げられます。また、NFTによって希少性の担保ができることによって今よりもアイテムの価値が認められやすくなり、現時点ではお金になっていない部分を新たにマネタイズできる可能性が大いにあります。

Krafton

PUBGの大ヒットにより2021年度に約2,000億円の売り上げを記録した韓国のゲーム大手:Kraftonは、暗号資産ブロックチェーン・ソラナ(SOL)を開発するソラナラボと連携し、NFTを利用したソラナ基盤のゲームを共同開発する計画を発表しました。
👉出典:coinpost「PUBGの制作会社「Krafton」、ソラナラボとNFTゲーム共同開発へ

スクウェア・エニックス

ドラゴンクエストやファイナルファンタジーでお馴染みのスクウェア・エニックスは、ブロックチェーンゲームの本格的な「事業化フェーズ」に移⾏することを発表しています。

👉出典:coinpost「スクウェア・エニックス、ブロックチェーンゲーム事業本格化へ

仮想通貨価格への影響

NFTゲームは仮想通貨のブロックチェーンを基盤にしています。そのため、あるNFTゲームが人気となれば、同じブロックチェーンで扱われる仮想通貨にもポジティブな影響を与える可能性は十分にあります。


NFTゲームで「遊んで稼ぐ」プレイヤーは世界各国で今後も増えていくことが予想されます。NFTゲーム市場全体が盛り上がることで仮想通貨の市場も活発化し、それによってNFTゲーム市場がさらに盛り上がる、という大きな好循環が生まれることが期待されます。

2022年もNFTゲーム市場からは目が離せません。

【2022年】NFTとは何か?なぜ話題なのか、分かりやすく解説!

2021年頃から「NFT」という言葉を耳にする機会も増え、最近ではニュースやSNSでも取り上げられることも増えてきました。そこで今回は、「NFTというワードは聞いたことはあるけれど具体的に何なのか?なぜ話題になっているのか?」といった疑問を持つ人向けに、NFTを分かりやすく解説していきます。

NFTとは?
NFT=デジタルの”はんこ”
NFTが必要とされる理由
NFTの秘める可能性
NFTとブロックチェーン
ブロックチェーンは新しいデータベース(分散型台帳)
ブロックチェーンの特長・メリット(従来のデータベースとの違い)
NFTはなぜ話題に?
NFTの取引所(マーケットプレイス)
NFTの活用事例
NFT×アート
NFT×ゲーム
NFT×スポーツ
NFTの課題と将来性
課題
法整備が整っていない
ガス代(ネットワーク手数料)が不安定
将来性

NFTとは?

NFT=デジタルの”はんこ”

NFTとは簡単に言うと、「デジタルデータに偽造不可な鑑定書・所有証明書をもたせる技術」のことです。さらに噛み砕いて表現すると「デジタルコンテンツにポンと押す ”はんこ” のようなもの」です。

出典:pixabay

NFTを言葉の意味から紐解くと、NFT=「Non-Fungible Token」の略で、日本語にすると「非代替性トークン」となります。非代替性は「替えが効かない」という意味で、トークンには「データや通貨・モノ・証明」などの意味があります。

つまり「唯一無二であることの証明ができる技術」を意味し、実際にはデジタル領域で活用されることから冒頭ではデジタルの ”はんこ” と表現しました。

NFTが必要とされる理由

世の中のあらゆるモノは大きく2つに分けられます。それは「替えが効くもの」と「替えが効かないもの」です。前述した非代替性トークンは文字通り後者となります。

それぞれの例を挙げていくと、

【替えが効くもの (代替性) 】

  • 硬貨や紙幣
  • フリー素材の画像や音楽
  • 量産される市販品

【替えが効かないもの (非代替性) 】

  • 大谷翔平の「直筆サイン入り」本
  • ゴッホの「原画」
  • ワールドカップ決勝の「プレミアチケット」

出典:pixabay

人は唯一性や希少性のあるもの、つまり「替えが効かないもの」に価値を感じます。
不動産や宝石・絵画などPhysical(物理的)なものは、証明書や鑑定書によって「唯一無二であることの証明」ができます。

一方で画像やファイルなどのDigital(デジタル)な情報は、コピーされたり改ざんされたりするリスクがあるため「替えが効くもの」と認識されがちで、その価値を証明することが難しいという問題がありました。

実際、インターネットの普及により音楽や画像・動画のコピーが出回り、所有者が不特定多数になった結果、本来であれば価値あるものが正当に評価されにくくなってしまったのです。

そういったデジタル領域においても、「替えが効かないもの」であることを証明する技術がまさにNFTなのです。

NFTがあれば、本物と偽物を区別することができ、唯一性や希少性を担保できます。NFTによって、これまではできなかったデジタル作品の楽しみ方やビジネスが生まれるのです。

NFTの秘める可能性

NFTによって唯一性や希少性が担保され、デジタル領域でも ”所有” が可能になります。

アート、音楽、ゲーム、ファッション、スポーツといったあらゆる業界で ”所有” に関するルールが変更となる可能性があるのです。

あなたが買った楽曲データを誰かに売ることができるようになる。

あなたが作成した画像を誰かに売ることができるようになる。

もうやらなくなったゲーム内のアイテムを誰かに売ることができるようになる。

出典:pixabay

これまで人類は、土地や物といった物理的な物を所有し価値を高め、売買・交換することで経済活動を行ってきました。それと同じことがデジタル領域でも起こりうるということです。

かつてインターネットやスマホ、SNSが目新しいモノだった時期がありました。でも今は誰もが当たり前のように使いこなし、社会・人々の生活を一変させました。

NFTも同様に今後の社会を変える大きな可能性を秘めています。

NFTとブロックチェーン

NFTはブロックチェーンという技術を用いて実現しています。

ブロックチェーンは「一度作られたデータを二度と改ざんできないようにする仕組み」です。データを小分けにして暗号化し、それを1本のチェーンのように数珠つなぎにして、世界中で分散管理されています。そのため、コピーしたり、改ざんしたり、データが消えたりする心配がありません。

ブロックチェーンは新しいデータベース(分散型台帳)

ブロックチェーン(blockchain)は、2008年にサトシ・ナカモトによって提唱された「ビットコイン」(仮想通貨ネットワーク)の中核技術として誕生しました。

ビットコインには、P2P(Peer to Peer)通信、Hash関数、公開鍵暗号方式など新旧様々な技術が利用されており、それらを繋ぐプラットフォームとしての役割を果たしているのがブロックチェーンです。

ブロックチェーンの定義には様々なものがありますが、ここでは、「取引データを適切に記録するための形式やルール。また、保存されたデータの集積(≒データベース)」として理解していただくと良いでしょう。

一般に、取引データを集積・保管し、必要に応じて取り出せるようなシステムのことを一般に「データベース」と言いますが、「分散型台帳」とも訳されるブロックチェーンはデータベースの一種であり、その中でも特に、データ管理手法に関する新しい形式やルールをもった技術です。

ブロックチェーンは、セキュリティ能力の高さ、システム運用コストの安さ、非中央集権的な性質といった特長から、「第二のインターネット」とも呼ばれており、近年、フィンテックのみならず、あらゆるビジネスへの応用が期待されています。

ブロックチェーンの特長・メリット(従来のデータベースとの違い)

ブロックチェーンの主な特長やメリットは、①非中央集権性、②データの対改竄(かいざん)性、③システム利用コストの安さ④ビザンチン耐性(欠陥のあるコンピュータがネットワーク上に一定数存在していてもシステム全体が正常に動き続ける)の4点です。

これらの特長・メリットは、ブロックチェーンが従来のデータベースデータとは異なり、システムの中央管理者を必要としないデータベースであることから生まれています。

分散台帳とは.jpg

ブロックチェーンと従来のデータベースの主な違いは次の通りです。

従来のデータベースの特徴 ブロックチェーンの特徴
構造 各主体がバラバラな構造のDBを持つ 各主体が共通の構造のデータを参照する
DB それぞれのDBは独立して存在する それぞれのストレージは物理的に独立だが、Peer to Peerネットワークを介して同期されている
データ共有 相互のデータを参照するには新規開発が必要 共通のデータを持つので、相互のデータを参照するのに新規開発は不要

ブロックチェーンは、後に説明する特殊な仕組みによって、「非中央集権、分散型」という特徴を獲得したことで、様々な領域で注目・活用されているのです。

👉参考記事:『ブロックチェーン(blockchain)とは?仕組みや基礎知識をわかりやすく解説!

NFTはなぜ話題に?

NFTが話題になった大きな理由の一つは、信じられないような高額の取引でしょう。

2021年3月22日には、『Twitter』の共同創設者兼最高経営責任者(CEO)のジャック・ドーシー(Jack Dorsey)によって2006年に呟かれた ”初ツイート” がNFTとしてオークションに出品され、約3億1500万円という驚愕の金額で売却され大きな話題を集めました。

👉出典:IT media NEWS「TwitterのドーシーCEOの初ツイートNFT、3億円超で落札 全額寄付

また、同年3月にデジタルアーティストであるBeeple氏がNFTアートとして競売に出したコラージュ作品「Everydays: the First 5000 Days」が6900万ドル(日本円で約75億円)という値が付きました。これは、オンラインで取引されたアーティストのオークション価格史上最高額を記録し話題を呼びました。

👉出典:IT media NEWS「老舗Christie’s初のNFTオークション、デジタルアートが約75億円で落札

ただし注意すべき点は、もちろん全てのNFTに値段がつくわけでは無いということです。むしろ、上記のような高額取引は稀でしょう。

ある人が大事にとってある ”思い出の石ころ” に値段がつかないのと同様、そのデジタルデータに対して価値があると人々が判断し、ようやくそのNFTに値段がつくのです。

しかし、デジタルデータに価値が付き売れるようになったという事実が、時代の大きな転換点であることに間違いはありません。

NFTの取引所(マーケットプレイス)

NFTを売買するには、NFTマーケットプレイスを利用します。アートや音楽、映像、ゲームのキャラクターやアイテムなどの売買ができるさまざまなNFTマーケットプレイスがあります。

NFTマーケットプレイスは先述のブロックチェーン技術を土台としており、マーケットプレイスごとに土台とするブロックチェーンの種類も異なります。

現在世界最大手のOpenSeaをはじめ、LINE NFTやCoincheck NFTといった様々なNFTマーケットプレイスが国内外に存在し、取り扱いコンテンツや決済可能な暗号資産もそれぞれ異なるため、出品者や購入者は取引する場所を用途に合わせて選ぶ事ができます。

👉参考記事:『NFT×マーケットプレイス〜取引所の概要から選び方・それぞれの違いを解説〜

NFTの活用事例

NFT×アート

出典:pixabay

絵画やアートの分野でも、NFTの技術が使われ始めています。

多くの場合、アートや絵画はPhysical(物理的)なものとして作られる場合がほとんどです。NFT登場前のデジタルアート作品はコピー・複製が可能なため、高い価値をつけるのが難しいというのが現実でした。しかしNFTの技術により、コピー不可能なデジタルアートを作成できるようになり、先述したBeeple氏のように75億円で取引されたNFTアートも存在しています。

ちなみに日本国内では、村上隆氏やPerfumeといった著名人が、続々とNFTアートを発表しています。国内のアート分野でもNFT技術の活用が徐々に広まっていると言えるでしょう。

👉参考記事:『【2022年最新版】アートへのNFT活用事例集

NFT×ゲーム

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現在のところ、もっとも認知されているNFTの活用事例がゲーム分野での利用です。

NFT技術を利用することで、自分が取得した一点物のキャラクターやアイテムをプレイヤー同士で売買することや、取得したキャラクターやアイテムを他のゲームで使うことも可能になります。ゲーム内で育成したキャラクターなどは二次流通市場で取引され、パラメータやレアリティが高いほど高値で取引されています。

「CryptoKitties(クリプトキティーズ)」以外では、「My Crypto Heroes(マイクリプトヒーローズ)」や「Etheremon(イーサエモン)」といったゲームにもNFTが活用されています。

今後も、NFTの特色を生かしたブロックチェーンゲームが次々にリリースされることが期待されています。

👉参考記事:『NFT×ゲーム〜「遊んで稼ぐゲーム」について解説〜

NFT×スポーツ

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アメリカのプロバスケットリーグであるNBAでは、『NBA Top Shot』というNFTを利用したサービスを開始しました。これは、NBA選手による名シーンをデジタルトレーディングカードで所有できるというサービスです。

『世界的に有名なプロスポーツ選手の決定的な名シーン』には、代えがたい価値があるはずです。誰もが感動しますし、ましてやファンにとっては垂涎の価値です。しかし、インターネット上には『決定的な名シーン』がたくさん転がっていて、お金を払うことなく誰もが気軽に見ることができてしまいます。

しかし、NFTによってNBA選手のデジタルトレーディングカードは、本物と区別される唯一無二の価値を持つことができ、ファンが所有する喜びを感じたり、ファンの間で売買できるようになりました。

『NBA Top Shot』は、立ち上げから数カ月で2億ドル(約210億円)を超える売り上げを記録しています。

👉参考記事:『NFTのスポーツ業界への活用〜新時代のファンビジネスと可能性〜

NFTの課題と将来性

NFTによって、デジタル資産の取引が安心してできるようになりました。それによって、デジタルアートを購入したり、仮想空間を使って新しいビジネスの取引をしたり、ゲームの中で世界の人とアイテムの売買を行ったりすることができます。

最後に、NFTの解決すべき課題と将来性について解説します。

課題

法整備が整っていない

NFTはまだ歴史が浅いため、法整備が整っていません。

法律的な整備が進んでいないため、NFTの取引で金銭的な損失があった場合には、法律的な保護が受けられず自己責任となってしまうこともあるでしょう。

ガス代(ネットワーク手数料)が不安定

NFTを取引する際には「ガス代」と呼ばれるネットワーク手数料がかかります。

NFTの取引は主にイーサリアムというブロックチェーン上で行われ、NFTの「ガス代」はイーサリアムブロックチェーンを利用する際の手数料のことを意味します。そして、「ガス代」はイーサリアム上の取引が増えれば高騰し、減れば安くなります。つまり、需要によって手数料が大きく変化してしまう可能性があるということです。

👉参考記事:『【2022年】NFTの現時点での課題とは?〜革新的な技術に課せられた問題点〜

将来性

2020年末の時点で300億円ほどと言われたNFTの市場規模は、2022年には約2兆円にまで急成長を遂げています。

👉出典:logmi.jp「NFT市場が2年で300億円→2兆円に急拡大したワケ

「保有する」だけではない、アート作品につけられた「価値」

👉出典:coinpost.jp「2021年のNFT年間取引高、約2兆円に到達 前年比200倍

NFTは現在、ゲームやアートといったエンターテイメント業界に関する適用が進んでいる状況です。しかしNFTはさまざまな可能性を秘めていると言われており、たとえば、同じものが2つとない不動産にNFTが活用されることも考えられます。すでにゲーム上に存在する土地の所有権にNFTが活用されているという事例も存在します。

今後のビジネス展開としては、NFTの「替えが効かないもの」という特徴を生かし、エンターテイメント分野の枠を超え、所有権証明や身分証明が必要なあらゆる分野で実用化が進んでいくと予測されています。

NFTはこれからのデジタル社会を大きく変化させる原動力となっていくことでしょう。