IoT、ブロックチェーン、AI。ビッグデータを活用したDXとは?

IoT、ブロックチェーン、AI。一見、無関係にもみえるこれらの概念は、実は、「ビッグデータを活用したDX」という文脈で相互補完的な役割を果たしています。中でもブロックチェーンは、特に不可欠な存在です。どういうことか?初心者向けに解説します!

なお、ブロックチェーンの過去、現在、今後について、概念の全体像を学びたい方は、次の記事も併せてご覧ください。
→ 参考記事:『ブロックチェーン(blockchain)とは?仕組みや基礎知識をわかりやすく解説!』

  1. IoT、ブロックチェーン、AIとは、それぞれどのような概念か?
  2. IoT、ブロックチェーン、AIと、ビッグデータを活用したDXの関係
  3. DXでブロックチェーンが果たす重要な役割

IoT、ブロックチェーン、AIとは、それぞれどのような概念か?

IoT

IoT(Internet of Things、モノのインターネット)とは、「世の中のあらゆるモノをネットワークに接続することで、さまざまな付加価値を生み出すことを目的としたITインフラストラクチャ」のことです(JRIレビュー(北野2017))。

この定義から読み取れるIoTを理解する上で重要なポイントは次の3点です。

  1. モノをインターネットに繋げる
  2. 付加価値を生み出す
  3. IT基盤(インフラストラクチャ)である

一般に、IoTと言われて思いつくのはAmazon Echoなどに代表される、センサーで自動的に電気をつけたり音声認識でエアコンをつけたりといった、いわゆるスマート家電でしょう。

スマート家電では、(1)もともと独立したモジュールであった電気やエアコンといった端末をインターネットに接続し、(2)手動で起動する手間を省いたり相互に連動することで家の快適さを上げるという付加価値を生み出しています。

しかし、こうしたスマート家電などの典型的なIoT概念で見落としがちなのが、ポイント3です。

実は、「自動的に起動する」「連動する」といったことは、あくまで個人消費者向けの小さなメリットに過ぎません。

IoTは、そうした小さな範囲にとどまる概念ではなく、「AI(人工知能)、ビッグデータなどの技術とともに利活用することで、経済活動の効率性や生産性が大きく向上すると見込まれて」おり、「さらに、高齢・人口減少社会における経済、社会保障などの面で生じる課題を解決する手段としても注目を集め」るJRIレビュー(北野2017))、(3)社会の基盤そのものを変更するような概念なのです。

ブロックチェーン

ブロックチェーンは、2008年にサトシ・ナカモトと呼ばれる謎の人物によって提唱された「ビットコイン」(暗号資産システム)の中核技術として誕生しました。

ブロックチェーンの定義には様々なものがありますが、ここでは、「取引データを適切に記録するための形式やルール。また、保存されたデータの集積(≒データベース)」として理解していただくと良いでしょう。

一般に、取引データを集積・保管し、必要に応じて取り出せるようなシステムのことを一般に「データベース」と言いますが、ブロックチェーンはデータベースの一種であり、その中でも特に、データ管理手法に関する新しい形式やルールをもった技術です。

「分散型台帳」とも訳されるブロックチェーンは、中央管理を前提としている従来のデータベースとは異なり、常に同期されており中央を介在せずデータが共有できるので参加者の立場がフラット(=非中央集権、分散型)という特徴を備えています。

分散台帳とは.jpg

従来のデータベースの特徴

  • ① 各主体がバラバラな構造のDBを持つ
  • ② それぞれのDBは独立して存在する
  • ③ 相互のデータを参照するには新規開発が必要

ブロックチェーンの特徴

  • ①’ 各主体が共通の構造のデータを参照する
  • ②’ それぞれのストレージは物理的に独立だが、Peer to Peerネットワークを介して同期されている
  • ③’ 共通のデータを持つので、相互のデータを参照するのに新規開発は不要

こうしたブロックチェーンの「非中央集権性」の恩恵としては、

  • 中央を介さないので中間手数料がない、または安い
  • フラットな関係でデータの共有が行えるので競合他社同士でもデータを融通できる
  • 改竄や喪失に対して耐性がある

ということが挙げられます。

まさにこの「非中央集権、分散型」という特徴こそ、ブロックチェーンが様々な領域で注目・活用されている理由だと言えるでしょう。

AI(人工知能)

AI(Artificial Inteligence、人工知能)とは、「人工的につくられた人間のような知能、ないしはそれをつくる技術(松尾 豊 東京大学大学院工学系研究科科 准教授)」のことで、学問的にはコンピュータサイエンスの一分野とされています。

AIは非常に概念の範囲が広く、映画『ターミネーター』シリーズのように完全に自律した人間を超越しうる存在としてのAI(「強いAI」)から、近年期待と注目を集めている「(ヒトによる操縦を必要としない)自動運転車」、果てはビジネスパーソンにおなじみのExceや電卓(「弱いAI」)まで、およそ人間の知能労働を代替する計算機(コンピュータ)とその背後にある情報処理モデル(アルゴリズム)が総じて「AI(または人工知能)」と呼ばれています。

AIの中でも、現時点で特に重要なのが「機械学習」と呼ばれる分野です。

機械学習とは、「ある仕事の能率を上げるために、コンピュータを用いてその仕事を構成するデータ(変数)を分析し、アルゴリズムをモデル化すること」で、代表的な手法にディープラーニングやランダムフォレストなどがあります。

特にディープラーニングは、これまで人間が分析しきれなかったアルゴリズムを精度高くモデル化できることから「AI(あるいは機械学習の)ブレイクスルー」と称されており、ディープラーニングを用いた強化学習モデルであるAlphaGo(アルファ碁)が、世界最強の囲碁棋士を打ち負かしたことは記憶に新しいでしょう。

現時点ではコンピュータの計算能力やデータ自体の精度、機械学習を適切に扱えるデータサイエンティストやビジネスパーソンの存在など、様々なボトルネックが存在していますが、例えば量子コンピュータの登場などによってこうした諸条件が満たされるようになると、AIが人間の知能で測り得ないレベルの知能を獲得するとされる、「シンギュラリティ(技術的特異点)」と呼ばれる新たなブレイクスルーポイントへと到達する日も近いと言われています。

IoT、ブロックチェーン、AIと、ビッグデータを活用したDXの関係

DX(デジタルトランスフォーメーション)って?

バラバラの文脈で語られることの多いIoT、ブロックチェーン、AIという3つの概念は、実は、「ビッグデータ活用を前提としたDX」というより大きな社会動向の要素として相互に関連づけることができます

ビッグデータとは、「構造化データか非構造化データかを問わず、ビジネスや研究の現場に溢れている大量のデータを意味する用語」のことです(SAS)。

また、DX(Digital Transformation、デジタルトランスフォーメーション)とは、「ITの浸透が、人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させる」という概念を指します(日本デジタルトランスフォーメーション推進協会)。

さて、一般に、ビジネス文脈におけるDXは、これまでITが使われていなかった領域(いわゆる「レガシー」産業)にITを導入すること、あるいはITによる改善を行える環境を整えることによる効率化とコスト削減を意味します。

したがって、一口にDXといっても目的やアプローチは非常に幅広く、例えば、大きくは産業全体のサプライチェーンを改革するというストーリーもあれば、小さくはエンジニアの就労環境改善やインターネット環境の整備など、個社レベルの小さな改善も含まれています。

この中でも特に前者、つまり産業や社会レベルの課題解決としてのDXで求められているのが、ビッグデータの活用です。

これまで活用されてこなかった構造化データ、あるいは構造化すらされてこなかった大量のデータを分析することで、産業や社会全体の仕組みを大きく変え、効率化し、私たちの生活をより豊かにできる可能性があるのです。

そして、まさにこの文脈において重要なのが、IoT、ブロックチェーン、AIという3つの概念です。

DXにおけるビッグデータ活用の流れ

IoT、ブロックチェーン、AIの3概念は、ビッグデータ活用の大きな流れに位置付けて関連させることができます。

ビッグデータ活用の大きな流れとは、次の通りです。

  1. データを集める
  2. データを保存・管理する
  3. データを分析する
  4. データを活用する(社会実装する)

まず、ビッグデータを活用するには、そもそもデータ自体が十分に集まっている必要があります。

一見、簡単なことのように思えますが、実は、世の中には機械による処理が可能な形のデータ(構造化データ)とそうではない形のデータ(非構造化データ)、そしてデータとしてすら認識されていない情報があり、構造化されたデータは全情報のごく一部でしかありません

したがって、ビッグデータを活用してDXを実現するためには、まずデータを構造化する、あるいは自然の情報をデータ化するといった、(1)データ収集の作業が重要になります。

次に、1で集めたデータを適切に保存・管理していく必要があります。

実は、これもデータ分析を行なった経験がないと想像しにくいことですが、データ分析において、自分の思ったような形で正しくデータが揃っているということはごく稀です。

実際には、データの一部が欠損していたり、データそのものの信用が怪しかったり、異なるデータベース同士を接合する必要があったりと、いわゆる「データの前処理」という地味で根気の要る仕事が大半を占めています。

これは、そもそも現時点では、多くの産業や企業においてデータを適切に管理するための基盤が整っていないことに起因しています。

したがって、DXに向けて大量のデータを正しく活用していくためには、(2)データの保存・管理の方法が大切なのです。

続いて、あるデータベース上に保存されたデータを分析していきます。

当然のことながら、データは集めて保存しているだけでは価値がありません

付加価値を出していくためには、情報の羅列であるデータベースから、何かしらの目的を持って分析を行い、実際の業務等に反映して効率化を実現していく必要があります。

ですが、現実には、ビッグデータが重要であるということだけを鵜呑みにして「とにかくデータを集めろ」で終わっている企業も少なくありません

これは、先ほどもみたように、データを適切に取り扱える人材が不足していることにも原因がありますが、それ以上に、「データは分析して実際に役立ててナンボ」という当たり前の考え方が欠落しているからだと言わざるを得ないでしょう。

そのため、ビッグデータ活用によるDXでは、この(3)分析のフェーズを意識して全体を設計していくことが重要だと言えます。

最後に、分析の結果であるモデルに当てはめて、現実世界の施策として社会実装していきましょう。

一般に「ビッグデータ」「DX」というとこの社会実装の部分ばかりがケースとして目立ってしまいますが、実は、1〜3の流れを適切に行うことができていれば、半分はクリアしてしまったようなものです。

もちろん、実際には、理論を現実へと実装していく過程が最も困難な場合がほとんどではありますが、そうした困難の原因として、目的から正しく逆算せずに「場当たり的に」データ活用を行おうとした結果、当事者が納得するような施策にまで十分落とし込めなかったということが少なくありません。

そのため、(4)データの活用、社会実装を適切に遂行する上でも、1〜3の収集→管理→分析が大切だと言えるでしょう。

そして、これら1〜3の実現方法として大切な役割を担うのが、それぞれIoT、ブロックチェーン、AIなのです。

IoT、ブロックチェーン、AIは、DXにおける相互補完的技術とみなせる

先ほど見たビッグデータ活用によるDXの流れと、IoT、ブロックチェーン、AIの3概念は、それぞれ次のように対応させることができます。

(※下記の対応は、必ずしも現時点でそうなっているとは限らず、今後の未来における一つの形を提唱しています)

  1. データを集める → IoTによるハードウェア端末でのデータ収集
  2. データを保存・管理する → ブロックチェーンによるデータベースの統合・管理
  3. データを分析する → AI(機械学習)による大量情報の処理
  4. データを活用する(社会実装する)

まず、IoTでは、身近にあるあらゆるモノをインターネットに繋ぎます

これにより、私たちが触れる様々な情報端末を通して、私たちの日々の行動パターンをデータとして蓄積することが可能になります。

例えば、先ほど例に挙げたスマート家電でも、Amazon Echoで鈴木さんがよく再生する音楽であったり、鈴木さん本人の声の波形、声をかけるタイミング、快適と感じやすいエアコンの温度などなど、多種多様な生活データが取得されています。

こうした環境が家の中に限らず、通勤経路、電車やバス、ビル、カフェや居酒屋、学校、病院など、生活の各拠点でモノがインターネットに接続されることで、これまで活用されてこなかった大量のデータを収集することが可能になるのです。

次に、こうしてIoT端末から収集されたデータをどのように管理するか、という問題が起こります。

ここで重要な役割を果たしうるのが、ブロックチェーンの技術です。

現在の社会では数多ある企業がそれぞれの端末、フォーマット、経路でデータを取得し、さらにそれぞれ異なるデータベースでデータを管理しています。

また、各データベースでシステムのセキュリティ要件が十分に担保されているとは限りません。

これらの事情から、ビッグデータを活用する上では、次の章で後述するような「データの統合」「データの真正性」の課題にぶつかります

ブロックチェーンは、従来のデータベースで解消することに限界があったこれらの課題に対して、より実現性の高いソリューションを提供することのできる技術だと言えます。

実際に、DXという大きな文脈に限らず、個社がビジネスでデータ活用を行う上でも、ブロックチェーンの存在感は日増しに大きくなってきていると言えるでしょう(世界経済フォーラムによると2025年までに世界のGDPの10%がブロックチェーン基盤上に乗るとの試算がなされています)。

最後に、ブロックチェーン基盤上で管理・統合されたデータを処理するのがAIの役割です。

ビッグデータ、とりわけIoTで集められたデータ群は、これまでデータ分析の領域が取り扱ってきたものよりも変数が多く、モデルも複雑化します。

こうしたデータを取り扱う上では、ディープラーニングを始めとした機械学習モデルが有効です。

例えば、メーカーの大規模工場におけるDXのプロセスでは、各機械で計測されたセンサーデータをもとに、勾配ブースティングなどの機械学習モデルによる「異常検知」(機械の誤作動による不良品生産等のミスが起こる確率と条件をモデル化)を行うことで、工場のオートメーションを推進したり、無駄なコストを省くといった改善が試みられる、といった具合です。

こうした分析は工場ライン一つ一つを具に見ていくだけではなく、全ラインを統合した形での全体分析を行う必要があり、まさに膨大な量のビッグデータを処理しなければなりません。

AI(機械学習)は、こうしたデータ分析を実現する有効な手段と言えます。

このように、IoT、ブロックチェーン、AIは、データの収集→管理→分析という一連の流れでそれぞれに長所を発揮しつつ、相互補完的な役割を果たす関連技術であると見ることができるのです。

DXでブロックチェーンが果たす重要な役割

ブロックチェーンがIoTとAIを生かしている?

上にみたデータの収集→管理→分析という一連の流れの中で、地味ながらも非常に重要な役割を果たしているのがブロックチェーンによるデータの管理です。

先にみたように、ビッグデータを活用してDXを実現するということは、ある一企業や企業内の一部門だけで完結する類のプロジェクトではなく、産官学、サプライチェーンにおける川上と川下、同業他社、生産者と消費者など、異なる立場(そして時には敵対する立場)にいる複数のプレイヤー間での協業が不可欠になってきます。

また、取り扱うデータの総量が大きくなるにつれ、関係する人の数やプロジェクトの期間も増え、オペレーションエラー等のリスクが高まっていきます。

しかし、その一方で、データ分析は非常に繊細な側面をもち、インプットするデータが少し変わるだけでアウトプットとなるモデルや仮説の精度が大きく左右されることも少なくありません

こうした前提条件のもとでは、複雑になりがちな管理をできる限りシンプルで、かつ、セキュリティ等のリスク要件を満たすような仕組みで解決できるような技術を採用する必要があります。

ブロックチェーンは、こうした従来のデータベースでは解消が難しい複数の課題を解決しうるという点で、まさにDXにビッグデータ×DXに打ってつけの技術なのです。

ブロックチェーンの役割①:セキュアなデータ統合の仕組みを提供する

ビッグデータ利用にあたっての課題の一つに「データ統合」の問題があります。

上でも述べたように、価値あるデータは単体プレイヤーに閉じたものではなく、複数の異なるステークホルダー(利害関係者)がもつデータを統合した先にあります。

ここで問題となるのが、異なるデータベース間でのデータ共有における安全性の問題です。

データベースが異なるということは、データを保存するフォーマットや構造化の方法、単位等、あらゆる要素が異なってきます。

そうした諸データを統合することはそれ自体難度が高いばかりでなく、統合の際にデータを欠損する等のオペレーションエラーを誘発する原因にもなりえます。

さらに、仮にシステム上は統合が可能であったとしても、例えば競合関係にある複数社による統合が試みられるとした場合、誰が中心となって、どこまでのデータを、どういった権限のもとに共有するかという論点が生じます。

こうした場合、各社が「もしかすると他社のいいようにやられて大切なデータまで取られるかもしれない・・」といった疑心暗鬼の状態に陥り、プロジェクト自体が頓挫してしまうケースも少なくありません。

これに対してブロックチェーンでは、そもそも中央管理者を必要としない設計思想である上に、その分散管理システムを高いセキュリティレベルで実現できます。

また、そもそもが一つのデータベースを共有する形になるため、異なるデータベース間のデータ共有問題もクリアしやすいと言えます。

実例として、国内で注目すべき取り組みが、トヨタ自動車株式会社(以下、「トヨタ」)、トヨタファイナンシャルサービス株式会社による「トヨタ・ブロックチェーン・ラボ」の試みです。

同ラボは、2019年4月、トヨタ等により「グループ横断のバーチャル組織」として立ち上げられ、「実証実験を通じたブロックチェーン技術の有用性検証やグループ各社とのグローバルな連携等、当該技術の活用に向けた取り組みを進めて」います(カギ括弧内は、TOYOTA「「トヨタ・ブロックチェーン・ラボ」、ブロックチェーン技術の活用検討と外部連携を加速化」より引用/太字は筆者)。

①「ブロックチェーン技術の活用イメージ」/②「活動の拡がりイメージ」(共にTOYOTAより)

同ラボ立ち上げの背景として、トヨタは、「モノづくりを中心に、モビリティに関わるあらゆるサービスを提供する『モビリティカンパニー』を目指しており」、「その実現に向け、グループ内外の『仲間づくり』を進める上では、商品やサービスを利用するお客様、それらを提供する様々な事業者が、『安全・安心』のもとで、より『オープン』につながることが重要」であるとしています。

そして、ブロックチェーンが「グループ内外の仲間づくりを下支えし、その結果、お客様にとってより利便性が高くカスタマイズされたサービスの提供や事業の効率化・高度化、更に既存の概念にとらわれない新たな価値創造をもたらす可能性がある」ために、ブロックチェーンによるグループ横断のヴァーチャル組織をつくったと発表しています。

(カギ括弧内は、TOYOTA「「トヨタ・ブロックチェーン・ラボ」、ブロックチェーン技術の活用検討と外部連携を加速化」より引用/太字は筆者)

トヨタによるブロックチェーンを利用した横断組織の組成という事例は、まさに、利害関係が複雑に絡み合う異なるステークホルダー間でデータ統合を行なっていくことの可能性を示していると言えるでしょう。

このように、ブロックチェーンは、「セキュアなデータ統合の仕組みを提供する」という重要な役割を果たしています。

ブロックチェーンの役割②:データの真正性を担保する

ビッグデータ利用にあたっての別の課題として、「データの真正性」の問題があげられます。

データの真正性とは、「取り扱うデータが欠損や改竄等の欠陥のない正しいものかどうか」を表す概念です。

先述したように、データ分析の精度を大きく左右するのは、実は分析そのもの以上に、データの真正性であると言われています。

なぜなら、AI(機械学習)では、データをインプットとして関数を組み、精度の高いモデルを生み出すことを目的としているため、インプットであるデータが間違っていたら、当然、結果も間違ったものができてしまうからです。

そのため、データ分析の世界においては、データ自体の真正性をなんとか担保する試みとして「データの前処理」という工程が最も重要視されています。

しかし、取り扱うデータの総量や関わる人間の数、プロジェクトの予算等が大きくなればなるほど、何かしらのヒューマンエラーであったり、悪意のある第三者によるデータ改竄の攻撃を受けやすくなります。

データの前処理では、ある程度の欠損等には対応しうるものの、データの真正性自体を正確に担保することはできません。

したがって、収集したデータを管理する時点で、改竄等のリスクを減らす仕組みを導入する必要が出てくるのです。

こうした課題に対してブロックチェーンでは、ハッシュチェーン(前後のブロックをハッシュ値と呼ばれる暗号数で結びつける考え方)にうよるデータベース生成、個々のデータ履歴自体へのセキュリティ(秘密鍵暗号方式)、コンセンサスアルゴリズムと呼ばれる合意形成のルール、といった複数の仕組みによって、高いレベルでの対改竄性を実現しています。

ブロックチェーンによるデータの真正性担保の実例としてあげられるのが、「メディカルチェーン」です。

これは、かれこれ20年ほど叫ばれ続けていた医療のデジタル化、特に電子カルテを始めとする院内データの共通化の問題を、ブロックチェーンで巧みに解決しようという試みです。

医療データは、個人情報の中でも特に秘匿性が高く、セキュリティ要件が最も高く求められます。

そして、医療機関ごとのデータ保存形式も異なるため、それらを共有していくハードルは非常に高いものになります。

メディカルチェーンでは、この問題に対して、各医療機関のデータを一つのブロックチェーン基盤上に乗せることを目指しています。

また、ビジネスモデルとしては、トークンエコノミーを採用し、トークンからの収益と医療機関からの収益を主治医や患者に還元することで、この仕組みがうまく回るように設計されています。

この事例は、ブロックチェーンが、医療情報という非常にセンシティブな情報を取り扱う基盤として信用・期待されていることを示す好例でしょう。

このように、ブロックチェーンは、「データの真正性を担保する」という重要な役割を果たしています。

ブロックチェーンの種類は?〜パブリック・コンソーシアム・プライベート〜

ブロックチェーンには、「管理者の在・不在」に応じて、複数の種類(パブリック型、コンソーシアム型、プライベート型)が存在します。具体的に、どのような違いがあり、自社ではどれを採用すべきでしょうか?本記事で、詳しく解説します!

なお、ブロックチェーンの過去、現在、今後について、概念の全体像を学びたい方は、次の記事も併せてご覧ください。 → 参考記事:『ブロックチェーン(blockchain)とは?仕組みや基礎知識をわかりやすく解説!』

  1. ブロックチェーンって何?
  2. ブロックチェーンの仕組み
  3. ブロックチェーンの種類

ブロックチェーンって何?

ブロックチェーンとビットコイン

ブロックチェーンは、ここ数年ニュースを騒がせている「ビットコイン」を支える中核技術の一つです。

ビットコインとは、仮想通貨あるいはその背景にあるネットワークおよびソフトウェアの総称のことで、下記のような、暗号技術を中心とする新旧さまざまなテクノロジーを駆使し、うまく組み合わせることで実現されたイノベーションであると言われています。

  • 分散化されたP2P(Peer-to-Peer)ネットワーク(=Bitcoinプロトコル)
  • 数学的かつ決定論的な通貨発行(=分散マイニング)
  • 分散取引検証システム(トランザクションscript)
(出典:pixabay

その中でも、近年、特に注目を集めているのが、日本語では「分散型台帳」などと表現される新技術、「ブロックチェーン」です。
ブロックチェーンは、従来のデータベースが抱えていた諸課題を解決しうる期待の新技術として、金融、物流、医療、不動産、セキュリティなど、ありとあらゆる産業への応用が期待されており、経済産業省のブロックチェーン関連市場規模予測では全体で67兆円とも言われています。

ブロックチェーンの定義

ブロックチェーンには様々な定義が存在しますが、本記事では、出来るだけ分かり易くするために、ビットコイン環境下を前提にしつつ、次のように簡略化した定義で解説していきたいと思います。

ブロックチェーンの定義:「取引データを適切に記録するための形式やルール。また、保存されたデータの集積(≒データベース)」

一般に、取引データを集積・保管し、必要に応じて取り出せるようなシステムのことを一般に「データベース」と言います。
ブロックチェーンは、このデータベースの一種であり、その中でも特に、データ管理手法に関する新しい形式やルールをもった技術なのです。

ブロックチェーンの特徴:「分散型台帳」って?

ブロックチェーンは、「分散型台帳」とも表現される通り、ビジネスに限らず、あらゆる取引記録を保管するデータベースとしての機能をもっています。
後に説明するように、この「分散型」という特徴が、ブロックチェーンを際立たせています。

では、具体的に、ブロックチェーンは従来のデータベースと何が違うのでしょうか?

従来のデータベースの特徴

① 各主体がバラバラな構造のDBを持つ
② それぞれのDBは独立して存在する
③ 相互のデータを参照するには新規開発が必要

ブロックチェーンの特徴

①’ 各主体が共通の構造のデータを参照する
②’ それぞれのストレージは物理的に独立だが、Peer to Peerネットワークを介して同期されている
③’ 共通のデータを持つので、相互のデータを参照するのに新規開発は不要

従来のデータベースは基本的に独立しており、データ共有にあたっては主従関係が発生します。
その点、ブロックチェーンは常に同期されており中央を介在せずデータが共有できるので参加者の立場がフラット(=非中央集権、分散型)という特徴をもちます。

こうしたブロックチェーンの「非中央集権性」の恩恵としては、

  • 中央を介さないので中間手数料がない、または安い
  • フラットな関係でデータの共有が行えるので競合他社同士でもデータを融通できる
  • 改竄や喪失に対して耐性がある

ということが挙げられます。
まさにこの「非中央集権、分散型」という特徴こそ、ブロックチェーンが様々な領域で注目・活用されている理由だと言えるでしょう。

こうした、ブロックチェーンのメリットやデメリットをまとめると、以下の通りです。

これらのデメリットについてはBitcoin以降のブロックチェーンで次々に改善されるものが登場してきており、将来的には解消されていくものと予想されています。

なお、「ブロックチェーンとは何か?」をより詳しく、全体的にお知りになりたい方は、下記の記事も併せてご覧ください。
【初心者必見】ブロックチェーンとは?ビジネスの新常識を分かり易く!

ブロックチェーンの仕組み


ブロックチェーンをシンプルに図解すると、次のような構造をしています。

上図からもわかるように、ブロックチェーンは、その名の通り「ブロック」を「チェーン」のように順番に繋いだ形をしています。
では、「ブロック」や「チェーン」とは、どういう意味でしょうか?

ブロックチェーンの仕組み①:「ブロック」

ブロックチェーンでは、一定量に取りまとめられた取引データを「Tx(Transaction、トランザクション)」と呼んでいます。
「ブロック」とは、このトランザクションを1MB分だけ集めてきて、日付などのメタ情報を付与して、ひとまとまりにしたものです。

身近なものに例えるなら、ブロックは、引き出しがいくつか付いているタンスのようなものだと言えます。
一つのタンスの中には複数の同じ大きさの引き出しがあり、その中にはさらに、例えば紙の契約書だとか現金が入っている、というようなイメージです(下図)。

(出典:「かわいいフリー素材集いらすとや」画像より筆者作成)

ブロックチェーンの仕組み②:「チェーン」

タンスの中に契約書や現金をしまいこんだら、次に考えるべきことは、「どこに何があるかを正しく把握」して「泥棒に盗まれないようにしっかりと鍵をかけておく」ことでしょう。

これらの機能を果たしているのが、「チェーン」と例えられる、ブロックチェーンの記録・保管形式です。

具体的にいうと、各ブロックには、日付(タイムスタンプ)に加えて、「Hash(ハッシュ、ハッシュ値)」「nonce(ナンス)」「ターゲット」と呼ばれるメタ情報が付与されており、これらの情報をもとにして、ある一定のルールのもとで前のブロックと後ろのブロックがまるで鎖のように連結されています(これらの用語やルールに関しては、後ほど解説します)。

これらをタンスの例で言えば、1番目のタンスの鍵を2番目のタンスの中に入れて、2番目のタンスの鍵を3番目のタンスの中に入れて・・・としているイメージです。
さらに、より細かく見れば、引き出しごと(つまりトランザクションごと)にも個別に鍵がかけられているので、ブロックチェーンのセキュリティは非常に堅牢だと言えるでしょう。

(出典:「かわいいフリー素材集いらすとや」画像より筆者作成)

なお、こうしたブロックチェーンの基礎構造は、Bitcoin以降のブロックチェーンのほぼ全てに採用されています。

稀にチェーン型でないブロックチェーンというものもありますが、それらは分散型台帳であるもののブロックチェーン構造ではないので、厳密には区別されます(例えばIOTAで有名な「タングル」構造など)。

ブロックチェーンの仕組み③:データの共有方法(コンセンサスアルゴリズム)

ブロックチェーンでのデータ共有において重要な役割を持っているのが「ノード」と呼ばれる個々のネットワーク参加者です。

すでに述べた通り、ブロックチェーンは、従来のデータベースとは異なり中央管理者が不在のため、データの管理や共有はすべて参加者だけで行う必要があります。
この参加者のことを「ノード」と呼び、世界中に散らばるノードが競争した結果、競争に勝利した一つのノードによって、絶えず新しいブロックが生成されていきます(ビットコインでは平均10分に1つのペースで新しいブロックが生成されるように設計されています)。

また、各ノードは、P2Pネットワーク内の他のノードの一部と繋げられており、あるノードでつくられた新しいブロックの情報は、そのノードと繋がっている他のノードにすぐさま伝播します
そして、この「ブロックの伝播」を繰り返していくことで、ブロックおよびブロックに含まれる取引データが、瞬く間に世界中の参加者へと共有される(=データが同期される)のです。
これによって、多数のノードがデータを持ち合うことで、ブロックチェーンでは、データの改竄や捏造が難しくなりました。

しかし、この方法は、あくまで「ブロック化された元のデータ内容が正しいこと」を前提としています。
ブロックチェーンの世界には第三者としての中央管理者がいません。
従って、もし、ブロックをつくった人間に悪意があった場合、その人間を管理できる存在がいないため、世界中の人が間違ったデータを同時に持ってしまうことになります。
つまり、P2Pネットワーク参加者のみで行うデータ共有の仕組みでは、「管理者不在の中、どうやってデータの真正性を担保するか?」という問題を解決する必要があるのです。

そこで、考え出されたのが、「コンセンサスアルゴリズム」と呼ばれる、ネットワーク内での合意形成の方法です。
ブロックチェーンでは、個々のネットワークごとに、「複数それっぽいブロックが出てきた時にどれを選ぶか?」という論点に対する合意方法が、コンセンサスアルゴリズムという形で事前に決められているのです。

(出典:pixabay

例えば、代表的なところでは、ビットコインのPoW(Proof of Work、プルーフオブワーク)、イーサリアムのPoS(Proof of Stake、プルーフオブステーク)、ネムの PoI(Proof of Importance、プルーフオブインポータンス)、リップルのPoC(Proof of Consensus、プルーフオブコンセンサス)あたりが有名です。
れる謎の人物であることを思い出してください)

ブロックチェーンの種類

ブロックチェーンの分類方法

ブロックチェーンは大別すると以下のように分けることができます。

ノードの参加者が限定されていないか、限定されているかが大きな論点です。

ノードの参加者が限定されているPermission型は企業向けのエンタープライズ用途に好まれますが、一方でこの仕組みはブロックチェーンを使う意義が薄いのでは、という指摘もあります。

代表的なブロックチェーンの種類

前述の分類に従い、頻出するブロックチェーンをマッピングしたものが次の図です。

企業向けの開発では中央集権によっているQuorum(Ethereumから派生)かHyperLedger Fabricを利用します。

ブロックチェーン(blockchain)とは何か?仕組みや特長をわかりやすく解説!

ブロックチェーンとは、分散型台帳とも呼ばれる新しいデータベースです。P2P通信やHash関数などの暗号技術を組み合わせることで、取引データ等の情報を改竄・喪失リスクをヘッジしながら複数のコンピュータに同期できることが特長です。過去5年間で市場を急拡大させた後、現在は、セキュリティ上の課題を抱えつつも、中国を始め、金融・非金融を問わず、あらゆる産業での応用、ビジネス活用が進んでいます。ブロックチェーン 技術は、IoTやAIと補完しながら、今後どこに向かうのか?徹底解説します。

目次

  1. ブロックチェーンとは?
  2. ブロックチェーンの仕組み
  3. ブロックチェーンの種類
  4. ブロックチェーンの市場規模
  5. ブロックチェーン技術の応用事例
  6. ブロックチェーンのビジネス活用
  7. 中国ブロックチェーンの動向
  8. ブロックチェーンの今後(AIとIoT)
  9. ブロックチェーンの課題

ブロックチェーンとは?

ブロックチェーンは新しいデータベース(分散型台帳)

ブロックチェーン(blockchain)は、2008年にサトシ・ナカモトによって提唱された「ビットコイン」(仮想通貨ネットワーク)の中核技術として誕生しました。

ビットコインには、P2P(Peer to Peer)通信、Hash関数、公開鍵暗号方式など新旧様々な技術が利用されており、それらを繋ぐプラットフォームとしての役割を果たしているのがブロックチェーンです。

ブロックチェーンの定義には様々なものがありますが、ここでは、「取引データを適切に記録するための形式やルール。また、保存されたデータの集積(≒データベース)」として理解していただくと良いでしょう。

一般に、取引データを集積・保管し、必要に応じて取り出せるようなシステムのことを一般に「データベース」と言いますが、「分散型台帳」とも訳されるブロックチェーンはデータベースの一種であり、その中でも特に、データ管理手法に関する新しい形式やルールをもった技術です。

ブロックチェーンは、セキュリティ能力の高さ、システム運用コストの安さ、非中央集権的な性質といった特長から、「第二のインターネット」とも呼ばれており、近年、フィンテックのみならず、あらゆるビジネスへの応用が期待されています。

ブロックチェーンの特長・メリット(従来のデータベースとの違い)

ブロックチェーンの主な特長やメリットは、①非中央集権性、②データの対改竄(かいざん)性、③システム利用コストの安さ④ビザンチン耐性(欠陥のあるコンピュータがネットワーク上に一定数存在していてもシステム全体が正常に動き続ける)の4点です。

これらの特長・メリットは、ブロックチェーンが従来のデータベースデータとは異なり、システムの中央管理者を必要としないデータベースであることから生まれています。

分散台帳とは.jpg

ブロックチェーンと従来のデータベースの主な違いは次の通りです。

従来のデータベースの特徴ブロックチェーンの特徴
構造 各主体がバラバラな構造のDBを持つ各主体が共通の構造のデータを参照する
DB  それぞれのDBは独立して存在するそれぞれのストレージは物理的に独立だが、Peer to Peerネットワークを介して同期されている
データ
共有
相互のデータを参照するには新規開発が必要共通のデータを持つので、相互のデータを参照するのに新規開発は不要

ブロックチェーンは、後に説明する特殊な仕組みによって、「非中央集権、分散型」という特徴を獲得したことで、様々な領域で注目・活用されているのです。

ブロックチェーンの仕組み

ブロックチェーンの基礎構造

ブロックチェーンは、その名の通り「ブロック」を「チェーン」のように順番に繋いだ形をしています(下図)。

ブロックチェーン構造.jpg

「ブロック」とは、1MB分の「Tx(Transaction、トランザクション)」、つまり一定量に取りまとめられた取引データに、日付などのメタ情報を付与したものです。

身近なものに例えるなら、ブロックは、引き出しがいくつか付いているタンスのようなものだと言えます。

一つのタンスの中には複数の同じ大きさの引き出しがあり、その中にはさらに、例えば紙の契約書だとか現金が入っている、というようなイメージです(下図)。

(出典:「かわいいフリー素材集いらすとや」画像より筆者作成)

タンスの中に契約書や現金をしまいこんだら、次に考えるべきことは、「どこに何があるかを正しく把握」して「泥棒に盗まれないようにしっかりと鍵をかけておく」ことでしょう。

これらの機能を果たしているのが、「チェーン」と例えられる、ブロックチェーンの記録・保管形式です。

具体的にいうと、各ブロックには、日付(タイムスタンプ)に加えて、「Hash(ハッシュ、ハッシュ値)」「nonce(ナンス)」「ターゲット」と呼ばれるメタ情報が付与されており、これらの情報をもとにして、ある一定のルールのもとで前のブロックと後ろのブロックがまるで鎖のように連結されています。

これらをタンスの例で言えば、1番目のタンスの鍵を2番目のタンスの中に入れて、2番目のタンスの鍵を3番目のタンスの中に入れて・・・としているイメージです。

さらに、より細かく見れば、「公開鍵暗号方式」と呼ばれる方法によって、引き出しごと(つまりトランザクションごと)にも個別に鍵がかけられています。

(出典:「かわいいフリー素材集いらすとや」画像より筆者作成)

公開鍵暗号方式とは、「暗号化と復号(暗号から元のデータに戻すこと)に別個の鍵(手順)を用い、暗号化の鍵を公開できるようにした暗号方式」のことです。

ブロックチェーンでは、トランザクションデータの流出等のリスクを減らすために、取引データをトランザクション化する際に、この公開鍵暗号方式が利用されています。

出典:Udemyメディア

チェーン構造に加えて、この公開鍵暗号方式を採用していることで、ブロックチェーンのセキュリティは非常に堅牢だと言えるでしょう。

こうしたブロックチェーンの基礎構造は、Bitcoin以降のブロックチェーンのほぼ全てに採用されています。

ブロックはどうやってつくられるか?

ブロックチェーンネットワークでは、世界中に散らばるノード(=ネットワーク参加者)によって新しくつくられたブロックが、ノード間で伝播することにより、リアルタイムでのデータ同時共有が実現されています。

ノードは、「コンセンサスアルゴリズム」と呼ばれる合意形成のルールに基づいて、特定の条件を満たすことでブロックを生成することができます。

コンセンサスアルゴリズムとは、中央管理者が不在であるブロックチェーンにおいて「どのデータが正しいか?」を決めるための、不特定多数のノードによる合意方法のことです。

コンセンサスアルゴリズムは、ブロックチェーンプラットフォームの種類(後述)によって異なり、代表的なところでいえば、例えば、次のような種類があります。

  • ビットコイン:PoW(Proof of Work、プルーフオブワーク)
  • イーサリアム:PoS(Proof of Stake、プルーフオブステーク)
  • ネム: PoI(Proof of Importance、プルーフオブインポータンス)
  • リップル:PoC(Proof of Consensus、プルーフオブコンセンサス)

このうち、最も有名なPoWでは、次の2つの原理によって、データの正当性を担保しています。

  • PoWの原理①(1つ目の役割:ブロックの生成条件)=「ブロックのメタ情報に関する計算に成功するとブロックを生成できる」
  • PoWの原理②(2つ目の役割:フォークへの対応)=「複数のブロックが生成された場合、最も長いチェーンを正統とし、その中に含まれるブロックを正しいと認める」…”ナカモト・コンセンサス”

まず、1点目として、PoWでは、ブロックの生成過程で、「マイニング」と呼ばれる、ブロックのメタ情報(「Hash」「nonce」「Target」)を用いた計算作業をノードに課しています。

平たく言えば「ある条件を満たす数字を見つけましょう」という計算ですが、この問題を解くためには莫大なコンピュータの電気代がかかるため、簡単にはブロックをつくることはできません。

とはいえ、ビットコインでは、ブロックを無事に生成できると報酬として仮想通貨を手に入れることができるため、多くの人がブロックづくりに挑戦し、同時に複数のブロックが生まれてしまうこともあります(「フォーク」と呼ばれる事態)。

そこで、2点目として、PoWでは、複数のブロックが生まれた場合は、「最も長いチェーンに含まれるブロックが正しい」という基本原理を採用しています(ナカモト・コンセンサス)。

このように、ブロックチェーンネットワークでは、非中央集権的でありながらデータの正しさを担保するために、コンセンサスアルゴリズムに基づいたブロック生成が行われています。

P2P(Peer to Peer)通信

ブロックチェーンに利用されている最も代表的な関連技術が「P2P(Peer to Peer、ピアツーピア)通信」です。

P2Pとは、パーソナルコンピューターなどの情報媒体間で直接データの送受信をする通信方式のことで、従来のデータベースの「クライアントーサーバ型」と対比されます。

出典:平和テクノシステム

クライアントーサーバ型では、情報媒体間でデータの送受信を行う際に、データ共有を行う媒体間で直接通信せず、第三者媒体をサーバとして経由するため、どうしても中央管理者の存在が不可欠でした(Google ChromeやAWSをイメージするとわかりやすいでしょう)。

これに対して、P2Pでは、媒体間で直接やり取りを行うために、第三者のサーバを必要としません。

したがって、ブロックチェーンの最大の特徴でもある「非中央集権性」は、まさにこのP2Pによってもたらされたものと言えます。

なお、P2Pは、第三者を介さない個人間送金や、無料インターネット電話サービスの先駆けともいえるSkypeなどに用いられています。

Hash(ハッシュ値、ハッシュ関数)

ブロックチェーンの各ブロックには、データの対改竄性を高めるために、「Hash値」と呼ばれる値がメタ情報として埋め込まれています。

Hash値は、「Hash関数」と呼ばれる特殊な暗号化技術を通して作られます。

ブロックチェーンでは、一つ前のブロックをHash化したHash値を次のブロックに渡し、それを織り込んでブロックを作成します。

Hashは少しでも入力値が変わると全く異なる出力となるという特徴があります。

また、その他に出力値の長さが入力に関わらず一定であること、出力から入力を類推できないという特徴があります。

まとめると次のような特徴があり、ブロックチェーンのメリットにつながります。

ブロックチェーンの種類

ブロックチェーンの分類方法

ブロックチェーンは大別すると、パブリック型とコンソーシアム型/プライベート型の2種類に分けることができます。

ノードの参加者が限定されていないか、限定されているかが大きな論点です。

パブリック型ブロックチェーンは、不特定の参加者により運営され、管理者が不在であるという特徴を持ちます。

他方、コンソーシアム型/プライベート型ブロックチェーンでは、参加者は一部の企業等に限定され、また、コンセンサスアルゴリズムによって許可された管理者がネットワークの管理にあたります。

ノードの参加者が限定されているコンソーシアム型/プライベート型は企業向けのエンタープライズ用途に好まれますが、一方でこの仕組みはブロックチェーンを使う意義が薄いのでは、という指摘もあります。

代表的なブロックチェーンの種類

前述の分類に従い、頻出するブロックチェーンをマッピングしたものが次の図です。

ブロックチェーンプラットフォーム例.jpg

ブロックチェーン黎明期における、主に金融領域での開発はBitcoinやEthereumといったパブリック型、つまり管理者が分散しているプラットフォームによって行われることがほとんどでした。

しかし、近年では、企業向けの開発では中央集権によっているQuorum(Ethereumから派生)かHyperLedger Fabricを利用することが増えています。

開発基盤としてのブロックチェーンプラットフォーム

ブロックチェーンを活用したプロダクト・サービスの開発には、開発の実装基盤となるプラットフォームが不可欠です。

ブロックチェーンのプラットフォームには、用途に合わせて数多くの種類があります。

代表的なブロックチェーンプラットフォームは、次の通りです。

プラットフォーム名誰向けか?用途例
Ethereum(イーサリアム)エンタープライズ向け(toC企業)トークン、ゲーム、etc
EOS(イオス)エンタープライズ向け(toC企業)ゲーム、etc
NEM(ネム)エンタープライズ向け(toC企業)ゲーム、etc
Ripple(リップル)エンタープライズ向け(銀行)銀行間送金(特化)
Corda(コルダ)エンタープライズ向け(toB企業)銀行間送金、企業間プラットフォーム、etc
Quorum(クオラム)エンタープライズ向け(toB企業)企業間プラットフォーム、etc
Hyperledger Fabric(ハイパーレジャーファブリック)エンタープライズ向け(toB企業)企業間プラットフォーム、etc
Bitcoin Core(ビットコインコア)個人向け個人間送金

上表のように、8つのプラットフォームを用途の観点から分類すると、大きく次の4つに分けることができます。

  1. toC企業向け:ゲームなどの開発に向いている
  2. toB企業向け:業界プラットフォームなどの開発に向いている
  3. 銀行向け:銀行間送金に特化している
  4. 個人向け:ちょっとした送金の手段として使われる

自身が推進するプロジェクトに向いているプラットフォームを把握し、その特性を理解しておくことは、開発者だけではなくビジネスサイドの担当者にとっても有益です。

👉参考記事:『ブロックチェーンのプラットフォームは用途で選ぼう!開発基盤の特徴を解説

ブロックチェーンの市場規模

経済産業省が「ブロックチェーンは将来的に国内67兆円の市場に影響を与える」との予測を発表してから5年が経過しました。

同予測によると、具体的には、大きく次の5つのテーマで、社会変革・ビジネスへの応用が進むとされています。

  1. 価値の流通・ポイント化・プラットフォームのインフラ化
  2. 権利証明行為の非中央集権化の実現
  3. 遊休資産ゼロ・高効率シェアリングの実現
  4. オープン・高効率・高信頼なサプライチェーンの実現
  5. プロセス・取引の全自動化・効率化の実現
出展:平成27年度 我が国経済社会の 情報化・サービス化に係る基盤整備 (ブロックチェーン技術を利⽤したサービスに 関する国内外動向調査) 報告書概要資料

事実、この5年間で、1はSTOなどのトークン活用、2は不動産領域における登記などの権利証明、3は医療プラットフォームや電子政府、4は国際海運における物流プラットフォーム、5はDEXに代表されるDAO(自律分散型組織)、といった具合に、既存の産業をDX(デジタルトランスフォーメーション)する形での市場拡大が進んできました。

その結果、ブロックチェーン技術の国内市場規模は、2020年で100〜200億円、2025年には1000億円を超え、関連市場を合わせると67兆円の潜在規模があるとされています。また、世界市場規模では2020年に36億7000万米ドルに達し、2021年から2028年にかけてCAGR82.4%の成長が見込まれています。

(👉参考記事:『【2021年】ブロックチェーンの市場規模は?複数の統計をまとめました』)

さらに、世界経済フォーラムによると、2025年までに世界のGDP総額の10%がブロックチェーン基盤上に乗るとされており、今後のさらなる技術発展とマーケット拡大、そして私たちの生活への浸透が期待されます。

ブロックチェーン技術の応用事例

2020年現在、ブロックチェーン技術で最も頻繁に応用されているのが、次の2つです。

  • トークン
  • スマートコントラクト

いずれも、フィンテックはもちろんのこと、非金融領域の産業応用に欠かせない技術と言えます。

トークン

トークンは、ビジネスの文脈上では「交換対象を限定した小さな経済圏を回すための使い捨て貨幣」といった意味で用いられる概念で、非中央集権的なブロックチェーンとセットでビジネス活用されます。

【トークンの種類】

区別のポイント

トークンの種類

意味

身近な例

トークン自体に金銭的価値が認められるか?

Utility Token


(ユーティリティトークン)

具体的な他のアセットと交換できて初めて資産性が出てくるトークン

・パチンコ玉

・図書券

・電車やバスの切符

・遊園地の入場券

 

Security Token

(セキュリティトークン)

それ自体に金銭的価値が認められるトークン

・株券

・債権

トークンを相互に区別するか?

Fungible Token …(*)

(ファンジブルトークン)

メタ情報如何にかかわらず区別されないトークン

・純金

(→誰がどこで所有する金1グラムも同じ価値をもつ)
 

Non Fungible Token

(ノンファンジブルトークン)

同じ種類や銘柄でも個別に付与されたメタ情報によって区別されるトークン

・土地

(→銀座の1平米と亀有の1平米は同じ単位だが価値が異なる)

例えば、ICO(Initial Coin Offering、イニシャル・コイン・オファリング、新規仮想通貨公開)やSTO(Security Token Offering、セキュリティ・トークン・オファリング)といった資金調達方法であったり、ファンコミュニティ専用の共通貨幣などに用いられています。

👉参考記事:『【ブロックチェーン】トークンのビジネス活用〜STO、Utility Token〜

スマートコントラクト

スマートコントラクトは、1994年にNick Szabo(ニック・スザボ)という法学者・暗号学者によって提唱され、Vitalik Buterin(ヴィタリック・ブリテン)がEtheruem基盤上で開発・提供し始めたコンピュータプロトコルで、「契約(コントラクト)の自動化」を意味しています。

自動販売機にも例えられるスマートコントラクトの技術を用いることで、「プロセス・取引の全自動化・効率化」を実現し、世の中の不便や非効率を無くしていくためのブロックチェーンの思想を社会実装していくことが期待されており、例えば、DEX(分散型取引所)や投票システムなどに利用されています。

👉参考記事:『スマートコントラクトとは?ブロックチェーンの社会実装手段を解説!

ブロックチェーンのビジネス活用

分散型台帳、トークン、スマートコントラクトといったブロックチェーンの諸側面は、実際のビジネス課題に合わせた様々なソリューションとして社会実装されています。

ビジネスソリューションとしてのブロックチェーンは、金融/非金融/ハイブリッドの3領域に分けて考えることで、事業化に取り組みやすくなります。

第一の領域である金融領域は、暗号資産(仮想通貨)の利活用を目的としたビジネス領域です。

BTC(ビットコイン)やETH(イーサ)を始めとした暗号資産の取引市場や、ICOやSTOといった暗号資産やトークンを利用した派生市場での活用が行われています。

出典:pixabay

第二の領域である非金融領域は、暗号資産(仮想通貨)を使わない領域のことです。

台帳共有や真贋証明、窓口業務の自動化など、既存産業のDX(デジタルトランスフォーメーション)の文脈で、今、最も注目を集めている領域と言えるでしょう。

この領域の活用事例は、次のように多岐に渡っています。

  • 自律分散型図書館DAOLIB構想
  • 職歴証明のWorkday Credentials
  • 医療用品の寄付の追跡ポータル
  • Socios.com(サッカーファントークン)
  • 医療データプラットフォームのメディカルチェーン
  • 国連、難民・ホームレス等向けIDサービス

その結果、実は、前述の経済産業省によるブロックチェーン関連市場規模予測でも、全体67兆円のうち、いわゆる金融領域はわずか1兆円で、残りの66兆円は非金融領域に含まれるマーケットです。

【再掲】

出展:平成27年度 我が国経済社会の 情報化・サービス化に係る基盤整備 (ブロックチェーン技術を利⽤したサービスに 関する国内外動向調査) 報告書概要資料

最後に、第三の領域であるハイブリッド領域は、金融×非金融、つまり暗号資産を非金融領域での課題解決へと応用している領域で、乱暴に言えば、「実ビジネスに仮想通貨決済を導入させたい領域」とも言えるでしょう。

いわゆる「トークンエコノミー」もこの領域に含んで考えるとわかりやすく、今後のブロックチェーン応用が期待されている領域です。

👉参考記事:『ブロックチェーンのビジネス活用は非金融がアツい!事業化3つの視点とは?

中国ブロックチェーンの動向

拡大を続けるブロックチェーン市場の中でも、ひときわ存在感を増しているのが中国です。

後にも触れるように、中国におけるブロックチェーンの研究開発や産業応用は、日本とはとても比べ物にならないほどのレベルで進んでいると言われています。

下図は、2020年時点でのブロックチェーンに関する特許市場におけるシェアを表しています。

このグラフからも明らかなように、世界全体のうちの実に7割を中国が占めており、2番手である米国の6倍近くあります。

日本が3%ほどしかないことを考えると、この特許市場のシェア、そしてその前提である特許出願数の多さは、中国マーケットの大きな特徴、強みの一つだと考えられます。

出典:BLOCK INSIGHT

こうした進展の背景として、中国では、官民を挙げてブロックチェーンの技術開発に取り組んでいます。

たとえば、2020年に、中国の国家ブロックチェーンインフラプロジェクト「BSN(Blockchain-Based Services Network)」が、イーサリアムやイオス、テゾスなどを含む6種類のパブリックブロックチェーンを統合することが判明しました。

また、中国建設銀行ブロックチェーンを活用した国際ファクタリング、中国農業銀行ブロックチェーンを活用した住宅ローン、中国工商銀行ブロックチェーンを活用したサプライチェーンファイナンスなど、大手企業各社による金融領域でのブロックチェーン活用が当たり前のように行われている他、ビットコインを支えるデータマイニングのほとんどは中国国内の工場で行われるなど、あらゆる面からブロックチェーンが社会に浸透しています。

さらに、中国では、金融領域での活用のみならず、非金融領域、例えば農作物の真贋判定(下図、天水リンゴのブランド判定)や公共事業における入札プラットフォームといった分野でのブロックチェーン活用も進められています。

出典:Blockchain Business & Solution

こうした動向は、政府や金融といった一部のセクターだけでなく、社会全体に広く技術が浸透している証左として捉えることができます。

中国は、日本と比べて既存システムが脆弱な場合が多く、その一方でスマートフォンの普及率が全年齢層で非常に高いといったギャップがあり、そうした社会状況が浸透を後押ししていると見る向きもあるでしょう。

しかし、そうしたことを割り引いて考えても、中国におけるブロックチェーンの普及度合いは日本よりも数年以上先を行っていると見る他ありません。

ブロックチェーンの今後を考える上で、中国の動向は、引き続き注視すべきでしょう。

👉参考記事:『中国のブロックチェーンを金融・非金融の軸で理解する〜デジタル人民元からBSNまで〜

ブロックチェーンの今後(AIとIoT)

ブロックチェーンの今後を考える上で外せないのが、DX(デジタルトランスフォーメーション)という考え方と、その前提条件となるIoT、AIという2つの概念です。

DXとは、「ITの浸透が、人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させる」という概念を指し、ブロックチェーンの活用方法として最も期待されていることでもあります。

DXは、ビッグデータの活用を前提としています。

そして、IoT、ブロックチェーン、AIという3つの概念は、この「ビッグデータ活用を前提としたDX」というより大きな社会動向の要素として、下記のように相互に関連づけることができます。

  1. ビッグデータを集める → IoTによるハードウェア端末でのデータ収集
  2. ビッグデータを保存・管理する → ブロックチェーンによるデータベースの統合・管理
  3. ビッグデータを分析する → AI(機械学習)による大量情報の処理
  4. ビッグデータを活用する(社会実装する)

このように、今後のブロックチェーンは、ビッグデータを利用したDXというより大きな枠組みのもと、IoTやAIといった相互補完技術と協働しながら、これまで活用されてこなかった大量のデータを分析するためのデータ基盤として利用が進んでいくでしょう。

そして、その結果として、ブロックチェーンは、産業や社会全体の仕組みを大きく変え、効率化し、私たちの生活をより豊かにできる可能性を秘めています。

👉参考記事:『IoT、ブロックチェーン、AI。ビッグデータを活用したDXとは?

ブロックチェーンの課題

ブロックチェーンの未来の可能性を模索する中で、避けては通れない壁があります。

それは、ブロックチェーンの社会普及です。

上述したように、イノベーションとしてのブロックチェーンが本当に世界をより良く変えていくためには、社会のボリュームゾーンである「技術への未接触層」を巻き込み、彼ら彼女らの適切な理解と協力を得ていかなければなりません。

社会普及を実現するために、ブロックチェーンは主に、次の3つの課題を抱えています。

  • スケーラビリティ
  • ファイナリティ
  • セキュリティ

この中でも、特に重要かつ深刻なのが、スケーラビリティの問題です。

スケーラビリティとは、「トランザクションの処理量の拡張性」、つまり、どれだけ多くの取引記録を同時に処理できるかの限界値のことを指します。

ブロックチェーンは、その仕組み上、従来のデータベースよりもスケーラビリティが低くならざるを得ないという課題を抱えています。

一般に、スケーラビリティは「tps(transaction per second、1秒あたりのトランザクション処理量)」で定義することができますが、実際に、代表的なブロックチェーンネットワークは、次のように不十分なスケーラビリティだと言われています。

  • 一般的なクレジットカード:数万tps
  • ビットコイン(コンセンサスアルゴリズムがPoW):7tps
  • イーサリアム(コンセンサスアルゴリズムがPoS):15~20tps
  • コンソーシアム型のブロックチェーンネットワーク(コンセンサスアルゴリズムがPoA):数千tps

このように、ブロックチェーンは、オープンで分散的なデータベースとして期待を集めている一方で、ネットワーク参加者が増えるとスケーラビリティが担保できなくなるという課題を抱えています。

この課題に対して、金融領域では、「ライトニングネットワーク(Lightning Network)」という新しい概念に注目が集まっています。

ライトニングネットワーク(英: Lightning Network)とは、少額決済(「マイクロペイメント」)等の小規模かつ多数回行われる取引の処理をブロックチェーン外で行い(「オフチェーン取引」)、最初と最後の取引だけをビットコインのブロックチェーンにブロードキャストして確定させる、ビットコインネットワークの新しい手法のことです。

ライトニングネットワークを活用することで、決済処理速度が2秒以内、毎秒100万件超の取引が可能なGO-NETというサービスが生まれるなど、今後の展開に期待がかけられています。

しかし、非金融領域での解決策は依然見えてはいません

こうした原理的な課題は、ブロックチェーンが社会基盤となれるかどうかを左右する、重要な論点だと言えるでしょう。

👉参考記事:『ブロックチェーンの3つの課題とは?〜スケーラビリティ、ファイナリティ、セキュリティ〜