2022.05.02
物流専門誌『流通ネットワーキング 2022年5・6月号』に代表の藤田が寄稿しました
(「RFID×ブロックチェーン〜本番導入の事例と視点〜」)
https://www.nikko-pb.co.jp/products/detail.php?product_id=5291





2022.05.02
物流専門誌『流通ネットワーキング 2022年5・6月号』に代表の藤田が寄稿しました
(「RFID×ブロックチェーン〜本番導入の事例と視点〜」)
https://www.nikko-pb.co.jp/products/detail.php?product_id=5291
2022年現在、流通業界では、ブロックチェーンをはじめとする先進技術によってプロセスイノベーションを起こすべく、各社で大規模な技術開発や実証実験が行われています。
例えば、IBMが、コンテナ船世界最大手のA.P. Moller-Maersk(A.P.モラー・マースク、以下マースク)との共同でブロックチェーン基盤の海上物流プラットフォーム「TradeLens」を構築した他、世界最古の医薬品・化学品メーカーであるMerck KGaA(メルク・カーゲーアーアー、以下メルク)と共に偽造品対策プラットフォームを立ち上げています。
また、アジアに目を転じてみても、中国EC市場シェア2位のJD.com(下図)がブロックチェーンに関連する200件超もの特許を申請したという報道がなされるなど、世界最大の人口を抱える中国においても、物流のシステム全体をブロックチェーンによって強化していく流れがみられています。
出典:JD.com
さらに、ロジスティックプロバイダーAlbaによるIPRブロックチェーン活用の実証実験参加、サプライチェーンロジスティックソフトウェアを開発するSwivel Softwareの国際間取引プラットフォームGlobal eTrade Services (GeTS)への参画など、特に物流領域では、ブロックチェーンを活用したプラットフォーム構築競争が盛んにおこなわれています。
👉参考記事:『ブロックチェーン物流は何を実現する?ビジネスの仕組みと活用事例!』
こうした流れの中、国内でも特に注目されている分野の一つが、「コールドチェーン(低温流通体系)」を実現するための「温度管理」です。
コールドチェーンとは、生鮮食品や医薬品などを生産・輸送・消費の過程で途切れることなく低温に保つ物流方式、つまり「徹底的に温度管理されたサプライチェーン」のことで、商品の品質管理が問われる食品業界や医薬品業界においては、最も重要なプロセスと考えられています。
出典:国土交通省
実際に、2018年12月には、厚生労働省が日本版GDP(Good Disribution Practice=適正流通基準)ガイドラインを発出。
品質マネジメントや業務オペレーション、適格性評価など、医薬品の流通過程全般に関わる複数の基準が設定されていますが、その中でも、トレーサビリティと並んで最大の要件と考えられているのが温度管理システムなのです。
また、米国FSMA[FDA(U.S. Food and Drug Administration) Food Safety Modernization Act]や欧州GDP(Good Distribution Practice)による食料品・医薬品の貨物管理規制強化の影響も大きいでしょう。
同規制強化により、海外売上高比率の高い日本企業にも迅速な対応が求められており、コールドチェーン管理の改革および市場の拡大が見込まれています。
そして、日本でも、医薬品、食料品、化学品、農産物など、温度管理を必要とする幅広い業界でのコールドチェーン・イノベーションが求められています。
👉参考記事:『ブロックチェーンのトレーサビリティへの応用〜食品・物流・偽造品対策〜』
既存のコールドチェーンには、「データロガー」と呼ばれる温度管理システムが用いられており、各ロガーから得た情報を事後管理するやり方が一般的でした。
しかし、データロガーを用いた方法では、リアルタイムの状況に合わせた温度管理ができないばかりか、コストの観点からも、適用できるのはトラックやコンテナ輸送のような、商品が集積された管理形態に限定されてしまい、コールドチェーンで求められる、個別商品単位でのきめ細かな管理ニーズに応えることができません。
この課題を解決するために、近年は、QRコードやRFID(Radio Frequency IDentification)と呼ばれるツールが利用され始めています。
<例:日立の温度検知ラベルに利用されるQRコード>
出典:日立製作所
RFIDとは、「RFIDタグと呼ばれる媒体に記憶された人やモノの個別情報を、無線通信によって読み書き(データ呼び出し・登録・削除・更新など)をおこなう自動認識システムのこと」で、「RFIDタグを読み取り機などにかざすことによって、情報(製造年月・流通過程・検査情報など)が表示機器に表され、さらに新しい情報を書き込むことで、製品の流れや人の入退場などが一元管理でき」ます(公益財団法人流通経済研究所2018より)。
こうしたツールを活用することで、新しいコールドチェーンでは、商品ごとの個別情報を一元管理し、各商品に個別最適化された温度管理を行うシステム(つまりはIoTシステム)が実現されると言われています。
そして、ここで生じるデータを一元管理するプラットフォームこそ、ブロックチェーンプラットフォームです。
RFIDとブロックチェーンによるオープンプラットフォームを構築することで、リアルタイムに関係各社で受発注・決済・所有権移転も含めたトレーサビリティを一元管理できるようになると期待されています。
ブロックチェーン(blockchain)は、2008年にサトシ・ナカモトによって提唱された「ビットコイン」(仮想通貨ネットワーク)の中核技術として誕生しました。
ビットコインには、P2P(Peer to Peer)通信、Hash関数、公開鍵暗号方式など新旧様々な技術が利用されており、それらを繋ぐプラットフォームとしての役割を果たしているのがブロックチェーンです。
ブロックチェーンの定義には様々なものがありますが、ここでは、「取引データを適切に記録するための形式やルール。また、保存されたデータの集積(≒データベース)」として理解していただくと良いでしょう。
一般に、取引データを集積・保管し、必要に応じて取り出せるようなシステムのことを一般に「データベース」と言いますが、「分散型台帳」とも訳されるブロックチェーンはデータベースの一種であり、その中でも特に、データ管理手法に関する新しい形式やルールをもった技術です。
ブロックチェーンは、セキュリティ能力の高さ、システム運用コストの安さ、非中央集権的な性質といった特長から、「第二のインターネット」とも呼ばれており、近年、フィンテックのみならず、あらゆるビジネスへの応用が期待されています。
ブロックチェーンの主な特長は、①非中央集権性、②データの対改竄(かいざん)性、③システム利用コストの安さ、の3点です。
これらの特長は、ブロックチェーンが従来のデータベースデータとは異なり、システムの中央管理者を必要としないデータベースであることから生まれています。
ブロックチェーンと従来のデータベースの主な違いは次の通りです。
従来のデータベースの特徴 | ブロックチェーンの特徴 | |
---|---|---|
構造 | 各主体がバラバラな構造のDBを持つ | 各主体が共通の構造のデータを参照する |
DB | それぞれのDBは独立して存在する | それぞれのストレージは物理的に独立だが、Peer to Peerネットワークを介して同期されている |
データ共有 | 相互のデータを参照するには新規開発が必要 | 共通のデータを持つので、相互のデータを参照するのに新規開発は不要 |
ブロックチェーンは、後に説明する特殊な仕組みによって、「非中央集権、分散型」という特徴を獲得したことで、様々な領域で注目・活用されているのです。
2017年末、日立製作所は、コールドチェーン上での個別商品の品質管理を、温度検知ラベルを用いてIoT化・一元管理する、FCPF(Food Chain Platform、フードチェーンプラットフォーム)構想の実証実験を開始しました。
「東南アジアでは、近年の経済発展とともに高所得者層が増加し、品質管理された食品への要求が高まる一方で、コールドチェーンが未発達なことにより品質管理された食品が十分に消費者に提供されていない」ことを背景に、高品質な食品を提供するコールドチェーン物流を構築することが狙いです。
出典:日立製作所
本プロジェクトでは、同社が開発した温度検知ラベルを用いることで、商品ごとに個別に、しかも安価に取り付けることができるため、輸送単位を限定することなく、生産者から消費者までのすべての工程で適切な温度管理を行うことができるとされています。
出典:日立製作所
同社は、「FCPFは温度検知ラベルのほかに、ブロックチェーン、ロジスティクス管理、画像診断/AI(Artificial Intelligence)、保冷ボックス、鮮度・熟成度シミュレータなど複数の日立の強み技術を活用し、食品の品質管理、トレーサビリティ、ダイナミックマッチング、物流指示などのサービスを提供することで、生産、卸、物流、小売り、さまざまなステークホルダーの要求に応じた価値を提供する」ことで、「従来よりも安価なコストできめ細やかな温度管理」を実現するとしています。
本プロジェクトは、センシングデバイスとIoT技術、AI、そしてブロックチェーンを組み合わせることで、コールドチェーンの課題をDXで解決しようとする好例だと言えるでしょう。
👉参考記事:『IoT、ブロックチェーン、AI。ビッグデータを活用したDXとは?』
2020年、先述の日本版GDPを受けて、日本通運では、「Pharma2020」と呼ばれる1000億円規模の投資プロジェクトを開始しました。
同社によると、「プロジェクトでは、全国4か所(埼玉県、大阪府、福岡県、富山県)に医薬品専用センターを新設するほか、GDP基準に準拠した医薬品専用車両を開発し、全国を網羅した医薬品サプライネットワーク」の構築が予定されています。
同プロジェクトの中核をなしているのが、インテルと共同開発するIoTデバイスGCWA(Global Cargo Watcher Advance)を基幹技術としたブロックチェーン・プラットフォームです。
出典:日本通運
GCWAは、従来の温度管理デバイスであるデータロガーと異なり、ウェブ上にリアルタイムで個別商品の計測データをアップすることができるため、これまで「”空間”レベルにとどまっていた」温度管理を「個体レベルで温度や湿度、衝撃などの動態管理」へと昇華させることができるとされています。
そして、このGCWAを中心に取得された物流情報(温度モニタリング、輸配送状況、在庫状況など)と、トレーサビリティによる流通情報(受発注、決済、所有権移転など)を一元化するために活用されているのが、ブロックチェーンです。
ブロックチェーンを使うことで、中央管理者を排除したオープンプラットフォームの実現が期待されています。
2021年には、NTTデータが、ブロックチェーン技術をベースとしたDX推進ソリューション「BlockTrace®」の提供を開始しました。
同社によると、「BlockTraceは、ブロックチェーンプラットフォームおよび同プラットフォーム上のアプリケーションにより、お客さまのDXを推進するソリューションであり、今後NTTデータのブロックチェーン関連のサービスも含め、BlockTraceブランドでの展開を図」るとされており、その中の一つに、コールドチェーンの課題解決に向けたアプリケーションが含まれています。
出典:NTT DATA
その名も、「BlockTrace for Cold Chain」。
BlockTrace for Cold Chainでは、「輸送中の位置情報・温度管理情報をブロックチェーン上に書き込むことで、生鮮食品の品質状態を見える化し、エンドユーザーに訴求することができるため、商品価値の向上を見込むことができ」る他、「医薬品や化学品などのセンシティブな温度管理輸送が必要なシーンにも応用でき」る「低温輸送保証をサポートするソリューション」であるとされています。
他にも、「サプライチェーンにおける情報共有ソリューション」である「BlockTrace for Supply Chain」等のアプリケーションも用意されており、これら複数のソリューションを組み合わせることで、コールドチェーンの課題解決が期待できるでしょう。
2008年に生まれたブロックチェーン技術は、これまで主に、ビットコインをはじめとする暗号資産(仮想通貨)を中心に、金融事業を革新するフィンテックとして注目を集めてきました。
しかし、近年では、ブロックチェーンのもつ技術的応用可能性から、非金融事業、例えば製造・物流・小売業界でのSCM(サプライチェーン・マネジメント)、医療業界での診療データ管理、不動産業界での国際オンライン取引、はてはアートや選挙まで、様々な領域での多様な活用が進んでいます。
その中でも、特に技術開発が盛んで、実証実験や事業化が進んでいるのが電力分野です。
電力分野では、電力会社を介さない電力の個人間取引(P2P 取引) や、再生可能エネルギー(再エネ)の環境価値の取引にブロックチェーンが活用可能だと考えられており、大企業のみならず、スタートア ップ企業や電力会社を中心に国内外で開発が進められています。
例えば、2020年11月には、トヨタ自動車株式会社(未来創生センター)と東京大学、TRENDE株式会社の共同研究結果が発表されました。
同研究では、2019年6月17日から2020年8月31日までの間、「ブロックチェーンを活用し電力網につながる住宅や事業所、電動車間での電力取引を自律的に可能とする次世代電力取引システム(P2P電力取引)の実証実験を」行った結果、「実証実験に参加した一般家庭(含、電動車)の電気料金を約9%低減」、「電動車の走行利用電力の43%を再エネとし、CO2排出量を38%削減」することに成功しています。
また、同年12月には、KDDIグループの4社(エナリス、auフィナンシャルホールディングス、auペイメント、ディーカレット)が合同で、次世代電力システムにおけるP2P電力取引プラットフォームの社会実装を目指し、P2P取引事業が成立する要因を検証する共同実証事業を開始しています。
出典:ENERES
さらに、翌年1月には、三菱電機と東京工業大学との共同研究により、P2P電力取引を最適化する独自のブロックチェーン技術を開発し、「余剰電力の融通量を最大化する取引など、需要家の取引ニーズに柔軟に対応できる取引環境を提供」するとしています。
出典:東京工業大学
他方、国外に目を移してみても、同様の取り組みは各所に見られます。
例えば、米国の LO3 Energy 社は、独自開発したプライベート型のブロックチェーンである Exergyを用いて、再エネ電力の P2P 取引プラットフォームの構築を目指し、米国や豪州で実証を進めています。
また、ブロックチェーン技術の国家的導入が進むエストニアでは、Elering 社(エストニア)とWePower社(リトアニア)を中心に、エストニア国内において、エネルギー消費や再エネ発電に関するデータをブロックチェーンでトークン化する実証実験を実施しています。
今見たように、電力分野でのブロックチェーン技術開発では、例えば次のような用途での活用が目指されています。
そして、国内外を問わず、特に技術開発が進んでいるのが「P2P電力取引」です。
P2P電力取引は、通信技術の一つである「P2P(Peer to Peer、ピアツーピア)通信」と、2016年4月から始まった電力小売全面自由化を背景とした「電力取引」を組み合わせた造語です。
一言でいえば、「電力会社を通さず、太陽光発電などの発電設備をもつ一般家庭や事業体同士で、直接、余剰電力の売買を行うこと」を指します。
それぞれ、簡単に説明します。
P2P通信とは、パーソナルコンピューターなどの情報媒体間で直接データの送受信をする通信方式のことで、従来のデータベースの「クライアント・サーバー型」と対比されます。
出典:平和テクノシステム
システムの中央管理者である第三者のサーバーを必要とするクライアント・サーバー型とは異なり、P2P通信では、媒体間で直接やり取りを行うことに特徴があります。
他方、日本国での電力取引は、従来、電力会社が各家庭や会社とそれぞれに直接取引を行い、電力会社からの一方的な電力供給が行われてきました。
しかし、上述した電力小売全面自由化を背景に、発電能力をもっていれば、電力会社ではなくとも電気を自由に売ることが可能になりました。
P2P電力取引では、まさにP2P通信においてデータのやり取りをコンピュータ間で直接行えるように、余剰電力をもつ家庭や事業体間で、直接、自由に売買を行うことができるのです。
P2P電力取引には、次のようなメリットがあります。
従来の電力取引では、電力会社や仲介の会社など、市場の中央管理者が必要でした。
中央管理者との取引では、取引内容を個別に最適化することができず柔軟性に欠くばかりか、システム全体の運用コストが大きくかかってしまいます。
これに対して、P2P電力取引では、多数のネットワーク参加者同士で柔軟に取引を行うことが可能になるため、取引コストを低減させることができると期待されています。
ただ、とはいえ、もし自宅で太陽光発電を行い、蓄電池に余剰電力をためていたとしても、その電力をいつ、誰に、どうやって売ればよいかは検討もつきません。
また、個人間の取引で適正な価格を調整することも非常に困難でしょう。
そこで、近年、各社が取り組んでいるのが、P2P電力取引を簡単に行えるようなアルゴリズムを搭載したプラットフォーム構築です。
出典:DATA INSIGHT
そして、このプラットフォームの背景技術として活用されているのがブロックチェーン技術なのです。
ブロックチェーン(blockchain)は、2008年にサトシ・ナカモトによって提唱された「ビットコイン」(仮想通貨ネットワーク)の中核技術として誕生しました。
ビットコインには、P2P(Peer to Peer)通信、Hash関数、公開鍵暗号方式など新旧様々な技術が利用されており、それらを繋ぐプラットフォームとしての役割を果たしているのがブロックチェーンです。
ブロックチェーンの定義には様々なものがありますが、ここでは、「取引データを適切に記録するための形式やルール。また、保存されたデータの集積(≒データベース)」として理解していただくと良いでしょう。
一般に、取引データを集積・保管し、必要に応じて取り出せるようなシステムのことを一般に「データベース」と言いますが、「分散型台帳」とも訳されるブロックチェーンはデータベースの一種であり、その中でも特に、データ管理手法に関する新しい形式やルールをもった技術です。
ブロックチェーンは、セキュリティ能力の高さ、システム運用コストの安さ、非中央集権的な性質といった特長から、「第二のインターネット」とも呼ばれており、近年、フィンテックのみならず、あらゆるビジネスへの応用が期待されています。
ブロックチェーンの主な特長は、①非中央集権性、②データの対改竄(かいざん)性、③システム利用コストの安さ、の3点です。
これらの特長は、ブロックチェーンが従来のデータベースデータとは異なり、システムの中央管理者を必要としないデータベースであることから生まれています。
ブロックチェーンと従来のデータベースの主な違いは次の通りです。
従来のデータベースの特徴 |
ブロックチェーンの特徴 |
|
---|---|---|
構造 |
各主体がバラバラな構造のDBを持つ |
各主体が共通の構造のデータを参照する |
DB |
それぞれのDBは独立して存在する |
それぞれのストレージは物理的に独立だが、Peer to Peerネットワークを介して同期されている |
データ共有 |
相互のデータを参照するには新規開発が必要 |
共通のデータを持つので、相互のデータを参照するのに新規開発は不要 |
ブロックチェーンは、後に説明する特殊な仕組みによって、「非中央集権、分散型」という特徴を獲得したことで、様々な領域で注目・活用されているのです。
2020年11月13日、トヨタ自動車、東京大学、TREND株式会社は、2019年から2020年におよぶ共同実証実験で、電気料金を9%低減可能なシステムを構築したと発表しました。
(再掲)出典:トヨタ自動車 未来創生センター
公表されている共同実証実験のテーマ・概要・結果は次の通りです。
<テーマ>
<概要>
実証期間 |
2019年6月17日から2020年8月31日 |
---|---|
実施場所 |
トヨタの東富士研究所と周辺エリア |
実証に参加したモニター |
|
電力価格 |
需給量に応じた変動価格 |
各役割 |
|
<結果>
2020年12月04日、KDDIグループのエナリスとauフィナンシャルホールディングス、auペイメント、ディーカレットの4社は、電力および環境価値のP2P取引事業成立要因を検証する実証事業を共同で開始したと発表しました。
(再掲)出典:ENERES
公表されている同事業の背景と概要は次の通りです。
<背景>
<概要>
実施期間 |
2020年11月20日~2021年2月末 |
---|---|
実施内容 |
|
検証内容 |
|
各社役割 |
|
2021年1月18日、三菱電機株式会社は東京工業大学との共同研究により、最適な組み合わせを探索するブロックチェーン技術により、柔軟な電力取引を実現すると発表しています。
出典:東京工業大学
公表されている同研究の背景、特長、体制は次の通りです。
<背景>
<特長>
<体制>
名称 |
担当内容 |
---|---|
東京工業大学 |
ブロックチェーン技術の研究開発、最適約定アルゴリズムの設計 |
三菱電機 |
P2P電力取引システムの設計、約定機能の設計 |
2021年現在、ブロックチェーン技術を活用したDeFi(ディーファイ)という金融システムが注目を集めています。分散型金融とも訳されるDeFiは、中央管理者を排除することでサービスへのアクセシビリティを向上させ、金融市場の新たな可能性を広げると期待されています。DeFiの事例であるDEXやレンディングと併せて解説します!
2008年の誕生以来、ブロックチェーンは、ビットコインをはじめとした暗号資産(仮想通貨)、スマートコントラクトを利用した自動決済システム、ICOやSTOといった資金調達方法、トークンエコノミー、自立型分散組織(DAO)の形成など、様々な領域で活用されてきました。
こうした中、金融領域でのブロックチェーン活用方法として、その功罪を問わず、近年特に注目されているのがDeFi(ディーファイ)です。
例えば、日本銀行は、決済システムの整備などを担当する決済機構局から、「自律的な金融サービスの登場とガバナンスの模索」と題した日銀レビューシリーズを公開し、その中で既存金融との比較対象としてDeFiを捉え、そのメリットとリスクについて考察を明らかにしています。
また、8月10日には、DeFiのプラットフォームを運営するPoly Networkがハッキングを受け、約660億円相当の暗号資産(仮想通貨)が不正に流出したことを発表するなど、理論にとどまらず、すでに実業の世界でも大きな影響力をもっています。
DeFiとは、ブロックチェーンを用いて、金融機関を介さずに無人で金融取引を行う仕組みのことです。
Decentralized Financeの略で、”分散金融/分散型金融”などとも訳されます。
金融市場には、証券や保険、デリバティブやレンディングといった様々な金融サービスが存在していますが、従来、これらはすべて金融機関による中央一括管理がなされてきました。
これに対して、DeFiでは、ブロックチェーンを活用することで、各種金融サービスにおける中央一括管理をなくし、信用履歴審査や本人確認なしに誰でもサービスを利用できる仕組みが構築できます。
DeFiには主に3つの特徴があります。
最大の特徴は、中央管理者である金融機関の排除です。
これにより、従来、中央管理者が仲介業務を行うことで発生していた業務コストや手数料を省くことが可能になります。
また、中央管理者が不在であることから、インターネット上でのやり取りが可能になり、結果として地域に左右されず利用可能になる、つまり金融サービスへのアクセシビリティが向上します。
ブロックチェーン(blockchain)は、2008年にサトシ・ナカモトによって提唱された「ビットコイン」(仮想通貨ネットワーク)の中核技術として誕生しました。
ビットコインには、P2P(Peer to Peer)通信、Hash関数、公開鍵暗号方式など新旧様々な技術が利用されており、それらを繋ぐプラットフォームとしての役割を果たしているのがブロックチェーンです。
ブロックチェーンの定義には様々なものがありますが、ここでは、「取引データを適切に記録するための形式やルール。また、保存されたデータの集積(≒データベース)」として理解していただくと良いでしょう。
一般に、取引データを集積・保管し、必要に応じて取り出せるようなシステムのことを一般に「データベース」と言いますが、「分散型台帳」とも訳されるブロックチェーンはデータベースの一種であり、その中でも特に、データ管理手法に関する新しい形式やルールをもった技術です。
ブロックチェーンは、セキュリティ能力の高さ、システム運用コストの安さ、非中央集権的な性質といった特長から、「第二のインターネット」とも呼ばれており、近年、フィンテックのみならず、あらゆるビジネスへの応用が期待されています。
ブロックチェーンの主な特長やメリットは、①非中央集権性、②データの対改竄(かいざん)性、③システム利用コストの安さ、④ビザンチン耐性(欠陥のあるコンピュータがネットワーク上に一定数存在していてもシステム全体が正常に動き続ける)の4点です。
これらの特長・メリットは、ブロックチェーンが従来のデータベースデータとは異なり、システムの中央管理者を必要としないデータベースであることから生まれています。
ブロックチェーンと従来のデータベースの主な違いは次の通りです。
従来のデータベースの特徴 |
ブロックチェーンの特徴 | |
構造 |
各主体がバラバラな構造のDBを持つ |
各主体が共通の構造のデータを参照する |
DB |
それぞれのDBは独立して存在する |
それぞれのストレージは物理的に独立だが、Peer to Peerネットワークを介して同期されている |
データ共有 |
相互のデータを参照するには新規開発が必要 |
共通のデータを持つので、相互のデータを参照するのに新規開発は不要 |
ブロックチェーンは、後に説明する特殊な仕組みによって、「非中央集権、分散型」という特徴を獲得したことで、様々な領域で注目・活用されているのです。
👉参考記事:『ブロックチェーン(blockchain)とは?仕組みや基礎知識をわかりやすく解説!』
DeFiの例として最もわかりやすいものが、「Uniswap」に代表されるDEX(Decentralized Exchange:分散型取引所、デックス)です。
DEXとは、主にイーサリアムのスマートコントラクトを活用して構築されたP2Pの取引所のことで、DEX市場の月間取引量は、2020年時点ですでに4,000億円を越えるほど拡大しており、関連するトークンも高騰しています。
通常、暗号資産の取引所は、bitFlyerやCoincheckのような特定の企業が運営しています。
これに対して、DEXでは、ブロックチェーンのスマートコントラクト機能により、中央一括管理を行う金融機関を必要とせず、流動性の供給から、取引の約定に至るまで、一連のプロセスのほとんどが自動的に処理されています。
銀行による中央一括管理のもとに行われる代表的な金融サービスの一つがレンディング(貸付)です。
借り手と貸し手の間に銀行が入り、貸し手に渡される利息に、銀行の経費としての利子が加わることで、貸し借りによって大きな金額差が生まれてしまっていました。
これに対して、DeFiのレンディングプラットフォームでは、ブロックチェーンのスマートコントラクトを用いることで銀行などの仲介業者を排除することができ、不要な”中抜き”がなくなることで、借り手にとっても貸し手にとってもメリットのある取引を実現することができます。
また、Compound(コンパウンド)やArve(アーヴ)といったプラットフォームでは、信用情報なしに資金調達を行えるというメリットもあります。
DeFiにより、イーサリアムのネットワーク通貨”イーサ(ETH)”を担保に、米ドル(USD)と価値が紐づくステーブルコインを発行し保有することができるサービス「Maker」も登場しています。
ステーブルコインとは、価格変動が少なくなるよう設計された暗号資産(仮想通貨)の総称です。
ビジネスで利用する通貨には、価格が安定していることが必要です。
通貨の価格が大きく変動すると、価格設定を頻繁に更新しなればならず、保有する通貨の価格変動リスクについても考慮し続ける必要があります。
Makerでは、既存の米ドルと結びつけたステーブルコインを発行することで、ネット上で自由にやり取りでき、かつ、安定した通貨を、経済的、政治的、物理的に金融アクセスの困難な人に対して提供しています。
ブロックチェーントークンの代表的な活用方法に、ICOやSTOといった資金調達方法があります。フィンテックの注目株とも言えるICO、STOは、従来の株式市場よりもはるかに低いハードルでの調達を可能にすると言われています。ICO、STOとは何か、両者の違いと合わせて解説します。
2008年にサトシ・ナカモトがビットコインを誕生させて以来、ブロックチェーン技術は金融領域のみならず、非金融領域、それも非常に幅広い産業での応用が期待され、また実用化されてきました。
その中でも、ブロックチェーンと切っても切れない関係と言えるのがトークンです。
ブロックチェーントークンは、ICOやSTOといった資金調達方法、近年注目を集めるNFT(Non Fungible Token)、Utility Token によるトークンエコノミーの形成など、数多くの応用可能性を背景に、世界中の事業家、投資家達が注目する事業領域だといえます。
とりわけ、本記事のテーマでもあるICOやSTOは、従来の株式資本市場における資金調達のハードルの高さを克服する新しい方法として注目を集め、すでにいくつもの大型の調達実績を出してきました。
本記事では、そうしたICO、STOとは何か、そして両者はどのように異なるのか、について解説していきます。
👉参考記事:『【ブロックチェーン】トークンのビジネス活用〜STO、NFT、Utility Token〜』
ブロックチェーン(blockchain)は、2008年にサトシ・ナカモトによって提唱された「ビットコイン」(仮想通貨ネットワーク)の中核技術として誕生しました。
ビットコインには、P2P(Peer to Peer)通信、Hash関数、公開鍵暗号方式など新旧様々な技術が利用されており、それらを繋ぐプラットフォームとしての役割を果たしているのがブロックチェーンです。
ブロックチェーンの定義には様々なものがありますが、ここでは、「取引データを適切に記録するための形式やルール。また、保存されたデータの集積(≒データベース)」として理解していただくと良いでしょう。
一般に、取引データを集積・保管し、必要に応じて取り出せるようなシステムのことを一般に「データベース」と言いますが、「分散型台帳」とも訳されるブロックチェーンはデータベースの一種であり、その中でも特に、データ管理手法に関する新しい形式やルールをもった技術です。
ブロックチェーンは、セキュリティ能力の高さ、システム運用コストの安さ、非中央集権的な性質といった特長から、「第二のインターネット」とも呼ばれており、近年、フィンテックのみならず、あらゆるビジネスへの応用が期待されています。
ブロックチェーンの主な特長やメリットは、①非中央集権性、②データの対改竄(かいざん)性、③システム利用コストの安さ、④ビザンチン耐性(欠陥のあるコンピュータがネットワーク上に一定数存在していてもシステム全体が正常に動き続ける)の4点です。
これらの特長・メリットは、ブロックチェーンが従来のデータベースデータとは異なり、システムの中央管理者を必要としないデータベースであることから生まれています。
ブロックチェーンと従来のデータベースの主な違いは次の通りです。
従来のデータベースの特徴 | ブロックチェーンの特徴 | |
---|---|---|
構造 | 各主体がバラバラな構造のDBを持つ | 各主体が共通の構造のデータを参照する |
DB | それぞれのDBは独立して存在する | それぞれのストレージは物理的に独立だが、Peer to Peerネットワークを介して同期されている |
データ共有 | 相互のデータを参照するには新規開発が必要 | 共通のデータを持つので、相互のデータを参照するのに新規開発は不要 |
ブロックチェーンは、後に説明する特殊な仕組みによって、「非中央集権、分散型」という特徴を獲得したことで、様々な領域で注目・活用されているのです。
👉参考記事:『ブロックチェーン(blockchain)とは?仕組みや基礎知識をわかりやすく解説!』
ICOとは、Initial Coin Offering(イニシャル・コイン・オファリング)の略で、新規仮想通貨を公開・売却することで資金調達する方法のことです。
「クラウドセール」「トークンセール」「トークンオークション」とも呼ばれるICOは、新規事業等のプロジェクト成果(を享受する権利)を付与したトークンを大量に発行し、ホワイトペーパー(ICOによって解決したい課題やその必要性、市場規模、具体的なソリューション、実現までのロードマップ、開発体制、調達した資金の使途や配分方法などについてまとめた資料)によってプロジェクトの有望さを売り込むことで、シード段階での大型調達が可能になる点がメリットです。
しかし、一時期は大きく注目を集め、多額の資金が投じられたICOでしたが、その極度に投機的な性格や、仕組みを利用した詐欺事件が相次いだことなどにより、現在は市場が縮小し、STOに役割を取って変わられつつあります。
STOとは、Security Token Offering(セキュリティ・トークン・オファリング)の略で、有価証券の機能が付与されたトークンによる資金調達方法のことです(「セキュリティ」というのは「証券」という意味であることに注意して下さい)。
STOは、ICO(Initial Coin Offering、イニシャル・コイン・オファリング、新規仮想通貨公開、ブロックチェーンを利用した資金調達方法の一つ)の問題点であったスキャム(いわゆる詐欺)や仕組み自体の投機的性質を解消する、新しい資金調達方法として注目を集めており、1兆ドル以上のマーケットになるとの予想もなされています。
2019年の時点ですでに数億ドル以上のSTO案件が生まれていることを鑑みると、今後、STOが金融領域におけるブロックチェーンビジネスの注目株であることは間違い無いでしょう。
同じくブロックチェーン技術を活用した資金調達方法であるICOとSTOですが、その性質は大きく異なります。
具体的には、次の表の通りです。
ICO | STO | |
---|---|---|
資金調達方法 | 企業が仮想通貨を発行し、それを購入してもらうことで資金調達を行う | 有価証券の機能が付与されたトークンを発行し、それを購入してもらうことで資金調達を行う |
特長 | 株式発行やSTOと比較して資金調達のハードルが低く、短期間で大型の調達が可能 | ICOの問題点であったスキャム(いわゆる詐欺)や仕組み自体の投機的性質を解消することができる |
取り巻く環境 | ICOの仕組みを悪用した詐欺事件なども起こってしまったこともあり、近年では、一時期の勢いは見られない | 金融領域におけるブロックチェーンビジネスの注目株で、1兆ドル以上のマーケットになるとの予想もなされている |
先ほども述べたように、現在は、ICOよりもSTOの方が主流になっています。
ICOと比較した際のSTOのメリットとしては、次の4点が挙げられます。
他方で、法規制に則って運用されるためにICOよりも自由度が低く、規制の管理下におかれるために、投資の参入障壁が高いことなどのデメリットもあります。
とはいえ、多々違いはあるにせよ、いずれの方法も従来の資金調達方法の枠にとらわれない新しい方法であることには違いありません。
今後も、ICOやSTOなどブロックチェーントークンを利用した資金調達方法は活用されていくでしょう。
2021年8月18日、シヤチハタはNFT印鑑の共同開発を発表しました。NFT印鑑は、偽造不可能な電子印鑑のことです。取引のオンライン化やDXが進む中、ブロックチェーン技術の応用であるNFTを活用したNFT印鑑はどのような役割をはたすのでしょうか?NFTやブロックチェーンの概要と合わせて解説します。
Tech Crunchによると、シヤチハタ株式会社(以下、シヤチハタ)は2021年8月18日、ケンタウロスワークスおよび早稲田リーガルコモンズ法律事務所と、ブロックチェーンを利用した電子印鑑システム「NFT印鑑」を共同開発することで合意したと発表しました。
出典:Tech Crunch
シヤチハタは、「朱肉やスタンプ台、ゴム印など、日常で使用頻度の高いなつ印具シリーズ」(同社ホームページより)である”シヤチハタ”を中心に、サインペンと印鑑が一つになった”ネームペン”など、ハンコやスタンプに関する商品を数多く手がけてきた会社です。
インターネット登場以来、IT化やDX(デジタルトランスフォーメーション)の必要性が騒がれる中、オフラインでの”非効率な”作業を必要とする押印は特にその「不要論」が叫ばれ、とりわけ近年、コロナ禍でのリモートワーク推進を背景に印鑑業界がどのような”歩み寄り”を見せるのかが議論の的になってきました。
そうした中、印鑑業界の雄であるシヤチハタが最新のテクノロジーであるブロックチェーンを活用したサービスを発表したことで、「NFT印鑑」は大きな注目を集めています。
NFTは2021年初頭から急激に取引量が伸びている非代替性のトークンで、「偽造不可な鑑定書・所有証明書付きのデジタルデータ」という特長を持っています。
Non Fungible Tokenの略称であるNFTは、”Fungible”(=代替不可能な)という語義の通り、例えば座席や日時が指定されているコンサートチケットのように、トークン同士に互換性のない”1点モノ”としての性質を有しています。
また、NFTの背景技術であるブロックチェーンは、それ自体がデータの改竄リスクや喪失リスクに対して強い性質をもっています。
NFTのもつこれらの性質を利用することで、本来であれば容易に複製や偽造が可能であり、著作権や所有権が曖昧になりがちであったデジタルデータに対して、「鑑定書」や「証明書」を与えることができるようになります。
そこで、近年、アートや漫画、ゲームなど、幅広いデジタルコンテンツをNFT化しようという流れが強くなり始めました。
👉参考記事:『ブロックチェーン×「NFT」〜NFTの基礎と活用事例〜』
シヤチハタのNFT印鑑もNFTの性質をうまく利用しようとする試みの一つです。
NFT印鑑は、「印影データをNFT化することで、印鑑保有者の情報と印影情報を結び付けた、固有性を持つ電子印鑑」と言われています。
これまでも、印鑑をオンライン化したもの、つまり電子印鑑による契約への移行は進んできました。
しかし、電子データの弱みである偽造リスクの高さや、各社が異なる電子契約サービスを用いていることなどが理由で十分には普及してこれませんでした。
これに対して、NFT印鑑では、ブロックチェーン技術を活用することにより、所有者情報と印影を一対一対応させることが可能であり、データの偽造リスクも大幅に減らすことが期待されています。
また、単一のブロックチェーンプラットフォーム上でサービスを展開することにより、会社間で統一されたシステムを用いることができるようになるメリットもあります。
ブロックチェーン(blockchain)は、2008年にサトシ・ナカモトによって提唱された「ビットコイン」(仮想通貨ネットワーク)の中核技術として誕生しました。
ビットコインには、P2P(Peer to Peer)通信、Hash関数、公開鍵暗号方式など新旧様々な技術が利用されており、それらを繋ぐプラットフォームとしての役割を果たしているのがブロックチェーンです。
ブロックチェーンの定義には様々なものがありますが、ここでは、「取引データを適切に記録するための形式やルール。また、保存されたデータの集積(≒データベース)」として理解していただくと良いでしょう。
一般に、取引データを集積・保管し、必要に応じて取り出せるようなシステムのことを一般に「データベース」と言いますが、「分散型台帳」とも訳されるブロックチェーンはデータベースの一種であり、その中でも特に、データ管理手法に関する新しい形式やルールをもった技術です。
ブロックチェーンは、セキュリティ能力の高さ、システム運用コストの安さ、非中央集権的な性質といった特長から、「第二のインターネット」とも呼ばれており、近年、フィンテックのみならず、あらゆるビジネスへの応用が期待されています。
ブロックチェーンの主な特長やメリットは、①非中央集権性、②データの対改竄(かいざん)性、③システム利用コストの安さ、④ビザンチン耐性(欠陥のあるコンピュータがネットワーク上に一定数存在していてもシステム全体が正常に動き続ける)の4点です。
これらの特長・メリットは、ブロックチェーンが従来のデータベースデータとは異なり、システムの中央管理者を必要としないデータベースであることから生まれています。
ブロックチェーンと従来のデータベースの主な違いは次の通りです。
従来のデータベースの特徴 | ブロックチェーンの特徴 | |
---|---|---|
構造 | 各主体がバラバラな構造のDBを持つ | 各主体が共通の構造のデータを参照する |
DB | それぞれのDBは独立して存在する | それぞれのストレージは物理的に独立だが、Peer to Peerネットワークを介して同期されている |
データ共有 | 相互のデータを参照するには新規開発が必要 | 共通のデータを持つので、相互のデータを参照するのに新規開発は不要 |
ブロックチェーンは、後に説明する特殊な仕組みによって、「非中央集権、分散型」という特徴を獲得したことで、様々な領域で注目・活用されているのです。
👉参考記事:『ブロックチェーン(blockchain)とは?仕組みや基礎知識をわかりやすく解説!』
出典:Tech Crunch
Tech Crunchによると、「NFT印鑑は、Japan Contents Blockchain Initiative(JCBI)が運営・管理するコンソーシアム型ブロックチェーン「Contents Consortium Blockchain Platform」により、印鑑管理で必須となる高度なセキュリティに配慮しつつ、パフォーマンスと信頼性を両立」し、「将来的には、パブリックブロックチェーンとの連携も視野に、より透明性の高いオープンなシステムを目指す」とされています。
スマートコントラクトとは、1994年にニック・スザボが提唱した「契約の自動化」を意味するプロトコルです。取引プロセスのデジタル化・自動化による取引コスト削減を可能にし、ブロックチェーンの社会実装に一役買っています。事例と共に詳しく解説します!
スマートコントラクトとは?
ブロックチェーンの実装手段としてのスマートコントラクト
【事例】スマートコントラクトによるブロックチェーンの社会実装
スマートコントラクトとは、ブロックチェーンシステム上で、規定のルールに従ってトランザクションや外部情報をトリガーに実行されるプログラムあるいはコンピュータプロトコルのことで、1994年にNick Szabo(ニック・スザボ)という法学者・暗号学者によって提唱され、Vitalik Buterin(ヴィタリック・ブリテン)がEthereum基盤上で開発・提供され始めました。
「契約(コントラクト)の自動化」を意味するスマートコントラクトは、事前定義から決済に至るまで、一連の契約のスムーズな検証、執行、実行、交渉を狙いとしています。
出典:FinTech Journal「スマートコントラクトとは何か? その仕組みや事例、実装への課題を解説」
スマートコントラクトの仕組みは、提唱者のNick Szaboが引き合いに出した「自動販売機」の例で説明されることが一般的です。
自動販売機は、その名の通り、人の手を介さずに自動で飲料を販売する機械であり、①指定された金額分の貨幣の投入、②購入したい飲料のボタンの押下、という2つの条件が満たされることで自動的に「販売契約」が実行されます。
自動販売機自体はとてもシンプルな仕組みですが、「契約の事前定義→条件入力→履行→決済」という一連の流れを全て自動化しているという点でスマートコントラクトの好例と言えるでしょう。
なお、スマートコントラクトのブロックチェーン上での呼称は基盤によって異なります。
例えば、Etheruemであればそのまま「スマートコントラクト」と呼ばれていますが、HLF(Hyperledger Fabric)では「ChainCode」と呼ばれています。
それぞれ名称は異なるものの、同じくブロックチェーン基盤上でのスマートコントラクトサービスを指している点に注意してください。
Nick Szaboが提唱したプロトコルがVitalik ButerinによってEtheruemに組み込まれたのは決して偶然ではありません。
スマートコントラクトとブロックチェーンは、その根底に、共通する思想をもっており、後に見るように、スマートコントラクトはブロックチェーンの思想を社会実装する手段としてうまく機能するからです。
両者の思想は、DAO(Decentralized Autonomous Organization、ダオ、自立分散型組織)という概念を中心に理解することができます。
DAOとは、中央の管理者をもたないネットワーク型組織のことで、個々に自立したネットワーク参加者が自由にふるまう中で、組織全体としての判断や意思決定、実行が自動的になされていくような組織形態です。
ブロックチェーン誕生のきっかけとなったビットコインはDAOの典型例だと言われており、PoWと呼ばれる事前の意思決定ルール(「コンセンサスアルゴリズム」)をもとに、ノードと呼ばれる参加者各々の利害関係に基づいた「分散的な」ネットワーク運営がなされています。
Vitalik Buterinは、まさにこのブロックチェーンがもつ「分散性」に注目して、その恩恵を金融領域以外にも押し広げるべく、自由なアプリケーションの開発基盤としてのEtheruemをつくり、その基盤上での「個々に自立して分散した」取引を可能にする機能として、スマートコントラクトのプロトコルを採用したのです。
このように、スマートコントラクトは同じ思想をもった技術であるブロックチェーンとの相性が良く、EtheruemやHyperledgerといったブロックチェーン基盤上で開発・展開されたアプリケーションにスマートコントラクトの機能を組み込むことで、管理者や実行者を介することなく、データ改竄のリスクを下げる形での契約履行が可能になると期待されています。
そして、自動販売機にもみられるように、スマートコントラクトは取引プロセスを自動化できることから、実際に、決済期間の短縮や不正防止、仲介者排除によるコスト削減といった目的で用いられています。
こうしたスマートコントラクトとブロックチェーンの切っても切れない関係を語る上で、DAOという思想への理解を外すことはできないでしょう。
ブロックチェーンは、2008年にサトシ・ナカモトと呼ばれる謎の人物によって提唱された「ビットコイン」(暗号資産システム)の中核技術として誕生しました。
ブロックチェーンの定義には様々なものがありますが、ここでは、「取引データを適切に記録するための形式やルール。また、保存されたデータの集積(≒データベース)」として理解していただくと良いでしょう。
一般に、取引データを集積・保管し、必要に応じて取り出せるようなシステムのことを一般に「データベース」と言いますが、ブロックチェーンはデータベースの一種であり、その中でも特に、データ管理手法に関する新しい形式やルールをもった技術です。
「分散型台帳」とも訳されるブロックチェーンは、中央管理を前提としている従来のデータベースとは異なり、常に同期されており中央を介在せずデータが共有できるので参加者の立場がフラット(=非中央集権、分散型)という特徴を備えています。
従来のデータベースの特徴
ブロックチェーンの特徴
こうしたブロックチェーンの「非中央集権性」の恩恵としては、
ということが挙げられます。
まさにこの「非中央集権、分散型」という特徴こそ、ブロックチェーンが様々な領域で注目・活用されている理由だと言えるでしょう。
👉参考記事:『ブロックチェーン(blockchain)とは?仕組みや基礎知識をわかりやすく解説!』
ブロックチェーンは、「AI」「IoT」と並ぶ、DX(デジタルトランスフォーメーション)分野で期待される有望技術の一つです。
DXとは、「情報テクノロジーの力を用いて既存産業の仕組みや構造を変革すること、あるいはその手段」のことで、大きくは産業全体のバリューチェーンやサプライチェーンにおけるイノベーション、小さくは開発企業におけるエンジニアの就労環境改善や社内コミュニケーションツールの変更といった自社の変革など、仕事だけでなく、私たちの生活全体を大きく変える可能性として期待されています。
つまり、「ブロックチェーンを社会実装する」ことで、世の中の不便や非効率を無くしていくことができるのです。
実際に、ブロックチェーンは既に様々な既存産業でビジネス化されており、2020年度の世界ブロックチェーン市場規模は30億米ドルにものぼると言われています。
例えば、IBM社とMaersk社の協働による物流プラットフォーム、中国における医療用品寄付向けポータル、国連による難民・ホームレス等向けIDサービスなど、その実装対象は非常に幅広いのが特徴です。
他方、国内でも、数年前からブロックチェーンの社会実装に対する注目が集まっています。
実際に、経済産業省が平成27年度に発表したブロックチェーンに関する調査資料では、ブロックチェーンは将来的に、国内67兆円の市場に影響を与えると予想されています。
出展:平成27年度 我が国経済社会の 情報化・サービス化に係る基盤整備 (ブロックチェーン技術を利⽤したサービスに 関する国内外動向調査) 報告書概要資料
経済産業省によると、ブロックチェーンは、具体的に大きく5つのテーマで、社会変革・ビジネスへの応用が進むとされています。
上記、経済産業省が示した5つの社会実装アプローチの中で、20兆円規模の経済効果をもたらすと予測されているのが「プロセス・取引の全自動化・効率化の実現」です。
これは、「契約条件、履行内容、将来発生するプロセス等をブロックチェーン上に記載」する、つまりスマートコントラクトを利用したブロックチェーンの実装による社会変革を意味しています。
つまり、世の中の不便や非効率を無くしていくためのブロックチェーン、その実装手段が契約の自動的な執行を行う仕組みであるスマートコントラクトなのです。
例えば、スマートコントラクトを利用したブロックチェーン実装で無くせる「不便・非効率」の代表例に「印章(以下、ハンコ)」があります。
日本では、契約を確定させるための手段としてハンコが用いられていますが、これには人手を介したりハンコ自体の管理を厳密にするなど高いコストがかかってしまいます。
最近で言えば、2020年に世界を震撼させたCOVID-19(新型コロナウィルス感染症)への対応として多くの企業でリモートワークが義務化あるいは推奨されたものの、これは「出社してハンコを紙に押さなければ契約が決まらない」という経済効率上の課題を浮き彫りにする結果となりました。
この問題を代替する手段として注目されているのが、スマートコントラクトです。
そもそもハンコは、「個人・官職・団体のしるしとして公私の文書に押して特有の痕跡を残すことにより、その責任や権威を証明する事に用いるもの(Wikipediaより引用)」で、契約の正当性を担保するために用いられます。
そのため、契約内容を改竄できないようにし、契約の執行も権限管理ができるブロックチェーンは、ハンコの代替手段としてふさわしい技術と言えます。
さらに、スマートコントラクトでは、一度契約を締結しておけばあとは放置しておいても問題がないためメンテナンスが不要であり、かつ強制執行力があるので、将来的には裁判結果が出たら自動で差し押さえなどもできる可能性があります。
このように、スマートコントラクトは、データの対改竄性・システムの非中央集権性といったブロックチェーンの根本思想をうまく社会実装する手段として働くことで、既存産業における不便や非効率を解消できると期待されているのです。
スマートコントラクトによってブロックチェーンをうまく社会実装した代表的な事例の一つが、DEX(Decentralized Exchange、分散型取引所)です。
DEXは、イーサリアムなど一部のブロックチェーンネットワーク上で展開される暗号資産(=仮想通貨)の取引所の一つで、ユーザー自身が資産管理を行う点に特徴があります。
企業が運営するCEX(Centralized Exchange、集中型取引所)が秘密鍵の管理を“Trusted Third Party”(信頼された第三者)へと委託するのに対して、DEXでは、プロトコルに従い自動化されたプロセスを通じてユーザー自身が秘密鍵の管理を行うため、クラッキングや人為的ミスによる秘密鍵の流出、倒産などの資産喪失リスクを回避することができます。
この「自動化されたプロセス」を実現している技術の一つがスマートコントラクトです。
P2PネットワークであるDEXでは、暗号資産を取引したい人同士が自身の秘密鍵とコントラクトアドレスを用いて直接取引することが可能で、決済までの取引プロセスが自動で行われます。
取引所としてはまだ歴史が浅くユーザー数が少ないためにアセットの流動性が低い、中央管理者がいないため自己責任が求められるといったデメリットもありますが、他方で、ブロックチェーンを利用することによるセキュリティの高さや管理コストの低下による手数料の安さなどのメリットが魅力的であるため、利用者も確実に増加傾向にあります。
これは、「分散性」というブロックチェーンの思想が、スマートコントラクトという機能によってうまく社会実装された好例と言えるでしょう。
なお、DEXには、「0x Protocol(ゼロエックスプロトコル)」「KyberNetwork」「Bancor Protocol」、そして最近注目を集めている「Uniswap(ユニスワップ)」といった複数のプロトコルが存在しており、それぞれがブロックチェーンを社会実装するためのミドルウェアとして機能しています。
スマートコントラクトの活用事例として注目を集めている領域が「投票」です。
投票は、有権者に議決権を分配し、それらが正しく行使される、つまりあらゆる改竄がなされないことを前提としています。
これは、「データの対改竄性」というブロックチェーンのセキュリティ特徴と見事にマッチしています。
ブロックチェーンを用いた投票システムでは、議決権をデジタルトークンとして発行し、スマートコントラクトによる集計を行うことで、第三者による票の改竄を防ぐことが可能になるのです。
日本国内では、2019年に、アステリア株式会社(旧:インフォテリア株式会社、本社:東京都品川区、代表取締役社長:平野洋一郎、東証一部:3853、以下 アステリア)が株主総会における議決権投票をブロックチェーン基盤上で行うことを発表しました。
アステリアは、「ブロックチェーン上のデジタルトークンを議決権として使用することで、より公正で透明性の高い投票システムの実現を証明」することを目的に、三菱UFJ信託銀行株式会社と共に投票システムを開発し、実際には次のようなフローでの投票を行いました。
投票は、短期間に大量の処理作業をミスなく行うことが求められるシステムです。
こうしたシステムを実装するにあたって、スマートコントラクトは、まさにうってつけの技術だと言えるでしょう。
スマートコントラクトを利用したブロックチェーンの社会実装の3つ目の事例が、国際貿易プラットフォームへの活用です。
IBM社の発表資料によると、国際貿易は、次のような業界課題を抱えています(下記、同資料より本文の一部を抜粋)。
こういった課題に対して、ブロックチェーン基盤上で国際貿易プラットフォームを展開し、スマートコントラクトによる取引のデジタル化・自動化を実現することで、従来の膨大な取引コストを大幅に削減することが期待されます。
こうしたスマートコントラクトによる取引コスト削減の最も有名な事例が、TradeLensです。
Trade Lensは、2016年9月から、IBMとコンテナ船世界最大手のマースクとの共同で検証を開始したブロックチェーン基盤の海上物流プラットフォームで、荷主・ターミナル・運送業者・船社・海上保険・通関業者など、海上物流に関係するあらゆる会社間でのデータベース共有を実現し、業界全体の非効率を解消しようという一大プロジェクトです。
TradeLensでは、「グローバル・サプライ・チェーンのデジタル化」を掲げ、オープンソースの権限型ブロックチェーンであるHyperledger Fabricを元にしたIBM Blockchain Platformを利用することで、関係各社すべてでの台帳共有を実現しようとしています。
こうした事例から、多数のステークホルダーが存在し、サプライチェーンが複雑化する国際貿易のようなシステムでは、ブロックチェーンのような安全かつコストの低い技術が良いソリューションとなりうることが理解できるでしょう。
近年、ブロックチェーン技術に関して「インターオペラビリティ」という言葉を目にする機会が増えてきました。ブロックチェーンが持つ現状の課題と、「インターオペラビリティ」によって何が実現するのかを解説していきます!
2009年にビットコインが運用開始されて以来、イーサリアム、イオスなど、様々なブロックチェーンプラットフォームが誕生しました。
それに伴い、暗号資産などの金融領域だけではなく、非金融領域においてもブロックチェーン技術が多方面で応用され始めています。
特に近年では、物流や貿易などサプライチェーン・マネージメントにおけるトレーサビリティシステムへの活用など、ブロックチェーンに関する実証実験や実装が急速に進んでいます。
👉参考記事:『ブロックチェーンのトレーサビリティへの応用〜食品・物流・偽造品対策〜』
出典:ferret
しかし、そうした形でブロックチェーン利用の可能性が広がる一方で、ブロックチェーン技術自体に関わる根本的な課題も浮かび上がってきています。それは、異なるブロックチェーン間のデータのやり取りが困難(相互運用性がない状態)であるということです。
本記事では、現状のブロックチェーンの相互運用性に関する課題を明らかにした上で、その解決策となりうる「インターオペラビリティ(=相互運用性)」技術について解説します。
ブロックチェーン(blockchain)は、2008年にサトシ・ナカモトによって提唱された「ビットコイン」(仮想通貨ネットワーク)の中核技術として誕生しました。
ビットコインには、P2P(Peer to Peer)通信、Hash関数、公開鍵暗号方式など新旧様々な技術が利用されており、それらを繋ぐプラットフォームとしての役割を果たしているのがブロックチェーンです。
ブロックチェーンの定義には様々なものがありますが、ここでは、「取引データを適切に記録するための形式やルール。また、保存されたデータの集積(≒データベース)」として理解していただくと良いでしょう。
一般に、取引データを集積・保管し、必要に応じて取り出せるようなシステムのことを一般に「データベース」と言いますが、「分散型台帳」とも訳されるブロックチェーンはデータベースの一種であり、その中でも特に、データ管理手法に関する新しい形式やルールをもった技術です。
ブロックチェーンは、セキュリティ能力の高さ、システム運用コストの安さ、非中央集権的な性質といった特長から、「第二のインターネット」とも呼ばれており、近年、フィンテックのみならず、あらゆるビジネスへの応用が期待されています。
ブロックチェーンの主な特長やメリットは、①非中央集権性、②データの対改竄(かいざん)性、③システム利用コストの安さ、④ビザンチン耐性(欠陥のあるコンピュータがネットワーク上に一定数存在していてもシステム全体が正常に動き続ける)の4点です。
これらの特長・メリットは、ブロックチェーンが従来のデータベースデータとは異なり、システムの中央管理者を必要としないデータベースであることから生まれています。
ブロックチェーンと従来のデータベースの主な違いは次の通りです。
従来のデータベースの特徴 | ブロックチェーンの特徴 | |
構造 | 各主体がバラバラな構造のDBを持つ | 各主体が共通の構造のデータを参照する |
DB | それぞれのDBは独立して存在する | それぞれのストレージは物理的に独立だが、Peer to Peerネットワークを介して同期されている |
データ共有 | 相互のデータを参照するには新規開発が必要 | 共通のデータを持つので、相互のデータを参照するのに新規開発は不要 |
ブロックチェーンは、後に説明する特殊な仕組みによって、「非中央集権、分散型」という特徴を獲得したことで、様々な領域で注目・活用されているのです。
👉参考記事:『ブロックチェーン(blockchain)とは?仕組みや基礎知識をわかりやすく解説!』
ブロックチェーン技術には、ビットコインやイーサリアムなど複数の種類の基盤があります。同じ種類のブロックチェーン間のデータのやりとり、例えばイーサリアムのウォレット(仮想通貨取引を行うための口座)から別のイーサリアムウォレットに対しては、手軽に送金をすることができます。
しかし、イーサリアムをビットコインのウォレットに送ることはできません。なぜなら、各ブロックチェーンネットワークは異なるルール・仕様に基づいており、それぞれに互換性がない状態となっているからです。そのため、ビットコインをイーサリアムに変換しようとすると、取引所で取引する必要がありました。
「互換性がない」とは、どういう状態を指すのでしょうか?
例えば、私たちが日常で利用している銀行では、異なる銀行間でのサービスの互換性が担保されています。
具体的には、私たちは三井住友銀行の口座から三菱UFJの口座へと送金できる、といった具合です。
しかし、こうした互換性がなくり、三井住友銀行に預けたお金は三井住友銀行内でしか使えない、となると大変不便です。
これと近しいことがブロックチェーン間の課題として挙げられているのです。
この「互換性の無さ」がブロックチェーン技術発展の妨げとならぬよう、異なるブロックチェーン同士を繋ぐことができるようにする仕組みが研究・開発されています。
それが「インターオペラビリティ」と呼ばれる技術です。
インターオペラビリティは日本語で”相互運用性”と訳されます。
ブロックチェーン関連の文脈では、ビットコインやイーサリアムなど、”無数の様々なブロックチェーン同士を相互に運用可能とするための技術”のことを指します。
インターオペラビリティによってシステム同士が連携できるようになると、異なるブロックチェーン同士でも送金やデータのやり取り、コミュニケーションが可能となります。例えば、イーサリアムをビットコインのウォレットに送ることができるのです。
ユーザー側からはシステム特性に依存しないシームレスな取引や処理が実行され、不必要な手間や不自由さのない世界が実現可能となります。
非常に革新的な技術であり、ブロックチェーンが社会へより普及するためには必須の技術であると言えるでしょう。
2021年5月現在、様々なプロジェクトがこうした異なるチェーン間における価値の移動、コミュニケーション手段の確立・実現に向けて開発を行っています。
こうしたプロジェクトの中でも特に期待を集めているのがポルカドット(Polkadot)です。
ポルカドット(Polkadot)は、イーサリアムの共同創業者であるGavin Woodらによって2016年に立ち上げられました。ブロックチェーン技術によって実現する分散型ネットワーク=「Web3.0」を実現するプロジェクトとして位置づけられます。
以下がWeb1.0〜3.0の推移のイメージです。
「Web3.0」実現の基盤となる技術としてブロックチェーンは位置づけられています。そして、ブロックチェーンが基盤として正しく機能するために、インターオペラビリティの課題解決に向けての研究開発が続けられています。
本ページでは、ブロックチェーン同士を接続する新たな技術=「インターオペラビリティ」について解説してきました。
これまでのブロックチェーンを活用したシステムは、目的に応じて個別最適で作られてきました。インターオペラビリティ技術によってこれら個々のシステムをつなげることで、ブロックチェーンは新たな社会インフラ技術になる可能性も持っています。
今後、ブロックチェーン間を接続するインターオペラビリティ技術の重要性がさらに増してくることでしょう。
スマートコントラクトとは、1994年にニック・スザボが提唱した「契約の自動化」を意味するプロトコルです。取引プロセスのデジタル化・自動化による取引コスト削減を可能にし、ブロックチェーンの社会実装に一役買っています。事例と共に詳しく解説します!
スマートコントラクトは、1994年にNick Szabo(ニック・スザボ)という法学者・暗号学者によって提唱され、Vitalik Buterin(ヴィタリック・ブリテン)がEthereum基盤上で開発・提供し始めたコンピュータプロトコルです。
「契約(コントラクト)の自動化」を意味するスマートコントラクトは、事前定義から決済に至るまで、一連の契約のスムーズな検証、執行、実行、交渉を狙いとしています。
スマートコントラクトの仕組みは、提唱者のNick Szaboが引き合いに出した「自動販売機」の例で説明されることが一般的です。
自動販売機は、その名の通り、人の手を介さずに自動で飲料を販売する機械であり、①指定された金額分の貨幣の投入、②購入したい飲料のボタンの押下、という2つの条件が満たされることで自動的に「販売契約」が実行されます。
自動販売機自体はとてもシンプルな仕組みですが、「契約の事前定義→条件入力→履行→決済」という一連の流れを全て自動化しているという点でスマートコントラクトの好例と言えるでしょう。
なお、スマートコントラクトのブロックチェーン上での呼称は基盤によって異なります。
例えば、Etheruemであればそのまま「スマートコントラクト」と呼ばれていますが、HLF(Hyperledger Fabric)では「ChainCode」と呼ばれています。
それぞれ名称は異なるものの、同じくブロックチェーン基盤上でのスマートコントラクトサービスを指している点に注意してください。
Nick Szaboが提唱したプロトコルがVitalik ButerinによってEtheruemに組み込まれたのは決して偶然ではありません。
スマートコントラクトとブロックチェーンは、その根底に、共通する思想をもっており、後に見るように、スマートコントラクトはブロックチェーンの思想を社会実装する手段としてうまく機能するからです。
両者の思想は、DAO(Decentralized Autonomous Organization、ダオ、自立分散型組織)という概念を中心に理解することができます。
DAOとは、中央の管理者をもたないネットワーク型組織のことで、個々に自立したネットワーク参加者が自由にふるまう中で、組織全体としての判断や意思決定、実行が自動的になされていくような組織形態です。
ブロックチェーン誕生のきっかけとなったビットコインはDAOの典型例だと言われており、PoWと呼ばれる事前の意思決定ルール(「コンセンサスアルゴリズム」)をもとに、ノードと呼ばれる参加者各々の利害関係に基づいた「分散的な」ネットワーク運営がなされています。
Vitalik Buterinは、まさにこのブロックチェーンがもつ「分散性」に注目して、その恩恵を金融領域以外にも押し広げるべく、自由なアプリケーションの開発基盤としてのEtheruemをつくり、その基盤上での「個々に自立して分散した」取引を可能にする機能として、スマートコントラクトのプロトコルを採用したのです。
このように、スマートコントラクトは同じ思想をもった技術であるブロックチェーンとの相性が良く、EtheruemやHyperledgerといったブロックチェーン基盤上で開発・展開されたアプリケーションにスマートコントラクトの機能を組み込むことで、管理者や実行者を介することなく、データ改竄のリスクを下げる形での契約履行が可能になると期待されています。
そして、自動販売機にもみられるように、スマートコントラクトは取引プロセスを自動化できることから、実際に、決済期間の短縮や不正防止、仲介者排除によるコスト削減といった目的で用いられています。
こうしたスマートコントラクトとブロックチェーンの切っても切れない関係を語る上で、DAOという思想への理解を外すことはできないでしょう。
ブロックチェーンは、2008年にサトシ・ナカモトと呼ばれる謎の人物によって提唱された「ビットコイン」(暗号資産システム)の中核技術として誕生しました。
ブロックチェーンの定義には様々なものがありますが、ここでは、「取引データを適切に記録するための形式やルール。また、保存されたデータの集積(≒データベース)」として理解していただくと良いでしょう。
一般に、取引データを集積・保管し、必要に応じて取り出せるようなシステムのことを一般に「データベース」と言いますが、ブロックチェーンはデータベースの一種であり、その中でも特に、データ管理手法に関する新しい形式やルールをもった技術です。
「分散型台帳」とも訳されるブロックチェーンは、中央管理を前提としている従来のデータベースとは異なり、常に同期されており中央を介在せずデータが共有できるので参加者の立場がフラット(=非中央集権、分散型)という特徴を備えています。
従来のデータベースの特徴
ブロックチェーンの特徴
こうしたブロックチェーンの「非中央集権性」の恩恵としては、
ということが挙げられます。
まさにこの「非中央集権、分散型」という特徴こそ、ブロックチェーンが様々な領域で注目・活用されている理由だと言えるでしょう。
👉参考記事:『ブロックチェーン(blockchain)とは?仕組みや基礎知識をわかりやすく解説!』
ブロックチェーンは、「AI」「IoT」と並ぶ、DX(デジタルトランスフォーメーション)分野で期待される有望技術の一つです。
DXとは、「情報テクノロジーの力を用いて既存産業の仕組みや構造を変革すること、あるいはその手段」のことで、大きくは産業全体のバリューチェーンやサプライチェーンにおけるイノベーション、小さくは開発企業におけるエンジニアの就労環境改善や社内コミュニケーションツールの変更といった自社の変革など、仕事だけでなく、私たちの生活全体を大きく変える可能性として期待されています。
つまり、「ブロックチェーンを社会実装する」ことで、世の中の不便や非効率を無くしていくことができるのです。
実際に、ブロックチェーンは既に様々な既存産業でビジネス化されており、2020年度の世界ブロックチェーン市場規模は30億米ドルにものぼると言われています。
例えば、IBM社とMaersk社の協働による物流プラットフォーム、中国における医療用品寄付向けポータル、国連による難民・ホームレス等向けIDサービスなど、その実装対象は非常に幅広いのが特徴です。
他方、国内でも、数年前からブロックチェーンの社会実装に対する注目が集まっています。
実際に、経済産業省が平成27年度に発表したブロックチェーンに関する調査資料では、ブロックチェーンは将来的に、国内67兆円の市場に影響を与えると予想されています。
出展:平成27年度 我が国経済社会の 情報化・サービス化に係る基盤整備 (ブロックチェーン技術を利⽤したサービスに 関する国内外動向調査) 報告書概要資料
経済産業省によると、ブロックチェーンは、具体的に大きく5つのテーマで、社会変革・ビジネスへの応用が進むとされています。
上記、経済産業省が示した5つの社会実装アプローチの中で、20兆円規模の経済効果をもたらすと予測されているのが「プロセス・取引の全自動化・効率化の実現」です。
これは、「契約条件、履行内容、将来発生するプロセス等をブロックチェーン上に記載」する、つまりスマートコントラクトを利用したブロックチェーンの実装による社会変革を意味しています。
つまり、世の中の不便や非効率を無くしていくためのブロックチェーン、その実装手段が契約の自動的な執行を行う仕組みであるスマートコントラクトなのです。
例えば、スマートコントラクトを利用したブロックチェーン実装で無くせる「不便・非効率」の代表例に「印章(以下、ハンコ)」があります。
日本では、契約を確定させるための手段としてハンコが用いられていますが、これには人手を介したりハンコ自体の管理を厳密にするなど高いコストがかかってしまいます。
最近で言えば、2020年に世界を震撼させたCOVID-19(新型コロナウィルス感染症)への対応として多くの企業でリモートワークが義務化あるいは推奨されたものの、これは「出社してハンコを紙に押さなければ契約が決まらない」という経済効率上の課題を浮き彫りにする結果となりました。
この問題を代替する手段として注目されているのが、スマートコントラクトです。
そもそもハンコは、「個人・官職・団体のしるしとして公私の文書に押して特有の痕跡を残すことにより、その責任や権威を証明する事に用いるもの(Wikipediaより引用)」で、契約の正当性を担保するために用いられます。
そのため、契約内容を改竄できないようにし、契約の執行も権限管理ができるブロックチェーンは、ハンコの代替手段としてふさわしい技術と言えます。
さらに、スマートコントラクトでは、一度契約を締結しておけばあとは放置しておいても問題がないためメンテナンスが不要であり、かつ強制執行力があるので、将来的には裁判結果が出たら自動で差し押さえなどもできる可能性があります。
このように、スマートコントラクトは、データの対改竄性・システムの非中央集権性といったブロックチェーンの根本思想をうまく社会実装する手段として働くことで、既存産業における不便や非効率を解消できると期待されているのです。
スマートコントラクトによってブロックチェーンをうまく社会実装した代表的な事例の一つが、DEX(Decentralized Exchange、分散型取引所)です。
DEXは、イーサリアムなど一部のブロックチェーンネットワーク上で展開される暗号資産(=仮想通貨)の取引所の一つで、ユーザー自身が資産管理を行う点に特徴があります。
企業が運営するCEX(Centralized Exchange、集中型取引所)が秘密鍵の管理を“Trusted Third Party”(信頼された第三者)へと委託するのに対して、DEXでは、プロトコルに従い自動化されたプロセスを通じてユーザー自身が秘密鍵の管理を行うため、クラッキングや人為的ミスによる秘密鍵の流出、倒産などの資産喪失リスクを回避することができます。
この「自動化されたプロセス」を実現している技術の一つがスマートコントラクトです。
P2PネットワークであるDEXでは、暗号資産を取引したい人同士が自身の秘密鍵とコントラクトアドレスを用いて直接取引することが可能で、決済までの取引プロセスが自動で行われます。
取引所としてはまだ歴史が浅くユーザー数が少ないためにアセットの流動性が低い、中央管理者がいないため自己責任が求められるといったデメリットもありますが、他方で、ブロックチェーンを利用することによるセキュリティの高さや管理コストの低下による手数料の安さなどのメリットが魅力的であるため、利用者も確実に増加傾向にあります。
これは、「分散性」というブロックチェーンの思想が、スマートコントラクトという機能によってうまく社会実装された好例と言えるでしょう。
なお、DEXには、「0x Protocol(ゼロエックスプロトコル)」「KyberNetwork」「Bancor Protocol」、そして最近注目を集めている「Uniswap(ユニスワップ)」といった複数のプロトコルが存在しており、それぞれがブロックチェーンを社会実装するためのミドルウェアとして機能しています。
スマートコントラクトの活用事例として注目を集めている領域が「投票」です。
投票は、有権者に議決権を分配し、それらが正しく行使される、つまりあらゆる改竄がなされないことを前提としています。
これは、「データの対改竄性」というブロックチェーンのセキュリティ特徴と見事にマッチしています。
ブロックチェーンを用いた投票システムでは、議決権をデジタルトークンとして発行し、スマートコントラクトによる集計を行うことで、第三者による票の改竄を防ぐことが可能になるのです。
日本国内では、2019年に、アステリア株式会社(旧:インフォテリア株式会社、本社:東京都品川区、代表取締役社長:平野洋一郎、東証一部:3853、以下 アステリア)が株主総会における議決権投票をブロックチェーン基盤上で行うことを発表しました。
アステリアは、「ブロックチェーン上のデジタルトークンを議決権として使用することで、より公正で透明性の高い投票システムの実現を証明」することを目的に、三菱UFJ信託銀行株式会社と共に投票システムを開発し、実際には次のようなフローでの投票を行いました。
投票は、短期間に大量の処理作業をミスなく行うことが求められるシステムです。
こうしたシステムを実装するにあたって、スマートコントラクトは、まさにうってつけの技術だと言えるでしょう。
スマートコントラクトを利用したブロックチェーンの社会実装の3つ目の事例が、国際貿易プラットフォームへの活用です。
IBM社の発表資料によると、国際貿易は、次のような業界課題を抱えています(下記、同資料より本文の一部を抜粋)。
こういった課題に対して、ブロックチェーン基盤上で国際貿易プラットフォームを展開し、スマートコントラクトによる取引のデジタル化・自動化を実現することで、従来の膨大な取引コストを大幅に削減することが期待されます。
こうしたスマートコントラクトによる取引コスト削減の最も有名な事例が、TradeLensです。
Trade Lensは、2016年9月から、IBMとコンテナ船世界最大手のマースクとの共同で検証を開始したブロックチェーン基盤の海上物流プラットフォームで、荷主・ターミナル・運送業者・船社・海上保険・通関業者など、海上物流に関係するあらゆる会社間でのデータベース共有を実現し、業界全体の非効率を解消しようという一大プロジェクトです。
TradeLensでは、「グローバル・サプライ・チェーンのデジタル化」を掲げ、オープンソースの権限型ブロックチェーンであるHyperledger Fabricを元にしたIBM Blockchain Platformを利用することで、関係各社すべてでの台帳共有を実現しようとしています。
こうした事例から、多数のステークホルダーが存在し、サプライチェーンが複雑化する国際貿易のようなシステムでは、ブロックチェーンのような安全かつコストの低い技術が良いソリューションとなりうることが理解できるでしょう。
DXの有望技術として期待されるブロックチェーン。分散型台帳とも呼ばれるこの技術が普及するためには克服すべき3つの課題、スケーラビリティ・ファイナリティ・セキュリティがあります。本記事では、3つの課題の概要と解決策を解説します。
なお、ブロックチェーンの過去、現在、今後について、概念の全体像を学びたい方は、次の記事も併せてご覧ください。
→ 参考記事:『ブロックチェーン(blockchain)とは?仕組みや基礎知識をわかりやすく解説!』
ブロックチェーンは、「AI」「IoT」と並んで、DX(デジタルトランスフォーメーション)分野で期待される有望技術の一つです。
DXとは、「情報テクノロジーの力を用いて既存産業の仕組みや構造を変革すること、あるいはその手段」のことで、大きくは産業全体のバリューチェーンやサプライチェーンにおけるイノベーション、小さくは開発企業におけるエンジニアの就労環境改善や社内コミュニケーションツールの変更といった自社の変革など、仕事だけでなく、私たちの生活全体を大きく変える可能性として期待されています。
その中でも特に、ブロックチェーンは、既存技術では解決できなかった課題を乗り越える新しい手段として、ビジネスのみならず、官公庁の取り組みにおいても広く注目を集めています。
その背景として、もともとはFintech(フィンテック、金融領域におけるDX)の一分野である仮想通貨(または暗号通貨)の実現を可能にした一要素技術、つまりビットコインを支えるだけの存在に過ぎなかったブロックチェーンが、近年、金融領域にとどまらず、あらゆる既存産業・ビジネスで応用できる可能性を秘めた技術であることが明らかになってきました。
ブロックチェーンは、2008年にサトシ・ナカモトと呼ばれる謎の人物によって提唱された「ビットコイン」(暗号資産システム)の中核技術として誕生しました。
ブロックチェーンの定義には様々なものがありますが、ここでは、「取引データを適切に記録するための形式やルール。また、保存されたデータの集積(≒データベース)」として理解していただくと良いでしょう。
一般に、取引データを集積・保管し、必要に応じて取り出せるようなシステムのことを一般に「データベース」と言いますが、ブロックチェーンはデータベースの一種であり、その中でも特に、データ管理手法に関する新しい形式やルールをもった技術です。
「分散型台帳」とも訳されるブロックチェーンは、中央管理を前提としている従来のデータベースとは異なり、常に同期されており中央を介在せずデータが共有できるので参加者の立場がフラット(=非中央集権、分散型)という特徴を備えています。
従来のデータベースの特徴
ブロックチェーンの特徴
こうしたブロックチェーンの「非中央集権性」の恩恵としては、
ということが挙げられます。
まさにこの「非中央集権、分散型」という特徴こそ、ブロックチェーンが様々な領域で注目・活用されている理由だと言えるでしょう。
ブロックチェーンの課題の一つ目は、「スケーラビリティ」です。
スケーラビリティとは、「トランザクションの処理量の拡張性」、つまり、どれだけ多くの取引記録を同時に処理できるかの限界値のことを指します。
ブロックチェーンは、その仕組み上、従来のデータベースよりもスケーラビリティが低くならざるを得ないという課題を抱えています。
ブロックチェーンの仕組みでは、ビットコインやイーサリアム、リップルといった各ネットワークごとに予め定められた「コンセンサスアルゴリズム」と呼ばれる合意形成のルールに基づいて、一定量のトランザクション群をブロック化することで取引記録を保存しています。
したがって、ある単位時間にどの程度の量のトランザクションをブロック化、つまり処理できるかは、コンセンサスアルゴリズムに依存することになります。
例えば、ビットコインでは「PoW(Proof of Work、プルーフオブワーク)」というコンセンサスアルゴリズムとして採用しています。
これは、ネットワーク参加者(=「ノード」)に、自身のコンピュータのマシンパワーを利用したある計算に成功することを、ブロック生成の条件とするルールです。
そのため、ビットコインネットワークにおけるスケーラビリティ、つまりトランザクションの処理量は、ノードのマシンパワーに依存することになります。
ここで問題になるのは、ノードが増えれば増えるほど、オンタイムで同時処理しなければならないトランザクションの量が増えてしまい、計算が追いつかないことによって、業務遂行に必要なトランザクションの処理速度が十分に担保されなくなるリスクが増すことです。
一般に、スケーラビリティは「tps(transaction per second、1秒あたりのトランザクション処理量)」で定義することができますが、実際に、代表的なブロックチェーンネットワークは、次のように不十分なスケーラビリティだと言われています。
このように、ブロックチェーンは、オープンで分散的なデータベースとして期待を集めている一方で、ネットワーク参加者が増えるとスケーラビリティが担保できなくなるという課題を抱えています。
スケーラビリティの課題に対する現状の解決策として、金融領域において、「ライトニングネットワーク(Lightning Network)」という新しい概念に注目が集まっています。
ライトニングネットワーク(英: Lightning Network)とは、少額決済(「マイクロペイメント」)等の小規模かつ多数回行われる取引の処理をブロックチェーン外で行い(「オフチェーン取引」)、最初と最後の取引だけをビットコインのブロックチェーンにブロードキャストして確定させる、ビットコインネットワークの新しい手法です。
高速決済技術であるライトニングネットワークでは、二者間でオフチェーン取引を行うペイメントチャネルという仕組みが利用されています。
ペイメントチャネルは、複数の秘密鍵でビットコインを管理するマルチシグという技術を背景にオフチェーン取引が可能になるため、ペイメントチャネルを利用した複数回の取引はブロックチェーン上に記録されることがありません。
こうしたライトニングネットワークの考え方を用いることで、トランザクションの処理速度が向上するだけでなく、従来、マイクロペイメント等で発生するはずだった多額の取引手数料がかからなくなるというメリットがあります。
ライトニングネットワークの実例として挙げられるのが、株式会社三菱UFJフィナンシャル・グループ(以下、MUFG)と米Akamai Technologies, Inc.(以下、Akamai)が2019年4月19日に設立した合弁会社、Global Open Network Japan株式会社(以下、GO-NET Japan)による、日本国内でオープンなペイメントネットワークサービス「GO-NET」です。
GO-NETは、決済処理速度が2秒以内、毎秒100万件超の取引を可能とする新型ブロックチェーン技術を基盤とするサービスで、これまでブロックチェーンが抱えていたスケーラビリティという課題を、ライトニングネットワークによる高速決済によって克服する新しい試みとして注目を集めています。
ブロックチェーン、特にその代表格であるビットコインの課題として知られるのが、「ファイナリティ(finality)」の問題です。
ファイナリティは決済にまつわる概念で、日本銀行によって、次のように説明されています(下記二文は公式サイトより引用、ただし一文目の丸括弧内と太字は筆者が追記)。
ビットコインの仕組みでは、このファイナリティを十分に担保できないとして、特に金融領域における活用が懸念視されることがあります。
上記「スケーラビリティ」の項目でも触れたように、ビットコインではPoWと呼ばれる、ノード(ネットワーク参加者)のマシンパワーを利用した計算競争によって取引記録のブロック化についての合意形成をはかる仕組み(コンセンサスアルゴリズム)が採用されていますが、実は、このPoWがファイナリティの担保を邪魔しているのです。
そもそも、PoWは、次のような仕組みです。
ここで、ある問題が起こります。
ポイントは、複数のノードが同時多発的にブロック生成を行う点です。
PoWでは、複数のノードによる計算競争の結果を一旦すべて正規のブロックとして認めてしまうことになります。
そのため、ある一時点で、ネットワーク内には、複数のノードがつくった異なる複数のブロックが同時に存在することになり、さらにそれらの異なるブロックの中には、同じトランザクションが入っていたりするわけです。
そうすると、ある取引記録が正しいかどうかを確認するにあたり、複数の異なるブロックのうち、どのブロックが正しいものとして参照すべきかという問題が発生してしまいます。
これが、ビットコインにおける「フォーク」(チェーンの分岐のこと)と呼ばれる問題です。
さて、ブロックチェーンの課題に立ち返ってみると、このフォークの可能性が、ビットコイン決済におけるファイナリティの担保を邪魔していることがみえてきます。
PoWを原理として採用するビットコインでは、常に同時多発的に複数のブロックが生成され、その度ごとにチェーンの分岐(フォーク)が発生する可能性があるため、取引内容が覆る可能性を完全にゼロとすることができず、ファイナリティを担保することができないのです。
実は、ビットコインではチェーンの分岐が問題にならないように、PoWを補完するもう一つのコンセンサスアルゴリズムである、「ナカモト・コンセンサス」を採用しています。
ナカモト・コンセンサスは、複数のブロックが同時生成された場合、ブロックの集積が最も多い(つまり長い)チェーンに含まれるブロックを正規のものとみなすという考え方です。
一見、この考え方によって、ファイナリティが担保されなくもなさそうではあります。
しかし、残念ながら事態はそう簡単ではありません。
ナカモト・コンセンサスはあくまで合意形成に至る考え方の一つであって、実際には、例えば運営側による仕様の変更など大きく賛否の分かれる問題が生じた時、全員での合意形成には至らず、複数の異なるチェーンを正統とみなす派閥に分派してしまうことがあります(ちなみに、こうした運営側による仕様変更等でチェーンがはっきりと分派してしまうことを「ハード・フォーク」と呼びます)。
また、実際にこうした状況には至らなかったとしても、PoWでは、常にこうした分岐を発生させてしまうリスクを抱えているとも言えてしまいます。
そういった意味で、PoWを採用しているビットコインにおいて、「信用」を扱う決済領域で最も重視されるファイナリティを担保することは原理的に困難なのです。
実は、このファイナリティの問題は、ビットコインに限った課題ではなく、イーサリアムなど他のブロックチェーンネットワークでも同様に抱えている課題です。
しかし、全てのブロックチェーンでファイナリティの問題が生じるわけではありません。
ファイナリティの担保が難しいのは、PoWやPoSといった不特定多数の参加者での合意形成に至るためのコンセンサスアルゴリズムを採用しているネットワーク、つまり、「パブリックブロックチェーン」に限った話です。
そのため、ファイナリティを必ず担保する必要のある金融機関では、「コンソーシアム型」や「プライベート型」と呼ばれる参加者を限定したブロックチェーンネットワークを採用することで、この問題に対応するケースがあります。
実例としては、前述した「スケーラビリティ」の解決策として注目を集めるGO-NETがその最たるものです。
GO-NETは、ライトニングネットワークによる高速決済を可能にした次世代型ブロックチェーン基盤とも呼べるサービスですが、この技術的背景には、共同設立企業であるAkamai社の有する世界135か国、4000か所、24万台のサーバーで構成される高速なエッジコンピューティングがあります。
ビットコインやイーサリアムでは、不特定の参加者をサーバーと見立てたオープンなネットワークにマシンパワーの源泉が認められますが、GO-NETではその代わりに、Akamaiの持つ大量の自前サーバーを利用しています。
つまり、前者はパブリックなブロックチェーンネットワークで、後者はプライベートなブロックチェーンネットワークなのです。
GO-NETは、自社でのプライベートなプラットフォームをつくることで、前述したスケーラビリティ課題への対応だけでなく、同時にファイナリティの問題にも対応している好例だと言えるでしょう。
ブロックチェーンが原理的に抱える課題の3つ目が、「セキュリティ」の問題です。
こう言うと、驚かれる方も少なくないかもしれません。
というのも、ブロックチェーンの大きな特徴の一つに、「データの対改竄性が高い」ということが挙げられます。
これは、トランザクションと呼ばれる個々のデータの塊のそれぞれに鍵がかけられている(公開鍵暗号方式)ことに加え、トランザクションの塊であるブロックの生成時にもコンセンサスアルゴリズムと呼ばれる合意形成のルールが適用されることで、データを書き換えることのハードルが非常に高くなっていることを意味しています。
こうした背景から、「ブロックチェーン=セキュリティを高める技術」であると考えている方も少なくありません。
しかし、残念ながら、ブロックチェーンはセキュリティの万能薬というわけではないのです。
ブロックチェーンは「強いAI」というわけではなく、あくまで人間が稼働させる一つのシステムです。
そのため、ブロックチェーンが社会実装される過程のヒューマンエラーによって(コーディングのバグ等)、あるいは組織的な恣意性によって(51%問題等)、理論が適切に効果を発揮しないことでセキュリティが脅かされることも十分にありえます。
こうした事情からブロックチェーン、とりわけビットコインにつきまとうセキュリティ課題として、次の2つの問題が存在しています。
51%問題とは、「ある特定のノード(ネットワークの参加者)が、ネットワーク内のマシンパワーの総量を超えるパワーでマイニングを行うと、そのノードの恣意性にネットワーク全体が左右される」という問題のことで、平たく言えば、「ネットワークの乗っ取り(牛耳り)」問題といったところでしょうか。
先ほど説明したように、ビットコインではPoWおよびナカモト・コンセンサスと呼ばれるコンセンサスアルゴリズムのもと、複数のノードによる計算競争の結果、最も長いチェーンに含まれたブロックを正統なデータとしてみなす、という仕組みがとられています。
そして、この計算のスピードは、計算を行うノードのマシンパワーに依存しています。
そのため、この仕組みを逆手にとると、他のどのノードよりも強いマシンパワーを手に入れ、その結果、他のどのノードよりも速いスピードで計算を行うことができれば、そのノードは自分にとって有利な、恣意的な取引記録を正統にすることができます。
これが、51%問題と呼ばれるセキュリティ上の課題です。
もう一つのセキュリティ課題が、秘密鍵流出問題です。
これは、いわゆる「なりすまし」攻撃で、各ノードが保有するアカウントに付与された「秘密鍵」を盗まれることで起こります。
ブロックチェーンの仕組みでは、前述した「ブロック化」の過程でトランザクションがプールから取り出される際に、「秘密鍵暗号方式」と呼ばれる方法でトランザクションへの「署名(秘密鍵で暗号化する)」が行われることで、トランザクション自体のセキュリティが担保されています。
通常、この秘密鍵は、各アカウントごとに一つだけ付与されるもので、この鍵を使うことでアカウントに紐づいた様々な権限を利用することができます。
そのため、この鍵自体が盗まれてしまうと、個人アカウント内の権限を第三者が悪用できてしまうことになります。
これが、秘密鍵流出問題です。
51%問題と秘密鍵流出問題は、それぞれに、解決策が異なります。
順に、説明します。
51%問題の対策方針は、「コンセンサスアルゴリズムを変更すること」です。
先ほど説明したように、51%問題は原理的なセキュリティリスクであり、PoWおよびナカモト・コンセンサスが合意形成のルールである以上、完全な対策は不可能です。
もちろん、ネットワークの規模が大きくなればなるほど、ネットワーク総量の過半数をとるマシンパワーを用意することは難しくなっていくので、51%問題を利用した攻撃のハードルも上がってはいきます。
しかし、あくまで難易度が上がるだけの話であるため、リスクがなくなるわけではありません。
また、ビットコインと同じコンセンサスアルゴリズムを採用した新しいネットワークは、51%攻撃の高い危険性にさらされることになります。
したがって、51%問題のリスクをなくすためには、ルールそのものを変更する必要があるのです。
これは、ビットコイン以外のブロックチェーンネットワークにおいて実際に行われていることで、例えば、イーサリアムで採用されている「PoS(Proof of Stake)」は、51%攻撃のリスクを限りなく低くすることを目的に定められてルールと言われています。
PoSは、「ネイティブ通貨の保有量に比例して、新たにブロックを生成・承認する権利を得ることができるようになる仕組み」であるため、あるノードが51%攻撃を行うためには、ネットワーク全体の過半数のコインを獲得しなければならず、これは過半数のマシンパワーを一時的に利用することと比べて、はるかに難易度が上がります。
また、コンセンサスアルゴリズムだけではなく、ネットワーク参加者自体を許可制にすることも、51%問題に対する一つの対策方法です。
先述した「コンソーシアム型」と呼ばれるブロックチェーンネットワークでは、「PoA(Proof of Autority)」というコンセンサスアルゴリズムのもと、閉じられたネットワーク内で一部のノードに合意形成の権限を与えるという形をとっています。
秘密鍵流出問題への対応策の一つとされているのが、「マルチシグ(マルチシグネチャーの略)」です。
トランザクションの署名に複数の秘密鍵を必要とする技術のことで、マルチシグを利用する際には、例えば企業の役員陣で鍵を一つずつ持ち合うなどの対応がとられます。
マルチシグは、秘密鍵流出問題へのリスクヘッジ方法であると同時に、 一つの秘密鍵で署名を行う通常のシングルシグに比べてセキュリティレベルも高くなることから、取引所やマルチシグウォレットなどで採用されています。
ただし、上述のコインチェック事件のように、個人レベルでマルチシグを利用していたとしても、取引所そのもののセキュリティが破られてしまった場合には被害を食い止めることはできません。
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