ブロックチェーン×ゲーム 〜ブロックチェーンが生み出す新たな体験〜

近年、ゲームにブロックチェーンを組み込み、新たな体験や価値を提供する動きが強まってきています。ゲーム内にブロックチェーン技術を取り入れると、具体的にどのような変化が起こるのでしょうか。これまでのゲームと”ブロックチェーンゲーム”の違いを、いくつかの事例を交えてご紹介します。

新たな体験を生み出す”ブロックチェーンゲーム”

そもそもブロックチェーンとは?

ブロックチェーンは新しいデータベース(分散型台帳)

ブロックチェーン(blockchain)は、2008年にサトシ・ナカモトによって提唱された「ビットコイン」(仮想通貨ネットワーク)の中核技術として誕生しました。

ビットコインには、P2P(Peer to Peer)通信、Hash関数、公開鍵暗号方式など新旧様々な技術が利用されており、それらを繋ぐプラットフォームとしての役割を果たしているのがブロックチェーンです。

ブロックチェーンの定義には様々なものがありますが、ここでは、「取引データを適切に記録するための形式やルール。また、保存されたデータの集積(≒データベース)」として理解していただくと良いでしょう。

一般に、取引データを集積・保管し、必要に応じて取り出せるようなシステムのことを一般に「データベース」と言いますが、「分散型台帳」とも訳されるブロックチェーンはデータベースの一種であり、その中でも特に、データ管理手法に関する新しい形式やルールをもった技術です。

ブロックチェーンは、セキュリティ能力の高さ、システム運用コストの安さ、非中央集権的な性質といった特長から、「第二のインターネット」とも呼ばれており、近年、フィンテックのみならず、あらゆるビジネスへの応用が期待されています。

ブロックチェーンの特長・メリット(従来のデータベースとの違い)

ブロックチェーンの主な特長やメリットは、①非中央集権性、②データの対改竄(かいざん)性、③システム利用コストの安さ④ビザンチン耐性(欠陥のあるコンピュータがネットワーク上に一定数存在していてもシステム全体が正常に動き続ける)の4点です。

これらの特長・メリットは、ブロックチェーンが従来のデータベースデータとは異なり、システムの中央管理者を必要としないデータベースであることから生まれています。

分散台帳とは.jpg

ブロックチェーンと従来のデータベースの主な違いは次の通りです。

従来のデータベースの特徴 ブロックチェーンの特徴
構造 各主体がバラバラな構造のDBを持つ 各主体が共通の構造のデータを参照する
DB それぞれのDBは独立して存在する それぞれのストレージは物理的に独立だが、Peer to Peerネットワークを介して同期されている
データ共有 相互のデータを参照するには新規開発が必要 共通のデータを持つので、相互のデータを参照するのに新規開発は不要

ブロックチェーンは、後に説明する特殊な仕組みによって、「非中央集権、分散型」という特徴を獲得したことで、様々な領域で注目・活用されているのです。

👉参考記事:『ブロックチェーン(blockchain)とは?仕組みや基礎知識をわかりやすく解説!

「ブロックチェーン×ゲーム」のメリット

現在発売されているほとんどのゲームは管理会社による中央集権型です。全てのデータはソフトの開発会社によってコントロールされており、ゲームの存在が消えればデータもなくなり、アイテムなどの他作品への使い回しもできません。

一方で非中央集権管理であるブロックチェーンゲームならではのメリット4つについて詳しく解説していきます。

出典:pixabay

①永続性

従来のゲームでは、サービスが停止するとデータベース内の全てのデータが消えてしまいます。ブロックチェーン上にデータを記録しておけば、データベースを複数の企業で管理でき、大元のサービスが停止してもそのデータを保管しておくことができます。

②相互運用性

ブロックチェーンを通すと、1つのアイテムを他サービス会社で使用可能になります。

これには、

  • 複数の企業間でのコラボレーション
  • 運営が異なるマーケットプレイスでの売買
  • ゲームアイテムを担保に資金を借りる等の金融サービスとの連携

といった利用法があると考えられています。

ブロックチェーン同士を接続する新たな技術=「インターオペラビリティ」の研究が進めば、その可能性はさらに広がることが期待できます。

👉参考記事:『「インターオペラビリティ」〜ブロックチェーン同士を接続する新たな技術〜

③真贋性

全てのユーザー同士でデータを管理し合うことになるため、不正取引、データの改ざんが極めて難しくなります。キャラクターやアイテムのデータの複製が困難になり、オリジナルであることの証明が可能になります。

真贋性が担保されることにより、NFT(Non-Fungible Token=代替不可能なトークン)を利用したマーケットプレイスが普及するなど、新たな市場が生まれています。

👉参考記事:『ブロックチェーン技術が真贋証明に応用できるワケ〜LVMH、集英社など事例多数〜』『ブロックチェーン×「NFT」〜NFTの基礎と活用事例〜』

③透明性

ブロックチェーンユーザーはデータの履歴を誰でも確認でき(=トレーサビリティの担保)、不正防止につながります。また、アイテムの所有履歴を一般公開することで、ゲームに関する様々なアピールが行えるようになります。

👉参考記事:『ブロックチェーンのトレーサビリティへの応用〜食品・物流・偽造品対策〜

代表的なブロックチェーンゲーム3選

①マイクリプトヒーローズ

出典:MyCryptoHeroes(公式サイト)

マイクリプトヒーローズは、double jump.tokyoが開発した対戦ゲームです。戦うキャラクターは仮想通貨でできた実在の偉人がほとんどです。日本史や世界史の登場人物が多数現れ、パーティーを組んで戦うので、ロマンを感じる方も多いでしょう。

クエストやプレイヤー同士でのバトルが可能で、勝利でアイテムもゲットできます。アセットの取引所に参加すれば、高額売却で仮想通貨を儲けられるチャンスです。

ブロックチェーンゲームの基礎を押さえながら、歴史上の人物が時代を超えて戦うロマンは、世界中のプレイヤーの熱狂を生み出しています。

②クリプトスペルズ

出典:CRYPTO SPELLS(公式サイト)

CRYPTO SPELLS(クリプトスペルズ)は、デジタル上での自由な売買を可能とするトレーディングカードゲームです。

自分でオリジナルのカードを作ることができ、取引も自由にできます。カードの発行枚数や取引履歴がブロックチェーン上に記録されるために、自分のカードの価値が証明される仕組みになっています。

SNSアカウントなどでログインして始めることができ、ゲームを始めるだけなら仮想通貨ウォレットや仮想通貨を準備する必要がないのも魅力のひとつです。

ゲーム配信開始当初のクラウドセールでは、当時の国産ブロックチェーンゲームでトップクラスとなる約3000万円分以上の売上を出すなど、話題性の高さにも注目です。

③コントラクトサーヴァント

出典:コントラクトサーヴァント(公式サイト)

コントラクトサーヴァントは、アクセルマーク株式会社が作ったトレーディングカードゲームです。ブロックチェーンを使っていながら、イーサリアムなしでも無料のカードで遊べるなど、初心者にとっての敷居が低いことがポイントです。

個性あふれる女性キャラクターが「サーヴァント」というカードとして登場することから、萌え系ゲームが好きな方にもおすすめでしょう。公式Twitterではプレイヤーの疑問にも答えてくれるなど、誠実な運営を行っています。

ブロックチェーンゲームの今後

ブロックチェーンゲームは、少しずつ注目を集めるゲームが出てきているとはいえ、既存のスマホゲームやコンシューマーゲームなどと比べるとまだまだ普及しているとは言えない状況です。

とはいえ今後、ゲーム内のアイテムやキャラクター売買の活発化促進によって、爆発的に市場を拡大していく可能性も秘めています。

新たな価値をゲームやプレイヤーに与え、新経済圏を作り出す可能性も秘めたブロックチェーンゲーム。NFTの注目も日増しに高まるなど、今後も普及に向けた動きが加速していきそうです。

ブロックチェーン×投票 〜選挙を変えるブロックチェーン技術〜

近年、ブロックチェーン技術を「投票」の分野に活用する動きが活発化しています。「投票」の持つ課題と、それらをブロックチェーンが解消できる理由、そしてすでに行われている実証実験について解説していきます。

はじめに

2009年にビットコインが運用開始されて以来、イーサリアム、イオスなど、様々なブロックチェーンプラットフォームが誕生しました。

ブロックチェーンの特徴といえば、情報の改ざんが極めて難しい点があげられ、暗号資産などの金融領域だけではなく、非金融領域においてもブロックチェーン技術が多方面で応用され始めています。

特に近年では、物流や貿易などサプライチェーン・マネージメントにおいて、ブロックチェーンに関する実証実験や実装が急速に進んでいます。

そして、今回はブロックチェーンと親和性が高いといわれている「電子投票」の分野での取り組みを紹介します。ブロックチェーン技術を活用した電子投票が実現可能なのか考察していきましょう。

ブロックチェーンが投票を変える

従来の”投票”がもつ課題

投票会場まで足を運び、投票用紙に候補名を記入し投票箱に入れる━━これが一般的な”投票”の一連の流れです。

このアナログ方式の投票が持つ課題としては、

  • 利便性が悪く投票率が伸びない
  • 不正や手続きミスが起こりうる
  • 作業効率が悪く人件費がかかる

といったものが挙げられます。

出典:pixabay

これらの事態を受けて、日本やアメリカでは投票率の向上や事務手続きミスの防止、および投票作業の効率化を目指す取り組みが行われています。

ブロックチェーン×投票

従来の投票作業の課題を解消する上で、改めて”投票”に必要なことは何なのかを紐解くと、

  • 定められた期間内に有権者が投票可能
  • 投票結果が改ざんできない

という2点が挙げられます。

そこで注目を集めるのが、「分散型で障害に強い」「改ざんが限りなく不可能に近い」という特徴を持つブロックチェーン技術です。

ブロックチェーンとは

ブロックチェーンは新しいデータベース(分散型台帳)

ブロックチェーン(blockchain)は、2008年にサトシ・ナカモトによって提唱された「ビットコイン」(仮想通貨ネットワーク)の中核技術として誕生しました。

ビットコインには、P2P(Peer to Peer)通信、Hash関数、公開鍵暗号方式など新旧様々な技術が利用されており、それらを繋ぐプラットフォームとしての役割を果たしているのがブロックチェーンです。

ブロックチェーンの定義には様々なものがありますが、ここでは、「取引データを適切に記録するための形式やルール。また、保存されたデータの集積(≒データベース)」として理解していただくと良いでしょう。

一般に、取引データを集積・保管し、必要に応じて取り出せるようなシステムのことを一般に「データベース」と言いますが、「分散型台帳」とも訳されるブロックチェーンはデータベースの一種であり、その中でも特に、データ管理手法に関する新しい形式やルールをもった技術です。

ブロックチェーンは、セキュリティ能力の高さ、システム運用コストの安さ、非中央集権的な性質といった特長から、「第二のインターネット」とも呼ばれており、近年、フィンテックのみならず、あらゆるビジネスへの応用が期待されています。

ブロックチェーンの特長・メリット(従来のデータベースとの違い)

ブロックチェーンの主な特長やメリットは、①非中央集権性、②データの対改竄(かいざん)性、③システム利用コストの安さ④ビザンチン耐性(欠陥のあるコンピュータがネットワーク上に一定数存在していてもシステム全体が正常に動き続ける)の4点です。

これらの特長・メリットは、ブロックチェーンが従来のデータベースデータとは異なり、システムの中央管理者を必要としないデータベースであることから生まれています。

分散台帳とは.jpg

ブロックチェーンと従来のデータベースの主な違いは次の通りです。

従来のデータベースの特徴 ブロックチェーンの特徴
構造 各主体がバラバラな構造のDBを持つ 各主体が共通の構造のデータを参照する
DB それぞれのDBは独立して存在する それぞれのストレージは物理的に独立だが、Peer to Peerネットワークを介して同期されている
データ共有 相互のデータを参照するには新規開発が必要 共通のデータを持つので、相互のデータを参照するのに新規開発は不要

ブロックチェーンは、後に説明する特殊な仕組みによって、「非中央集権、分散型」という特徴を獲得したことで、様々な領域で注目・活用されているのです。

👉参考記事:『ブロックチェーン(blockchain)とは?仕組みや基礎知識をわかりやすく解説!

「ブロックチェーン×投票」の導入事例

海外

アメリカウェストバージニア州での実証実験

出典:pixabay

2018年11月、アメリカウェストバージニア州の中期選挙で、ブロックチェーン投票システムが実際に導入されました。

選挙権を持つ海外駐在軍人1000名ほどが対象となり投票が行われたところ、実際に投票した人は144名でした。

参考値として、2016年のアメリカ大統領選挙における国外からの投票は、わずか7%に留まっており、一方のブロックチェーン電子投票システムにおける投票率は14.4%という結果となりました。

ブロックチェーンを用いた電子投票は、海外からの投票率の向上に貢献したといえるのではないでしょうか。

エストニアでの過去実績

出典:pixabay

電子国家と呼ばれているエストニアでは、ブロックチェーン技術が生まれる前の2005年から世界に先駆けて、i-Votingというシステムを用いた国家主導の電子投票が行われてきました。

有権者はインターネットにつながったコンピュータがあれば世界のどこからでも投票でき、投票内容は期日までであれば変更することもできます。i-Votingのウェブサイトによると、エストニア人の44%がi-Votingを利用し、選挙ごとに11,000日の稼働日を節約できるといいます。

さらにこのi-Votingからは、CybernetivaとSmartmaticが開発するブロックチェーンを利用した電子投票システムTIVIが生まれ、その投票フローに磨きをかけています。

日本国内

つくば市での実証実験

出典:つくば市

2019年8月28日、茨城県つくば市で募集された「令和元年度つくばSociety5.0社会実装トライアル支援事業」の最終審査において、ブロックチェーン技術を活用したインターネット投票の実証実験が行われました。

このプロジェクトは、株式会社VOTE FORや株式会社ユニバーサルコンピューターシステム、日本電気株式会社による合同で実施され、顔認証の導入の入力作業の効率化や、データの非改ざん性、トレーサビリティの確保などが成果として報告されました。

👉参考記事:『ブロックチェーンのトレーサビリティへの応用〜食品・物流・偽造品対策〜

インターネット投票推進法案の提出

日本国内では2021年6月、立憲民主党と国民民主党が「インターネット投票の導入の推進に関する法律案」(インターネット投票推進法案)を衆議院に提出しました。

この法案は、選挙などへのインターネット投票の導入を推進するものであり、セキュリティ確保のためにブロックチェーン技術の活用も検討されています。

まとめ

2020年年初から新型コロナウィルスが世界中で猛威を振るう中、私たちの考え方や行動は大きく変わりつつあります。

投票についても同様で、今後リモートにシフトしていくことでしょう。インターネット投票推進法案の提出もその追い風となることが予想され、ブロックチェーンを活用したより効率的で利便性の高い選挙の実現がますます期待されます。

「BSN」〜中国が国家主導で開発を進めるブロックチェーンネットワーク〜

近年、中国はブロックチェーン技術の開発に国をあげて注力しています。中国政府が2016年に掲げた「第13次5カ年計画」には、国としてブロックチェーン開発を支援する旨が記載されています。そして2020年4月には、「BSN」と呼ばれる国家主導のブロックチェーンネットワークが立ち上がり、世界中の注目を集めました。本記事では「BSN」についての概要と、その基盤技術となるブロックチェーンについて解説します。

なお、中国のブロックチェーン開発についての全体像を学びたい方は、次の記事も併せてご覧ください。

→ 参考記事:『中国のブロックチェーンを金融・非金融の軸で理解する〜デジタル人民元からBSNまで〜

「BSN」と同じく、中国が国をあげて注力しているデジタル通貨開発に関しては、次の記事をご覧ください。

→ 参考記事:『「CBDC」国が発行するデジタル通貨〜ブロックチェーン×中央銀行〜

中国のブロックチェーンネットワーク「BSN」

BSNとは?

「BSN」とはBlockchain-based Service Network(ブロックチェーンサービスネットワーク)の頭文字をとった言葉で、ブロックチェーンを土台とした様々なサービスのネットワークを意味します。

「BSN」は、サーバースペース、ブロックチェーンを作るためのプログラミングツール、そして開発に必要となる様々な基本機能のテンプレート、といった要素で構成されます。

出典:pixabay

「BSN」の関係者は、「データを”水”とすると、「BSN」は”水道管”である」と述べており、「BSN」の概念を”給水設備”に例えて表現しています。”水”のように誰でも安定したサービスを安価に手に入れることのできる、社会インフラとなることを目標としているとのことです。

BSNを主導するのは

BSNを主導するのは「BSN開発協会」(BSN Development Association)という団体です。この協会は、政府機関「中国国家情報センター」(State Information Center of China)を理事(協会のトップ)として置き、「China Mobile」や「China Union Pay」といった複数の企業が副理事として参加しています。

「BSN」立ち上げの背景

ブロックチェーンとは?

ブロックチェーンは新しいデータベース(分散型台帳)

ブロックチェーン(blockchain)は、2008年にサトシ・ナカモトによって提唱された「ビットコイン」(仮想通貨ネットワーク)の中核技術として誕生しました。

ビットコインには、P2P(Peer to Peer)通信、Hash関数、公開鍵暗号方式など新旧様々な技術が利用されており、それらを繋ぐプラットフォームとしての役割を果たしているのがブロックチェーンです。

ブロックチェーンの定義には様々なものがありますが、ここでは、「取引データを適切に記録するための形式やルール。また、保存されたデータの集積(≒データベース)」として理解していただくと良いでしょう。

一般に、取引データを集積・保管し、必要に応じて取り出せるようなシステムのことを一般に「データベース」と言いますが、「分散型台帳」とも訳されるブロックチェーンはデータベースの一種であり、その中でも特に、データ管理手法に関する新しい形式やルールをもった技術です。

ブロックチェーンは、セキュリティ能力の高さ、システム運用コストの安さ、非中央集権的な性質といった特長から、「第二のインターネット」とも呼ばれており、近年、フィンテックのみならず、あらゆるビジネスへの応用が期待されています。

ブロックチェーンの特長・メリット(従来のデータベースとの違い)

ブロックチェーンの主な特長やメリットは、①非中央集権性、②データの対改竄(かいざん)性、③システム利用コストの安さ④ビザンチン耐性(欠陥のあるコンピュータがネットワーク上に一定数存在していてもシステム全体が正常に動き続ける)の4点です。

これらの特長・メリットは、ブロックチェーンが従来のデータベースデータとは異なり、システムの中央管理者を必要としないデータベースであることから生まれています。

分散台帳とは.jpg

ブロックチェーンと従来のデータベースの主な違いは次の通りです。

従来のデータベースの特徴 ブロックチェーンの特徴
構造 各主体がバラバラな構造のDBを持つ 各主体が共通の構造のデータを参照する
DB それぞれのDBは独立して存在する それぞれのストレージは物理的に独立だが、Peer to Peerネットワークを介して同期されている
データ共有 相互のデータを参照するには新規開発が必要 共通のデータを持つので、相互のデータを参照するのに新規開発は不要

ブロックチェーンは、後に説明する特殊な仕組みによって、「非中央集権、分散型」という特徴を獲得したことで、様々な領域で注目・活用されているのです。

👉参考記事:『ブロックチェーン(blockchain)とは?仕組みや基礎知識をわかりやすく解説!

これまでのブロックチェーン導入の課題

出典:pixabay

これまでもブロックチェーンアプリケーションを開発・運用することは可能でしたが、ネックとなるのがそのコストの高さでした。例えば、アリ・クラウド(Ali Cloud)やファーウェイ・クラウド(Huawei Cloud)といった大手クラウドサービスで開発・運用すると、年間に数万ドルのコストがかかることもあるのです。

また、異なるブロックチェーン間のデータのやり取りが困難(相互運用性がない状態)で、所謂、インターオペラビリティが担保されていない状態がほとんどでした。

👉参考記事:『「インターオペラビリティ」〜ブロックチェーン同士を接続する新たな技術〜

「BSN」によって実現すること

「BSN」立ち上げの際の狙いとして、上記で挙げたブロックチェーンアプリケーションの開発導入コストを従来の1/3〜1/5に程度に削減し、ブロックチェーンの開発と導入を加速させることを掲げています。

新規参入しようとする多くの中小企業や個人開発者にとって、導入コストは大きな問題です。それが解消されることにより、ブロックチェーンアプリケーションの開発のハードルが大幅に下がり、世界中のデベロッパー達による開発競争が起き、より優れたユースケースが登場する可能性があります。

あた、「BSN」ではデベロッパー達が複数のブロックチェーン基盤上でアプリケーションを開発可能で、相互に通信可能になる予定(インターオペラビリティの実現)となっています。

まとめ

本記事では「BSN」についての概要と、その基盤技術となるブロックチェーンについて解説しました。冒頭でもお伝えしたように、中国ではブロックチェーン開発が国家戦略として推し進められています。

「BSN」の普及によって、ブロックチェーンアプリケーション開発参入のハードルが下がり、業界の発展が急拡大することが期待できます。

中国としては、「BSN」という新たなデータ流通の公共インフラを早急に整備し、自国が進めるスマートシティ構想の土台としたい、さらなる大きな野望があるようです。

今後も中国の「BSN」(ブロックチェーンサービスネットワーク)の動向には注目です。

ブロックチェーン×「NFT」〜NFTの基礎と活用事例〜

2021年に入り、「NFT」というキーワードがブロックチェーン関連のトピックスとして話題になってきています。「NFT」ってそもそも何のこと? 一体なにができるものなの? という疑問に対して、その背景にあるブロックチェーン技術と、実際のNFTの活用事例を交えて解説していきます。

今、NFTが熱い!

NFTは2021年初頭から急激に取引量が伸びている非代替性のトークンです。

2021年3月22日には、『Twitter』の共同創設者兼最高経営責任者(CEO)のジャック・ドーシー(Jack Dorsey)によって2006年に呟かれた”初ツイート”がNFTとしてオークションに出品され、約3億1500万円という驚愕の金額で売却され大きな話題を集めました。

出典:IT media NEWS「TwitterのドーシーCEOの初ツイートNFT、3億円超で落札 全額寄付

この他にも、NFTとして出品されたアートや音楽は、数十億を超える金額で取引されており、まさにNFTバブルと言えるような状況になっています。

NFTは、まさに現在最も注目されている仮想通貨領域と言えるでしょう。

NFTとは?

そもそも「トークン」とは?

NFTは、トークンの一種です。

そこで、まずはトークンを簡単に理解することから始めてみましょう。

そもそも、トークン(token)は原義的に、「しるし」「象徴」「記念品」「証拠品」を指す言葉です(Wikipedia)。

しかし、ビジネス活用の文脈では、これら原義通りの意味よりも、むしろそこから派生した下記2つの意味が重要になります。

  1. 使える場所、交換対象などが限られている「代用貨幣」のこと
  2. 一回だけ、使い捨ての認証権限のこと

これらの意味から、ビジネスにおいてトークンがどのようなイメージで活用されているかが見えてきます。

すなわち、トークンは、「法定通貨や暗号資産(仮想通貨)と違って、交換対象を限定した小さな経済圏を回すための使い捨て貨幣」として用いられています。

こうした定義からもわかるように、近年、NFTを始めとした、ブロックチェーンの技術を活用したトークンビジネスがトレンドとなり始めています。

暗号資産であるビットコインの副産物として生まれたブロックチェーンは、そもそもの技術的思想が「非中央集権的」です。

「分散型台帳」とも訳されるブロックチェーンは、中央管理を前提としている従来のデータベースとは異なり、常に同期されており中央を介在せずデータが共有できるので参加者の立場がフラット(=非中央集権、分散型)という特徴を備えています。

したがって、ブロックチェーンの技術は、暗号資産のみならず、例えば管理者不在のデータプラットフォームや第三者を介さない不動産取引など、既存の経済体制のあり方を変革するような方向性で、ビジネス活用される傾向にあります。

トークンの種類

ブロックチェーンを活用したトークンには、様々な種類があります

代表的なトークンの種類と概要は、次の4つです。

(他にも、Transaction TokenやGovenance Tokenといった種類もありますが、概念自体が難しい上に使用される頻度もあまり多くはないため、ここでの説明は割愛します。)

区別のポイント トークンの種類 意味 身近な例
トークン自体に金銭的価値が認められるか? Utility Token

(ユーティリティトークン)

具体的な他のアセットと交換できて初めて資産性が出てくるトークン ・パチンコ玉

・図書券

・電車やバスの切符

・遊園地の入場券

Security Token

(セキュリティトークン)

それ自体に金銭的価値が認められるトークン ・株券

・債権

トークンを相互に区別するか? Fungible Token …(*)

(ファンジブルトークン)

メタ情報如何にかかわらず区別されないトークン ・純金

(→誰がどこで所有する金1グラムも同じ価値をもつ)

Non Fungible Token

(ノンファンジブルトークン)

同じ種類や銘柄でも個別に付与されたメタ情報によって区別されるトークン ・土地

(→銀座の1平米と亀有の1平米は同じ単位だが価値が異なる)

👉参考記事:『【ブロックチェーン】トークンのビジネス活用〜STO、Utility Token〜

NFT=Non Fungible Token

NFTとは、Non Fungible Tokenの略です。

Non Fungibleとは「代替不可能な」という意味になります。

例えば、Non Fungibleなものの一例としてコンサートチケットが挙げられます。

コンサートチケットにはチケット一つ一つにコンサートの開催日時、場所、座席位置、購入者の名前など独自の情報が含まれています。

そのため、Aさんが持っているチケットはBさんが持っているチケットとは異なる物なので、交換すると開催日時や座席位置などが変わってしまいます。

つまり、コンサートチケットなどの一点物は、代わりの何かと交換することはできないので、「Non-Fungible=代替不可能な」ものだと言えます。

逆に「Fungible=代替可能な」ものの代表的な例として、”円”などの通貨が挙げられます。

例えば、Aさんが持っている100円玉とBさんの100円玉は同等の価値であり、交換することができる「代替可能」なものです。

冒頭でもお伝えした通り、NFTとはNon Fungible Token━━「代替不可能なトークン」という意味です。このNFTによって「このトークンを誰が保有しているのか」を明確にすることができ、「一点物のアイテムの所有権を証明するもの」としての利用が期待されています。

ブロックチェーンとは?

ブロックチェーンは新しいデータベース(分散型台帳)

ブロックチェーン(blockchain)は、2008年にサトシ・ナカモトによって提唱された「ビットコイン」(仮想通貨ネットワーク)の中核技術として誕生しました。

ビットコインには、P2P(Peer to Peer)通信、Hash関数、公開鍵暗号方式など新旧様々な技術が利用されており、それらを繋ぐプラットフォームとしての役割を果たしているのがブロックチェーンです。

ブロックチェーンの定義には様々なものがありますが、ここでは、「取引データを適切に記録するための形式やルール。また、保存されたデータの集積(≒データベース)」として理解していただくと良いでしょう。

一般に、取引データを集積・保管し、必要に応じて取り出せるようなシステムのことを一般に「データベース」と言いますが、「分散型台帳」とも訳されるブロックチェーンはデータベースの一種であり、その中でも特に、データ管理手法に関する新しい形式やルールをもった技術です。

ブロックチェーンは、セキュリティ能力の高さ、システム運用コストの安さ、非中央集権的な性質といった特長から、「第二のインターネット」とも呼ばれており、近年、フィンテックのみならず、あらゆるビジネスへの応用が期待されています。

ブロックチェーンの特長・メリット(従来のデータベースとの違い)

ブロックチェーンの主な特長やメリットは、①非中央集権性、②データの対改竄(かいざん)性、③システム利用コストの安さ④ビザンチン耐性(欠陥のあるコンピュータがネットワーク上に一定数存在していてもシステム全体が正常に動き続ける)の4点です。

これらの特長・メリットは、ブロックチェーンが従来のデータベースデータとは異なり、システムの中央管理者を必要としないデータベースであることから生まれています。

分散台帳とは.jpg

ブロックチェーンと従来のデータベースの主な違いは次の通りです。

従来のデータベースの特徴 ブロックチェーンの特徴
構造 各主体がバラバラな構造のDBを持つ 各主体が共通の構造のデータを参照する
DB それぞれのDBは独立して存在する それぞれのストレージは物理的に独立だが、Peer to Peerネットワークを介して同期されている
データ共有 相互のデータを参照するには新規開発が必要 共通のデータを持つので、相互のデータを参照するのに新規開発は不要

ブロックチェーンは、後に説明する特殊な仕組みによって、「非中央集権、分散型」という特徴を獲得したことで、様々な領域で注目・活用されているのです。

👉参考記事:『ブロックチェーン(blockchain)とは?仕組みや基礎知識をわかりやすく解説!

NFTが注目されている理由

ブロックチェーン技術はすでにフィンテック分野などで活用されていますが、NFTの「代替不可能」という特色を追加することで、さらに他の分野での活用が広がることが期待されています。

具体的には、NFTを用いることにより、様々なものの固有の価値を証明することが可能になります。

例えば、アートの分野です。アートにおいて、オリジナルを所持する価値とインターネットでコピーを見る・ダウンロードする価値は違うと捉えられています。


出典:pixabay

従来型の美術品で例えると、モナリザの絵画を所有する価値とインターネット上でモナリザを見て、スクリーンショットを撮って保存する価値は異なります。

同様に、「デジタルアート作品の作者本人によって、オリジナルであることが証明されたファイルを所持すること」自体の価値は高いと考えられます。NFTによって、これまで真贋証明が困難だったデジタルアートに対して、本物であることの証明が可能になるのです。

今後も他のトークンにはない特色を持つNFTが、あらゆる分野の真贋証明に利用できるのではないかと注目を集めています。

👉参考記事:『ブロックチェーン技術が真贋証明に応用できるワケ〜LVMH、集英社など事例多数〜

ブロックチェーン×NFTの事例

ゲーム分野

出典:pixabay

現在のところ、もっとも認知されているNFTの活用事例がゲーム分野での利用です。

NFT技術を利用することで、自分が取得した一点物のキャラクターやアイテムをプレイヤー同士で売買することや、取得したキャラクターやアイテムを他のゲームで使うことも可能になります。ゲーム内で育成したキャラクターなどは二次流通市場で取引され、パラメータやレアリティが高いほど高値で取引されています。

「CryptoKitties(クリプトキティーズ)」以外では、「My Crypto Heroes(マイクリプトヒーローズ)」や「Etheremon(イーサエモン)」といったゲームにもNFTが活用されています。

今後も、NFTの特色を生かしたブロックチェーンゲームが次々にリリースされることが期待されています。

アート分野

出典:pixabay

絵画やイラスト、写真などのアート作品は、これまではモノとして取引されるのが一般的でした。しかし、NFTによって無形のアセットにも所有権を付与できるようになったことで、デジタルアートにも希少価値を持たせることが可能になりました。

リアルアートに比べて簡単に複製できるデジタルアートはその希少性を担保することが困難でしたが、NFTの技術により「一点物のデジタルアート」が実現可能になるのです。その結果、美術品としての価値も向上し、必然的に投資財としての魅力度も高まっていくと言えるでしょう。

それに伴い、Nifty Gateway(ニフティ ゲートウェイ)やSuperRare(スーパーレア)など、デジタルアートの取引を専門に行うマーケットプレイスが現れ、投機目的で市場に参加するトレーダーが増加しました。

デジタルアートが高値で取引された例としては、2020年12月にデジタルアーティストのBeepleが「EVERYDAYS」シリーズの中から出品した21点の作品が、Nifty Gatewayで合計350万ドル(約3億7,300万円)以上の売上を記録し、話題になりました。

また、2021年2月には、24×24ピクセルのドット絵アイコンのキャラクターが特徴的なCryptoPunks(クリプトパンクス)」の中の1作品が、650ETH(当時のレートで約1億3,500万円)で売買されました。

マーケットプレイス

出典:pixabay

上記で挙げた、ゲーム内のデータや、デジタルアートといった同じブロックチェーン基盤で発行されたNFTは、ゲームなど個別のアプリケーション外で(ブロックチェーン上で)取引可能です。そこで、こうした取引を行うためのNFT専用のマーケットプレイスも存在します。

サービスとしては2017年末にアルファ版をローンチした「OpenSea」が最大手ですが、NFT化されたデジタルアートのマーケットプレイス「SuperRare」や、コミュニティ主導のNFTマーケットプレイス「Rarible」など新しいサービスも出てきています。OpenSeaとSuperRareについては、2021年2月現在、デイリーの取引量が100万ドルを超えています。

また、日本国内に目を向けると、NFTマーケットプレイスは国内大手の暗号資産交換業者「コインチェック」が事業化を検討しており、今後国内でもプレイヤーが増えていく可能性があります。現状では、NFTを入手するには暗号資産(特にイーサリアム)が必要であるため、NFT系サービスと消費者との接点を作れる暗号資産交換業者の動きには要注目です。

まとめ

2020年末の時点で3億3,803万ドルだったNFTの市場規模は、2021年第一四半期(1~3月)には約15億ドルにまで急成長を遂げています。

NFTは現在、ゲームやアートといったエンターテイメント業界に関する適用が進んでいる状況です。しかしNFTはさまざまな可能性を秘めていると言われており、たとえば、同じものが2つとない不動産にNFTが活用されることも考えられます。すでにゲーム上に存在する土地の所有権にNFTが活用されているという事例も存在します。

今後のビジネス展開としては、NFTの「代替不可能である」という特徴を生かし、エンターテイメント分野の枠を超え、所有権証明や身分証明が必要なあらゆる分野で実用化が進んでいくと予測されています。

「CBDC」国が発行するデジタル通貨 〜ブロックチェーン×中央銀行〜

近年「中央銀行によるデジタル通貨(CBDC)」に対する研究開発の動きが、世界中で活発化しています。これまでのデジタル通貨とCBDCの違い、そしてその基盤となる「ブロックチェーン」について解説していきます。

なお、中国のブロックチェーン技術についての全体像を学びたい方は、次の記事も併せてご覧ください。

→ 参考記事:『中国のブロックチェーンを金融・非金融の軸で理解する〜デジタル人民元からBSNまで〜』

国が「デジタル通貨」を発行する動きが活発に

2020年7月、日米欧の先進7カ国(G7)が「中央銀行によるデジタル通貨(CBDC)」の発行に向けて連携する方針を固めました。以来、日本を含む各国でCBDCの研究・実験が活発に行われるようになっています。

本記事では、一般的な「デジタル通貨」について改めて整理をした上で、「中央銀行によるデジタル通貨(CBDC)」が注目されはじめた背景を、その基盤となりうる技術「ブロックチェーン」とともに紐解いていきます。

CBDCはデジタル通貨の一種

中央銀行デジタル通貨(CBDC:Central Bank Digital Currency)

「中央銀行によるデジタル通貨(CBDC)」は法定通貨をデジタル化したものです。私たちがよく知る電子マネーや暗号資産は、すべて民間企業が発行・管理を行っています。CBDCは、民間企業ではなく「国」が発行・管理を行うデジタル通貨をイメージすれば良いでしょう。

デジタル通貨とは

デジタル通貨とは、「現金(紙幣や硬貨など)」ではなく、「デジタルデータに変換された、通貨として利用可能なもの」を意味します。Suicaや楽天Edyといった電子マネーや、ビットコインなどの暗号資産といったものが、すべてデジタル通貨にあてはまります。今回取り上げる「中央銀行によるデジタル通貨(CBDC)」もデジタル通貨の一種です。

出典:TIME&SPACE:『デジタル通貨』とは? 電子マネーや仮想通貨など言葉の定義や違いを解説

CBDCが注目されはじめた背景

CBDCの研究は、今や世界中で注目を集めています。しかしある国は、デジタル通貨に関する研究開発に、かねてより国を挙げて力を入れていました。それが中国です。

中国は、独自のCBDCである「デジタル人民元」をアフリカやアジアなどの新興国の市場に投入し、現地での影響力拡大を狙っています。日米欧の自由主義陣営は、米ドルを基軸通貨とする現市場が「デジタル人民元」に取って代わられることを恐れています。日米欧が腰を上げた背景には、こうした中国の動きへの対抗心がありました。

一方で、中国は「デジタル人民元」を、遅くとも2022年2月に開催される北京の冬季オリンピックまでに実用化する、と発表しています。さらに中国は、延べ40万人に対して総額約12億円以上ものデジタル人民元を配るという大規模な配布実験を、2020年10月から2021年にかけてすでに実施しています。

CBDCのメリット

CBDCを導入するメリットとして、以下6つが挙げられます。

  1. 現金の輸送・保管コストの低減
  2. ATMの維持・設置費用の低減
  3. 銀行口座を持たない人への決済サービスの提供
  4. 脱税やマネーロンダリングなどの捕捉・防止
  5. 民間決済業者の寡占化防止
  6. キャッシュレス決済における相互運用性の確保

国が行う施策ですので、全ての店舗で電子決済が可能となることでしょう。さらに、「国」は民間の銀行よりも破綻しにくく安心感もありますし、振込手続きも短時間かつ手数料無料で行うことが可能となります。

CBDC導入の課題

CBDCを導入するにあたり課題として主に挙げられるのが以下の3つです。

  1. 電子決済用のシステム・機器を各店舗に整備するコストがかかる
  2. クラッキングや偽造に対する最高レベルのセキュリティ強度が必要で、技術的なハードルが高い
  3. 電力の確保が難しい

CBDCとブロックチェーン

CBDCが世界規模で発行されるようになると、規模に関わらず非常に多くの経済圏が誕生するようになると予想されます。そしてそれらの経済圏をシームレスに繋ぐためには、通貨のインターオペラビリティ(相互互換性)が重要になると思われます。また、セキュリティ上の課題も多く挙げられることでしょう。そこで欠かせない技術がブロックチェーンです。
👉参考記事:『「インターオペラビリティ」〜ブロックチェーン同士を接続する新たな技術〜

ブロックチェーンとは

ブロックチェーンは新しいデータベース(分散型台帳)

ブロックチェーン(blockchain)は、2008年にサトシ・ナカモトによって提唱された「ビットコイン」(仮想通貨ネットワーク)の中核技術として誕生しました。

ビットコインには、P2P(Peer to Peer)通信、Hash関数、公開鍵暗号方式など新旧様々な技術が利用されており、それらを繋ぐプラットフォームとしての役割を果たしているのがブロックチェーンです。

ブロックチェーンの定義には様々なものがありますが、ここでは、「取引データを適切に記録するための形式やルール。また、保存されたデータの集積(≒データベース)」として理解していただくと良いでしょう。

一般に、取引データを集積・保管し、必要に応じて取り出せるようなシステムのことを一般に「データベース」と言いますが、「分散型台帳」とも訳されるブロックチェーンはデータベースの一種であり、その中でも特に、データ管理手法に関する新しい形式やルールをもった技術です。

ブロックチェーンは、セキュリティ能力の高さ、システム運用コストの安さ、非中央集権的な性質といった特長から、「第二のインターネット」とも呼ばれており、近年、フィンテックのみならず、あらゆるビジネスへの応用が期待されています。

ブロックチェーンの特長・メリット(従来のデータベースとの違い)

ブロックチェーンの主な特長やメリットは、①非中央集権性、②データの対改竄(かいざん)性、③システム利用コストの安さ④ビザンチン耐性(欠陥のあるコンピュータがネットワーク上に一定数存在していてもシステム全体が正常に動き続ける)の4点です。

これらの特長・メリットは、ブロックチェーンが従来のデータベースデータとは異なり、システムの中央管理者を必要としないデータベースであることから生まれています。

分散台帳とは.jpg

ブロックチェーンと従来のデータベースの主な違いは次の通りです。

従来のデータベースの特徴 ブロックチェーンの特徴
構造 各主体がバラバラな構造のDBを持つ 各主体が共通の構造のデータを参照する
DB それぞれのDBは独立して存在する それぞれのストレージは物理的に独立だが、Peer to Peerネットワークを介して同期されている
データ共有 相互のデータを参照するには新規開発が必要 共通のデータを持つので、相互のデータを参照するのに新規開発は不要

ブロックチェーンは、「非中央集権、分散型」という特徴を獲得したことで、様々な領域で注目・活用されているのです。より詳しい内容に関しては、下記参考記事をご覧ください。

👉参考記事:『ブロックチェーン(blockchain)とは?仕組みや基礎知識をわかりやすく解説!

まとめ

本記事でも紹介したようにCBDCは、世界中の中央銀行が研究を進める重要なテーマとなっています。キャッシュレス化が進む国ではCBDC導入に向けた取り組みが進められており、一部の国ではすでに実証実験を終えています。

そして、なんといっても本分野をリードする中国の動向からは目が離せません。中国は来年2022年には「デジタル人民元」を実用可能にすると発表しています。

これから起こるであろうデジタル通貨のさらなる普及によって、これまでのお金の価値観は、確実に変わっていくでしょう。

「Web 3.0」〜ブロックチェーンが紡ぐ新しいWebの世界〜

新しい時代のWeb──「Web3.0」という概念が近年注目を浴びています。これまでのWebの歴史を振り返ったうえで、「Web3.0」とその基盤にある「ブロックチェーン」によって何が実現できるのかを解説します。

Webの進化の歴史

Web3.0の解説をするにあたり、これまでのWebがどのようにして進歩してきたかを、以下の3つの時代に分けて解説します。

  • Web1.0:1995年~(ホームページ時代)
  • Web2.0:2005年~(SNS時代)
  • Web3.0:これから(ブロックチェーン時代)

ただし、Web1.0/Web2.0/Web3.0の定義には明確な線引きはなく、曖昧な部分がある点にご注意ください。

Web1.0(ホームページ時代)

Web1.0時代は、Yahoo!やGoogle、MSNサーチなどが登場し始めた時期で、Webがまだ一方通行であった時代です。ウェブデザイナーのDarci DiNucci氏が1999年に、進化の段階を区別するためにWeb1.0とWeb2.0という呼び方を用いました。

出典:pixabay

ウェブサイトは1990年代初めに、静的HTMLのページを利用して作られました。また、個人が「ホームページ」を持ち情報を発信する、という文化もこの時代から生まれました。ただし、インターネットの接続速度も非常に低速であり、画像を1枚表示するだけでも時間がかかりました。

また、閲覧できる情報は情報作成者によってのみ管理されるため、閲覧ユーザーがデータを編集することはできません。こうした特徴から、web1.0は「一方向性の時代」とも呼ばれます。

Web2.0(SNS時代)

Web2.0時代になると、YouTube、Twitter、Instagramが登場し、誰もが発信者となりました。Web1.0時代が「一方向性の時代」とされたのに対し、Web2.0時代は様々な人との双方向の情報のやり取りができるようになったのです。

出典:pixabay

SNSによって誰もがWeb上で簡単に情報を発信できるようになり、Webは閲覧するだけのものではなく、自らが参加できるものとなりました。

また、いわゆるGAFAと呼ばれるプラットフォーム企業が大きく躍進した時代でもあります。

Web2.0の問題点

Webが多くの人々に馴染みのあるものとなったWeb2.0時代ですが、それと同時に問題点も浮き彫りになってきました。それが次の2つです。

  • 特定企業への個人情報の集中(プライバシー問題)
  • 中央集権型によるリスク(セキュリティ問題)

特定企業への個人情報の集中(プライバシー問題)

1つ目の特定企業に個人情報が集中する問題は、個人のプライバシー侵害の可能性が問題視されています。

現在、Google、Amazon、Facebook、AppleといったGAFAを筆頭に一部の大企業には、あらゆる情報が集まっています。これには、住所や年齢、性別など基本的な個人情報だけでなく、個人の嗜好や行動履歴までもが含まれます。

これらの企業は世界的に利用されているサービスを展開しているため、世界中のあらゆる個人情報が独占的に集められる状態になっているのです。プライバシーの観点からこの現状を問題視する声も多く、個人のプライバシーをどう守るかは重要な課題のひとつとなっています。

中央集権型によるリスク(セキュリティ問題)

2つ目の問題点として、中央集権型はサイバー攻撃を受けやすく、多くのユーザーに影響を及ぼす危険性があるという点が挙げられます。例えば2018年、GAFAの一角である大手SNS「Facebook」は5000万人超のユーザー情報を外部に流出してしまいました。

現在、ユーザーの個人情報はサーバーで集中管理されています。このサーバー・クライアント方式は一般的な管理方法ではありますが、サイバー攻撃を受けやすく、個人情報の流出や不正アクセス、データの改ざん、Webサイト/Webサービスが利用できなくなる、などのリスクがあります。

プライバシー問題とセキュリティ問題、この2つはWeb2.0の問題点です。

Web3.0とは?

web2.0が抱える問題は現在でも解決されておらず、さまざまな分野で生じるデータの不正利用問題の原因にもなっています。

出典:pixabay

web3.0は、「web2.0のデータ独占・改ざんの問題を解決する概念」として構想されています。その中核として大きなウエイトを占めているのが、「ブロックチェーン技術」です。

ブロックチェーンとは

ブロックチェーンは新しいデータベース(分散型台帳)

ブロックチェーン(blockchain)は、2008年にサトシ・ナカモトによって提唱された「ビットコイン」(仮想通貨ネットワーク)の中核技術として誕生しました。

ビットコインには、P2P(Peer to Peer)通信、Hash関数、公開鍵暗号方式など新旧様々な技術が利用されており、それらを繋ぐプラットフォームとしての役割を果たしているのがブロックチェーンです。

ブロックチェーンの定義には様々なものがありますが、ここでは、「取引データを適切に記録するための形式やルール。また、保存されたデータの集積(≒データベース)」として理解していただくと良いでしょう。

一般に、取引データを集積・保管し、必要に応じて取り出せるようなシステムのことを一般に「データベース」と言いますが、「分散型台帳」とも訳されるブロックチェーンはデータベースの一種であり、その中でも特に、データ管理手法に関する新しい形式やルールをもった技術です。

ブロックチェーンは、セキュリティ能力の高さ、システム運用コストの安さ、非中央集権的な性質といった特長から、「第二のインターネット」とも呼ばれており、近年、フィンテックのみならず、あらゆるビジネスへの応用が期待されています。

ブロックチェーンの特長・メリット(従来のデータベースとの違い)

ブロックチェーンの主な特長やメリットは、①非中央集権性、②データの対改竄(かいざん)性、③システム利用コストの安さ④ビザンチン耐性(欠陥のあるコンピュータがネットワーク上に一定数存在していてもシステム全体が正常に動き続ける)の4点です。

これらの特長・メリットは、ブロックチェーンが従来のデータベースデータとは異なり、システムの中央管理者を必要としないデータベースであることから生まれています。

分散台帳とは.jpg

ブロックチェーンと従来のデータベースの主な違いは次の通りです。

従来のデータベースの特徴 ブロックチェーンの特徴
構造 各主体がバラバラな構造のDBを持つ 各主体が共通の構造のデータを参照する
DB それぞれのDBは独立して存在する それぞれのストレージは物理的に独立だが、Peer to Peerネットワークを介して同期されている
データ共有 相互のデータを参照するには新規開発が必要 共通のデータを持つので、相互のデータを参照するのに新規開発は不要

ブロックチェーンは、「非中央集権、分散型」という特徴を獲得したことで、様々な領域で注目・活用されているのです。より詳しい内容に関しては、下記参考記事をご覧ください。

👉参考記事:『ブロックチェーン(blockchain)とは?仕組みや基礎知識をわかりやすく解説!

Web3.0がWeb2.0の問題点を解決する

ブロックチェーン技術により、情報管理のスタイルが非中央集権型となります。つまり、個人情報は特定の企業ではなく、ブロックチェーンに参加したユーザーによって分散管理されます。また、サービスを提供する基盤は特定企業に限定されず、ユーザー一人ひとりが参加するネットワークがサービスを提供する基盤となるのです。

出典:pixabay

ユーザー同士が、ネットワーク上で互いのデータをチェックし合うということは、不正アクセスやデータの改ざんが非常に難しいことを意味します。特定企業が個人情報を握ることもなければ、情報漏洩によって多大な被害を被ることもありません。

WEB3.0の概念が実現すれば、個人情報が分散管理され非中央集権型となり、不正アクセスや情報漏えい、データ改ざんのリスクが軽減し、Web2.0の問題点が解決できると考えられています。

まとめ

Web3.0時代を迎えることで、特定企業が個人情報を管理する時代が終わりを迎えるといわれます。ブロックチェーン技術によって新たなWebの世界が訪れるのです。

国や人種を越えたボーダーレスな世界を生むともいわれるWeb3.0。私たちの暮らしがどのように変化するのか楽しみに待ちましょう。

ステーブルコイン〜ブロックチェーン時代で急成長する新たな暗号資産〜

近年、ビットコイン(BTC)やイーサリアム(ETH)といった従来の仮想通貨に加え、より安定した「ステーブルコイン」と呼ばれる新たな暗号資産が注目を集めています。ステーブルコインとは一体どういったものか?誕生の背景と、ステーブルコイン実現の基盤となるブロックチェーン技術について解説し、その将来性について考察していきます。

ステーブルコインとは?

ステーブルコインとは、価格変動が少なくなるよう設計された仮想通貨の総称です。
言葉の意味から紐解くと、下記の意味です。

  • ステーブル(Stable):安定した、変動のない
  • コイン(Coin):仮想通貨

ビジネスで利用する通貨には、価格が安定していることが必要です。通貨の価格が大きく変動すると、価格設定を頻繁に更新しなればなりません。また、保有する通貨の価格変動リスクについても考慮し続ける必要があります。

出典:bittimes

ステーブルコインは、ビットコイン(BTC)やイーサリアム(ETH)のようなボラティリティ(価格変動)の高い仮想通貨とは異なり、基本的には価格が安定しています。それゆえ、デジタル世界における新たな基軸通貨としての普及が期待されています。

ステーブルコインにはいくつかの種類があり、最も人気のある「テザー(USDT)」を始め、これまでに世界中で多くのステーブルコインが発行されてきました。

「紙幣や硬貨というアナログな貨幣」に代わる「中央銀行デジタル通貨(CBDC)」という概念が注目を集めつつある中で、昨今はステーブルコインへの関心も急速に高まってきています。

ステーブルコインが注目される理由

ステーブルコイン誕生の背景

仮想通貨の元祖であるビットコインは、デジタル世界における基軸通貨となるべく2009年に誕生しました。しかし、結果的にそのボラティリティの大きさから、基軸通貨としての信頼を完全に得るまでには至っていません。

出典:pixabay

ビットコインに限らずこれまでの仮想通貨は全般的にボラティリティが大きく、「仮想通貨」は現時点では従来の通貨のように使うのは難しいという状況にあります。

そこで、ブロックチェーン上で既存の通貨や資産を担保として、より安定した暗号資産を発行する取り組みが立ち上がりました。こうして、価格が安定している仮想通貨「ステーブルコイン」が誕生したのです。

次項では、ステーブルコイン誕生の基盤となった「ブロックチェーン」技術についても少し触れておきます。

ブロックチェーンとは

ブロックチェーンは新しいデータベース(分散型台帳)

ブロックチェーン(blockchain)は、2008年にサトシ・ナカモトによって提唱された「ビットコイン」(仮想通貨ネットワーク)の中核技術として誕生しました。

ビットコインには、P2P(Peer to Peer)通信、Hash関数、公開鍵暗号方式など新旧様々な技術が利用されており、それらを繋ぐプラットフォームとしての役割を果たしているのがブロックチェーンです。

ブロックチェーンの定義には様々なものがありますが、ここでは、「取引データを適切に記録するための形式やルール。また、保存されたデータの集積(≒データベース)」として理解していただくと良いでしょう。

一般に、取引データを集積・保管し、必要に応じて取り出せるようなシステムのことを一般に「データベース」と言いますが、「分散型台帳」とも訳されるブロックチェーンはデータベースの一種であり、その中でも特に、データ管理手法に関する新しい形式やルールをもった技術です。

ブロックチェーンは、セキュリティ能力の高さ、システム運用コストの安さ、非中央集権的な性質といった特長から、「第二のインターネット」とも呼ばれており、近年、フィンテックのみならず、あらゆるビジネスへの応用が期待されています。

ブロックチェーンの特長・メリット(従来のデータベースとの違い)

ブロックチェーンの主な特長やメリットは、①非中央集権性、②データの対改竄(かいざん)性、③システム利用コストの安さ④ビザンチン耐性(欠陥のあるコンピュータがネットワーク上に一定数存在していてもシステム全体が正常に動き続ける)の4点です。

これらの特長・メリットは、ブロックチェーンが従来のデータベースデータとは異なり、システムの中央管理者を必要としないデータベースであることから生まれています。

分散台帳とは.jpg

ブロックチェーンと従来のデータベースの主な違いは次の通りです。

従来のデータベースの特徴 ブロックチェーンの特徴
構造 各主体がバラバラな構造のDBを持つ 各主体が共通の構造のデータを参照する
DB それぞれのDBは独立して存在する それぞれのストレージは物理的に独立だが、Peer to Peerネットワークを介して同期されている
データ共有 相互のデータを参照するには新規開発が必要 共通のデータを持つので、相互のデータを参照するのに新規開発は不要

ブロックチェーンは、後に説明する特殊な仕組みによって、「非中央集権、分散型」という特徴を獲得したことで、様々な領域で注目・活用されているのです。

👉参考記事:『ブロックチェーン(blockchain)とは?仕組みや基礎知識をわかりやすく解説!

ステーブルコインのメリット

ステーブルコインのメリットは、これまでもご紹介してきたように「価格が安定していること」です。価格の暴落リスクに晒されないという点と、ボーダレスかつ低い手数料でのデジタル決済・送金が実現できる点を踏まえ、「国境を超えた法定通貨としての機能」も期待されています。

2021年5月現在、ステーブルコインの主な利用目的は、単なる安全資産としての保有、もしくは仮想通貨暴落時に対する投資資金の一時的な避難先(利確先)といった仮想通貨トレードでの利用が一般的です。しかし、その安定性と汎用性の高さから、将来的にはブロックチェーン上の経済圏全体の主要な価値交換手段となる可能性があります。

ステーブルコインの課題と将来性

出典:pixabay

ステーブルコインは、デジタル世界における基軸通貨としての普及が期待されていますが、規制が不明確な点が課題の一つとして挙げられています。

世界的にもステーブルコインに対する法規制の備が追いついていないのが現状で、法整備に先立ちステーブルコインの概念の導入が進んできたため、規制の如何によってはステーブルコイン市場そのものの動向が変わる可能性もあります。

一方で、当然ながらステーブルコインは大きな将来性を秘めていることも間違いないと言えます。先述したように、「国境を超えた法定通貨としての機能」や、自国の通貨を信用できない人々の資産の逃げ先としての役割、仮想通貨の抱える課題を解決する役割など、その必要性は既に十分認知されつつあります。

法定通貨とも従来の仮想通貨とも異なる、新たな暗号資産「ステーブルコイン」。各国の法規制の整備を含め、今後の動向には絶えず注意を払っておきたいところです。

〜ブロックチェーン基礎知識〜「マイニング」

今回は暗号資産に触れるにあたって最も基礎的な知識のひとつ、「マイニング」について解説していきます。また、「マイニング」を理解する上で避けては通れないのが「ブロックチェーン技術」についてです。そこで、本記事では初心者向けに「マイニング」と「ブロックチェーン技術」の基礎知識をご説明します。

マイニング=「暗号資産の採掘」

「マイニング」とは、「ブロックチェーン上で難しい問題を解くこと(承認作業)により、その報酬として新規発行したコインを得ること」を意味します。これは、ビットコインやイーサリアムといった暗号資産で採用されている、コイン獲得方法です。

「マイニング」の元々の言葉の意味は「採掘」、つまり金や石炭などの鉱石を掘り起こすことを言います。そして、それらの鉱石の地球上に存在している量はあらかじめ決まっていて、所有者はもちろん鉱石を掘り当てた本人となります。

出典:pixabay

冒頭でも述べたとおり、暗号資産の分野で「マイニング」というと、「新規発行したコインを得る(掘り当てる)こと」となります。コインを掘り当てる?というとまだまだイメージが沸きにくいかもしれません。そこで、暗号資産にとって「コインを新規発行する」とは一体どういうことなのかを紐解いていきます。

「発行」に関する暗号資産と現金の違い

中央集権型の「現金」の場合

暗号資産の分野での「コインの発行」を解説する前に、私たちにとって最も身近な法定通貨、つまりいわゆる「現金」=日本円の場合はどうなのかを例に見てみましょう。

日本円の発行は、お札の場合は日本銀行が行っており、印刷する枚数は政府が管理しています。日本に限らず世界中の多くの国では、現金の発行量は国や政府などの中央機関が管理しています。つまり、多くの現金は「中央集権型」の管理システムをとっています。

出典:pixabay

また、現金に関する中央集権型の管理システムは、発行だけでなく送金といったお金のやり取りの場合も同様です。例えば、みなさんが手元の現金を誰かに送るとき、現金そのものを郵送するのではなく、銀行ATMを利用して送金するはずです。

このATMも、銀行という中央機関が管理している「中央集権型」の送金システムです。金額、宛先、時刻といった取引履歴は全て、ATMを運用する銀行のサーバーで一元管理をされています。


「暗号資産(コイン)」のほとんどは非中央集権

一方、暗号資産はシステムの中央管理者がおらず、コインの発行は全てプログラムによって自動で行われています。こうした管理手法を「非中央集権型」と言います。現金の中央集権型に対し、暗号資産は「非中央集権型」の管理システムを採用しているのが両者の大きな違いです。

上記の通り、送金、発行する際のセキュリティを担保してくれる中央管理者が暗号資産には存在しません。それでは、暗号資産の管理はどのようにして安全に行われるのでしょうか?それを可能とするのが「ブロックチェーン技術」です。

ブロックチェーンとは

ブロックチェーンは新しいデータベース(分散型台帳)

ブロックチェーン(blockchain)は、2008年にサトシ・ナカモトによって提唱された「ビットコイン」(仮想通貨ネットワーク)の中核技術として誕生しました。

ビットコインには、P2P(Peer to Peer)通信、Hash関数、公開鍵暗号方式など新旧様々な技術が利用されており、それらを繋ぐプラットフォームとしての役割を果たしているのがブロックチェーンです。

ブロックチェーンの定義には様々なものがありますが、ここでは、「取引データを適切に記録するための形式やルール。また、保存されたデータの集積(≒データベース)」として理解していただくと良いでしょう。

一般に、取引データを集積・保管し、必要に応じて取り出せるようなシステムのことを一般に「データベース」と言いますが、「分散型台帳」とも訳されるブロックチェーンはデータベースの一種であり、その中でも特に、データ管理手法に関する新しい形式やルールをもった技術です。

ブロックチェーンは、セキュリティ能力の高さ、システム運用コストの安さ、非中央集権的な性質といった特長から、「第二のインターネット」とも呼ばれており、近年、フィンテックのみならず、あらゆるビジネスへの応用が期待されています。

ブロックチェーンの特長・メリット(従来のデータベースとの違い)

ブロックチェーンの主な特長やメリットは、①非中央集権性、②データの対改竄(かいざん)性、③システム利用コストの安さ④ビザンチン耐性(欠陥のあるコンピュータがネットワーク上に一定数存在していてもシステム全体が正常に動き続ける)の4点です。

これらの特長・メリットは、ブロックチェーンが従来のデータベースデータとは異なり、システムの中央管理者を必要としないデータベースであることから生まれています。

分散台帳とは.jpg

ブロックチェーンと従来のデータベースの主な違いは次の通りです。

従来のデータベースの特徴 ブロックチェーンの特徴
構造 各主体がバラバラな構造のDBを持つ 各主体が共通の構造のデータを参照する
DB それぞれのDBは独立して存在する それぞれのストレージは物理的に独立だが、Peer to Peerネットワークを介して同期されている
データ共有 相互のデータを参照するには新規開発が必要 共通のデータを持つので、相互のデータを参照するのに新規開発は不要

ブロックチェーンは、「非中央集権、分散型」という特徴を獲得したことで、様々な領域で注目・活用されているのです。ブロックチェーンに関して、より詳しい内容を知りたい方は、下記参考記事をご覧いただければと思います。

👉参考記事:『ブロックチェーン(blockchain)とは?仕組みや基礎知識をわかりやすく解説!

「承認」×「コイン発行」の連続=ブロックチェーン

暗号資産の送金には承認作業が必要

先述したように、日本円などの現金の送金は、ATMを管理する銀行によって承認されます。しかし中央管理者がいない暗号資産の取引は、第三者であるマイナー(=マイニングする人)がその役割を担います。

例えば、AさんがBさんにビットコインを送った際に、「AさんがBさんにビットコインを送金した」というデータが本当に正しいかどうかを、世界中のマイナー達が確認します。その確認作業は膨大な計算を必要とする大変難しいもので、高性能のコンピューターを必要とします。

「コイン発行」は承認作業に対する対価

暗号資産の取引を承認することは難しい作業であるため、最初に承認を行った人には対価としてコインが支払われる仕組みとなっています。

出典:pixabay

このコインの新規発行を、鉱石の採掘になぞらえて「マイニング」(=「採掘」)と呼んでいるわけです。

ブロックチェーンの成立

第三者が、AさんとBさんの暗号資産取引を承認し、その対価としてコインを受け取る。この一連の作業が「マイニング」であり、そして「マイニング」により取引記録(トランザクション)が連続することにより「ブロックチェーン」は成立します。

まとめ

本記事では、暗号資産分野における「マイニング」と、その基盤となる「ブロックチェーン」について解説しました。

暗号資産分野は「非中央集権型」で、コインを管理・発行する特定の組織が存在しないため、マイニングによってそれらを担っています。このようにして「取引履歴のネットワークが維持」されることと、「新たなコインを発行する」仕組みが同時になりたっていることが、暗号資産の特徴のひとつです。

PayPalが暗号資産へ参入!ブロックチェーン×暗号資産決済の未来は?

2021年3月、決済大手のPayPalが暗号資産による決済に対応しました。その背景にある「ブロックチェーン」技術と、消費者にとってのメリット・デメリットについて解説します!

PayPalの参入で暗号資産決済が本格的な幕開けを迎える?

PayPalでの決済に暗号資産が使えるように!

米決済大手PayPalが、暗号資産(仮想通貨)市場への参入計画を発表したのは、2020年10月のことです。

同社は世界で3億4600万件ものアクティブユーザー(アカウント)を抱えることから、当時、市場は大いに盛り上がりました。

そしてついに2021年3月30日、「PayPalが、PayPalウォレットを通した暗号資産によるオンライン決済に対応した」とロイターが報じました。

ビットコイン・イーサリアムといった暗号資産(仮想通貨)で気軽に買い物ができる時代が、いよいよ本格的な幕開けを迎えるのでしょうか?

PayPalの今後

ロイターによると、世界中の数百万ものオンラインショップにて、PayPalウォレットを通して以下4種の暗号資産による支払いが可能になるとのことです。

・ビットコイン(BTC)
・イーサリアム(ETH)
・ライトコイン(LTC)
・ビットコインキャッシュ(BCH)

暗号資産による決済手数料は徴収せず、1度の購入に際しては1種類の暗号資産のみ使用可能です。また、消費者による暗号資産決済の場合でも、ショップ側は法定通貨で受け取る(=PayPal内部で換金する)ことができ、今後数ヶ月以内に2900万の加盟店全てで利用できることを目指すとしています。


出典:pixabay

PayPalのCEOであるDan Schulman氏は次のように述べています。

「PayPalウォレット内で、クレジットカードやデビットカードと同じように暗号資産をシームレスに使用できるのは今回が初めてです。私たちは、暗号資産が購入や保有、販売の対象となる資産クラスから、現実世界の何百万ものショップと取引を行うための合法的な資金源となるための重要なターニングポイントになると考えています。」

PayPalは、2020年10月に暗号資産市場への本格的な参入を発表して以降、市場の盛り上がりを牽引してきました。現在は米国内でのサービスにとどまりますが、年内にイギリスへの展開を予定しており、また決済サービスVenmoにも暗号資産事業を拡大する予定です。

暗号資産決済のメリット・デメリット

そもそも暗号資産で決済することのメリット・デメリットは何でしょうか?消費者目線で検証してみましょう。

メリット

「世界中どこでもストレスフリーのキャッシュレス決済が可能」

現在は海外に旅行や出張に行く際、日本円と現地通貨を交換したり、クレジットカードで外貨決済を行ったりする必要があります。ですが、両替には決して安くない手数料が発生するうえ、手間もかかります。
また海外ECでの買い物の際には、クレジットカード決済を行う場合は外貨建てとなり、カード会社所定の為替手数料が発生してしまうのが現状です。


出典:pixabay

一方で、ビットコインなどの暗号資産であれば基本的に世界共通です。そのため、決済のためにわざわざ現地通貨に交換することなく、日本で入手した暗号資産をそのまま世界中で利用することができ、為替手数料などは発生しません。オンライン決済においても同様です。

デメリット

「価格変動が激しく、確定申告が必要」

暗号資産の価格変動は激しく、保有しているだけで大きく対日本円価値が上下します。そのため、日常の決済手段としては家計の管理が難しくなってしまいます。

また日本国民は、暗号資産の売買によって生じた為替差損益の確定申告が必要になります。


出典:pixabay

決済に用いた時点で原則として確定申告の対象になってしまうため、損益の計算や確定申告を行う手間が発生することになってしまいます。この手間を考えると、日本の一般消費者にとっては暗号資産決済は少しハードルが高いかもしれません。

ブロックチェーン×暗号資産決済


暗号資産決済を可能にした「ブロックチェーン」という技術

今回のPayPalの暗号資産決済への対応の背景には「ブロックチェーン」というデータ管理技術の存在があります。

ブロックチェーンの技術は、暗号資産のみならず、例えば管理者不在のデータプラットフォームや第三者を介さない不動産取引など、既存の経済体制のあり方を変革するような方向性で、ビジネス活用される傾向にあります。

この「ブロックチェーン」に関して、もう少し深堀りしてみましょう。

ブロックチェーンは新しいデータベース(分散型台帳)

ブロックチェーン(blockchain)は、2008年にサトシ・ナカモトによって提唱された「ビットコイン」(仮想通貨ネットワーク)の中核技術として誕生しました。

ビットコインには、P2P(Peer to Peer)通信、Hash関数、公開鍵暗号方式など新旧様々な技術が利用されており、それらを繋ぐプラットフォームとしての役割を果たしているのがブロックチェーンです。

ブロックチェーンの定義には様々なものがありますが、ここでは、「取引データを適切に記録するための形式やルール。また、保存されたデータの集積(≒データベース)」として理解していただくと良いでしょう。

一般に、取引データを集積・保管し、必要に応じて取り出せるようなシステムのことを一般に「データベース」と言いますが、「分散型台帳」とも訳されるブロックチェーンはデータベースの一種であり、その中でも特に、データ管理手法に関する新しい形式やルールをもった技術です。

ブロックチェーンは、セキュリティ能力の高さ、システム運用コストの安さ、非中央集権的な性質といった特長から、「第二のインターネット」とも呼ばれており、近年、フィンテックのみならず、あらゆるビジネスへの応用が期待されています。

ブロックチェーンの特長・メリット(従来のデータベースとの違い)

ブロックチェーンの主な特長やメリットは、①非中央集権性、②データの対改竄(かいざん)性、③システム利用コストの安さ④ビザンチン耐性(欠陥のあるコンピュータがネットワーク上に一定数存在していてもシステム全体が正常に動き続ける)の4点です。

これらの特長・メリットは、ブロックチェーンが従来のデータベースデータとは異なり、システムの中央管理者を必要としないデータベースであることから生まれています。

分散台帳とは.jpg

ブロックチェーンと従来のデータベースの主な違いは次の通りです。

従来のデータベースの特徴 ブロックチェーンの特徴
構造 各主体がバラバラな構造のDBを持つ 各主体が共通の構造のデータを参照する
DB それぞれのDBは独立して存在する それぞれのストレージは物理的に独立だが、Peer to Peerネットワークを介して同期されている
データ共有 相互のデータを参照するには新規開発が必要 共通のデータを持つので、相互のデータを参照するのに新規開発は不要

ブロックチェーンは、後に説明する特殊な仕組みによって、「非中央集権、分散型」という特徴を獲得したことで、様々な領域で注目・活用されています。

👉参考記事:『ブロックチェーン(blockchain)とは?仕組みや基礎知識をわかりやすく解説!

ブロックチェーン×暗号資産決済の普及事例は?


ビックカメラ

画像出典:COIN OTAKU

日本最大の仮想通貨・ブロックチェーン企業であるbitFlyerのシステムを使用し、2017年4月に一部店舗でビットコインによる決済サービスを試験的に導入。想定よりも利用が多かったことから、その後ビックカメラ全店舗へ順次拡大した。

マスターカード(Mastercard)

画像出典:coindesk JAPAN

2021年2月マスターカード(Mastercard)は、加盟店が客の暗号資産での決済を行える機能を2021年後半に提供すると、発表しました。現時点ではどの暗号通貨を取り扱うかは発表されていません。これについては、コンプライアンス対策などの要件を今後検討するとしています。

PayPalの展望

今回は、決済大手PayPalが決済方法として「暗号資産」を導入した話題をご紹介しました。

PayPalを皮切りに、マスターカードやVisaなど、決済プラットフォーム大手の暗号資産事業への注力が著しい状況が続いています。

さらにPayPalは2021年5月、ステーブルコイン(=より安定した価格を実現するように設計された暗号資産)への対応を進める計画を進めていることが分かっています。

PayPal含め、決済業界は今後さらに暗号資産に関する取り組みを加速していくことでしょう。

中国のブロックチェーンを金融・非金融の軸で理解する〜デジタル人民元からBSNまで〜

2025年に397億米ドルへの成長が予測されるブロックチェーン市場を牽引する中国。CBDCのデジタル人民元を守るために仮想通貨を規制する一方、4大商業銀行や公共事業を中心に研究開発と技術発展が進んでいます。2020年の最新事情に迫ります!

なお、ブロックチェーンの過去、現在、今後について、概念の全体像を学びたい方は、次の記事も併せてご覧ください。
→ 参考記事:『ブロックチェーン(blockchain)とは?仕組みや基礎知識をわかりやすく解説!』

中国ブロックチェーン市場動向を理解する

拡大を続けるブロックチェーン市場

2020年8月現在、ブロックチェーンを応用したビジネスには様々なものがあります。

当初は、金融分野、とりわけ暗号資産(ビットコインなどいわゆる「仮想通貨」)のみに関係した「怪しい」技術だと思われがちだったブロックチェーンも、2020年で100〜200億円、2025年には1000億円を超える国内市場を形成し、世界全体では2020年の30億米ドルから2025年には397億米ドルへと拡大するとの見解も発表されています。

こうした市場拡大の背景には、IoTやAI等の技術進化を土台とした世界的なDX(デジタルトランスフォーメーション)の発展とそれに伴うサイバーセキュリティ需要の拡大、キャッシュレス化の進展、ますます顧客重視の傾向が強まるマーケティング、巨大プラットフォーム企業の出現に対抗する形で進むアライアンスやM&A等の業界再編など、インターネットのインパクトが数十年かけてもたらした大きな社会変革の波があります。

堅牢なセキュリティ能力を誇るデータベースであり、「自律分散」をその技術思想としてもつブロックチェーンは、こうした社会変革を支える根幹技術として、今後の世界の社会基盤となりうる可能性を秘めているのです。

事実、世界経済フォーラムの発表によると、「2025年までに世界のGDPの10%までがブロックチェーン上に蓄積されるようになる」との予測もなされるほどに、21世紀におけるブロックチェーンの存在感は大きくなりました。

ブロックチェーンを牽引する中国

拡大を続けるブロックチェーン市場の中でも、ひときわ存在感を増しているのが中国です。

後にも触れるように、中国におけるブロックチェーンの研究開発や産業応用は、日本とはとても比べ物にならないほどのレベルで進んでいると言われています。

下図は、2020年時点でのブロックチェーンに関する特許市場におけるシェアを表しています。

このグラフからも明らかなように、世界全体のうちの実に7割を中国が占めており、2番手である米国の6倍近くあります。

日本が3%ほどしかないことを考えると、この特許市場のシェア、そしてその前提である特許出願数の多さは、中国マーケットの大きな特徴、強みの一つだと考えられます。

出典:BLOCK INSIGHT

こうした進展の背景として、中国では、官民を挙げてブロックチェーンの技術開発に取り組んでいます。

たとえば、2020年に、中国の国家ブロックチェーンインフラプロジェクト「BSN(Blockchain-Based Services Network)」が、イーサリアムやイオス、テゾスなどを含む6種類のパブリックブロックチェーンを統合することが判明しました。

また、中国建設銀行ブロックチェーンを活用した国際ファクタリング、中国農業銀行ブロックチェーンを活用した住宅ローン、中国工商銀行ブロックチェーンを活用したサプライチェーンファイナンスなど、大手企業各社による金融領域でのブロックチェーン活用が当たり前のように行われている他、ビットコインを支えるデータマイニングのほとんどは中国国内の工場で行われるなど、あらゆる面からブロックチェーンが社会に浸透しています。

こうした中国の状況は、日本でいまだに「ブロックチェーンって何?」「ビットコインって何か事件になってた怪しい投資手法でしょ?」といった人が多く、ブロックチェーンのビジネス活用が一向に進まない現状とは大きくかけ離れています。

したがって、日本におけるブロックチェーンのビジネス活用や産業応用を考えていく上で、中国の先例に学んでいくことには価値があると言えるでしょう。

ブロックチェーンビジネスを理解するための「軸」

中国のブロックチェーン事情を整理するために、まず、ブロックチェーンビジネス一般を理解するための軸を用意しましょう。

ブロックチェーンビジネスは、基本的に、金融/非金融/ハイブリッドの3領域に大別されます。

ここでいう「金融領域」とは、平たく言えば「Fintech」と言われる領域のことで、より正確には「暗号資産(=仮想通貨)を活用した領域」と考えてください。

暗号資産は、かつては「仮想通貨」と呼ばれており、いまだにその呼称の方が馴染み深い方も多いでしょうが、2019年3月15日に暗号資産に関する法改正が閣議決定され、呼称の変更が行われました。

こうした暗号資産を用いたビジネスが、ブロックチェーンビジネス第一の領域です。

これに対して、暗号資産ではなく、データの対改竄性やP2Pネットワーク、スマートコントラクトなど、ブロックチェーンの技術そのものを応用した産業・業務変革も盛んに行われています。

こうした「非金融」なビジネスが、ブロックチェーンビジネス第二の領域です。

基本的には、これら2つの領域に分けられますが、少しややこしい問題として、「非金融ながら暗号資産を活用する」ハイブリッドな領域も存在しています。

例えば、「トークンエコノミー」と呼ばれるビジネスモデルでは、ネットワーク独自に発行された暗号資産、つまりトークンをビジネス上の通貨として利用していますが、その目的は、暗号資産の運用益そのものではなく、あくまでトークンを活用した経済圏の構築と経済圏内の取引の活性化にあります。

このように、ブロックチェーン×金融の結晶である暗号資産を用いながら、非金融領域の課題解決を目指すような「金融×非金融」のハイブリッドなビジネスが、ブロックチェーンビジネス第三の領域です。

本記事では、この「金融/非金融」という軸から、中国のブロックチェーンマーケットについて概説してまいります。

なお、弊社では、非金融領域でのブロックチェーンビジネスについては、事業化するための3つのポイントをおすすめしています。

この点については、本記事ではなく、下記の記事に詳しく解説しておりますので、あわせてご覧ください。

👉参考記事:『ブロックチェーンのビジネス活用は非金融がアツい!事業化3つの視点とは?

金融領域における中国のブロックチェーン市場動向

視点①:デジタル人民元

中国における金融領域の適用先としては、「デジタル人民元」を避けて通ることはできません。

デジタル人民元は、「中央銀行デジタル通貨」(CBDC:Central Bank Digital Currency)の一種で、中央銀行が発行し、デジタル形式をとる法定通貨(中国なので”元”)のことです。

中国当局は、2020年中には地方レベルのテストを終え、2021年には、全国的な展開を図っていく予定としています。

デジタル人民元は、中国人民銀行によるとP2Pではないので技術的にはブロックチェーンというわけではありません。

しかし、次の二つの理由から、ここではまずあえてデジタル人民元について取り上げることとします。

  • デジタル人民元の仕組みはビットコインで用いられている通貨管理手法であるUTXO(Unspent Transaction Output、未使用トランザクションアウトプット)構造を取っていると言われている
  • 思想的文脈ではブロックチェーンを踏まえて理解する必要がある

そこで、本記事では、次の3つの方向性から、デジタル人民元の取組を捉えていくことにします。

  1. 「先進国の金融システムに追いつくための取組」としてのデジタル人民元
  2. 「基軸通貨米ドルに対する挑戦のひとつ」としてのデジタル人民元
  3. 「人民を縛りつけるデジタルの鎖」としてのデジタル人民元

(1)「先進国の金融システムに追いつくための取組」としてのデジタル人民元

人口第一位、GDP世界2位を誇る中国は、マーケットの規模こそ大きいものの、金融システムは内陸部を中心に大きく遅れているのが現状です。

既存のシステムが不完全であり、置き換えられるべき金融システムがないため、中国では金融領域に対する大胆な投資が可能となっています。

他方、アメリカや日本では事情が異なります。

両国ではすでに既存の金融システムが高いレベルで運用されており、新しいシステムと置換するには大きなコストやリスクが生じてしまいます。

そのため、中央銀行デジタル通貨の取り組みにおいても慎重にならざるを得ません。

こうしたことを背景に、中国は中央銀行デジタル通貨の導入によって、アメリカや日本の先を行ける勝算が高いのです。

つまり、デジタル人民元は中国にとって、先進国の金融システムに追いつくための取組としての意義があると考えられます。

(2)「基軸通貨米ドルに対する挑戦のひとつ」としてのデジタル人民元

デジタル人民元の別の側面は、基軸通貨米ドルに対する挑戦者としての性格です。

これまで、基軸通貨としての米ドルに対して、多方面からの挑戦が行われてきました。

記憶に新しいもので言えば、仮想通貨であるビットコインでしょう。

しかし、元々ビットコインは「中央銀行に対するオルタナティブ」として構想されましたが、”サトシ・ナカモト”はFRB(連邦準備制度)に対する最初の挑戦者ではありません。

ビットコイン以前にも、米ドル圏の内部としてはクレジットカード、ペイパルなどが、また、米国外では独仏がユーロを作り、ロシアはルーブル建の原油取引を推進しました。

ビットコインのみならず、デジタル人民元もそうした流れの中に位置付けてみることができます。

国際政治において主導権を握りたい中国にとって、この挑戦は非常に重要な意味を持ちます。

今後の国際政治では、途上国へのデジタル通貨の浸透がひとつの戦場となると言われており、中国は負債漬けにした途上国に対してデジタル人民元を普及させることで、それらの国々を中国側陣営として固定化することを狙っていると言われているのです。

これに対して、途上国をアメリカ側陣営につなぎとめるためのデジタル通貨は、(消去法で考えると)Facebookの”リブラ”しかありません。

しかし、現状では、ザッカーバーグはアメリカ保守層の理解を得るのに苦労していると言われています。

この状況を鑑みると、中国がデジタル人民元の導入に力を注ぐ理由も理解できるでしょう。

(3)「人民を縛りつけるデジタルの鎖」としてのデジタル人民元

デジタル人民元では、中国人民のすべての経済活動が中国共産党に対してつまびらかにされます。

表向きは「新しい形式の法定通貨」ですが、その本質は、政府が運営する巨大な台帳です。

したがって、脱税も密輸も反政府活動も、台帳を見れば一発で”バレて”しまいます。

あるいは、自由主義や民主主義を吹聴する電子書籍を購入した人民もすぐに炙り出されるでしょう。

本来であれば、ブロックチェーンやそれに類する技術(UTXOなど)は、非中央集権的な性格にその意義と本質があります。

しかし、こうした文脈においては、残念ながらブロックチェーンは中央管理者を繋ぎ止める「真実の鎖」ではなく、人民を縛りつける「支配の鎖」として利用される恐れがあります。

中央管理社会の比喩としてよく使われる、「1984」「華氏451度」のようなディストピア的世界も、デジタル人民元の導入によって、いよいよ目の前に示現し始めるのかもしれません。

視点②:暗号資産(仮想通貨)

上でみたデジタル人民元の導入背景をみると自ずと明らかなことですが、中国においては、暗号資産(仮想通貨)は厳しく規制されてきました。

規制の歴史を時系列順に並べると、次の通りです。

  • 2013年12月、ビットコインに対する警告
  • 2017年9月、ICOの全面的禁止
  • 2019年11月、再度取引所への警告
  • 2019年12月、改めてICOプロジェクトを規制
  • 2020年1月、「暗号法」制定

ここでは、それぞれの事柄の詳細には触れませんが、中国が一貫して暗号資産に対して厳しい姿勢を取り続けていることは明らかです。

なお、詳しい経緯は下記の記事にわかりやすくまとまっているため、ご参照ください。

→参照:BLOCK INSIGHT「中国の仮想通貨規制を時系列で解説:デジタル人民元を許容する訳とは」

視点③:大手企業

暗号資産の規制が続く一方で、中国では、4大商業銀行を中心に、大手企業による金融領域でのブロックチェーン活用が進んでいます。

大手企業によるブロックチェーン活用には、例えば次のような事例があります。

  • 中国建設銀行:ブロックチェーンを活用した国際ファクタリング
  • 中国農業銀行:ブロックチェーンを活用した住宅ローン
  • 中国工商銀行:ブロックチェーンを活用したサプライチェーンファイナンス
  • アリババ:ブロックチェーンを活用したオンライン保険の「相互宝」

アリババが提供している「相互宝」は、加入が無料で、加入者が病気になったとき、加入者全体で保険金を分担するという内容のオンライン保険です。

この事例で注目すべきは、契約者情報や請求データといった情報の管理・共有、不正防止などの機能にブロックチェーンがうまく活用されている点です。

ブロックチェーンの本質は、「データの対改竄性」と「非中央集権性」にあります。

中国の超巨大企業による無料オンライン保険という新規性の高い事業で使われているからといって、特別なことをしているわけではなく、ブロックチェーンのもつ性質をうまくビジネスモデルに利用して信頼性の高いサービスを展開しているという見方をすべきでしょう。

非金融領域における中国のブロックチェーン市場動向

視点①:真贋判定

非金融領域における中国のブロックチェーン活用のうち、もっとも特徴的な技術の適用対象は「真贋判定」でしょう。

真贋判定とは、ある財・サービスが「本物かどうか」を見極めることです。

これまでも度々ニュース等で取り上げられてきた通り、中国市場は偽造品の多さに特徴があります。

クラウドファンディング等で発表された新製品が、実際に出荷される前に安価にコピーされて利益余地を失ってしまうことに対して、「山寨死(Shānzhài sǐ)」という名前がつけられるほど、中国における「パクリ」問題は日常にあふれています。

そのため、中国市場における真贋判定は日本とは比較にならないほど高い価値をもちます。

そこで、導入されるのがブロックチェーンです。

データの改竄性の高さに加え、学位証明やサプライチェーンのトレーサビリティ向上によく利用されるほどの高い追跡性をもつブロックチェーンを利用することで、「山寨」に歯止めをきかせることができるのではないかと期待されています。

この真贋判定サービスとしてユニークな事例に、「天水リンゴ」があります。

出典:Blockchain Business & Solution

元々、ブランド力のあるリンゴとして有名だった天水リンゴですが、近年、天水リンゴの名前を語った偽物が市場に出回り被害を受けてしまっていたことを受け、ブロックチェーンを活用した対策に乗り出しました。

天水リンゴでは、上図のように、リンゴにQRコードのフィルムを貼り付けて日焼けさせることで、自社ブランドの真贋判定を可能にしています。

視点②:公共事業

中国では、公共領域でも積極的にブロックチェーンの技術導入が進んでいます。

公共領域へのブロックチェーン導入として有名な例は、公共調達の入札への適用でしょう。

実際の事例として、2020年6月23日より、中国雲南省の昆明市で、中国初のブロックチェーンを活用した入札プラットフォーム「Kun­y­il­ian (昆易链) 」が運用を開始しています。

Kun­y­il­ianは、北京のテクノロジー企業「Bei­jing Zhu­long」が、テンセントのTBaaS(Tencent Blockchain as a Service)システムを土台にブロックチェーン技術を応用・開発したプラットフォームで、試験運用中にも、公式の入札データに関連する約6万のブロックチェーン証明書が発行されたとされています。

また、同プラットフォームに技術提供を行なったテンセントは、すでにブロックチェーン技術を用いたサービスを複数展開しており、深センの地下鉄でブロックチェーンによる電子請求書発行システムを配備しています(CoinPost)。

こうした動きを皮切りに、今後、中国では、公共領域への技術導入がますます進んでいくと考えられます。

視点③:研究開発

本記事での冒頭でも触れた通り、中国では、政府が積極的にブロックチェーンを始めとするインフラ投資を進めており、研究開発も日本とは比べ物にならないスピードで進んでいると言われています。

すでに紹介した中国の国家ブロックチェーンインフラプロジェクト「BSN(Blockchain-Based Services Network)」が6種類のパブリックブロックチェーンを統合する出来事をみても、そのスピードは明らかです。

BSNの統合では、8月10日にローンチされるBSNの海外版「BSN International Portal」に対して、イーサリアム、イオス、テゾス、Nervos、ネオ、IRISnetが統合されることで、6種類のブロックチェーンの開発者が、BSNが海外に設置するデータセンターのストレージや帯域などのリソースを活用して、dApps(分散型アプリケーション)の開発が行えるようになります(CoinPost)。

また、中国の工業和信息化部(MIIT、日本の経済産業省に相当)は、2020年5月14日、Tencent(騰訊)、Huawei(華為)、Baidu(百度)、JD(京東)、Ping An(平安)などの企業が、ブロックチェーンや分散型台帳技術の国家標準の設定を目的とした新しい委員会に参加すると発表しています(THE BRIDGE)。

同委員会には、MIIT、地方自治体、シンクタンク、大学、スーパーコンピューティングセンター、ハイテク企業から71人の研究者と専門家が集められており、MIITの次官であるChen Zhaoxiong氏が委員長を務める他、5名の副長は中国人民銀行のデジタル通貨研究院の1名を含めて、全て政府のスタッフで構成されています(HEDGE GUIDE)。

こうした官民をあげた取り組みは、ブロックチェーン技術の研究開発を推し進めるのみならず、技術を社会実装する道を斬り開くためにも重要な動きです。

今後、中国のブロックチェーン技術はさらに発展を遂げるでしょう。