ブロックチェーン×「NFT」〜NFTの基礎と活用事例〜

2021年に入り、「NFT」というキーワードがブロックチェーン関連のトピックスとして話題になってきています。「NFT」ってそもそも何のこと? 一体なにができるものなの? という疑問に対して、その背景にあるブロックチェーン技術と、実際のNFTの活用事例を交えて解説していきます。

今、NFTが熱い!

NFTは2021年初頭から急激に取引量が伸びている非代替性のトークンです。

2021年3月22日には、『Twitter』の共同創設者兼最高経営責任者(CEO)のジャック・ドーシー(Jack Dorsey)によって2006年に呟かれた”初ツイート”がNFTとしてオークションに出品され、約3億1500万円という驚愕の金額で売却され大きな話題を集めました。

出典:IT media NEWS「TwitterのドーシーCEOの初ツイートNFT、3億円超で落札 全額寄付

この他にも、NFTとして出品されたアートや音楽は、数十億を超える金額で取引されており、まさにNFTバブルと言えるような状況になっています。

NFTは、まさに現在最も注目されている仮想通貨領域と言えるでしょう。

NFTとは?

そもそも「トークン」とは?

NFTは、トークンの一種です。

そこで、まずはトークンを簡単に理解することから始めてみましょう。

そもそも、トークン(token)は原義的に、「しるし」「象徴」「記念品」「証拠品」を指す言葉です(Wikipedia)。

しかし、ビジネス活用の文脈では、これら原義通りの意味よりも、むしろそこから派生した下記2つの意味が重要になります。

  1. 使える場所、交換対象などが限られている「代用貨幣」のこと
  2. 一回だけ、使い捨ての認証権限のこと

これらの意味から、ビジネスにおいてトークンがどのようなイメージで活用されているかが見えてきます。

すなわち、トークンは、「法定通貨や暗号資産(仮想通貨)と違って、交換対象を限定した小さな経済圏を回すための使い捨て貨幣」として用いられています。

こうした定義からもわかるように、近年、NFTを始めとした、ブロックチェーンの技術を活用したトークンビジネスがトレンドとなり始めています。

暗号資産であるビットコインの副産物として生まれたブロックチェーンは、そもそもの技術的思想が「非中央集権的」です。

「分散型台帳」とも訳されるブロックチェーンは、中央管理を前提としている従来のデータベースとは異なり、常に同期されており中央を介在せずデータが共有できるので参加者の立場がフラット(=非中央集権、分散型)という特徴を備えています。

したがって、ブロックチェーンの技術は、暗号資産のみならず、例えば管理者不在のデータプラットフォームや第三者を介さない不動産取引など、既存の経済体制のあり方を変革するような方向性で、ビジネス活用される傾向にあります。

トークンの種類

ブロックチェーンを活用したトークンには、様々な種類があります

代表的なトークンの種類と概要は、次の4つです。

(他にも、Transaction TokenやGovenance Tokenといった種類もありますが、概念自体が難しい上に使用される頻度もあまり多くはないため、ここでの説明は割愛します。)

区別のポイント トークンの種類 意味 身近な例
トークン自体に金銭的価値が認められるか? Utility Token

(ユーティリティトークン)

具体的な他のアセットと交換できて初めて資産性が出てくるトークン ・パチンコ玉

・図書券

・電車やバスの切符

・遊園地の入場券

Security Token

(セキュリティトークン)

それ自体に金銭的価値が認められるトークン ・株券

・債権

トークンを相互に区別するか? Fungible Token …(*)

(ファンジブルトークン)

メタ情報如何にかかわらず区別されないトークン ・純金

(→誰がどこで所有する金1グラムも同じ価値をもつ)

Non Fungible Token

(ノンファンジブルトークン)

同じ種類や銘柄でも個別に付与されたメタ情報によって区別されるトークン ・土地

(→銀座の1平米と亀有の1平米は同じ単位だが価値が異なる)

👉参考記事:『【ブロックチェーン】トークンのビジネス活用〜STO、Utility Token〜

NFT=Non Fungible Token

NFTとは、Non Fungible Tokenの略です。

Non Fungibleとは「代替不可能な」という意味になります。

例えば、Non Fungibleなものの一例としてコンサートチケットが挙げられます。

コンサートチケットにはチケット一つ一つにコンサートの開催日時、場所、座席位置、購入者の名前など独自の情報が含まれています。

そのため、Aさんが持っているチケットはBさんが持っているチケットとは異なる物なので、交換すると開催日時や座席位置などが変わってしまいます。

つまり、コンサートチケットなどの一点物は、代わりの何かと交換することはできないので、「Non-Fungible=代替不可能な」ものだと言えます。

逆に「Fungible=代替可能な」ものの代表的な例として、”円”などの通貨が挙げられます。

例えば、Aさんが持っている100円玉とBさんの100円玉は同等の価値であり、交換することができる「代替可能」なものです。

冒頭でもお伝えした通り、NFTとはNon Fungible Token━━「代替不可能なトークン」という意味です。このNFTによって「このトークンを誰が保有しているのか」を明確にすることができ、「一点物のアイテムの所有権を証明するもの」としての利用が期待されています。

ブロックチェーンとは?

ブロックチェーンは新しいデータベース(分散型台帳)

ブロックチェーン(blockchain)は、2008年にサトシ・ナカモトによって提唱された「ビットコイン」(仮想通貨ネットワーク)の中核技術として誕生しました。

ビットコインには、P2P(Peer to Peer)通信、Hash関数、公開鍵暗号方式など新旧様々な技術が利用されており、それらを繋ぐプラットフォームとしての役割を果たしているのがブロックチェーンです。

ブロックチェーンの定義には様々なものがありますが、ここでは、「取引データを適切に記録するための形式やルール。また、保存されたデータの集積(≒データベース)」として理解していただくと良いでしょう。

一般に、取引データを集積・保管し、必要に応じて取り出せるようなシステムのことを一般に「データベース」と言いますが、「分散型台帳」とも訳されるブロックチェーンはデータベースの一種であり、その中でも特に、データ管理手法に関する新しい形式やルールをもった技術です。

ブロックチェーンは、セキュリティ能力の高さ、システム運用コストの安さ、非中央集権的な性質といった特長から、「第二のインターネット」とも呼ばれており、近年、フィンテックのみならず、あらゆるビジネスへの応用が期待されています。

ブロックチェーンの特長・メリット(従来のデータベースとの違い)

ブロックチェーンの主な特長やメリットは、①非中央集権性、②データの対改竄(かいざん)性、③システム利用コストの安さ④ビザンチン耐性(欠陥のあるコンピュータがネットワーク上に一定数存在していてもシステム全体が正常に動き続ける)の4点です。

これらの特長・メリットは、ブロックチェーンが従来のデータベースデータとは異なり、システムの中央管理者を必要としないデータベースであることから生まれています。

分散台帳とは.jpg

ブロックチェーンと従来のデータベースの主な違いは次の通りです。

従来のデータベースの特徴 ブロックチェーンの特徴
構造 各主体がバラバラな構造のDBを持つ 各主体が共通の構造のデータを参照する
DB それぞれのDBは独立して存在する それぞれのストレージは物理的に独立だが、Peer to Peerネットワークを介して同期されている
データ共有 相互のデータを参照するには新規開発が必要 共通のデータを持つので、相互のデータを参照するのに新規開発は不要

ブロックチェーンは、後に説明する特殊な仕組みによって、「非中央集権、分散型」という特徴を獲得したことで、様々な領域で注目・活用されているのです。

👉参考記事:『ブロックチェーン(blockchain)とは?仕組みや基礎知識をわかりやすく解説!

NFTが注目されている理由

ブロックチェーン技術はすでにフィンテック分野などで活用されていますが、NFTの「代替不可能」という特色を追加することで、さらに他の分野での活用が広がることが期待されています。

具体的には、NFTを用いることにより、様々なものの固有の価値を証明することが可能になります。

例えば、アートの分野です。アートにおいて、オリジナルを所持する価値とインターネットでコピーを見る・ダウンロードする価値は違うと捉えられています。


出典:pixabay

従来型の美術品で例えると、モナリザの絵画を所有する価値とインターネット上でモナリザを見て、スクリーンショットを撮って保存する価値は異なります。

同様に、「デジタルアート作品の作者本人によって、オリジナルであることが証明されたファイルを所持すること」自体の価値は高いと考えられます。NFTによって、これまで真贋証明が困難だったデジタルアートに対して、本物であることの証明が可能になるのです。

今後も他のトークンにはない特色を持つNFTが、あらゆる分野の真贋証明に利用できるのではないかと注目を集めています。

👉参考記事:『ブロックチェーン技術が真贋証明に応用できるワケ〜LVMH、集英社など事例多数〜

ブロックチェーン×NFTの事例

ゲーム分野

出典:pixabay

現在のところ、もっとも認知されているNFTの活用事例がゲーム分野での利用です。

NFT技術を利用することで、自分が取得した一点物のキャラクターやアイテムをプレイヤー同士で売買することや、取得したキャラクターやアイテムを他のゲームで使うことも可能になります。ゲーム内で育成したキャラクターなどは二次流通市場で取引され、パラメータやレアリティが高いほど高値で取引されています。

「CryptoKitties(クリプトキティーズ)」以外では、「My Crypto Heroes(マイクリプトヒーローズ)」や「Etheremon(イーサエモン)」といったゲームにもNFTが活用されています。

今後も、NFTの特色を生かしたブロックチェーンゲームが次々にリリースされることが期待されています。

アート分野

出典:pixabay

絵画やイラスト、写真などのアート作品は、これまではモノとして取引されるのが一般的でした。しかし、NFTによって無形のアセットにも所有権を付与できるようになったことで、デジタルアートにも希少価値を持たせることが可能になりました。

リアルアートに比べて簡単に複製できるデジタルアートはその希少性を担保することが困難でしたが、NFTの技術により「一点物のデジタルアート」が実現可能になるのです。その結果、美術品としての価値も向上し、必然的に投資財としての魅力度も高まっていくと言えるでしょう。

それに伴い、Nifty Gateway(ニフティ ゲートウェイ)やSuperRare(スーパーレア)など、デジタルアートの取引を専門に行うマーケットプレイスが現れ、投機目的で市場に参加するトレーダーが増加しました。

デジタルアートが高値で取引された例としては、2020年12月にデジタルアーティストのBeepleが「EVERYDAYS」シリーズの中から出品した21点の作品が、Nifty Gatewayで合計350万ドル(約3億7,300万円)以上の売上を記録し、話題になりました。

また、2021年2月には、24×24ピクセルのドット絵アイコンのキャラクターが特徴的なCryptoPunks(クリプトパンクス)」の中の1作品が、650ETH(当時のレートで約1億3,500万円)で売買されました。

マーケットプレイス

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上記で挙げた、ゲーム内のデータや、デジタルアートといった同じブロックチェーン基盤で発行されたNFTは、ゲームなど個別のアプリケーション外で(ブロックチェーン上で)取引可能です。そこで、こうした取引を行うためのNFT専用のマーケットプレイスも存在します。

サービスとしては2017年末にアルファ版をローンチした「OpenSea」が最大手ですが、NFT化されたデジタルアートのマーケットプレイス「SuperRare」や、コミュニティ主導のNFTマーケットプレイス「Rarible」など新しいサービスも出てきています。OpenSeaとSuperRareについては、2021年2月現在、デイリーの取引量が100万ドルを超えています。

また、日本国内に目を向けると、NFTマーケットプレイスは国内大手の暗号資産交換業者「コインチェック」が事業化を検討しており、今後国内でもプレイヤーが増えていく可能性があります。現状では、NFTを入手するには暗号資産(特にイーサリアム)が必要であるため、NFT系サービスと消費者との接点を作れる暗号資産交換業者の動きには要注目です。

まとめ

2020年末の時点で3億3,803万ドルだったNFTの市場規模は、2021年第一四半期(1~3月)には約15億ドルにまで急成長を遂げています。

NFTは現在、ゲームやアートといったエンターテイメント業界に関する適用が進んでいる状況です。しかしNFTはさまざまな可能性を秘めていると言われており、たとえば、同じものが2つとない不動産にNFTが活用されることも考えられます。すでにゲーム上に存在する土地の所有権にNFTが活用されているという事例も存在します。

今後のビジネス展開としては、NFTの「代替不可能である」という特徴を生かし、エンターテイメント分野の枠を超え、所有権証明や身分証明が必要なあらゆる分野で実用化が進んでいくと予測されています。